発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2016年6月11日 No.1306
H.A.L.'s One point impression!! - ESOTERIC F-03Aの真相を探る!!
2016.03.25-No.3759-より引用

「本日プレス発表されたESOTERICの新製品を速報致します!!」

■ESOTERIC広報より          2016/03/25 (金) 17:05

報道関係各位

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本日3/25付でESOTERICの新製品を発表いたしましたのでご案内申し上げます。

●ブランド:ESOTERIC

●製品名:インテグレーテッドアンプ『F-03A』希望小売価格950,000円/(税抜)
          インテグレーテッドアンプ『F-05』 希望小売価格700,000円/(税抜)

■発売日     2016年4月1日

[弊社ホームページ]  http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f03a/index.html

           -*-*-*-*-引用終了-*-*-*-*-

この時点で私はESOTERIC担当者にF-03Aが完成したら試聴したいという要望を
出していましたが、主要部品の入荷が遅れ今まで実物の出荷が遅れに遅れていました。

6月4日のこと、連休明けで出社すると試聴室にポツリと段ボール箱が置かれている。
そう、やっと…やっと入荷してきたのでした。

そもそも、私がESOTERICが作るA級アンプになぜ興味関心を示すのかというと、
その歴史は一挙に12年前までさかのぼることになります。

2004年2月4日 
No.263 小編『音の細道』特別寄稿 *第22弾* 
「私が認定するもののレベルとは!? このアンプは光明をもたらす存在だ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/263.html

上記の本文中で“アンプA”or “アンプB”と表記していますが、実は現在まで
その正体を一般公開していません。

2004.02.01 -No.0849-より引用    「早版⇒H.A.L.'s Brief News」

Vol.1『short Essay No.22で明かされた“アンプB”の正体とは!?』

私のビジネスの難しさでもあり誠意でもあること。それは私自身が納得したもの
でなければ販売しないという一貫したセールスポリシーです!!

今日も数時間を費やして行った厳密な比較試聴によって、皆様のシステムに大変
大きな貢献をするであろうコンパクトなパワーアンプを検証することができました。

本文中では“アンプB”という仮称を用いているのでじれったいと思われる方も
あったかと思いますが、私は多角的な配慮からその情報を望まない方には
ある理由から公開しない方が得策であると配慮しているからです。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして、私がここで試聴に費やす時間が長ければ長いほど気に入ったものであり
納得できたものであるということから、皆様のお宅に派遣しても十分な説得力を
持つに値すると確信しました。そこで、恒例のハルズモニターとして匿名のままで
皆様に応募を呼びかけるものです。

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      -*-*-*- 緊急企画 H.A.L.'s Monitor -*-*-*-

           今回のキーワードは。

             「“アンプB”H.A.L.'s Monitor」

このキーワードを件名に貼り付け、他の本文を削除した上で商品の送り先となる
お名前、ご住所、電話を記入して返信して下さい。

このご応募を頂戴した方にのみ“アンプB”の正体をご説明させて頂きますので、
それを確認してからのモニター実施という順序となります。
どうぞご理解の上でご利用頂ければと思います。

パワーアンプの革新に関心を持たれている方、あるいはアップグレードを計画して
いる方にはぜひお勧めしたいものです。本文中でご紹介した価格よりも高いアンプ
と比較してください!!

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★上記企画は当時のもので現在は実施しておりませんのでご注意下さい。

           -*-*-*-*-引用終了-*-*-*-*-

さあ、もう時効ということでいいでしょう。この“アンプB”の正体とはこれでした!!

■ESOTERIC A-70(1Pair ¥1,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/a70/index.html

いったんは発売されるも途中からチューニングされた結果で音質が大きく変化し、
その素晴らしさに感動しつつも既成の製品で見かけが同じで音質が別物になって
しまったアンプだったからです。私が認めたESOTERICアンプに第一号でした。

そして、次も貴重な体験をしました。

■ESOTERIC A-03(¥900,000.) 2012年発売 2015年9月生産完了
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/a03/index.html

ワイドレンジ・ハイスピード、高いドライバビリティを誇る増幅回路
低歪で高リニアリティを誇る純A級(Class A)アンプを採用。
8Ω負荷にて50Wを出力できるアイドリング電流を常に確保しているため、
瞬間的な大音量時の追随性が高く、純度の高い表現力を持ちます。

さらに電流増幅段の出力段には、連続動作で17アンペア、瞬間動作では34アンペアの
電流供給能力を持つ大型トランジスターを、 各チャンネルに5パラレル・プッシュ
プルで搭載し、あらゆるスピーカーを存分にドライブできる回路としました。

BTL接続でモノーラルパワーアンプとして使用可能A-03をBTLモードで、モノーラル
パワーアンプとして使用することにより、8Ω負荷にて200Wの出力を得ることが可能です。

           -*-*-*-*-引用終了-*-*-*-*-

このようにBTL接続でモノパワーアンプとして試聴したのですが、この時の音質を
私は認めることが出来ませんでした。しかし、このアンプの純A級動作での音質が
極めて優れていて大変感動したことが思い出されます。そして…

2011年5月26日
No.817「H.A.L.'s One point impression!!-ESOTERIC I-03に感動した私!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/817.html

H.A.L.史上で最も低価格なアンプとして異彩を放ったのがESOTERIC I-03でした。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/i03/index.html

インテグレーテッドアンプの概念にとらわれない様々なアイデアと、コスト的な
制約にとらわれない物量を投入して完成したというI-03はその後も大活躍でした。

「ESOTERIC I-03を展示した各フロアーから続々のブログ更新!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/819.html

「MORDANT-SHORT Performance6 & ESOTERIC I-03 & Black Ravioliの奇跡!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/835.html

