《H.A.L.'s 訪問記》


No.0020 - 2009/3/30

東京都杉並区 K.S 様-H.A.L.'s 訪問記

Vol.20「感動しました!!鸚鵡貝から生まれた真珠の美しさ!!」

         ■ Customer's history ■
 
今までにご登場頂いた皆様は一足飛びに現在のシステム構成に至ったという
ケースはごく稀である。より素晴らしい音を体験し、その価値観をご自身の
中で熟成させ、音楽を聴くという行為に付加価値を次第に身につけながら
こだわりの選択を繰り返していくものです。
 
K.S 様と知り合ったのはざっと13年前の1996年頃でした。知り合った当時は
当社にて既にお求め頂いていたB&W Matrix802を真空管アンプEAR 834Lにて
鳴らしていらっしゃいました。
 
そして、当時はまだH.A.L.が旧サウンドパークダイナ7Fにあった頃、ご夫妻で
熱心に試聴しにいらしたことがきっかけとなったものでした。
 
他のお客様が試聴されているときは背後のソファーで、またある時は持参され
たCDで色々と変わっていく展示システムの数多くを熱心に聴き続けていました。
 
K.S 様曰く「我が家の音をここの音質に近づけるにはどうしたらいいのか?」
私が旧フロアーで鳴らしていた音をずっと聴きながら、ご自身が求めていた
音とはこれ何だろう…という方向性をご夫妻で確認され、軌道修正するために
少しずつシステムを更新され始めたのでした。
 
私が最初にお勧めしたのはスピーカーの近代化でした。その場面ではK.S 様の
お部屋のサイズからするとできれば小型スピーカーがいいというご要望に対し
て推薦したものは97年に発売されたWILSON AUDIOのCUBでした。
 
量感たっぷりな不明解な低音ではなく、解像度を重んじれば量的な欲求は
二の次という割り切りが正しい選択を生むことが多数あるものです。
 
★参考リンク CUBデビュー当時のの「音の細道」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto42.html
★参考 CUB2の当時のカタログ
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/cub2.pdf
 
私が次にアドバイス申し上げたのは先ずアンプの刷新というものでした。
それはCUBを納品してからというもの、以前からのアンプで聴き続けていると
どうしても解像度や情報量がH.A.L.とはかけ離れているというご自身の判断を
うかがっての対処でした。そのアンプ選びでもK.S 様はご自身の耳、いや奥様
と一緒に試聴しての選択ということで納得の結果を次々に出されていきました。
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/concentra.pdf
 
当時はJEFFROWLAND初のインテグレーテッドアンプConcentraが評判となったが、
同時に既にデビューしていた同社のSynergy、Model 6らと比較してどうなのか、
というお問い合わせに対して、私は両者の比較試聴を何度となく行ったことを
覚えています。
 
今となっては当然のことと思いつつも、当時は1ボディーで予算的にも手軽な
Concentraにしようか、それともセパレートアンプなのか、という音質本位な
選択肢に対して、今と同じように実演を持って音質的な違いを啓蒙していたと
いうもの。そして、その結果K.S 様が選択されたのはやはりこれだった。
 
WILSON AUDIO CUBとJEFFROWLAND Synergy & Model 6 の採用がその後に多大な
影響をK.S 様にもたらしたものであり、ハイエンドオーディオを追求する最初
のステージにいよいよ踏み出されたという時代でした。
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/model2-6.pdf
 
その証拠としては、二者択一の比較試聴によって音質的に納得されたものを
選択され、翌年には次の二つを導入されたという経歴があるからです。
 
そのひとつはバッテリー駆動がパワーアンプにもたらす音質変化を試聴され、
選択されたのがJEFFROWLAND BPS-6であり…
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/bps2-6.pdf
 
更にバッテリー駆動という電源の理想をプリアンプというアイテムにスマート
に反映させたベストセラーJEFFROWLAND Coherence 2を98年に導入されたと
いう決断が試聴の上での選択!!というご自身の耳で判定するという自信につな
がってきたということでしょう。
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/coherence.pdf
 
そして、同年のこと…。旧H.A.L.にて日々導入されていく魅力的な新製品を
ご夫妻で来店され、試聴の後でどのようにご夫妻で評価されていたのか!?
 
当時のお住いにおけるリスニング環境において、WILSON AUDIO CUBをほぼ限界
まで鳴らしきったのではないかという自負もあり、その次のステップアップと
して何を追求していけばよいのか? その方向性を示す巡り合いがシステムの
入口と出口の両端でS様ご夫妻の目の前に登場したのです!!
 
ひとつは、このスピーカーの登場でした!!
 
AVALON EIDOLONが聴かせた音にしびれてしまった!!というS様ご夫妻の英断です!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto45-01.html
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/arc-eid-osi.pdf
 
優秀なスピーカーにかかるとケーブル1本から電源環境まで、当然の事ながら
ソースコンポーネントの品位までが聴き分けられるようになってくるものです。
 
スピーカーのアップグレードがS様ご夫妻に与えたインパクトは必然的に充実
していたアンプを通過してフロントエンドへと視点を戻していくのでした。
 
AVALON EIDOLONが導入された翌月には当時の必須アイテムとなっていた名器、
ESOTERIC P-0をお求めになったのも必然の帰結と言えるかもしれません。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto44-1.html
 
S様ご夫妻は必ず試聴されてから導入する製品を決定します。いや、試聴され
るからこそ次の候補と目標が見えてくるというものでしょう!!
歴史的にも画期的なメカニズムを搭載したP-0を果たしてどのように鳴らすのか?
これはすなわちD/Aコンバーターの選択ということになります。
 
そこで候補に上がったのがこれ!!
http://ilungo.com/page/ilungo_705II.html
 
ilungo audioのデビューは大変印象的でした。失礼ながら小規模ガレージメー
カーというブランドであればこそ、ご自身のもの作りのこだわりがそのままに
製品化されるという価値観を私は大いに尊重するものですが、そのような
ブランドがいきなりH.A.L.に登場するということはまずない!!
 
しかし、私を動かしたのは当時のS様ご夫妻他の常連VIPの皆様のだったのです。
 
「川又さん、これ聴いたことないですか? これってどんな音なんだろう!?」
 
と、見せられたのがステレオサウンドの雑誌広告の1ページだったのです。
この世界は広くて狭いもの(笑)
私はその広告を目にするや、その場で電話をしていました(^^ゞ
 
「あの〜、私はダイナミックオーディオの川又と申しますが…!?」
 
と、自己紹介も終わらぬ先から「あっ!!存じ上げています!!うれしいです!!」
というお言葉が。そして、下記のようなお付き合いが楠本氏と始まりました。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto45-03.html
 
とんとん拍子に話が進み、数日後にはmodel 705が持ち込まれてきました。
そして、いったん展示されたmodel 705を聴く人が増えれば増えるほど、その
音質はお客様に感動をもたらして生産が間に合わない数ヶ月間が続きました。
 
「1996年11月、東京武蔵野市に設立された社員たった一人の会社がある」と
上記の随筆の書き出しにありますが、同社のテイクオフにはお役に立てたようでした。
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
さて、S様ご夫妻は聴かなければ納得しない、そして聴いて感動されると素直
にご自身の感性に従うということ、そして選択されたものには試聴して納得
されたという自信をお持ちになっているので導入された製品には愛着も深い。
 
AVALON EIDOLONというスピーカーを導入されたのは音質的な選択が一番であり、
二番目の理由は当時のお住まいのスペースを考慮してのものだった。
 
さて、そのように皆様の感性による選択が日々繰り返されていた当時のH.A.L.
には毎週のように多くの方々が訪れ、次第にユーザー同士に親交の輪が広がっ
ていく中で、当時H.A.L.で最も話題をさらっていたのがB&W Nautilusでした。
 
そして、Nautilusを導入された他のユーザーのお宅をS様ご夫妻が表敬訪問され、
H.A.L.以外の場所でもNautilusというスピーカーのセッティングバリエーション
の幾例かを体験なさるうちにこんなことをふと思ったという…。
 
「へえ〜、Nautilusはこのくらいの部屋に入れてもいいんだ〜」
 
私はNautilusを実に様々なお宅に納品セッティングしたきたが、そのスペース
は当時のユーザーの境遇から色々なケースがあった。何もH.A.L.と同じ広さの
お部屋ばかりではなく様々なスペースの環境にNautilusをセットして良い結果
を出してきたものだった。その一例を見てピンと来たとK.S 様はおっしゃる!!
 
