《ESOTERIC “PS-1500”H.A.L.'s Monitor Report》


No.0335 - 2006/11/4

福井県 S様より

Vol.9「PS-1500と7N-PC9100がどうしても離れようとしないのですよ…」

福井県 S様より

これまでの投稿をご紹介致します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0104.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0098.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0097.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0087.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0078.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0057.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0049.html

私の場合、ESOTERIC PS-1500にかなり興味をひかれ、モニターを希望しました。
トランスなど数々ありますが、今回川又さんや耳の良いH.A.L.'s Circleの方々
のインプレッションを見て、このアイソレーショントランスはただものではない
かも、と直感的に察知しました。

また、私の電源環境は一般家庭の通常配線でオーディオ専用回線を引いていません。
オーディオ用コンセントも1個だけ、この1個のコンセントから上記機器を前段と
後段に分けてタップを介して接続している、という電源環境的には非常にお粗末な
状態なのです。

ただ、コンセントやケーブルには少なからず投資をして、自分なりに納得したもの
を使っています。

しかし、まあ、電源工事などしなくてもうちは山間部のド田舎なのでノイズ的に
は有利かなとは思っていましたが、「電圧降下とアイソレーション」については
常に不安がありました。もしかすると、こちらの方がノイズよりも深刻なのでは
ないか、と思っていました。

そこで、久しぶりにH.A.L'sモニターしてみることにしました。7N-PC9100について
は、現在のACケーブルに特に不満がありませんのでPS-1500が本命で、そのついで
にまあ聞いてみるかという軽い気持ちで応募しました。

私のシステムは、

CD/SACD Classe Omega SACD1
Pre-amp Mark Levinson No.32L
Power-amp Classe Omega Omicron mono(300W 8Ω−1200W 2Ω)
B&W Signature 800

(壁コンセントEau Rouge ER-PSEXmk2 、ACケーブル すべてDolphin PPS.1、
インターコネクト・SPケーブル・タップはすべてDolphin&Eau Rouge)

さて、まず手始めに今の電源環境にそのままPS-1500を投入しました。

PS-1500のうなりは、電源投入直後に「ブンッゥゥ〜〜」と3〜4秒鳴るだけで、
あとは耳をくっつけて聞いても全くといっていいほど聞こえません。

まず最初に、前段機器2つ(Omega SACD1、No.32L)をPS-1500から給電してみました。
パワーアンプは壁コンセント直のままです。

のっけから「おぉっ!違うな!」と思いました。何が違うのか。

今まで通りのピラミッドバランスの鳴り方、音調には特に変化はありません。
でも、定位の安定感・正確さ、空間の清澄感、音場感が違うのです。

音が太くなったり細くなったりしない。揺らがない。特に管楽器、そして弦楽器。
今までは音自体や定位がややゆらぐときもあり、それがある種微妙さを醸し出し、
心地よく感じられる場合もあったのですが、こういう安定した豊かな鳴り方を聞く
と本当に安心して聞けます。

Signature 800の間隔、約3mの空間に揺らがない定位で、その音自体も全く安定
し、躍動感を伴って朗々と響き渡っています。そして、空間が澄んだおかげで各
楽器がより見えるようになりました。

今の私は、こういう基本的クオリティの底上げを求めているのです。
ちょっとした音調の変化や、ほんの些細な音色の違いなどは眼中にないのです。

また、前後感 (奥行感)ですが、基本的に音量によって前に出たり引っ込んだり
してはいけないのです。いくら音量が小さくても最前列で弾いているバイオリン
は前に、金管、パーカッションは大音量でも後ろから、というのはボリュームが
どうであろうと変わらないことです。それが正確に表現されてきます。

今までも我ながら満足した状態で聞いていましたが、この1台の投入でその満足
感が更に上回りました。

次に、前段に引き続き、パワーアンプも同時につないでみました。つまり、全て
の機器をPS-1500から給電してみました。

奥ゆかしい感じにはなりましたが、生き生きとした躍動感が減退します。私と
してはあまり好ましくなかったので、結局前段にのみPS-1500を使う、つまり、
PS-1500の6つあるコンセントのうち2つだけ使うという、やや贅沢な使い方に
なってしまいました。

前段(Omega SACD1、No.32L)の最大消費電力を足してもたった50Wなのですが、
結果的に従来のケーブルのまま前段にPS-1500を導入しただけで、これほどの
違いが感じられました。

