発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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ダイナミックオーディオ5555
TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明
    
2016年7月18日 No.1311
 H.A.L.'s One point impression!! - 納得のTransparent XLPCの実力!!

2005年9月8日
No.362 「H.A.L.を使って検証し推奨するオーディオ用電源の新展開!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/362.html

2005年10月12日
No.365 「第二段階を始動した私がミニマムシステムで検証する“PEIP”の影響力とは!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/365.html

2005年10月19日
No.366 「衝撃!!“PEIP”デバイスで統一これほど素晴らしいとは思ってもいなかった!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/366.html

上記は当初匿名にてプロモーションをスタートした当時のTransparentのPower
Productsの懐かしい思い出であり、それは同時に当フロアーで初代PLMMという
電源ケーブルをリファレンスとして全面採用し始めた歴史でもあります。

もう11年も前のことでした。それからPLMM2、そしてPLMM2Xと進化を続け、
長年に渡り私のこだわりを音質として表現し支えてきてくれたものでした。

ここH.A.L.では製品付属の電源ケーブルで皆様に音をお聴かせすることはありません。
そして、更にTransparentの進化は続き、遂に登場したのがOPUS Power Cordでした。

2015年8月7日 No.1242
感動しました!!Transparent OPC(OPUS Power Cord)を国内最速で試聴!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1242.html

2015年11月14日 No.1264
Transparent OPC(OPUS Power Cord)がもたらす新世界の陶酔とは!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1264.html

このOPC2はハルズサークルの企画で実に多くのモニター貸し出しが実施され、
この魅力に憑りつかれてしまった皆様に多数のご愛用を頂いているものです。

H.A.L.'s Monitor Report-Transparent OPUS Power Cordの真実!!をご覧下さい!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni.html

上記のように最大多数のPLMM2Xをリファレンスとして、更にOPC2も11本を導入して
こだわりぬいた音質を日々提供して参りましたが、“OPUS”テクノロジーでパワー
アップした新製品が登場したというのだから、32本も実働しているPLMM2Xも
総入れ替えしなければならないのか!?

それに代わるTransparent XLPCが果たしてPLMM2Xとの比較において、明らかな
世代交代となるパフォーマンスなのかを検証する機会をずっと待っていたのでした。

海外では既に発表され日本への輸入が待たれていましたが、6月末にやっと輸入元
から正式なリリースがなされました。嬉しいことに定価は据え置きという設定です。

■輸入元公式ファイルは下記にてご覧下さい。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20160628-RPC_XLPC.pdf

しかし、聴かなければ納得できない私はXLPCのデモ機が入荷するまで当社在庫の
総入れ替えには判断をしかねていたのですが、2016年7月やっと実物が届きました。

■以前のPLMM2Xは光沢紙製ボックスでしたが何とXLPCはOPCと同じトランクケースに入っています!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/20160716-XLPC.01.jpg

■特徴あるケーブルのフィルター部とプラグはしっとりした仕上げで好感が持てます。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20160716-XLPC.02.jpg
http://www.axiss.co.jp/cms/wp-content/uploads/2016/07/XLPC_1_mod_1000x750.jpg

しかし、現時点で試聴できる実物は一本だけ、その一本をどこに使用して試聴するのか?
私の経験から最も素直にパフォーマンスが引き出せるのはここです。下記にて!!

 ◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Transparent XLPC - inspection system ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別¥1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2+PI8 (税別¥1,240,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別¥750,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso P1 (税別¥2,500,000.)本体 ★RELAXA 530使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
          and
TRANSPARENT PLMM2X+PI8 (税別¥770,000.)★ここに使用して比較
http://www.dynamicaudio.jp/file/120122/stpd01.jpg
          vs
TRANSPARENT XLPC+PI8 (税別¥770,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

