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H.A.L.担当 川又利明




2006年2月6日
No.401 「小編『音の細道』特別寄稿 *第51弾*」
H.A.L.'s Short Essay

◇衝撃レポート◇

「こだわりの検証 ESOTERIC G-0(50万円)はG-0s(120万円)より音がいい!!」



〔1〕現状分析からの着眼点

昨年から開始した恒例のイベント“Friday concert”では数々のテーマを取り上げ
その都度新しい発見の感動をご提供してきました。
そして、今でも大変印象に残っている“エフコン”がこの企画でした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/390.html

一体型プレーヤーだけでもこの陣容です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/051216/esoteric.jpg
この他にもセパレートシステムが右側にどど〜んとあるわけですから、当日は本当
にESOTERIC一色のイベントでした。

これら新製品の詳細はこちらです。
http://www.teac.co.jp/av/

皆様にはこのように楽しみ喜んで頂いた様子でした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0249.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0250.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0251.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0252.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0253.html

そして、当日ご来店頂いた皆様は総勢16名様ということでしたが…!?
http://www.dynamicaudio.jp/file/051216/guest.jpg

私が質問したところ、この中でESOTERICのCDプレーヤーを使用しておられる方は
14名様でした。そして、このイベントでは次のポイントをX-01Limitedを使用して
の実験から始めたものでした。

・G-0sマスタークロックジェネレーターによるワードシンクの有り無しの比較
・G-0sが出力するワードシンク周波数を44.88.176と切り替えた時の比較
・G-0sにおけるクリスタルとルビジウムと発振素子による違い
・ワードシンクに使用するBNCケーブルでも音質が違うという比較
・もしも、ワードシンクに使用するBNCケーブルの方向性を逆にした時の音質変化

イベントの初っ端から集中力を要する各種の比較試聴が展開されたわけですが、
最初の「ワードシンクの有り無しの比較」を行う前に皆様に次の質問をしました。

「これほどたくさんのESOTERICユーザーの皆様にお尋ね致しますが、マスター
 クロックジェネレーターを使用しておられる方はいらっしゃいますか?」

何と、この問いかけに手を上げて下さったのはお一人だけでした。
上記のリンクで埼玉県上尾市 T T 様だけだったのです。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0251.html

この事実は少なからず私はショックを受けました。いや、冷静に考えてみれば参加
された皆様は使用していないからこそ、それを確認しにお見えになったということ
でもあるでしょう。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ここで思い出したのが、2003年から一年半の間に行ったH.A.L.'s Researchという
アンケート企画の集計結果です。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/research.html

>ズバリお尋ねいたします。ESOTERIC P-0/P-0s/VUK-Pなどの
>いわゆるP-0シリーズをご使用中ですか?
回答者 152名

>ズバリお尋ねいたします。ESOTERIC P-70をご使用中ですか?
回答者 24名

>ズバリお尋ねいたします。ESOTERIC D-70をご使用中ですか?
回答者 37名

>ズバリお尋ねいたします。なんらかのdcs製品をご使用中ですか?
回答者 70名

P-70とD-70のセットでのユーザーの重複を考慮して、更にこのあとに発売された
数々の同社新製品の販売数を考えると現在のハルズサークル会員の皆様の中では
ワードシンクの入力端子を装備しているSACD/CDプレーヤーのオーナーの総数は
軽く300名様以上に上るものと推測されます。

しかし、その中の何パーセントの方々がマスタークロックジェネレーターを使用し
ておられるのか…、と推測すると恐らくは10%以上でも20%を下回るのではと思えて
くるのです。

それは、もしかすると私にも責任の一旦があるかもしれません。^_^;

そもそもマスタークロックジェネレーターというアイテムをコンシューマー用とし
て先鞭をつけたのがこれでした。(それ以前はdcs992などのプロ機だけでした)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/151.html
これらは2001年の情報でした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/157.html

この限定50台のChronosのうち私が販売した台数は何台であったか?
このChronosの第一号機が入荷したのは2001年の10月1日でした。

メーカーの意向もあって限定50台の受注過程は公開しないで欲しいということから、
私が販売を進めつつ残り台数のカウントダウンを初めて公開したのが2002年2月
18日に配信したH.A.L.'s Circle Review-No.0282-からでした。この時、既に残り
台数は15台。この段階から急激にご注文が増えて二ヵ月後には完売となってしまい
ました。

