発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2022年11月29日 No.1716
 The Long And Winding Road to HIRO Acoustic - Vol.2

■22年前の自己紹介 (2000/07/12 秋田県男鹿市在住 K.N様より)
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0004.html

中学入学と同時にオーディオに興味を持ち、211Aのアンプなどを作っておりました。
高校時代にJBL4311を手に入れたときの興奮は、今でも忘れられません。

社会人になり社宅生活を余儀なくされ、小音量でしか音楽を楽しめない環境になりました。
その為、15年ほどは意識的にオーディオから遠ざかっておりました。

転職を機に地方都市に家を建て、念願のオーディオルームを作りました。
神楽坂の社宅に住み続けていれば、決して手に入らなかった広さです。

ただし、土台へのテストピース埋め込み・アース工事・屋内配線に資金を投入した結果 、
現在のところ満足からほど遠いシステムを使っております。

ホームページを一気に読ませていただき、川又さんのシステムコーディネートに懸ける
姿勢に感銘を受けておりました。
一度はお伺いしたいと思いつつ、地方都市に居住する身故、時間が無為に過ぎておりま した。

一昨日は、本当に得難い体験をさせていただきました。
初めて伺ったにもかかわらず、快く試聴させて頂きありがとうございました。
圧倒的な音の鮮度と深みに感動してしまいました。

イーグルスのライブでは、聴衆の口笛までが明確な位置を示し奥行きの深さと相まって、
開いた口が塞がりませんでした。

すべてのシステムのマッチングの妙だとは解りつつ、どの要素があの音を生み出した
のだろうと考え続けていました。そうでも思わなければ、自分のシステムのどこから
手を付けたら良いのか途方に暮れてしまうからです。

家に帰って自分のシステム(XL-Z999、レビンソン38SL+332L、JBL DD55000)の音を聞き返しました。

1.音と音の分離が不明確で、ぐしゃっと固まっている。
2.立体感に欠ける。
3.余計な音が多すぎる。
4.定位が不明確。

…に聞こえてしまっています。今のシステムは、所詮BGM用なのでしょうか。
次回は、アンプを変えた場合の音の変化など、教えていただければと思います。

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★川又より

2000.9.20この日は当社の年度決算日であると同時に後日まで記憶に残る一日となった。
自社のホームページはおろかアメリカ国内外でも未発表と言う新製品が、前例のない
店頭における世界初公開のためにここにやってきたのである。

「KRELL“LAT-1”が私に見せてくれた驚愕の新世界とは」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/126.html

文字通り世界初というKRELL LAT-1のファーストオーナーにならんと決意された
K.N様とのとの商談で今でも記憶に残っている一言がありました。

「川又さんが男鹿までセッティングに来てくれるのなら買いましょう!」

このスピーカーの登場に感動されたのは私だけではなかったのです。
その心意気に私がNoと言うはずがありません。そして…

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■初めてHALにお邪魔してから7ヶ月が過ぎスピーカーを入れ替える事に…。2001/01/25
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0017.html

■2001/10/21 K.N様の使用機器は下記のように刷新されていました。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0037.html

CDトランスポート ESOTERIC P0-s
D/Aコンバータ MARK LEVINSON No.39L
プリアンプ J.R.D.G Coherence2
メインアンプ J.R.D.G #12
スピーカー KRELL LAT-1
ケーブル PAD(MIZUNOSEI〜DOMINUSまで様々)
ラック zoethecus + T.I.P.

■川又さん、申し訳ありませんが、dCS954II、試聴させて下さい。2003/5/14
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_moni0176.html

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

★川又より

初めてお目にかかってから三年経過して残っているのはD/Aコンバーターのみとなり、
しかも、民生機器として初めてのルビジウム・マスタークロックジェネレーター
Timelord Chronosも導入され、当時の最新最高と私が評価していたdCS992MK2と
972MK2、そして954MK2というラインアップにまで到達してしまったのでした。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/151.html

それからというもの、この20年以上ものお付き合いでやり取りしたメールの件数は
500件以上で集計困難な回数であり、同様に毎年10回程度は来店されては、その
時々の私がコーディネートしたシステムを試聴して頂くことでK.N様は次第に
経験値を高め感性を鍛えられてきたわけです。

CDトランスポートP-0sはVUK-P0バージョンアップを施し、DACはWADIA Wadia27ix
Veirsion3.0も一時使用され、その後はESOTERIC P-01+VUK-P01とD-01+VUK-D01へ、
しかも当時としては画期的だった10MHz入力可として特注仕様として進化していきます。

プリアンプはJEFFROWLAND Coherence2から次世代モデルCriterionへと変更され、
更にKRELL LAT-1と相性が素晴らしいパワーアンプKRELL Evolution 400eへと
発展していきました。そんな時期に運命的な出会いがあったのです!

