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H.A.L.担当 川又利明


No.103 「あのコニサー3.0にフルメタル・バージョン登場」
写真1 写真2

まず写真1をご覧頂きたい。左側にあるのが各オーディオ誌で高い評価を得て紹介されているコニサー3.0であり、このブリーフニュースでも度々紹介してきたものである。オリジナルノーチラス、ジェフロウランドのモデル12、そしてコニサー3.0、dcsのシステム900pro/Ver1.0、エソテリックP−0、ケーブルはオールPADというラインアップではまさに次世代という形容を惜しまずに使いたいほどのクォリティーの高まりを聴かせてくれた。そして、この写真の右側にセッティングしてあるのが特注品のコニサー3.0である。箱崎のエアーシティーターミナル近くに住まわれる当フロアーのVIPであるN・I氏はシルバーノーチラスをご愛用であるが、デザインとインテリアへのこだわりから特別仕様のコニサー3.0を発注されたのである。当フロアーでますます進化するノーチラスをその都度観察されてきたN・I氏は、コニサー3.0の音質の素晴らしさは絶賛されたものの、どうしてもデザイン面で受け入れることが出来なかった。そこで私が基本構想をスキャンテックに申し入れ、大胆なブロックアルミの削りだし加工によって写真2のような見事な仕上げのフルメタル・コニサー3.0を完成させたのである。価格は予価で640万円となり、通常のウッドパネルからのバージョンアップ(価格検討中)も可能である。使用パーツと回路構成は当然同じだが、本体は標準タイプの15Kgに対して19.5Kg、電源部は16Kgに対して21.5Kgと重量が増加している。筐体の質量が増加したこと、推測ではあるが金属パネルが囲む面積が大きくなって高周波や電磁波からのアイソレーション効果が高まったこと、この二つの要素が音質に対して果たして影響力をもっているのか。私の好奇心は高まる一方であり、その回答を得る機会が遂にやってきたのである。

3月10日の夕刻、スキャンテックの佐々木氏がウンウンとうなりながらジェラルミンのトランクを運び入れてきた。待ちに待ったスーパーコニサー3.0とのご対面である。そして、通常のコニサー3.0もいっしょに持ちこんで頂いた。お陰様で私は昨年の11月から12月の2か月間でコニサー3.0を5台販売しているのだが、そのうちの3台がオリジナルノーチラスのオーナーのもとに納品されている。そして、N・I氏もノーチラスを愛用されていることから、いつのまにかオーナー同士の親交が始まっていた。従って、私はノーチラスとコニサー3.0の両者を使用されている皆様にも「いよいよIさんのコニサーが入りますよ。」と連絡をしたところ、自分が使っている通常のウッドキャビのコニサーと比較試聴したいと中野区のK・I氏からリクエストが入ったのである。そんなわけで写真1のように日本初というコニサー兄弟の揃い踏みとなった。以前に何回もコニサー3.0を聴いてきた経験から電源投入直後の演奏は聴かないことにし、例のごとくPADシステムエンハンサーをリピートしてバーンインを開始した。

翌11日土曜、私は出社と同時にヨーヨー・マを小さな音量でかけて1時間以上鳴らしておいた。そして、オーナーの皆様が来られる前に聴いておこうと、贅沢にも一人で試聴を開始したのである。「あれ、チェンバロのテンションはこんなに張っていたかな?」「マのバロック・チェロはこんなに滑らかだったかな?」緊張感と柔軟性という相反する現象が眼前に展開され、以前のコニサーとの違いを直感的に感じてしまった私はあまりの変異に戸惑いを覚えてしまったのである。それではとフォープレイの「チャント」の強烈なフロアータムをかけると、「おいおい、それはないだろう!」と迫り来るスピード感と時間軸が圧縮されたようなインパクトに度肝を抜かれてしまう。これはまずい、通常のウッド・コニサーを納品した皆さんがこの違いを聴いたら何と言うだろうか。いらぬ心配かもしれないが、明確に自己主張を始めたフルメタル・コニサーの予想以上のクォリティーに理解が追いつかないほどの興奮なのである。通電後約20時間で表面化してきたスーパーコニサーの本領に呆れていると早々とK・I氏が来店された。続いて吉祥寺にお住まいのK・S氏、そしてN・I氏と常連の皆様の顔ぶれが揃ってしまった。

