《H.A.L.'s 訪問記》


No.0002 - 2008/4/29

東京都渋谷区 A.A 様-H.A.L.'s 訪問記

Vol.2「結構な“音”のおもてなし、ありがとうございました!! 」

2008年4月某日、A.A 様のご住所をパソコンに入力して地図を検索していた。
JR原宿駅、JR千駄ヶ谷駅、東京メトロの明治神宮前駅、同じく銀座線外苑前と
主だった駅からはほぼ等距離に位置するA.A 様のお宅へはどうやって行くか?

そして、各駅からの私の自宅までの帰宅ルートを検索しても、どの駅からでも
三分以内の違い。だったら最もシンプルで人通りの少ない静かなルートを選ぼ
うということで、JR千駄ヶ谷駅から歩いていくことに…。

ちょっぴり早く閉店前に出発して前回同様に御茶ノ水駅を目指して坂を登って
いく。A.A 様とは現在のDyna5555がオープンする前からのお付き合いだったが、
ついぞ今までお伺いすることができず、今回は事前のアポイントを差し上げ
奥様がお留守のタイミングを見計らっての訪問となった。(^^ゞ

閑静な住宅地の中を歩き始めた時にはとっぷりと日が暮れて、駅から離れるに
従って土地柄かファッション関係の会社と飲食店の明かりが街灯よりも明るく
路面を浮かび上がらせている。

道行く人も少なく、反対側の原宿方面からのルートを取らなくて正解だったと
思いながら、予定よりも10分ほど早く到着した。オートロックのインターホン
を鳴らすと聞きなれたA.A 様の声がして、いざ突入!!

周辺の静寂さに輪をかけて静かなマンションのエントランスに足を踏み入れる
と、厚かましくも緊張感のない自分自身に気が付く。A.A 様とはそういう感じ
のお付き合いをさせて頂き、今回は久しぶりの対面というものだった。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0169.html

そして、続きがこれ!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0178.html

おおよそ20畳くらいとおっしゃるオーディオルームにご案内頂くと、こんな
圧巻の風景が迎えてくれる。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/14.jpg

この右側には…

http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/15.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/22.jpg

ESOTERIC P-01+D-01にてSACDもサラウンド再生可能、そして後年には同社の
ユニバーサルプレーヤーも導入して頂き、DVDの5.1ch再生にも対応されている
というESOTERICのヘビーユーザーでいらっしゃる。このシステム構成をご説明
するのはちょっと大変だった。

しかし、これはA.A 様の歩んできた歴史であり、その時代別の取り組みが積層
化されて現在のシステムとなっているので、A.A 様のご協力を頂き極力詳細に
かつ忠実にご紹介させて頂くと次のようになる。


    ◆H.A.L.'s 訪問記-Vol.2 渋谷区A.A 様システム構成◆

       □ Front Channel System □

ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.) 
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/g0rb/index.html
        □Power equipments□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
     ↓
ESOTERIC 7N-DA6100×3
      ↓
ESOTERIC P-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓                                          
NBS Black Label Digital AES/EBU×2                  
      ↓                                          
ESOTERIC D-01(税別\1,100,000.)×2  
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓                                         
NBS Black Label Interconnect RCA                          
      ↓                                        
CTC Buildiners Blowtorch Preamplifier(税別\5,980,000.)  
http://www.cfe.co.jp/jp_pro001.html
        □Power equipments(アナログ専用)□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓                                         
NBS Black Label Interconnect Balanced                        
      ↓                                         
Aria WT-350XM(税別\4,000,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/193.html
        □Power equipments(チューブ専用)□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner×2 + PS-Audio/P600
     ↓  
NBS Black Label / PAD Alteus  
     ↓
Audio Physic Medea(税別\3,900,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto40.html
        □Power equipments(アナログ専用)□ 
NBS Black Label AC×2 + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α(woofer用)
        and
murata ES-103A(税別\200,000.)
http://www.murata.co.jp/speaker/tw/index.html