「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1160.html

2014年10月に登場したHIRO Acousticを聴き続けてきたK.N様は、下記の特設サイトで
今までに紹介してきた時代ごとの音質的進化を毎年・毎月のように聴き続けて来られ
ご自身の中で生涯の伴侶として何処に行きつくのかを考えて来られたのでした。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/hiro/

そして、「19年前にお納めしたスピーカーに新たな息吹をもたらすことができたと
いうことに私も感慨深い思いがあります」と感謝した下記の投稿がありました。

H.A.L.'s Special-Y'Acoustic System Ta.Qu.To-SPL Owner's Report
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1581.html

2019年12月にはTa.Qu.To-SPL 2.0mバイワイヤー仕様にて2セット、2020年9月には
Ta.Qu.To-XLRを2セット、10月にはTa.Qu.To-BNCを3本、翌年1月にはTa.Qu.To-AESを2本、
更にmurata ES-103スーパートゥイーター用特注仕様Ta.Qu.To-SPLなどを導入され、
長年連れ添ってきたKRELL LAT-1にベストなコンディションを作り出して来られたのです。

zoethecusのラック、強靭なTransparent OPUSのアイソレーターと電源ケーブル、
スピーカーベースにはH.A.L.オリジナル商品のB-Board、E.M.G-boardなどなど
この20年間に私が手掛けてきた各種アイテムも都度導入して頂き、磨き上げて来た
システム構成であったわけです。

しかし、8年前に登場したHIRO Acousticによって長く曲がりくねった導火線には
既に火がついていたのでした。

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K.N様は経営者としてのお立場であられるという仕事柄、大変にお忙しい方であり
出張の合間に立ち寄られるというケースが多いのですが、2022年5月某日に簡潔な
メールを頂いたのでした。

「ニュアンスを上手く伝えにくいのですが、低域が豊かに聞こえるアンプとの
 組み合わせでHIRO Acousticを試聴したい。」

当初の予定日より一週間遅れで来店されたK.N様は試聴の前にこう切り出されました。

「川又さん、もうここまで来たら注文します」

の一言に続き手には既にクレジットカードが用意されていたのです。
K.N様との商談はいつも迅速かつスピーディーです。
当日のうちに私は廣中さんに正式発注を送りました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

HIRO Acoustic Laboratory
廣中義樹 様
いつもお世話になります。

「KRELL“LAT-1”が私に見せてくれた驚愕の新世界とは」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/126.html

上記にて紹介しているKRELL LAT-1を日本第一号として最初にお求め頂いた、
20年以上のお付き合いとなる私のお得意様より大変にありがたい
ご注文を頂きましたので本メールにて正式発注致します。

HIRO Acousticが2014年に当フロアーに登場して以来、長年に渡りご来店の度に
試聴され今まで錚々たるアンプやプレーヤー、更には吉崎様のTa.Qu.To-Cableも
フルセットお求め頂くなど、システムのアップグレードを進めて来られたK.N様が
遂に英断を下されました。

今回のご注文に際して何よりも嬉しかったのは、お帰りになられる時に
「これも川又さんのお蔭です。川又さんがいたからHIROに巡り合えたのですから、
 ありがとうございました。」と逆にお礼の言葉を頂戴してしまったことでした。

お客様との長年に渡る信頼関係から遂にHIRO Acousticの導入に踏み切って頂いた
ということで感謝に堪えません。

その感動をかみしめつつ、廣中様にもオーディオファイルとしてのK.N様の思いを
お伝えし発注したいと思います。

■発注商品 
HIRO Acoustic MODEL-CCS Improved 税別¥14,250,000. 1セット

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HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの納期は約五カ月
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1213.html

上記のように精密かつ入念に製造されるHIRO Acousticは納期がかかりますが、
その間にK.N様は導火線がもう一本あった事に気が付かれていたのです。

KRELL LAT-1に合わせた同社のパワーアンプEvolution 400eを導入されてから既に
10年以上の月日が経っており、それはプリアンプJEFFROWLAND Criterionも同様に
年月を重ねてきたという事でした。その火種はここにあったのです!

