発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明

No.1075 2013年10月16日
 「H.A.L.'s One point impression!!-Kiso Acoustic HB-X1」


人間が五感で感じるもの。その中に“美”がある。
視覚では、美しいとつぶやいた人の視線の先をたどることで何が美しいのかを
知ることが出来る。

しかし、美しい臭いとは言わない。美しい手触りや感触とも言わない。
美しい味も微妙だろう。しかし、美しい音というのは決して不自然ではない。。

そして、この美意識というものは先天的に人間の大脳にプログラムされているのか、
生まれて初めて体験するものでも美しいという言葉が湧きあがって来る。

そして、その美意識とは体験を重ねることで、より美しいものを発見するたび
に感性に響く美の対象をレベルアップしていく習性がある。

つまり、経験値によって美に反応するための記憶の蓄積が多くなると、以前の
経験に対して比較対照し、更なる美に目覚め、逆に従来の美しさの評価レベル
を一ランク下げて表するようになるだろう。そのに美しさの追求という無限の
欲求と好奇心があるのが人間である。

2009年にKiso Acoustic HB-1を世に送り出したキソアコースティック株式会社
代表 原 亨 氏は、実は表には出さないが今までの四年間は更なる美しさを
追求してきたのであった。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は、その間に原 亨 氏の夢と理想を追いかけていたのに過ぎなかったのだろう。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/hb1/histroy.html

原 氏は発表したHB-1の更に一歩先を求め、ヨーロッパの著名な某スピーカー
ユニットメーカーに大小二通りの口径の違う特注仕様のドライバーを発注し、
それを試作に取り込んで試行錯誤の日々を相当長い期間で取り組んできたという。

処女作HB-1の個性と特徴を継承しつつ、その次の作品にも情熱を燃やした日々が
あったという事を彼は今まで口にする事はなかった。実は、それが答えだった。

HB-1のコンセプトを同じくして口径の大きなスピーカーユニットを使う事、
サイズアップさせることがグレードアップになるという一般論をたどることが
果たしてHB-1で成し遂げた美意識の進化として受け入れられるかどうか!?

原 氏の葛藤は長きに渡ったが、次第に彼の求める理想の音は試作の繰り返し
の中から原点回帰という結論を少しずつ形にしていったのだった。

そして、2013年8月21日の配信で遂に新世代HB-1を公開した!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1062.html

それから数日後のこと。新作HB-X1を携えて原 氏が来訪されたのだった。
しかし、その第一印象は期待とは少し違うものだった。

ここにある初代HB-1は下記のように導入してから鳴らし続け、おおよそ5000時間
以上もここで熟成させたというツワモノ。世界一響きの美しいHB-1と自負している。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/660.html

早速、持ち込まれたHB-X1と比較するのだが、どうも初代HB-1の方がいい…。
お値段が40万円高いのだから、相応の魅力を聴かせてくれないと納得が出来ない。

1時間くらい比較試聴した上で、私は納得がいかず初日は展示導入に至らずと
いうことでお引き取り願ったものだった。しかし…

原氏は再度の試聴をと、1週間後に徹底試聴のためにとHB-X1が持ち込まれた。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1063.html

ちょうどセッティングした当時はVoxativ Ampeggio SignatureやSonusfaber 
Olympica IIIなどの試聴評価に時間を要していたのだが、毎晩のようにエンハンサー
CD-Rをリピートさせて三日目のことだった。

それでは…、と何気なく聴き始めたHB-X1だったが、それが事もあろうに前回
とは比較にならない程の響きと、ネットワークの改良による素晴らしい情報量
で鳴り始めたのだった!!

これには感動した!!思わず私は原氏の携帯に電話をして、たった今感激した
オーケストラに関して語りはじめていたのだった。

しかし…、それはまだほんの序章にしか過ぎなかった。それから1ヶ月間をかけて
熟成を重ねるうちにHB-X1は本当のパフォーマンスを次第に発揮し始めたのである。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

毎日のように私はHB-X1を聴き続けてきた。日を重ねるほどに魅力があい増し、
そろそろ熟成の飽和曲線に差し掛かったというこの頃。私は更に多くを発見し、
その発見は新たな美意識として私の頭の中に新規設定したファイルの厚みを
増していくのだった。これは只者ではない…、原氏はこの音を狙い承知の上で
設計してきたのだろうか…。だとしたら、原氏の審美眼とは物凄いものだ!!