Chronosは10MHz正弦波を出力するだけのマスタークロックジェネレーターなので、
これをワードシンクで使用するためには当時120万円だったdcs 992/2を経由しなけ
ればならず、必然的に両者で270万円のシステムとして皆様は導入されたものです。

そして、その一年後…
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/238.html

このwebではすべてを公開していませんが、この時にNo.0663でハルズサークルだけ
にお知らせしたスクープがありました。
当時はまだ正式な品名が決定していなかったので…、このような表現をしていた
ものでした。

「まだ正式な型番ネーミングは決定しておらず、略称として私は独断で“MCG-VC”
“MCG-RB”と仮の命名をしておきます。」

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

MCG-VC  高精度水晶発振器バージョン     税別定価 \500,000.
         出力周波数精度 :±0.1ppm以下

MCG-RB   ルビジウム原子発振器バージョン 税別定価\1,200,000.
         出力周波数精度  :±0.00005ppm以下

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今ではお馴染みのG-0sを当時のリファレンスシステムでじっくり検証したレポート
を三ヵ月後に公開しました。これです↓
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/240.html

その年の弊社決算である9/20に向けて急ピッチで生産を急がせていたものですが、
第一ロットの出荷はほとんど売り切れという状況だったのが思い出されます。

そして、上記のイベント参加者で唯一のG-0sオーナーのT.T様もこのように…
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0141.html

さて、ここで述べたかった私にも責任の一端が…、というのはルビジウムの音質が
G-0s内蔵のクリスタルに対して大きな格差をもって素晴らしかったということ。
これは事実なのですが、70万円の価格差は音質を考えれば妥当なものであり、どち
らを推奨するかというお問い合わせには100%ルビジウムを搭載したG-0sをお勧めし
て販売してきたということでした。

つまり、マスタークロックジェネレーター=G-0sという認識を私もESOTERICも同様
に持ってしまったことから、同社の生産比率もスタートした時の5対5から現在では
G-0sが90%以上を占めるようになってしまったのです。今ではG-0の生産は数ヶ月に
一度というところまで様相が変化してしまったという一因が私にもあったというこ
となのです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここで多数のワードシンク対応のコンポーネントを使用されている状況が
あるにも関わらず、マスタークロックジェネレーターの装着率が大変低いという
実情を考えてみました。

私も思い返してみると120万円のG-0sを購入された皆様はP-0sやP-01、DACも同社の
D-01やdcs Elgarなどのトップモデルを使用しておられる皆様がほとんどでした。
しかし、X-01やU-X1そして一世代前のP-70+D-70などのミドルクラス以下のコン
ポーネントに対してG-0sを追加しようという機運がほとんどありませんでした。

でも、これも無理からぬことでしょう。ESOTERICの場合でも単体プレーヤーとして
最近では55万円から130万円、セパレート型プレーヤーでも以前の70シリーズでは
150万円から240万円という本体に、オプションとして120万円を投じる意欲は中々
わいてくるものではありません。

マーケティングの見地からも120万円のG-0sをつなげる相手のコンポーネントは、
やはり相応の価格であるトップモデルにという図式が定着してしまったようです。

しかし、前述のイベントでのエピソードやアンケートからの推測を考えれば考える
ほど、せっかくワードシンク入力を備えたコンポーネントの潜在能力が引き出され
ていない現状に私は一石を投じたかった!!

この思いがこれから述べるドキュメンタリーを生み出したのです。



〔2〕低予算で実現したいマスタークロックジェネレーターとは!?

前述のイベントでも、同じプレーヤーにマスタークロックジェネレーターでワード
シンクをさせるとどれほど音質が向上するかは来場者に問いかけても100%の支持率
でワードシンクの効用を認めて頂きました。それほど明確な音質差だと言えます。

それは店頭での実験でも日々確認されていることであり、これほど音質向上に寄与
するマスタークロックジェネレーターをもっと多くの皆様にご愛用頂くためには
プレーヤー本体の半分から三分の一くらいの価格が妥当ではないだろうか!?

