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No.329 小編『音の細道』特別寄稿 *第42弾* 「繊細なる巨人、その名はChord !!」


1.威容を誇る姿

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/322.html
VitusAudioの素晴らしさを満喫した体験は上記にて述べているが、更に追い討ちを
かけるように超弩級アンプの試聴評価を行って欲しいという依頼が入ってきた。

http://www.timelord.co.jp/consumer-audio/apchordamplist.html#power
1989年航空電子工学をバックグランドに持つJohn Franksによって創立され、以来、
堅実に実績をあげてきたのがChordである。耳の肥えた要求レベルの高いユーザーに
支持されるアンプリファイヤとして、アビーロード・スタジオ、エア・スタジオ、
Decca、Sony、Quadレコーディングスタジオなどのプロフェッショナル・レコーディ
ング・スタジオ、BBC放送局、ロンドンのロイヤル・オペラハウスなどにも導入され
という実績がある。設計開発、製造過程、アフターサポート、すべてにおいて高精
度のエンジニアリングを基軸とするChordの製品は、業務用およびハイエンド・コン
シューマー・オーディオ、両方の分野で世界的に高く評価されてきた。

そのChordが満を持して開発したのがSPM 14000である。
外形寸法はH310×W480×D663mmにして重量は先日のVitusAudio SM-100同様に75Kgと
いうヘビー級である。SM-100のサイズはH310×W435×D610mmというのだから、ほぼ
同じなのだがわずかに大きい横幅とインテグラルレッグと称している独特なフット
のデザインからもSPM 14000の方がどうしても大きく見えてしまうようだ。

さて、このようにスーパーヘビー級の両者なのだが、パワーアンプの構造上で最も
重たいパーツは電源部と筐体であるが、SM-100の内容積のおおよそ1/3を占める巨大
なUIコアの電源トランスが大変な重さになるのではなかろうか。

それに引き換えSPM 14000では最も内容積を占めているのは大型コンデンサーの一群
であり、SM-100の定格出力100Wに対して1000W/8オームという大出力のSPM 14000で
はSM-100に比較して構成部品の重量比がたいそう違うようだ。

この定格出力に10倍という違いがありながら、出力の小さいSM-100の方が巨大な電
源トランスを搭載しているということに違和感を持たれる方も多いのではないだろ
うか。初歩的な疑問ではあるが、今回のSPM 14000の特徴を語る上で電源部のテクノ
ロジーが音質をも象徴するキーポイントになっているのである。まずはSM-100につ
いて私が述べている次の一言がカギとなっていく。

「同じ100Wを発生させるために使用する消費電力がA級で340W、AB級で107Wという
 ことで、使用しているバイポーラトランジスターのバイアス電流をAB級で省エネ
 設計にしているだけのようなのだ。つまり、AB級にするとより大きなパワーが得
 られるという発想ではないのだ。」

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Chordのアンプデザインで最も重要なテクノロジーがこの電源部であろう。開発には
10年に歳月をかけて従来と全く異なる発想で実用化にこぎつけたのがSMPS(スイッ
チングモード・パワーサプライ)という高周波技術を応用した電源である。
http://www.timelord.co.jp/consumer-audio/apchordamp.html

上記リンクに詳細が述べられているのだが、昨今のアンプにおいても他社で採用が
進んでいるPFCを搭載しているということを補足として述べておくことにする。
上記のページの中で述べられているこの部分で…

■革新的な技術-Chord高周波電源
「高周波電源内では、ACライン電源を整流して高圧の直流に変換します。
 これは約 300〜350ボルトのDC(それは高すぎるので、オーディオ回路類に供給す
 ることができ ない)で、これは高電圧用のコンデンサーにチャージされます。」

その代表例がJEFFROWLANDのModel10/12から採用を開始したPFCをChordも独自の方法
で搭載していたということだ。ではPFCとは何か? ということになるのだが…!?

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

PFCとは、PowerFactorControllerの略であり(PowerFactorCorrectionとも言う)、
昨今話題になっている「高調波抑制」の手法のひとつである。 
  
PFC搭載電源のメリットとして、高調波を抑制し、力率改善が図られているので、交
流入力が安定化される。従って、直流出力も安定化しているので、常にほぼ一定の
電気を機器に供給する事ができる。また、力率が高い(100%に近い)程消費電力は少
なくなるので、力率改善を図る事により省電力化が図られることになる。 
 
高調波とは、ACが流れる際に必ず発生するもので基本波の周波数の2倍以上のひずみ
波。この高調波により、発生元の機器はもちろん、周囲のコンポーネントにまで影
響を与える可能性がある。高調波電流はコンデンサに流れやすいという特性を持っ
ており、コンデンサの破裂等の恐れがあるなどオーディオ用には用いられず、高調
波抑制は「IEC61000-3-2」(EN61000-3-2)で規定され、パソコン用電源(50W〜600W)
などでは「ClassD」に分類されていた。 
 
では、“力率”とはなんだろうか!?

