発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


No.263 小編『音の細道』特別寄稿 *第22弾* 
     「私が認定するもののレベルとは!?
      このアンプは光明をもたらす存在だ!!」

1.驚愕の比較試聴

ここには最先端をいく情報が日々色々な形で持ち込まれてくる。今回私が
試聴したアンプもそのひとつなのだが、わけあってここではモデル名を
あえて明かさないことにしておく。

ヒントとしては横幅はわずか25センチ高さは約22センチ、重量は34キロ、
そして価格は二台で150万円というモノラル・パワーアンプということは
お話しできる。そして、昨日からこの試聴室に設置されたのは、この外見
がまったく同じでチューニングが違う同じ型式の2セットのアンプを私が
慎重に比較試聴したことから大いなる発見があったという報告である。

今後の解説のために、この見かけがまったく同じ二つのアンプをチューニ
ングの新旧を語るということで、以前からのチューニングによるアンプを
“アンプA”今回の新しいチューニングがなされたものを“アンプB”とし
て述べていくことにする。

     -*-*-*-*-今回のリファレンスシステム-*-*-*-*-

ESOTERIC G-0s(AC DOMINUS) →ESOTERIC X-01(Moebius“10000952”)
→PAD BALANCE DOMINUS 1.0m→ Brumester Pre-Amp 808 MK5(AC DOMINUS)
→PAD BALANCE DOMINUS 7.0m→“アンプA”or “アンプB”(AC DOMINUS×2)
→PAD BI-WIRE DOMINUS 3.0m→B&W Signature 800 With BRASS SHELL

このシステムで再現されたDOMINUSを軽く上回るMoebiusのパフォーマンス
は聴く人を唸らせている。これについてはハルズサークル会員のみのイベ
ントを企画しているので続報にご期待頂きたい。

さて、パワーアンプの厳密なる比較試聴ということで、昨晩システム
エンハンサーを2セット同時に徹夜で回し、十分にウォームアップさせ
てから本日の試聴に望んだ。


2.こだわりのセッティングと電源の選択

最初は気軽に聴き始めようと複数の要素が同時に観察できる、ご存知の
アルバムで下記の「Muse」から1.ハバネラである。
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

フィリッパ・ジョルダーノのオーバーダビングによる左右に広がるハー
モニー豊かなイントロのコーラス、これを聴き始めたときにまず疑問が
湧き起こる…!? こんなはずはない!!

これだ!!原因は…。昨晩徹夜のバーンインをかけるためにプリアンプ
の出力をパラにして同時に2セットのパワーアンプに配っていたのだが、
途中まではDOMINUSだが先の分岐点からは違うケーブルであった。
まず、これを外してプラズマDOMINUSでプリとパワー間を直結した。

DOMINUSをリファレンスとしている私は第一声を聴いて直ちに情報量が
不足していることに気が付き、配線をやり直すとエコー感がいつもの
ように戻り空間も拡大した。

「うん、これでよし…」

この時点では私は“アンプA”を支持する心境が強かったのだが、ふと
電源の環境が左右で違うことを発見する。これも夕べバーンインする
ために左にAccoustic Arts、右にCardasのパワーストリップ(偶然にも
商品名は同じ)を使用し、そこからAC DOMINUSを両アンプまでつないで
いたものだった。両者共に単独では優秀なタップなのだが、2セットを
同時につないでの厳密な試聴ではどうか? そこで使用しないアンプの
電源を抜き取って再度試してみると…。

「ありゃ〜、わずかだが空間表現が変わるね〜、やり直しだ」

ということで、比較試聴の際にはタップに一台だけをつなぐように
して再度聴いてみた。しかし、まだ先がありそうだぞ!?
という、疑り深い私は考えた。これほど敏感に反応するのは良いことだ。
しかし、左右両者のタップともに電流容量としては十分なはずだから…?
と、試しにAccoustic Artsのパワーストリップ一つに左右二台のアンプ
をまとめて接続し、電源の取り方をまったく同じ環境にしたところ…!?