そこで先ず私が着目したのが税別価格50万円のESOTERIC G-0と25万円のG-25Uです。
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g25u/

なぜかと言えば、価格は違うのに両者の発振器出力精度はG-25Uは±1ppm、G-0は
±0.1ppmと近似しており、この程度でスペックが同じなのであれば音質的に納得で
きれば25万円のG-25Uが多数のユーザーに貢献できるのでは、という発想から私は
検証を始めました。

まず、これまでのワードシンクの検証においてリファレンスとしていたシステムを
下記のように設定しました。

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)vs G-25U(税別\250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g25u/
      ↓
7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 & D-01 and 7N-DA6300 MEXCEL AES/EBU 1.0m ×2
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 1.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓   
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
      ↓  
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓   
HALCRO dm68 ×2 (税別\5,500,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
      ↓  
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓  
 MOSQUITO NEO
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html

ここで使用する課題曲は下記の4曲として絞り込みました。

押尾コータロー『STARTING POINT』
1. Fantasy!  6.Merry Christmas Mr.Lawrence
http://www.kotaro-oshio.com/

http://www.kkv.no/
kirkelig Kulturverksted(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)
・Thirty Years’Fidelity より
7. Som en storm/Ole Paus/Oslo Kammerkor/Det begynner a bli et liv(1998)
10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003)
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

このシステムで数日間をかけての試聴と評価が始まったのです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

上記のシステムではG-0sとなっていますが、G-0として比較のためMASTERスイッチ
でXtalとさせ、G-0とG-25Uの両者共にワードシンク出力は176.4KHzに固定し、その
都度リアパネルで直接三本の7N-DA6100 BNCケーブルの配線を差し替えるという
単純であり手間ひまのかかる試聴となりました。

私の長年の経験からもスペックだけでは音質はわからないという常識的な予想は
ありました。G-25Uの7.9KgとG-0sの18.5Kgという重量差は電源の容量や筐体の剛性
を示すものであり、当然G-0が二倍の価格差を見せ付けてくれるだろうという予測
がありました。

もう、一週間前になりますが、この比較を行って課題曲のすべてでG-0の優秀さが
短時間のテストで実感されたのでした。しかし、今までG-0sを長年聴き続けてきた
私からすれば、今ひとつ物足りない音質が気になっていました。そこで、はたと
気がついたことが…

G-0の電源には“Pケーブル”と“PD”が使用されています、G-25UにはESOTERICの
8N-PC8100が使用されていました。まさかなぁ〜、と思いつつ念には念を入れてと
いうことで、この電源環境を反転したのです。すると、どうでしょう!?

「お〜い!! こりゃあまずいよ!!(笑)」

何と言うことでしょうか!! G-0よりもG-25Uの方が私がチェックしていた各項目に
おいても素晴らしくなってしまったのです。これには驚きました!!

“PEIP”デバイスの威力がマスタークロックジェネレーターに及ぼす影響がこれほ
ど大きいとは、私もその威力を再度見せ付けられた思いでした。しかし、待てよ!!
“Pケーブル”と“PD”をG-25Uといっしょに販売したら52万円にもなってしまうで
はないか!!(^^ゞ これでは私の目的にはふさわしくない。

とにかく同じ条件で比較しなければ、ということでG-0にも8N-PC8100を使用して
再度各項目をチェックし始めました。すると…

「う〜ん、参ったな〜。正直な話し私は特定のチェックポイントを聴いているので
 違いとしては認識出来るけど、この違いを一般ユーザーに比較試聴してもらって
 も多分わかる人は10人中一人か二人だろうな〜」

ここで思わぬ副産物が発見されました。

ESOTERIC P-01 & D-01にはワードシンク入力のオンオフの他に「in」と「Rb in」
のふたつのポジションがあります。この違いは私の随筆でも述べていましたが、

「加えてWORD SYNC入力ポジションを通常のINモードとRb INモードを新たに設定し、
 Rb INが選択された場合にはルビジウムのような高精度クロックとの同期のため
  に変動範囲と追従のさせ方をチューニングしたPLL回路が選択される。」

という解説がなされていました。私はクリスタルによるワードシンク信号を受け
るのだから、通常の「in」の方が良いのではないかと思い、念のためにG-0もG-25U
でもクリスタルによるワードシンク信号をこの両方で試聴したのです。

するとどうでしょう!! 「Rb in」に入力したのはクリスタル精度のワードシンクの
はずなのに、解像度、質感、余韻感などすべての項目で、あたかもルビジウムの
ような素晴らしい音質が再現されたのです!! これには驚きました!!