★Grandioso P1+D1の接続は付属:HDMI Cable
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1083.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso D1(税別¥2,500,000.)   
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PI8 (税別¥1,990,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300II MEXCEL / XLR 1.0m (税別¥580,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso C1 (税別¥2,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PI8 (税別¥1,990,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati	Seraphim / Interconnect cable XLR 8.0m(1Pair 税別¥5,645,000.)
http://www.zensati.com/
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html 
     and
ESOTERIC 7N-A2500MEXCEL / XLR 7.0m  (税別¥2,280,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso M1(2Pair 税別¥5,600,000.)★Bi-Amp
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/m1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PIMMX(×2) (税別¥2,580,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati	Seraphim/Speaker cable 3.0m/Bi-Wier(税別¥9,408,000.)
http://www.zensati.com/
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html 

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improved (1Pair ¥14,250,000.)
http://www.hiro-ac.jp/
     and
H.A.L.'s B-Board×2 (1枚/税別・配送費込み¥122,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
「特報!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedとはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1199.html
ここに紹介した下記の二枚の写真でImprovedモデルとスピーカー本体とネット
ワークボックスをセットしたのがB-Board
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved02.jpg
………………………………………………………………………………

私の試聴では聴覚と視覚が連携している。すなわち眼前に展開する楽音の個々が
定位する中空の一点に私の視点が飛び、様々な音がスピーカー周辺に発生するたびに
楽音の定位する位置に私の視線が向けられる。

と前回も述べましたが、電源ケーブルの比較試聴も全く同様な聴き方をします。
今日は入手できた一本のXLPCを通電しバーンインを行ってから試聴しようと思い、
しばらく鳴らしてから本格的に聴こうと思いつつ、軽い気持ちで使用中だった
XLPCのままで定番のオーケストラを聴いたのですが、その第一声で驚きの発見が!!

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

私は同じ条件で連続して比較試聴し、記憶が鮮明なうちに分析をすることにして
いるので、今回もPLMM2XからXLPCへという順番で試聴しようと思っていました。

聴き慣れたバイアンプで鳴らすESOTERIC GrandiosoシステムとHIRO Acousticの
音質は私の頭の中で揺るがしがたいリファレンスとなっていたことに改めて気が付きました!!

ディスクトランスポートに使用した一本の電源ケーブルがここまでオーケストラの
質感を変えてしまうのか!? と、以前にはなかった潤いがあり滑らかで艶やかな
弦楽器の美しさ、艶めかしい程の木管楽器の響き、透き通るような輝きの金管楽器、
ホールエコーを湛える低音打楽器の雄大さ。トランスポート以外の電源にはOPC2を
使用している中では、より鮮明にXLPCの個性が引き出されたという事か!!

一口に言えば、しっとりした質感に私が記憶していた音質との違いを直ちに感じたのです!!
それを確認すべくPLMM2Xに変更して、まったく同じ条件にて再スタートすると…。

「おいおい…PLMM2Xというのは、こういう音だったっけ!?」

と、これまた比較しての再発見でした。良い意味でエッジが利いた音質というか、
弦楽器のディティールはメリハリがありますが色彩感の諧調が減少した印象で、
金管楽器は切れ味はいいのですが肉厚感のある響き、その代わり低音打楽器は
多少の個体感が表れているようで弾けるようなテンションの高まりがあります。

電源ケーブルを一本だけ何気なく変えて聴いたところ、私の記憶の中に定着している
オーケストラの質感の違いに驚き、PLMM2Xに変えてみると比較対照が出来ました。
それではと、再度XLPCに切り替えてみると…。

「おー、そういう事ですか!!錯覚ではなかった。この変化の要素はそういう事だったのか!!」

しっとりした音質と前述しましたが、それは各パートの楽音が空間に並ぶときに
響きのグラデーションが倍増しましたが、実はエッジが利いた音というのは音色の
構成要素が減少し、色彩感における濃淡の諧調が少なくなっていたという事なのでした。

PLMM2Xに対してXLPCはオーケストラにおける微小信号の響き、余韻感において
数ランク上の情報量を持っているので、各パートの余韻成分が克明に引き出され、
麗しい弦楽器と空間に溶け込み拡散していく管楽器の響きの再現性が極めて優れて
いるということが確認されました。

