発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明
2012年9月25日
 No.959 「新企画⇒H.A.L.'s Original Direct Cut SACD限定発売!!」
 
■H.A.L.'s Original Edition : GUSTAV MAHLER Symphony No.3 in D minor
マーラー:交響曲第3番ニ短調 : Direct Cut SACD (2DISC仕様/予価税込み\35,000.)

これは2010年6月11-15日ピッツバーグ、ハインツホールにて収録されました。
http://pso.culturaldistrict.org/pso_home

特に下記のページで Orchestra を選択すると素晴らしいインテリアのホール
が各方向から見られますので、ステージをイメージされるのに良いと思います。
http://pso.culturaldistrict.org/pso_home/web/seating-charts

このホールで録音され私も数々の試聴で使用しているディスクとはこれです!
http://www.octavia.co.jp/shop/exton/002375.html
■マーラー:交響曲第3番(2枚組)2011/05/25発売(HQ Hybrid仕様)
マンフレッド・ホーネック(指揮) ピッツバーグ交響楽団

株式会社オクタヴィア・レコードの代表取締役 江崎 友淑 氏はオーディオにも
大変興味をお持ちの方であり、当フロアーに来訪されH.A.L.のサウンドクォリティー
を良くご存じのお一人であり、懇意にお付き合いをさせて頂いております。

EXTONはオクタヴィア・レコードが主宰するレーベルの一つですが、その商品
ラインアップの中で最も高価でありトップクォリティーなのがこれです。
http://www.octavia.co.jp/shop/direct.html

既にホーネック指揮ピッツバーグ響によるマーラー:交響曲 第1番 二長調 「巨人」は
このダイレクト・カットSACDとして2009/11/18に発売されています。
http://www.octavia.co.jp/shop/exton/001093.html

     ≪通常CDとダイレクト・カットSACD その違い≫

通常のCDプレスは、大量生産に耐えうるため3種類のスタンパーを経てプレス
の工程に入ります。(マスターテープ→マスタースタンパー→マザースタンパー
→スタンパー)この為、少なからずマスターテープからの音の変化が認められてきました。

そういった環境の中でも最高のものを商品としてお送りしてきたのですが、
さらにこのマスターテープの音とほぼ同一のものをお届けできないかと日々
工面してきました。

そこで登場したのがマスターテープから一番最初にスタンパー制作された
ヴァージンスタンパーからおこしたディスク。まさに一番絞り!の音の純度を
聞き取ることができるでしょう。

このディスクは製作者のみへのテスト用として渡されてきたもので、これまで
はオーディオファンにはまことしやかに語られていた幻のディスクです。

マスターテープのもつ瑞々しい生々しい純度が閉じ込められたダイレクト・
カットSACD。耐久性も欠けるこのヴァージンスタンパーからの貴重なディスクなのです。
通常CDとはあまりにも違うその響きに、常識が覆されることでしょう。

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ということで、同社のダイレクト・カットSACDは当フロアーに全タイトルの
試聴盤を用意してあり、当然私も音質の素晴らしさを認めているものでした。

上記の解説にあるように、ダイレクト・カットSACDはヴァージンスタンパーから
おこしたディスクなのですが、このスタンパーで同社が認定する音質として
制作できる枚数は30枚が限度というもの。従って、各タイトルは30の倍数に
よる限定生産ということになります。

そして、このホーネック指揮ピッツバーグ響によるマーラー:交響曲 第3番の
ダイレクト・カットSACDを、新装なったオクタヴィア・レコードのスタジオにて
江崎 氏自らが最高のリマスタリングを行い、H.A.L.特別仕様として提供して
くれる事になったのです!!

■EXTON Studio TOKYO
http://www.octavia.co.jp/studio/tokyo.html

ジャケットデザインから販売価格まで全てH.A.L.オリジナルということで、
そのライナーノーツは不肖この私が原稿を書いたものです。

■ジャケット見本/今後改訂の予定ですが現時点でのデザイン企画として紹介。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20120919/OVCL-H14.jpg

芸術の秋にふさわしい新企画として、H.A.L.'s Original Direct Cut SACDを
限定発売致します!!

