2019年5月19日 No.0717
 新着投稿⇒H.A.L.'s Hearing Report-HIRO Acoustic C8CS & ESOTERIC New Grandioso

2019年4月3日 No.1536 H.A.L.'s Special Release - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C8CS
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1536.html

上記のリリースに敏感に反応されたベテラン会員が個別試聴にてじっくりと試聴され、
その思いのたけを貴重な感想と分析ということでお送り頂きましたので早速ご紹介致します!!

試聴システムは私も初めてという総額¥141,242,000.という途方もないオーディオシステムです!

H.A.L.'s Sound Recipe/HIRO Acoustic C8CS & ESOTERIC New Grandioso-inspection system
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'sSoundRecipe_HIROAcousticC8CS_NewGrandioso.pdf

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Vol.3「HIRO Acoustic MODEL-C8CSと自宅MODEL-CCSを比較して」

神奈川県海老名市 T.H 様より

前回の投稿をご紹介致します。

H.A.L.'s Documentary Vol.3-我が家のHIRO Acoustic MODEL-CCS導入記
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0716.html

過去の投稿をご紹介します。ベテラン会員の歴史があります!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0689.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0664.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0416.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0378.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0168.html

自宅のHIRO Acousticの立ち上げにバタバタしましたが、Grandiosoアンプの導入で
目処が立ったので、貴重な機会(ひょっとして最後のチャンスかも)ということで、
4月20日にHIRO Acoustic C8CSを試聴させて頂きました。

物凄い物量ですが、160Hz以下を別ユニットにすると、中高音の定位、楽器の解像度、
空間表現まで改善し、究極のシステムであることを持参した多くのディスクで体験
させて頂きました。

私は月に2〜3回、オーケストラを中心にクラシックのコンサートに通っています。
出来るだけ実演を疑似体験できるシステムを求めてきましたが、良いソースとC8CSが
奏でる演奏は演奏会場の良い座席を確保する困難さのハンディをも超える素晴らしいものでした。

理屈は帯域を分離して、超低域の負荷のない純粋な再生ということですが、実際に
それを実現させたHIRO Acousticのベーシックシステムの完成度の高さ、ユニットの
繋がりの良さを実感させるものでした。基本構成と同じ1ペアしかないスコーカーと
ツイーターが8ペアのウーハーに負けていないのですから。

最近の私の推薦盤のロト指揮のストラビンスキー:火の鳥とマーラー:交響曲第5番で、
フルオーケストラの三次元配置を再構築する能力の高さを堪能できました。

同様に、ネルソンス指揮のショスタコーヴィチとブルックナーの一連の録音も優秀で
広がりや重厚さがあって素晴らしいものでした。

当日はC8CSの能力を知るために、意図的に単独楽器の独奏をピアノ、チェロ、
ギター等、聴かせて頂きました。

別盤のいくつかのオーケストラも含めて、C8CSの再生は、まさに「音楽(録音ソース)
を裸にする」究極のシステムでした。

ステレオタイプに録音を分類すると、できるだけ実演に近いものと、クラシックでも
意図的にエコー等を多めに加えているものがあります。

後者でも素晴らしい演奏はあるのですが、C8CSで聴くと、実演の疑似再生の観点からは
違和感がありました。

例えば、昨年もレコードアカデミー賞をとったクルレンティス指揮のマーラーの
6番では、弦楽器の分離がいまいちで、エコーが鼻につきます。

ギターの独奏、村治佳織のシネマでは、(付加的)エコーも含めて人工的で、
ギターがメートルサイズに大きくなった感じです。

キースジャレットのケルンコンサートもエコーが大きく気になります。
古い録音で好きなビルエバンスのワルツフォーデビーの1曲目のマイ・フーリッシュ
・ハートは古い録音の低解像度が目立ちました。

これらは全て録音に忠実な再生がされていると考えられますが、制作者は普通の
モニタースピーカで仕事をしているので、HIRO Acoustic C8CSでの広大なスペースに
おける高分解能の忠実な再生は念頭に無く、仕方が無いことです。