       □ Rear Channel System □

ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.) 
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/g0rb/index.html
        □Power equipments□ 
NBS Black Label AC
     ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 + PAD Dominus rev.B BNC (Liquid)×2
      ↓
ESOTERIC P-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓                                          
PAD Dominus rev.B (Liquid) AES/EBU                  
      ↓                                          
ESOTERIC D-01(税別\1,100,000.)×2  
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
ESOTERIC/8N-PC8100 + Shunyata/Hydra (旧型) & Shunyata Anaconda α 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓                                         
PAD Dominus rev. B (Liquid) Balanced                          
      ↓    
CONOISSEUR METAL4.0LINE AMP(税別\1,980,000.)  
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/137.html
http://www.scantech.co.jp/lyra_conni_4.0ad_line.html
        □Power equipments(アナログ専用)□ 
ESOTERIC/8N-PC8100 + Shunyata/Hydra8 & Anaconda α +PS-Audio/P600(MW2)
 & Shunyata Anaconda α
      ↓   
Audio Physic Strada  Mono Power Amp(税別\1,300,000.)×2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto49-03.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/30.jpg
        □Power equipments(アナログ専用)□ 
PAD Dominus AC(Liquid) + Audio Power Power Wedge Ultra116 & PAD Dominus AC
      ↓  
PAD Proteus
      ↓ 
Evett & Shaw Pesaro


       □ Center/Subwoofer Channel System □

ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.) 
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/g0rb/index.html
        □Power equipments□ 
NBS Black Label AC + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
     ↓
PAD Dominus (Plasma) rev.C 
      ↓
ESOTERIC P-03Universal(税別\1,600,000.)→V Signal---SHARP AQUOS 65V
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p03universal/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
Shunyata Anaconda αVX + Shunyata/Hydra (旧型) & Shunyata Anaconda α
+ PS-Audio/P600 & Shunyata Anaconda α
      ↓                                          
ESOTERIC 8N-6P1394 ×5 → ESOTERIC D-01×4              
      ↓                                          
ESOTERIC D-03(税別\1,200,000.)  
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/d03/index.html
        □Power equipments(デジタル専用)□ 
ESOTERIC/8N-PC8100 + Shunyata/Hydra (旧型) & Shunyata Anaconda α 
+ PS-Audio/P600 & Shunyata Anaconda α
      ↓ 
PAD Dominus rev. B (Liquid) Balanced 
      ↓
Inner Sound Pre-Amplifier +ケ ーブル Synergistic Research Designers' 
Reference Balanced + ESL Power Amplifier
         □Power equipments(アナログ専用)□ 
Synergistic Research Designers' Reference AC×2 + NBS Power Conditioner 
& NBS Black Label AC + PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓   
PAD Aqueous + Synergistic Research Kaleidoscope Interconnect for Subwoofer
      ↓ 
Center Speaker:Evett & Shaw Elan 
Subwoofer: Acoustik-Lab Stella Novus


          □ Sub Player System □

Sonic Frontier  TRANSPORT →Sonic Frontier  PROCESSOR 3 
                   □Power equipments□ 
ESOTERIC/8N-PC8100  + NBS Power Conditioner & NBS Black Label AC 
+PS-Audio/P600(MW2) & Shunyata Anaconda α
      ↓ 
PAD Dominus rev. B (Liquid) Balanced
      ↓                                        
CTC Buildiners Blowtorch Preamplifier(税別\5,980,000.)  
http://www.cfe.co.jp/jp_pro001.html
      ↓ 
同上のシステムに接続

申し訳ありませんがケーブル関係のプライスまでは調べがつきませんでしたが
知る人ぞ知るという一流品ばかりなので、恐らくはコンポーネントの総額より
も凄いことになっているかと思います。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

これらの錚々たるコンポーネントを重厚なラックに収納され、各々の機材には
PADのTIPをはじめとしてご存知のZ-board、更にはzoethecusのz.slabなども
使われており、入念なセットアップが見てとれる。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/311.html

そもそも、ここ↑で述べているCOPULARE TONBASENBAU BRONZEを私が初めて
お納めしたのもA.A様であり、他にも重厚なラックが並ぶ。特に中央の大画面
液晶テレビをセットされているのはRixRaxの特注品であり、こだわりの電源
アイソレーター・フィルターなどもきっちりと納まっている。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/26.jpg

そのこだわりは電源関係には徹底されており、ラックの後ろをのぞくとこんな
あり様になっている。↓

http://www.dynamicaudio.jp/file/080425/24.jpg

メーカーは様々だが、いずれも黒いシースに覆われている極太の電源ケーブル
が足の踏み場もないほど引き回されている。

一時はセシウムクロックの導入もご相談頂いたほどフロントエンドの充実と
情報量の広大さにこだわりをお持ちのA.A 様が目指している音とはいったい
どんな音なのか。日頃はここH.A.L.の音質に長年親しみ、かつリファレンスと
して私が記憶すべき音質を毎年アップグレードしてきたが、お客様のお宅の
音は私にとって本当に新鮮かつ有意気な教材であると言える。今回も持参した
CDをどの順番で聴かせて頂くか考えていたが、やはり最初にオーケストラだ。