「これだったら今の僕の部屋にもNautilusが入るな〜!!」という決意はあっと
言う間に奥様の同意を得て新たなシステムデザインのご要望が寄せられた。
 
それは1999年のこと、現在保有するシステムにNautilusをどのように生かすの
かということはパワーアンプの選択に既に下地があったことが幸いした。
 
私も当時Nautilusシステムに使用していたJEFFROWLAND Coherence 2を既に
お持ちであること。パワーアンプも同列にバッテリー駆動として強化された
Model 6をお持ちであるので、同じゲインの同社パワーアンプであと6ch分を
追加すればジャストNautilusを駆動できる。まさに、そのために開発されたの
ではないかというパワーアンプがこれでした。JEFFROWLAND MC-6です!!
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/mc6.pdf
 
これでNautilusが鳴らせるぞ!! ということで決意されたのが99年の春でした。
Nautilusというスピーカーは電源やケーブルに大変敏感に反応します。
それを実体験としてH.A.L.にて体験され、K.S 様は着々と周辺環境を整備され
て行かれました。
 
そして、同年の秋ごろです。パワーデバイスとしてはModel 6よりも進化した
MC-6を使用しつつ、このギャップを埋めようとして2ch分を強化すべく、当時
の新製品として私が大いに推薦しベストセラーとなった同社のModel 12に更新
されたのでした。
 
★参考リンク
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/model12-10.pdf
 
さて、多くの話題を発信するにも99年当時は私はまだコンピューターを使って
いなかったものですが、その後のS様ご夫妻にNautilus以来の大きな衝撃を
与えることになるエピソードが待っていました。↓これをご覧ください。
 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/103.html
 
この中で「吉祥寺にお住まいのK・S氏」と述べているのが当然K.S 様のことで
あり、ここでご紹介しているConnoisseur 3.0 Metal Versionのパフォーマンス
に圧倒されてしまったというのがご夫妻の実感であったという。その証拠は…
 
ここで話しは変わって私がコンピューターを使い始めたのが2000年の5月から
でしたが、コンピューターのイロハとネット接続の初期設定などをして下さった
のはK.S 様でした。その際は本当にありがとうございました。<m(__)m>
 
パソコンを初めて目の前にして右も左もわからない私に、とにかくインター
ネットの接続とメールアカウントの設定をして下さり、私はただ「ほほ〜」と
感心していたばかりでした。
 
仕事でコンピューターを使うのなら何事も挑戦ということで、今までワープロ
で色々な原稿を書いてきた私は「あれもできる、こんなこともやれる!!」と
コンピューターの無限大の可能性を垣間見て感動したものでした。そして、
パソコンを手にした一か月後にハルズサークルを立ち上げたものでした。
 
当時はメール送信の基本やマナーがわからずに多くの皆様にお叱りを頂いたり
ご迷惑をおかけしたものですが、現在の私があるのもインターネットとK.S 様
のおかげであると感謝しています。
 
そして、自分で考えたコンテンツに果たして共鳴して頂けるのだろうか、投稿
など頂けるのだろうか、という不安ばかりのスタートだったハルズ・ファンの
第一号として投稿を頂いたのがこの方でした!!
 
吉祥寺在住 SEIKO 様より
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0001.html
 
今年で9年目を迎えたHAL's Hearing Reportの記念すべき第一号は、奥様より
頂戴したものでした。返す返すも本当にお世話になりました<m(__)m>
 
この第一号の投稿から、ご覧になってお分かりのように堰を切ったように次々
と感動したという試聴レポートを頂けるようになったものでした。その中で…
 
「私が一番ショックだったのは「コニサー3.0」でした。いつも通りすべて
 セッティング済みのところに主人と朝から出かけて、メロメロ(?)になって
 帰ったのは夕方の6時を過ぎていました。通常KAWAMATA ROOMに遊びに行くと
 2〜3時間はかかりますが、こんなに虜になったのは初めてでした。
 他にも大勢のお客様がいらっしゃいましたが、皆さん同様に打ちのめされ、
 室内の空気は異常に昂ぶっていました。疲れてしまって晩ご飯も食べられな
 いほど。でも、すごく心地よい疲れでした。
 そして絶対に欲しいと思いました。」
 
奥様にそこまで言わしめたConnoisseur 3.0とはやはり凄いアンプなのです!!
その数か月後には奥様の言葉は現実のものとなりました!!
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
ここで終わってしまっても何も不思議はないのですが、Nautilusは更に進化を
遂げることになります。
 
思えば1996年の9月から翌年の1月まで10種類以上のアンプとのコーディネート
でNautilusを鳴らしたものだった。その↓第八章『リターンマッチ』がポイント。
 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto39.html
 
歴代のGOLDMUND MIMESISシリーズのパワーアンプに画期的な回路を組み込み、
コンストラクションもデザインも一新するという。
 
思い返せば当時の新世代GOLDMUNDパワーアンプのデザインスケッチを見せられて
 
「川又さん、以前からのデザインから新世代のMIMESISへということで、どんな
 デザインがいいでしょうかね〜」
 
と、話していた相手はステラヴォックスジャパン社長の西川氏でした。
今までGOLDMUNDのアンプをたくさん並べてNautilusを鳴らしてきた私からは
思いつきのようで大胆な言葉をお返ししていました。
 
「あの〜、昔からGOLDMUNDのアンプを象徴していたキャリングハンドルはもう
 とってしまったらどうですか〜」(^^ゞ
 
MIMESIS 3 / 6 / 8 / 9 及びモノラルアンプとしての.4が付いた各シリーズは
アンプの高さが低くても高くてもフロントパネルの両サイドにはハンドルが
ありましたが、家庭用としては使わないものであり、プロ用機器のイメージが
家庭用アンプの販売促進効果としてイメージアップになると考えられていた
時代の遺物だと思いますよ〜、と言ったらば本当にそうなってしまったのが
MIMESIS 29 だったわけです。随筆でも述べていますが、これホントです!! (^^ゞ
 
翌1998年にMIMESIS 29.4がデビューするのですが、2000年のことMIMESIS 29.4
VOLUTIONに進化を遂げる。当時のブリーフニュースでも述べていたが、次の
特徴がMIMESIS 29.4EVOLUTIONにあった。
 
■天板にカーボンファイバーを装着。カーボンファイバーならではのより強靱
 な筐体構造を実現。
 
■メタクリレートベースにカーボンファイバーを配したエボリューションベース
 を標準装備。
 
■回路レイアウトや内部配線の徹底した見直しと、厳選したエボリューション
 グレードのチューンドエレクトロデバイスの搭載。
 
その年の11月3日に更なるビッグニュースを配信した。
 
「GOLDMUNDの総帥 Michel Reverchonが“Millennium Amplifier”を携えて
 来日します。その際には当フロアーへお招きしてユーザーとの懇親試聴会を
 催そうと考えております。」
 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/132.html
上記本文中の画像リンクは↓下記に変更されていますのでご注意を。
http://dynamicaudio.jp/audio/5555/pho/001128/gmund_mil.jpg
 
そして、Michel Reverchonが来訪されるのは2000年11月25日と決定したのです。
この場に同席されていたのがS様ご夫妻だったのです。K.S 様は英会話は問題
なくこなされるので、通訳なしでMichel Reverchonとのやり取りが色々とあった
ということは記憶しているのですが、そこで話しは次第にエスカレートして
いったのでした!!
 