しかし、ホール録音における残響成分の表現力とは、一歩間違えればゆったりして
心地いいというだけの曖昧さによる楽音のふくよかさという演出効果だと誤解され
やすいので、私は早速次の選曲にて確認していこうと思いました。

この後は最初にPLMM2Xを聴き、その次にXLPCに変更し、最後にOPCで確認すると
いう順番で課題曲を聴き進めていくことにします。ただし、各選曲におけるOPCの
音質に関しては、その都度に言及せずPLMM2XからXLPCに切り替えた際の印象を
中心に述べていくことにします。

■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf
TRACK NO. 3 TWO TREES

この曲はサックスとピアノのデュオというシンプルな演奏ですが、スタジオワークで
施された実に素晴らしいリヴァーヴが広大な空間提示を行い、各楽音の質感の比較と
音の発祥から消滅までが克明に観察できる課題曲です。では、最初にPLMM2Xで…。

「サックスの音像が実にくっきり、ピアノのハンマーのインパクトが冴えるね〜!」

眼前に展開する再生音を頭の中でビジュアル化し記憶にとどめ、次の再生音との
間違い探しのように比較対照するシートを作り、二枚を透かして見るように比較
するのが私のやり方。聴き慣れた曲でも新たに音のファイルを作成し用意する。

リモコンでトランスポートを停止し、ラックの裏側に回り電源ケーブルを抜き差しし、
Grandioso P1電源部のスイッチをオンにしてセンターポジションに着席し、再度
リモコンで選曲しスタートする。この作業を何度も何度も繰り返しての試聴です。

「サックスの余韻が倍増し広がる空間がこんなに大きくなった。問題はピアノだ!」

センター左寄りの空間に定位するサックスが発する響きの余韻は驚くほど時間軸を
延長して空間に漂い、リードの音が鳴り始めた瞬間に音の発生点を聴き手に強調する
かのように、楽音の音源はここだと見せていた力みがす〜となくなる。気持ちいい!!

オーケストラでエッジが利いた音と例えた傾向がここでも感じられ、楽音の出始め
から消えていくまでの過程で空間に響きが滞空する時間が短く、色彩感の諧調も
減じられていたものが、XLPCに切り替えた瞬間から音の発生から消滅まで響きの
減衰特性が横軸を延長して右下がりの折れ線グラフがずっと続いていくようだ!!

サックスという連続音の管楽器で比較する情報量の格差は歴然であるが、私は
ピアノにおけるテンションが緩くなり、残響成分は増加するがインパクトの瞬間に
甘さが出るようではいかがなものかと想像していたのです。ところが…。

先ずは全く緊張感が緩み音像が膨らむという心配は稀有のものと直感されました。
たった一本のXLPCで鳴らされたピアノの質感に注目すると、インパクトの瞬間に
立ち上がる一音一音の粒立ちが鮮明になり、その一粒一粒が弦から弾き出されて
羽毛の羽のように空間に漂う響きを発するようになったのだから堪りません!!

「そうか〜、情報量が減るときりっとエッジが利いた印象になるんだな〜!」

ミッドハイレンジでの美しいリヴァーヴにメークアップされたシンプルな編成の
演奏で、楽器が少ないぶん個々の楽音が発する音場感の広大さという比較シートを
頭の中で透かし見て、PLMM2XとXLPCの違いが大編成のオーケストラとデュオという
最小編成の再生音で比較で色々な項目が分かってきました。

さて、次はスタジオ録音で重厚でダイナミックな演奏が特徴的な課題曲で、更に
低い音階での振る舞いがどうなるのか、新たな比較シートを頭の中に用意しました。

■THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL) 
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

先ずはスネアと低弦楽器が見事に同期した重厚なイントロでの違い、シンバルの
一定のリズム、ヴォーカルの質感、巧妙なリヴァーヴによる素晴らしい音場感。
比較項目は多数あるが、先ずはPLMM2Xで比較のための原型を記憶にとどめる。