このように先ずはESOTERICが作ったアンプに端を発し、次に同社が提示してきた
純A級動作の素晴らしさ、そして最後にH.A.L.レベルで評価できるインテグレーテッド
アンプという低価格で一体型アンプでの可能性の発見という三つのキーワードが
現在の技術レベルで実現されたのが新製品 F-03A なのですから、私が聴きたいと
思ってしまったのも無理からぬことだったのです。

さて、昨日は午前中にセッティングして見ました。
このように↓実に美しい高級感ある仕上げです。

http://www.dynamicaudio.jp/file/2016.06.04.01.jpg

http://www.dynamicaudio.jp/file/2016.06.04.02.jpg

http://www.dynamicaudio.jp/file/2016.06.04.03.jpg

入荷したばかりの新製品で電源投入直後では音質評価に値しないだろうと考え、
先ずはふさわしい組み合わせの一例としてスピーカーをKiso Acoustic	HB-X1にして
取りあえず音出しを始め、昨夜はエンハンサーCD-ROMをリピートさせて今日から
試聴しようとバーンインを行っていました。

そして、今日は昼食も早めに終わらせて期待の F-03A を聴こうと試聴室に入り、
久しぶりにKiso Acousticを鳴らし始めたわけです。それがまた素晴らしい!!

響きを作り出すKiso Acousticの魅力が絶大で、うっとりするようなオーケストラに
しびれてしまいました!! 食後とあって、思わず瞼が重くなってしまうほど気持ちいい!!

このスピーカーでは新製品の厳密な判定は難しいかな〜、だって響きが美しすぎて
アンプを分析するという次元ではないようです。そして、95万円の価格ながら
桁外れであってもHIRO Acousticで聴きたいという誘惑が頭をもたげてきたのです。

“キソ Kiso”から“ヒロ Hiro”へという同じ韻を踏むネーミングで同じ日本製。
これはやはり音楽を裸にするスピーカーで聴かねばとセッティングを変更しました!!

   H.A.L.'s Sound Recipe / ESOTERIC F-03A-inspection system ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別¥1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2+PI8 (税別¥1,240,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別¥750,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso P1 (税別¥2,500,000.)本体 ★RELAXA 530使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
          and
TRANSPARENT OPC2+PI8 (税別¥1,240,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

★Grandioso P1+D1の接続は付属:HDMI Cable
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1083.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso D1(税別¥2,500,000.)   
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
TRANSPARENT OPC2(×2)+PI8 (税別¥1,990,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-code/power-cord-2/#cnt-power-cord
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300II MEXCEL / XLR 1.0m (税別¥580,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC F-03A (税別¥950,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f03a/index.html
     and
TRANSPARENT PLMM2X (税別¥280,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/transparent-2/
     and
finite element MR02-2+CERABASE 4P (税別¥970,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati	Seraphim/Speaker cable 3.0m/Bi-Wier(税別¥9,408,000.)
http://www.zensati.com/
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html 

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improved (1Pair ¥14,250,000.)
http://www.hiro-ac.jp/
     and
H.A.L.'s B-Board×2 (1枚/税別・配送費込み¥122,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
「特報!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedとはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1199.html
ここに紹介した下記の二枚の写真でImprovedモデルとスピーカー本体とネット
ワークボックスをセットしたのがB-Board
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150306-model-ccs_improved02.jpg
………………………………………………………………………………

何と、Grandioso C1とM1(2Pair 税別¥5,600,000.)★Bi-Ampとの比較ということに
なってしまう大胆なセッティング変更で、かなり高いハードルになってしまいました。

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

さあ、こんなアンバランスなシステム構成で95万円のインテグレーテッドアンプが
どんなオーケストラを聴かせてくれるのかと期待に胸弾ませて、定番のこの曲を
まず最初にかけてみました!! ところが…

「何だよこれ!? 純A級動作のいいところがまったくないじゃないか!!」

まとめると、この一言に尽きます。弦楽器は潤いを欠き金管楽器はギスギスとして
ぎらつき、余韻感に乏しく滑らかな要素がどこにもない。先ほどのKiso Acousticが
美し過ぎたという事ではなく、根本的に各項目の情報量不足という音質に愕然としました。

今では珍しいトーンコントロールがあるので、高域を-4dB下げて少し丸めようと
しましたが、高域成分の減衰がマイナス方向に働き我慢できるレベルではありません。

それではスタジオ録音ではどうかと早速に次の選曲へ変更。

■THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL) 
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

ダイナミックなイントロでの雄大な低域、ああっ、ピークでは歪んでしまう。
ヴォーカルの質感もざらつきがあるし高音のパーカッションも滲みがち。
4Ωで60Wの定格パワーとはこれんなものだったのか!? もういい、次の選曲だ!!

■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf
TRACK NO. 3 TWO TREES

サックスだけだったら60Wでもいけるだろうという予想は直ちに裏切られました。
質感に滑らかさと伸びがなく、右側に拡散すべき余韻感がこそげ落ちている。

ピアノのアタックはつぶれてしまうし、リヴァーヴが広がらないので空間が
つながらない。やはりピークではびりつきが発生し、いいとこ無しで愕然とする。

既に昨日からずっとバーンインしてきたので、アンプのトップパネルもホットな
状態でウォームアップが不足しているということもないだろうに…。何たることか!!

HIRO Acousticの厳密な再現性、入力信号に極めて忠実に反応するということで
絶対の信頼を置くスピーカーで馬脚を現すとは何という事だろうか!!