私は姿勢を正し、HB-X1にどのように対峙するかを考え、通り一辺倒の表現で
語る次元ではないと思い始めると原稿を書きだすことに長らくの時間を要する
ようになっていた。さあ、今が書き時だろう!! 先ずはシステム構成から…。

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Kiso Acoustic HB-X1-inspection system  ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別¥1,350,000.)★10MHz出力にて使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)+TRANSPARENT PI8(税別¥455,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別¥750,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別¥2,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p01/
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)+TRANSPARENT PI8(税別¥455,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300II XLR 1.0m×2 (税別¥580,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Devialet 500 (Devialet 240二台Dual-Mono仕様)(1Pair 税別¥3,960,000.)
http://stella-inc.com/002devialet/index.html
注:輸入元である株式会社ステラのwebサイトにはDevialet 500の紹介はありません。
http://fr.devialet.com/
http://en.devialet.com/devialet-500-touch-the-stars
本国のメーカーサイトでは500の設定がありますが、リモコン1個とストリーミング
ボードをマスター側1台のみとして、わずかですが240二台分の定価よりも安く
設定したものとなっています。

しかし、日本では将来的にDevialet 500を下取りなどで中古市場に出す時に
リモコンと基板が一台分だけしかないという事でセット販売の不利を回避して
Devialet 240を二台として取り扱う方が得策であろうと判断したものです。
     and
TRANSPARENT PLMM2X×2+PI8(税別¥935,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ZenSati Seraphim / Speaker cable 3.5m (1Pair 税別¥3,696,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Kiso Acoustic HB-X1(1Pair 税別¥1,700,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1062.html
http://www.kisoacoustic.co.jp/index.html
     and
MMW“H-Board”(W245×D301×H70mm 19kg)配送費・税込み販売価格¥68,000.
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/691.html
………………………………………………………………………………

私は一カ月以上に渡りHB-X1を聴き続けてきました。その日々の過程で独特の
響きの熟成が進行していく様を感じ、実に様々な音楽ジャンルを聴いてきました。

しかし、この曲だけはついぞHB-X1で聴こうとは思っていませんでした。

■H.A.L.'s Original Edition : GUSTAV MAHLER Symphony No.3 in D minor
マーラー:交響曲第3番ニ短調 : Direct Cut SACD (2DISC仕様/予価税込み¥35,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/959.html  ★好評販売中!!

マンフレッド・ホーネック(指揮) ピッツバーグ交響楽団によるライブ録音
として2010年6月11-15日 ピッツバーグ、ハインツホールにて収録された。
この演奏での編成は以下の通り。

1stヴァイオリン(17)2ndヴァイオリン(13)ヴィオラ(12)チェロ(11)コントラ
バス(9)ハープ(1)となり弦楽だけで63名という大編成。フルート(2)ピッコロ(1)
オーボエ(3)コールアングレ(1)クラリネット(4)ファゴット(3)コントラファゴット(1)
ホルン(6)トランペット(4)トロンボーン(3)バストロンボーン(1)チューバ(1)
ティンパニ(2:各3台ずつ)パーカッション(3)は大太鼓、小太鼓、軍隊用小太鼓、
シンバル付き大太鼓、タンブリン、シンバル、トライアングル、タムタム、
グロッケンシュピール、調律された鐘 4ないし6を含む。

ただし、楽器持ち替えはあり得るので演奏者の総数とは異なる可能性はあるが、
ざっと数えても99名という大編成である。この雄大かつ緻密な演奏を封じ込めた
ダイレクトカットSACDを再生するために私が選択したハイエンド・オーディオ
システムは次の構成となった。

■スピーカーシステム:Sonusfaber The Sonus faber (1ペア¥23,000,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto58.html
http://www.noahcorporation.com/sonusfaber/SONUSFABER.html

そう、このスピーカーThe Sonusfaberで聴いてきた印象が大変素晴らしく、
また壮大なオーケストラの重厚な低音部が果たして10センチウーファーの
HB-X1では到底再現できないだろうという思いがあったからでした。

The Sonusfaberは1台300キロにして全高1713mm、3.5ウェイ+2ウェイ、
7スピーカー構成という巨体、しかし「SOUND FIELD SHAPER」というリア
スピーカーの採用によって再現する音場感は広大で実に素晴らしいが、これに
匹敵しうるオーケストラは最初からHB-X1ではこなしきれないだろうという
既成概念があったからです。ところが…

10月になってある日のこと、私はふと思いついて音量さえ上げなければ大丈夫
だろうと試しに聴いてみることにしたのです。問題の第一楽章の冒頭を…!?

6本のホルンが一斉に咆哮し、その響きたるやスピーカーの持ち得る音場再生
能力をチェックしたくなる壮大な空間が表れる聴きどころ。個々のホルンは
もはや自分自身の音像というものを必要とせず、HB-X1の上空と左右両翼に向けて、
更には音場感における遠近法の消失点をはるか向こう側に押しやってしまった!!

冒頭のたった25秒間のホルンの斉奏だけでHB-X1のサイズは私の視界から瞬く
間に消えてしまったのです!!そして、そのホルンの音色そのものが今までに
聴いた多数のスピーカーたちと根本的に異なる質感をたたえているのが素晴らしい!!

同じ旋律を演奏しているはずなのに、時間経過と共に発した音は中空で混じり
合い、ステージ上空に虹がかかったように天空高く色彩豊かに展開するホルン
の見事さに圧倒されてしまいました!!