「アタックが気持ちいいイントロは重厚だ。ヴォーカルの音像もきりっとしてる!」

今になってPLMM2Xとはこういう個性があったのだと、OPC2以外のTransparentで
比較するまで気が付かなかった項目が多数発見され、先ずは以前の記憶に一致する
印象となり比較シートを頭の中に作った。さて、XLPCに切り替えましょう。

「あー!!予想とは違う!!この低域凄い!!ミッドハイレンジも洗練されてる!!」

先ずはイントロでの低域の瞬間的な立ち上がりと重厚感が一枚上手という出だし!
PLMM2Xの特徴としてエッジが利いた…と例えていたのですが、このずっしりとした
低域がどうなるか、テンションが甘くなり軽くなる傾向が予想されたのは最初に
オーケストラによる比較からの推測でした。

ホールエコーが残響を支える低音の出し方だと、この録音のように管理された低音の
表現では濃厚さが薄められて多少軽くなる方向に行くのではと思っていたのです。
ところが、どっこい!

ズン!と重たい弦楽と鋭いスネアの打音が造型する低音の迫力と、スピーカーの能力を
的確に引き出す低域の解像度のあり方に、XLPCは何とも見事な立体感を提示します!!

先ずは体感できる低音の総量というか響きの重みというか、頭をかちっとスネアの
打撃でマーキングされた重厚な低域が空間を走り、HIRO Acousticの足元から周囲の
空間に向けて残響が連鎖していく状態が克明に描かれる驚き!!

しかし、その出だしの瞬間から低音の消滅まで、ごりっとした手応えをPLMM2Xで
感じていたというのは錯覚だろうか。個体感のある低音を床に落としたら、わずかに
フローリングの木材が共鳴し、素足の下に振動を感じるような残響だったろうか?

ところが、XLPCが放つ低域は床に向かって叩きつけるような印象ではなく、むしろ
床を滑走路にして飛び立っていくような音場感を見せるのだから驚きました!!

つまり、重厚さが増しているのに残響が高度を下げるのではなく、逆にスピーカー
の後方へと水面の波紋が広がるように拡散していくのです。それは微小信号の
細やかな余韻成分が、下から低音を支えるようなイメージで消えかける低域の
音色の中に、今まで見えなかった残響の揚力をXLPCがもたらしたということでしょう!

オーケストラで感じた滑らかさが、ここでは右チャンネルで刻まれるシンバルの
飾り気のない音色にも表れている。単純な音なのにシンバルの透明感が向上し、
そこだけに注目しても比較シートでは明らかな間違い探しの答えとなっている。

そして、ヴォーカル! 先程のヴォーカルの音像の輪郭再現性は更に向上し、
声の発祥地点をセンターにくっきりと見せてくれる解像度の素晴らしさ。

それに加えて、何よりヴォーカルに施されたリヴァーヴが低域同様に滞空時間が長い!!
ミリセカンドの違いで今までは消えてしまっていた残響成分が、XLPCによって
まだ中空に漂っていたものを可視化させる程に延命されたという事だろうか。

低域の変化とヴォーカルの生まれ変わりのような描写力の違いを見せつけられ、
それではと次の選曲もそこにフォーカスを合わせてのこの曲です。

■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is
http://www.universal-music.co.jp/diana-krall/products/uccv-9378/

DIANA KRALLのフィンガースナップが弾けるイントロ。Christian McBrideの
ウッドペースはソリッドな質感でノンリヴァーヴの鮮明さ。そしてヴォーカルは
美しいリヴァーヴが施され見事に拡散するというスタジオ録音ならではの音場感
の違いが際立つ課題曲。先ずはPLMM2Xで聴き直し比較の原型をイメージする。

「弾ける指のスナップ、引き締まったベース、広がるヴォーカルとさすがです!」

何も問題なく、他のコンポーネントにはすべてOPC2という強力なサポートに一本
だけ使用したXLPCはどんな反応を見せるのか? 今までの分析で変化の方向性は
予測できるようになったが、ルーテイーンとなった切り替え作業に席を立つ。

「あー!!しっとりしたけど余韻は長くなった! 逆にベースは引き締まったぞ!
  何とヴォーカルの残響がこんなに長くなるなんて!」

この比較試聴の間違い探しは皆さんでも簡単に答えが出せるほど簡単でしょう。
先ずは客観的に見てもフィンガースナップの質感に程よい柔軟性が付加された事に
気が付くはずです。そして、弾けた瞬間から左右に拡散していくスナップの余韻が
XLPCがもたらした上昇気流に運ばれていくように滞空時間を長く長くして消えていきます!!