かいつまんで記憶を呼び起こせば次のようなことでした…。
 
■MillenniumにはミレニアムグレードのJOBサーキットが搭載される。これは
 世代としてはJOB4の世代でありMillenniumにしか搭載しない特殊仕様となる。
 
■そのミレニアムグレードのJOB4サーキットはMIMESIS 29.4にやがて搭載して
 MIMESIS 29.4MEとして製品化の構想がある。しかし、29.4ミレニアムという
 ネーミングによるが、それは価格相応の設計仕様によるJOB4サーキットであり
 Millenniumに搭載するグレードのものとは違う。
 
■では、そのMillenniumグレードのJOB4サーキットを、Nautilusを鳴らすという
 ことで4ペアのオーダーをしたら現在のMIMESIS 29.4EVOにインストール可能か?
 
■Michel Reverchonはこう言いました!!「Yes!!」
 
各世代のJOBサーキットにはJOB3から5までと色々とありますが、回路構成は
確かにJOBの原理になるものですが、構成パーツの品位は当然価格帯によって
異なるもの。何と、そのMillenniumグレードのJOB4サーキットを搭載した世界
で唯一のMIMESIS 29.4が誕生することになった!!
 
これはMIMESIS 29.4MEとは呼べない!! MIMESIS 29.4Millenniumと言うべきだ!!
 
情熱的であり幸運でもあった、このK.S 様とMichel Reverchonとの出会いから
誕生した唯一無二のMIMESIS 29.4Millenniumが今もK.S 様に元にあるのです!!
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
歴史を語るだけで相当長くなってしまったが、それ以降はシステムの原型は
変わらず、バージョンアップを重ね長年愛用されてきたESOTERIC P-0s+VUK-P0
を親しい知人に譲られて2005年にESOTERIC P-01を導入され現在に至っている。
 
そして、完璧を期するために今年行ったK.S 様の詰めの一手がこれだった。
「AC Curator」含むMIMESISシリーズバージョンアップ(税別\640,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/support/upgrade/upgrade_08.html
 
これによって最新のTELOSシリーズの駆動力とエネルギーを追加し、まさに
世界唯一の MIMESIS+TELOS 29.4Millennium として磨きをかけたのでした!!
 
以上の履歴には紹介していないが、もちろん電源関係やオプションなどにも
こだわりを発揮し、更にNautilusがセットされた空間にもインテリアセンスを
発揮して現在に至っている。さあ、そのシステム構成の全貌をご紹介すると!!
 
 
◆H.A.L.'s 訪問記-Vol.19 東京都杉並区 K.S 様システム構成◆
 
………………………………………………………………………………
 
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/576.html
               with
StillPoints  ESS II (税別\480,000.)
http://www.accainc.jp/Stillpoints.html
 
        □Power equipments□
 
PAD Signature Series AC DOMINUS (PLASMA)
 
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ilungo audio  animato-1 1.0m RCA-RCA(税別\95,000.)
http://ilungo.com/page/productsframe.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
 
ilungo audio  model 705(税別\1,280,000.現在は\2,480,000.)
http://ilungo.com/page/ilungo_705II.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto45-03.html
           with
ilungo audio  grandezza705 400×300×90(税別\66,000.)
http://ilungo.com/page/ilungo_accesories.html
■現在はgrandezza 705mk2 400×450×90(税別\99,000.)
 
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
GOLDMUND LINEAL IC Interconnect Cable /6.0m (税別\315,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/accessories/ic_cable.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
 
Connoisseur 3.0 Metal Version (税別\8,300,000.) 
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/103.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/120.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
finite elemente  E46LA-DF (税込み販売価格 \120,000.)
 
        □Power equipments□
 
PAD Signature Series AC DOMINUS (PLASMA)+CSE ZX-80A
 
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
GOLDMUND LINEAL IC Interconnect Cable /1.0m (税別\165,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/accessories/ic_cable.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
 
B&W  Nautilus専用ch/Divider *現在は付属品として輸入されていません。
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
SAP  RELAXA2PLUS
http://www.yukimu.com/products/SAP/RELAXA2PLUS/relaxa2plus.html
 
        □Power equipments□
 
PAD Signature Series AC DOMINUS (PLASMA)+CSE ZX-80A
 
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
GOLDMUND LINEAL IC Interconnect Cable /1.0m×4Pair (税別\660,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/accessories/ic_cable.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
 
GOLDMUND MIMESIS 29.4EVO→ME×4set (税別\27,200,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/library/download/pdf/gm/ultimate/mimesis294me.pdf
               with
GOLDMUND MILLENNIUM Version Spesial“JOB4”circuit install×4set
http://www.stellavox-japan.co.jp/library/download/pdf/gm/ultimate/millennium.pdf
               and
「AC Curator」含むMIMESISシリーズバージョンアップ(税別\640,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/support/upgrade/upgrade_08.html
           with
ilungo audio  grandezza 453×465×60 (税別\77,000.)×4
http://ilungo.com/page/ilungo_accesories.html
 
        □Power equipments□
 
PAD Signature Series AC DOMINUS (PLASMA)+PAD Extension Box
               and
GOLDMUND POWER CABLE L ×8
 
………………………………………………………………………………
 
                ▽ ▽ ▽
 
………………………………………………………………………………
 
B&W Nautilus / Midnight blue (税別\11,000,000.) 2007年7月1日より
http://www.bwspeakers.jp/news/nautilus01.html
http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/514.html
 
………………………………………………………………………………
 
 
         ■ Customer's area ■
 
2009年3月某日の正午前、昌平橋から御茶ノ水に向かう上り坂を上っていく。
この坂を登りJR御茶ノ水から乗車して、もう何軒のお宅に向かったことだろうか。
 
あと二週間ほど経てば神田川を見下ろす一帯には桜の花が見ごろとなるはずが、
この日はまだ寒さが残る曇天の東京だった。目指すはJR中央線の西荻窪である。
 
K.S 様が吉祥寺から現在のお住まいに移転され、当時はNautilusも一緒に引っ
越しということで私もセッティングにうかがったものだが、早いものであれか
ら八年経った今年にパワーアンプにバージョンアップが施され、それが落ち着
いてから来て下さい、ということで本当に久しぶりの訪問となりました。
 
長年のお付き合いで十分に気心が知れ、お互いに気軽に話し合える気さくな
お付き合いをさせて頂いていますが、今回も事前に昼食をご一緒しましょうと
お誘いを頂いていました。(^^ゞ
 
JR西荻窪駅にて待ち合わせをして、S様ご夫妻の案内で駅前の路地を歩き始め
ました。車両は通行できない細い路地の両側には古い住宅が昭和の面影を残し
て居並び、レトロな門構えの個人開業医院があったり駄菓子の店や間口の小さ
な洋品店や雑貨店などが見受けられます。
 
下町ではないのですが、上品なたたずまいの中に自己主張のあるお店がところ
どころにあり、そんな路地を抜けるとこんなものが…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/01.jpg
 
由緒ある銭湯は「玉の湯」という屋号であり、webで検索すると色々なブログ
で取り上げられています。日常の営みに入浴が必要であっても、内風呂が普及
してしまった現代に銭湯が生きながらえているということは単に入浴だけでは
なく他の楽しみ方が見出されてきたということなのでしょう。この「玉の湯」
を左に見てしばらく歩くと、K.S 様がここです、と言ってドアを開けたのが
ここ「Y's Cafe」でした。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/02.jpg
 
ハーレーとシーザーの取り合わせがユニークな店ですが、私が撮影している間
にも店主とK.S 様の話し声が聞こえてきました。すなわち常連ということ。
店内に入ってみると…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/03.jpg
 
お〜、焼酎と泡盛の品ぞろえが素晴らしく、私も初めて見るものばかり…。
そう言えば前回の訪問記でも、「居酒屋ではなく蕎麦屋ですから…」という
お店をご紹介頂きましたが、この屋号「Y's Cafe」からはおしゃれで都会的な
カフェレストランを連想し、かつ店内のカウンターの様子からは居酒屋を連想
するというものですが、何とここはれっきとしたカレー屋さんだという。
 
