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H.A.L.担当 川又利明
    
2025年10月17日 No.1833
 第45回マラソン試聴会2025予告!第10弾・HIRO Acousticsを極める!Part.3

「H.A.L.'s One point impression!! - dCS Varese System Part.2」

第45回マラソン試聴会2025予告!第九弾・HIRO Acousticsを極める!Part.2
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1830.html

上記にて国内初の音出しということでVarese Transportの試聴開始。

この時点では輸入元のVarese Systemのデモ機が当フロアーに来ているので、
太陽インターナショナルの皆さんも、更に雑誌メディア各社と評論家の誰も
聴いていないというタイミング。ありがたく光栄な機会を頂きました。

H.A.L.'s One point impression!! - dCS Varese System
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1810.html

その前に上記にてVivaldi Transport IIにてVarese Systemを試聴していましたが、
関連する項目があり下記の一節を引用しておきます。

「昔からdCS Vivaldi Transportを使った経験から気になることがあった。
 デジタル出力をDXD(352.8kHz/24bit PCM)、DSD、またはDSD×2のどれで
 送り出すかという選択」

そして、もう一つ重要なポイントを引用しておきます。

「VareseシステムはACTUS(Audio Control and Timing Unified System)と呼ばれる
 dCS独自のハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成されていますが、
 ハード面の特徴としてはACTUSケーブルを使用したセットアップということになり、
 ソフト面ではGoogle Castに対応したdCS Mosaic ACTUSアプリケーションをタブレットや
 スマホにインストールすることで多機能リモコンとして操作することが出来ます」

先ずは配線に関してはACTUSケーブル1本でVarese Coreにつなぐだけで簡単に配線が出来ました。

そして、Mosaic ACTUSアプリケーションにてVarese Transportのコントロール画面を
初めて出したのですが、これが何ともシンプルというかトレーのオープン・クローズ、
演奏開始、トラックナンバーと演奏時間、PCMかDSDか、という表記しかありません。

リモコンとなるタブレットの画面はこのように表示されます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20251013155409.jpg

ストリーミング再生の場合にはジャケットイメージと画像とか、曲名なども表示
されるのですが、ディスク再生ではグラフィックな情報は何も表示されません。

Varese Interfaceは下記のように表示。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20251013155420.jpg

さて、国内初ということでVarese Transportをセッティングして直ちに気が付いたこと。

Vivaldi Transport IIではDUAL AESの二本のデジタルケーブルで接続してDXD(352.8kHz/
24bit PCM)、DSD、またはDSD×2の出力が選択できたのですが、ACTUSケーブルによる
Varese Transportの出力はSACDでのDSDは良しとしてPCMでは44.1KHz/16bitしか出ない!

これでは比較にならないので、どうしたかというとVivaldi Transport IIの出力は
AES3からの1本だけという事で同じ44.1KHz/16bitとしての比較をすることにしました。

もちろんVarese Coreにおけるシグナルパスの設定は[Measured/dCS測定]すなわち
入力がPCMなのでフィルター:[F6]変換:[PCM]マッパー:[M2] としています。

★輸入元からの情報によりますと上記の表示は[PCM]になっていてもVarese Coreにて
 DXD相当の352.8kHz/24bitに変換されてVarese Mono DACに伝送されているという事が
 本日分かりましたので追記しておきます。私も今まで知らなかった情報でした。

2025 Tokyo international Audio Show
http://iasj.info/tokyo-international-audio-show/2025/

いかんせん上記の2025東京インターナショナルオーディオショウの前に貴重な
Varese Transportをお持ち頂いたという事で滞在期間は短期間でしたが、
同社トランスポートの比較という大変貴重な体験をさせて頂きました。
https://taiyoinc.jp/events/

しかも下記のMODEL-C4CS SBS Versionで聴けるという事で早くも興奮状態です!