ヴァイオリンはこうでなければ、ピアノはこう鳴って欲しいという個人的な好みと
思い入れがある楽器とは違い、フィンガースナップのパルシブなアタックと拡散
していく残響を一種の測定用信号のように冷静に客観的に比較できる課題曲のポイントです。

ヴァイオリンは滑らかに艶やかに鳴って欲しい、ピアノのアタックは鮮明な切れ味で
鳴って欲しいという相反する要素を主観的に求めるのはマニアの常でしょう。

しかし、このフィンガースナップの音質が一本の電源ケーブルでこうも変わって
しまうのですから、不思議でもあり面白さもあり、情報量が多いのはどちらかと
いう答えがあっさりと出てしまいます。そうです、間違いなくXLPCは進化しています!

そして、次はChristian McBrideのウッドペース。これもスピーカーによって本当に
大変違う質感になりますが、以前から言っているように着ぶくれしない低音の
HIRO Acousticでは両者の違いが簡単に聴き取れてしまいます。

最初はPLMM2Xでの低音の未練があったかもしれませんが、塊として低弦の重さを
感じてしまうようなスピーカーだったら解像度が低く低域の位相が遅れ、ずれて
いるということですが、HIRO Acousticの低域はピッチカートの瞬間を弦の一本
ずつに分離して聴かせてくれるので、XLPCにすると同じウッドベースの楽音の中に
これ程多くの異なる音色が含まれていたという事を発見できるのです!!

その音色を包含する音像の輪郭はもちろんくっきりと鮮明さを増し、同時に音像
の内部に濃密な重量感を見せつけてくるのですから堪りません! これはいいです!

オンマイクで眼前で弾かれるウッドベースの鮮明さは一種の造形美をもって
スピーカーのセンターで躍動しますが、ほとんど残響を持たない裸の低音。

それに対してDIANA KRALLのヴォーカルが醸し出す音場感の豊かさと広大さは極めて
対照的なのですが、XLPCにするとオーケストラの弦楽器で感じた変化と同類の
しっとりした質感で彼女のリップグロスの妖艶な艶と輝きに魅了されてしまうようです。

そんな口元の音像がリアルさを倍増し、センターの一点で発声したヴォーカルが
左右スピーカーの両翼まで残響を拡散していく変化をXLPCはさりげなくサポート
しているのが私には見えるようになってしまいました!

たった一本の電源ケーブルがもたらした変化は、上級機のOPC2が構成している
電源環境の中でこそ鮮明に分析できたのだと思います。それだけ敏感な電源ケーブルで
統一していたシステム構成において、トランスポートのみに使ったXLPCでの分析は
私に重大な決心をさせることになりました。仕方ない…やりますか、総入れ替え!

最後に一言述べたいのは、今回の新製品XLPCとOPCの各々の立ち位置の関係です。
28万円のXLPCに対して75万円とOPC2は二倍以上の価格差となりますが、以上の
比較試聴の最後にOPC2を聴いて私は確認してきました。

確かにXLPC はPLMM2Xよりも進化していますが、それはOPCで感じた電源ケーブルとしての
音質的完成度を実感させられるパフォーマンスとしての順位を納得させるものでした。

明らかに別格のOPCという存在感は価格対比の上でも明確な投資効果を持っているものと
断言致します!!

皆様の情熱とご予算に合わせて選択されればよいものであり、その実体験を元に
ハルズサークル会員限定のモニター企画も実施してサポートさせて頂きます!!

新製品の自宅試聴が出来るハルズサークルにどうぞ皆様もご入会下さい。

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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