しかし、そこにはご店主のこだわりが随所に発揮されています。天井を見上げ
ればハリセンボンの剥製が吊るされていたりウミガメの剥製が壁に飾られてい
たりと南国情緒を絵に描いたようなインテリア。ふと日替わりの黒板メニュー
を見ると…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/05.jpg
 
石垣島のペンギン食堂のラー油とか耳慣れない品がありますね〜。そして、
ランチのメニューはあることはあるのですが、注文はS様ご夫妻にお任せして
夜のメニューを見せてもらったらこんな感じ…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/41.jpg
 
やっとカレー屋さんということになってきましたが、それにしてもこだわりの
メニューがたくさんありますね〜。カレーだけは選んでくださいと言われ私も
悩んだ末に他では食べられないものをお願いしようということで注文したのが
「厚岸カキのカレー」でした。そうこうするうちにK.S 様が注文された料理が
出てきましたね〜。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/04.jpg
 
私も生まれて初めてお目にかかる料理がありました。写真左「冷奴 (石垣島
ペンギン食堂のラー油かけ)」右上「スーナとブロッコリー わさび風味」と
右下「下足バター」ということ。ご夫妻と一緒に頂きましたが、いや、旨かった!!
 
これは酒が進みそうな料理だな〜(^^ゞと思っていたらK.S 様が「川又さん、
良かったら飲んでもらっていいですよ〜」とおっしゃる。
 
いえいえ、いけません!!後を引いてしまいますので音がわからなくなって仕事
にならなくなってしまいます〜(笑)と誘惑から何とか逃れました〜(^_^;)
でも、そういうK.S 様ご本人はアルコールは全然飲まない方で奥様はいける口
というもの。次の機会にということで次の料理を待つことに…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/07.jpg
 
これは料理というわけではないが、ランチにサービスで付いてくる「じゃが
バター」だという。私が良くいく秋葉原のカレー屋さんでも切ったジャガイモ
を一緒にカレールーに煮込むのではなく、塊のままで付けてくるものですが
煮崩れしてルーの風味を損なわないようにということなのでしょう。さて次は…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/06.jpg
 
そして次はこれ「アーサーオムレツ」という料理。ネーミングはアーサーなの
ですが、この緑色のソースは香りがいいアオノリ(青海苔)のようです。
ちょっと調べると緑藻類アオサ科アオノリ属の海藻なのですが、このアオサの
ことを実は石垣島では「アーサー」と呼んでいるということで命名されました。
 
これは私も生まれて初めて食べましたが、美味しかった〜(^^ゞ
海苔と卵は相性がいいのは誰でも承知でしょうが、ほんのり塩味の青海苔ソース
をふわふわのオムレツにからめて食べると最高です!!これお勧めです〜!!
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/08.jpg
 
さて、次も初ものを頂きました!!「ゴーヤー麺チャンプルー」です。ゴーヤー
が混ざっているからというだけではないのです!!なんと、この麺にゴーヤーを
練り込んで作られているんですね〜。写真では鮮やかなグリーンのゴーヤーに
負けてしまって色彩感がわかりにくいでしょうけど、この麺は実は緑がかって
いるのです。私好みのあっさり塩味でこれが、またおいしい!!
 
S様ご夫妻とシェアーして美味しく頂きました。さて、カレーがいよいよ登場
ですが、私も生まれて初めて食べる「厚岸カキのカレー」です!!
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/09.jpg
 
先ずライスは玉ねぎのスープで炊き上げたという風味と色合いが絶妙のもの。
サフランライスという黄色いごはんがありますが、色と香りはほのかなもので
主役のカレーを上手く引き立ててくれています。ボリュームたっぷりの盛り付け
ですが、これだと肝心なカキが見えませんね〜、ということで次の写真。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/10.jpg
 
どうですか!!これ!!丸々とした大粒のカキがごろごろと出てきました。ここに
写っているのはカレールーの半分程度なのでカキはこの二倍くらい入っていて
とても贅沢なメニューですこと。
 
カレールーは欧風ということで、多分フォンドボーを利かせたものでしょうが
ほんのり甘さがあり濃厚さもありで、この牡蠣がぷりぷりとして最高でした!!
こんな店は秋葉原にはないですね〜、いいな〜ご近所においしい店があって!!
 
そして、最後に出てきたのがこれです!!(^^ゞ
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/14.jpg
 
デザートではありませんよ〜、そう灰皿なんですね〜。これはヤシの実を彫って
作ったものということで、私も初めて見たもので思わず写真を撮ってしまいました。
何でもヤシの実を乾燥させてから削り出して作るのですが、水分には弱いので
メンテナンスには気を使うとご店主はおっしゃってました。
 
ご夫婦ふたりで切り盛りしている「Y's Cafe」は基本的に定休日なしなのですが、
年間に何度かは数週間店を閉めて石垣島に行くのが恒例になっているとか。
こういう生き方もいいですね〜、自由人という感じがしますね〜(^^ゞ
 
さて、こんな雑誌がありました。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/11.jpg
 
現在はヘアスタイルが全く変わってしまいましたが、このアーチストですね〜
 
http://www.chenmin.net/
 
二胡奏者のチェン・ミンさんのお気に入りのお店として紹介されていました。
確かにここのカレーは女性好みと言えると思いますね〜。ここはぜひお勧め
しますので、一度食べに行ってみて下さい。夜もいいですよ〜(*^_^*)
 
詳しくはこちらをご覧ください。→ http://g.pia.co.jp/shop/61423
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
さて、お腹一杯ということでいよいよK.S 様のお宅に向かい歩き始めた歩道に
面した小さなお店に「川又さん、今日はオーディオの音つながりということで
面白いところがありますから見ていきましょう!!」と言うと、既にK.S 様は
ドアを開いていました。
 
先に入ったK.S 様とお店の人ですぐに談笑が始まり、何ともK.S 様は顔が広い
ことかと感心してしまいました。音つながり? とはいったい何のことでしょう?
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/15.jpg
 
店頭の一番目立つ所に飾ってあるのがこれ!!「鈴コップ」です!!
このコップを手に持って軽く振ってみると何と軽やかな鈴の音がするのです!!
 
このお店は「アトリエ・すず途」というちっちゃな個人経営の工房で、矢島
美途さんがお一人で作品を作っているという。興味のある方は検索して頂けれ
ば色々な情報がヒットすると思います。
 
何とも気さくな方で私もついつい色々と質問してしまいました。陶芸ですから
当然窯がなくてはいけないのに、こんなビルの一角のお店でどうしているのか、
と思ったら、ちょっと足を踏み入れるとコンパクトは電気窯と作りかけの作品
がぎっしり並んでいる作業場が奥にありました。
 
贈り物や結婚式の引き出物などにネーム入りコップの注文も多いとか、なるほど〜
と感心してしまいました。
 
この「鈴コップ」の中には何が入っているのだろう? 涼しげな鈴の音を聞くと
金属ではなさそうだし、他のものだと窯で焼き上げる時に溶けてしまうだろう
しと質問してみました。
 
「えっ、それは企業秘密なんだけどな〜」と笑いながら教えてもらいましたが、
中には陶芸素材と同じような粘土の小粒が入っているとか。私は更に「でも…
粘土の玉は焼いているときに内側に貼り付いてしまうのではないですか?」と
更に質問すると「それこそ企業秘密よ〜、真似されちゃったら困るから内緒!!」
と屈託のない笑顔でお話し頂きました。
 
この「鈴コップ」の他にも当然色々な作品があり、またウサギのフェルトで
作った帽子なども置いてあったりと、波長の合う方が見たら大喜びしそうな
モノばかりでした。
 
それにしても、矢島美途さんは明るいキャラクターの女性で話しは尽きません。
こういうアーチストが西荻窪にいるんだな〜、と思っていたらK.S 様はもう
一か所寄っていきましょうか!!とおっしゃる。善福寺川にほど近い住宅地の
路地に入っていくと、何の変哲もない住宅が並ぶその奥にこんな看板が…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/18.jpg
 
なになに、ミズノソラとな〜!? どんなところなのかな〜??
 