もう一つの気がかりは途中から打ち鳴らされる重厚な打楽器の連打。以前から
38センチウーファー擁するThe Sonusfaberでは堂々たる低音部の響きを相当な
音量で聴き感動していたものですが、10センチウーファーのHB-X1では破綻して
しまうのではと慎重なボリューム設定を覚悟していたものでした。ところが…

HB-X1のネットワークの改良は間違いなく低域の質感に大きな変化をもたらした。
それは、先ずホルンの斉奏で驚嘆すべき音場感を聴かせ、管楽器の質感に実に
多彩な色彩感を情報量の増加として納得させた後に、重量感とテンションを
両立させた打楽器の強力で迫力満点の打撃音を非常なスピード感を持って再生
する事で、更にスピーカーユニットの発したエネルギーがエンクロージャーを
第二の音源として周辺の空気に壮大な響きのパノラマを展開することで示した!!

しかし、大音量での再現性に優れるということはエンクロージャーの響きを
応用するという事でHB-X1の最大の特徴とも言えるのだが、私の着眼点は違う。

25秒間の凄まじいエネルギーの発散と空間提示の後に、大太鼓はひっそりと
たった一人で微弱な打音をステージ後方で鳴らし始める。強力な打撃音は空間
に広がる雄大さがあり、大太鼓の音像は特定出来ず残響成分が再生空間を埋め
尽くすように展開する。

だが、このパートでは低音の金管楽器と共に微弱な三連打で音像が見える!!

ステージの左奥で淡々と、しかも絶妙な力加減で叩かれた低音がふ〜と風に
吹かれるようにたなびくように空間に広がっていく描写力が物凄い!!

オーディオで言うところのスケール感とは決して大音量で迫力を求め、放射
された音波が室内を駆け回るようなものではない。

低音楽器の残響の保存性が優れ、弱音の低音階の余韻がふーと空間に拡散して
行く時にこそ、演奏会場の空間の大きさを聴き手にイメージさせるのである。

と以前にも述べているが、わずか5キロしかないHB-X1が素晴らしいのは、実は
このスケール感の再現性が大型スピーカーと比較して全く引けを取らないと
いうことなのです!!

ベッドメークのために白いシーツの端を両手で持って、何ほどの力を入れずに
ふわっと煽った時に、空気をはらんだシーツが波打ちながら広がって行き、
やがて平らなベッドの平面にシワ一つなく、ふわ〜と落ち着くまでの過程を
スローモーションで見ているようなイメージでしょうか!!

HB-X1はスピーカーユニットとエンクロージャーの共同作業で演奏する楽器と
言えます。その魅力が実は大音量再生ではなく、様々な音量で演奏された楽音
の終焉部を見事なリアルさで再現することで演奏空間の空気を作り出している
ことなのです!! 

そう、響きを作り出すスピーカーだからこそ、その響きの最終部分を大切に
することでホール感、臨場感を生成することが、小音量でのスケール感として
私にはこの上もない美しさとして感じられるのです!!

34分もある第一楽章なのに、冒頭の25秒間をこれほど語ってしまったら後は
どうするのか!?それは何も心配することはありませんでした!!

バストロンボーンやチューバという低音階の金管楽器と壮烈極まる打楽器が
大活躍する第一楽章の冒頭から10分くらいは流麗な弦楽器の出番はあまりない。

11分くらいからは端正な木管楽器が点滅し始め、トライアングルの響きを中央
に従えて主題の展開が新たに始まる。このトライアングルの音像が小さい。

どうも他のオーケストラや違うスピーカーではトライアングルの音がことさら
強調されるように再生されることがあるが、響きの大空間を発生させるHB-X1は
一粒の真珠をつまみ上げるように微小な音像のトライアングルを奏でる。
決してきらきらと光り輝くダイヤモンドのようなトライアングルではない。

やがて軍隊用小太鼓のスネアーが左奥から行進曲のリズムを刻み始めるが、
その余韻がステージを右方向へと尾を引くすい星の輝きのように飛翔する。

ヴァイオリンのソロパートが表れるとトライアングル同様に誇張感のない
小ぶりな音像を提示し、右側のトランペットと対峙するように展開する。

弦楽器ひとつが発生する余韻感は正攻法のボリューム感で立ち位置を表現し、
対照的にトランペットの響きは自分の位置を起点にして優雅にして鮮明な
響きの伝承をステージの上手から下手へと促していく。

その両者の質感たるや響きのオーラをまとった彫刻の立像のように立体感と
存在感を示し、しかしオーケストラの楽員の一人であるという音像サイズが
きれいにステージ上に立ち上がる。決してソロパートの演奏を誇張することなく、
オーケストラの中でのバランス感覚は秀逸にして端正な演奏者を描き出す!!

20分辺りから流れるようなヴァイオリンの合奏が滑らかに展開し、この曲では
左側に位置するコントラバスと右側にあるチューバという弦と管の対比を
ステージの両翼に展開し、その低音部の掛け合いが進行するうちに主題が再度
提示され第一楽章の最終部に向けて何回も折り重なるソナタ形式が重厚さを帯びる。

この壮大な第一楽章を、今HB-X1で聴けたことを私は幸運だったと感動している!!

