発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2016年5月10日 No.1298
 Hi-End Audio Room Design / Produced by H.A.L.-Vol.3

2015年12月16日 No.1271 ご記憶下さい!! Hi-End Audio Room Design / Produced by H.A.L. http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1271.html この段階ではパースだけでしたが、その後計画通り完成し近日中に実際の仕上がりを ご報告する予定です。どうぞご期待下さい。 2015年12月20日 No.1273 Hi-End Audio Room Design / Produced by H.A.L.-Vol.2 こちらでは都内の高級マンションにおける事例をご紹介しました。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1273.html そして、次なる事例は東京ではなく京都市、しかも今回のオーディオルームに至る 物語は2010年12月に初めて当フロアーに来店されたことから始まったものでした。 それまではSonusfaberのCremonaとSTRADIVARI Homageの両方を所有され愛用して 来られた京都市在住のS様が私に求められた条件とは高レベルのものでした。 以前からの好みで聴いてきたSonusfaberのテイストそのままに一生涯使い続ける ことができるスピーカーとは何か? という命題の答えを求めて初めて来店されたのでした。そして、その当時に大きな 話題となり私も下記の随筆で取り上げたThe Sonusfaberとの巡り合いです。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto58.html http://www.noahcorporation.com/sonusfaber/SONUSFABER.html 当時、The Sonusfaberに私が組み合わせていたのはsoulution 700、721、745の フルシステムでした。しかし、S様はコンポーネントの選択に当たり同クラスで アメリカ製の某社アンプと比較試聴されたいとのご希望があり、2011年の仕事 はじめとして1月4日に該当の輸入商社に試聴機材の手配を行ったものです。 そして、二社の大型アンプを用意して、いよいよ選択のための試聴で1月19日に 再度のご来店を頂き6時間近い試聴と私の解説の結果でsoulutionシステムに決定。 この時点で2〜3年後にご自宅の新築を予定し、そこにオーディオルームを新規設計し The Sonusfaberを本格的に鳴らしていくという構想だが、現状の自宅リビングルームに セットしてあるSTRADIVARI Homageを新居完成までお預かりし、その場所にThe Sonusfaberを 仮にセッティングして使用開始しエージングを重ねていきたいとのご意向でした。 そこで、2月13日に私が京都市のご自宅にうかがい、搬入のための下見とS様と 奥様からも多数の質問を頂き、それらすべてに回答とご説明をさせて頂きました。 それから奥様とも相談され2月20日に再度ご来店頂き5時間に渡る試聴を繰り返し、 アンプとプレーヤーの選択にも間違いなしという確認と、新居が完成した際には 私がうかがってオーディオシステムの移設とセッティングをさせて頂く事を条件に 2月23日に正式契という運びになり、3月19日に納品実行という事になりました。 そして、あの運命の3月11日、東日本大震災が起こりました。当時はスピーカーや アンプも既に輸入され倉庫保管されていました。S様も心配されて何度もお電話を 頂きましたが幸いにも無事であり、余震が続く状況でしたが予定通り納品させて頂きました。 超大型スピーカーであるThe Sonusfaberにとっては正に仮住まいということになる 当時のリビングルームはスピーカー設置壁面の巾は4.6m、スピーカーとの距離感は 約3m前後という空間でしたが、以前のスピーカーと比較しても大変喜んで頂き、 頂戴したメールで次のように述べられていました。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- S様より メールありがとうございました。 また、先日は、わざわざ京都までお越し頂き誠にありがとうございました。 無事に設置も終わり、私も大変楽しい夜を過ごさせて頂きました。 その後、ご推察の通り、家内と聴きまくりました。 家内は、今まで何度オーディオをバージョンアップしても、いつも最後に一言、 「わたしには、ワカラン・・・」としか言いませんでした。 しかし、今回は本当に驚いたことに、音が格段に良くなったことに驚いてくれ、 次から次へと家内の愛聴盤を取り出し、古今の種々の音楽を聴きはじめました。 初めて、「これは買って良かったね」と評価してくれました。生まれて初めての経験でした。 