発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


No.151  「未知の体験領域!!絶対精度クロノス(Chronos)の世界が目前に!!」
まず、序章から…。dCS992マスタークロックVer.2の存在は皆様ご存知でしょうか。

http://www.timelord.co.jp/consumer-audio/apdcs992.html

同社のプロ機でありトップモデルのSystem900Pro Ver.1の素晴らしさは以下の ブリーフニュースでも述べていますが、そのシステム全体のクロックを統一して いるのが、この992/2です。(ブリーフニュースNo.093をご覧下さい。)

http://www.dynamicaudio.com/hal/brn_old.html

とにかくdCSの製品のみならず、P-0に単体で接続するだけでP-0の音質が洗練 されてくるという体験を私もしているだけに、デジタルオーディオにおける 時間軸管理、クロックの精度向上には大きな関心がありました。

さて、この992/2のクロック精度が0.1ppmということなのですが、何とこれを 0.001ppmの精度にまで一気に向上させるという画期的な製品がまもなく登場 します。その名はRubidium Atomic Frequency Standard / Chronos(クロノス) 辞書的にで以下のような類似語がありますが、名前の由来はどうやらもっと 神秘的なニュアンスを持っているようです。
{chronoscope} {クロノスコープ:ごく短時間を測る電子装置.} クロノスはギリシャ神話に登場する「時の神」のことです。下記ご参照下さい。

http://www.asahi-net.or.jp/~qi3m-oonk/tosyokan/fantasy/w-chronos.htm

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さて、このクロノスは限定生産ということもあり、大々的にコストをかけての カタログを作る予定もなさそう、ということで私が製造・発売元とタイムロード の黒木さんにインタビュー形式でQ&Aをお願いしたものが今回の特集です。

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川又「まず最初に商品名はクロノス(Chronos)でよろしいんですね」

黒木「そうです。」

川又「これは現行のCD再生において究極的にクロック精度を高めるという
   製品と認識していますが…?」

黒木「現行のCD再生においてはもちろん、ハイサンプルやDSDと
   いった高次のディジタル・オーディオ処理でより重要な意味を
   持っています。というのも、音声信号データのスペックが従来の
   16ビット44.1kS/sから格段に上がるわけですから、そのベース
   となるクロックの精度がより大きな影響を持つようになるからです。」

川又「御社が輸入しておられる英国のdCSの新製品ですか?」

黒木「dCSでもルビジウムには大変興味を持っていますが、素子が大変高額で
   あること、製品の製造コントロールが難しく、dCS992というマスターク
   ロック以上に生産量は低くならざるを得ません。したがってメーカーと
   して取り組むには難題が多すぎるというのが実情です。ちなみにdCS992
   は月産6〜7台という少量生産体制です。我々はルビジウムを使用したと
   きの音の本質的な飛躍を体験したため、後に引くことが出来なくなりま
   した。Chronosは潟^イムロードがプロデュースする初めての製品にな
   ります。」

川又「あっ、そうなんですか!!輸入商社がオリジナル商品を作るというのは
   珍しいことですね〜。どうしてそのような企画を思い付いたのですか?」

黒木「思い付いた、というより、欲しい、やらねばならない、という決断から、
   dCSがやらないのなら、自分たちで作るしかない、と思った次第です。」

川又「なるほど、これからずっと生産を続けるんですか?」

黒木「我々はメーカーとしてのノウハウは知識として持っているだけで未体
   験の挑戦です。正直申し上げて、メーカーとしてのきちんとしたスタ
   ンスを持つには至っておりませんので、特異なケースとして今回のルビ
   ジウム・クロック製造に着手したとご理解いただきたいと思います。
   Chronosについては月産5台で10ヶ月継続し、トータル50台の限定生産
   を予定しています。」

川又「えっ、たった50台しか作らないんですか? じゃあ輸出は…?」

黒木「輸出は考えておりません。」

川又「そうですか!!さて外観のイメージとしてはdCSのプロ機のような感じですか?
   予定しているサイズといっしょにちょっと教えてくださいよ!!」

黒木「dCSの製品はみんな黒っぽいんですが、Chronosは「まっさら」を
   イメージしてアルミの梨地フィニッシュにしました。まったくシン
   プルな見た目になります。サイズはW460*D410*H100という重〜い箱です。」

川又「ふむふむ、そうですね…特にいじるところはないわけだし…シンプルで
   いいんじゃないでしょうか。さて、クロノスを使用するには、まずどこに
   どんなケーブルを使って接続するんですか?」

黒木「クロノスの出力は10MHzが1系統BNCで出ています。dCS992/UExternal Input
   との間を、インピーダンス75Ωの、シールドのしっかりしたケーブルを
   なるべく1.5m以下で接続してください。」

川又「なるほど、必然的にdCS 992Uが必要になるということですね。でも以前の
   992にはつなげないんですか?」

黒木「ソフトウェアが2.xxのバージョンUはそのままOKですが、その前のモデルは
   改造が必要です。ルビジウムが使えるようにするだけの改造か、あるいはバー
   ジョン・アップするかでコストは変わりますが、基本的に対応可能です。」

川又「あっ、それはユーザーにとってはうれしいことですね。さて992Uと普通の
   992の違いを簡単に言うとどういうこと?」

黒木「かいつまんで申し上げますと、Uになって搭載しているクリスタルが2個に
   なり、これらをソフトウェアでコントロールすることにより、以前と比較
   して精度が10倍に上がっています。以前は1ppmだったのが0.1ppm保証に
   なっています。
   また、Uでは複数のサンプルレートのクロック信号を同時に出力できる為、
   DDやトランスポートに44.1を、DAには88.2kS/sを投入する、といった
   接続が可能になりました。」

