発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2007年7月23日
No.517 「One point impression⇒これほどの違いか!!スピーカーケーブルとは!?」
私が日頃ここで聴いている音質のレベル、それは相当高いハードルとして自負して
いるクォリティーであり、常日頃のセッティングと環境の調整ということに細心の
注意を払っていることは間違いない。

そして、これまでの歴史で新製品の開発段階の評価や検証では、次のシステム構成
で多数の試聴をこなしてきたものだった。
 

    ◆ H.A.L.'s MOSQUITO NEO Reference System ◆

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ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0rb/
     and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100(税別\950,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)(税別\240,000.)→ESOTERIC D-01×2
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×1(税別\950,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2 Dual AES/EBU(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×2(税別\1,300,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm8_dm10.html
     and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/

                ▽ ▽ ▽
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HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm88.html
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
          and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html

                ▽ ▽ ▽
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MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html
………………………………………………………………………………

このシステムの再生音は近年の私の基準ともなっており、数々の製品チェックでは
微妙なニュアンスの違いや情報量の格差を本当に鮮明に再現するものであり、私の
耳には自分の姿を映す鏡のように音質の記憶は焼きついているものです。

ここで使用しているSTEALTH Hybrid MLTは特注仕様のものであり、同社の新たな
フラッグシップであるDream Speaker Cableが登場するまではトップモデルという
位置付けでした。

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さて、ここで話しは変わるが、2007年7月27日に行なう“Friday concert”Vol.28
で使用する各社のスピーカーケーブルでは価格を比較するには長さと仕様を統一
した方がわかりやすいので、次のように8フィート、約2.4〜2.5mという表記に
合わせリストを整理してみた。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/516.html における…

           ◆7/21時点での出品予定◆

■TRANSPARENT  OPUS MM  Speaker Cable 2.4m (税別\4,300,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#OPUS MM

■TRANSPARENT  Reference MM  Speaker Cable 2.4m (税別\2,600,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#REFERENCE

■JORMA PRIME Loudspeaker cable 2.5m Single/pair (税別 \1,855,000.)
http://www.cs-field.co.jp/jormadesign/jormadesignmain.htm

■Stealth Dream Speaker Cable 2.5m (税別\1,694,000.)
http://www.stealthaudiocables.com/products/Dream/dream_sp.htm

■TRANSPARENT  Reference XL  Speaker Cable 2.4m (税別\1,500,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#REFERENCE XL

■KIMBER KABLE KS-3038  Speaker Cable 2.5m (税別\1,380,000.)
http://denon.jp/products/kimberse_lou.html

■Nordost VALHALLA EXTREME REFERENCE 2.5m(税別\1,050,000.)
http://www.conductcompany.com/nordost/nordost_index.html

■KIMBER KABLE KS-3035  Speaker Cable 2.5m (税別\690,000.)
http://denon.jp/products/kimberse_lou.html

各社同じ仕様にて長さを統一するとこのような価格となる。
これを頭に入れて今回のエピソードを述べていきたいものです。

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今まで三年間というもの上記のリファレンスシステムで使用してきたケーブルだが、
特注仕様のバイワイヤータイプ・5メートルもので税別定価は\1,711,000.という
ものでした。

もちろん、導入当時にも試聴を行い私が認めるからこそ使い続けてきたものであり、
またMOSQUITO NEOへのマッチングも確認して多数のNEOオーナーにも導入して頂き
ました。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/446.html

これを上記の他社ケーブルと同じ条件にて価格をチェックしてみるとこうなります。

■STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable-H.A.L.'s Special Version
 2.5m Single/pair(税別\440,000.-また、参考までに1.5mでは税別\270,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html

どうだろうか、過去三年間に私が使用してきた長尺モノのスピーカーケーブル。

この試聴室では確かに5メートルという長さは重宝するもので、パワーアンプの
配置を優先して複数のスピーカーに接続できるようにという便宜的な面からも
この長さがあると大変使いやすいものでした。これまでは何の疑いもなく、この
ケーブルを使ってHALCRO dm88とNEOを接続して聴き続けてきたのです。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/516.html

さて、上記の“Friday concert”Vol.28にて実際に使用するケーブルは長さは多少
違うもので比較試聴を行なうが、それを意識して思い切ってパワーアンプの配置を
変更し、2.5mの長さのケーブルがつなげられるようにセッティングし直しました。
HALCRO dm88をNEOに接近させたということです。

そこで、私は本当に久しぶりにNEOにつなぐケーブルを取り替えてみました!!
何に変えたかと言うとこれ、TRANSPARENT  Reference MMです。

これはいったんアメリカのTRANSPARENT社に戻しブラッシュアップした上でバナナ
プラグからスペードプラグに交換してリファインされたものが久しぶりに戻ってき
たもの。

当然、つないだ直後ではまともな音にならないので、昨夜はずっとエンハンサー
CDをリピートしておき、開店後は音楽ソースを流し続け、来客が一段落した先ほど
から聴き始めました。しかし、ここで私は唖然とする程の発見が…!?