これは何なのかということですが、私の感じとしては、今までは例えば二次元の世界で バージョンアップしていたのが、突然、三次元の世界に突入した、みたいなことが 起きたため、音に無頓着だったはずの家内にも何か、変化、みたいなものが起きたの かも知れません。ザ・ソナス+ソウリューションの魅力を一言で言えば、「オーディオ に興味のない人も感激できる組み合わせ!」といったところでしょうか。 クラシックから、ポピュラーまで種々のジャンルを聴いておりますが、どのジャンル でもよく鳴らしてくれております。私は元々小編成のものをサロン的な雰囲気で聴く ことが好きなので、小さな部屋でも大丈夫なのかも知れません。 例えば、バイオリンの無伴奏などは、私は大好きなのですが、十分に音楽的に鳴らし きることは非常に困難であると思っていましたが、今回の組み合わせでは、極めて きれいに朗朗とした演奏を聴くことができます。弦の種々の表情も極めてきれいに表出できます。 川又より はい、おっしゃる通りかと思います。 The Sonusfaberの音場感まで配慮したスピーカー設計の素晴らしさは経験のない 皆様にも理解できるものと思います。 けっして大音量でもなく、楚々とした清々しいテイストが魅力でもあります。 その辺はSoulutionの魅力が発揮されているところであり、こちらで比較試聴して 頂いた実績が音になっているものでしょう。本当に何よりでございました。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- そして、翌年からは新築に向けてS様は建築デザイナーも決定され、その方を通じて オーディオルームに関してはホール設計で著名なN音響設計に依頼されたという事を うかがったものでした。そこに私が提案したのがAcoustic Grove Systemを開発した 日本音響エンジニアリング株式会社(当時は日東紡音響エンジニアリング)でした。 2013年夏、S様のご自宅にANKHをお持ちして実験試聴が行われ、AGSを採用した オーディオルーム設計という方向性が見えてきたのです。実は、この時に私も知る 事になったのはN音響設計と日本音響エンジニアリングは以前より仕事仲間であり、 両社の提携によって多数の設備を作ってきた実績が既にあったという事でした。 S様の新居は壮大な規模と設計によるもので、施工会社と総工費の問題で紆余曲折の 色々なドラマがありましたが、グランドデザインとしてオーディオルームの概形に 関わる設計をN音響設計が行い、日本音響エンジニアリングが建築用詳細図を制作し、 ANKHの設置場所と台数とサイズ、電源関係や配線ピットの方針、スピーカー設置場所と リスニングポジションの関係、スピーカー中央に薄型テレビの設置とオーディオ システムとの連携、などなど日本音響エンジニアリングから提示された図面を各段階で 私がチェックし項目ごとに指摘し、中身を作っていく過程に携わってきました。 その後二年間に及ぶ設計と検討の繰り返しから着工までと長い道のりとなりました。 そのスタートで描かれた記念すべき2014年当時の初期デザインパースがこれです!! ■S邸初期パース http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-01.jpg 先ずはAcoustic Grove Systemにおける特注仕様から解説します。 使用した特注ANKHの配置を下記の基本平面図に赤い網掛で表示しました。リア スピーカーを搭載するThe Sonusfaberなのでスピーカー後方の壁面とフロントでの 一次反射の発生点を考慮して左右スピーカーの両翼にも配置。 ■S邸基本平面図・断面図 http://www.dynamicaudio.jp/file/20160423-01.pdf この左右10台のANKHは通常市販品では奥行き23cmですが、拡散効果を低域まで拡大 させることを目的に奥行き30cmとし、通常品の幅60cmに対して使用箇所でサイズを 85cmから95cmと違うもので構成しました。 そして、注目すべきはスピーカー後方のANKHのコーナー部の後ろに青い網掛の 空間を作り、そこに吸音材を充填することで低域の吸音スペースを設定した事です。 更に、このスペースに日本音響エンジニアリングの得意とする音響トラップと 呼ばれる複合吸音体を仕込んであり、余分な低周波を除去する効果を持たせています。 以上の仕上がりを次の二枚の写真でご覧頂くことが出来ます。 (写真1) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a04.jpg (写真2) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a05.jpg 同時に断面図(1)にてリスナー後方の壁面上部にも特注サイズのANKHを7台採用し、 スピーカー正面に平面の反射面が出来ないよう配慮しています。また、S様は 高性能なCDプレーヤーでディスク再生のみを楽しまれるということから、LPも 収納可能な相当量のストックが可能な収納壁面を設定しました。 (写真3) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a06.jpg 次に特注仕様というのはサイズだけでなく仕上げも通常品とは異なります。 建築デザイナーのこだわりからオーディオルームの内装では材料としてマコレ Makoreという木材を指定されていました。 http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/65.htm マコレの素地としての色合いは上記リンクの茶系に近いものですが、主役である スピーカーThe Sonusfaberの色合いに合う雰囲気を出したいという事からANKHにも 赤褐色系の着色塗装を施しています。ただし、音質的な判断からANKHの材質に 関してはタモ集成材を使用していることは変わりありません。 また、プリアンプとパワーアンプをつなぐインターコネクトケーブルは実測で 12mと大変長いものとなり、それを収容するために巾木の部分に配線ピットを 設定しました。 (写真4) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a01.jpg (写真5) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a03.jpg (写真4)はパワーアンプへの接続のためのケーブルの引き出しで、(写真5)が オーディオラックに収納したプリアンプへの引き出し部です。小さな取っ手や ケーブル引き出し部の切り込みに指を入れて取り外すことができ、内部には10cm 四方の空間を設け太いケーブルでも通線が可能としました。ちなみに上記写真での ケーブルはテスト用のもので、後日の実験試聴によって正式なインターコネクト ケーブルが決定されることになります。 (写真6) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-a02.jpg これは(写真4)でテレビ用スペースの上に開けられた通線孔で、テレビの音声用 光デジタルケーブルをCDプレーヤーのデジタル入力に配線するために用意しました。 上記の配線ピットの経路として太いケーブルを右側のコーナー部で急に曲げなく ても良いように実際のピットはコーナー部分では湾曲させた形で仕上げられています。 基本図にはありませんが、この部屋は躯体壁中心にて約9m×7mの空間です。 壁コンセントはすべて当社よりオーディオグレードの製品を納入し取り付けています。 さて、オーディオルームというと皆様もやはり床の作りが気になることと思いますが、 複数の素材での浮き床構造となっています。 厚さが25mmと薄い防振材を下地にして、その上のコンクリートの厚さを大きく重く できることで145mmもの厚みになる二重構造の床となっています。フローリングに 関してはデザイナーのこだわりで厚さは14mmのジャトバ3層フローリングを使用。 http://69-flooring.com/flooring/cezanne/jatoba/ 浮き床の厚さは防振ゴムを含めて仕上げまで200mmとなっています。このように 建物の基礎からフローティングさせた床の構造になっていますが、同様に壁面にも 遮音層が設けられています。 スピーカー設置の前方で25mm、後方で22mmという厚みを持たせ吸音材を充填し 遮音層として、コンクリートの躯体壁面の内側にもう一つの壁を作り、部屋の中に 更にもう一つの部屋を作るという原理なのです。 さて、このように床と壁に関しては建物の構造的な基礎には接しないようにして いるわけですが、天井はどうするかというと目に見える部分は裏側に吸音材を 貼り付けたパネルを下記のような「吊り型防振ゴム」によって吊り天井として、 やはり機械的にアイソレーションさせているのです。 http://www.swcc.co.jp/dt/products/vibration_noise/damp/vprt_hanging.html ただし、この天井の構造は前述のN音響設計の指示によるものであり、S様の意向に 沿った選択であると考えられます。それは、この部屋の残響時間特性に根ざした もので、一般的なオーディオルームの残響時間を意識しデッドにし過ぎず、楽器の 生演奏にも耐えうる響きの要素を出したいという設計方針でした。 このオーディオルームに関して吸音層は前面コーナー部以外に設けておりません。 吸音部を設けない代わりに壁と天井の形状を斜めにする事により、フラッタリングを 解消しており、音響トラップは前面コーナー部の低域吸音スペースのみに入っています。 このS様のオーディオルームと比較すると当フロアーの残響時間は短いもので、 私としては純粋にオーディオ装置の判定に目的を特化したものです。 以前に当フロアーでスピーカーを設置する床に関して、波型鉄板スラブの上に 約8.7トンのコンクリートを流し込んで補強したと述べたことがありましたが、 このS様の部屋では約21トンのコンクリートが基礎の上に使用されています。 