《H.A.L.'s Sunday Concert Hearing Report》


No.0507 - 2009/5/20

仙台市 K.T 様より

Vol.9は初のユーザー参加型企画として次のようなテーマで行いました。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/650.html

今まではコンポーネント、ハードウエアの比較試聴という企画は色々と行って
来ましたが、今回は音楽そのものの比較というものでした。更に私から同じ
音源なのにどうして音質が違うのか、という即興的な実験試聴もしました!!

楽しんで頂けましたでしょうか!! そして、早速のことながらご参加頂いた
皆様からありがたい試聴レポートを頂きました!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Vol.14「おかえり、GIYA!!」

前回の投稿をご紹介します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0501.html

以前の投稿をご紹介します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0495.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0488.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0469.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0457.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0455.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0450.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0444.html


HAL 川又様

お世話になっております。仙台のK.Tです。
今回も素敵なコンサートありがとうございました。
とても楽しい一時を過ごすことができました。

ラインナップも興味深いものでした。
ここ数回はHALに行ってもBlue GIYAはありませんでした。
ぽっかりと穴が開いたようで何となく物足りない思いがありました。

そんなGIYAが戻ってきたという嬉しいお知らせが!
しかもペアリングのアンプが以前聴いて以来、虜になってたsoulution!!
こりゃ、Sunday Concertに行くしかないでしょう!!!
お帰り、Blue GIYA!!!!

久しぶりにHALに据付けられたGIYAはすっかり溶け込んでいました。
Original Nautilusに負けない存在感は素晴らしい。

プログラムもまた面白い。
マーラー交響曲第1番第2楽章の聴き比べ。
そういえば、個人的な前回HAL訪問時はマーラーの3番を聴き比べたっけ(^^;

比較試聴の前に、ちょっと面白い実験がありました。
ビシュコフ指揮パリ管のビゼー「カルメン」からハバネラ。
これは、1994年のオリジナルと2005年の再販(1000円)のCD同士の比較。
同じ音源を使っていてもマスタリングでこうも違うものか。

そういえば、前に同じ経験をしたことがあったなぁ。
EMIのカラヤン指揮のワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
家で聴いて演奏・録音共に良かったので、友達が早速購入。

そしたら、今回のカルメン同様、新しいのはイマイチ。
確かに音はクリアになってるが、胸に訴えてくる熱いものが足りない。
マスタリングの過程で雰囲気がすっかりこそげ落とされた気がした。

カルメンも音は綺麗だが、感動まではいかないかな。
マスタリングの重要性と功罪を再認識。

さて、いよいよメインの比較試聴開始。
メルマガのエントリーにあった4枚に、川又さんのいつものリファレンス、
小澤指揮ボストン響の1987年録音とそれより10年前のアナログLPの計6枚。

> ★マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章の持ち込みディスクエントリー!!
> Entry No.1  指揮:ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
>       録音:ベルリンフィルハーモニーホール 1987年
> Entry No.2  指揮:クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
>       録音:ベルリンフィルハーモニーホール 1989年 ライブレコーディング
> Entry No.3  指揮:デビッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
>             録音:チューリッヒ・トーンハレ 2006年
> Entry No.4  指揮:ロリン・マゼール/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
>       録音:Musikvereinssaal 1985年10月3、4日

まず、いつもの小澤指揮ボストン響のCDから。
安心して聴ける。
さすがにリファレンスにしている盤だけある。
これから5枚聴くスタートに相応しい演奏・録音。

次はEntry No.1のハイティンク指揮ベルリンフィル。
凄い!
ホールが変わったのがはっきりと分かる。
こう聴かせて欲しいというリスナーの要求に的確に応えている。
まぁ、演奏自体は良くも悪くもハイティンクって感じ。

ハイティンクはブルックナーもマーラーも全曲録音するという偉業を
達しているが、どっちも心に残る名演が少ないような気がするんだよなぁ。

Entry No.2のアバド指揮ベルリンフィル。
No.1と同じフィルハーモニーホール。ワインヤード型の響きがよく分かる。
これまたツボにハマった録音でホール感をうまく表現している。

ベルリンフィルのシェフになったばかりだが気負うことなくオケを鳴らしてる。
最近のルツェルンとのマーラーもよいが、ベルリンフィル時代のアバドの良さを
再確認する名演。マーラーとアバドは相性いいのかな。

次は順番を変えてEntry No.4のマゼール指揮ウィーンフィル。
ここでまたホールが変わったのが分かる。
あの独特な響きのシューボックス型のムジークフェラインが眼前に。
この演奏は他に比べずいぶんとゆうたりとしたテンポ。

マーラー若書きの巨人は速めのすっきりした演奏が好みなので、最初は
ちょっと戸惑ったけど、だんだん慣れてきた。全曲聴いてみたいと思わせる
名演でしたね。これは探してみようかな。

Entoryの最後はNo.3のジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ。
今回の中では最新録音で、響きは美しい。
演奏も研究家のジンマンらしく隅々なで気を配ったもの。

得てしてこういうのって、つまらなくなりがちだけどこれは申し分なし。
マゼールの後だけに、やたら早く感じてしまったが(^^;