詳しくはこちらをご覧ください。→ http://www.mizunosora.com/
 
そうしたら、ちょうどこんなイベントを開催しているとか…
 
http://www.mizunosora.com/event28.html
★現在はこのイベントは終了しております。今後の開催については上記トップ
 ページより随時ご確認頂ければと思います。
 
ここでも顔が広いK.S 様はすたすたと「こんにちは〜」と言いながらドアを
開けて入って行かれます。私もあとを追うようにして中を見渡すと、おー!!
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/19.jpg
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/20.jpg
 
なるほど、ここにもアーチストたちの鳥をテーマとした作品がずらりと展示さ
れていました。これは見ごたえがありますね〜。
 
するとK.S 様は「川又さん、ぼくは日曜日にはここに座っているんですよ」と
奥の一室にある赤いソファーを指さす。ここで数多くのアーチストたちと語り
お友達を増やしているということでしょう。いい時間の過ごし方ですね〜!!
 
さて、ミズノソラとはいったい何のことでしょうか!?
 
http://www.mizunosora.com/information.html
 
↑このページの下の方に写真がありますが、庭には小さな池とベンチがありま
すが、晴れた日にはこの池に青空が写って見えるということなのでした。
都会の中の静かな隠れ家という感じで、静かで安らかな気分にさせてくれる
こんなところがあったとは驚きでしたね〜。
 
この近所では日本に生息する唯一のジャコウネコ科の動物であるハクビシンが
目撃されたことがあるというお話しをK.S 様からうかがって、ほほ〜東京にも
こんな環境と様々な暮らしぶりの人々がいるのだな〜と感心してしまいました。
 
それにしても、ご近所のコミュニティーにすっかり溶け込んで顔見知りばかり
という西荻窪は、K.S 様にとって今となっては住みやすく生活が楽しめる街と
いうことなのだと納得した次第でした。
 
今回は試聴にたどり着くまでが長くなってしまいましたが、音を語るというこ
とは人を語ることでもあり、趣味でありながらこだわりの人柄という側面を
ご紹介しておくこともSound checkの副産物としてご理解頂ければと思います。
 
さて、いよいよK.S 様のお住いが見えてきました!!

         ■ Customer's Sound ■
 
8年前に新築だったマンションも程良い風合いを外壁にまとわせて渋い外観に
なったものです。ピカピカの新築ももちろんいいですが、自然の風雨に数年間
さらされてから建物の味が出るということもあるのでしょう。落ち着きました。
 
「お邪魔しま〜す」と8年ぶりのリビングルームに入ってみると、今までの
イントロの続きがありました。
 
先ず右側のNautilusから始まって目線を右側にパンしていきますと…
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/36.jpg
 
室内には階段があり、そこここにアートがありますね〜
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/37.jpg
 
シートカバーをわざわざ外して頂いて表れたのがこのオレンジ!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/38.jpg
 
この階段を途中まで上がり見上げるとこんなライティングがありました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/30.jpg
 
そして、階段を上がりきると室内で二階構造になっていて、何とそこには!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/29.jpg
 
そう、マリンバがありました!! どんな楽器かは下記など参考に。
http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/15marimba/marimba1.html
 
奥様の趣味で始めたというマリンバは5オクターブのコンサート仕様という
本格的なもので、ちゃんと先生に師事してレッスンを受けられているという。
 
何と、私のために一曲ご披露して頂けるということで生演奏して頂きました。
拍手ー!!(^^♪ いや〜いいですね〜!! ありがとうございました<m(__)m>
 
当然のことながら、生の音というのは違いますね〜。私もマレットをお借りし
て叩いてみましたが、整然として何の濁りもない打音を体に感じるんですね〜
これは他の楽器にも言えることですが、オーディオ装置で聴く楽音とは根本的
に違う要素があるものですね〜
 
そして、お部屋の反対側にはK.S 様の趣味でウクレレのコレクションが数台
あり、楽器を奏でるのは気分転換にはいいですね〜、と思いました。
 
凝った作りのマンションですが、K.S 様から自分で掃除するときの苦労話など
をうかがいながら、再びオーディオシステムのあるリビングへと降りて行きました。
 
そこで先ず気になったのがこれ。右側のNautilusの背後にあるものはなんだ!!
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/26.jpg
 
新種のルームチューンかと思い、思わずK.S 様にお尋ねすると…。
その使い方とはこういうことだったのです。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/27.jpg
 
カラーレザーでNautilusと同じ濃紺の深いブルーで注文されたイタリア製の
インテリアだったのです。残念ながら日本には代理店がないということでした。
 
それでは、いよいよNautilusシステムの全景をご覧頂きましょう!!
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/21.jpg
 
スピーカー背面は全面ガラスの大きな窓になっていますが、そのままで撮影し
ているとK.S 様が気を使って頂き、ブラインドを閉めて頂きました。すると…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/22.jpg
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/23.jpg
 
レイアウトがあまりに決まりすぎてしまい、本当は中央にアナログプレーヤー
を設置したいという希望はありながらも、このパターンは中々崩せないのだと
K.S 様はおっしゃっていました。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/24.jpg
 
どうですか、このConnoisseur 3.0 Metal Versionの美しさ!!映えますね〜。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/25.jpg
 
そして、ここでパワーアンプの下に敷かれているカーボンと黒いボードが導入
当時はMIMESIS 29.4EVOLUTIONであったことを示すエボリューションベースです。
 
現在ではGOLDMUNDのアンプにはこのようなセッティングアイテムは全く付属
させていないので大変貴重なものとなりました。そして、チャンネル・ディバ
イダーのセッティングは下記と同じですね。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090307/Nautilus.jpg
 
これは既に二回ご紹介している埼玉県さいたま市浦和区 G.S 様と同じもので、
振動対策と電磁波・高周波の対策を同時に行ったセッティングです。詳しくは
下記をご覧ください。
 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_visi0018.html
 
ちなみに、7〜8年前のことですがG.S 様は今回のK.S 様のお宅を表敬訪問され
たことがあります。皆様のお友達の輪を広げるのも私の仕事ですから(^^ゞ
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/32.jpg
 
Connoisseur 3.0 Metal Versionのリアパネルをのぞいてみました。
Total Isolation Platformの置き方を90度反転してConnoisseur 3.0のサイズ
に合わせた工夫をしておられますね。そして、どこかで見たウッドブロックが
ここにも使われていますね〜。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/33.jpg
 
Nautilus専用ch/Dividerの後方もこのようになっていて同様にウッドブロック
のチューニングがなされています。そして、ケーブルはGOLDMUND LINEAL IC
で統一されていることがお分かり頂けると思います。GOLDMUNDは血統を重んじる
ブランドであると以前から述べてきましたが、ケーブルもその一つです。
 
私は高価なケーブルを色々と使いますが、不思議というか当然というかGOLDMUND
は自社ケーブルが一番GOLDMUNDらしく聴こえます。これ本当ですよ〜(^^ゞ
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/31.jpg
 
さて、↑ここにもオブジェがありますね〜。クリスタルなアートを飾っている
ラックも高価なものですが、そこに収納されているのはフロントエンド機器
なのです。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/28.jpg
 
スチールワイヤーで吊るすことでアイソレーションを図るという画期的なアイ
デアのラックでしたが、これも完了になってしまいましたので貴重品です。
 
さて、このようにアートの中にオーディオのアートがレイアウトされていると
いう素敵な空間ですが、こんなシーンで映えるのがNautilusのMidnight blue
という仕上げの魅力です。例えば夜は深く沈ん漆黒のブラックに見えますが、
昼間は↓こういう風にそれ自身のボディーに周囲の光景をセクシーな曲線の中
に浮かび上がらせてくれるわけです。
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/34.jpg
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/35.jpg
 
