《HAL's Monitor Report》


No.0257 - 2005/10/2

宮城県角田市 O T 様より

H.A.L.'s “PEIP”Monitor Report!!

“PEIP Club”より続々レポート到着
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/363.html



Vol.5「聴いた瞬間「キタ、キター!!この音だよ!!」と一人にんまり!!」

モニター製品 “PI”+“PD”

川又様へ

“PI”“PD”の最初の試聴記が配信された後、川又様から“PI”を発送しますの
メール(9/21)。

『えっ、こんなに早く』と年甲斐もなくちょっとうろたえてしまった。
でも今週の週末は、夫婦でワーグナーのオペラを2日間通して観るため上京する
ことになっているので、先週送っていただいたのはグッドタイミングであった。

風邪を引いてしまい万全の体調ではなかったので、届いた2台の“PI”をそれぞれ
2台のレヴィンソンにつないだだけにし、三連休まで聴きたい気持ちを我慢する
ことにした。

通電して3日目、連休に入ったところで、試聴開始。

何から聴こうかと迷ったが、まだ体調がすぐれないので、ヴォーカルがメインの
聴き慣れたCDから始めることにした。

総評を書けば短くて済むのだろうが、少しでも皆さんのお役に立てばと思い、今回
はあえて聴いたCDをもとにできるだけ具体的に書くことにした。
(よけいな親切だったかな。)よって、長文・駄文で読みづらく非常に恐縮では
あるが、なにとぞご容赦のほどを。


〜“PI”をパワーアンプに〜

1.長谷川きよし/「アコンテッシ」から1曲目「バイレロ」。

イントロのシンセサイザーの音が壁一面に軽やかに広がり、きれいに澄んだ音で
あることがすぐにわかった。ベル?の音もすんできらきらときらめきながら周り
の空間に消えていく。

これまでなかった音の出方である。

肝心のヴォーカルは、力強く堂々とした声で、細身になったり芯が失われたりと
いうこともなく、その点では好印象。

6曲目の「忘却」でもリアリティーが増す印象はあるものの、声そのものに大きな
変化はなかった。
このCDで今まで一番気になっていたのは、目の前で聴いた長谷川さんの艶やかで
朗々とした声にはなかったざらつきを時折感じることであった。

“PI”により背景は静かになるものの、声そのものは今までとあまり変わらず
(逆に背景が静かになった分だけ声のざらつきがよけい気になる)、何かちぐはぐ
なものを感じてしまった。他のCDでも確認しようと最近よく聴くマリア・ベターニ
アを聴いて
みることにした。

2.マリア・ベターニア /「マリア・ベターニァ」。曲は「メロディア・センチ
メンタル」。ヴィラ・ロボス作曲のとても美しい曲。この曲はマリアのセリフから
始まるが、一つ一つのことばがより明瞭になり、エコーもやはりスタジオの空気が
澄んで軽くなったかのように、ストレスなく自然に響いていく。

歌声も静かな空間から出てくる印象で、声や息づかいがさらに生々しくなったよう。
ついでに彼女の兄であるカエターノ・ベローゾ「foreign Sound」からアカペラの
「Love For Sale」を聴いてみることした。結果は長谷川きよしとほぼ同じ印象で
ある。8年ぶりの来日コンサートで聴いたカエターノの艶やかで美しい声までに
やはりいたらなかった。

ヴォーカルをメインに聴いて分かったことは
 
(1)S/Nがよくなり、背景が静かで音場の見通しが良くなる。
 
(2)クールにも温かくにもならず、温度感に大きな変化はない。
 
(3)芯が失われることはなく、音が柔らかくなったり鋭くなったりすることもない。
   力感は増す印象。
 
(4)声に以前よりリアリティーを感じるが、持ち主の声にはないざらつきがとれる
   ところまでにはいたらない。
 
次にジャンルを変えて、パコ・デルシアの後継者の一人と目されているフラメンコ
ギター奏者ビセンテ・アミーゴを。

3.ヴィセンテ・アミーゴ /「VIVENCIAS IMAGINADAS」
(「魂の窓」)から2曲目「EL MANDAITO」。

やはり、以前より静けさを感じる空間から、まるでタップにスポットが当たったか
のようにタップの音がくっきりと聴こえてくるのにちょっと驚く。タップのエコー
がスタジオの空間に響いていく様子もボーカルのCDで聴いたときと同様である。

タップから引き継がれる手拍子への変化もわかりやすく闊達にリズムを刻んでいく。
低音部を支えるパーカッションのリズムがよく弾む。ヴィセンテのギターも切れ味
が鋭くなったと感じても、音色が変に鋭くなったり、ガット弦がスチール弦に聴こ
えたりというような好ましくない変化をみせることはもちろんなかった。