ワードシンクというものは送り出す側の精度だけではなく、受信する側の同期回路
のクォリティーも大変重要であるということでしょう。これは勉強になりました。

しかし、前述のようにP-01&D-01のユーザーの皆様は妥協されることなく当初より
G-0sを導入されているので、このエピソードは確認まで、ということになるでしょ
うが私としては大きなノウハウの収穫でした。

しかし、ワードシンク受信側での条件を揃えての再度の試聴を繰り返してみても、
G-0とG-25Uの送り出すワードシンクの精度が同じであれば、私の推測したような
スペック以外のポイントによる音質差はないものなのだろうか!? これだけ重厚さ
が違う設計なのだから、もっと大きな較差があってもいいのではないだろうか!!
何か釈然としない試聴結果に一時頭を抱えていました。



〔3〕本当のG-0とはこれだ!!

前述のように、なるべく低価格でマスタークロックジェネレーターの素晴らしさを
もっと多くのユーザーに提供したいと願っている私は、この比較の結果をESOTERIC
の開発者に次のようにぶつけてみました。

>下記の評価で私のセッティングによる条件の不揃いがありました。
>
>G-0sに対しては最近私が推奨している電源システムの“Pケーブル”と“PD”と
>いう製品を使って電源を取っていました。
>それに対して、G-25Uは8N-PC8100を使用していました。
>
>これに気がついて、両者のACケーブルを交換したところ、何と音質評価は逆転
>してしまい、“Pケーブル”“PD”を使用したG-25Uの音質が輝き始めました。
>
>これでは仕方ないので8N-PC8100を両方に使用して聴き始めたのですが
>困りました!!
>
>先ほどまで、これだけの格差があればG-0を再度セールスプロモーションに載せ
>るだけの根拠になると思っていたのに、電源を同じにしたらG-0の音質的な
>アドヴァンテージが大変薄くなり、ほとんど同一レベルになってしまいました。
>
>G-25Uはマスタークロックの他にもオーバーサンプリング機能を搭載しています。
>筐体にはコストはかかっていませんが、それよりもG-0は音質を追求して開発
>された単機能のものだという実感が欲しいものです。

すると次のような回答がありました。

「川又様

 熱心な試聴ありがとうございます。

 まず1点、G-0sのクリスタルモードとG-0を比較した場合について、私も厳密な
 比較を行ったことがないのですが、技術的にはG-0の方が良いと考えております。

 その理由としては、G-0sの場合、ルビジウムのユニットをいつでも使えるように
 ヒートアップしておくために常に動作させる状態にしています。
 クリスタルモードでG-0sを使う場合には、ルビジウムユニットは外乱として働い
 てしまい、その重量以外に良いことはないと考えられるからです。

 似たような事例としては、例えばX-01とG-0sを接続したままで(クロックが
 伝送されている状態)で、WORD OFFモードにして聴く音質とG-0sとX-01の接続を
 外して、WORD OFFで聴く音質とでは、かなり違いがあります。
 もちろん後者が良いハズです。

 というわけで、もし厳密な比較をしていただく場合は、ルビジウムユニットを
 外していただく方が良いと思います。 作業もすぐできると思います。」

なるほど〜、ESOTERICの開発における試聴システムや環境は私の知るところでは
ありませんが、ESOTERIC開発でも厳密な試聴を行ったことはないという。これまで
の新製品で音質決定をここで行ってきたという信頼性に自信を持って、これに挑戦
してみるか!!