いいですね〜何年経っても飽きないデザインというのは洗練され、かつ完成度
が高いということだと思います。こういうスピーカーこそ一生ものと言えると
思います。引っ越ししても新しい環境で使い続け、周囲の風景を自らに反映さ
せるデザインはどこに行っても通用するというものでしょう。
改めて感心してしまいました。Nautilusは時代を超越した作品ですね!!
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
さて、今回は試聴に至るまで楽しくも多くの寄り道がありましたが、久々に
お伺いしてインテリアの様変わりを拝見し、やっと音を出すことになりました。
 
ご多分にもれずK.S 様は私の訪問前に電源を入れておくのはもちろんのこと、
システムエンハンサーをかけてバーンインをして下さっていました。
ありがとうございました。
さあ、最初の一曲はいつものようにこの曲から始まりました。
 
 
■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章  小澤征爾/ボストン交響楽団
 
最初に述べておきますが、K.S 様は大編成のオーケストラはあまりお聴きにな
らず、バッハをメインに小編成のクラシックがお好みだということでした。
 
ですから、ご自分のNautilusがオーケストラを鳴らしてどのように評価される
のかということは未知数であり、また音質追求の方向性としては眼中にない
方面であるということです。
 
いつものようにP-01のリモコンをお借りして、わざわざ私のためにソファーの
配置を変えて下さったということで、文句なしのセンターポジションで聴き
始めました。そうしたら…!?
 
「えっ、この弦楽器の質感は!!なんということか!!」
 
第一印象から前例のないくらい素晴らしいものでした。弦楽器すべてのアルコ
の合奏で始まる冒頭の音を聴いて私は驚いてしまいました!!
 
H.A.L.のNautilusが負けたかもしれない!!という思いがよぎったからです。
 
K.S 様ご自身はオーケストラの音質をチェックポイントとして聴いて来なかった
わけですが、このNautilusが奏でる弦楽器の何と美しいことか!!
 
しかし、美しさにも色々な種類がある。ことこの曲に関しては最も試聴体験が
多く、数え切れないほどのシステムと環境で聴いてきたものだが、こんな質感
を湛える再生音は初めてだったのです。
 
解像度、レンジ感、余韻感、初歩的な必要項目をすべて満たしているのは当然
のことながら、K.S 様のNautilusにしかない独特の個性が備わっており、それ
は明らかに魅力として認識できる美的要素を感じさせてくれます。
 
この美観をどのように例えたらいいのか、例えようのない美しさにただ聴き
入るばかりでした。聴いている最中には私の乏しいボキャブラリーでは到底
表現できないと勘弁し、あれから数日をかけてK.S 様のNautilusの音を讃える
適切な比喩を何とか捻り出しました!!(^^ゞ
 
そのビジュアル的な表現の原型は私が大好きな二人の画家の作品に対する鑑賞
と記憶からなるものです。一人はこの人です。
 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto17.html
 
スーパー・リアリズム(super realism)による緻密でリアルな画風は忘れ難く、
リチャード・エステスの個展で購入した厚いカタログは私の宝物のようなもの
になっています。今もデスク脇のキャビネットにあるので、ご来店の際に一声
かけて頂ければお見せ致します。百聞は一見にしかずという作品の縮小版を
ご覧頂くことができます。
 
何と私が持っているカタログの表紙画がwebにありました!!
http://www.goeson.net/rw/images/09/estes_original.html
 
そして、現在でも古本屋で手に入るらしいことを検索したら見つけました。
http://sgenji.jp/
ここで「リチャード・エステス」で検索してみて下さい。すると…
 
No.2898768  リチャード・エステス展
桑原住雄監修/リチャード・エステス展実行委員会/1990発行/\4,200 (本体 \4,000)
1990伊勢丹美術館/近鉄アート館/広島市現代美術館展図録
 
★参考リンク
http://www.museum.pref.kumamoto.jp/event/kikaku/1085992053-1543933/open_000.html
 
★参考リンク
http://www.allposters.co.jp/-st/Richard-Estes-Posters_c24213_.htm
 
★参考リンク
http://www.rakuten.co.jp/kagami/1779186/1799033/
 
★参考リンク
http://blogs.yahoo.co.jp/rinkunkimama/39936721.html
 
 
ちょっと脱線気味ですが、どうぞお付き合いくださいませ<m(__)m>
 
そして、もう一人のMy favorite artistとは近代日本美術史の上でもっとも
著名な洋画家の一人、青木繁です。明治15年に生まれ、わずか28歳で他界した
生涯は半ば伝説化していると言いますが、《海の幸》などは大変有名な作品で、
私の記憶にも鮮明に残っています。
 
★参考リンク
http://www.ishibashi-museum.gr.jp/collections/a.html
 
★参考リンク
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/index.php?mode=name
 
その中でも印象的なのは明治37年の作品《海景(布良の海)》同年の作《海》
の二つです。海の水は青い、または水なのだから水色という既成概念ではなく、
水だから周囲のものを写し込むという性格を描きたかったものなのか、波打つ
躍動的な海を描く色彩感は実に多数の色がちりばめられているのです。
 
近代のリチャード・エステスもそうでしょう。都市空間や水辺の風景が多数
作品にありますが、土にしてもビルの景観にしても実に多数の色合いをちりば
めて描かれます。
 
ヴァイオリンの質感、弦楽器群としての集合体、これらはラジオで聴く分には
あ〜、ヴァイオリンの音なんだな〜という色で言えば一色で描かれ聴こえてく
るものでしょうが、
 
K.S 様のNautilusが描くオーケストラの弦楽器には実に多様な色彩がちりばめ
られているのです!!その色彩感が実に豊かであり、まるで虹色と例えられます。
 
実に様々な色彩感を感じるという特徴。そこから更にイメージを膨らませてい
きました。それは宝石の美しさににも種類があり、視覚的に見たイメージに
通じる音質の特徴として私の頭の中にひらめきました!!
 
結晶構造は多くが8面体で、12面体や6面体もある炭素 (C) の同素体の一つで
あり、実験で確かめられている中では天然で最も硬い物質であるダイヤモンド。
 
ダイヤモンドの屈折率は2.42と高く、外部からダイヤモンドに入った光は内部
で全反射して外に出て行く。この光には次の3種類があるという。
 
「シンチレーション」チカチカとした輝き、表面反射によるもの。
 
「ブリリアンシー」 白く強いきらめき、ダイヤモンド内部に入った光が全反射して戻ったもの。
 
「ディスパーション」虹色の輝き、ダイヤモンド内部に入った光が内部で反射
を繰り返し、プリズム効果によって虹色となったもの。
 
この3種類の輝きとなって表れ、それらの相乗効果によって美しく見えるという。
 
皆さんがイメージしているような、あのきらめくような美しさだが、どれも
ダイヤモンドを人間の手によってカットされ、芸術的な多面体として造形しな
おされることによって生まれる輝きであり美しさというものだろう。しかし、
これはK.S 様のNautilusのイメージではない。
 
数え切れないほどのオーディオシステムを聴き、また多数のNautilusの音質を
体験してきた私が思い浮かべたK.S 様のNautilusはまさにこれだった!!
 
「実に多くの色彩感を再生音に含ませて正に虹色の音だ!!そう真珠(Pearl)
 の美しさと輝きの特徴じゃないだろうか!!」
 
地球内部の非常に高温高圧な環境で生成されるダイヤモンドは鉱物として古い
地層から産出されるのは周知のとおり。その美しさは誰しも認めるところで
しょうが、オーディオ的音質分類の項目に例えるとこの場合は違う。
 
対して、真珠は貝の体内で生成される生体鉱物です。貝の体内に入った異物を
核として、カルシウムの結晶(霰石)と有機質層(主にタンパク質)が交互に
積層し、真珠層が形成される。この有機質の薄層と霰石の薄層が干渉色を生み
出し、真珠特有の虹色が生じる。
 
宝石などが虹のような多色の色彩を示す現象を遊色効果と呼ぶらしいが、研磨
した貝殻などに見られるイリデッセンス(iridescence:にじ色、玉虫色の意)
のように複数の色彩が薄膜の透明感に多数のレイヤーを構成して多色の乱反射
に見えるあれです。
 
人間の手を加えずとも球体の真珠の表面で輝く透明感のある虹色…。これだ!!
 