今までに多数のオーケストラをHB-X1で聴いてきたが、ここでは弦楽器の質感
に関しては敢えて言及せずにおくことにした。

それはオーケストラをこんな小型スピーカーで聴くことの醍醐味を、まだまだ
聴きたいし語りたいという今後の楽しみにしてきたいということだろう。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

8月末から鳴らし初めてバーインを重ね、現在では800時間を超える程に鳴らして
きたHB-X1をこの二週間くらいはほぼ毎日聴き続けています。

それも、当フロアーにある錚々たるスピーカーたちではなく、私が聴きたいと
思ってしまうのがHB-X1であるというのはなぜか?

そして、毎日のように聴きはじめる最初の曲は必ずこれなのです。

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章  小澤征爾/ボストン交響楽団

今日などは先ず第二楽章を聴き、それから第一楽章に戻し第三、第四楽章と
聴き続けてしまいました!!

それは弦楽器の質感に毎週のように変化があり、熟成を重ねるうちにHB-X1の
音質に変化を感じとっていたからなのです。どんな変化か…!?
これが表現が中々難しいのですが、こんな画像で説明出来ればと考えました。

http://www.facebook.com/photo.php?fbid=383009438423910
facebook「Shaman Medicine Womanさんの写真」より (現在リンク切れ)

弦楽器群を一本の絵筆と例えたら、このように実に様々な色の絵具をまとわせ、
その一色ずつを完全に混ぜ合わせて出来上がった新しい一つの色で描くのでは
なく、多数の絵具が混じり合う前にキャンパスに乗せていく事で新種の中間色
が出来上がり、それらが混然一体となって多種多様な色彩感のグラデーション
の楽音としてHB-X1周辺の空間キャンパスに描き出していくのです!!

この絵具の色の数が日を追うごとに毎週のように増えて行ったのです!!

第二楽章の冒頭では弦楽五部が交互に主題を合奏し、左側の第一第二ヴァイオリン
のアルコが放つ余韻感はステージの下手から上手へと広がっていき、ビオラの
合奏では逆にステージの上手から下手へと余韻を発散し、見事なのはコントラバス
の重低音がひたひたと押し寄せるようにステージの奥行き方向から広がる!!

チェロとコントラバスが穏やかなピッチカートを奏でると、その余韻の生命力
は素晴らしく、ステージを駆け巡るように弾いた瞬間の弦の音を豊かな響きと
してホールの大きさをイメージさせる遠近感を提供してくれる。

このたおやかで、ゆったりとした低弦のホールエコーの何とも素晴らしいことか!!

その間に木管が中空に点で示す音源を提示すると、あたかも夜空を貫く光の
ラインとして伸びあがるサーチライトのように、上空に向けて余韻という響き
の連鎖をHB-X1は発生させているのが分かる!!

私は弦楽器群は面で、管楽器は点で、2チャンネル再生の音場感に展開すると
以前から述べていますが、この第二楽章で聴かせるボストン交響楽団の演奏と
録音状態は正に模範的なオーケストラの存在感となって感じられる。

第一第二ヴァイオリンは指揮台の近くからステージ左方向に向けて、中間に一群
の集団として、26人の演奏者たちの配列が目に浮かぶようであり、更にビオラ
とチェロ奏者18人はセンターから右側に向かって観客に左半身を見せている。

これら弦楽五部の各々のパートが明確な位置関係を示しながら、各々が奏でる
質感に他のスピーカーでは味わえない色彩感の多様さが実に素晴らしいのです!!

HB-X1は響きを作り出すスピーカーです。しかし、ハイファイオーディオとは
基本的には原音再生を目指すものであって、再生装置の作者が自分の感性を
設計に盛り込み音質を新たに創造するというのは、もしかすると原則論に反する
ことなのかもしれません。

しかし、科学的測定技術によって電気信号の伝送状態を分析して歪のない信号
を伝送し増幅していくということは大変重要なことなのですが、それを機械的
な動作へと変換するスピーカーにおいては結果的にマイクロホンで音波を測定し
電気信号の波形と比較しなければなりません。

私達はオーディオ信号の波形を測定器の画面で見ても、それがヴァイオリンの
音なのかピアノの音なのかを判断することは出来ません。しかし、スピーカー
という道具はそれが可能であり、ハイファディリティーの基本もそのレベルで
考えるとスピーカーの音はある意味では創作物なのかもしれません。

であるからこそ、虚構の産物であっても人間が作り出した美意識を音質で表現
することが許される分野だと思うのです。上記に引用した画像でコメントされ
ているのは、かのPablo Picassoの言葉です。

「Everything You Can Imagine Is Real」-想像することができるものはすべて真実-

私達がピアノの音、ヴァイオリンの音として認識し、想像できること、そこに
美の創造という行為と情熱が含まれていたとしても許される事だと思います!!

キソアコースティック株式会社代表 原 亨 氏がやりたかったこと、目指した
ことは、実は美音の創造だったのではないでしょうか。そして、原氏は美音を
想像できるだけの経験とセンスをお持ちだから、自分の美意識を作品として
ひとつのスピーカーとして固定し特定し世界中に提示したかったのだと思います。

私は仕事柄、世界中の実に多くのスピーカーを聴きますが、いくら大きくても
いくら重たくても、いくら高価であっても、それらが出せない音をHB-X1が
奏でるということを私は素晴らしい事だと思っています。
再生音ではありません。演奏するという意味で奏でると言いたいのです!!