確かに、C8CSでの再生を意図して作製されたソフトがあれば、もの凄い演奏が可能ですね。
最近のオーケストラ録音は少ないマイクでライブを撮ったものが多いので、C8CSの再生には
適しているものが多いと考えられます。

一方、自宅に導入したウーハー1ペアの最小システムHIRO Acoustic CCSでは、
上記の録音も違和感無く、音楽として楽しめました。

自宅の違いは、システムが最小構成、部屋が8畳間と狭いことです。
スピーカーの間隔は2m、スピーカーと鑑賞者の距離は2.3mです。

HIRO Acousticはスペシャルなネットワークがあるので、基本構成を設置するのが
ギリギリの日本的住宅環境です。

実は、システムのサイズが小さいことは大きな効果があり、モニタールームの
寸法により近いこともあって、付加的なエコーが気にならず、楽器の大きさも小さくなります。
より制作者のモニタ環境に近いことが良好な要因と感じられます。

振り返ってC8CSのシステムは音を描くキャンパスが大きい。
しかも、空間分解能が高く、発音体とエコーも見事に分離している。

モニタールームでの小さいキャンバスで編集・加工した音源では、巨大なキャンバスに
拡大投影されたように、異常に大きな楽器や多量のエコーが不自然になる場合があります。

映像に例えると、8Kソースを大スクリーンに投影している条件で、スタンダード
ビデオを見るような感覚と思われます。

持参のディスクの鑑賞の後で、川又さんが、いくつかのポピュラー系の音源で、
160Hz以下の重低音の再生能力をデモされました。

制作者が意図せず、サンプリング音源で重低音が入ったものもありましたが、
C8CSの高速な重低音には理屈抜きに圧倒された!

バスレフの付加的な余韻のない重低音は瞬間的な波動として耳+身体を襲う!
凄い再生であった。

流石に160Hz以下の重低音の物量は自宅の基本構成のHIRO Acousticでは再生困難ですが、
以前から所有している次の2枚のディスクはHIRO Acousticの高速低音再生を自宅でも
体験できるものです。

(1)Helge Lien Trio “Spiral Circle”よりTake Five

(2)クインシージョーンズが制作した“Handel’s Messiah, A Soulful Celebration”の1曲目。
また、ポピュラー系の音源を聴くと、クラシック録音の加工の少なさが改めて実感されました。

さて、Grandiosoアンプ納品後10日を経た自宅のHIRO Acousticは、Grandiosoアンプ(C1+M1)と
Transparentのケーブル(REFERENCE XLの)力を得て、大変自然な方向に再生音が熟成しつつある。

ツイーター、スコーカー、ウーハーのユニットが近接して音源が小さいことが音像・
定位が良いことに効いている。

これまで使っていたSignature Diamondと同様に設置については使いやすいシステムと言える。

また、システムの肝としてグランディオーソのディスクプレーヤーP1+D1+G1級の高品位
ソースが必須であると考えられる。

C8CSによる精密な再生では違和感のあったディスクも自宅のCCSを設置した狭い環境では、
意図された美しい音楽として素直に聴くことができた。HIRO Acousticの再生音色は美しく、
音楽的でもある。

意図したオーケストラの再生は素晴らしく、楽器の分離と会場の響きの音場再現、
大入力でも歪まないダイナミックレンジ。無理に大音量を出すのではなく、楽器が
鳴っている集積として自然に再生されている感じがあります。

ライブ録音では、指揮者の声や譜面をめくる音、歩く音がこれまでより分離して
良く聞こえる。

会場の暗騒音や音が出ていない空間を感じさせる録音もある。
統合して演奏会場の全てを捉えて再現する希有なシステムである。
 
HIRO Acousticは経験した範囲でも、アンプやケーブルを裸にする敏感さ、感度の高さがある。
しかし、一旦、現在の条件が設定できると大変安定に音楽を再生してくれるので、
演奏に浸れる安心感がある。