この巨大な質量を持つ床に重量300キロのThe Sonusfaberを設置することに何ら 不安もなく、かえって低域の強力なグリップ感を作り出してくれそうな期待感を 持ちつつ、いよいよ2015年10月6日に待望の移転と新居でのセッティングとなりました。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 当日は午前中から旧自宅での搬出作業を行いましたが、これが大変な作業でした。 昼前に終わるかと思いきや、搬出がやっと終わったのは午後一時過ぎの事です。 そのまま新居に移動して今度は搬入作業。道路面から1メートルくらい高さのある 玄関までのアプローチも養生して提携しているピアノ運送が手際よく作業しますが、 新規にご注文頂いたオーディオラックを搬入して配線まで仕上げ、同時に長らく お預かりしていたSTRADIVARI Homageを別室のリビングルームにGOLDMUNDのアンプで セッティングするのも同時進行で行いました。 やっとThe Sonusfaberから音が出たのは日が落ちて暗くなってからの事です。 念願のオーディオルームが出来てスピーカーのグレードにふさわしい環境が整い、 そこで鳴らし始めるThe Sonusfaberの各種セッティングは私の仕事です。 先ずはリスニングポイントを左右スピーカーの間隔によって出来るトライアングルから 適切な位置に決定し、そこに座ってスピーカーの配置を前後左右に音を出しながら 移動させて調整しました。 いかんせん300キロもあるスピーカーなので、搬入が終わったピアノ運送の担当者に 動かしてもらいながら新しい環境での変化を読み取り、課題曲を聴きながら何度も 配置を検討し、ここぞという納得できるポジションが見つかりました。 さて、次はこのThe Sonusfaberの特徴であるリアスピーカーとサブウーファーの バランス調整も行わなくてはなりません。 詳細は下記の第四部で述べていますので良かったらご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto-no-hosomichi_no58.pdf 「SOUND FIELD SHAPER」の調整は本体後方に配置された下記リンクで示す 「Sound scape control」にて行います。 http://www.dynamicaudio.jp/file/101112/p11.pdf それは「SOUNDSTAGE DEPTH」「SOUNDSTAGE AZIMUTH」「DEEP LOW LEVEL」の三種類の 調整項目からなっていて、「SOUNDSTAGE DEPTH」は OFF から LEVEL1〜4 までの 五段階でリアスピーカーの出力音圧レベルを調整。 「DEEP LOW LEVEL」は MIN MED MAX の三段階においてサブウーファーの音圧レベル の調整というものです。 ここで重要なのは、スタジオ録音では低域の量感は曲によって大きく異なり、 個人の好みによって増減させれば良いものですが、私はオーケストラによって 低音楽器の量感と質感がバランスするようにと試聴曲を絞り込みました。 先ずサブウーファーの音圧レベルですが、当フロアーでもS様の旧自宅でもMAXに しておいて何も違和感や問題もなく、心地よいバランスの低域を重視していました。 そして、「SOUNDSTAGE DEPTH」のリアスピーカーの音量調整に関しても同様に S様の旧自宅では最大のLEVEL4にしていたものでした。逆に言えば旧自宅では それらの調整ノブを思い切って回しても耳に感じる変化量は少なかったという事 かもしれません。 ところが、完成したオーディオルームでは大変敏感に反応するのです。これらは オーディオ製品の試験的な鳴らし方を目指した私のフロアーとは違い、S様の 希望されたオーディオシステムと生演奏を両立したいというポイントが基本設計と して生かされているものと解釈されました。 オーケストラが求める広大な音場感の中でも、弦楽五部の一員であるコントラバスの 音量感がデフォルメされてはいけないという発想が聴き続けるうちに強くなり、 私は「DEEP LOW LEVEL」は最小のMINにしました。 更に、オーケストラの管楽器の音像がピンポイントで再現されるように、余分な 響きがスピーカー後方からリターンしないように「SOUNDSTAGE DEPTH」も最小の LEVEL1としました。 日本音響エンジニアリングが開発したAGSによって響きは豊かでありながら、 楽音の一つずつが鮮明かつ変調されずに実に自然な消滅の仕方をしてくれます。 だぶついた響きは聴き手にとって違和感をもたらしますが、整然とした余韻感が 後味すっきりと舌で感じる美味に例えられるように美しく消えていく快感があります。 私は誇張感なく適切な残響時間がS様の求めた感性に呼応していることを確認し、 以前とはまったく逆の方向性によるチューニングを当初に行いましたが、それが 後述するインターコネクトケーブルの比較、電源ケーブルのパフォーマンスの確認と いう場面においても正しい判断であったと実感することになったのでした。