私はESOTERICの担当者と設計者に文句をいうメールを送ろうかと本気で考えました。
これじゃあダメです。どうしたものか悩みます。これでは使い物になりません!!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

“キソ Kiso”から“ヒロ Hiro”へというスピーカーの変更で想定外の音質と
なってしまったF-03Aをどうしたものか…。悩みつつ試聴を続けても埒が明かない。

Grandioso A1とD1、そしてG-01は24時間通電しており、更にF-03Aも24時間以上
鳴らし続けた後なのでコンポーネントのそれ以上のバーンインが必要なものかどうか。

しかし、HIRO Acousticというのは正にコンポーネントも裸にしてしまう敏感さに
驚きながらも、二時間ほど聴いてから最初の曲に戻すと印象が違う!!

初日はこの辺にしておこうということでエンハンサーCD-ROMをこのシステムで
一晩リピートさせて本日第二ラウンドの試聴をすることにしたのでした。

そして、今日も午後から時間を作り試聴室にこもり、昨日の夕方になって感じた
変化を確認すべく、先ずは同じ課題曲を聴くことに。すると…

「おー!!これですよこれ!!このほとばしるような余韻感と滑らかさこそ純A級です!!」

マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章の弦楽器の壮大なアルコの合奏による導入部。
この段階から昨日とは全く別物の音がHIRO Acousticの本来あるべき質感として
沸き上がってきたのですから驚いてしまいました!!

第一第二ヴァイオリンの26名の奏者がセンターから左寄りの空間に見事な群像として
個々の演奏者の微妙な音色の違いを提示しながら中空に定位する素晴らしさ!!

そして何よりも弦楽器の質感に潤いが感じられ、それは響きと余韻という空間を
構成する情報量が格段に向上したことに他ならない。

多数の奏者による多重構造の響きのレイヤーが克明に描かれる解像度の素晴らしさに、
昨日の失望から見事に蘇ったF-03Aへの期待感が私の耳と視覚による音像の分析を
行うべく行動を促し、眼前のHIRO Acousticが提示する中空に浮かぶ多数の楽音に
チェックマークを付け始めていた!!

弦楽器群の周辺にオーラのようにたなびく余韻が現れ始めると、それは直ちに
右奥から発せられる金管楽器の存在感にも変化を与え、昨日は滲みとギラツキが
感じられたトランペットの音色そのものに極めつけの透明感をもたらした!!

昨日は弦楽器のアルコでの質感そのものに問題があったので気が付かなかったが、
ビオラのピッチカートが控えめな楽音を発するのが鮮明に感じられ、その中間に
点在する木管楽器が息を吹き返したように活気を帯びた響きを放つ!!気持ちいい!!

にわかに熱気を帯びた演奏に一滴の清涼感を与えてくれるトライアングルの響き。
打音が発せられた直後から輝く三角形が天井の照明をキラキラと反射させて揺れる
情景が4メートル先の空間に現れた感動!!これは素晴らしい!!

第二主題の旋律を奏でる弦楽器では滑らかさが倍加しているので、まさに流れる
ようなハーモニーの階層がシステム全体の分解能の素晴らしさを力むことなく
提示する自然体のクラスAアンプの本来の魅力が安堵感と同時に私の胸を満たしていく!!

次の課題曲、THE WEEKENDも昨日とは別物と言わざるを得なかった。
短いイントロで響かせる重厚な低域はセンターから左右両翼に向けて高速で拡散
していくが、その中心となるスネアと低弦が完璧に同期した音の核として、濃厚な
打音の切れ味と長く響きを残す重量感あふれる低域が見通せる視野の中にくっきりと
立ち上がるようなシルエットの鮮明さに驚く!!

右側のハイハットにピンスポットが当たり、その高音に微細な響きを含んでいることが
確認され、一打ずつの打音がわずかに質感を変えながら空間に色を添える。

センターに定位するヴォーカルの音像には今まで見えなかった響きのフレアーに
包まれたかのように、それ自身の存在感を鮮明にするとともにリヴァーヴの発散から
消滅までの滞空時間が引き伸ばされている。透き通るような声質にはっとした!!

オーケストラでもそうだが、個々の楽音がその場で発生し姿を消してしまうという
繰り返しでは音場感が創生されない。昨日はスタジオ録音で人工的に作られた音場感
であっても、個々の楽音が発する響きの連鎖が空間を構成するようになったという
変化こそ私が期待していたものだった!!それが顕著に聴き取れたのが次の曲。

UNCOMPRESSED WORLD VOL.1 / TRACK NO. 3 TWO TREESでの左側のサックスが始まった
瞬間に、昨日は見えなかった音響空間の大きさと響きの遠近法で彼方に消えていく
楽音の消失点が見事に再現されるようになった驚ぎ!!

サックスの湿ったリードがわずかに発するジュルジュルという音と、運指にともなって
開閉するサックスのキーのカチカチという動作音が細やかなノイズとして含まれる録音。

楽器そのもののメカニズムが発する定位感のある微小な音は鮮明さが素晴らしく、
そして朝顔管(ベル)から発せられた楽音が伝わっていく広大な空間は昨日感じら
れなかったものです。響きの伝搬によって聴き手にイメージさせる空間提示は
サックスだけでなくピアノによってもクラスAアンプの本領を見せつけてきます!!

不思議なことなのだが、昨日は音量を上げていくとクリッピングレベルが私には
分かってしまい、スピーカーユニットのストロークにエラーが発生し独特の音と
して感じられるという観察があったのだが、昨日よりも音量を上げても伝送波形と
して再生音が破綻する限界点が伸びているように感じられる。まだいける!!