交流電力には、有効電力・無効電力・皮相電力があり、そこに力率は深く関わって
いる。また、交流回路において電力といえば一般的には有効電力を指します。

それぞれの関係と単位は、電圧=E(V) 電流=I(A) 力率=cosθ 各々を求めるには

有効電力P= EIcosθ(W)  
無効電力=EIsinθ=EI√1-cosθ(Var)
皮相電力=EI=EIcosθ+EIsinθ(VA) 

この式を見ただけで、もう続きは読みたくない〜、と思われてしまう方も多いと思
われ、かくいう私も同様である。中学の理科で習った電力とは電圧と電流をかけた
ものという至極簡単な理解で良いのだが、ここから先の解説をグラフと式を用いず
に誰でも頭に描けるイメージとして例えていくと次のようになる。

電力=電圧=E(V)×電流=I(A)

これだけは大原則なのでご記憶頂きたいのだが、まず交流というのは正弦波による
電圧の変動があり皆様も〜このような形のサインカーブは思い描くことができると
思う。このように電圧自体が時間軸に対して変動しており、一般的に私たちが100ボ
ルトと呼んでいるのは正弦波の最も高い瞬間的な電圧であるということがひとつ。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

テスターなどで測ってみると確かにメーターの針やデジタル表示は“100”を示す
のだが、それは測定器側の都合で表示されるRMS値なので、実際のピークはルート
2倍の141Vとなる。しかし、ここでは電流との相関関係を極力簡略化して述べて
みたいので、私たちが測定器によって観察できるものとして100Vという表現を借り、
そして想像しやすいしやすい正弦波というカーブの形をイメージとして思い起こして
頂くために上記のような例えをしていることを追記しておく。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、次にコンセントからこのような波形の電圧をコンポーネントの電源部に受け
入れたとして、次に流れる電流は電圧の波形と全くの相似形になるのか、というと
実際には全くことなる電流の波形になってしまうということを知らない人が大半で
あろうと思う。これはあくまでもイメージとしての例えなのだが、電源から見た負
荷の状態にもよるのだが、電圧が描く正弦波のほぼ頂点に差し掛かろうとするとき
の一瞬だけ電流は流れるのである。

大雑把な例えだが、夏の富士山の頂上にわずかな雪が白く残っている写真を思い出
して頂ければいいだろう。富士山のシルエットが電圧のカーブだとして、そのピー
クに達する九合目の頂上近くの白い部分でやっと電流が一瞬流れ、他の傾斜面では
一切電流は流れないのである。それはプラス側もマイナス側も同様であり、日本で
は50/60Hzという電源周波数からすると一秒間に流れる電流の回数は多くても120回
ということになってしまう。

さて、そうすると上記の電力を求める式で電圧も電流も、各々をかけて計算しよう
としても、実際に得られるエネルギーは電流として見た場合には大変非効率的であ
ることが推測できるだろう。

そこで考え出されたのが、一秒間に上下する正弦波の周波数をもっと増やしていく
と山のふもとの面積、横幅が大変小さくなって富士山のシルエットが細くなって連
続していくということになる。つまり富士山の九合目から頂点までの高さは同じく
して、横幅は九合目の白い部分と同じになって連続していくというイメージである。

このような操作によって、一瞬しか流れなかった電流が連続して得られるようにな
り、Chordではまずこのような操作によって直流300-350Vに変換する。それを高圧用
コンデンサーにいったん蓄え、更に高電圧用のMOSFETで80KHzの交流に変換する。
次に特殊セラミックコアの高周波トランス (分割巻線)で必要な電圧に変換する。

これらのスイッチング周波数での「表皮効果」による損失を回避するためにリッツ
線を採用し、変圧する際の動作周波数を高めることによって、トランスのサイズを
大変小型化することが出来た。その後、高周波トランスからの出力はもう一度整流
され、革新的な「ダイナミックカップリング」システムを介して最終段の高電圧コ
ンデンサーにチャージされる。高周波トランス、高速整流器、小さなコイルおよび
小さなコンデンサーによって、エレクトロニクス回路類に必要な直流へ高周波をフ
ィルターし変換する。ここで高周波を濾過するというのは、電源周波数をスイッチ
ングすると効率は良くなるのだが、電流波形がほぼ垂直に立ち上がる矩形波に等し
くなってくるので、高速でスイッチングする際の弊害として高調波が電源から回路
に侵入する可能性を除去するためである。

非効率的な大型トランスと大型コンデンサーによるレギュレータを使用せず、スイ
ッチのタイミングのコントロールによって、出力電圧は、一定に保持することがで
きるようになった。この処理はすべて、可聴周波数帯域を遥かに上回り、オーディ
オ回路にとって影響のない領域で行なわれのである。

Chordが日本に紹介された当時では既に第五世代のSMPSまで開発されており、それら
は用途によって600Wattと2000Watt、それに4000Wattのユニットが設計されていた。
今回のSPM14000では第六世代となる新しい設計を盛り込み、最大の4000Wのユニット
を贅沢にも三基搭載し、何と12KWという超強力な電源部を搭載したのである。

