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H.A.L.担当 川又利明

No.1095 2014年2月11日
 「H.A.L.'s One point impression!!-Zonotone 7NSP-Shupreme 1」


Zonotone 7NSP-Shupreme 1を試聴され、まとめて3セットご注文を頂いた
あるお客様からのメールでは…

「***初代モデルのスピーカーケ−ブルを3セット購入して使用していますが、
 Zonotone の方がベ−ルが数枚剥がれた様に聴こえます。

 ***のケ−ブルは一生変更しない様に分不相応の買物をしたのにとても残念
 ですが、zonotone の音を聴いてしまえば決断せざるおえなかったのです。

 音楽が躍動感を持ち、背景が静かで(SN比が高い?)、緻密でレンジも
 広く音場も大きいです。 川又様も一度試聴してあげて下さい。」

というお言葉を頂いたのでした。この***ケーブルとは実名は明かせませんが、
オーディオ好きの人だったら知る人ぞ知る高価なケーブルで、当時の日本価格
ではZonotone 7NSP-Shupreme 1の8倍近いお値段でした。

価格の高いものへ変更することが音質的アップグレードになるのか!?

いや、あくまでも自身の感性で音質を判定し、自分にとって何がふさわしく
好みなのかという自己発見を繰り返していくことこそがハイエンドオーディオ
というこだわりに叶ったものかもしれません。

下記にて今回の試聴システムを紹介しますが、Wordsync用として使用している
ESOTERIC 7N-DA6100II BNC (税別¥250,000.)よりも7NSP-Shupreme 1はお安い
(2.0m/1Pair 税別¥220,000.) のです。

このスピーカーケーブルは私が聴き込んできたシステムに明らかに変化と進歩
をもたらす一石を投じたと言えましょう。お値段だけではありません。
音の世界は聴き手の感性によって新しい発見と新しい評価が生まれるものなのです。

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Zonotone 7NSP-Shupreme 1 inspection system ◇
 
………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別¥1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別¥750,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso P1  (税別¥2,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

Grandioso P1+D1付属:HDMI Cable
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1083.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso D1  (税別¥2,500,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-DA6300II XLR 1.0m×2 (税別¥580,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC C-02×2 Dual-Mono(税別¥2,800,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c02/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-A2500/XLR 7.0m(税別¥2,280,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/index.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso M1   (1Pair 税別¥2,800,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/m1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
finite element Pagode Master Reference HD10+CERABASE 4P(2台/税別¥720,000.)
http://www.axiss.co.jp/fFE.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

Zonotone 7NSP-Shupreme 1(2.0m/1Pair 税別¥220,000.) 
http://zonotone.co.jp/products/speaker-cbl.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Technical Audio Devices TAD-R1MK2(1Pair 税別¥7,000,000.) 
http://tad-labs.com/jp/consumer/reference_one/
………………………………………………………………………………

Zonotone 7NSP-Shupreme 1をエンハンサーCD-ROMで200時間以上バーンインし、
音楽CDをずっと流し続け500時間以上は熟成させて聴いたのはこれ。

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団

試聴室の電球をLEDに変えてから試聴室の温度上昇がなくなり、更に最近の
外気温も低いことから換気扇と空調を止めて、このマーラーを第一楽章から
第四楽章までじっくりと聴くことが出来た。

第一楽章の冒頭、弦楽各部のスコアの第一小節から「sempre ppp」が付けられて
おり、(イ音)の保続音による演奏に関してドイツ語で指揮者への注意が記されている。

「この最も低い(イ音)はピアノッシモで演奏されるのではあるが非常にはっきり
 と聞き取れなければならない」

(音楽之友社/改訂版:1967年 Universal Edition リプリント OGT 1446より)

この場合、ピアノッシモという音量の解釈は指揮台の位置で考えるものでは
なくホール客席の聴衆全てに対して言えるものなのだろうと思う。私は2005年
2月にサントリーホールでヒュー・ウォルフ指揮によるフランクフルト放送
交響楽団によるマーラーの交響曲第一番を聴いた時の記憶をたどるしかないが、
あの時にもsempre pppの付いた導入部の音ははっきりと聴きとることが出来た。

どれだけ小さい音を出すかということと、はっきり聞こえなければならないと
いう相反するような、この弦楽器による細かいアルコの連続による演奏に私は
新たな発見と驚きを禁じ得なかった。これは見事だった!!

「この弱音部はこれほど濃厚で多種多様な音色によって構成されていたのか!」

7NSP-Shupreme 1によるsempre pppでの再生音は正にライブで聴く鮮明さであり、
今までに数えきれない程この曲を聴いてきた私にとって初めての体験だった!!