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2012.09.26現在で下記のように取り上げて頂きました。

■avcat  国内ニュース速報 [Japan]にて
http://www.avcat.jp/main/avnews/category/news/japan/

■MASSA WELT / 2012年9月25日 火曜日「テクノロジー・IT」にて
http://paper.li/Massa_rui

本企画を公開後に色々な反響を頂き大変ありがたく嬉しく思っています。
ありがとうございました。<m(__)m>

★そして、販売価格を決定致しましたので下記にご案内致します。

■(Aコース)
H.A.L.'s Original Edition : GUSTAV MAHLER Symphony No.3 in D minor
マーラー:交響曲第3番ニ短調 : Direct Cut SACD★税込み\30,000.(送料無料)

■(Bコース)
H.A.L.'s Original Edition + HQ Hybrid仕様の通常盤との音質比較セット
http://www.octavia.co.jp/shop/exton/002375.html ★税込み\32,000.(送料無料)

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       << H.A.L.'s Original Direct Cut SACD発注方法 >>

            キーワードはズバリ!!

         「GUSTAV MAHLER Symphony No.3(Aコース)発注-web」

         「GUSTAV MAHLER Symphony No.3(Bコース)発注-web」

いずれかのキーワードを件名に貼り付け他の本文を削除し、本文スペースに
署名と希望セット数、商品発送先情報を記入して下記に送信して下さい。

         mailto:kawamata@dynamicaudio.jp

■完全限定制作・販売 : 今後の受注数により30の倍数で限定生産

■予約締切 : 2012年10月末 / 受注後直ちに生産開始 11月中の納品予定

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皆様からの受注数のみ生産されますので、どうぞこの機会にご利用下さい!!
ご注文をお待ちしております!!


そして…! ★生まれて初めて私はライナーノーツというものを書きました。

上手く書けるかどうか心配で自信はありませんが、演奏と録音の素晴らしさを
なるべく引き立たせるようにして、オーディオの話題は極力扱いは少なくしよう
と思っていたのですが…、中々そうはいかなかったようです。

最高音質のディスクとして限定販売であり、長きにわたって皆様のコレクション
として所蔵して頂くにふさわしいライナーノーツをと頑張って書きました!

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「今そこにいるマーラー」

「モーツァルト…(Mozarterl)」という臨終の言葉を残してグスタフ・マーラー
(Gustav Mahler)がこの世を去ったのは1911年5月のこと。
没年50歳だったマーラーが残した交響曲は第1番から第10番までと交響曲
「大地の歌」イ短調と散逸したもの4作を含めて15作品であったという。
マーラーの決して長いとは言えない生涯で、35歳からの1年間で作り上げたの
が交響曲第三番である。

全6楽章からなり、第4楽章にアルト独唱、第5楽章にアルト独唱と児童合唱、
女声合唱を導入している。演奏時間は約100分。マーラーの交響曲としても、
また通常の演奏会で採り上げられる交響曲としても、最長の曲として、かつて
はギネスブックに掲載されていた。

また楽器編成も大きくユニヴァーサル社の全集版に基づくスコア―では総勢
88人のオーケストラを要する大編成での演奏となる。全曲初演は1902年6月12日、
ドイツのクレーフェルトで開かれた全ドイツ音楽連盟の音楽祭において、マーラー
自身の指揮によって行われ好評を博した。それからちょうど110年後の日本で、
若き日のマーラーの情熱をダイレクトカットSACDという素晴らしく高品位な
パッケージソフトとしてダイナミックオーディオより限定販売された。

マンフレッド・ホーネック(指揮) ピッツバーグ交響楽団によるライブ録音
として2010年6月11-15日 ピッツバーグ、ハインツホールにて収録された。
この演奏での編成は以下の通り。

1stヴァイオリン(17)2ndヴァイオリン(13)ヴィオラ(12)チェロ(11)コントラ
バス(9)ハープ(1)となり弦楽だけで63名という大編成。フルート(2)ピッコロ(1)
オーボエ(3)コールアングレ(1)クラリネット(4)ファゴット(3)コントラファゴット(1)
ホルン(6)トランペット(4)トロンボーン(3)バストロンボーン(1)チューバ(1)
ティンパニ(2:各3台ずつ)パーカッション(3)は大太鼓、小太鼓、軍隊用小太鼓、
シンバル付き大太鼓、タンブリン、シンバル、トライアングル、タムタム、
グロッケンシュピール、調律された鐘 4ないし6を含む。