ルビジウムモジュールを外すって簡単に出来るのだろうか? とトップパネルを外し
てみると…。
http://www.dynamicaudio.jp/file/060131/g0s-inside.jpg

この写真はフロントパネルが上になっている構図のものですが、この画面の左側に
TAECと書かれた小さな基板がありますが、これがクリスタル発振器です。この上に
わかりにくいと思いますが、TEACの文字の下に丸いコンデンサーが見えますが、
そのすぐ左側にある小指の先ほどの黒い小さなパーツが水晶発振素子です。この
基板の下にルビジウムモジュールが格納されているという。

http://www.dynamicaudio.jp/file/060131/separate.jpg
その左側のクリスタル発振器の基板があるアッセンブリーを取り出してみると…

http://www.dynamicaudio.jp/file/060131/heat-sink.jpg
それにはアルミの大型ヒートシンクが取り付けられており、人間の体温よりも熱い
程度に一定の温度に保たれていることがわかる。

http://www.dynamicaudio.jp/file/060131/rubidium-module.jpg
このようにずしりと重たいルビジウムモジュールが表れる。この下側にBNC端子が
見えているのがお分かりでしょうか?

この作業をしているときには上記の開発担当者との連絡が取れず、私は単純にこの
BNC出力端子を外して基板相互の信号とアースラインを解除するということで試聴
することにして再度組み立てを行って試聴室に運び込んだ。G-0とG-25Uの比較試聴
の第二ラウンドとなるが、もちろん電源環境は同一とし、上記の「Rb in」入力に
統一してのテストである。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

もう、この時点では課題曲は耳にタコの状態で私の頭の中にはすっかり各演奏の
パッセージがしっかりと刷り込まれている。最初に今では聴きなれたG-25Uを念の
ために聴き、二倍の価格差の下側の音質をしっかりとリピートして記憶を更新した。

再度ラックの後ろに回り、三本のBNCケーブルをG-0につなぎ換える。さあ、これで
本来のG-0の音質と言える比較が出来るだろう。さあ、どうだろうか!!

押尾コータロー『STARTING POINT』1. Fantasy! の最初の一音が出た瞬間である!!

「なんだ!!これは!? こんなことってあるのかー!!」

この数日間黙々と続けてきた試聴で頭の中の譜面にしっかりと黒い音符が刻まれて
いるほど聴き慣れたギターの音が別次元の解像度でNEOから飛び出してきた!!
その瞬間にG-0sとして動作しているクリスタルモードの記憶は吹っ飛んでしまった。

ギターの弦が弾かれる一音一音が輝いているのです!! 今までG-0sでクリスタル
モードとして聴いてきた音は、実は水晶の原石にラップを何重かに巻きつけて
あったのではと思えるような違いです。本来あるべき透明度が何枚かのフィルム
状のラップを巻きつけていたことで損なわれていたのでしょうか。

透明度を誇る水晶の塊に光を当てて、その影を観察するとまったく光がスルーして
輪郭だけが見えて内部が周囲の明るさと同一になった印象というか、凛とした質感
のギターは輪郭が以前にも増して鮮明になっているのに、その余韻感が透き通り
押尾のハイスピードなテクニックで弾き出されるガットの振動が織り成す音色の
レイヤーが何重に重なろうともエコー感が見事に分離するので音階の違う楽音の
連続でも決して白っぽい混濁のような不透明さが残ることがない!!

何ということだろうか!!
たった一本のBNCケーブルを外しただけなのに、これほどまで変化するとは!!

いや、これではまだ本当のG-0にはなりきっていない。

ルビジウムモジュールは今も通電されておりヒートアップ状態が続いている。
これをカットするにはどうしたらいいのか? それでは、と再び本当のG-0として
鳴らすための最後のツメを行うべく、またまたG-0のトップパネルを外すという
作業に取り掛かった。このような基板には組み立ての工程を考慮すると電源供給の
ケーブルが半田付けされるということはまずないので、狙うところは一つ。

多分これだろうと思われるソケットを外した。そして、ルビジウムモジュールの
制御基板に付いている発光ダイオードの光が消灯したことを確認して再びトップ
パネルを閉める作業を行う。本当にめんどうだ^_^;

ここで、私はついでにということでESOTERIC開発担当者にこんな質問を投げてみた。

「そこで、頻繁にトップパネルを開け閉めしなければいけませんが、厳密に言えば
 そのために6本のビスを何回も締めたり外したりは大変です。
 御社の音質評定では、トップパネルの有り無し、つまり外したままで基板の配線
 をいじりたいわけですが、トップパネルをはずしたまま、もしくはフタをかぶせ
 るように置いておくだけ、という手抜きをすると製品の音質評価に違いがあると
 お考えですか?」