コンポーネントのウォームアップだけではシステム変更した際に本領発揮しないと
いうことと、スピーカーケーブルも含めて再度のバーンインのやり直しという
三日目となったESOTERIC F-03Aは固定バイアスによる純A級動作という本来の魅力を
ここで開花させ始めました!! このアンプはまだまだ可能性があると断言します!!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

“キソ Kiso”から“ヒロ Hiro”へというスピーカーの変更で想定外の音質と
なってしまったF-03Aをどうしたものか…。その謎が解けてからというものは
出社してから聴くことが楽しみになってくる。昨夜もエンハンサーCD-ROMを
リピートさせて日々の熟成を重ね、翌日に聴ける音に期待感が募る。

どんな花が咲くか分からない種をまき、土から小さな芽が出てきたことに感動し、
水やりをしながら毎朝観察すると少しずつ伸びてくる緑を愛おしく見守る心境だ。

そして、今日も先ずマーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章を聴いた。弦楽器の
美しさは昨日よりも磨きがかかり、しっとりと余韻をたなびかせ、今日はひと際
ホルンの響きが壮大な空間を提示する情報量の増加に熟成を感じる。

次の課題曲、THE WEEKENDも昨日よりボリュームを少し低めにして聴き始めたが、
低域の重量感と拡散していく領域が更に広大に裾野を広げていることに驚く!!

それはUNCOMPRESSED WORLD VOL.1 / TRACK NO. 3 TWO TREESでの音場感にも表れ、
サックスの響きが左側から右方向へと澄み渡ったディレーの反復が素晴らしい!!

豪雨で濁っていた川の流れが次第に澄み渡ってくるように、透明度の高い音場感が
日を重ねるほどに視界の広さと遥かなる遠景まで見通せるような空間の清浄化が
今日も進行していることに満足する。

確認のための課題曲で発芽した小さな緑が今日も成長しているのだと思いながら、
検証のための試聴から少し離れて心にしみる音楽はないかとディスクのライブラリーを
眺めまわすことしばし…。

HIRO Acousticが初めてやってきた時に通常CDとSACDでこれ程音質が違うのかと
驚いた記憶が蘇り、こんな時にこそ聴いてみようと思ったのがこれ。

■image(SACD)
http://www.sonymusic.co.jp/artist/image/discography/buy/SRCR-2561

大好きな2. Etupirkaを聴き、3. リベルタンゴのYOYO-MAのチェロに感動し、
聴き続けていた私は以前に聴いた印象と大分違うimageの音質をついつい分析的に
聴き始めてしまったことに気が付く。そして、今まで数え切れないくらい聞き流して
いた、この曲が始まった時に頭から背筋を伝わり胸を締め付けるような衝動があり、
思わず涙腺が緩んでしまうほどの感動をした一曲に巡り合いました!!

Rodrigo Le_o & Vox Ensemble(Rodrigo Leao & Vox Ensemble)
アヴェ・ムンディ・ルミナール
CD/ソニーレコーズ インターナショナル/SRCS-7979
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&cd=SRCS000007979

下記のサイトで聴けますが、コンピューターのスピーカーでイメージダウンされ
ませんようにご注意下さい。                               
https://www.youtube.com/watch?v=8KGocELuciI

ロドリーゴ・レアンがどのようなアーチストかはお調べ頂くことにして、私は
こんな音楽性があったのかとESOTERIC F-03Aが鳴らすHIRO Acousticで聴いて
本当に心揺さぶられ胸を締め付けられ目頭が熱くなってしまったのです。

冒頭のシーケンサーのループが繰り返す無機的なリズムの繰り返しの中に、
サンプリングの際のノイズ成分が垣間見え、それは切れ味が非常に鋭利な刃物で
みずみずしい野菜をサクッと切った時のように耳に心地よい手応えが感じられる。

合成音なのに温度感を含ませるリズムの低音部が以前の記憶より濃厚であり、
人工的な楽音が作り出す空間提示が実に心地よくチェロを迎える。これだ!!

ふくよかな響きで柔軟性のあるチェロがふっくらとセンターにたたずみ、
シンセサイザーが作り出した背景音にアコースティックな音色をなんのためらいも
なく浸透させていく美しさに思わずうっとりしてしまう。

一人ずつヴォーカルブースで区切られて録音した鮮明な女性コーラスは各々の
立ち位置をスタジオが割り当て、左右の空間にぽっかり浮かびながらミキシング
コンソールのパンポッドの角度に忠実に左右空間のいたるところに出没する。

このコーラスの施されたリヴァーヴが絶妙な広がりを見せて、その美しい旋律が
私の心を洗い清めるように胸にしみ込んでくるのだから堪らない!!

そして、はかなさと美しさをまとったヴァイオリンが入ってくると思わず自分の
頭の中にある様々な記憶が回転を始めたルーレットのように回り始め、ころがる
ボールがはまり込む一画には感性を刺激するスイッチが仕込まれていたわけです。

ハイエンドオーディオとは価格ではありません。作り手の情熱と感性を使い手が
同じ波長で受け取り共鳴することが大切なことなのです。

ESOTERIC F-03Aの価格など今日の私には関係ありませんでした。
ただただ…、自分の心を洗い清める音楽に時を忘れて聴き入ってしまったのでした。

明日も少しだけ成長した小さな緑を見て、成熟したF-03Aでどんな音楽体験を
することやら…。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ESOTERIC F-03Aの熟成を楽しみながら今日も課題曲を先ず聴いてみました。
このアンプは濃厚なスープというよりは和食のだしを連想させるテイストだな〜
とバーンインがほぼ完了した五日目は実感し始めたものです。

マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章では弦楽五部の各々のパートがほぐされて
集団の中に様々な音色を発見することが出来、すなわち食材の素材感を大切に
した料理法という事でしょうか。