ただし、楽器持ち替えはあり得るので演奏者の総数とは異なる可能性はあるが、
ざっと数えても99名という大編成である。この雄大かつ緻密な演奏を封じ込めた
ダイレクトカットSACDを再生するために私が選択したハイエンド・オーディオ
システムは次の構成となった。

■スピーカーシステム:Sonusfaber The Sonus faber (1ペア\20,000,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto58.html
http://www.noahcorporation.com/sonusfaber/SONUSFABER.html

■パワーアンプ:soulution 700 (1ペア\12,000,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/700.html

■プリアンプ:soulution  721 (\3,250,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/720.html

■SACD/CDプレーヤー:soulution  745 (\6,000,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/740.html

■オーディオラック:Tandem Reference RL02(\1,250,000.) http://www.tandem-audio.com/

■soulution 700専用特注アンプ・プラットフォーム:Tandem Reference RLP70(\330,000.×2)
http://www.tandem-audio.com/

■使用ケーブル:ZenSati Seraphimシリーズ各種(デンマーク製)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/939.html

■チューニングアイテム:Black Ravioli BF-3(\50,000×20)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/891.html
http://www.andante-largo.com/black_ravioli.html

■電源アイテム:Transparent PLMM2X(\240,000×4)PIMMX(\480,000×2)PI8(\455,000.)
http://www.axiss.co.jp/ftran.html


第一楽章(34:10) 力強く、決然と(Kraftig. Entschieden.)

この録音では6本のホルンの斉奏で幕が開く第一主題が大変印象的。
The Sonus faberは1台300キロにして全高1713mm、3.5ウェイ+2ウェイ、
7スピーカー構成という巨体、しかし「SOUND FIELD SHAPER」というリア
スピーカーの採用によって再現する音場感は広大で実に素晴らしい。

この6本のホルンが見事に同期し調和して余韻感を盛大に発散する。
このホルンを引き継ぐように重低音の打楽器が炸裂し、短時間の弦楽器群の
アルコともども管楽器と打楽器のうねりが続くと爽快なトランペットが登場し、
細かい弦の繰り返しから再度ホルンによる第二主題へと導かれていく。

冒頭からダイナミックな展開は再生装置の品位をいかんなく発揮する聴き
どころであるのは言うまでもない。第一部として位置付けている第一楽章の
演奏は30分以上を要するが、ホーネックが34分にまとめている随所に雄大さと
緻密さが同居している。

それらを象徴するのが録音の優秀さを示すサウンドステージの素晴らしさなの
だが、The Sonus faberの背景に広がる余韻感の素晴らしさはエレクトロ
ニクス・コンポーネントの優秀さも同時に聴かせている。

The Sonus faberのインピーダンスは4Ω、その4Ωにおいてパワーアンプの
soulution 700はブリッジ接続によってチャンネル当たり860Wを出力するが、
私のこだわりは違う使用方法を選択している。DC〜2MHz(-3dB)という驚異的な
ワイドレンジを誇るsoulution 700一台には、実は単独で220W/4Ωを出力する
アンプステージが二系統搭載されている。

これらを独立して動作させることでモノラルかつバイアンプ駆動が可能となり、
The Sonus faberの前後四つのミッド・ハイユニットと三つのウーファーを
別々にバイアンプ・ドライブする方が魅力的なのである。その魅力が低域から
高域に至る全てのレンジにおける余韻感の情報として、あるいは楽音の質感の
充実として再生される。

木管やヴァイオリンのソロパートでは極めて緻密な音像と定位感をこともなげに
発揮し、個々の楽音に明確なポジションを示し、行進曲の太鼓のリズムを背景
に展開しながらオーボエ、チェロ独奏と受け継がれて多彩な効果を示す。

