《H.A.L.'s “エフコン”Hearing Report》


No.0377 - 2007/8/5

Sharion様より

“Friday concert”Vol.28はこんな企画でした。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/516.html

更に今回のイベントを前にして私も色々とスピーカーケーブルを聴き込みました!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/517.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/518.html

そして、今回も参加者の皆様に記念撮影をお願いしました<m(__)m>

http://www.dynamicaudio.jp/file/070727/guest.jpg

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Vol.131「スピーカーケーブルの深淵を見てしまいました!!」

川又さま、

今回、貴重な体験が出来て、とても感謝しています。私は大抵、移動中は音楽を
聴いているのですが、今回は何も聴かず、家に帰ってからも、音の出る物は一切
聴く気になれませんでした。

この余韻が冷めないうちに、感想文をお送りしたいと思います。
文章を書くのは慣れていませんので、つたない表現はどうかお許しいただければと
思います。

色々な方の感想があると思いますが、私は今回、自分の求める音の本質は何だろう
と、真剣に意識しました。

それは100万円から200万円の範囲内では、決して「解像度」と「価格」では
なかったからです。

例えば「Transparent Reference」は「Kimber Kable  KS-3038」の半分の値段で
したが、私の中では楽音1つ1つに厚みがあり、はっきりと実在感で勝っていたから
です。

また、「Kimber Kable」は「Esoteric 7N-S20000  MEXCEL」よりも、解像度では
劣っているものの、躍動感とか、それに伴う空間内でのうねりという意味では
勝っていると感じました。

私の持つケーブルの何倍もする、数々のケーブルを聴き比べるうちに、ここで
不思議な事が起こりました。それは同じ曲でも、ケーブルによって楽しい気分に
なるものと、そうでないものがあるということでした。

例えば「Transparent Reference MM」に変えた時、私の中でチェロ奏者が目を閉じ
ながら、リズムに合わせて演奏しているイメージが浮かびました。

演奏が進むうちに、この人は本当に楽しみながら演奏をしてるんだとも感じられま
した。そしてうまく弾けたパートで、今確かに微笑んだという、確信に似た思いが
わきあがる瞬間までありました。

もちろん、実際の話は分かりません。
しかし、その時、私の口元も自然と緩んでいました。

それは音楽を奏でる側と、聴く側という、一方的な関係の中で、確かに何かを共有
したという不思議な感覚です。

風の様にすり抜けてゆく旋律の中で、一瞬だけ生まれる共感は、不思議な温かさと
共に、力強い感動を私にもたらしました。

これは「Nordost Valhalla Extreme Reference」でも起こりました。
最初の一音から理屈抜きで楽しい気分になり、演奏者達と楽しい時間を共有してい
る感覚にとらわれました。

そんな何かを共有したり共感出来ること、或いは、演奏者や歌い手の気持ちが直接
私の心に触れてくるのを感じられるシステム。

それこそが私の目指す音なんだと、この時はっきり自覚しました。

最後に「Transparent Reference MM」と、「Transparent OPUS  MM」の比較を、
あくまで私的に述べたいと思います。

比較試聴の為の曲は、女性コーラスの後、独特な声質を持つ男性ボーカルと、
様々な楽器が1曲で聴けるという選択でした。

「Reference MM」はうわさ通り、素晴らしいケーブルでした。
解像度や空間的描写も溜息が出る程ですが、あえて「OPUS MM」との比較で話して
みたいと思います。

「Reference MM」では、この男性ボーカルに若干不自然な響きがあり、サックスも
金管楽器らしからぬ、オブラートでくるまれた様な不明瞭さが少しだけ伺えました。
また、曲の後半部分では、数音ほど高域がきつい部分がありました。

しかし、「OPUS MM」ではそれらを全てクリアーにし、これでもかという程の演奏
を聴かせてくれました。

私のつたない文章で申し訳ありませんが、圧倒的な女性コーラスの美しさ、男性の
独特な歌い回しがクリアーになり、初めて見え隠れする温かさ、また、パーンと
何処までも届くサックスの力強さなど、全ての面で今回一番感動したケーブルで
した。

価格の話は別としても、知らなくても良い現実を知ってしまった子供の様な気持ち
になりました。

この Goldmund  + ISIS + OPUS MM という、「美と力」を合わせ持つシステムは、
気になる点を探すのがおこがましい位、私には素晴らしく聴こえました。

このシステムで Yo-Yo Ma の弦さばきが聴けなかったのは、今となっては少しだけ
残念です。帰り際、このシステムで聴く大貫妙子や岡崎律子など、消え入る様な
ウィスパー・ボイスはどう表現されるのだろうと、ふっと興味がわきました。

最後に、黙々とケーブルを変えられていた天野さんに感謝いたします。ちょっと
したトラブルや、延長を入れた2時間半は、本当に大変だったとお察しします。

それからやはり、この機会を与えて下さった川又さんに感謝です。

私は常々、川又さんは「マエストロ」みたいな人だなと思っていました。
そして今日、「ご自分の感性を高める為に、いつでもCDを持ってお越し下さい」
と言われた川又さんを見て、まさに「マエストロ・川又」と、またまた感銘を
受けました。

芸術を通して、他の成長をも促すという、まさに巨匠の行いに他なりません。

ちょっとだけ「ストロング・金剛」の様な響きですが、私はひそかにそう思って
います。稚拙な文章で申し訳ありません。今日は本当にありがとうございました。

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川又より

Sharion様ありがとうございました。また、私にはもったいないお言葉まで頂戴し
重ねてお礼申し上げます。私は「目指す音、目指すシステムの発見」ということを
提供できたことが本当にうれしく思いますし、それこそがハイエンドオーディオを
追求するショップの使命だと思っています。エフコンやハルズモニターのように
皆様にお届けしている商品情報は、実はそれを目的にしているものだからです。

オーディオを楽しむのに経験、知識などは必要ないですね。ひたすらミュージック
ラバーであることだけで十分なのです。「演奏者や歌い手の気持ちが直接私の心に
触れてくるのを感じられるシステム」という例えで大正解ですね。(^^)v

ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。<m(__)m>


HAL's Hearing Report