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H.A.L.担当 川又利明

No.1215 2015年4月30日
 「突然の来訪でした。この方どなたか分かりますか!? Part.2」

随筆「音の細道」第33話「ポスト・キュービズム」より引用
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto33.html

第一章『ザ・バックグラウンド』

1996年2月9日、私は不覚にも今年二度目の症状が異なる風邪をひいてしまい、
高熱で思考力が萎えてしまっている有様であった。そんな状態でも、長年鍛え
られた営業マン魂が、悲しいかな私を会社へと引きずって行くのである。

こんな最悪なコンディションであっても、私の感性を刺激する魅力的な新製品
に対して、今度はオーディオファイルとしての嗅覚が興奮を呼び覚まし、再び
熱を上げてしまうことになる。性懲りもなく始末の悪い〈オーディオ熱〉の
ウィルスを運んできたのは、ステラヴォックスジャパン株式会社の代表取締役
社長である西川英章氏である。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

随筆「音の細道」第41話「最終幕のプロローグ」より引用
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto41.html

第一章『一本の電話』

1997年3月21日、半期の仮決算を終えてホッとしているのもつかの間で慌ただ
しい一日が始まった。数えたことはないが、私が一日に受発信する電話の本数
は大変な数にのぼる。悲喜交々の出来事が電話を通して行われるわけだが、
この電話を使って私に良からぬ情報を吹き込む事を得意としている御人がおられる。

この随筆を読まれた方から唐突にその人のお名前が飛び出すこともあり、それ
ほど度々登場するものだから隠れた有名人になってしまわれたようである。

御推察の通り、ステラヴォックス・ジャパン株式会社の代表取締役社長で
あられる西川英章氏がその人である。

同社を設立されて早九年となるが、あの重たいゴールドムンドをかついで地道
なセールス活動を続けられてきた成果は、現在の業務レベルと実績から容易に
推し量ることが出来るであろう。

その西川氏から危うい誘いの手が伸びてきたのである。

「昨日入ったばかりのスピーカーがあるんだが、これはぜひ川又さんに聴いて
 もらいたい。どうでしょう、お忙しいとは思いますが、ここはひとつ当社
 までお越し頂けないだろうか。」

昨日入ったばかりというと、雑誌の取材はおろか評論家の誰もが聴いていない
ということである。正直に言って、私はこの手の誘いには大変に弱いのである。

何でも初物が好きなのである。輸入元以外の外部の人間で初めてご相伴に預か
れるという興奮。その品物を、日本中の販売店の中で最初に販売するという快感。

過去を振り返って見ると、見事にこの図式で嵌められてしまったことが何と
多かったことか。その仕掛け人となった回数は何と言っても西川社長が最高であろう。

その証拠に「エッ、一体なんですか、そのスピーカーは。」と、早くも私の
好奇心は一連の質問となって私の口からほとばしり始めているではないか。

「実は、昨年レバションが言っていたゴールドムンドのエピローグが遂に来たんですよ。
 ラスベガスでは展示だけで音は出していなかったんですが、量産モデルの第一号
 を日本に送って来たんですよ。これが、もう凄いのなんのって…。
 モー、イインですよ。」

まるで料理の鉄人の店でフルコースを食してきた後の自慢話しのようで、電話
では伝えようのない美味を溜息混じりに語るのである。他からも電話が相次ぐ
中で、何と罪作りな話しを持ち出すことか。

お客様の電話を待たせてはいけないと一旦は電話を切ったものの、早くも私の
頭の中は「エピローグ1」のことで一杯になってしまった。

私は「またしても…。」と心中で節操のない自分を呪い、舌打ちしながらも
暗記しているステラヴォックスのナンバーを叩いて、気がついたときにはもう
言葉が口から出てしまっていた。「来週伺います!」

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今読みなおしても懐かしい、あの頃は燃えてましたね〜、あっ、今もですが… ^^;
今でこそ親しみを込めて西川さんとお呼びしていますが、H.A.L.創設当時から
お世話になっていますので、もう25年以上のお付き合いになるでしょうか。

古い表現ですが私にとっては業界の先輩であり、また戦友のような存在の方で
実に多数のエピソードを共有する恩人のような方なのです。

現在では株式会社ゼファンの取締役社長であり、株式会社ステラの代表取締役
会長を務められている西川 英章氏が久しぶりに訪ねてこられました。

「突然の来訪でした。この方どなたか分かりますか!?」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1212.html

実は、上記にてご紹介したCH PrecisionのThierry Heebさんの写真をfacebook
にアップしても良いかと訊ねた際に、西川さんに許可を取って下さいと言われ、
その旨をメールで西川さんに送ったところ、わずか90分後には返信を頂きました。

その時に西川さんは上海に出張中なので返信は帰国後かな〜と思っていた私は
驚いてしまいました。正に営業マンの鏡とも言うべき迅速さではありませんか。

その西川さんが帰国されていたのは知りませんでしたが、本日わざわざお越し
頂いたということで、Heebさんと同じ場所で記念撮影して頂いたのがこれ!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/2015.04.29.Mr.Nishikawa.01.jpg

http://www.dynamicaudio.jp/file/2015.04.29.Mr.Nishikawa.02.jpg

早速、Heebさんにお聴かせした選曲でCH PrecisionとHIRO Acousticを聴いて
頂いたのは当然の成り行きというところ。

「このスピーカーは正確な音を出してる。廣中さんは上手くまとめてるね。
 もちろん川又さんのサゼッションも含まれていると思うけど。こういう
 スピーカーがあるとCH Precisionの良さが理解してもらえるのでありがたいね」

と大ベテラン、しかも世界中のハイエンドブランドを知り尽くしている西川さん
から評価して頂いて私も大変嬉しく思い、そして安心しました。
そして、大胆にも最後に私からこんな質問を投げてみました。

「西川さん、このスピーカーを海外に紹介する価値ありますか? 海外に通用するでしょうか? 」

すると…西川さんから一言。「いけるんじゃない、この音だったら」と…。

以前にも述べたように廣中さん自体が商売っ気のない人であり、国内でもまだ
1セットしか販売事例がないので、海外進出などは毛頭考えていないものですが、
西川さんの一言は大いにHIRO Acousticの存在感を高めるものだと思います。

ご自身でも海外の超高級スピーカー、コンポーネントを輸入される立場であり
ながら、音質に関してはビジネスの垣根を越えて率直なご意見と評価をして頂き
さすがだな〜と思いました。本当にありがとうございました。

このシステムはCH PrecisionのThierry Heebさんも聴きました。
そして、肝心な廣中さんもわざわざ来店されて聴いて頂きました。

更に今日は株式会社ゼファン取締役社長 西川 英章氏にも聴いて頂きました。
また、CHのもう一人Florian Cossyさんも今度連れてくるよということでした。

業界の錚々たる人々がHIRO Acousticを聴き、私が紹介する以上の言葉で評価
して頂いたということをお知らせしておきたいものです。

そして、西川さんは取り扱うブランドにおける将来的な開発計画が複数ある事
を内緒だけど…と、うかがいましたが、何とも壮大な夢とプランをお持ちであり、
またその仕事が楽しいという目の輝きが若さの秘訣(失礼!)とも感じられました。

更に高みを求めて開発研究を行っていく姿勢こそハイエンドオーディオです!!
ビジネスとして儲けることが念頭にない素晴らしい人々が挑んでいるのが音の
世界であり、それには終わりはないのです!!

あっ、いつの間にか20年前と同じように西川さんに引き込まれてしまいました!!
今日はお目にかかれて良かったです。これからもよろしくお願い致します。


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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