ここで12,000Wという途方もない電源部がどのくらいコンセントから消費電力を求め
るのかに興味を持った私は過去の事例から次のような比較をして見ることにした。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto39.html
 下記は96年に発表した上記の随筆の一部だが、このなかで…。

「そこで、年末の忙しい時期ではあるが輸入元のアクシスに無理をお願いして実測
 での消費電力を測定して頂いた。これはカタログにも雑誌にも載っていないデー
 タなので、クレルを筆頭候補として検討している皆様には良い情報となるはずで
 ある。
 最大出力に近いレベルを求めるユーザーには、電源環境の整備と容量の余裕を見
 込んで頂ければ良いと思うので、今回は実用レベルでの出力として30WまでをFPB
 300を対象として測定したものである。まず、アイドリングの無信号状態で350W、
  スピーカーの負荷を8オームと固定し1KHzの正弦波を入力して5Wの出力を得よう
  とした場合コンセントに求める電力は780W、同様にして10Wの出力を得るためには
  790W、そして30Wを得るためには1,400Wという消費電力が実測されたのである。」

http://www.axiss.co.jp/krelllineup.html#KSTAMP
現在では同格のアンプとして300CXということになるのだが、寸法/重量483W×260H
×475D(mm)/40.9Kgにして300Wx2(8オーム)600Wx2(4オーム)1,200Wx2(2オーム)と
いうパワーを誇り、消費電力としては60W(スタンバイ時)175W(アイドリング時)
1.7kW(最大)という段階でのスペックが公表されている。

そこで事例として下記でも述べているChordのSPM 6000でどのような消費電力が必要
なとかということを輸入元に計測して頂いたところ…。

消費電力計測結果として、信号源/出力計測を英国プリズムサウンド社のオーディオ
・アナライザー、AudioPrecisionSystem dScopeIII と米国 オーディオプレシジョン
社のSystem Two CASCADEという二種類の測定器を使い、ダミーロード8オーム/600Wを
負荷として取り付け、入力電源電圧計測をFluke83IIIで行い入力電流計測をFluke33
で行った数値が次のものであった。

STANDBY時        13.4Wrms
無信号時         142.3Wrms
1w/8Ω           185.2Wrms
5w/8Ω           245.7Wrms
10w/8Ω          286.0Wrms
50w/8Ω          458.0Wrms
100w/8Ω         578.5Wrms
200w/8Ω         746.3Wrms
300w/8Ω         878.5Wrms
400W/8Ω         991.5Wrms
500w/8Ω         有効値としての条件を満たさず

アイドリングで最小バイアスが流れたときでも142.3W、FPB300で5Wを求めたときに
780Wに対して245.7W、10Wでは790wに対して286.0W、30Wでは1,400WだがSPM 6000で
は50Wでも458.0Wという大変省エネ設計であることがわかる。最新型のKRELL 300CX
では最大出力というのは300W(8オーム)なので、SPM 6000での300Wでは878.5Wという
ことで、可変バイアスで省エネ化を目指したKRELLよりも大変に消費電力が少なくて
大出力が取り出せるという事例になるだろう。

これらから解るように出力の変化と消費電力の変化は特に小出力時には全くリニア
な関係になっていない。これが、スイッチング電源+スライディングバイアス方式の
挙動であり、実際の消費電力は観測時間を長く取ると同じ出力でも大きく変化しな
がら一定の値にはならないと言う。ありていに言えば出力に対する消費電力は変動
していて一対一の関係ではなく、出力○○ワットのときの消費電力はいくつという
ような固定的な値は存在しないものだ。従って、上記のChordのSPM 6000での消費電
力も限られた計測時間の中で検出された最も多い入力電流時ということで理解して
頂きたいものだ。これらの消費電力の値はあくまでも目安の一つであり、絶対的な
値ではないことを追記しておく。

SPM 6000では750W/8オームという定格であり、1000W/8オームのSPM 14000でもほと
んど同レベルの消費電力で動作してくれるものと推測される。ボディーの大きさや
重量、デザイン上の見た目からは大変かけ離れたなSMPSによる効率の素晴らしさで、
十分に家庭用の一般的電源で駆動できるということがお解かり頂ければと思う。

そして、SMPSの貢献は多大なるエネルギー供給だけではない。SMPSは自律した、セ
ルフモニタリング・モジュールであり、電源入力のコモンモードからの外的干渉を
受けることなく、また電源部からアンプ自己の内外に及ぼす影響を完全に除去する
という大きな副産物を生み出してもいるのだ。むしろ、これだけクリーンな電源と
いうことが音質に貢献している大きな要素とも言えるのである。

VitusAudioと比較しても、同容積同重量であってもアンプの設計方針として特に電
源部が対極的な違いを見せていることに注目したいものだ。


2.試聴評価の条件とは!?