そして、私は長らくHB-X1をはじめとするKiso Acousticのスピーカーたちを
聴き続けてきた事で、それらが発する響きの要素が分かるようになってきました。

同じ曲を他のスピーカーで聴いても感じられない色彩感が確かにあるのです。
その色彩感とは響きであり、その響きを作りチューニングしてきた原氏の理想
が音楽の美しさを作り出しているのです!!

さあ、私はこれからもHB-X1を鳴らし続け、マラソン試聴会までには1000時間を
超えるバーンインを行って皆様に聴いて頂こうと思っています。

響きのX1で私が皆様にお聴かせする音楽と選曲は何か!? ご期待下さい!!
使用システムは下記にてご覧頂けます。
http://www.dynamicaudio.jp/marathon/37/marathon37th.pdf

最後に、HB-X1で聴くオーケストラの素晴らしさに感動しましたが、スタジオ
録音のヴォーカルやポップスではどうなのか!? 

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

既にご存じのことと思いますが、Kiso Acoustic HB-1との出会いから下記の
ように様々なドラマと歴史が生まれたものでした。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/hb1/histroy.html

『触れることで響きを作る!!感性を揺さぶる前例のない音とは!!』
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/660.html
このブリーフニュースの最後には次のように述べていました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今夜も時間が無くなってきましたが、本日取り寄せた試聴盤の封を切り、深夜
一人きりになった試聴室に入り、空調と換気扇もすべて止めて聴きました。

ご存じ、森山直太郎の「さくら」です。
http://www.naotaro.com/index.asp

あの声は皆さんもご存じでしょう。そして、今まで私はラジオとテレビでしか
彼の「さくら」を聴いたことがありませんでした。

独唱と合唱の両方ともに一人きりで聴きました。不思議です。
30年以上前の青春時代を思い出し、不覚にも目頭が熱くなってしまいました。

人生には実に数多くのページがあるものです。
毎年、毎月、毎週、毎日と私たちは一枚が7枚、7枚から30枚、そして365枚と
1ページずつ白紙のページをめくりながら、そして喜怒哀楽を無意識のうちに
書き連ねたページを閉じながら生きてきたわけです。

音楽とは数百数千ページを一気にめくって過去の何かを見せてくれるものです。
そこには自分の想いが当時の言葉そのままで書かれていて、その文字の未熟さ
を恥ずかしく思いながらも切ない思い出を今は誇らしくも客観的に見ることが
出来るのでしょう。

自分の記憶の何かが反応しての涙かもしれませんが、その正体を思い出そうに
も書き忘れていたのか、あえて書かなかったのか。そのページを閉じれば今に
戻ってくる、そして音楽によって数千ページを飛び越える旅に出られる…。

Kiso Acoustic HB-1/Mahoganyはここの常設展示ということで決定しました。

私にとっての初体験の感動はきっときっと皆様にも伝わっていくことでしょう。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

HB-1誕生から四年間のうちに数十人のオーナーが誕生し、今でも各々のお宅で
音楽を奏で楽しまれていらっしゃることでしょう。そして、今までにHB-1を
お求め頂いた皆様の音楽の好みは多種多様なものでした。

クラシックやジャズ中心の方、ヴォーカルやポップスを聴かれる方、本当に
あらゆる音楽ジャンルを聴かれる皆様にご愛用頂いているものです。
そして、この八週間に渡り私も様々な曲をHB-X1で聴いてきました。

その過程において私はHB-X1の響きの要素が分かるようになってきたと述べて
いますが、オーケストラを中心とするアコースティックな演奏では、録音対象
の楽音そのものがホールでの響きを含むものであり、それにHB-X1独自の響き
が加わることで原氏の美意識を聴くことが出来ると考えていました。

では、ホールという演奏時点で響きを含み、それらを録音したものにHB-X1の
響きが加わる相乗効果という理解が出来るのですが、スタジオ録音のポップス
やヴォーカル曲ではどうなのでしょうか?

極力鮮明に各楽器のパートを個別にドライ録音し、それにリヴァーヴやディレイ、
各種のイコライジングを施して音楽作品にしているわけですから、そこに響き
の要素が加わることをどのように評価し理解すればよいのか?

さて、その課題を検討する前にHB-1の基本的な響きに関わることを確認したい。
オリジナルHB-1もHB-X1も2ウェイのクロスオーバー周波数は5KHzと設定されている。

そして、そのスロープ特性は-12dB/octということで、ウーファーと言いながらも、
その10センチドライバーの動作としては10KHzで減衰量が-12dBということで、
ヴォーカルをはじめとしてほとんどの楽音を鳴らす高域減衰型フルレンジ
スピーカーという考え方が出来ます。

トゥイーターの再生音は前方のウッドホーンを通じて正面方向に音波を放射
しているので、実質的にHB-X1のエンクロージャーに響きのエネルギーを提供
しているのは10センチウーファーのみということになります。

この10センチスピーカーの後方に放射された音波がギターやヴァイオリンの
弦の役目を果たしてエンクロージャーを響かせるのです!!