カットされたダイヤモンドのように鋭角的なひし形の多面体によってスクエア
に切り取られた平面からの反射がきらっと見せる光とは違い、パールの球面に
虹色に輝く実にナイーブでありまろやかさを印象付ける輝きを私はK.S 様の
Nautilusに見ていた!!
 
「そうです!!真珠の美しさを持った音、こんなNautilusは初めてだ!!」
 
耳で聴いた音を第三者にイメージとして伝えるのは至難の業。所詮は自己満足
とも言えなくもないオーディオ的比喩の捻り技が真珠の音という表現です。
 
でも、皆さんが実際にK.S 様のNautilusを聴いたらばきっとうなずいてくれる
だろうと思います。Nautilusで聴くオーケストラの質感に新発見でした!!
 
オーケストラを聴かないK.S 様ですが、実はこんな素晴らしい音質であると
いうことを私が改めて太鼓判を押させて頂きました!!
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
オーケストラの美しさが何とも魅力的なNautilusを聴き、かつ再生音のレベル
として相当高度なものであるということを確認したあとで、ではスタジオ録音
の課題曲で次のチェックをしてみることに。
 
■“Basia”「 The Best Remixes 」CRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Basia/
http://www.basiaweb.com/
http://members.tripod.com/~Basiafan/moreimages.html#remixes1
 
ある種、無機的とも言えるサンプリング音源のドラムとパーカッションが派手
に展開するイントロです。スピーカーと環境によってこれほど低音が変わるのか
という教訓を多数のケースで聴かせてくれる選曲です。さて、スタートです!!
 
「おや…、ちょっと待てよ〜、これはひょっとすると…!?」
 
ドラムの音、打音の質感が私の記憶と全く違います。高音のパーカッションは
切れ味良く、更にBasiaのヴォーカルは真珠の輝きが美しいメークアップと
コスチュームを提供して惚れ惚れするような質感と余韻感を展開します。
 
ギター、ピアノ、ヴォーカル、高い音程のドラム、ベース、すべて素晴らしい!!
 
しかし、冒頭のドラムがどうしても引っ掛かります。もしや、という思いから
再度聴き直します。音量も変えてみました。次に変化させたものは何か?
リスニングポイントです。
 
キックドラムに相当する低音のドラム、この質感が重く低く響くものではなく
軽く高く感じられてしまいます。原因は何か? それは定在波しかありません。
 
私は左右Nautilusのセンターラインに沿って、スピーカーの向こう側、スピー
カーの中間から試聴位置まで下がりながらと耳の位置を変えながらドラムの音
質の変化を聴き分けていきます。
 
ふむふむ…なるほど〜やはりそうでしたか!!私と同じ動きをしながらドラムの
音質変化をS様ご夫妻にも確認して頂きました。確かに変わるといううなずき
を頂き、その理由を簡単に説明させて頂きました。
 
「本来はドスドスッ!!という感じなのにタンタン!!トントン!!と音色が変わり
 ますね。特に左右スピーカーの真ん中で聴くと、その傾向が一番大きくて
 ドラムの音が変調され張り詰めた高い音程でタンタン!!という感じになって
 いますね。恐らくは250Hzから300Hz付近に定在波が発生していますね。」
 
この写真を再度見て頂ければと思いますが…
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/36.jpg
 
右側のNautilusの手前には建物の柱が張り出している部分があります。
これは左側のNautilusでも同様な位置関係に同じ柱があり平行面として対向し
ている面があり、その左右の平行面の間で定在波が発生しているようです。
 
ただ、この柱の入っている壁面はコンクリートが直接張り出しているのでは
なく、内装仕上げ材のコンパネによって柱を取り囲む形になっているようです。
ですから叩くと軽い打音がします。つまり、クロスを貼ってあるパネルと柱の
間には空間があるということで、このパネルの共振周波数と定在波の周波数が
重複しあっているように感じられます。
 
しかし、この曲のこのドラムだけに定在波の影響があり、他の曲の低域部では
感じられないのです。不思議なことですが、特定の楽音のある音階だけに発生
するという現象もあるということは経験済みのことでした。ですから、それほど
深刻な問題ではありません、とお話ししていたものです。確認してみました。
 
 
■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004)
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html
 
このChristian McBrideのウッドペースでは定在波などあるのか? と耳を疑う
ように爽快なピッチカートで弾け、開放弦でぐっと重量感を伴い放ち沈み込ん
でいくベースが実に鮮明な輪郭を描きながらNautilusのセンターにくっきりと
浮かびます。
 
「これいいじゃないですかー!!」
 
DIANA KRALLの弾ける指先は実に切れ味良く、再生システムの個性として本来
はあってはいけない残響を付加することもなく実にすがすがしいエコー感を
空間に残しながら引き締まったテンションを聴かせてくれます。いいです!!
 
この後にリヴァーヴをかけていないウッドベースがNautilusのセンターでソロ
を展開するのですが、何とも素晴らしいペースなのです。まったく問題なし!!
 
特筆すべきはDIANA KRALLのヴォーカルがNautilus周辺の空間に拡散させる
広大な余韻空間であり、ふっと浮かぶDIANA KRALLの唇がぞくっとさせるリアル
さで、3メートルほど前方の明るい背景に三次元的、彫刻的な存在感をもった
立ち姿として見せてくれることです。
 
聴き手に空間の大きさと奥行き感の深さを無意識にイメージさせるNautilusの
得意技が見事に決まっており、DIANA KRALLの足元を支えるウッドベースには
何の違和感もないのです。
 
 
■MICHAEL BUBLE/1.「Fever」WPCR-11777
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html
 
次はポップなエレキベースとドラムでチェックしてみようとこの曲をかけた。
特にベースでは音階が下がる時に耳で注目し、定在波の影響が質感に影響を
与えていないだろうかと集中するのだが、何も感じられない。逆に抜けのいい
ドラムが叩かれ、タムの位置をパンしてずらしながら録音してある一打ずつを
克明な定位感で聴かせることに思わず舌を巻いてしまった!!
 
「さっきの定在波は本当にあったのか!? 他の曲では抜群の解像度と聴き知って
 いる低域が更に忠実に再現されるだけで何の違和感もないではないか!!」
 
この曲ではキックドラムにイフェクトをかけた低域が途中から重なってきて、
アクティブウーファーを搭載しているスピーカーでは低域過剰に反応してしま
う要素があるのだが、チャンネルディバイダーによって低域補償されている
はずのNautilusなのに重く引きずる超低域のドラムは逆に引き締まっている。
 
こんなことってあるのか!? と、低い周波数に向かってレスポンスを高めていく
Nautilusの低域が室内に上手く溶け込んでいるルームアコースティックの特徴
を次第に逆手にとって定在波の存在を忘れさせてくれる。これはいい!!
 
写真にもあるように反射面の多いモダンなインテリアと室内空間のはずが、
階段が伸びていく空間の大きさが上手く作用しているのか、特定周波数が協調
されるという低域は他の曲では見つけられず、セクシーな歌声のMICHAEL BUBLE
はNautilusが描く空間というキャンパスで踊っているかのように豊かな声量を
響かせるのだから堪らない!!
 