そして、木管楽器が各パートが一小節の間をおいて掛け合いのソロを演奏し、
クラリネットが印象的なカッコーの声を真似、イングリッシュホルンが距離感
を持って響き、ミュートされたトランペットが走るように右手の高い位置で吹かれると…。

弦楽器のピアノッシモに管楽器の演奏がステージの各部署から湧き上がり、
まるでステージに曙光が差し込むように明るさが増していくような展開!

夜明け前の薄暗闇を表現する弦楽器のsempre pppをこれほど鮮明に聴かせて
くれた演奏が今までにあっただろうか? 弦楽器のつぶやきのような細かい
アルコの繰り返しの中に実はこれほどの数の音色があったのだと気が付く!!

更に、管楽器の音像を弦楽器の弱音の中に克明に点在させる再現性を、私の
記憶にある再生システムと直ちに照合するのだが見当たらない…。何かが違う!

スピーカーケーブルによって起こる変化は今までにも数え切れないほど経験
してきたが、これ程のノイズフロアーの低下をどう考えたらいいのか!

SN比というのは信号対雑音の比率ということなので、アンプや各種プレーヤー
などのエレクトロニクスであれば、残留ノイズや誘導性雑音などを発生させる
可能性はある。しかし、スピーカーケーブルそのものは雑音を発生させるもの
ではないだろう。だからケーブルに関してはSN比という表現は正しくない。

聴感上でのノイズレベルの低さを表現するのならノイズフロアーという英語
表記が以前からあるが、その方がふさわしいかもしれない。今回とまったく
同じコンポーネントを使用しているにもかかわらず、7NSP-Shupreme 1で聴くと
再生音そのものの弱音成分が鮮明になり言い換えれば音像と音場感両方が静か
になるということだろう。何が要因なのだろうか? 私の記憶をたどると…。

もう20年くらい前の事、海外製の高価なスピーカーケーブルを使った時のこと。
そのケーブルは幅5センチほどで平板なフラットケーブルだった。

そのケーブルを何気なく床に置いていたのだが、ふと思い付いて3キロくらいは
あろうかという御影石のキューブ型ブロックの上に、そのフラットケーブルを
乗せて同じものを上から乗せてケーブルをサンドイッチしてみたのだが…。

すると…、不思議なことに再生音が静かになった。音量が下がるとか高域の
情報量が低下したとか、そのような現象ではない。正に今回同様にノイズフロ
アーが低下したという変化が、そんな簡単な実験によって感じられたのである。

スピーカーケーブルだけに限らず、各種ケーブルをメカニカルダンピングすると
確かにこのような変化が起こるのだが、それは演奏全体の明るさと開放感を
微妙に減じるという作用もある。音場感がほんのわずかだが暗くなり、重りを
取り除くと明るくなるという印象だ。

各種オーディオケーブルは導体の材質、構造と絶縁方法によって各社の持論と
個性が競い合うところだが、先ずは7NSP-Shupreme 1の構造がノイズフロアー
の低さに直結しているものと私は推測した。

前述のように22万円という低価格!?の7NSP-Shupreme 1を実際に手に取った時の
印象は細部の細かい仕上げと高級感、そしてケーブルそのものの剛性が充実
していて、どっしりとした質感があったということだった。

http://zonotone.co.jp/products/speaker-cbl.html

導体サイズは二芯使用時で9.5スケア×2、外径は26mmφ、構造は全16芯の
独立導体を4芯ずつ分配。ホット、コールドとして、極太導体に仕立て、通常
の二芯使用時はスターカッド結合であるという。それを中空PEパイプ×5による
エアー絶縁として、ケーブルそのものに適度な柔軟性を持たせつつ、機械的
共振を徹底排除したことがノイズフロアーの抑制に大きく貢献しているという
ことを私の耳が感じとっていた!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

sempre pppの弦楽器から始まった第一楽章では木管楽器が中空に点在しつつ、
その豊潤な余韻感を拡散しつつ消滅するまでの時間軸が見事に延長され、
最後の響きの一滴を美しく再現しながら次の楽音の登場を迎えるという繰り返し
にうっとりしながら聴き入ってしまった。

終盤では金管楽器の勇ましい響きに打楽器が背景を色どり、コントラバスの
ピッチカートが空間を漂いながら広がっていくスケール感に弱音成分の重要さ
が実感され、スピーカーケーブルのみで起こりえる変化として私の想像を軽く
上回る美的要素を再生音の中に新発見した思いだった。

いつも課題曲としている第二楽章が始まった。冒頭の弦楽器群によるアルコが
左右から展開し、Lchの第一第二ヴァイオリンの響きは右方向へと中空を走り、
Rchのビオラが左方向へと余韻感の延長線を引き延ばしつつ、センターでは
チェロのパートが時折の存在感を覗かせると、右奥から重厚なコントラバスが
ステージの広さをイメージさせる大きな空間提示で響きによる背景を描く。

「おー!!これはいい!!弦楽五部の各パートが多数のレイヤーを構成しつつ、
 各々のパートの解像度が極めて鮮明な輪郭を示すのだから堪らない!!」

美しい、実に美しいオーケストラが同じコンポーネントによって聴けるという
この体験は私にとっても貴重な発見だった!