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、スピーカー設置場所の天井にロールスクリーンが仕込まれていますが、 これはホームシアター用のスクリーンではありません。次にご説明しましょう。 完成なったS様のオーディオルームにオーディオシステムをセッティングした風景を 先ずは日本音響エンジニアリング撮影の写真にてご紹介しましょう。 (写真7) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-SDIM2520.jpg (写真8) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-SDIM2507.jpg この写真7と8をご覧下さい。大型テレビのガラス面は全面反射となりますので、 音楽を集中して聴く時には写真8のようにロールスクリーンを降ろし、テレビを 見るときにはモータードライブで巻き上げるようにしたのです。 この両者の違いは確かに音質に表れており、薄いロールスクリーン一枚でも ガラス面からの反射を上手に減衰させてくれます。また、S様のご趣味として 掛け軸を下げて鑑賞したいという希望もあり、スクリーンの前面に名作の掛け軸を 下げて眺められるという目的もありました。 (写真9) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-SDIM2512.jpg (写真10) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-SDIM2514.jpg 反対方向からの景観は写真9のようになります。配線ピットが重要な役目を果たし きれいにケーブルもセッティング出来ました。実は、この続きがあるのです。 (写真11) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-SDIM2518.jpg リスナー後方の壁面には早速多数のソフトが入っていますが、右側のサッシには このようにカーテンで響きの調整と採光も出来るようにしてあります。 天井の折り返し立ち上がり部分に間接照明を仕込んであります。そして…             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- S様より 川又さん 先日は遠路お越し頂き、パーフェクトなセッティング、誠にありがとうございました。 名古屋の学会に行っていたので、お返事が遅くなりました。 その後、家内がホィットニーヒューストンの歌を聴いた時、生まれて初めて音楽を 聴いて涙が出たと言ってました。そこで歌っているような錯覚に陥ったそうです。 確かに、現状では今までよりもケーブルの一つがまだ仮のものなので、以前よりも 音が悪くなっても仕方ないのかも知れませんが、私の感じでも、引っ越し前よりも、 臨場感、弱音のきれいさなどなど、明らかに良くなっています。 これは、やはり、N音響設計や、日本音響の柱状拡散体を用いた部屋の設計が 良かったということなのでしょう。 ですので、28日に皆で試聴して、残りのケーブルをグレードアップするので、 さらに音が良くなくことが期待されます。 取りいそぎ、御礼までにて失礼致します。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 2015年は京都への出張が度重なりましたが、上記でS様が10月28日とおっしゃって いるのは前述のプリアンプとパワーアンプ間のケーブルを関係者一同が集まって 比較試聴を行い、最終的な音質のツメとして決定しようという事になったからです。 私は入念に数社のケーブルを選択し次のようにS様にご報告しました。 S様 いつもお世話になります。 来週28日は私も楽しみにしておりますので何卒よろしくお願い致します。 さて、当日のケーブルの試聴に関して私なりに進行を考えておりますが、 S様のご期待に添えるように司会進行させて頂ければと事前にご相談申し上げます。 目下のところ5ブランド10製品を選出致しまして、26日に当店よりS様のご自宅宛に 一箱にまとめてヤマト宅急便にて発送致しますので、お受け取りの程何卒よろしくお願い致します。 また、翌日で結構ですので当社への返送を何卒よろしくお願い致します。 各ブランドにてトップモデルと、低価格のものと二種類を用意致しました。 先ずはS様のお好みのブランドを各社のトップモデルにて選択して頂こうと考えております。 さて、進行に関しては私が次の音楽ジャンルからふさわしいものを選択し、一曲につき5回の 試聴をして頂こうと考えているのですが、そうしますと曲数によって大分時間がかかりますので 皆様がお疲れになってしまうのではと危惧するところです。 1.ピアノソロ  4分程度→20分程度 2.ヴァイオリンソロ 5分程度→25分程度 3.男性ヴォーカルPOPS 4分程度→20分程度 4.オーケストラ  7分程度→35分程度 合計100分程度の比較試聴となりますが、同じ曲を5回繰り返して聴くというのは 皆様にとって苦痛にはならないかと(私の仕事ではもっと多くの回数を聴きますが) 心配なところです。 