「この私の心が揺さぶられるほどの感動で一目惚れした新製品とは何か!?」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1655.html

HIRO Acousticの登場以来、私が新製品を試聴する際のリファレンススピーカーは
不動の存在となっており、Westminsterlabの能力と魅力をK.N様に推薦するのは
当然の成り行きとも言える事でした。

K.N様は最初にパワーアンプWestminsterlab ReiだけをJEFFROWLAND Criterionにて
試聴されたいという事で対応しましたが、上記インプレッションで私が述べた音質
とは同社のプリアンプQuestとの純正組み合わせにて初めて実現するものと説明し、
第二段階としてRei & Questとして二回に分けての試聴をして頂きました。

「ニュアンスを上手く伝えにくいのですが、低域が豊かに聞こえるアンプとの
 組み合わせでHIRO Acousticを試聴したい。」

そして、前述のK.N様のコメントを再度記しておきましたが、正にこの要望に
ジャストミートするという結果となったのでした。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

思えば20年前に初めて秋田県男鹿市を訪れたのは白い残雪が残る時期だったでしょうか。
今回も雪が降り始めるまでにHIRO Acousticを納品したいと思っていました。

廣中さんの妥協なきモノ作りのこだわりを尊重し納期を待っていましたが、
冷たい雨の日でしたが何とか11月上旬に納品することが出来ました。

私の目測ですがスピーカーを設置した背後の壁面は大よそ6メートル程度、天井高も
5メートル近くあるという素晴らしい空間で先ずはリンニングポジションからセット
アップされた構図では下記のようになりました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221113115901.jpg

このオーディオルームは当時のK.N様のこだわりで作られたものという。
数十本のコンクリート製テストピースを埋め込んでいるという強靭な床が
いよいよ威力を発揮したというもの。

スピーカー背面にはQRDのDiffractalが4台セットされ、リスニングポジションに
向かって次第に高くなる勾配天井となり定在波の発生を回避されている設計で
あることがうかがえます。

今では入手困難となってしまったzoethecusのラックとカラーコーディネイトも
意識されていたのか、リスニングポジションから見るとHIRO Acousticの巨大な
クロスオーバーネットワークが上手に後方に隠れてくれるデザイン性が光ります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221113115936.jpg

システムを45度左側から見るとスピーカー後方に得難い空間があることが解ります。
この贅沢なレイアウトが後述する音質的効果をもたらしているわけです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221113115821.jpg

ラックの下段にセットされたTransparent OPIからOPC2を使用して電源供給された
Westminsterlabがどんな音を聴かせてくれるのか。当フロアーでも実現出来なかった
贅沢な電源環境も見逃すことのできないポイントとなっています。

さて、セッティング最中にも胸をワクワクさせていたであろうK.N様に本格的に
聴いて頂く前に、私が訪問させて頂いて成すべき重要な仕事に取り掛かります。

念願のHIRO Acousticをセッティングして先ず第一声を聴いたのは音楽ではありませんでした!

27年前の私の随筆で紹介した「The Sheffiel/XLO Test&Burn-in CD」の1トラックで
ロジャー・スコッフ氏の渋いバリトンの英語によるナレーションです。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/oto/oto14.html
https://www.discogs.com/ja/Sheffield-Lab-The-SheffieldXLO-Test-Burn-In-CD/release/5988794

「Left channel、Left channel Right channel、Right channel」と繰り返すVoiceは
私にとって重要な判定基準であり、納品直後の音質評価に必要なものだったのです。

この一声を聴いてK.N様のオーディオルームの残響時間特性が素晴らしいことを
直感しました。リバーブがかけられていないオンマイクで収録された肉声は大変
リアルであり当フロアーで同じトラックを再生した際の特徴とほぼ同じなのです。

同時に一次反射音も適切な響きを有しており、無味乾燥で無響室的な発声にならず、
壁からの反射音で曖昧な残響が付帯することもなく、太く重量感のあるナレーションが
心地良く響くのですから早く曲をかけたいという誘惑にかられてしまいました。

今回は限られた時間でセッティングと音質確認をしなければならない事、そして
何よりもK.N様がお好きな選曲で早く聴きたいと思われている事を予測していたので、
私が持参したCDはこの一枚だけでした。でも、この一枚で色々な発見と確認が出来たのです。

■溝口肇「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」より「1.世界の車窓から」
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099
http://www.archcello.com/disc.html