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ついつい他の仕事をこなしているうちに、もうこんな時間になってしまった。
最初に選曲したのはこれ、マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響
楽団の定番。まず、これでコケたら私の試聴は先に進まないというバイブルのよう
な20年前の録音です。

最初はやはり第二楽章から…!?

「えっ、えっ!!ちょっと待ってよ!! これ…NEOの音?この音はHALCROなの?それに
 この音もESOTERICが出しているというわけ!?? えっ、どうして!!」

慌てました、本当です。これには驚きました!!

冒頭の弦楽器の折り重なるアルコの重奏。私の自説で弦楽器群は左右スピーカーの
中間に“面”として展開するということは従前のものであり、そのような初歩的な
セットアップと演奏に私が手を抜くことはなく当然のものだった。

しかし、Reference MMに換えただけ、たったこれだけなのに、ヴァイオリンはもち
ろんのことチェロからコントラバスまですべての弦楽器がほぐれているんです!!

そう、ちょうどイメージとしては日本庭園の石庭の感じ!!

枯山水(かれさんすい)は白砂や小石を敷いて水面に見立てるように、熊手を
使って敷き詰められた小石をならし水が流れるイメージをくっきりとした無数の
縞模様で表現するようなものか!!

あるいは、洗い立ての黒髪に滑るように櫛を通した直後に、光り輝く緑の黒髪が
すーっと光の筋を跳ね返すように見せ付ける感じ!!

とにかく、今までの感触とは違い弦楽器のすべてにこのような方向性というか
統一感をもたらし、更にその質感にはシャンプーとトリートメント効果が重なり
しっとりとした感触を弦楽器にもたらしているのだから二重の驚きとなる!!

いやはや、参った。実はReference MMは今までにもここで使用したことがあり、
当時は同社のフラッグシップであるOPUS MMに熱中していたせいか、その本質を
じっくりと検証したかったのか。

あるいは、ブラッシュアップする前のReference MMは私を興奮させるだけのもの
ではなく、今ここで聴いているものが本当の姿なのだろうか!!

そして、のちにつながるヒントとして、Reference MMで聴くNEOの低域は以前とは
次元の違う躍動感を身に付けているのだから不思議だ!!

時間の経つのも忘れ、私はどうしてもこのまま第四楽章まで聴き続けたくなった。

その冒頭ではグランカッサを含むオーケストラすべてがフォルテの合奏から始まる。
この瞬間に以前からの記憶をサーチしてNEOで試聴した記憶で一致するものがある
かどうかを私は自分の大脳に問いかけ、「うん!!」と納得した三秒間で答えが出た。

「こんなボストンシンフォニーの音はNEOで聴いたことはない。どうして!?」

グランカッサをゆったりと叩く場面がいたるところにあるが、大きな打面がヒット
の瞬間から目に見える振動があり、それが時間軸の経過で弱まりながらもしっかり
と空気をはらんで「ブフ〜ン…」という極めて低い周波数での余韻をホール全体に
くっきりと残していく描写は今までにあっただろうか!?

今まで多少のまぶしさをはらんで輝くシンバルの盛大な響きは何とも澄み渡り、
耳の感度を生理的に引き下げたくなるような一瞬が今はない。叩き合わされた
シンバルの輝きが光の反射を繰り返しながら奏者の胸元に引き戻されてからも
その響きは中空にあって心地よくNEOの周辺に留まっている!!

マーラーの曲で多用される金管楽器はタンギングを的確に表現するが、その立ち
上がりは定点でくっきりとした音像を示し、今まで突き抜けるような刺激成分を
数パーセント含んでいたものが完全に浄化され、もっと接近してトランペットの
奏者の膨らむ頬を見てみたくなるような快感をもたらしてくれる!!

最終楽章でオーボエが短いソロをとる瞬間に、その響きはホールの天井から
ステージに降り注ぐように跳ね返り、か細い印象の木管楽器は自分の放った音を
余韻のシャワーとして浴びるという芸当をReference MMが支えているようだ!!