すると…

>弊社では、音質調整の初期は天板をあけたままで比較作業を行ったりもしますが、
>ある程度のまとまりが出てきたところからは、外装も製品と同様な状態でないと
>音質のバランスが変化してしまうため、きちんと取り付けて行います。
>ネジの本数が何本であっても・・・・・ (泣)

という回答が来ました。そうですか〜、じゃあ、私も(^^ゞということで手間ひま
かかる試聴のために作業を繰り返していった。

さあ、これでルビジウムモジュールを電気的に完全に取り外して本来のG-0の状態
に変更することが出来た。今度はどうだろうか!?

「お〜!! 先ほどBNCケーブルを外した時の言葉はまだまだ言い足りなかったか!!」

これには驚きました。クリスタルから巻きつけてあったラップを取り払った透明感
などと発言していた自分が恥ずかしくなってしまいました。今まで聴いてきた課題
曲のすべては、写真の上に透明なセルロイドの下敷きを載せて見ていたようです。

今、この瞬間に演奏者の写真は本来の光沢感と色彩感のグラデーションを取り戻し
見た目は透明でも余分なものを通じて見慣れてきた写真が本来の描写力を肉眼に
直接送り込んできたような爽快感と驚きが私を圧倒しました。

ただひたすら透明感をイメージさせるギターは6.Merry Christmas Mr.Lawrenceに
移ってからも、その威力をイントロのシングルトーンの連続でも見せ付ける。
今までのギターは普通の白紙に水彩絵の具で淡い色彩を載せ、それを光に透かし見
ていたようだ。しかし、G-0本来のクリスタルモジュールだけの動作によるワード
シンクを受けた瞬間から、同じ絵の具を透明なアクリルボードに載せたように楽音
の周囲にまったくの空間を再構築して楽音の芯の本体と余韻とが経験のない純度の
セパレーションで私の目の前に展開し始めたではないか!!

この劇的な変化はThirty Years’Fidelityの二曲でも私の口をしばらく開けっ放し
にするだけの威力を見せ付けた。

7. Som en stormのイントロは教会で録音されたものだが、そのコーラスはカテド
ラルの窓をすべて開け放ち早朝の新鮮な空気に入れ替えてから録音し直したように
透き通っている。Oslo Kammerkorのヴォーカルを迎える直前のギターは今までの
記憶を払拭して新鮮さが段違いに向上し、それは生々しさというありふれた言葉を
二乗しなければ追いつかないほどの鮮明さを見せ付ける。Osloのヴォイスがきた!!

おー!! なんと、彼の口許のシルエットは70%くらいに投影面積を縮小し、バリトン
のバイブレーションが私の首筋に4メートル先のスピーカーから空気を通して伝わ
ってくるようだ!! う〜ん、ぞくぞくっとするようなヴォイスのリアルさは直前の
G-0との比ではない。

10 Mitt hjerte alltid vankerでは冒頭のRim Bannaのソロパートが聴きどころだ。
おー!! これは何としたことか!! 彼女の背景にあった壁が回り舞台の回転によって
すーっと消えてしまったように後方と上方に余韻が拡散していく空間を拡大してい
る。しかも、Osloのヴォイスと同じように彼女の輪郭がスポットライトを浴びた光
と影のようにくっきりしているのは気のせいだろうか!!

次に展開するコーラスの鮮明さは直前の状態よりも120%に質感を高め、その合い間
を縫って響くピアノの転がり様は何ということだろうか!!

一つのキーの打音は瞬間的に空間に舞い上がり、無風状態の中をひらひらとゆった
りと紙吹雪が落ちてくるように中空に余韻を留めている時間が延長されている。

正直に言ってマスタークロックジェネレーターの試聴でこれほどの純度の高まりを
私は経験したことはなかった。というよりもクリスタル発振素子の音質というもの
を前述のようにG-0sのルビジウムと同居する形でしか聴いていなかったという事実
を目の前に叩きつけられたようです。

G-0sのフロントパネルにあるMASTERスイッチでXtalとしただけでは、同居している
ルビジウムモジュールの影響から開放されることはないということだ、言い換え
れば私は本当のG-0を今までの三年間というものチェックすることなく、G-0の音を
知ったかぶりしていただけで本当のG-0を聴いていなかったということだ!!