川又「なるほど、わかりました。さて、そのような内容の違いがあるとして、
  このクロノスは992Uを通じてどのような恩恵をシステムに提供するんですか?」

黒木「クロノスの採用しているルビジウムはクリスタルと比較してフェイズの揺れが
   少なく非常に安定しているのが特徴です。この点が音質に大きく影響すると
   ころです。ルビジウムの精度はクリスタルの10000倍とも云われていますが、
   992Uはソフトウェア制御されていますから、これと比べると約100倍の精度と
   いえるでしょう。」

川又「えっ、そんなに…!! それじゃ従来の他社D/A コンバーターやP-0sのような
   製品に使われているクロック精度はどのくらいだったんですか?」

黒木「社内比較だけしかできませんが、dCS製品ではマスタークロック以外のものに
   搭載している内蔵クロックの精度は10ppmです。」

川又「そうなんですか!!凄いですね、それは。ということはオーディオメーカーの
   誰もが体験したことのない世界ですね。でも実際のルビジウムというものは
   オーディオ以外の分野ではどのように使われていたんでしょうね?」

黒木「放送用や宇宙研究用の衛星には必ず採用されていますし、ルビジウムより
   もっと精度の(もちろんコストも)高いセシウムという素子も使われてい
   ます。放送局では映像のマスタークロックとしてルビジウムが定着してい
   ます。放送の世界では映像の同期の方がずっとシビアですし、オーディオ
   信号はビデオ信号からリジェネレートされたクロック信号を使うことが多
   いですね。」

川又「ははあ〜、そういうことですか。私もRubidiumをwebで検索したらポンと580件
   もヒットしましたが、元素記号とか原子番号とかチンプンカンプンでしたが、
   そんなところに使われていたんですね〜、何か高そう(笑)ところで予定価格は
      どのくらい?」

黒木「ううーん。きちんと決まってから申し上げたいですが、聞かれると弱いです。
   あくまで予価ですが、150万円をターゲットにしております。」

川又「そうですか、肝心なRubidiumのエレメントはどこで作っているんですか?」

黒木「いろいろ試した結果ですが、スイス製のものに決まりました。オーディオに
   特化した仕様のものですが、更に弊社のわがままを聞いて改変に応じてくれた
   非常に希少なメーカーです。その分コストはアップしましたが…」

川又「なるほど、そうするとやっぱり外観にコストをかけている余裕もないし
   必要性もないでしょうね。それでいつ頃発売の見込みなんですか?」

黒木「7月初旬を予定しております。」

川又「えっ、もうすぐですね。ところで一月に何台くらい作れそうですか?」

黒木「先に申し上げましたが、手間がかかるため最大で5台が限度です。」

川又「私がここで実物を試聴できるのはいつ頃でしょうか?」

黒木「7月発売の直前になりそうですが、私個人的にもそちらでチェックして
   みたいです。よろしくお願いします。」

川又「こちらこそ楽しみにしています。ここには私の自慢のシステムがあるわけ
   ですがクロノスを導入したとしたら、システムアップとしてはどのような
   製品に使用できるのですか?dCS製品の何と何、トランスポートで使用で
   きるのはこれとこれというような拡張性ですね?」

黒木「992がマスト・アイテムです。そして、992が使用できるディジタル・オー
   ディオ機器ならどんどん繋いでいただきたい。dCSの製品に限らず、P0sの
   ような外部クロック同期がとれる機器がもっともっと出てきて欲しいです。
   ちなみにdCS製品で使用できないのはクロック入力のないDeliusとPurcell
   ですが、これらは1394バージョンにアップグレードすることでクロック入力
   が可能になります。」

川又「ふむふむ、なるほど…、ということは結構広範囲に提案できるものなんで
   すね。でも、それにしては生産台数が50台とはおしいな〜。
   求める人が多くなったら再生産なんか出来ないんですか?」

黒木「そういう悩みは持っていい悩みですね! しかし、今のところは考えて
   おりません。」

川又「おおーーー、そうすると歴史的に見てもどうしても手に入れておきたいという
   マニアの心理を刺激しますね〜。実は私のお得意様からは既に注文を頂いて
   いるんですが、クロノス単品では使用できないわけですからdCS992Uとの
   ペアでの予算が必要となるわけですね?」

黒木「その通りです。大変な投資です。」

川又「でも、P-0s単体についても究極の再生が出来るということは期待が大きい
   ですね。私はこのフロアーでSACDやDVD-Aの新製品を聴きましたが、まだ
   まだというレベルでハイエンドオーディオには中々勝てないと実感してい
   ますが、クロノスの登場によって、現行CDの最終段階の完成を見るような
   思いがします。ぜひ、ここのシステムでの試聴を楽しみにしていますね。」

黒木「乞う、ご期待です。」
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ということでした。私も本当に楽しみです。しかし…限定50台とは厳しい。 さて、本文中にも登場してきた話題の1394へのバージョンアップですが、 実は本日そのプログラムも決定したとの最新情報がありました。
これは最新のハルズサークル・レビューですでに配信されました。

あっ、それから992から992/2へのバージョンアップご案内のファイルも 持っていますので、ご希望の皆様にはお送りします。お申し付けください。

ハルズサークル会員の皆様には、雑誌やタイムロードのホームページよりも 早く私がお知らせしましょう!!
どうぞご入会を!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
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