私はこれまでに何度も経験していますが、エンクロージャーに触れると大変な
エネルギーで振動しているのを指先に感じ、またHB-1シリーズはどれもエンク
ロージャーに耳を近づけるとヴォーカル他の楽音が聴こえてきます。

つまり、板厚2.5mmと3.5mmの単板であるエンクロージャーの両側面と、カーブ
している背板が第二の音源として周囲に音波を発散していることが実感される
のです。他のスピーカーでは絶対このような現象はあり得ません。

原音に忠実に…、と言っても商品化された録音作品はホール録音もスタジオ録音
もすべてスタジオワークのテクニックとマスタリングによって必ず手を加えて
ありますので、原音という言葉にこだわっても意味がない事は承知しています。

スタジオ録音の数々の曲を響きを発するHB-X1で聴くとどうなるのか? 既に
過去の四年間で語り尽くしたつもりでいた私も新たな発見と感動があったのです!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は上記のポイントを承知している上で選曲したのがこのディスクです。

メロディ・ガルドー / MELODY GARDOT 「The Absence」
http://www.universal-music.co.jp/melody-gardot
http://melodygardot.co.uk/
http://melodygardot.co.uk/album/the-absence/

実は、この選曲は上記に述べたHB-X1の響きの要素を語る上で大変有効な課題曲
でもあります。直感から感動、推測から納得へと新たな発見が続きました!!

track 1.Mira

ブラジルの楽器カヴァキーニョ(鉄弦4弦で小型のギターという感じの楽器)が
軽快な伴奏を加え、タイトルの「ミラ」はポルトガル語でサンバのリズムで
MELODY GARDOTの歌はスペイン語。ブラジルの人々は何か驚きを感じると
“ミラ・ボウス”と言うのだそうで、見て見て!!という感じで使う言葉だという。

私はこの一曲目を聴き始めた瞬間、正に内心でミラ・ボウス!!と叫んでいた!!

昨年の5月に発売されたアルバムだが、それからというものMcIntosh XRT1Kや
XRT2Kでも、TADはもちろんTIDAL Piano DiaceraやDaniel Hertzでも、Franco
SerblinのAccordoやKtemaでも、当然のことながらThe SonusfaberやAidaでも、
最近ではVoxativ Ampeggio SignatureやOlympica IIIでも、実に多数のスピーカー
とシステム構成でこのアルバムを聴き続けてきました。その私がミラ・ボウス!!

MELODY GARDOTはオペラ歌手のように体全体で歌うというタイプではない。
どちらかというと聴き手に寄り添うように、ひそやかな歌声であり気品があり、
たおやかに耳元で囁くような雰囲気で歌う。

そのMELODYの第一声を聴いた瞬間に、思わず過去の記憶がハイスピードで再現
され、そのどれとも違う傾向であることが数秒のうちに確認されると、私の脳裏
には「新種発見」ただし感動的と書かれたフラッグがピーンと立ち上がった!!

錚々たるスピーカーとシステム構成で一年以上に渡り聴き続けていたこの曲。
わずかなイントロから直ぐにMELODYのヴォーカルが入って来るが、敢えて肉声
と書きたくなるようなリアルさ!!

それはMELODYの発した声が独立した音場感を構成しており、彼女の周辺にあた
かも反射板のパーテーションが設置されているかのように、ヴォーカルの厚み
が歌声の一次反射とも言うべき素晴らしいエネルギー感の保存性を見せつける。

ヴォーカルそのものが独自の音場感を持つということをどのように例えるか?
私がセットした左右HB-X1の間隔は約2.8m、その両者に極めて薄い光沢感のある
長さ4m程のシルクのベールをふわっとかけたとしましょう。

左右のHB-X1をゆったりと包み込み、その間には微風にもなびくような純白の
ドレープがかかった膜がふんわりと存在しているとイメージして下さい。

その透き通るように薄いベールに卓球のピンポン玉をジャストセンターに投げ
付けて、当たったところから水面に広がる波紋のように、MELODYの発した声が
左右両翼に向けて広がっていき、同時にスピーカー後方へもたわんだベールが
何回も揺れ続けて行く…、こんなイメージでしょうか!?

つまり、MELODYの歌声そのものが空間に存在感を漂わせ、しかも低い音階の
彼女の声は喉もと深くにビブラートの源泉があるように低く厚く震えています!!

正に胸元から、いや腹から吐き出した息吹が低い周波数の響きを引き出して、
オンマイクでレコーディングしたようなストンと沈む込む低音階の響きを楽々
と再現してしまうから驚きです!!