G-0sでは本来のG-0の音は出ていなかったということだ!!

なんということか!! G-0とはこんなに素晴らしいものだったとは!!

数日間かけて恐らくは8時間以上をかけて検証してきたが、残念ながら現時点では
私にはG-25Uという選択肢は完全になくなってしまった。

この音であればユーザーの皆様にG-0とG-25Uを比較してもらっても、10人中9.5人
の皆様がG-0を支持するだろうと自信を持てるようになりました。

今回の題名とした「ESOTERIC G-0(50万円)はG-0s(120万円)より音がいい!!」とは、
このことなのです。クリスタルモードにおいてはG-0がG-0sを上回っているという
ことなのです。

私は常々申し上げていますが、スペックだけでは音質は語れません。
コンポーネント単体では回路構成、使用パーツ、筐体の剛性、そして電源という
各項目における完成度の追求が音質決定の要因なのです。

それがここでも確認されました。価格なりに多機能であり十分なスペックを有する
G-25Uですが、同じ±1ppmという精度であってもG-0の設計方針は明らかに二倍の
価格以上のパフォーマンスを持っているということです。いいえ!!

この本来のG-0の音質であれば、兄貴分のG-0sと一般ユーザーに同時試聴して頂く
としたら(もちろんG-0sでの切り替えではなく二台を用意してのブラインドテスト)
クリスタルの音質がこれほどまで素晴らしいということで、スペックによる信頼性
とは別に個性の選択という領域でG-0を選ぶ割合も、10人中3人から5人くらいに
なることも想定されると思われるほどなのです。

さあ、本当のG-0の音を知ってしまった私はどうすればいいのか?
これからが私の腕の見せ所です!!
どうぞ続報にご期待下さい!!



〔4〕G-0sの存在感が輝くノウハウとは!?

改めてクリスタルの本当の音質を堪能し、その興奮冷めやらぬ私ですが、これまで
G-0sを納入したお客様にとっては、本当の比較試聴をすればG-0sとG-0の支持率が
フィフティーになると思われるという表現には戸惑いもあるかもしれません。

しかし、私の追求はそれだけでは終わらなかったのです。(^^ゞ

先日のこと私は更にESOTERIC開発担当者に次のようなメールを送りました。


「ESOTERIC 加藤様
 いつもお世話になります。
 昨日もメールしましたが、ルビジウムモジュールを電源から外したG-0のクリス
 タルの音質は極めて新鮮であり素晴らしいものでした。
 クリスタルの音質にルビジウムのモジュールが不利な条件があったということは
 逆はないですか?

 ルビジウムの音質のためにクリスタルを電源から外したら、ルビジウムの音質が
 更に素晴らしくなるのでは・・・という期待感と好奇心がわいてきました。
 ルビジウムを生かしてクリスタルを外すことは出来ますか??
 よろしくお願い致します。」

すると次のような回答がありました。

>やはり川又さん、鋭いです!
>全く同じことがルビジウムにも言えます。

お〜、そうでしたか!!
やっぱり同じことが言えるのですね!!

昨日までの、ルビジウムモジュールを外したクリスタルの音を確認し記憶を戻し、
再度クリスタルモードでルビジウムをつなぎなおして音質変化を再確認。

これで通常のG-0sに戻したわけです。これでクリスタルとルビジウムの両方の発振
素子が共存した状態になりました。

これで〔3〕での音質を再確認して、どちらの素子を聴いても私には純度が落ちる
という実感がすっかりつかめるようになっていました。

ということで、早速G-0のトップパネルを外して今度はクリスタルを取り外しての
試聴に挑戦しようとしたその時。

P-01 & D-01でG-0sを使用しておられ、更にGOLDMUND MIMESIS 20MEも同時に使い
分けしておられるVIPであられる港区のS様が来店されました。S様は年間を通じて
多数のコンサートに出かけられるという方であり、実のところ今までESOTERICの
新製品をここで試聴評価している時にゲストとして同席された経験が一度ならずと
もおありになるという大変厳しい耳の持ち主です。

G-0sの音質を更に良くする実験をこれからやるところです、と言うと私の背後で
ご意見番を務めてくださることになりました。

まず、上記のアドバイスに従ってS様の目の前で、ルビジウムモードでクリスタル
基板の電源だけを切りました。

そして、課題曲を聴き終わって私も??????  という感じで微妙です。
S様も悪くはなっていないが・・・・それほどのものとは思えないと評価。

私は一計を案じて、S様にお待ち下さいとお願いし、クリスタル基板から出力され
ているBNCケーブルまで外しました。

そうしたら!! これは驚きです!!