■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団第二楽章

とにかく、フロントエンドは私が日々聴いているESOTERICなのだから安心かつ
使い慣れたリモコンを手にして、厚かましくもゆったりしたソファーの真ん中
に腰を落としてスタートボタンを押した。

「お〜!! なるほど〜、そうきましたか〜!!」

まず、私の耳になじんだのは懐かしいと思えるマンガーユニットの音だった。
私の随筆にもあるようにAudio Physic Medeaは手元に置いて聴きこんだ音質。
ベンディング・ウェーブ理論の音源は決して単独トゥイーターのような点音源
という明滅感はなく、あくまでもしっとりと弦楽器を聴かせる。

ミッドレンジとトゥイーターの共同作業によって繰り広げる弦楽器も高度な
技術力で設計され作られたスピーカーシステムであれば解像度と質感の両立を
難なく果たしているものだが、マンガーユニットが醸し出す独特の柔軟性と
雰囲気は決して他のスピーカーに真似ができるものではない。

しかも、トライアングルの打音もきちんとライトアップされた印象で明確な
定位感と高域への伸びを音色に表しており申し分ない。Medeaは正面の他にも
両サイドに同じマンガーユニットを二個搭載しているが、これらは正面の一個
に対して6dB低い音圧を再生するように設計されており、どうしても指向性が
鋭くなってしまうマンガーユニットの使いこなしの結果として見事な音場感を
実現している。

それに一枚かんでいるのが村田製作所のスーパートゥイーターの存在であり、
ことのほかオーケストラの音場感を優秀な解像度とともに簡単に聴かせる。
金管楽器の響きもまぶしさを伴うことなく奥行き感をもって再現され、Medea
に搭載されたアクティブ・ウーファーも程良い量感で主役が誰であるかを
きちんとわきまえている鳴りっぷりに好感が持てる。


■セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団ビゼー「アルルの女」「カルメン」
 の両組曲から1.前奏曲8.ファランドール10.アラゴネーズ15.ハバネラ

この曲は最初の前奏曲で弦楽器群のアルコでの重奏が左右からかけあいとなり、
そのレイヤーの各層を分離させて聴かせるという解像度の素晴らしさを感じる
システム構成とスピーカーもあった。だが、ここはA.A 様の感性が絶妙に働い
ていることが聴き進むうちにわかってくる。

それはファランドールでのカスタネットやタンバリンというステージ奥の位置
で叩かれるパーカッションの距離感と質感、弦楽器の主旋律がたくましく力感
にあふれて展開するが、私はこのような傾向をどこでチューニングしているの
かというポイントを自然に観測し分析し始めていた。

制作者であるMichael Elliottの記憶をたどりながら、A.A 様がなぜAriaの
パワーアンプを選択されたのかということが今になってひしひしとわかって
来るのだから、やはり音は人を語るということなのだろうか。

実にスムーズでありしっとりした質感がフォルテの強力な演奏となって弦楽器
のダイナミックな展開が繰り広げられる。しかし、その中において中空に定位
する管楽器と打楽器の位置関係を克明に描き出す情報量の素晴らしさがある。

私は聴きながら大分以前に経験したある実験を思い出していた。真空管のプリ
アンプにソリッドステートのパワーアンプを組み合わせた場合、管球式の温度
感や柔軟性というメリットよりも、あまりにも輪郭表現があいまいになり
パワーアンプの良さが全くと言ってよいほど発揮されなかった経験がある。

逆に、当時大変評価されたソリッドステートのプリアンプに管球式のパワー
アンプを組み合わせた時の絶妙な再生音にいたく感激したことがあった。

システムの上流に位置するコンポーネントの情報量が大変広大であり緻密さを
持ち合わせ、その解像度の素晴らしさをそのままに信号をパワーアンプまで
伝送する。しかし、その時のパワーアンプは多くの情報量を受け取り再生帯域
の広大さを維持しながら楽音の質感に潤いを与え、かつ輪郭表現の曖昧さを
微妙にコントロールしている印象があり、決してふわふわした優柔不断な音に
はならなかったのだ。

ソースコンポーネントにあらん限りの情報量を追求しておき、それがスピー
カーにたどり着く一歩手前で温度感を追加するという発想。これだ!!