サンバのリズムに乗って多様なパーカッションとラテン楽器が陽気な伴奏を
展開するが、その鮮度たるや呆れるほどの瑞々しさにあふれ、中空に拡散する
個々の楽音の余韻感ときらめきが只者ではないことを裏付けてくれる。

まるで前述のシルクのベールにミラーボールの細かい反射光がキラキラと当たり、
その光点の一つ一つが楽音の定位感と音像を示すように乱舞する美しさ!!

track 5.Lisboa

私は不勉強なもので、この曲の英語のタイトルを見ても上手く発音できずに
何のことかと分からなかったが、ポルトガルの首都リスボンのことだった。

MELODYが旅したリスボンの街に響く鐘の音を録音しておき、帰国してから7カ月後
にレコーディングした曲だと言う。彼女が作ったこの曲はイントロに入って
いる鐘の音と同じキーになってしまったという後日談が記されていた。

この題名を無理やりカタカナで表記するとリジュボアとなるのだろうが、彼女
の歌声ではもっと滑らかに聴こえる。街中のバックグラウンドノイズの中に
鳴り響く鐘の音に次いで、きれいな高音楽器がウィンドチャイムのきらきらした
音に引き継がれMELODYのヴォーカルが始まった。そして、ウッドベース…

ウッドベースが響けば、前方4m程の中空に薄膜としてゆっくりとはためいている
シルクに風を送り込んだように、ふわっと生地が広がり音場感も同時に膨らむ。
いやいや、この連携は素晴らしい!!

この曲に入っているベースは弾いた後に長く重く響く。その重量感に思わず
私は腰を浮かせてしまった。こんな低域を出すのか!? HB-X1は…!!

私は思わず立ち上がりHB-X1に近付いて行き、遂にはエンクロージャーに片耳を
触れるようにして聴覚での観察を始めていた。

HB-X1の真後ろに来てもMELODYの歌声は十分に鮮度を保っており、くぐもった
鼻声になると思ったら大間違い。ヴォーカルそのものがHB-X1の周囲から湧き
上がって来るように後方にもサービスエリアを広げていく。

HB-X1のボディーの最も太いところ、つまり10センチユニットのある両側面が
最も大きな響きを放射し、耳を上の方に移動していくと響きの周波数は高い
方向に変化し、振動の大きさも小さくなる。

また、カーブしているエンクロージャーの背中に耳を近づけて下から上へと
位置を変えながら耳で観察していくと、何とパーカッションの小気味よい音も
背板から聴こえてくるではないか!! そして、耳が背板をたどり頭頂部に近付くと
両側面の響きと同様に高い周波数へと変化していくようだ。

これだけのエネルギーをHB-X1は周囲に発散しているのだから、音場感が大変
素晴らしく展開するのもうなづける。そして、その響きが実に美しく気持ちいい!!

私はHB-X1の後ろに立ち、左右の側板を両手で抑えるようにしてみると、何と
私の掌を弾けさせる程の振動が伝わってくる。ボディーの腹の部分が最も振動
が大きく、オーケストラで感じて低域の雄大な響きを醸し出し、ウッドベース
の弾かれた弦に触れてしまったのではないかと錯覚するほどのバイブレーションが、
手の平から私の耳へとHB-X1が捻り出す低音の正体を通報してくれた!!

そして、驚いたのはその振動の力強さだった!! 私はHB-X1の両側板の強力な
振動に負けじと力を加えてみたが、側板と手の平の密着度が高まり、ベースの
響きに呼応して10センチスピーカーの後方に放射された音圧が何と、押し返し
てくるようにエネルギーをどうしても放出させろと叫んでいるように感じた!!

HB-X1の脈動を両手に感じ、その力強さに感動し、そして広大な音場感を発生
するための調整された響きに原氏のセンスと情熱を感じとっていました!!

そこで、私はあることに気がついて選曲を変えて実験すると、HB-X1の低域
再生能力とは、実は全くの正攻法であったという結論に至ったのです。

同価格帯での好敵手、Olympica IIIの分析では下記のように述べていました。

「H.A.L.'s One point impression!!-Sonusfaber Olympica III」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1066.html

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■“Basia”「 The Best Remixes 」CRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Basia/
http://www.basiaweb.com/
http://members.tripod.com/~Basiafan/moreimages.html#remixes1

この曲も数々のシステム構成で課題曲としてきた難物。恐らくは打ち込みと
思われる一定音質のドラム、甲高いパーカッションもそう。およそSonusfaber
のイメージとは正反対な選曲が更にOlympica IIIの低域再生の先進性を引き出す!!

イントロから繰り返されるドラムはスピーカーによって千差万別の鳴りっぷり。
小口径ウーファーでは「タンタン!」と切れ味はいいが重さはない。大口径の
ウーファーでは「ドムドム!」という感じの付帯音というか、スピーカーシステム
のエンクロージャーとポートチューニングの個性を引きずった低音になる。

「いいですね〜、このドラム!! ダンダン! とびしっと切れてます!!」

私はこの曲をThe Sonusfaberで聴きながら、ある実験をしたことがある。
それは38cmウーファーの配線を外してみるという単純なこと。そうすると…

サブウーファーを外してしまったら大そう軽い低音になってしまうのでは…、
とお思いでしょうが、実はあまり変化が出ないのです。それは、このドラムには
100Hz以下の重低音があまり含まれていないということの証になります。

つまり、このドラムの低音がスピーカーによって重く引きずるように膨らんで
聴こえたとしたら、スピーカーシステムの個性的演出が追加されているという
ことなのです。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

あのThe Sonusfaberで盛大な音量で聴いてきた強烈なドラムを実験的にHB-X1で、
Devialet 500のボリュームを少しずつ上げながら聴いてみることにしました。

すると私の推測が的中したことが即座に分かりました。HB-X1では上記のように
「ダンダン!!」どころか「パンパン!!」という音になってしまいす。それを
更に確認したいので、フュージョン系のディスクを数枚かけてみると同じ結果。

大口径ウーファーのスピーカーで聴くと迫力満点に展開するドラムがHB-X1では
同様な10センチ口径に見合ったイメージの低音になってしまいます。

これは何を意味しているのか?先ほどの5.Lisboaで聴いたウッドベースの豊満で
重厚感ある低域は一体どこに行ってしまったのかと思うはどの変貌ぶりですが、
実は私の推測が的中していました!!