苦労した甲斐があったとも言える。

C8CSでは、分析的になりすぎたディスクとしてヨーヨーマの最新のバッハの無伴奏
チェロ組曲がある。

大変、気持ちの入った演奏であるが、C8CSではチェロの各弦への繊細な弓使いや
胴の響きが分離してひとつの楽器の演奏として捉えにくい再生になってしまった。

再生中に川又さんから、これは何の楽器ですか?と問われるくらいチェロとは
聞こえにくい再生になっていた。

自宅で確認すると、手持ちの他の奏者の同一曲目とは異なり、細かい弓使いで
様々なニュアンスを出しており、深い精神性を反映した演奏として記録されて
いることが分かる。

HIRO Acousticの真価を発揮した眼前での演奏を再現する再生と言える。

極端な例として、モノラル録音の再生にも特徴があった。
フルトヴェングラーのブラームスの第4番とベートーベンの第9番をSACDで聴いた。

モノラル録音でも、響きの豊かな音楽として鑑賞に耐えるものであった。
50センチ位、前に乗り出すと、ヘッドホンで聴いているように頭の中で音楽が再生された。

左右のスピーカーが時間的に正確に同じ音を再生していることの査証と考えられる。
この結果から、スピーカーの間隔よりやや距離をもたせたリスニングポジションが
適していると考えられる。

C8CSを試聴し、川又さんのデモと解説で、録音で制作者が意図した通りの精密な再生とは
何かという意味が良く理解できた。

更に、この経験から、自宅のHIRO Acoustic最小システムの再生の位置づけと良さを理解できた。

スピーカーが完全消失して名演奏を再現するシステムとして、これからも多くの
新譜を楽しみ、感動することが出来そうである。

最後に希有なシステムを生み出した廣中さん、川又さんとエソテリックの皆さんに感謝します。

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■川又より

T.H 様ありがとうございました。前回も長らくのT.H 様とのお付き合いで私が
実感させて頂い事は、T.H 様は研究者であられるということでしょうか。と
述べましたが、今回の投稿では正に研究職としての分析と評価を頂きました。

HIRO Acousticの原型は確かにシングルウーファーのMODEL-CCSにありまして、
考察された空間表現や低域の質感などは全く私も意を同じくするところです。

ここでも時折MODEL-CCSに戻して聴くことがありましたが、MODEL-CCSでなければ
出せない表現というものが確かにあります。

低域の量感ということを除けば、正に廣中さんが当初に求めた世界観がそこにあり、
楽音とリスナーを直線的に結び付ける傾向があると私も感じています。

それが「音楽を裸にするスピーカー」と表現した由来でもあるわけです。
再度、T.H 様のお部屋の状況を拝見してみると、MODEL-CCSがオーケストラの
各パートを聴き分ける物差しになっていることが解ります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20190512110806.jpg

それはいかにステージを忠実に縮小し完璧な相似形をリスナーの眼前に浮き上がらせるか、
という一種の挑戦的行為に大きく貢献するものであり、ひとつの完成形を提示しています。

オーディオシステムを再生する部屋のエアボリュームの大小はあれど、左右二つの
音源であるスピーカーとリスナーで形成されるトライアングルのサイズを適切に
縮小拡大する際に、MODEL-CCSは忠実に反応しステージとホール全体の空間表現を
使用者の部屋にマッチさせてくれるということでしょう。

T.H 様が映像に例えた一節がありますが、4K、8Kと画質を向上させる情報量が
多くなればなるほど接近して見ても美しさは変わらないということでしょう!

HIRO Acousticは接近しても良し離れても良し! 高忠実度が全帯域で確立されれば、
使い手の思うままの音響空間で楽しめるという検証をして頂き感謝致します!!

これからも末永く見事なオーケストラを楽しんで頂ければと願っております。
そして、そのために…

「川又さんの悪魔のささやきは、いつも天使の歌声に帰結するところが凄いです!」

私のささやきを時折お送り致しますので期待していて下さい(笑)

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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