それは質感の微妙な丸め効果でありながら情報量を間引きするという気配も
なく、初段に三極管6LS7を使い出力段にはMOS FETを使用しハイパワーを実現
するというハイブリッド構成WT-350XMの面目躍如たる魅力に他ならないだろう。

そして、WT-350XMの魅力を引き継ぐ形で選択されたMedeaのしっとりしつつ
高速反応という組み合わせの妙が私に久しぶりの感動をもたらしてくれた。

アンプもスピーカーもH.A.L.で聴いた経験はあれど、アンプもスピーカーも
各々が別々の組み合わせであり、この組み合わせで聴くのは私も初めてのこと。
さあ、この組み合わせでスタジオ録音はどうなるのか?


■DIANA KRALL 「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004)
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html

解像度と情報量の両方をこの一曲で聴き分けることができる選曲。

パワーアンプの個性とスピーカーの独特な発音原理から、良く言えば柔軟性が
ありゆったりした雰囲気重視の音。悪く言えば、しまりがなく分解能に不満が
残るような音になりはしないかということが事前の予測と言ったらお叱りを
受けるかもしれないが、H.A.L.のシステムと環境で名だたるコンポーネントの
チェックに聴いてきた一曲をどう聴かせてくれるのか!?

「おー!! イケてます!! 弾けてます!!」

とは、この曲の冒頭から鳴らされるDIANA KRALLの指を弾く音の切れ味が決し
て鈍ってはおらず、十分なテンションをもって再現してくれたという驚きだ。

しかも、切れ味は申し分なくスピード感があり、マンガーユニットの特徴でも
ある高速反応が爽快に表れている。つまり、肉厚なイメージで弾いた後に余分
な響きを追加せずに、きっちりと尾が切れるようにダンピングされている。
これはいい!!

そして、ウッドベースの定位感も好ましい。この場合の定位感というのは重々
しい音を想像すると床を這うような低域の残響成分を引きずって、ということ
ではなく、くっきりとマンガーユニットのある高さにおいてベースが中空に
定位するという現象だ。

アクティブウーファーのスピード感がマンガーユニットに追随するようにと
設計者が意図した低域の輪郭表現が素晴らしい!!

最後にスタジオワークで演出されたDIANA KRALLのヴォーカルが豊潤なエコー
感をともなって広範囲な空間に拡散していく描写力はスーパートゥイーターの
恩恵がうまくコーディネートされているものと直感した。


■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html

イントロのヴァイオリンとギター、そして数秒後にチーン!!と響くベルの音。
前曲でチェックしていたマスタリングの演出がここでも程良いテンションと
相反する柔軟性をヴォーカルに含ませるという芸当が音楽を楽しくさせる。

「いいですね〜、こんなちあきなおみの声は初めてじゃないかな!?」

DIANA KRALLのように一種、濃厚とも言えるリヴァーヴに包まれたヴォーカル
も悪くないが、日本語の歌詞を日本人の発音で、しかも厚化粧した印象もなく、
どちらかというとあっさり聴かせるのにコクがあると言ったらいいだろうか。

口の開け方は変わらないのに声に絶妙なビブラートがかかり、しっとりと感じ
られ、喉元から発声しているという声質の再現性にスピーカーの優秀さを思い
知る。いいですこれ!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ESOTERICという正確無比な再現性と膨大な情報量をピックアップする能力を
持つフロントエンドを基礎として固め、John Curlという鬼才がトップクラス
のブレーンを結集して作り上げたBlowtorch Preamplifierの入念にして緻密
なアナログプリアンプを経由してAria WT-350XMを鳴らすという図式。

こんなシステム構成は私の知る限りA.A 様だけだろう。

A.A 様は更に追求の手を緩めない。

「川又さん、ESOTERICのP-01とD-01四台をまとめてバージョンアップして
 欲しいのですが、お願いできますか!?」

はい、もちろんですとも!!

A.A 様はフロントエンドの情報量を拡大していくことに何の迷いもない。
しかし、私が感じたパワーアンプとスピーカーの選択に関して、私が指摘する
と次のような一言でまとめられた!!

「そう、そこなんですよ!! そこに人間味を加えておきたかったんです!!
 聴いていて疲れてしまうのはダメなんです。でも、物足りないのはもっと
 ダメなんです(笑)」

いや〜、今回もおうかがいして良かったです!!

ご注文ありがとうございました。いや失礼!!^_^;

結構な“音”のおもてなし、ありがとうございました!! <m(__)m>


HAL's Hearing Report