オーケストラにおけるコントラバス、そして、前曲でのウッドベースも両者ともに
連続する楽音であり、低周波のマイナス方向への倍音も含まれていることから
100Hz以下の超低域も成分として録音されているということだろう。

倍音とは楽音のオクターブごとの高周波方向に向けても含まれているが、実は
オクターブ下の周波数にも含まれているもの。それが弦楽器の低域再生において
HB-X1はきちんと反応し、サイズに見合わぬ驚くほどの低域情報を聴かせる。

しかし、スタジオ録音の低音リズム楽器では150Hzから400Hzくらいの帯域に
ボリューム感を置き、大口径ウーファーで再生するとダイナミックなドラムや
ベースを聴かせるのだが、上記のThe Sonusfaberでサブウーファーを外した
時の実験のように、100Hz以下の低域成分を含んでいない録音が多数ある。

これはスタジオ録音では良い調整の結果であり、音量を上げてもウーファーが
サブソニックで不要な振幅で揺れることを抑止するものでもある。しかし、
そのために本来の低域リズム楽器の再生にはスピーカーの口径にある程度の
大きさがないと重量感が得られないケースがあります。

つまり、HB-X1は自然体で録音されている低域の情報量に反応し、低周波が
含まれている録音で連続信号の場合には実に雄大な低域を再現するが、大振幅
の打楽器などで意図的に100Hz以下をコントロールしてカットしている録音では
追随して来ないということだろう。

いくら響きを作るスピーカーと言えども、入っていない低音を捏造するような
ことを原氏はするわけがない!!では、他の課題曲でも確認してみることに。

■フィリッパ・ ジョルダーノ / デビュー・アルバム / 4.ハバネラ
http://wmg.jp/filippa/

ホール録音を演出するようなズシーンと余韻を残すアコースティックな響きの
ドラムは中々の醍醐味で響かせる。エンクロージャーの躍動感が正に空間に
与えるエネルギーの残存性を高め、同じ打楽器でもアコースティックな連続音
に関しては雄大な低音を響かせてくれる。

■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is
http://www.universal-music.co.jp/diana-krall/products/uccv-9378/

Christian McBrideのウッドペースは必然的に小ぶりでチャーミングな音像と
して展開するが、これは十分に及第点を与えられる爽快なピッチカート!!

開放弦でぐっと重量感を伴い沈み込んでいくベースが音像を膨張させることなく、
実に鮮明な輪郭を描きながら冒頭から展開する。これはいいです!!

大口径ウーファーが大振幅で叩き出した打音がスピーカーのエンクロージャー
内部で瞬時にしてもエネルギーを蓄積し、どっと流れ出す低音とは異なる質感。

そして、不思議なことに…あれほど振動していたHB-X1のエンクロージャーで
ありながら、それは音場感を拡大し低域の量感を抜群のセンスで増強するが、
絶妙のチューニングでコントロールされた低域は楽音そのものの質感を決して
濁らせることはないという原氏のこだわりが音質になっているのでした。

スタジオ録音であっても、楽音の演奏空間を解放感を持って広く大きく録音
されたものと、すべての楽器がオンマイクで眼前に展開する傾向の録音とで
HB-X1の立ち居振る舞いは大きく違っているということ!!

そして、定番の大貫妙子やちあきなおみのヴォーカル、そして前記のDIANA KRALLや
フィリッパ・ ジョルダーノの豊潤なリヴァーヴを含ませたヴォーカルに関しても、
オーケストラで例えたような色彩感の豊かさが増加した美しさに感激した!!

電子楽器やロック、フュージョン系の録音ではHB-X1は身の丈サイズの音質だが、
その他のスタジオ録音であっても本来のリヴァーヴを濁らせることなく、
美しい響きを発することで美的な再生音を聴かせてくれる…これが結論だ!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

人間が五感で感じるもの。その中に“美”がある。
視覚では、美しいとつぶやいた人の視線の先をたどることで何が美しいのかを
知ることが出来る。

と、冒頭で述べていますが、耳で美しさを感じた皆様の視線の先にはHB-X1が
あるということを、ぜひここH.A.L.にてご確認頂ければと思います!!

そして、マラソン試聴会の私のステージでのトップバッターはHB-X1です。
会場は幅と奥行きは約16メートル、天井高約5メートルのホールという空間。

そして、高さ1メートルで幅14メートルのステージで皆様の視線の先に
“美”を提供させて頂きます!! どうぞ本物を聴きにいらして下さい。


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.co.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

戻る