ジンマン盤には「花の章」が付いているのでこれも聴く。
めったに演奏されることはないが、美しい良い曲だ。
もっと普及してもいいのに。

最後に、CDよりも10年若い小澤指揮ボストン響のアナログLPも試聴。
初めて聴く超弩級のアナログシステム。Caliburn Analog Playback System。

アナログにこんな世界があったのかぁ、と説得させられる音でしたね。
演奏自体も小澤の若さが前面に押し出されていて、それがちっとも押し付け
がましくなく、好印象となっている。

このLPでは、花の章が終わると通常の第2楽章が始まる。
第1楽章、花の章、第2楽章という並びは初めて聴いた。
(もっとも今回は花の章、第2楽章だけだが)

慣れの問題もあるとは思うが、ちょっと冗漫になってしまう気がする。
花の章を除いて、4楽章の交響曲にしたのは正解かなぁ。
花の章それ自体は十分美しい曲だが、巨人に入り込む余地はないかも。

いや〜、とっても楽しいマーラー巨人の比較試聴でした。

だが、当然ながらSunday Concertはこれだけでは終わらない。

マーラーつながりということで、続いてはインバル指揮の5番。
第1楽章のファンファーレ部分。
比較対象は、市販のCDとサンプリング用の非売品CD。
市販のCDは響きが豊か。

非売品はすっぴん美人の印象で大変好ましい。
これを聴いてしまうと市販が厚化粧に感じてしまうほど。
でも。

これだけはっきり差が分かるのはあくまでここHALだから。
Blue GIYA & soulutionという組み合わせの賜物がここまであからさまに
曝け出してしまうわけで、普通は市販品が薄化粧くらいに感じるのかな。

こんなとこまで暴き出してしまうが、普段聴く分には全くそんな高解像度を
前面に晒さない、奥ゆかしささえ感じるこのペアは素晴らしい!

CDとLPの比較はまだ続く。
次のTears for Fearsは懐かしかった〜。
高校時代によく聴いていたっけなぁ。
もちろんこんないい音で聴いたことなかったけど、今聴いてもいいな。

続いてのギター&女性ボーカルのデュオもCDとLPの両方で。
このクラスのアナログプレイヤー、CDプレイヤーになるとそもそも
CDかLPかって論争自体が無意味だってことがよ〜く分かる。

LPはCDを聴いてるかの如く静かでレンジ広いし、CDはLPを聴いてるかの如く
雰囲気を醸し出している。
どっちも気分で聴き分けることができたら幸せだろうなぁ。

最後は北欧の歌姫。
これはオリジナルCDとセルフカバーのCD&LPの3つ。
それぞれが甲乙付けがたく、これまた気分次第で聴き分けたい。

2時間半があっという間。
楽しいコンサートでした。
いろいろな解説もためになりました。

Audio Resortで楽しむもよし、Friday or Sunday Concertで楽しむもよし。
HALの楽しみ方の入り口は多彩なので、利用しない手はないですね。

実は、Concert後にもう1曲聴いてました。
またしばらくGIYAがいなくなるということで聴き納め(^^;

テルミカーノフ指揮サンクトペテルブルクフィル、アレクセーエフの
ピアノによる、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」
これもいい演奏で、すっかり聴き入ってしまった。

普段はゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団、ランランのピアノ
で聴いてるんだけど、聴き比べがしたくなった。

これって、比較試聴をずっとしていたからだろうか!?(笑)

また、都合がつけば参加させていただきたいと思います。
Concertの司会・進行ごくろうさまでした。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

K.T 様今回もありがとうございました。クラシックに詳しいK.T 様に色々と
解説して頂き私がドキュメンタリーを作るまでもなくなってしまいましたね。

the subject .2に関してはちょっと補足させて頂きますね。

Tears For Fears / Songs from the Big Chair というアルバムです。
「Everybody Wants to Rule the World」をかけたわけですが、私が持っている
のは1985年にLP/CDの二枚セットで発売された限定盤です。

ギター&女性ボーカルのデュオ、というのは下記のディスクです。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/433.html

北欧の歌姫とは、kkvのKARI BREMNESのことです。

先ず最初に1994年に発表した下記のアルバムの1.EN ELSKER I BERLINをかけました。

http://www.kkv.musikkonline.no/shop/displayAlbum.asp?id=4820

次に、英語の歌詞で2000年にセルフカバーしたものが次のアルバムにある、
1.A LOVER IN BERLINなのです。この二曲を聴き比べて頂き、更に…

http://www.kkv.musikkonline.no/shop/displayAlbum.asp?id=26639

下記にご紹介するように二枚組LPレコードがあるので、これで同じ曲を比較
試聴して頂いたものでした。

http://www.kkv.musikkonline.no/shop/displayMerchandise.asp?id=304&aid=1690

このようにセルフカバーでの編曲の違いと伴奏の違いから最後にはアナログ盤
でという三段階の比較をして頂いてラストとしました。

閉会の挨拶を申し上げると皆様から温かい拍手を頂きとてもうれしかったです。
こんなイベントは私も楽しんでいるものであり、来週もご期待下さいませ!!



HAL's Hearing Report