「ビンゴ!! ピンポーン!! 大正解だ!!」

電源の環境が違うからといって、極端に低域や高域に量的な変化が
起きるものではなく、もっとデリケートな変化なのだがモノラル
アンプとしては致命的である相違点が観察された。

左右のアンプをまったく同じ電源環境で使用した方がフォーカスが
鮮やかになり音像もしっかりし更に音場感が拡大するのである。左右に
別の電源コンセントを用意して、各々が別のブレーカーからの別系統で
あれば電流容量としてはゆとりがあるだろう…、とばかり思っていたが、
その場合には左右両方共にまったく同じコンディションであることが
優先するようである。厳密な試聴をという事前のセッティングで更に
新しい発見と学習があり、いよいよこれで双子アンプの比較試聴に
進むことが出来るようになった。


3.一卵性双生児の性格

さて、それでは音場感とフォーカス感が同時に検証できる重宝な選曲
ということで、前回も使用した押尾コータロー『STARTING POINT』の
6.Merry Christmas Mr.Lawrenceをかけてみて、その都度電源ごと
“アンプA”と“アンプB”でケーブルを差し替えて試聴することにした。
このセッティングをより短時間で行うことと、当人の学習のためにも
若手の上遠野に片チャンネルをまかせ二人がかりで何回も配線をやり
直す地道な作業が始まった。。
http://www.toshiba-emi.co.jp/oshio/

まず、“アンプA”で同じ曲を数回リピートする。BRASS SHELLを装着
したSignature 800は、この曲のギターの弦の一本ずつが放つ瞬間的な
立ち上がりと余韻感のみずみずしさをすこぶるつきの美しさで再現し、
いままで聴きなれてきた“アンプA”での演奏に何の不満も生まれて
こない。しかし、次に切替える前に基準となる各々のポイントを記憶
に刻み、それでは…とブランクの時間を惜しんで二人で配線を切替える。
外観はまったく同じ“アンプB”に切替えた瞬間に何が起こったか!?

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

深いエコーに飾られたアルペジオは押尾の指の動きと、その後に発生
するガットの振幅を空間というキャンバスにエアーブラシで描いた
精密画のように、Signature 800の周辺の空気に色彩感を与えていく。
ガットの一本をピッチカートした瞬間にまず明るさが違う。これを
言い換えればガットの緊張から開放という瞬間的な立ち上がりの時間
軸が相当に圧縮されていると言ってもいいだろう。

圧巻なのは、その次の時間軸で再現された余韻感の長さと、それが拡
散する空間の大きさが圧倒的に“アンプB”の方が広いのである。
そして、大切なことは“アンプB”が描くキャンバスが大きくなった
ということは、そこに描かれる楽音の音源として定位する点、または
定位した音像の大きさというものが同じサイズであった場合でも
楽音と楽音のセパレーションが大変改善されて認識できるということ
なのである。楽音の点が同じ大きさ、しかしその距離感は描く音場感
のスケールで広がっているということだ。

ここで強調したいことは大きくなった空間表現に対して、そこがぽっか
りと無音状態になってしまったのでは評価に値しないということだ。
その音源の周辺に湧き上がるグラデーション豊かなエコー感が、完全な
無音状態の一歩手前に当たる微量の余韻を残していて、その消滅寸前の
わずかな音色の残滓を聴かせてくれなければならない。

つまり、静寂感を印象付けるということは、その一歩手前の状態、残響
の残り1%という微細なエネルギーをきちんと提示してくれなければなら
ないのだ。それが何と“アンプB”は見事に実現しているではないか!!
これは凄い!! 見かけは同じなのに…!?