私の観察眼(耳)が捉えた再現性の素晴らしさは過去の記憶と照合しても類似性
がない程にESOTERIC Grandiosoの見事な分解能をパワーアンプM1まで伝送し、
その先のTAD-R1MK2に対する指揮者の威厳を誇るかのように膨大な情報量を余す
ことなく音波に変換しているという実感が胸を打つ!!なぜか!?

「メカニカルダンピングするとステージ感が少し暗くなるはずなのだが!?」

ノイズフロアーの低下に伴う副産物として微妙に演奏そのものの明るさが減じる
という過去の実験による記憶が全く当てはまらないという戸惑いが頭をよぎる。

記憶をたどれば当時の高級フラットケーブルは銀線を用いたもので、導体も
リボン状のものだった。そこに荷重と質量を加えると確かに静かになり、また
激しく飛び散っていたような響きのフレアーを取り去っていたのだった。

しかし、7NSP-Shupreme 1では微細な情報を巧妙にネグレクトするというような
姑息な手段は用いていない…、というプライドが今ここで音になっているのだ。

ケーブルのもう一つの要素が導体の材質。そして、いかに優秀な導体でも絶縁
方法によっては効果を発揮しえないという現実を知った上での設計が光る。なぜか!?

導体構成は超高純度7NCu、高純度銅特殊合金、PCOCC、純銀コートOFC、高純度
無酸素銅。この五種の異種・異径線材を独自にハイブリッドさせたストランドに、
それぞれ高純度ポリエチレン絶縁体を被せた完全独立異種16芯導体として採用。

導体抵抗は2.2mΩ/mと極小で、絶縁体は高純度ポリエチレンを採用、各コア
のシールドは4芯それぞれがアルミラップシールド処理。他社製品ではお目に
かかれない芸の細かさという内容の充実を改めて知るべきだろう!!

ケーブルのストランドに太さの違うものを黄金比に従って多様に織り交ぜて
行く方式はCardas Audioの得意技であった。これも見事なケーブルだ。
http://www.taiyo-international.com/products/cardas/about/

しかし、7NSP-Shupreme 1では五種類の金属を八種類の線径により細分化し、
DMHC-Quadriと称する制振構造の中に封じ込めているのである。
http://zonotone.co.jp/images/speaker-fig01L.jpg

導体の線径により表皮効果が発生し高周波の伝送速度が導体周辺と中心部で微妙
に異なることでグループディレーが発生する可能性があるが、最小0.12mmφ
という極細導体によって超高域の群遅延特性を維持している。

導体の線径が細くなれば直流抵抗が増大し瞬間的なエネルギー伝送を抑制する
という傾向に関しては、1.4mmφという単線を仕込む事で瞬間的伝流伝送の
ゆとりを持たせ2.2mΩ/mという流せるケーブルとして低域を支えさせた!!

ハイブリッド化させた材質と日本製にふさわしい巧妙な工作技術、三層シース
と中空パイプにより折り曲げストレスの緩和で取り回しも配慮した構造。

メカニカルダンピングを施した上での内部構造と材質によって、再生音の明るさ
をしっかりと維持することで更に微細な響きを聴きとることを可能とした!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここで最も重要な事を述べなくてはならない。上記のような材質と構造
というものがあるから音がいいということではなく、私が選択したシステムに
おいて鳴らしてみたところ今までに経験のない高次元の音質を確認したという
順序が肝心な事だということです。

皆様もケーブルメーカー各社のPRを見れば、材質・構造・絶縁の三項目に各々
のメーカーが技術力を競い合っているという事はおわかりでしょう。

冒頭では海外の著名ブランドからZonotoneに乗り換えたというエピソードを
披露しましたが、逆にZonotoneから他社ケーブルに変更したという事例もある
のも事実なのです。

そして、私の知り得る範囲でZonotoneと対象的なのがZenSati Seraphimだと言えます。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html
「H.A.L.'s One point impression!!-ZenSati Seraphim驚異の事実!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/939.html

共通しているポイントはエアシールドということくらいでしょうか、外観でも
音質的では本当に対象的な存在です。あとお値段も…。(^^ゞ

皆様のお好みによってケーブルは選択すればよいのですが、ケーブルを変えて
みようかという動機と理由が大切なことなのです。今回のように私が知り尽く
していたと思っていたシステム構成でも別世界が発見できたわけですから!!



担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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