ここで、ご自身のウッド・コニサーとの比較を楽しみにしておられたK・I氏が聴き慣れているというソフトが登場した。YPMというマイナーレーベルであるが、山本英次のピアノによる「スウィミング・アバウト・イン・ジャズ」(YPM008)の一曲目が両者の違いを決定的に浮き彫りにしてしまったのである。左側からリードしているウッドベース、鮮烈な山本英次のピアノが切れ込み、ジャジーなギターがからんでくる。それぞれ自宅で日々ノーチラスを聴いているオーナーたちの反応は早かった。「これ、いい、いいねぇ!」と抜群の鮮明さと解像度で繰り返される演奏に聴き入ってしまう。「それじゃ、ウッド・コニサーに切り替えましょう。」と私が席を立った。もちろんフル・ドミナスとノーチラス用RLSケーブルの使用は当然のことで最高のコンディションを維持している。さて、セッティングが終わって再び演奏が始まった。私は、このような瞬間はお客様の表情を見るのが楽しみである。まず吉祥寺のK・S氏の顔に0.1秒のあいだ驚きが走り、その後にノーチラスの方向を数秒間凝視する。そして、もうその後は笑顔だけである。K・I氏は「これは違いますよ」と何度も繰り返し、メタル・コニサーのオーナーであるN・I氏は最初から最後まで笑顔である。実際ベースのテンションはあまくなり、ピアノのアタックは不鮮明になり、そしてギターのノリもほころびてしまった。そして、面白いことにメタルコニサーの電源にウッドコニサーの本体を組み合わせた音には微妙な違和感があり、逆にウッドコニサーの電源でメタルコニサーを鳴らすと大変微量な質感の違いを聴かせるではないか。このクロスチェックは私も初めてのことであり、結果的に純正の組み合わせが不思議に演奏を盛り上げる説得力が感じられるのである。また、アンバランスとバランスの双方も比較し本当にコニサーの魅力を骨の髄まで堪能する数時間となった。興奮が居合わせた人々を包み込み、演奏は途切れることなくあっというまに閉店時間を過ぎてしまった。ただし、この経験からノーマルのコニサー3.0に対して音質的に異議を唱えるということはない。あくまでもコニサー3.0の魅力と能力は仕上げによって左右されるものではなく、ここでは両者を一挙に比較試聴することが可能となり、その単純明快な比較によって異なる音質をデフォルメして表現しているに過ぎないことをつけ加えておく。

いやはや仕上げに関しても惚れ惚れするほどの緻密な高級感をただよわせ、再生音に関しても無類の進化を遂げたフルメタル・コニサーにはただただ敬服するのみである。
さて、ここでキーパーソンが一人登場する。いつもK・I氏といっしょに来られる女性J・N嬢がその人である。このご婦人は理屈はともかくハートに響かないとK・I氏のお買物には賛成票を投じない。逆にご自身が感動され気に入ったものがあるとK・I氏に購入をせまるという営業マンの私から見ると大きなかぎを握る重要人物なのである。
そのJ・N嬢は時間の都合で先に述べたメタルコニサーとウッドコニサーの比較試聴をしていなかったのである。昨日の興奮が覚めやらぬ翌日曜日のこと、意外にもK・S氏が来店される。私は連日のご来店を予測していなかったためにあっけにとられていると、「実はNさんが昨日の音の違いを聴いていなかったんでもう一度集まることになったんですよ。」とおっしゃる。しばらくすると再び同じ顔ぶれが揃った。とにかくJ・N嬢に理屈は通用しない。彼女のハートにビッビッと感じてもらわなければ商談は先には進まないのである。そして、まず昨日と同じ山本英次のピアノをメタルコニサーで聴いて頂き、次にウッドコニサーに切り替えて同じ曲を同じボリュームでリピートした。その結果を知っている男性陣はうんうんとうなずきながら視線は自然とJ・N嬢に集まっていた。「これ違うじゃない。なんかこう、演奏がゆるんじゃった感じよ!」とジェスチャーを交えて声をあげられる。「やった!」これは私の内心の声である。その後も数時間にわたり比較試聴が繰り返され、どうやらJ・N嬢にも気に入って頂けたようである。その証拠は「川又さん、ウチのコニサーもバージョンアップできるんでしょ。」の一言となって表れた。そして、次にきつい1発が続いた。「安くしてくれるんでしょうね!」「私はいつもNさんの言いなりですよ」と笑顔の応酬が続く。現在のところコストを試算中ということでバージョンアップの価格は決まっていないのだが、K・S氏もK・I氏もフルメタル・コニサー3.0へのアップグレードを決意されたようである。

このフルメタル・コニサー3.0は発注者であるN・I氏に仕上げと音質の両方で合格点を頂戴したようであり、当フロアーでバーンインを施して4月上旬の納品が予定されている。それまでは世界で唯一のコニサー&ノーチラスの演奏を一般の皆様にもおすそわけできることになった。そして、N・I氏に納品を済ませた後に、私の手元に置こうとするコニサー3.0は果たしてどちらにすべきなのか、目下のところ思案中である。

「高いものばかりを集めれば、いい音がするのは当たり前だよ。」このような意見には次ように反論したい。仮りに中華料理の高級食材と言われるツバメの巣、フカヒレ、はては熊の手などを取り集めたとして、一般の主婦が果たして調理できるだろうか。同じようにキャビア、フォアグラ、トリフュ、なども、経験とセンスを持ち合わせていない人に料理しろといっても無理であろう。オーディオのコンポーネントも食材と同じ素材であり、それをいかにして生かすかということは知識、技術、感性の三要素が揃わないと難しいものである。そして、世界的な名声を勝ち得た演奏の名手には名器と言われる楽器を演奏する機会が与えられるという例えも同様なものだろう。内外のハイエンドメーカーの設計者、あるいは経営者を感動させ納得させるデモンストレーションが行われているからこそ全世界的に見て素晴らしい素材コンポーネントが集まってくるのである。そして、そこに集まって来られるユーザーのレベルも年々高くなってくるのである。最も大切なことは、ついこの間まではステレオの音質なんてわからないと思っていた人々が、オーディオの音質に関して自己主張を持ち始めるという成長が促される場所であるということだ。その成長は苦労や困難を経て進められるものではなく、感動し喜び涙を流しながら心豊かに進行していくという趣味の醍醐味を味わいながらということなのである。

さあ、私が述べている事柄が嘘か本当か、お試しになるのはまったくの無料です。
ぜひご体験ください。そして、話し合いましょう。
                          audio navigator T.Kawamata

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