H.A.L.'s Special Release - HIRO Acoustic MODEL-C4CS SBS Version
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1828.html

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

dCS Varese Systemだけにしか出せない音、それはストリーミング再生ではなく
メーカーのサウンドポリシーが特定できるCD再生でということで下記の選曲。

しかも、QobuzやTIDALでも配信されていないアルバムなのでCDしかありません。

■Warren Bernhardt「Hands On」
https://web.archive.org/web/20080227101504/http://www.dmprecords.com/CD-457.htm

このCDの詳細は下記リンクの関連サイトにてご覧下さい。
https://x.gd/hixUu

2022年、既に故人となっていますが私の大好きなアーチストの一人です。
https://www.warrenbernhardt.com/

先ずはVivaldi Transport IIで聴き、そして全く同じ条件にてVarese Transportで聴き直す。

この比較はCD再生という手法による再生音として正に究極的な音質を確認したのでした!

1.Prelude,Op.28,No.20 And Variations(Written-By F.Chopin & Bernhardt)

この曲の冒頭はフレデリック・ショパンのプレリュード作品28-20ハ短調。

前奏曲集24曲の中で冒頭にff(フォルテシモ)があるのは唯一第20番だけ。
Largo、4分の4拍子の強烈な和音がいきなり展開する! この時です…

上記Varese Systemのインプレッションとして述べていた解像度の素晴らしさは元より、
右手の一番内側にある音符の打鍵が際立ち、Steinway Model Dの内側で起こる
共鳴音が長く引き延ばされて空間に消えていく余韻の滞空時間をVarese Transportは
倍加させ、私が重要視する音場感という情報量をCDから引き出した素晴らしさ!

更に驚いたのは左手が弾く最低音部の音符が示す極めて低い音階の和音が、ここまで
沈み込んだ重量感を持っているのかと驚く!これはVivaldi Transport IIとは別格!

Warren Bernhardtが奏でるショパンのPrelude,Op.28,No.20のパートは1分33秒。

この段階でVarese TransportでdCSが何を目指し実現したのかという事が実感された!

今までに経験のない情報量と質感の新境地を突きつけられ、CD再生に関して同社が
どのような価値観を持っていたかが直観された一瞬だったのです!

そして、この1分33秒のPreludeの終焉から、つかの間の静寂をはさんで始まる変奏部、
Variationsへの展開でWarren Bernhardtが弾き始めた繊細で優雅な旋律にしびれました!

透き通るような音色のSteinwayをWarren Bernhardtの右手が細やかなタッチで奏で、
流れるような旋律がHIRO Acoustic MODEL-C4CS SBSから繰り出されると、ウーファーが
如何に再生音の全帯域に影響力を持っていたのかが痛感できる美意識の表出に震える!

ピアノという楽器の音色に関して未知の美しさを軽々と引き出したVarese Transportによる
システムの完成度は、ブラシだけでドラムを演奏するPeter Erskineの再生音に関しても
間違いようのない格差を見せつけてくる!

シンバルを左に、時折のアクセントを刻むハイハットを右に定位させ、センターでは
タムのヘッドをしっとりとなぞるブラシのリズムがVarese Transportによって更に
磨きがかかり、しなるブラシの一本一本の先端が叩き、なぞる気品あるドラムの
極めつけの解像度に私の目と耳はくぎ付けとなっていた!

同じドライブメカを搭載し、たった一本のACTUSケーブルによって出力しているだけ
なのに、Varese TransportがVarese CoreとVarese Mono DACに送り出す情報量がなぜ
ここまで違うのかと困惑する私に更なる追い打ちがかかる。

Marc Johnsonのアコースティックベースが控えめにセンター奥から登場かるのだが、
その音像は決して膨らまず、だが重量感が増して濃厚なベースに豹変しているのはなぜ!?

この低域の質感の変化はピアノの左手での低音の変化に共通するのがあり、
Varese Transportという存在はVarese Systemの骨格を担っているという事実が
はっきりとHIRO Acousticによって解き明かされていく快感が堪らないのです!

9.Praise(Written-By  Bernhardt)

8:37という長いピアノソロのBernhardtオリジナル曲。1986年10月ニューヨークの
クリントンレコーディングスタジオAで収録されたアルバムの最後の一曲。

冒頭の主題が始まった時からSteinway独特の共鳴音を伴う華麗な旋律が展開するが、
この時点でVarese Transportがもたらした変化が確認できる。音の数が多い!