THE WEEKENDのようなスタジオ録音でありながらダイナミックな切れ味と個別の
楽音の忠実さを克明に描くというのは、過度なスパイスは避けて風味を楽しむ
和の職人技と言えるでしょう。

UNCOMPRESSED WORLD VOL.1 / TRACK NO. 3 TWO TREESでのサックスとピアノが
放つ素晴らしい音場感は、食材の香りを大切に調理して複数の素材が融合する
ことで一つの調和を醸しだすようなレシピか。二つの楽音が融合したテイストは
大いなる空間を創造し雄大な余韻感が聴き手を別世界にいざなうようです。

そんな思いの私がF-03Aの発表からずっと気になっていることがありました。
40年前のアンプには当たり前のように付いていたトーンコントロールは進歩的な
解釈から今では見受けなくなった機能なのですが、今回は姉妹機のF-05にも本機
にも搭載されているという事。この真意とパフォーマンスを探ってみました。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f03a/index.html

■下記は上記リンクから抜粋
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f03a/img/photo15.jpg

3バンド(TREBLE/MIDDLE/BASS)トーンコントロール ハイエンド機としての
クオリティーにこだわり、各バンド4回路(L/R、正/ 負)のデュアルモノ・
バランス回路で構成。音質の劣化を気にすることなく音質調整ができます。

トレブルとバスは、可変帯域を通常よりも高域/ 低域(14kHz /63Hz)にシフト
することで、ソース本来の音色を大きく損なわない繊細な調整が可能。

電子制御により、最大±12dB で0.5dB ステップの精密なコントロールが可能。
ミドル帯域は、マイナス側に合わせてトーンバイパススイッチと併用し、
ラウドネスのプリセットとしても使えます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そもそもが私の経験則からトーンコントロールそのものが長年の間に不要なもの
として考えるようになったのですが、40年前のアンプにあったトーンコントロールの
大半はターンオーバー周波数がバスは250Hz、トレブルは2.5KHzまたは5.0KHzくらい
から変化が始まり、オクターブ当たりいくらの増減かということでした。

その変化量は店頭効果を意識して、ちょっとつまみを回すだけでも勢いのある低音が、
あるいはきらきらした高音になるというセールスポイントの一つとして利用されて
いたことがあり、私はそのような極端な変化をもたらす機能は音楽性そのものを
変質させるものとして推奨することはありませんでした。

しかし、上記のようにESOTERICのサイトに書かれていた高域/ 低域(14kHz /63Hz)と
いうターンオーバー周波数であれば、ハイエンドクラスのスピーカーに対して
楽音の質感を失うことなく良い意味での補足・補強が出来るのではと考えました。

私の記憶の中には、往年の名器として当時のプリメインアンプとしては驚く程
高価だったKENWOOD L-02Aが残っており、このアンプの低域補正がラウドネス
コントロールと称していますが30Hz〜100Hz連続可変で+3dB/+6dB/+9dBの調整が
行えるようになっていて、それを使った時の低域の変化が大変素晴らしかったのです。
http://audio-heritage.jp/TRIO-KENWOOD/amp/l-02a.html

ですから、今回のESOTERICのアンプ二機種において低域の63Hzという設定と、高域の
14KHzをターンオーバー周波数として調整できるのであれば大いに認められることで
あり推奨できるものと考えました。どう検証するか? それは聴くしかありません。

ポピュラーやジャズで低音楽器単独の演奏、またオーケストラでもグランカッサや
コントラバス、オルガンなどの低音楽器が活躍する場面での演奏ではトーンコントロールの
調整には向いていません。

単独の低音楽器のパートだけ注視しても、その低音が増減するだけで主観的な
好みの問題ということで説得力のある説明が出来ないからです。

そこで私は定番の課題曲であるマーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章の冒頭で
弦楽五部による合奏部分から管楽器が各パートで一通り演奏され、後方では
控えめなグランカッサが叩かれる約二分間程度を比較試聴することにしました。

昔のアンプのつまみの周囲にある目盛りというあいまいなものではなく、
ディスプレーには0.5dB単位で正確な数値が表示されます。私はバスとトレブルの
各々において0、+2dB、+4dB、+6dB、+8dB、+10dB、+12dB、逆に-2dB、-4dB、
-6dB、-8dB、-10dB、-12dB、と二分間程度の演奏を細かく変化させながら合計
24種類の比較試聴をしてみたのです。すると…

先ずはバスのみプラス方向への変化です。HIRO Acousticで私が聴くと0.5dBの変化
でも分かってしまいますが、上記のように先ずは+2dBで。この変化でも低音楽器の
音量感の増大はつぶさに分かってしまいます。この段階でF-03Aのトーンコント
ロールの回路構成と品位がいかに高いかを実感できました。

低音楽器の質感は高い鮮度で維持され、ボリューム感として次第に手前にせり出して
くるような変化が+4dBでも、そして+6dBくらいが限界で、+8dB、+10dB、+12dBでは
バランスが崩れてしまうものでした。ただ、このように増量させていく過程では
気が付かなかったことが逆の実験で分かってきたのです!!

バスを-2dB、-4dB、と絞っていくと当然予想された変化が起こってくるのですが、
あれ!?と私が疑問に思う現象が現れてきました。減少しているのは低音楽器だけ
ではなく、木管楽器の音量感も次第に小さくなっていくではありませんか!!

この変化を確認するために-6dB、-8dB、-10dB、-12dB、と更に絞り込んでいくと、
コントラバスとグランカッサだけでなく主旋律を奏でるヴァイオリンと木管楽器も
次第に暗くなり遠ざかっていきます。

ターンオーバー周波数が63Hzだったとしたら絶対こんな変化になるはずない!!