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このアルバムの中でも、この曲はゆったりとしたシングルトーンが
力強いアルペジオから繰り出されて、システム全体の余韻の保存性
を的確に表現してくれる曲だ。その指使いが低音弦をきっちりと弾く
瞬間から開放されたエコー感への連続が爽快なのだが、“アンプB”
に変えてからはカメラがズームインしたように描写力が向上している
のがつぶさに観察できる。

そして、押尾がギターのボディーを叩いてリズムをとる打音の余韻
までが、その打撃の瞬間を鮮明にして上で更に空間に広がっていく。
打音ばかりを強調するアンプやスピーカーも時折見受けられるが、
このように緻密な余韻感を芳醇に含ませるというチューニングが
あったというのは驚きである。“アンプB”は凄い!!


4.一卵性双生児の筋力

中高域の情報量という着目点で多大な違いを見せ付けた“アンプB”
だが、私は2.4オームまでインピーダンスが落ち込むSignature 800の
ウーファーをどのように鳴らし分けるのか、これにも重要なポイント
があるので、次に12.HARD RAIN に選曲を変えて再度“アンプA”で
基準となる演奏を耳になじませていく。録音のテクニックとプロデュ
ーサーの感性、そして押尾のテクニックという三拍子がそろった豪快
であり緻密な表現力が求められる曲である。先ほどの体験から、もう
この段階で“アンプA”の能力を私は見切っていた!!

さあ、何回目かわからなくなるほどの配線のしなおしだ。
“アンプB”でHARD RAIN がスタートした!?

「おお〜、これは決定的だ!! 」

私はフィリッパ・ジョルダーノで比較した最初の印象では、“アンプA”
の方がゆったりとして深々とした低域の伸びを感じて“アンプA”の方
を評価したのだが、更に分析を続けていくうちにそれは豊かで伸びの
ある低域というよりは制動感をあまくした低域であることに気が付き
始めたのである。

HARD RAINでは連続するギターの低弦の響きがいくつものレイヤーと
なって重なり合い、その重厚な響きが肉厚感となってスピーカーの
ウーファーにかなり厳しい要求をしているものだ。これをNautilus
で比較試聴したときの記憶が基準となって“アンプB”での演奏に
私の記憶がメスを入れていく!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ギター一本にしては信じられないような分厚い低音は、一旦弾かれた
弦の唸りが終息しないうちに次のカットが重なり、ギターのオーケス
トラと例えたくなるような多彩な色彩感を提示していく。

これが“アンプB”ではギターの色彩感に更に色の濃淡という情報を
加え、そのグラデーションの階調に従って音の立ち上がりから消滅まで
を上手に振り分けていくのである。解像度の向上と言ってしまえば簡単
なのだが、あまりにも重厚な連続音の反復で思わず単語を並べてしまう。

その重厚な低域が連なる中で、時折シングルトーンがピーンと引き立ち
ウーファーとミッドレンジの連係の上手さを印象付ける。私が推測する
に、ギターのボディーの中にピックアップを仕込んでおき、その胴鳴り
の響きをミックスしているのではと思う。そして、ここでも押尾は
ボディーを叩いて要所でリズムを取るのだが、この打音のインパクトの
鮮やかさは明らかに“アンプB”が上回っている。これは凄い!!

見かけは同じでありながら、その中に隠された筋力はまったくレベル
の相違を見せるのである。この他にも常用するテストディスクを繰り
返し試してみたが、一本のギターで感じられた観察ポイントは他の
楽音にピッタリと符合する変化のベクトルを示してくれた!!

ここで結論!!

「一卵性双生児は別物のアンプとして理解すべし!!」

謎の存在“アンプB”は一体何者か!?


            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、想像以上のチューニング・テクニックによって私の眼前に突如
として飛び出してきた“アンプB”とは何か? そして、私の試聴時間に
比例して推薦できる自信が大きくなるという今日の発見を私はどのよ
うにセールス・プロモーションに反映するのか? 本当に皆様が使用さ
れているパワーアンプに挑戦状をお送りしても自信がもてるほどの
興奮と確信の体験でした。続報にご期待あれ!!

謎の存在“アンプB”の正体はハルズサークル会員にのみメールマガジンで
公開されます。試聴することで情報量が増える専門店の真髄はメール会員
に日々送信されています。どうぞ、この機会にご入会下さい。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
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