これにら共通することは、余韻感という情報量が極めて豊富になったということ。
そして、NEOの左右4個のウーファーが過去最高にエネルギーを受け取っていると
いう印象が演奏すべてに大きな進化をもたらしているようだ。

たった一箇所のケーブルの変化がオーケストラをここまで変えるのか!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

実を言うと、これまで誘惑に負けて10枚以上のディスクを聴き続けてしまった。
しかし、そのどれもがNEOシステムで耳にタコが出来ているようなものばかり。
そして、それらすべてが以前の記憶とはかけ離れた音質なのだから始末が悪い!!

それらすべてのインプレッションを語るには気力と体力が今夜は続きそうもない。
充実したランチをとったつもりだったが、先ほどから私のお腹も演奏を開始して
いるようだし…(^^ゞ 

私のインプレッションの繰り返しでは読者も聞き飽きることでしょうし、ポイント
になるReference MMでの貢献の大きさを知るにはこの一曲ということで…

ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」を聴いた印象を…
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html

はっきりくっきり、というのは私の再生音に対するひとつのこだわりですが、
この曲のイントロで聴けるヴァイオリンとギターの質感がこのように変化するとは
ちょっと驚きだった。

ESOTERICのプレーヤーと他社のプレーヤーでの比較、イコール、メカの比較という
場面ではVRDS-NEOのもつ解像度の素晴らしさと圧倒的な情報量と解像度という魅力
を語るときには、特にギターの質感にはくつきりと折り目がついたようなエッジの
際立ちという観察点があったものだ。

テンション高くピーンと張り詰めた弦を弾くというイメージは他の曲でもESOTERIC
の一つの魅力であり快感であったはずだ。それが、どうしたことだろう!!

Reference MMにしてからというもの、ギターの弦を弾くまでに強引に溜め込んだ
力加減と引き絞ったテンションは鳴りを潜め、むしろギターにサウンドホールから
ボディー全体に響くような質感に変じているではないか!!

そして、ちあきなおものヴォーカルが…!!

「あっ、そんな〜。今までのヴォーカルの記憶はどうすればいいのよ〜。これじゃ
 これまでのちあきなおみの歌声をいったん頭から消去しなくっちゃ〜」

フォーカスを明確に音像は絞り込まれ輪郭を鮮明に!!
そんな力説を繰り返してきた私の発想をあざ笑うかのようにReference MMは新しい
聴き方、鳴らし方という発見を私に授業してくれるのである。

そう、NEOのウーファーが歌っているのです!!

22センチのウーファーがヴォーカルを聴かせてくれます。それほど敏感に音階の
低いパートを、いや歌手の胸元から発する息遣いの延長上でマイクが拾うあの
ハミングのような低い周波数での声の土台となっているところです。これがいい!!

私はGERMAN PHYSIKSのPQS402における低域の調整でも…
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/456.html

最近では“Voyager”のアクティブ・サブウーファーのチューニングでも、低域の
ユニットがいかにヴォーカルに影響力を持っているかを事あるごとに学習してきた。

そして、ウーファーは600Hzというミッドレンジまで受け持つというユニークなNEO
の設計も含めて、Reference MMは低域ドライバーに命を吹き込むような新しい
エネルギーを提供してくれることを多数の曲で確認しました!!

この低域の躍動感とエネルギー感に満ち溢れ、それでいてホールエコーの低音も
自然なカーブで減衰させながら、更に解像度という点では音像をくっきり描くと
いう職人技を平然とこなしています。

更に中高域での目覚しい質感の向上と解像度の両立、それも耳に優しい変化として
この私の感性でチェックする各項目にすべて合格してくれました。

Reference MMでさえこれほどの変化ということは…!?

そして、私はいったい今まで何を聴いてきたのだろうか!!

NEOの本当の魅力を知っているふうで知らなかったのか?

HALCROの微細で自然な音はパワーアンプの出力端子でせき止められていたのか?

ESOTERICの見事な輪郭表現と情報量豊か響きとはこんなにふくよかだったのか?

この私にして各社の代表には本当に申し訳ない気持ちで一杯です。

たった一本のスピーカーケーブルとは、実は酸素と養分が豊富な血流を心臓から
送り出す大動脈のようなものだったのです!!

聴き慣れたはずのシステム構成に落とし穴がありました。

この部屋の住人たちはきっちりと反応し、もっと素晴らしいスピーカーケーブルを
求めていたという事実を今日は衝撃とともに発見することになりました!!

■感動の大きさに文章量は比例します。しかし…、私の体力と気力は今夜だけは
 比例するゆとりがないようです。この続きは皆様の耳でご確認下さい!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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