私は以前にもChordのSPM 6000をここで試聴したことがあった。当時は同社のプリア
ンプが同時に搬入されなかったためJEFFROWLAND COHERENCEやMARKLEVINSON No.32L
を使って試聴を開始したものだった。

しかし、他社のプリアンプで開始した試聴では戸惑いがあった。鉛筆の芯の硬さで
例えれば、JEFFROWLANDでは2H、MARKLEVINSONでは2Bかと思えるような高域の質感が
まとわりつき、2Hと例えた演奏では弦楽器の質感が鋭利に過ぎ、過敏な反応で刺激
成分を含んでしまう。かたや2Bの演奏ではエコー感の伸びやかさの空間情報を司る
高域の発散が乏しく、刺激成分は感じられないのだが画面は暗くなってしまうよう
で解像度の不満がよぎる。これには困った…。

私はプリアンプとパワーアンプの純血は設計者が同じもので維持できると考えてい
るが、他社のプリアンプではどうにも納得がいかない。しかし、今思えばChordの
パワーアンプというものは良い意味で無色透明で、鏡のごとく他のコンポーネント
の個性に染まってしまうものなのかもしれないと良い教訓となったものだった。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今回は先日までのVitusAudioの評価に使用したシステムにおいて、アンプの前後を
同じくしてアンプだけの個性を浮き彫りにしようと考えたものだった。しかし、今
回も残念ながら同社のプリアンプが入荷待ちということで、仕方なくHALCRO dm8 を
使用してSPM 14000の第一声を聴き始めたのである。しかし…!?

超低歪率のHALCROはプリ、パワーともに無色透明を聴き手に意識させる質感を持っ
ているのだが、私の懸念は演奏を開始した直後から的中した。これも2Hの音になっ
てしまったのである。オーケストラの弦楽器群ではエコー感はさすがに鮮明に描か
れるのだが、高音階の演奏では眩しさを伴う微妙な刺激成分があるようで、一定の
音量以上に大きくなったときなどは神経を逆なでするような違和感を持ってしまう。
スタジオ録音のポップスなどは勢いにまかせて聴けなくはないが、総合的な判断を
この状態で下すわけにも行かず、純正のプリアンプが到着するまではバーンインと
いう程度で音を出しておくだけにしておいた。そんな私に輸入元であるタイムロー
ド社長の黒木氏よりメッセージが届いた。

「川又さま

 平素は大変お世話になっております。
 Chordのプリアンプが間に合わず申し訳ございません。
 ただ、Chordの場合、パワーアンプの設計思想として、それ自身はノンキャラク
 ターを目指しており、接続する機器の特長を最大限に引き出すことを使命として
 おります。プロの世界で支持されたのもそれが大きな要因でした。そこで鍛えら
 れ育ったアンプですので、ある意味、欲しい音を得るために黒子として使いこな
 していただきたいものです。

 一方プリアンプはChordの社長の好みが前面に出た、謂わば「音作り」用調味料が
 感じられるものです。したがって、ChordのプリにはChordのパワーとの組合せを
 お薦めいたしますが、パワーに対しては、自由にプリをご選択いただくのも楽し
 みになるかと存じます。

 スイッチング電源ながら、やはり通電して数時間経った後のほうが音にエネル
 ギーが漲ってまいります。

 なお、ご質問のひとつにお答えしておきますと、14000を使用しているスタジオは
 今のところ世界でまだ1箇所もございません。残念なことですが、現在の録音、マ
 スタリングスタジオは長引く不況とコンピューター化されたシステムが主流とな
 った煽りで設備投資が全くできない状況です。上流より下流の方がクォリティが
 高くなっているという異常事態が普通になってきているのです。また、スタジオ
 モニターはケーブル引き回しをしないでマルチチャンネルにも対応しやすいアク
 ティブ・タイプが主流となっています。
 そのような状況で、14000を開発したChordの意図はどこにあるのか、その辺り、
 是非お話できれば幸いです。」

なるほど…、スタジオでの業務用としての評価から立ち上がったメーカーだけに
Chordのwebを見ると世界中の錚々スタジオが同社のアンプを採用している実績が
輝いている。http://www.chordelectronics.co.uk/clients.asp

これらはミキシングコンソールから直接パワーアンプに接続されてモニタースピー
カーを駆動するようにしているので、黒木社長が言わんとすることは私にも良く理
解出来るものであり、まずは音質と信頼性の高さということがChordを支えている
最大の技術的要因であろうと納得できるものであった。しかし、そのスタジオでも
採用事例のない巨大なパワーアンプをどのように評価・分析したものか!?

それは私がこれまでにやってきたように、同じ感性と技術力を持って設計されたプ
リアンプでなければ他社との相対比較はやはり出来ないだろう。入荷を待つのみだ。

そして、1/26その日が遂にやってきた。まずはバーンインをじっくり行ってからの
試聴ということで、下記のシステムがやっと完成したのである。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

  -*-*-*-*- Chordアンプ検証のためのリファレンスシステム -*-*-*-*-

 ESOTERIC G-0s ■8N-PC8100■    
     ↓
 7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本
      ↓       
 ESOTERIC P-01 ■8N-PC8100■
      ↓
 PAD DIGITAL YEMANJA XLR 1.0m ×2 (税別価格\588,000.×2)
      ↓
 ESOTERIC D-01 ■8N-PC8100■
      ↓  
 PAD YEMANJA XLR 1.0m  (税別価格\1,480,000.)
      ↓   
 Chord  CPA 4000E(税別価格\1,620,000.)■ESOTERIC 8N-PC8100■
      ↓  
 PAD YEMANJA XLR 3.0m  (税別価格\1,800,000.)
      ↓      
 Chord  SPM 14000(税別価格\8,000,000.)
     ↓  
 PAD YEMANJA BI-WIRE SPK 5.0m  (税別価格\6,670,000.)*シングルで使用
     ↓
 MOSQUITO NEO   
                
税別システム合計価格 \33,216,000. YEMANJAの税別合計は\11,126,000.