そして、コントラバスの重厚な質感が織り交ぜられてもびくともしない定位感
と解像度が胸のすくような展開に新たな主題を平然と受け入れながら進行していく。

様々な楽器が乱舞するがごとくの主題が交代しつつ進行し、やがて第一主題が
再度提示されると、聴き手は不思議なことに冒頭部よりも広いステージ感が
用意されていることに気が付く。

第一楽章では巨大なスピーカーが発する素晴らしく雄大な表現力と、パワー
アンプが醸し出す美しく緻密な弦楽器と管楽器の質感に魅せられ、あっという
間に聴き終わってしまう34分の演奏がマーラーの情熱をしっかりと伝えている
ことに感動してしまうだろう。


第二楽章(9:59) きわめて穏やかに(Tempo di Menuetto. Sehr masig. Ja nicht eilen!)

極めて鮮明な弦楽器のピッチカートにオーボエのソロパートが滑るように展開し、
穏やかに進行する弦楽各パートは実にみずみずしい響きを聴かせる。中間部は
嬰ヘ短調で、3/8拍子から2/4拍子、9/8拍子とリズムが変化するが、流れる
旋律が美しく、弦楽はアルコとピッチカートを巧みに使い分けながらステージ
という空間に響きの調和をもたらすのが素晴らしい。

木管が絡むパートでは定位感がしっかりしているのでホールエコーがたなびき
ながら消滅していくまでの時間軸を楽しみながら味わってしまう。

soulution 745は操作する本体部だけを見ると一体型プレーヤーなのだが、
実はほぼ同サイズの電源部を有しており、更にアナログ回路とデジタル回路を
分離構造とするとともに、アップサンプリング以降の回路をデュアル・モノ
構成として電源部からの回路への干渉のみならず、デジタル/アナログ回路
および左右チャンネル間の相互干渉をも完全に排除した。

ESOTERICのVRDS-NEOメカニズムを搭載し正確にピックアップされたデジタル
信号はアナグラム・テクノロジーズ社「Sonic 2」専用モジュールに内蔵された
DSPによる独自の3次多項式アルゴリズムに基づいて高速演算処理を実行し高精度
で384kHz/24ビットのデジタル信号にアップサンプリングする。その後のD/A
コンバーターにはバーブラウン社のPCM1792をデュアル・モノ・モードで使用。

左右チャンネル独立基板に搭載されたD/Aコンバーターからの4つのバランス
電流出力は100MHzに及ぶ広帯域I/V変換およびフィルター回路を経て出力段で
最終的にミックスされて超低歪の電圧信号として出力される。

これらは0.001ppm以下の高精度クロック・ユニットによって統括され、DC〜40MHz
におよぶ広帯域特性、2Ωの低出力インピーダンス、最大3Aまでの大電流出力
を備えた完全バランス増幅回路によって結果的なアナログ信号として出力される。

同じメーカーが前述の素晴らしいアンプとのコンビネーションの上で音質的な
調和を図っているということが、正にこの第二楽章の滑らかで美しいメヌエット
を聴いた時に実感された。オーケストラの各楽音に調和と一体感を求めるように、
soulutionのアンプには同社のプレーヤーで本領発揮するというブランドの
プライドを聴かせてくれる第二楽章だ。


第三楽章(19:00)急がずに (Comodo. Scherzando. Ohne Hast.)

弦のピッチカートに乗ってピッコロが戯画的でいくぶんもの悲しげな主題を
奏ではじめ、アルコの弦が交わって来るとホルンやトロンボーンも登場し
ゆったりとした主題に管楽器のスリリングな展開をあくまでもゆったりと聴かせる。

旋律を歌う管楽器のソロに対して弦楽器が背後を彩るおおらかな展開、ポスト
ホルンの響きが遠くから響き渡る奥行き感の素晴らしさに息を飲み、やがて、
主部が再現するが、ホルンがもう一度回想されると鳥の声のような動機を
各楽器が繰り返して急激に高潮し変ホ短調の和音で爆発する。

同じステージかと見紛うほどの情緒的な演奏は、まるでオペラの舞台装置が
背景で入れ替わったかのように音場感の表情を変化させていく。
前述のエレクトロニクス・コンポーネントからスピーカーまでの電気信号の
伝達はホーネックが与えた楽音の血流となっているのだが、その血管には黄金
の輝きを放つZenSati Seraphimの各ケーブルが使用されていることを忘れてはならない。