プラス方向への実験では低音楽器の変化が楽音の演奏空間と音像まで大きくして
しまうのでマスキングされてしまうのか先ほどは気が付きませんでしたが、同じ
カーブでマイナス方向への実験では低域が絞り込まれると同時にミッドレンジ
付近の周波数帯域の変化が如実に分かるようになってきたのです。

おかしい…、こんなミッドレンジの楽音までなぜ減少しているのか!?トーン
コントロールのつまみをゼロの位置に戻して聴き直すと、やはり間違いない。

それでは、今度はトレブルで0から+2dBとすると、この段階での変化の現れ方で
先ずは弦楽器の質感に悪影響がないことに安堵する。これは使えます!!

+4dBで右側にビオラが手前にせり出してくるように音量が上がり、+6dBでは第一
ヴァイオリンと同程度のボリューム感で好みによってはあり得る選択という音質、
しかし、+8dB、+10dB、+12dBでは過剰反応でバランスはやはり崩れてしまいます。

でも待てよ!!ターンオーバー周波数が14KHzとしているトレブルを上げたら
トライアングルが強調されてくるのは分かるが、なぜビオラなんだ!?

バスと同様にターンオーバー周波数を承知している上で予測される変化とは違う。
そこで私はESOTERICに問い合わせました。

「このトーンコントロールで変化する周波数特性のグラフが欲しいのですが」

古い時代のトーンコントロールのカーブは記憶に残っているのですが、ここで
試聴してみて明らかに昔経験した音質変化とは違う事に戸惑いと疑問があったのです。

待つこと数日、もしかしたら私が問い合わせしてから作成したのではと思われる
本邦初公開の資料が届きました。ESOTERICのサイトでもカタログでも、雑誌でも
紹介されていない資料を下記にご紹介します。

■ESOTERIC F-05  F-03A TONE CONTROL
http://www.dynamicaudio.jp/file/20160607-TONE_CONTROL.pdf

このグラフを見て謎が解けました!!
バスは2KHzくらいから変化が始まり、±12dBの変化量が63Hzにて設定されていました。
トレブルも同様に500Hzくらいから±12dBの変化量が14kHzにて実行されていたわけです。

はは〜、ということで多数の楽音が同時に演奏され、その全体像として調和を目指す
オーケストラの試聴において、ミッドレンジも同時に変化していたわけが分かりました!!

なるほどね〜、製品解説の文章の中で高域/ 低域(14kHz /63Hz)と表現していたのは
実はターンオーバー周波数ではなく、±12dBの増減が達成される周波数ということ
だったのです!!聴いて納得できなかったことがこれで分かりました。

さすがに私が覚えている40年前の国産アンプのトーンコントロールと同じ設定に
する必要は毛頭ないのですが、この機構を組み込んだESOTERIC開発部に問い合わせた
回答として次のコメントを頂きましたので紹介しておきます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

トーンコントロールは、各バンド4回路(L/R、正/ 負)のデュアルモノ・バランス
回路で動作させ、極力音質劣化しないように配慮しています。

また、制約の有るインテグレーテッドアンプにおいて、ユーザーが積極的に音を
コントロールして、よりセパレートアンプに近づけられるように変化する中心
周波数を一般的な周波数とは若干異なった周波数にチューニングしています。

ミドル帯域は、630Hzと中低域にシフトさせ、サウンドステージで重要な音の厚み、
エネルギー感、奥行き感の調整を可能にしています。

±12dBと大きく可変範囲を取っていますが、最大でも±3dBの範囲内でお試し頂く
ことをお勧めします。

ロー・ハイも一般的な周波数帯域より、下・上の帯域にシフトさせ、ハイエンド
スピーカーと組み合わせた際に、よりその能力を引き出せるように考慮しています。

それぞれのコントロールは、きめ細やかで、微妙な調整ができるように、0.5dB
ステップでの調整を行えるようにしています。

また調整の再現性を持たせたかったので、調整時には、その値をディスプレーに
表示する仕様にし、どこのレンジをどれだけいじったということを数値で認識
できるようにしています。

また、トーンコントロールのターンオーバー周波数ですが、エソテリックでは、
ターンオーバー周波数を表記していませんが、川又店長の解釈で相違ありません。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

高品位なトーンコントロールでインテグレーテッドアンプの可能性を高めたいと
いう設計者の思いが皆様に伝わればと思います。

そして、私は今回の多数に及ぶ比較試聴の中で最も興味深く意地悪な実験をしました。
それは、トーンコントロールのノブはどれもセンターのゼロポジションとして
聴いた音質と、バイパススイッチでトーンコントロールの回路を経由しない音質
という比較です。

変化量ゼロなのですから理論的には音質変化はあってはいけないものなのですが、
オーケストラだけでなく複数の課題曲において比較すると、「TONE BYPASS」を
オンにした方が総合的な情報量が多く感じ取れるのです!!
最高域の楽音の質感、その余韻感、音場感の違いなどでバイパスした方がいいのです!!

それは言い換えればESOTERIC Grandiosoのソースコンポーネントがいかに膨大な
情報量を再現しているかという事、HIRO Acousticというスピーカーがいかに敏感に
アンプからの信号を音波に変換しているかという事の証なのです!!