この時点でもうPS-1500は手放せない、という感じでした。

と、・・・ここまではある程度想定内(予算的にも)でした。

次に、お試しで送っていただいた7N-PC9100を試してみました。

最初、Omega SACD1につないでみました。う〜ん、明るくなった感じはいいけど、
若干あっさりして、Omegaのよさをスポイルする感じでした。ここはあえて交換
する必要はなく従来のPPS.1でいいと思いました。

次に、Mark Levinson No.32Lにつないでみましたが、変化の度合いは一番少ない
感じでした。当然そのままPPS.1でよい、という結論になりました。

そして、最後に私としては、おまけの実験ということで7N-PC9100をPS-1500
の給電に使用してみました。正直、ここまでの経緯から7N-PC9100に対しての
期待感はかなり薄れていました。

7N-PC9100は、硬さについてはあまり意識しません。曲げに関しては柔軟なほう
だと思います。ただし、捻りに関してはかなり頑固です。少々の捻り程度なら
全く大丈夫ですが、90度以上捻って接続するような場合などは、空間にある程度
余裕がないとかなり困難で工夫が必要でしょう。

しかし、私の場合それが逆に幸いして壁コンからPS-1500へつないだとき、
床に接地することなく空中に浮かせて接続できました。これは理想的で絶妙な
接続になりました。

壁コンセントとPS-1500のインレットの位置関係にもよりますが、ここ数日
つないでいても、しっかり重力に抵抗して未だにへたりはなく、全くどこにも
接触していません。

さて、それほど期待せずにPS-1500の給電に7N-PC9100を使用した結果…、
これは何ということでしょう! 今までの失望感は全く覆されてしまいました。

他の機器につないだときは、まあ悪くはないんだけどPPS.1と比べて一長一短、
交換する必要性を感じませんでした。

というか、PPS.1は今まで、定評のある高額なACケーブルでもすべて打ち負か
してきた実績があるのです。私にとって歴戦の勇士といったケーブルなのです。

しかししかし、PS-1500の給電に使用したときのみ、一体どんな化学変化が生じ
たのか。前述のPS-1500の効果を一回り超越する効果をもたらしてくれたのです。
若干筋肉質ながら、クリアでストレート、音場の安定感を保持しつつ音自体の
豊かさも加わっている。

PPS.1と7N-PC9100、オーディオ的クオリティは互角です。価格的にも互角です。
その差は好みの範囲内とはいえ、我が家ではPS-1500の給電に使用したとき、
7N-PC9100はその能力をフルに発揮するようです。

PPS.1は柔らかい表現に関しては優れていて、生音的、音楽的に表現します。
7N-PC9100は筋肉質的傾向で、硬軟両方優れ、オーディオ的には優れています。

これは私にとって全く予想外のことでした。まさしくこの両者は、「両刃の剣」
で、理想的にはこのどちらも融合されて再現されれば素晴らしいと思います。
これは真剣に迷います。

7N-PC9100の大健闘について、

「いやいや、ちょっと待て待て、少し冷静になろう…」

とPPS.1に戻してしばらく聞いてみます。

「うん、まあこれでいいじゃないか!」

と思いながら心はかなり動揺しています。

そしてまた7N-PC9100をつないでみます。

「あ〜、やっぱりか〜…これもいい!」

川又さんが「PS-1500の給電には是非とも7N-PC9100を」と主張していたことが
今更ながら思い出されました。

「こりゃ〜、まずい!」そこまでの支出は考えていなかった。
しかし、PS-1500と7N-PC9100がどうしても離れようとしないのですよ…。

そして今、数日つないだままの7N-PC9100は、更に成長しています。
それを聞きながら、「あぁ、また、はまってしまいそうだ」と思うばかりです。

以上の印象はあくまでも私の環境内のことですが、久しぶりに非常に高度で、
悩みの多い試聴体験をさせていただきました。


川又さんには、いつもながらの迅速で丁寧なご対応に感謝いたします、…が、
いつも悩ましいものばかりを送っていただき、私は欲望に打ち勝つのに必死
で、のたうち回っていますよ。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

S様ありがとうございました。7N-PC9100をじっくり試聴して頂いて何よりでした。
7N-PC9100の随筆の中でもセルフ・アニールという表現が使われていますが、通電
時間が長くなればなるほど、その焼きなまし効果によって音質が整ってくるもので
あり、情報量も増加してきます。そして、PS-1500との相乗効果はおっしゃる通り
ですね。どうぞしっかり悩んで下さいませ〜(^^ゞ ありがとうございました。


HAL's Monitor Report