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

前述のようにHALCRO dm8で試聴したときにも、このPAD YEMANJAを使用していたのだ
が、このケーブルのパフォーマンスを持ってしても高域の誇張感はどうしようもな
いものであり、やはりケーブルはシステムの難点を埋め合わせるものではなく、各
コンポーネントの組み合わせが素直であった場合にこそ各々の潜在能力を引き出し
てくれるものであると再確認したものであった。だめなものを包み隠すことはケー
ブルの役目ではない、それは同時にパワーアンプというシステムの花形の正体をも
暴く可能性を秘めているものだろう。

このYEMANJAは下記のULTRA SYSTEM ENHANCERを使用しても現在では完全にバーンイ
ンが完了し、熟成が益々進んでいく過程を日々観察しているものだ。DOMINUSを引き
継ぐ存在として再びH.A.L.のリファレンスとして君臨するだけの貫禄である。


3.最初はオーケストラ

これまで多数のコンポーネントのチェックに使用してきた曲であり、先日は幸運に
もサントリーホールでヒュー・ウォルフ指揮によるフランクフルト放送交響楽団に
よる生演奏を聴くことが出来たマーラーの交響曲第一番「巨人」を小澤征爾とボス
トン交響楽団による録音でじっくりと第四楽章まで聴き込んでみた。新しくはVitus
Audioによる同システムで何度も聴き込んできた記憶と、更に生演奏での鮮明な記憶
とも照合しながら、私はChordアンプでの再生音をそれらと比較していったのである。

「おー!! 楽音の質感そのものが前例のない爽やかさだ〜」

VitusAudioの温度感と質感の調和をポタージュスープに例えれば、Chordはコンソメ
スープということになるだろうか。これだけの技術力と物量投入によって設計され
たChordのフラッグシップモデルだ。各項目ごとに不満などあろうはずがない。

そして、私を最も安心させてくれたのが同社のプリCPA 4000Eとのコンビネーション
の素晴らしさである。HALCRO dm8との組み合わせで体験したぎこちない緊張感と高
域の硬直もなく、実にスムーズに弦楽器が演奏される。滑らかな質感が保証されな
がらもエコー感が広範囲に拡散し、減衰までの時間をも以前にも増して長くたなび
かせているのだ。

オーケストラを聴いて楽器ひとつずつの表現がどうなのかと、理屈とも言いかねる
各論で「弦楽器はいまいちだが打楽器はいい」などとつくろっても仕方ないだろう。
オーケストラの主役である弦楽器が最初から麗しく聴けないのであれば、それをカ
バーできる魅力を他の楽音に無理やり言い当てるというのは私には出来ない。

しかし、この時Chordで体験したオーケストラは、多数の楽音が自分のパートを演奏
するたびに、そこにスポットライトが当てられたように楽器個々をくっきりと浮か
び上がらせるという聴かせ方は、オーケストラ全体を一定の温度感という暖色系の
ベールで包み込んでしまうVitusAudioとは明らかに違うものだった。

VitusAudioでは弦楽器の美しさを私は強調したものだが、Chordでは打楽器と管楽器
がステージの上できらめきながらも眩しくはないという絶妙の解像度がある。これ
を例えるならば、Chordの質感はワックスをかけたばかりの高級車のボディーの表面
のようだ。指を滑らせることができるしっとりした感触があり、周囲の景色を鏡の
ように見事に映し出す光沢感があるにも関わらず、それ自体が眩しい光を発するこ
とはなくメタリックの微細な粒子と色彩感を深々と表現しているように思われる。
そんなボディーに歪感という水滴が一粒でも降りかかれば、見事な玉粒となって転
げ落ちていくようなはつらつとしたエネルギー感さえ感じられるほどなのである。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして、オーケストラを聴き進んでいくうちに今までのどこか違うという印象を確
実に感じているものの、それを言葉として中々言い表せないもどかしさがあったの
だが、ここでふと思い当たった!! 