しかし、だからトーンコントロールを使うなという事ではありません。

今後、私は再度“ヒロ Hiro”から“キソ Kiso”へとスピーカーを変更して、
このトーンコントロールの使いこなしで更に素晴らしい音質を追求してみようと
思っています!!まだまだ私の好奇心による分析は続きますのでご期待下さい!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ESOTERIC F-03Aの熟成を楽しみながら今日で一週間が経ちました。
今日も最初にマーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章を聴き、バーンインの完了を
実感する素晴らしい演奏に納得し、再度“ヒロ Hiro”から“キソ Kiso”へと
スピーカーを変更して、最後の詰めとしてトーンコントロールの使いこなしを
吟味してみようと思います。

■下記は上記リンクから抜粋
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/f03a/img/photo15.jpg

■ESOTERIC F-05  F-03A TONE CONTROL今回はこのグラフがヒントになります。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20160607-TONE_CONTROL.pdf

先ず私は前回のトーンコントロールの試聴で24回以上も繰り返し比較したマーラー
交響曲第一番「巨人」第二楽章を、Kiso Acoustic HB-X1にしてトーンコントロールを
使用しないで聴き直しました。

一週間前から比べればF-03Aのバーンインが進み、HB-X1が醸し出す虹色の響きと
言うべき音色の素晴らしさに再度感激し、同じ日本製ながらHIRO Acousticとの
明確な個性の違いを確認したものでした。

そして、HB-X1の実力からすればトーンコントロールを使用しなければならないと
いうものではなく、HB-X1のみで電気的な操作を何も行わなくとも十分に魅力的で
あるという大前提からスタートしなければならないと最初に肝に銘じたものです。

そして、私はバス+3dB、トレブル+2dBという設定を行い小型スピーカーにおける
トーンコントロールの使いこなしで、見当をつけて調整した値が最初からツボに
はまり、実にオーケストラにおける臨場感に貢献し、わずか10センチ口径のウー
ファーが創出する低域に適切で自然な演出効果をもたらしたことを確認しました。

前回のトーンコントロールの比較試聴で多数を聴き分けてきた経験から、オーケストラに
おいてはバス+3dB、トレブル+2dB程度がHB-X1にとって自然さを維持したギリギリの
設定ではないかと安心したものです。

そして、前回も敏感なHIRO Acousticで感動的な演奏を聴かせてくれた↓この曲を
かけてみました。ここからが更に色々な発見をもたらしたきっかけになったのです。

■image(SACD)
http://www.sonymusic.co.jp/artist/image/discography/buy/SRCR-2561

14Track.Rodrigo Le_o & Vox Ensemble(Rodrigo Leao & Vox Ensemble)
アヴェ・ムンディ・ルミナール
CD/ソニーレコーズ インターナショナル/SRCS-7979
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&cd=SRCS000007979

上記の同じバス+3dB、トレブル+2dBとバイパスを比較した訳ですが、シーケンサーの
ループに含まれる低音のリズムがトーンコントロールをオンにするとてきめんに
効果を表し、重量感が加わってHB-X1のサイズをかき消すように低域に厚みが加わります。

この最初に気が付いた低音の変化量に関しては好感をもって聴き続けていると、
センター左寄りからのアコースティックなチェロが入ってくるのですが、ここで
私のチェッカーフラッグがピン!と立ち上がりました!!

「あれ〜、合成音のシーケンサーの低音はばっちりだけどチェロはちょっと…!?」

そうです、私が聴くとバス+3dBでチェロの質感が暗くなってしまったことが気になって
仕方ないのです。

上記のトーンコントロールの特性図で確かに63Hzで+3dBとわずかではあるのですが、
低域方向に対して左上がりのカーブが発生するという事は、チェロの倍音成分を
含むミッドレンジから高域にかけて右下がりになり、チェロの音色が相対的に
ハイ下がりの音質になってしまっているのが気になってしまうのです。

もともとHB-X1の音質は補正が必要なものではなく、よりよい演出効果として今回は
トーンコントロールを使いこなすという取り組みなのですが、ネガティブな変化が
感じられたのでは元もこうもありません。

そこで、バス+3dBを+2dBから+1dBへと変化させていくのですが、所詮は人工的な
シーケンサーの低音に関しては、どの設定でも特に不自然になることなく低音の
増量として違和感はありません。

しかし、チェロの倍音の乗り方では次第に明るい音色へと回復していくのも事実です。
さて、どうしたものか…。このような個々の楽音の質感が起こることが分かって
いたので私はトーンコントロールの実験試聴ではオーケストラを使ったのでした。

ここで感じたチェロの質感という疑問点をどのように解決していくかは、他の選曲を
聴きながら最大公約数的な調整をしていくしかありません。判断材料を増やしていく
ために同じアルバムから次の選曲で2. Etupirkaをかけてみることにしました。

それはイントロで豪勢なエレキベースとドラムが入っているので、重低音が間違いなく
録音されているという選曲でトーンコントロールの利き方を見直そうと思ったからです。

先ずはバス+3dB、トレブル+2dBという最初の設定から聴き始めましたが、上記の
グラフでお分かりのように低音楽器の数が増えてくると効果てきめんで重量感と
量感が一挙に増量され、そこだけを聴いていると小型スピーカーには打ってつけの
チューニングではないかと好ましく思ったものでした。しかし…

「主役の葉加瀬太郎が奥に引っ込んだ感じで少し陰りが出て暗くなったぞ…」

こんな印象が直感され逆に言えば低音楽器が盛り上がった分だけヴァイオリンの
存在感が低下してしまったことに気が付くのです。

そして、同時にこの曲で多数散りばめられている高音のパーカッションやシンセ
サイザーのリヴァーヴなどの高域成分が目立ち過ぎる感じなのです。
トレブル+2dBの選択も検討課題という事でしょうか。

やはりヴァイオリンの演奏がバックの伴奏に埋もれてしまうようではだめです。
バスを再度+3dBを+2dBから+1dBへと変化させていくのですが、ベースとドラムは
どのポジションでも問題はなく、電気的に作られた楽音というのは主観によって
いくらでも変化させていけるものだと再確認したものでした。

そして、葉加瀬太郎の存在感を維持するにはバス+2dBくらいが限界で、それ以上は
HB-X1であっても避けた方が良いのではと考えるようになりました。ただし!!