総体的に見通しがよくなり一人一人のプレーヤーの演奏がよく分かるようになった。
コンサートで見たステージ風景をちょっと思い出した。

リズミカルな曲をもう少し聴こうと思い、これまた聴き慣れたハービー・ハン
コックを。

4.ハービー・ハンコック /「DIS IS DA DRUM」から「BUTTER
FLY」。

この曲はシステムがハイスピード、ワイドレンジで楽器の質量が伴ってくると、
とても気持ちよく聴ける。

“PI”を通すと、スピード感を保ったまま、一つ一つの楽器の音に厚みが増し、
力強くリズムを刻んでいくのでノリノリで聴けた。

これはいい。気持ちがよいのでついどんどん音量を上げたくなる。

更に、ポルタルとガリアーノのデュオ「BLOW UP」、和太鼓奏者である林
英哲の「遙」を聴いてどちらも以前より良かったが、圧巻は英哲の和太鼓である。

実演にやや近いと思われるほどボリュームを上げても(ログの丸太が振動している
のが分かる)、まったくパワーに頭打ちがないのである。

ただし、我が家では残念ながら、桶胴を実物大で再現できるまでには至っていない。
和太鼓の会で活動している妻いわく「桶胴の高さは実物の4/1ほどね」と手厳し
い。特にDACをレヴィンソンの30.6Lにかえてからは、「太鼓の皮が湿って
いる」と情け容赦がない。

特にパワーを要求されるような音楽を聴いて分かったことは、(1)から(4)のほかに
(5)どんなに音量をあげても、パワー感の頭打ちがまったくといっていいほど感じ
られない。
 
 これほど書いておきながら「なに、これだけか」と思う方も多いのでは。

でも「電流制限がない」(“PI”のカタログにも書いてあった)は大飯ぐらいの
アンプを2台も使っている身にとっては、とても大事なことなのである。

これまで電源コンディッショナーを導入できずにいたのは、一つはこのため。

やっと使える物に巡り合ったという気がしてきた。
今度は、所有しているCDの中では一番枚数の多いジャンル、クラシックを
(といっても1000枚を超えたぐらい)聴いてみることにした。

5.BRUCKNER/SYMPHONY NO.9 

指揮 SKROWACZEWSKI  MINNESOTA ORCHESTRA
ブルックナーの交響曲は長いので、トラック8から10「SCHERZO」を。

木管のソロに始まり、第一ヴァイオリン、コントラバスのピチカートが呼応するよ
うに曲が進行していくが、まるでそれぞれのパートにスポットライトをあてたかの
ように、ミネアポリスオーケストラホールの空間にポット浮かび上がっては消えて
いく様が聴き取れる。

木管群、金管群が加わり、ffになっても混濁感が少なく、荒れた響きには決してな
らない。また、それぞれのパートに耳を傾ければ、微細な音までも明瞭に聴き取る
こともできる。

これも試しにと普段聴いている音量よりだいぶ大きくしても、リミッターのかかっ
たような頭打ちの音にならずうるささも感じない。

 しかしである。以前よりよくはなったが、常に「なにかまだ不十分ですよ。
もっとよくなりますよ。」と言われ続けているような気分なのある。

それは、他のCD、たとえばバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタやピアノソナタを
聴いても同じなのである。

改善点は既に5点ほど上げたが、「ここはもっとこうなるはずだ」という思いが、
特にアコースティックな曲を聴けば聴くほどこみ上げてくるのである。

つまり、ヴォーカルで感じた問題点をそれ以外のCDでも感じるのである。

困った!「やっと巡り合った」などと、先ほどとは矛盾したことを書くようである
が、原因は分かっている。ノイズ対策をしていない前段機器が問題なのだと。

でも試してもいないのに前段も対策したらきっと良くなりますなどとは書けない。
評論家ではないし、自分が本当にいいと思わないことは書けないなあ。

パワー用にと先に“PI”から借りたのはまずかったのかと困り果てていた頃、まる
で見透かされていたかのように、川又さんから「“PD”が戻りましたので発送しま
す」のメール。聴くのはここまでにして、製品が届くのを待つことにした。


〜“PI”+“PD”〜

メールをいただいた次の日には“PD”なる製品が届いた。
“PI”は小さいながらもずしりとした重さであり、重さや質感から信頼できそうな
感じが伝わってきた。

ところが8このアウトレットをもつ“PD”は、手に持つとあっけないほど軽かった。
「大丈夫かな」と思わず心配したが、数時間の通電後に聴いた音は、私の心配など
すっかり吹き飛ばしてくれた。

聴いた瞬間「きた、きた、この音だよ」と一人にんまりとしてしまった。

そばに誰かがいたら、さぞ気味の悪い思いをさせただろう。

“PI”+“PD”を通した音は「舞台環境が整い、一流の役者も揃った」という印象
である。

何がどう変わったのかを前に取り上げたCDをもう一度登場させて書いてみる。
(くどい!)