皆様が余興的に楽しみながらケーブルの違いなどを聞いて頂けるということでしたら、 私としては更に二曲位(女性ヴォーカルとオペラ)を追加したい所ではありますが、 あまり長時間になってもいけないかと、先ずはS様のお考えをうかがえればと思います。 各ケーブルの試聴採点表を私が作成してお持ちしますが、それに皆様の独断と偏見で採点を 記入して頂きまして集計させて頂き、合計得点をS様に提出させて頂くという流れです。 その後に種明かしでS様に各ケーブルのお見積書にて価格をご覧頂きますが、 そのお値段に関してご納得がいかない場合には選択されたブランドの下位モデルを 試聴して頂き、価格の高低に関してのご判断を頂ければと考えております。 S様のご希望に合わせて採点表を作りましてお持ちする予定でおりますので、 ご返事をお待ちしております。何卒よろしくお願い致します。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 実は、S様は事前に当フロアーで何度も試聴しているものの、このフロアーで 使用されている各種ケーブルがあまりにも高価なので、関係者一同の投票によって 最も低価格のケーブルが選択されれば私の鼻を明かせるだろうという期待感が あったのでした。 また、同時に私としても新居が完成間近になってS様よりケーブルは何が良いのかと 質問されるたびに、部屋も新しくなり以前とは音質も一変するので完成したオーディオ ルームでしばらく鳴らし落ち着いてから実際に比較試聴して選ばれることを推奨 していたものでした。それが10月28日に実現したという事なのです。 (写真12) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-b01.jpg (写真13) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-b02.jpg (写真14) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-b03.jpg さて、上記の写真は今度は私が撮影したものです。重要なインターコネクト ケーブルの試聴を行う前にスクリーンを降ろし準備に取り掛かりました。 (写真15) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-b04.jpg 写真15のように持ち込んだケーブルサンプルが届く範囲にと、コンポーネントを スピーカーの近くに移動し再度セッティングして準備完了です。 (写真16) http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-b05.jpg 今回の比較試聴会ではS様と奥様、建築設計事務所の代表者と女性アシスタント、 N音響設計担当者、日本音響エンジニアリング山下様、株式会社ノア代表取締役社長 野田様と合計7名の皆様です。オーディオ業界関係者は二名だけでS様以外には ほぼ初体験という試聴会となりました。 さて、私がどのようなケーブルを選択し持ち込んだかという事が気になると思います。 ■S様のシステムにおけるインターコネクトケーブルの比較試聴での採用ブランド http://www.dynamicaudio.jp/file/20160420-cable.pdf この審査委員には私はもちろん含まれていません。この表に従って30回以上も 配線切り替えをやらなくてはなりませんし、私の頭の中では高い確率で結果を 予測出来ているのですが口に出すことはありません。 さて、7名の審査委員の皆様には一切の価格情報はお知らせせずに、番号順に試聴 して頂くことにしました。先入観なく初心者の皆様でも音楽を楽しみながら各社 ケーブルでの音質を比較して頂こうと考えたからです。 そして、数十回の配線変更の作業で私が慌ただしく各社ケーブルの切り替え作業を 行っている最中に各メーカーの特長をしゃべりながら作業して解説していきました。 上記の番号順に各曲で10点満点にて採点して頂きましたが、いきなり最初のケーブルを 何点にするかという事では初心者には無理がありますので、上から三種類を試聴した ところで独断と偏見、ご自分の好みということで三種類の中で真ん中を5点として 他の二種で上下をつけて採点して下さい、という進行にしました。 普段はこんな豪華なシステムで五種類ものケーブルを比較試聴することなどありません。 数十回も屈伸運動をしてかがみこみケーブルを切り替えるのは大変で疲れました。 試聴が進むうちに最初は口数が少なかった皆様から多くのコメントが出るようになり、 次第に評価が分かれて行ったのです。 この実験試聴によってS様の思惑ではケーブルは値段ではない、審査委員が最も 安いケーブルを選択したら私の鼻を明かせるだろうという策略がありましたが、 四曲を比較したところで大勢が見えてきました。 この採点結果は私は見ていません。S様は学校の先生よろしくテスト用紙を回収 するように皆さんから採点表を集め、う?ん…と唸りながらご自分で集計を始めました。 