ここでも以前のVarese Systemのインプレッション記事を引用したい。

「大編成のオーケストラで弦と菅の多数の楽器が演奏されれば、そのパートごとに音質的
 特徴を見出そうとするだろうが、あくまでも大編成の中の一つの楽音という分析と考察
 という事になり、そのパート内部の質感を掘り下げようとしても限界がある。

 しかし、ピアノソロという録音では打鍵の一つずつに未知の音を発見することもあり、
 再生装置の性能と魅力を捉えるのに好都合な一面があるのではと考えた。」正にこれです。

全長2.7メートルを超えるSteinway Model D4、別名9FT Steinway Concert Grandが放つ
膨大な情報量とはどんなものか。

単純に言えば白黒とも言えるマルチクロマチック(多色パレット)と例えられる色彩感。

オフホワイトと黒に近い色、アイボリーの上に石炭の粉をまぶしたような色、ワセリンを
塗った黒檀色、埃っぽい黒曜石色、燦然と輝くプラム色、リグレーホワイト、そして
Noir(ノワール)漆黒の黒。

ピアノの鍵盤における白鍵と黒鍵の二色から中間色を含めて、今まで聴いてきたピアノと
いう楽音の色彩感を例えると、こんなイメージがあったのではないかと思えてくるのです。

それが、Varese TransportをインストールしたVarese Systemの完成形では前例なき
テクニカラー(総天然色)の色彩感をピアノに、いや!全ての再生音に与えたということです!

これを私は完成されたVarese Systemの情報量の物凄さとして例えたいのです!

スリリングな右手のタッチが一つずつ打鍵の存在を音像として空間に提示し、その残響が
空間に溶け込んでいく見事な空間の造形がCDというメディアで実現されたということ。

そして、それはストリーミング再生とは違い、1ブランドのシステム構成によって確立され、
単独のパフォーマンスとして固定されユーザーに提供できる価値観として特定できるのです。

ぐっと重みのある左手の低音階でのリズムパートは切れ味鋭く、低弦を叩くハンマーの
インパクトによって響板の上で太い弦が共鳴音を伴って振動する描写力がHIRO Acousticに
よって正確無比に空間を作り出していく描写力に私は震えました!これぞVarese System!

印象的なスピード感あふれる低弦の打鍵から、右手の高音階に移行していく有様は
演奏者と同じ空間に居合わせているのではないかというバーチャル・リアリティの極地。
ピアノ全ての音階において実に鮮明かつ忠実な質感が連携する物凄さ!

正に一打鍵によって跳ねる、弾ける、そんな高速反応のピアノでありながら、その音色と
質感では聴き手の美意識をくすぐる素晴らしい響きの連鎖が空間に満ちていく醍醐味。

Varese TransportによるVarese Systemがもたらしてくれたデジタル再生の頂点というものを、
外部要因の影響を受けずに確立できるCD再生においてこそ確認できたと納得しました!

もう一度、最後に以前のVarese Systemのインプレッション記事を引用したい。

「長時間に渡るVarese System試聴の最後に選曲したピアノソロ。
 そのタイトルがいみじくも“Praise”であったのは偶然ではなかったのです!」

私は2025年のマラソン試聴会のステージで、このVarese Systemを実演します。
その際の最後の選曲は私が感動した上記のCDによる選曲と決意しました!

上記に述べたテクニカラーの色彩感が会場の大空間でどう表現できるのか。
ご来場頂けた皆様から果たして“Praise”を頂けるのかどうか。
その重責を担って望みたいと思っています。

そして、ここHi-End Audio Laboratoryで皆様お一人ずつに、“Praise”と共に
“Surprise”を提供できるようにしたいと願っているものです。ご期待下さい!

私が目指すのはスタンディングオベーションです!
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

■マラソン試聴会の特設サイトにて事前登録をよろしくお願い致します。
https://2020dynamicaudio.com/3186-2/


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