近年の試聴では必ずと言って良いほど最初に聴く選曲です。チェロとハープのデュオと
いうシンプルな構成の録音ですが、この一曲で様々な項目がチェック出来るものです。

私のリスニングポジションはちょうど下記の構図となる位置であり、ここでしか
確認出来ない要素がありました。そう、音像です。フォーカスの素晴らしさでした!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221113115936.jpg

私は日頃から「限りなく絞り込まれた音像と広大な音場感の両立」という事を音質
判定の基準にしていますが、一般家庭においての再生音で難しいのは音像をいかに
正確に表現できるかという事なのです。

楽音に対してフォーカスがきっちりと描かれ、音像の輪郭が見えるような状態が
実現できて初めて音場感というものを語ることができるものです。

K.N様の部屋にセットされたHIRO Acousticが果たして音像を見せてくるのか。
その心配はあっけなく最初の一曲で払拭されてしまいました!

上記の写真で中央にzoethecusのラックがありますが、正にそのサイズで溝口肇の
チェロが中空に浮かぶように音像を描き、低音階に移行しても床に残響を振り撒く
事もなく輪郭を保持する絶妙な定位感をもって弦の摩擦感までも表現するのです!

至らない環境とスピーカーでは音階の高低によってチェロの音像サイズが変化する、
低音階では音像が膨らんでしまうという現象があることを以前から経験していますが、
そんな気配は微塵もないチェロの演奏に私は安堵…、いや失礼!感動してしまいました!

そして、ハープが空間に放つ余韻感の何と鮮明であり美しい事か!

男性の太く重量感のあるナレーションが素早い反応と減衰で余分な響きを残さず
良好に響き渡る環境と前述しましたが、ストレスを感じる反射音は皆無であり、
しかし楽音の響きで美味しいところだけを空間に広げていくという部屋の特性と
スピーカーの優秀さが、撥弦楽器であるハープの瞬発的発音から微小な余韻の
最後の一滴までをも再現するという素晴らしさに聴き入ってしまいました!

さて、次にHIRO Acousticのハイスピードな反応を低域においても確認すべく、
「14.帰水空間」をリモコンで呼び出し、同時にボリュームも少し上げていきます。

シンセドラムの正確無比な打音が左チャンネル、右チャンネル、センターでと
異なる音色で展開する導入部。この低域の再現性で色々な項目をチェックできる。

三方向に定位するドラムで最も低い音階のLch、それよりも倍音が多く切れ味のいいRch、
左右チャンネルのドラムは残響成分を含んでおりスピーカー周辺に響きを拡散する。

それに対してセンターチャンネルのドラムは高音のパーカッションと連携するリズムで、
インパクトの瞬間から極めて短時間で終息する切れ味のいい打音が炸裂する。

後ろに控えておられるK.N様や廣中さんに悟られないようにしつつ、この三種類の
ドラムが響き始めた瞬間に私は思わずほくそ笑んでしまったのです。これはいい!

アコースティックな生のドラムの録音では、再生音に対してルームアコースティック
による反射音が付加されても音の味付けという感じで迫力ある低音という演出効果が
加味されていることに気が付かない場合が多いものです。

その点、このシンセドラムという一見無機質に思える楽音では、文字通りアンプから
スピーカーに送られた信号が忠実に再現されなければなりませんが、密閉型エンク
ロージャーのHIRO Acousticにおいてはバスレフポートによるウーファー振動板背後に
放射される音圧のリユースは皆無であり極めて忠実な低域再生が実現されています。

つまりオーディオ信号で既にドラムの打音が終わっているのであれば、時間軸が遅れ
位相がずれた低音は出さないという事。これが非常に大きな特徴であり、それを正確に
再現できる音響空間に恵まれるという相乗効果を私は直感していたのです!

左右チャンネルのドラムは残響成分を含んでいると述べましたが、それは明らかに
録音信号に記録されている低音であり、重量感とテンションを両立しながらも響き
の要素がHIRO Acousticのウーファーという音源位置から適度な拡散領域をもって
展開している素晴らしい信号追従性を音にして発揮しているのです!

そして、スピーカーセンターという音源が存在しない中空では、言葉にすれば
「タン! タン!」と表現できる切れ味のいいドラムが見事な定位感で打ち出され、
これにはリバーブ成分は一切ないという極めて短時間での打音が弾けるのです!