従来のオーディオケーブルと全く異なる構造のSeraphimは流れていく血流から
貴重な楽音の酸素を失うという事がないのだ。送り出す側、受け取る側のコン
ポーネントの接続に用いるケーブルとは実に重要なものであり、その選択に
よって深紅であるべき演奏者の血が薄まってはならない。

しかし、Seraphimという新種の実に美しいケーブルは伝送可能な情報量を既存
のものより数段階のレベルで高めているということが証明された。

ダイレクトカットSACDによってもたらされた魅力の一つとして、微弱な楽音の
忠実な再現性がある。そして、ピアノッシモの演奏が正確に再生できるという
ことは、演奏者の周辺に余韻感という耳で感じることのできる不思議なオーラ
をまとわせることに似ているだろう。

そして、それは盛大なフォルテの演奏から発生した余韻の残滓が確実に聴き手
に伝わる事を条件とし、オーディオコンポーネントが果たすべき仕事のレベル
を高めるためにはロスのない信号を受け取る必要がある。透き通った黄金色の
血管ZenSati Seraphimというケーブルがもたらした微小信号の伝送能力が、
ピッツバーグ/ハインツホールの芸術的な装飾と豊かな響きを最後まで聴き手
に伝える動脈であったことを実感した。


第四楽章(10:00)極めて緩やかに神秘的に一貫してppp(ピアニッシシモ)で
                             (Sehr langsam. Misterioso. Durchaus ppp.)

荘厳で緩やかなコントラバスに支えられて、ミシェル・デヤング(メゾ・ソプラノ)が
ニーチェの『ツァラトゥストラはこう語った』第4部、第19章「酔歌」の第12節
「ツァラツゥストラの輪唱」から採られた歌詞を歌う。

ホルンの緩やかな響きに浮き上がるように展開する独唱は、管楽器のパート順
送りによる背景に対して次第に声量と輝きを増しながら空間を埋め尽くす見事
な歌声にと変化していく。その間奏を流麗な弦楽器が包み込むように進行し、
メゾ・ソプラノの美しさをどのように再生するのかという高レベルの手本を示す。

私はこれほど高価であり大掛かりなシステムであっても、人間の声に美しさと
輝きを感じなければ推薦はしない。そのために私が施したチューニングの要と
して述べておかなくてはならない存在がBlack Ravioli(BF-3)であろう。

高分子フィルムを数百枚張り合わせて積層化した特殊なインシュレーターは
今までの常識を変えるアイテムとして私の試聴室では不可欠な存在となっている。

私はここで初めてBlack Ravioliの存在を語るが、当然今までの再生音にも
威力は発揮されていた。引き締めたい低域と滑らかにしたい高域という相反す
る方向性を同時に実現するインシュレーターは他にはない。

打楽器の在り方と弦楽器の聞かせ方という両面で効果を発揮するが、音階も
高く声量も大きくなるメゾ・ソプラノの独唱では特にありがたみを知るところ
となった。

ちなみに、このダイレクトカットSACDの音質を決定しているオクタヴィア・
レコードの新しいマスタリングルームにもBlack Ravioliが採用されている
ことをお知らせしたい。その仕掛け人が私であることもご記憶頂ければありがたいものだ。


第五楽章(4:11)快活なテンポで大胆な表出で(Lustig im Tempo und keck im Ausdruck.)

ピッツバーグ・チルドレンズ・フェスティバル合唱団が鐘の音を模した
「ビム・バム」を繰り返し、アルトと女声合唱が『少年の魔法の角笛』の
「3人の天使は歌う」に基づく歌詞を歌う。

「ビム・バム」の音型は、第一楽章のコラール風動機が原型である。
中間部分では短調となりアルトに導かれて、交響曲第4番の終楽章で節を
締めくくる重要な楽句が現れる。