「そうだ、今までのNEOがこんな低域を出していただろうか!?」

なぜもっと早く気がつかなかったのか、低域の堂々たる厚みが見事に表現されてい
るではないか!!それは重量感が増したということで引きずるような傾向を持つもの
ではなく、あくまでも以前に記憶しているNEOよりも高速反応の低域なので、そのボ
リューム感がアップしていることに気が付かなかったのである。

グランカッサの重厚でいて穏やかな響き、コントラバスが物々しいほどにしっかり
とステージに根を生やしたように自身の余韻が広がる空間のスケールを拡大してい
るのである。オーケストラ全体の低音階の演奏では明らかに重みを増しながらすっ
きりとした合奏の誇張感のない迫力が押し寄せてくる。これにはぐっと来た!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

それでは、ハルズサークル限定で販売したこのディスクは空間表現のあり方を教会
録音のヴォーカルとコーラスという声楽から検証してみることにした。

http://www.kkv.no/
kirkelig Kulturverksted(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)
・Thirty Years’Fidelity より
10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003) 
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

ハルズサークルの皆様に多数お求め頂いたThirty Years’Fidelityをお持ちの方は
再度10.トラックを聴きながらイメージして頂ければ幸いである。

女性ヴォーカリストRIM BANNAがソロで歌い上げる導入部が声の質感と空間情報を観
察するのに適切な素材となっているが、このヴォーカルが始まった瞬間に私は異変
を感じ取っていた。RIM BANNAの口元が浮き上がっているではないか!!

kkvのレインボースタジオで収録されたパートとVolda Churchで録音されたパートを
合成しているのだが、センターに位置するタブラはこんな低域の成分も含んでいた
のか!! アタックの時のテンションは一層引き締まっているので開放感と重厚さが両
立する低域が爽快に響く!!右チャンネルから一定のリズムで鳴らされる鈴の音色が
こんなにも鮮やかだったとは。しかも、これらがヴォーカル同様に浮き上がってい
て、NEOの前面にせり出してくるような立体感を見せるのだ。これはなんだ!!

そして男性コーラスがNEOの袂から立ち上がりソプラノも生き生きと伸び上がる。
更にピアノが転がり始めると私の推測が実感としてChordの個性となって自分の記憶
に刷り込まれていくのがわかる。

「おお〜、これは凄い!!」

同じフロントエンドにケーブル、そしてNEOというシステムでアンプだけが変わった
ということで、どうしてもVitusAudioの演奏と対比してしまうのだが、逆に両雄の
個性が浮き彫りになってきたようだ。

VitusAudioの時にはNEOの後方にすべての音源が並ぶように感じられていた。これを
例えるならばNEOは透明のガラスでありウィンドウであり、その向こうに深々とした
音場感が対向する鏡の中に無限に繰り返される鏡像のように奥の奥まで繰り返し展
開していたように思えるのだ。

しかし、Chordで同じ曲を聴いてみると、左右のNEOのフロントバッフルに大きなガ
ラスを貼り付けて、そこにプロジェクターで演奏者の姿を投影したような位置関係
を聴く人に見せるのである。これは決して平面的だということではない。白いキャ
ンバスではなく、ガラスという例えをしていることに注目して頂きたいものだ。

NEOのフロントバッフルの左右と上に左右のスピーカーの位置よりも大きなガラスが
私の目の前に存在しているように、楽音の前後感がぐっと手前にせり出してくるの
である。しかし、ここで誤解を避けるために追記するならば、この定位感の前方へ
の移動に関しては十分なエコー感が後方にも展開しているので、俗に言うホーンス
ピーカーでの前方のみという音場感とは全く異なるものだということだ。

教会の残響時間は6秒から長いものでは7秒間という大変長い時間軸で響きが残って
いくものであり、一般的に言うクラシックのオーケストラなどが演奏するコンサー
トホールでは2.5秒から3秒くらいが求められる残響時間だという。
しかし、オーディオシステムを再生するのにふさわしいルームアコースティックは
0.2秒から0.3秒くらいが望ましいと言われており、私もここの試聴室ではデッドな
チューニングで演奏しているものだ。

このディスクのように教会で録音されたということは楽音にとっての自由空間が大
変大きな環境で収録されたものであり、その特徴をきちんと再現しながらも各音像
の定位感をNEOの奥から手前に引き出して聴かせるという芸当はオーケストラでは
なかなかわからなかったものだ。それがこの曲では鮮明に感じ取ることができ、NEO
というニュートラルな再現性のスピーカーによってChordの個性が浮き彫りになって
きたということなのだ。では、それを更にスタジオ録音の演奏ではどうなるのか?


4.低域の解像度とエコー感の駆け引き

タイムロード社長の黒木氏がおっしゃるように「それ自身はノンキャラクターを目
指している」ということは、言葉では簡単に述べられても実際にはなかなかつかみ
がたい特徴なのである。無個性と言ってもオーディオの世界では他社比較をするこ
とが頻繁でもあり、相対比較を行ってこそ個性が理解できるというものである。
それを何とか私なりの分析を加えて、いくつかのキーワードとして記憶のファイル
に追加しなくてはと考えたものだった。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はこれまでに試聴した曲でSPM 14000が核となるChordのペアで聴くオーケストラ
では、これまでの経験にないほど低域が充実していたことが思い出される。しかし、
低域の楽音だけが録音されているディスクではわからなかったかもしれない。よく
ウッドベースやドラムだけという演奏のディスクもテストに使用することはあるの
だが、収録されている楽音全体の中でこそわかるものがあると考えられるものだ。

つまり、低音楽器だけのソロでは全体のボリュームを上げてやれば、それなりの充
実感と迫力は出てくるものだが、他の楽音との相対的な比較においてこそバランス
感覚として低域の有様も観察できるものだと考えられるのである。そこで…!?