サンプル音源によるドライな楽音もウッドベースのようなアコースティックな
音源も、そして共通するヴォーカルという主役も、どれを取って見てもシステム
コーディネートのグレードの高さを彷彿とさせる演奏をこともなげに聴かせる。
 
他のお客様のNautilusの事例でも、インテリアは石の床、床から天井までの
ガラスという素材で反射面だらけの空間でありながら、室内空間が入り組んだ
構成のお宅で同様な経験をしたことがある。
 
予想としてはライブ過ぎて過剰な響きと定在波のいたずらに悩まされるだろう
と思っていたのに逆の結果となったことがある。それは響きの消え方に問題が
起こるのではなく、音波のエネルギーを空間で存続させながら余分な付帯音を
ルームアコースティックの影響で付加していないという巧妙かつ予想外の良好
な音響空間であったということが再生音を聴いて初めて分かった時だった。
 
K.S 様のお宅でも同様な予想できなかった好結果を聴くうちに確信するように
なってきたのだから不思議なものだ。低域の不純物を感じたのは一曲だけの
特定楽音のみという結論が次第に見えてきたところで、私は更に虹色・玉虫色
の光沢感と真珠のイメージを楽しみたくなってしまった。そこでこの曲だ!!
 
 
■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html
 
イントロのヴァイオリンでまず最初のオーケストラで感じたパールの質感が
蘇ってきました。球体の表面で光の反射によって透き通るような虹色の輝きを
放つ真珠の美しさは代えがたい魅力だと言える。
 
本来ならば、Connoisseur 3.0にしてもGOLDMUNDのパワーアンプにしても、
剃刀のような鋭い切れ味と鋭角的でシャープなイメージが先行するものであり、
スタジオ録音の解像度の良し悪しをたちどころに聴き手に伝えることを得意と
する傾向にあるものだ。
 
それがダイヤモンドの硬さを思わせるところなのだが、何とK.S 様のNautilus
には硬質な印象よりも真珠の光沢感のように球面で多数の色彩が積層化されて
虹の中の色と色と境目のように絶妙なグラデーションで混じり合う境界線での
中間色の諧調が極めて多数の段階に分かれていることを感じさせてくれる。
 
アコースティックギターがセンター左よりにエコー感というオーラを伴って
表れると右寄りの空間で「チーン!!」という小さい鐘が鳴り、それを合図と
していたようにちあきなおみのヴォーカルがNautilusのセンターに登場する。
 
「あー!!この、ちあきなおみの声は喉の奥が見えそうな感じだ!!」
 
各フレーズの歌詞の最後の一音にビブラートを利かせて転がすように歌う。
それはスタジオワークで追加したリヴァーヴとは違い歌手の喉元でひとつの
音を引き延ばしていく時のテクニックなわけだが、ベテラン歌手の上手さは
スタジオのマイクに喉元の振動をきっちりと拾わせていたということが手に
取るように聴き手に伝わるのだから驚いてしまった。
 
音階の低いところでは喉元を広げ、口から吐き出される空気を最小限にして
唇を開いたままでビブラートの波動がNautilusのウーファーまでも動かして
いるのだということが感じられる。深いですね〜、この人の声は!!
 
J-POPの若手シンガーが細身の音像で録音されているケースを良く見かけるが、
これは前述のオーケストラで言えば管楽器のようなイメージだろう。いつも
私が述べている音源を点として空間に定位させるという例の考え方だ。
 
それに対して、Nautilusで聴くちあきなおみの音像のあり方はオーケストラで
いうところの弦楽器に近い印象がある。つまり連続する楽音であり面として
左右スピーカーの中間にぽっかりと浮かぶというビジュアルを伴うものです。
 
ただし、この場合の面としての音像のあり方には注釈がつきます。
上記のように歌手のテクニックによって発声を長く伸ばすという局面になると
音像サイズは拡大し、歌詞の言葉の最初の発声では縮小した音像となります。
 
「いいですね〜、Nautilusで聴くちあきなおみは歌手の意図する歌い方、テク
 ニックによって口許の音像サイズが千変万化するんですね〜!!」
 
真珠の輝き、虹色の反射の美しさというイメージは楽音の質感というか中身
だけに見られる特徴ではなく、Nautilusというスピーカーにかかると歌手の
上手さを音像サイズの多彩な変化としても聴かせてくれるということか。
 
サビに近づくとウッドベースが加わり、ソロだったヴァイオリンの編成が大きく
なりと、演奏を盛り上げていきます。しかし、決してちあきなおみの音像とは
オーバーラップせずに後方に展開する慎みがあり、ヴォーカルを包み込みなが
らも混濁しない整然とした定位感が素晴らしいものです。
 
オーケストラという大編成であり多数の奏者の個々を虹色という多数の色彩感
をもってパールの音と称しましたが、たったひとりの歌手の歌声の中にも実は
多数の色彩感がちりばめられていたということが分かります。
 
ダイヤモンドの輝きは暖かいですか、それともちょっとクールに感じますか?
 
真珠の輝きは冷たくないのです!!しっとりとした表面の虹色は暖かいのです!!
 
            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
聴感上では意図的に特定の曲をかけない限り定在波は演奏に悪影響を与えては
いないということをS様ご夫妻にご説明し安心して頂きました。
 
安心したところでおやつタイムとなりました(^^ゞ
 
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/39.jpg
 
私の食欲がカメラに乗り移ったのか(笑)今回の写真の中で一番よく撮れました。
何と奥様お手製のチーズケーキをご馳走になってしまいました〜
 
いや〜、美味しかったです。ありがとうございました。<m(__)m>
 
そうこうしているうちに、S様宅のお姫様が帰宅なさいました!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/090314/40.jpg
 
通称ミニちゃん!!正式にはミニヨンヌ(Mignonne)フランス語でかわいい女の子
という意味なんですね〜(*^_^*)
 
お伺いした日はちょうどワンちゃんの美容室でトリミングにお出かけだったの
ですが、お帰りになりました〜。もう、いつもおちゃめで元気いっぱいに走り
回っていて、来店されるときも一緒の時が多いのですが、当店でも有名なミニ
ちゃんなのです。まさにS様ご夫妻の宝物なんですね〜ミニちゃんは!!
 
さて、「月のしずく」「人魚の涙」とも呼ばれているほど美しい光沢の真珠。
 
本真珠とは本来は鮑玉(あわびだま、アワビの内部に形成される天然真珠)の
事を指しますが、現在はアコヤガイの真珠もそう呼ばれるようです。
 
他にも真珠が育成される貝としては白蝶貝から南洋真珠、黒蝶貝から黒蝶真珠
(黒真珠)、イケチョウガイやカラス貝といった淡水生の貝の中に出来る真珠
は淡水パール(淡水真珠)と呼ばれる数種類があります。
 
そして、素晴らしい事にS様ご夫妻の鸚鵡貝からも10年という歳月をかけて
見事な“音の真珠”が生まれました。
 
それは聴く人の好みに合わせて虹色に、あるいは…これこそ聴き手によって
変化する玉虫色の音を出してくれるという宝石と言えるでしょう!!
 
今回K.S 様お伺いしてご馳走になるだけで何も音質的な変化、チューニングは
しなかったのかと言えば、そんなことはありません(^^ゞ
 
何もアドバイス申し上げなければずっとこのままで聴いていただろうとK.S 様
もおっしゃるエピソードがありました。
 
それはESOTERIC P-01とilungo audio  model 705に関わる使い方でした。
2005年にESOTERIC P-01を導入されて以来、このSPDIF-RCAデジタル出力は
44.1KHzのノーマルなサンプリング周波数でilungo model 705に伝送されて
いらしたのですが…「あれ!!もったいないですよ、これじゃ〜」
 
ということで、P-01のアップサンプリング機能を生かして88.2KHzに変換して
model 705に送ってあげました…。すると…!!
 
「あら、全然違うわ!!」と奥様の一声。
 
全く同じシステムなのにこの変化!! S様ご夫妻も驚き大変喜んで頂き、鸚鵡貝
から生まれた真珠が更に一段と美しくなりました!!
 
S様ご夫妻にとって「鸚鵡貝のしずく」「Nautilusの涙」としてまだまだ磨け
ば光り輝くNautilusはかけがえのない宝物なのです!!
 
K.S 様、SEIKO 様、そしてミニちゃんまで、最後はお見送り頂きまして本当に
ありがとうございました。
 
これからも末永くどうぞよろしくお願い致します。<m(__)m>


HAL's Hearing Report