本物の鐘がおごそかに鳴らされる背景に合唱の調和した響きが空間を占め、
2チャンネルステレオ再生でもこれほどの空間表現が出来るのかと息を飲む4分間。
ここの試聴室では細部に渡るこだわりをさりげなく実践しているが、その中の
一つが電源に対する妥協なき選択。1本24万円という電源ケーブルTransparent
 PLMM2Xを総数で30本使用し、ここで演奏するエレクトロニクスの電源として
統一している。

更にパワーアンプには同社のPIMMX(\480,000×2)を、CDプレーヤーとプリアンプ
には同じくPI8(\455,000.)を使用し、電源環境がいかに空間表現に大きな影響力
を持っているかを目立たないように支えているのである。

ダイレクトカットSACDの魅力は余韻感の美しさにあると、ここまで聴けばお分
かり頂けるだろう。管楽器の響きが合唱の背後でたなびくように広がっていく
中で、その美しさを敢えて言葉にしようとする時、電源へのこだわりをどうし
ても述べておかなくてはならない。

児童合唱とピッツバーグ・メンデルスゾーン合唱団の女声合唱がともに歌う
「ビム・バム」で楽章が終わり、いよいよ最終楽章へといざなっていく。


第六楽章(25:37)ゆるやかに安らぎに満ちて感情を込めて(Langsam. Ruhevoll. Empfunden.)

数メートル先に佇立する巨大なThe Sonus faberから発せられるピアノッシモ
の美しい弦楽合奏によって主要主題が奏される。約5分間に及ぶ弦楽のみの調べ
はThe Sonus faberの周辺に湧き起る響きの源泉のように自然な広がり方で展開し、
弦楽の各パートの折り重なった陰影を忠実に再現していく。

こんな大きなスピーカーが、どうしてこれほどの細やかで微弱なアルコの連続を、
想像を絶する鮮明さで描くことが出来るのか。ボディーの大きさに見合わない
繊細な弦楽の再現性にうっとりとしながら、気が付くと木管楽器のしとやかな
音色がステージに浸透しつつ副主題部となり初めて木管が加わってくる。

はるか彼方に見え始めた光明に導かれるように、緩やかな傾斜を一歩一歩登って
いくと次第に周囲の景観が広がり視野がゆっくりと拡大していくように、63名
という大編成の弦楽が緩やかに息使いを深く長くしていくような展開が聴き手
の脳髄をしびれさせ、呼吸の弛緩を繰り返す胸に穏やかな熱を帯びさせる。

ホーネックは25分間という時間を実に贅沢に使い、弦楽合奏の美しい旋律と
管楽器が織りなす主題の再現を繰り返し、次第に全管弦楽による主要主題を
巨大なエネルギーの塊として発散し壮大なコーダになり感動的に全曲をしめくくる。

ダイレクトカットSACDという極めて高品位な素材をThe Sonus faberとsoulutionと
いうオーディオシステムが受け入れ、広大な音場感を固定しつつ緻密な音像を
見事に再現し聴き手に提示する。

静寂を表現するには無音の手前にある最も微弱な音を聴かせること。
オーケストラの雄大な響きを表現するには、その微弱で繊細な音を先ず聴かせること。

再生システムの性能が使い手の生涯の中で次第に高まっていく過程において、
この限定されたダイレクトカットSACDが何度も繰り返し再生され、そのたびに
隠されていた響きが、聴こえなかった音の粒子が、新しい発見として喜びと
感動を伴って長きに渡って繰り返し提供出来ることを願っているものです。

             ダイナミックオーディオ5555  店長 川又利明

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

株式会社オクタヴィア・レコードのご好意とご協力によって、オーディオ製品
だけでなく素晴らしい音楽というソフトウエアをお届け出来るということは
私にとって望外の喜びでもあります。2012年の秋に皆様にご提供するこの
ダイレクトカットSACDが、皆様にとって生涯に渡る愛聴盤としてお楽しみ
頂ける事を心から願っています。

クラシック音楽をあまり聴かないという皆様も、オーディオシステムの音質を
チューニングする一アイテムとしてご利用頂ければ幸いです。
皆様のご注文をお待ちしております。

そして、本企画ではハルズサークル特別価格の検討もしております。
このような企画を多数実施しているハルズサークルにもぜひご入会下さい。


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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