そこでS様が一言「これいいじゃない!! さっきよりずっといいよ!!」とお顔を輝か
せて、どうやるのか? と私に問いかけていらっしゃいました。(^^ゞ

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

これは何ということでしょう!! G-0sの本当のルビジウムの音質というものも同居
しているクリスタルを生かしているという状態では引き出せていなかったのです。

押尾コータローの1. Fantasy! の最初の一音が出てから数瞬で今までになかった
ルビジウムの本来の輝きがエコー感という情報量の拡大でまず感じ取れました。

そして、それはクリスタル基板が動作しているときに比較して、すべての音像で
フォーカスの絞込みが行われており、ギターの弦をわずかにタッチするだけの
微妙な奏法での表現力が向上しています。

これが楽音のエコー感が空間に広がる際の微小信号の保存性にも関与しているのか、
楽音の湿度を量る装置があったとしたら、“音湿度”20%から快適な60%へと潤いを
増していることが誰でもわかることでしょう。

その上で音像サイズが縮小しているのですから私の理想にドンぴしゃりです。

更に6.Merry Christmas Mr.Lawrenceではギターの胴を叩く打音の響きが私が記憶
する中で最高の質感として評価できました。生演奏ではそれほどの音量にはならな
い打音でも、スタジオワークの上手さで巧妙なエコー感が漂うように録られている。

これが何とも爽快に気流に乗ったグライダーのようにすーっと流れながら消滅して
いく過程は美しいという言葉がふさわしいものでしょう。

Thirty Years’Fidelityの二曲でも同様な余韻感の美しさが今までのG-0sのイメー
ジを塗り替えてしまいました。いや、このレベルの潜在能力を持っているG-0sの
オーナーの皆様には福音というべき新発見でしょう!!

おなじみのマーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団・第二楽章
はP-01&D-01の開発段階でも繰り返し聴いた課題曲ですが、これを聴こうとしたら
結局第四楽章まで通しで聴き続けてしまいました。

「あ〜、こんなオーケストラは初めてだ!! 心地よいと表現するべきか!!」

それだけP-01&D-01には大きな潜在能力があったということなのだろうか、弦楽器
のしなやかさは過去に前例のないほどのレベルであり、また管楽器はシャープに
吹き上がるのだがストレスがまったくなく適度な輝きを忘れることはない。

木管楽器が第四楽章の13分過ぎから一楽章で演奏された主題のメロディーを奏でる
のだが、たった一本の木管楽器がこれほどホールエコーを含んでいたという事実を
見事に提示している。

柔軟性と躍動感がオーケストラにもたらす効用はプレーヤーシステムだけでは実現
できなかった。G-0sの中のルビジウムを単体で駆動することによって、同じG-0sが
これほどまでに洗練されるとは誰が予想しただろうか!!

G-0sとG-0の両者共に内蔵クロックは一つだけを動作させるということで真価が
見えてくるという発見があったが、商品としての価格差はもちろん存在する。

今回の実験でルビジウムの素晴らしさは以前の評価を明らかに更新するものだが、
それにしても120万円という価格は客層を選ぶことでしょう。

であれば、私がスポットライトを当てたいG-0の存在価値は十分に納得できるもの
であると言える。このマスタークロックジェネレーターをめぐる数日間の試聴と
実験は私に新しい局面を見せてくれました。

プレーヤーが持っている潜在能力を開発すること、それは皆様の過去の投資を保護
することに違いありません。

これから私がご提案していく企画にどうぞご期待下さい!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より最後に一言

会員向けの企画はこれから実施してまいりますので、この際に!!
このような地道な研究活動を配信しているハルズサークルにどうぞご入会下さい。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.co.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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