その結果、圧倒的多数で評価されたのは3:Transparent OBL40と5:NORDOST ODINと いう結果になり、その後はホール録音のオペラとオーケストラで二者による決勝戦 という事になってしまったのです。 苦笑いするS様につられて私も思わず苦笑いです。 決勝戦では二社のうち、どちらかを7点として基準にして他の一社で上下をつけて 採点して頂くことにしました。 しかし…、何と審査委員の皆さんの採点ではほぼ同点となってしまいました。 さて、これをS様はどうジャッジするのか!? 最後の決断に関して私は思わず膝を叩きました!!何と、ご自分ではオーディオの 価値は全くわからない素人であるとおっしゃておられたS様の奥様は、これまで の採点では、殆どNORDOST ODINに10点をつけられていたという事でした。 加えてS様が主に聴かれる小編成の演奏では、NORDOST ODINの方が優位であると S様自身も判断されました。そのような次第で、最後は夫婦円満の決定として 今回の最高価格であるNORDOST ODINに軍配が上がったのでした。 そして、私からS様に悪魔のささやきを…。 「プリとパワーアンプのケーブルは決まりましたが、実はCDプレーヤーがアナログ  信号の最上流にあるわけですから、CDプレーヤーとプリアンプも間も同じケーブルに  されることをお薦めします」 インターコネクトケーブルによって変化するシステムのパフォーマンスを眼前に 体験されたS様、傍らの奥様の存在は承知しているものの、私の意をお汲み取り 頂き、NORDOST ODINの長短二種類のケーブルのご注文という結果になりました。 そして、NORDOST ODINを現地メーカーに発注して入荷を待ち、いよいよ配線ピットに 収納してあるテスト用ケーブルと交換するために11月25日に再度S様宅を訪問です。 一か月前に確認したアンプ間のケーブルに加えてCDプレーヤーとプリアンプも同じ ケーブルとして、聴き始めたS様は最初からご満悦のご様子でした。しかし… 決勝戦では破れてしまったTransparentの例の電源ケーブルを持ち込んでいたのです!! ■Transparent OPC(OPUS Power Cord)がもたらす新世界の陶酔とは!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1264.html Transparent OPC2の威力は下記のページにて会員の皆様からも大変高い評価を 頂いていたものでした。 新着投稿⇒H.A.L.'s Monitor Report-Transparent OPUS Power Cordの真実!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni.html 当フロアーで使用していたOPC2を4本外してお持ちしたのですが、最初はCDプレーヤー、 次にプリアンプとつないでいくと音像のリアルさが高まり音場感が倍加していくのが 分かります。そして、最後はモノラルパワーアンプに2本使用して仕上げとなりました。 NORDOST ODINのケーブルに大枚をはたき、これでもういいだろうと思っておられた S様にとって、この電源ケーブルによる違いは想定外の事だったのです。 仕方ないな〜、このまま置いて行ってくれ…、というのがS様のお言葉でした。 輸入元にも在庫がなく受注発注のケーブルですから、その交換のために再度 京都に来てもらうのも申し訳ないというS様のご配慮でありがたいご注文でした。 このようにしてオーディオルームの完成が功を奏して音質が格段に進化し、更に 最後のツメでケーブル関係も充実し、私のお客様の中でも最高レベルの音質となりました。 その後はS様のお宅には千客万来で実に多数のゲストが来られ、このオーディオ ルームで聴く極上の演奏に感動される人々が後を絶たないというお言葉を頂戴しました。 オーディオルームの完成から移転とセッティング、更にケーブルの充実を果たして 約半年間が過ぎ、ケーブルのバーンインも熟したころと思われS様に最近の感想を うかがったところ大変嬉しくありがたいメールを頂戴致しました。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-     「新築のオーディオルームでThe Sonus faberを聴いてみて」 2011年にThe Sonusfaberの魅力に驚き、SoulutionのアンプやCDプレーヤーと購入してから、 それに相応しいオーディオルームを作る大計画をたてました。 それから土地を探し、家を建てて引っ越すには2年はかかると思っておりましたが、 紆余曲折もあり、実に4年半以上かかってしまいました。 その間、STRADIVARI Homageをノアの野田社長のご厚意でお預かり頂き大変恐縮致しております。 オーディオルームが夢だったので、家はついでに建てようという感じではありましたが、 そうは言っても、これから一生住むことになる家ですので、かなり設計士の方にも種々 お願いさせて頂き、私と家内が納得できる家になったと思います。 