  長谷川きよし/「アコンテッシ」である。このCDで特に気になっていた長谷川
さんのヴォーカルからざらつきがとれ、とても細身の体から出てくるとは思えない
ほどの艶やかで朗々とした、あのライヴでの声が目の前に現れたのである。

もちろんまったく同じとはいわないが、歌っている表情までが歌を通して浮かんで
くる。口の開き具合、喉仏の震える様子までもが目に見えるようである。

同様にマリア・ベターニアも非常に生々しい。PIだけでも生々しさは感じたが、
“PD”を通すととても腕がよくセンスのあるPAのミキサーがバランスをうまく
とっているように聴こえてくるから不思議。

なにもひっかかりがなく、自然に歌や伴奏のギターに引き込まれてしまう。
彼女はハスキーヴォイスなので、ざらつきがどうのこうのではないが、口の動き
までもが分かる。

ギターも弦に指がタッチし、それがサウンドホールに響いていく感じまでもうまく
伝わってくる。兄のカエターノのアカペラは長谷川さんと同じ。
コンサートでうっとりして聴いたあの声とほぼ同じ印象である。

自分の部屋に居ながらにして、コンサートと同じ気分で聴いていられるのは最高で
ある。
 
 また、ハービー・ハンコックの「BUTTERFLY」はこれまで何度聴いたか
分からない位なのに、感激を新たにしてしまった。

左右のスピーカーを大きく超えて広がる音が、単に存在を示すだけでなく、とても
明瞭なのである。音そのものは滑らかであるが、重厚でしかもリズミカル。

更に微細な音までがよりはっきりとしてくるので、いろいろな音の仕掛けがこれま
で以上に楽しめた。

和太鼓の音には情け容赦のない妻も、“PI”+“PD”を通した質感の向上は、
「宮太鼓や締太鼓は実際の太鼓に近いし、バチが当たった瞬間の皮の質感や震えて
いく様子は特によい」と認めた。週に半分ほど練習や演奏会等で太鼓をたたいてい
る彼女のことばは信用できると思っている。
 
ブルックナーのシンフォニーも見通しがよく広いサウンドステージの中で各パート
にスポットライトがあたった感じがさらに強まり、しかも互いの響きは溶けあいな
がら空間に漂い消えていく。

リファレンスレコーディングは優秀録音で有名であるが、そのよさを堪能すること
ができた。SUSKEによる無伴奏ヴァイオリンソナタも、“PI”だけの時に感じ
た違和感は消え失せ、静けさを感じる空間のなかで、艶やかな美音を味わえた。

以前、このCDを知人が所有するソナスファベールのガルネリで聴いたことがある
が、その音を彷彿させるような音に変貌したので驚いた。

N801でもけっこういい線までいくのねと古女房を見直した。

 「“PI”+“PD”を通した音に一目惚れならぬ一聴惚れ」の状態なので、さらに
いろいろCDを聴いてみた。

気づいたら深夜になっており、20枚ぐらいは聴いたろうか。頭がボーッとして
きた。馬鹿につける薬はない。

でも、これまでだと耳が痛くなってくることがしばしばなのだが、今回は耳が
ちっとも痛くはなっていない。

すると耳の痛みはノイズのせいだったのか?

〜まとめ〜

 我が家では、ログ用に母屋とは別に電線を引き込んでいることもあって、ノイズ
対策はほとんどしていなかった。
ログにはオーディオ製品を除き、家電製品はほとんどない。

子ブレーカーとコンセントをLINNのブルーケーブルで直接つないで(9系統)
アースをとり、コンセントをワッタゲイトやFMI等に変更した程度であった。

だからなおさら“PI”+“PD”のコンビが威力を発揮したのかもしれない。

それでもこの変化は驚きである。

Shunyataの Hydraをはじめとする海外の製品や国産製品もいくつか試したが、
一長一短であり、導入を決意するまでにはいたらなかった。電源の重要性を今回
ほど感じたことはなかった。

“PI”+“PD”は「何もたさず、何も引かず」である。仕事をしない怠けものとい
う意味ではない。

「本来の機器の性能をそのまま発揮させてくれる。」
という感じを強く持ったからである。

しかもサイズがコンパクトであり、動作状態で無音なのも気に入った。

秋にこんな喩えで恐縮であるが、「(街路樹の)雨後の若葉が、緑の輝きを取り
戻す」といった印象をずっと持ちづけて試聴していた。

「いい加減オーディオ製品を買い続けるのはやめよう」

その分でコンサートを行く回数を増やしたり、遠くにまで聴きに行こうと思ってい
た。その決意も吹き飛びそうである。家族の視線も年々厳しくなっており、仕事は
忙しくなり続けるが給料は下がる一方である。

 そこで、みなさん。川又さんの企画した
「“PEIP Club”会員数は現在163名様です!!」

を川又さんが目標とする300名の大台に乗せ、大量発注によるスケールメリット
で少しでも安くしてもらおうではありませんか。

   ムシガイイナ・・・・。

買わないまでも一聴の価値ありです。
私としては、たばこをやめられたら自分への褒美に買いたいなと考え始めています。
でもいつのことになるやら・・・・。
 
 本当にだらだらと駄文を書き連ね、失礼致しました。とても良い製品を自宅試聴
させていただいた川又さんへの感謝の気持ちを込め、恥を忍んで書かせていただき
ました。ありがとうございました。 
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

O T 様本当にありがとうございました。
ついに“PI”+“PD”の経験者からのレポートを頂くことが出来ました。
そうです、正にその通りなのです!!

“PI”+“PD”は今後のスタンダードとして皆様にもお奨めいたします!!


HAL's Monitor Report