このセンターのドラムと同じ定位で、いぶし銀のような輝きをまといながら、
これもサンプリング音源と思われる高音階のパーカッションが細かくリズムを刻む。

このパーカッションは前述のハープによる高音階の響きとは正反対で、生の楽器が
醸し出す余韻感は一切含まず、高速な立ち上がりを見せた後は極めて短時間で消滅。

オーロラのようにたなびく女性ヴォーカルを思わせるシンセサイザーが幻想的な
響きで展開し、キーボードが印象的なメロディーを奏でるとウインドチャイムが
きらびやかに舞い、重厚なベースがゆったりと表れてチェロの登場を待つ。

そしてセンターの奥深いところから溝口肇のチェロが印象的な旋律を奏で始める
のだが、その遠近感の演出がスタジオ録音にして素晴らしい演出で遥か彼方から
漂ってくるような音像の見晴らしの素晴らしさに息をのむ!これは凄い!

K.N様の部屋でレイアウトされたスピーカーの周辺環境で、その後方の空間について
言及していたが、HIRO Acousticの最も特徴的といえる音場感の表現力が威力を発揮
している状況に私は今更ながらに驚き感動しつつ曲の進行に身をゆだねていた。

マリンバの打鍵は硬質な打音から転がるように、まろやかな響きで左右に展開し、
マレットが当たる瞬間に鍵盤裏の共鳴管の短時間の唸りを心地良く再現する。

チェロのゆったりした間奏に続き鋭いタッチのピアノが旋律を引き継ぎ、その打鍵の
一音ずつが跳躍する残響を天空に跳ね上げる躍動感を見せながらソロバートを全うする!

KRELL LAT-1のバスレフ方式による三発ウーファーがどのような低音を出していたか、
その記憶を一瞬にして消去してしまったシングルウーファーのMODEL-CCS Improvedの
音像と音場感の両立した再生音に、私ははるばる納品にうかがった使命をしっかりと
果たすことが出来たのだと内心で安堵のため息をついたものだった!これはいい!

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20年以上のお付き合いとなったK.N様に生涯の伴侶として嫁がせたHIRO Acoustic、
巡り合いからプロポーズまで正にLong And Winding Roadであったことか。

ESOTERIC P-01+VUK-P01 & D-01+VUK-D01
https://www.esoteric.jp/downloads/archive/brochure/p-01_d-01.pdf

Westminsterlab Rei & Quest
https://www.westminsterlab.com/
https://www.bright-tone.com/pages/242.html
https://www.bright-tone.com/pages/245.html
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1655.html

Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Cable
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/

HIRO Acoustic MODEL-CCS Improved
http://www.hiro-ac.jp/
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/hiro/

■K.N様より

来し方を振り返れば、川又さんと巡り会うことが出来て、私の人生は豊かになりました。
少なくともオーディオに関して、回り道をせずに済みました。本当に、恵まれていると思います。

この歳になって、目覚めると直ぐにワクワクしながら自室に行き、CDを選び、
美しい音楽に浸ることが出来ます。

ああ、こんな音も入っていたのだと驚く感覚は、少年の日々のようです。
私が出勤した後は、妻が楽しむ時間です。

「思わず、一緒に歌い出してしまうほど、良い音なのよ。」と
満面の笑みで話してくれます。

これからも、持ち前の探究心とセンスで、川又さんは、新たな世界を聴かせて
下さることと思います。本当に、素晴らしいことだと思います。
有り難うございます。楽しみにしております。

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K.N様ありがとうございました。お礼を申し上げるのは私の方でございます。

そして、長きに渡るHIRO Acousticへの思いを成し遂げたK.N様の熱き思いは瞬間的な
ものではなく、じっくりとオーディオと音楽を愛しつつ燃え続けた情熱の炎として、
それを見つめる人心に暖かいぬくもりを施してきたのではないかと私は推測する。

たとえば、こんな暖炉の炎を飽きずに見つめている時の心境に近いものだろうか。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221128164921.jpg

そう、20年前に私が訪問した際に素晴らしいオーディオルームと共に強く印象に
残っていたものがありました。それを奥様に伝えると、もてなしの一環としてか
わざわざ薪をくべて火をつけて下さったのが私の記憶に焼き付いていた暖炉の炎
だったのです。都心では得難いリビングルームの暖炉は癒しのおもてなしでした。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20221128164931.jpg

音を聴くオーディオルームからリビングルームに来られて、物思いにふけるK.N様の
長く曲がりくねった導火線に灯った火種がここにあったのかと私は得心したのでした。

K.N様 本当にありがとうございました。これからも何卒よろしくお願い致します。

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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