オーディオルームと家の基本コンセプトは、The Sonus faber with Soulutionに 相応しい「気品」でした。 私は趣味で以前ヴァイオリンを嗜んでおりましたが、Sonusfaber社の存在する クレモナで、アマーティ、グァルネリ、アントニオ・ストラディバリらが製作 していたバイオリンの名器のイメージを大切にしたいと思いました。 従いまして、The Sonusfaberの極めて美しい木でできた外観にマッチするように、 オーディオルームの室内や、家全体でも気品のある木をできるだけ使うように 設計士の先生にもお願いしました。 そのため、非常に落ち着いた気品のある空間を楽しめるオーディオルーム付きの 家ができたと喜んでおります。 言い換えれば、The Sonusfaberありきで家が完成したということにもなります。 音響に関しましては、N音響と日本音響のコラボとオーディオ界のカリスマの 川又さんのご協力で、日本音響のANKHを使いながら、私にとっては理想的な 音響空間に仕上がったことを大変嬉しく思っております。 The Sonusfaberというスピーカーは、クレモナのバイオリン製作の血を引いているのか、 弦楽器は勿論のこと、声楽でも大変ふくよかで張りのあるとても魅力的な音を出してくれます。 更に不思議なことに、このスピーカーは、ピアノ、チェンバロ、ギター他の衝撃音ですら、 気品の漂う、聴いていて気持ちの良い音を出すことができます。 私は元々オーディオ好きですが、特に詳しい訳でもありません。 それでも、大きい音を鳴らしてそのリアリティに驚くというのはハイエンド オーディオとしては第一段階にすぎないと感じています。 その上に、小さな音でも、心地よく響かせることとか、言葉では表現し辛いですが、 いわゆる「音楽的」な快感を感じることができなければ、最初は驚いて楽しめても、 すぐに飽きてしまうと思います。 従いまして、長い間楽しもうと思えば音量の大小に関わらず、「気品のある音を 音楽的に鳴らす」ことのできるオーディオルームを夢見てました。 実際にThe Sonusfaberを新しいオーディオルームで聴かせて頂くと、私が長らく 長らく希望していたその音を、ようやく聴くことができました。 最初は、引っ越し前でも十分良い音が鳴っていたので、オーディオルームを作っても そうは変わらないだろうと思っておりましたが、それは大きな間違いでした。 The Sonusfaber with Soulutionであれば、それに相応しいオーディオルームに置いて、 かつ適切なケーブルを使って、それで始めてその能力が発揮できることが如実にわかりました。 本当に奥の深い世界だと実感しました。 昨年10月に引っ越してきて、まだ半年ですが、その間多くの友人がオーディオを 聴きに来てくれ、皆期待以上に感動していただきました。 設計士の方などは、このことをきっかけにオーディオファンになり、新しいオーディオ を買い始められました。 昨今は、iPodなどの全盛でオーディオファンは中年以降の根暗な男性の趣味という イメージになりつつありましたが、私の家のオーディオを聴いてからは、若い女性も オーディオにはまってしまう方が多くおられました。 後は、関係者のご努力でもっと庶民的に楽しめるようになれば、耳元でしか楽しめ ない今の音楽文化から、「究極の大人の遊び」ともいえるオーディオ文化が再生する ことでしょう。 私の家内も以前は、オーディオには全く無理解で、「したいようにすればぁ?」と いうような投げやりな態度でしたが、今では一緒に楽しんでくれております。 では、再びオーディオ文化の再興を夢見て拙文を終わりにさせて頂きます。 最後に、お一人お一人のお名前は省略させていただきますが、関係者の皆々様、 この度は本当にありがとうございました。             -*-*-*-*-*-*-*-*-*- S様、大変実感のこもったお言葉を頂き、こちらこそお礼申し上げます。 そして、6月中旬には内外で活躍する弦楽器奏者が来訪されて生演奏ではどうか、 という演奏会も予定されているとうかがいました。素晴らしことですね! 最後に、この↓手紙を下さったSonusfaberのCEO Mauro Grangeが来日されたなら、 ぜひS様のお宅にお連れしたいと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/file/110221/letter_to_Mr.Kawamata.pdf この手紙に関しては下記の「Sonusfaberとのお付き合いと近況報告!!」をご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/906.html S様とは今でも懇意にさせて頂いており、オーディオと音楽を通じて生涯のお付き 合いをさせて頂ければと願っているものです。本当にありがとうございました。

担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.co.jp

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