ただし、というのは再生音量なのですが、この試聴室という環境で私が実験的な
試聴のために設定している音量という事なので、結構パワードライブされている
大きめの音量であるという事です。人間の聴覚はご存知のようにオルソンによる
ラウドネス特性があり、小音量では低音と高音の感度が下がりますので、その点は
明記しておかなければならないでしょう。

さて、人工的・電気的なスタジオで作られた楽音とアコースティックな楽音が
共存する選曲では、どちらに焦点を合わせるべきかという事で複数の項目で
観察と分析が出来ましたが、それらを元にした調和ということで使いこなしの
基準値を検討するため、すべてアコースティックな楽音によるこの曲を使います。

YOYO-MAの3. リベルタンゴは先程もチェロの倍音の変化で引っかかったチェック
ポイントを同じ楽器て他の録音で比較するにもちょうど良いでしょう。

切れ味のいいバンドネオンと軽快なパーカッションのイントロに続いてYOYO-MAの
お馴染みのメロディーが奏でられます。バス+2dB、トレブル+2dBという設定で
試聴を開始しましたが、やはりチェロの質感には変化が感じられます。

人間の声に最も近い帯域を持つチェロでは倍音の増減に敏感に反応してきます。
それとアコースティックな高音楽器に対する華やかさは少し控えた方が良いのでは、
という感触があり、バス+1.5dB、トレブル+1.5dBという0.5dBの違いによる試聴を
何度も繰り返しました。うん、この方が自然であり適切な演出だろうな〜という
結論がやっと導き出せたようです。

そんなわずかな違いだったら気にする事でもないだろうに…、と思われるかも
しれませんが、それは実際に私が行ったチューニングを体験して頂ければお分かりに
なると思います。美味しいところを捉え、風味を損ねることはせずに微妙な調整で
スピーカーの魅力が引き立つ実際を皆様にも体験して頂ければと思います。

そして、この調整法で前の二曲も聴き直し、バランス感覚を確認しつつ、最後に
やはりオーケストラで確認をします。しかも、オルガン付きのこの選曲です。

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン」の第二楽章です。
JONGEN, J.: Symphonie Concertante / SAINT-SAENS, C.: Symphony No. 3
 (Guillou, Dallas Symphony, Mata)
http://ml.naxos.jp/album/DOR-90200

10センチ口径のウーファーでオルガンをかけるのか!? はい、そうです。
先ずはバイパスでトーンコントロールを使用しないで求める音量まで上げていきます。

このディスクの録音レベルは大変低いので、私が求める音量では能率の低いHB-X1に
対してF-03Aのボリューム表示は-8dBと過去最高の数値になりました。

しっかりとオルガンの低音部を確認し、しっとり流れるような弦楽器の美しさに
Kiso Acousticの魅力を十分に確認し、そしてバス+1.5dB、トレブル+1.5dBという
設定に切り替えて再度スタートさせると…。

「おー!!これはいい!!オルガンの低音が鮮明になり、くっきりしてきたぞ!!」

先程のチェロとは違いオルガンのパイプの音階ごとの演奏では倍音の再現性よりも
一音一音階ごとの存在感が引き立ち、ぐっと沈み込む音階でいかんなく効果を発揮
しているのが感じ取れました!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そもそもが私の経験則からトーンコントロールそのものが長年の間に不要なもの
として考えるようになったのですが、40年前のアンプにあったトーンコントロールの
大半はターンオーバー周波数がバスは250Hz、トレブルは2.5KHzまたは5.0KHzくらい
から変化が始まり、オクターブ当たりいくらの増減かということでした。

その変化量は店頭効果を意識して、ちょっとつまみを回すだけでも勢いのある低音が、
あるいはきらきらした高音になるというセールスポイントの一つとして利用されて
いたことがあり、私はそのような極端な変化をもたらす機能は音楽性そのものを
変質させるものとして推奨することはありませんでした。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このように前述していましたが、ここに至ってESOTERICが63Hzと14KHzにおいて
なぜ±12dBの変化量を持たせたかという真意が分かってきました。

昔のように250Hzでターンオーバー周波数を設定していたら、今回実験したように
チェロの再生帯域の範囲内でトーンコントロールが聴き始めてしまい、ひとつの
楽器の再生帯域の半ばで周波数特性が変化し始めてしまう事になり、倍音の変化を
緩やかなカーブとして軽減できないので楽音の質感を大きく損ねてしまうでしょう。

上記のトーンコントロール特性図で分かるように中音域から緩やかに増減させる
ことで、倍音成分と基音の関連性を崩すことがないようにという配慮があると
実感されたものでした。これはバスだけでなくトレブル側でも同様なことが言える
わけであり、短いスパンで周波数特性を変化させることの弊害を回避するという
巧妙な設計であるという事なのです!!

ただし、繰り返しますが私の実験試聴は私の求めた音量で行っているものであり、
一般家庭での再生音量であれば、私が設定したバス+1.5dB、トレブル+1.5dBという
数値よりも変化量を大きくしても問題はありません。
ぜひF-03Aのトーンコントロールを有効活用して頂ければと思います!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

現在ここにあるESOTERIC F-03Aのシリアルナンバーは「10018」と初期ロットの
製品であり、期間限定の展示という事になっています。しかし、私は一週間に渡る
試聴で、このアンプはH.A.L.グレードとして間違いないという確証を得ました。

ハルズサークル会員限定のMonthly Return Sale、またハルズモニターなどの
各種企画で取り上げて、ぜひ皆様に推薦していきたいと思います。
そのためには、ぜひハルズサークルにご入会を!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.co.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!


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