多用な楽器が背景を埋めてヴォーカルも同時にチェックできるものをと「Muse」か
らフィリッパ・ジョルダーノの1.ハバネラをかけてみたのである。
http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/muse/muse.html

多重録音された冒頭のコーラスが現れた瞬間に私の記憶との相違点がたちどころに
見えてきたではないか!!

「お〜、この分離感というか解像度の素晴らしさはなんなんだ!!」

私の頭の中には数々のスピーカーとアンプ、そしてフロントエンドのプレーヤーで
聴いてきた記憶がぎっしりと詰まっているにも関わらず、この時に現れたフィリッ
パの一声一声の質感と口元を彩る周囲のエコー感が端的に違いを見せたことは一目
瞭然であった。

ヴォーカルの口元ひとつひとつがNEOの中間で見事に分離しているではないか。
VitusAudioでは各々の口元からこぼれ落ちたエコー感が互いに絡み合うという余韻
感の美しさを感じていたものだが、Chordではくっきりとひとつずつが空間に浮かぶ
ことでエコー感を左右に広げるのではなく、奥行き方向に引き伸ばし隣り合う口元
が独立した浮遊感を漂わせているのである。こんな美しさもあったのか!?

Thirty Years’Fidelityの10.トラックでRIM BANNAを中心にしたコーラスでの前後
感とまったく同様に、フィリッパのバックコーラスもNEOの位置に引き出され、フィ
リッパのソロは更に一歩前進して奥行き方向の定位感に変化も見られたのである。

そして、センターでズシーンとドラムのリズムが始まるのだが、その重量感は前代
未聞であり、センターから左右のNEOに向かって重心の低いエコー感が伸びながら拡
散していくという濃厚な低域表現が今まで知らなかった低域による音場感のあり方
を私に示すのである。低い音階の楽音が自由奔放に広がりを見せるということで演
奏そのものにどっしりとした土台が形成されたようで、初めての体験なのに違和感
がまったくない。これは素晴らしい!!

強力な低域と手前に押し出してくる積極性を心地良く聴きながら観察すると、NEOの
奥の方ではカスタネットや鈴というリズム楽器が見事に前後の開きを伴って奥行き
感を表現してくる。そして、その小粒な楽音の余韻感がこれほどの大出力アンプに
も関わらず何とも繊細であることかと目を見張ってしまった。

こんなにも小レベルの信号をこの巨体がかくも鮮明に描き出すのはなぜなのだろう
か? これにはカタログには表記されない同社の隠し技が大きく貢献しているようだ。

Chordのアンプのデザインで人目を引くブルーの間に小さな紫色が挟み込まれた独特
のイルミネーションがほんのりと明かりを灯していることに誰でも気がつくところ
だろう。実は、ここにも他社にないノウハウが隠されているというのだ。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

あれはもう20年近く前になるだろうか。wadia2000が登場し、デコーディング・コン
ピューターという耳慣れない言葉が使われ始めたとき、wadiaのボディーはアルミ削
り出しという大変高剛性なものであったにも関わらず、同社ではどんなに頑丈なキ
ャビネットであっても必ず内部には高周波・電磁波の定在波が発生するので、それ
を筐体の構造とビス穴の位置関係などのマトリクスから解析し、ボディーの各コー
ナーに向けて自然に放射する設計を行っていた。

Wadia 2000 では、Airborne computer quality from a solid block of aluminum
と、いっていました。Wadia9ではスーパー・ソリッド・エンクロージャー(航空機コ
ンピュータークォリティー・無垢アルミニウムブロック切削加工、レンツの法則に
基づく渦流共振をデ・チューニング、側板表皮効果トランジション@<20Hz)と言って
いた。

これらの解析技術の根拠となるものは、「レンツの法則」で、特に高周波において
パターンやパーツと筐体との間で「ショートターン」が構成され、電磁波が飛びつ
き渦電流のリアクタンスが発生することをいかにチューニングするかという理論だ。
これをデ・チューニングと表現していた。

これらを具体的に述べると…

1.均質で継ぎ目のない筐体を使用し、筐体形状によるリアクティブを抑える。

2.各パネルの並行面によって生じる誘導性、容量性の効果を避ける構造とする。

3.筐体素材に十分な厚みをもたせると同時に筐体内部表面に絶縁性コーティングを
 用いることで表皮効果のトランジッション周波数(飛びつきの周波数)を抑える。

というのがワディアの筐体理論であった。
全く同じではないのは当然であるが、コンポーネントの筐体設計におけるテクノロ
ジーとして私の記憶に残っていたものである。

wadiaのように内部に高周波の要素を持つということは前述の電源部の説明でも述べ
ていることなのだが、実はChordは以前から既にこれに類似した現象を確認し自社製
品のデザインに応用してきたというのだ。

見ればChordのアンプは本体に多数の穴が空けられているのだが、これは放熱のため
というよりは筐体内部で発生する高周波の定在波が内部で発生し反射することで音
質的に悪影響を回避することが目的であるということなのである。

そして、それを構造的なことでキャンセルしきれないことから、同社では光の波長
を微調整して前述の高周波を軽減できるという技術を開発し、アンプの内部で発光
させることで音質的な向上を図ったというのだ。私は以前から同社のイルミネーシ
ョンはデザイン上での個性だとばかり思っていたのだが、れっきとした音質的な根
拠を持ったものだということを最近知ることになったのである。

このイルミネーションにスイッチがあって、オンオフの実験が出来れば面白いのだ
が、残念ながら私のような好奇心は無視されたようだ。いや、むしろ同社のアイデ
ンティティーとして、ベストを尽くした音質はひとつであるという方針を我々が素
直に受け取ればそれでよいのかもしれない。

しかし、1000W/8オームという大出力のSPM 14000でありながら、なぜこのような微
小信号が大きなボリューム感のある他の楽音と混じって演奏されても極めて鮮明に
再現できるのか、という疑問の答が複数のテクノロジーによって得られたものであ
るということで納得が出来た。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

十分過ぎるほどの情報量としてエコー感、余韻感という空間情報が私が求めるレベ
ルで大変素晴らしいこと。

楽音の前後感がきちんと再現できるスピーカーを使用した場合には、録音によって
音像の前後配置を正確に、そして手前にせり出してくる演奏の醍醐味も表現できる
ということ。

大出力アンプでありながら、大音量の最中でも小信号の楽音が恐ろしく鮮明に描か
れること。

低域のエネルギー感が上記の特徴を認めた上で大変豊かであるということ。

SPM 14000のノンキャラクターをどのように認識したら良いのか、という自問自答に
対して、私はこのレポートを一ヶ月間かけて書き直し、また試聴を繰り返しながら
やっとここまでたどり着いたものだ。インプレッションを述べたテスト曲は少ない
が、実際には今までにないほどの試聴時間を費やしてきたものである。

こんなChordのアンプは、きちんとした理解によって同社のノンキャラクターという
設計思想を感じとってあげなくてはならないだろう。それにはどうしたらよいのか?
繰り返しになるが…

Chordのwebを見ると世界中の錚々スタジオが同社のアンプを採用している実績が
輝いている。http://www.chordelectronics.co.uk/clients.asp

ここに公開されている錚々たるアビーロードのようなレコーディング・スタジオな
どで近来モニタースピーカーとして採用されているのは何か? そうB&Wである!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/327.html
そのB&WがNew 800 Seriesとして世代交代することは以前にも述べてきたが、私は
新シリーズのトップモデルとなるN800dを次のようなシステムで実演するという構想
をNo.1044で述べていた。


   -*-*-*-*- 次世代GOLDMUNDのリファレンスシステム -*-*-*-*-
 
 GOLDMUND MULTIFORMAT PLAYER EIDOS REFERENCE 税別 \8,500,000.
 http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/players.html
     ↓  
 GOLDMUND LINEAL DIGITAL CABLE 
      ↓   
 GOLDMUND  MIMESIS 24ME   税別 \5,000,000.
 http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/ultimate/mimesis24.html
      ↓  
 GOLDMUND LINEAL DIGITAL CABLE
      ↓      
 GOLDMUND  MIMESIS 20ME   税別 \4,900,000.
 http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/ultimate/mimesis20.html
      ↓  
 GOLDMUND LINEAL CABLE
      ↓   
 GOLDMUND  MIMESIS 29.4ME  税別 \6,800,000.
 http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/ultimate/mimesis29.html
       or
 GOLDMUND TELOS 600      税別 \5,000,000.(予価)
     ↓  
 PAD YEMANJA BI-WIRE SPK 5.0m  (税別価格\6,670,000.)
     ↓
 MOSQUITO NEO  or  ■ そして!!  B&W N800d ■


さあ、どうだろうか!?

このシステムにSPM 14000とCPA 4000Eを投入したらいったいどうなるだろうか!!??

私は一ヶ月間という長きに渡りChordのフラッグシップを聴き続け、なぜプロ用と
しての評価と実績がこれほどまでに高いのかを身をもって体験し理解できるように
なったと自負している。

そして、ここが最も重要なことなのだが、SPM 14000を使用しているスタジオは世界
中のどこにもないという事実。

更に各国の著名スタジオで使用されているB&Wのモニタースピーカーの新世代モデル
であるN800dも同様であるという事実。

この両者が2005年の春に、ここH.A.L.にて世界初のペアリングを行うことになった。

これは世界的に見て、どのような価値を持つものなのだろうか!!

それを聴くことが出来るのはハルズサークルの皆様が世界初であるという事実!!

さあ、いよいよハイエンド・シーンが熱くなってきました!! H.A.L.から発信される
情報の価値観が近年になく高まっていく一年になりそうです。どうぞご期待あれ!!

このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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