《HAL's Monitor Report》


No.0254 - 2005/9/23

東京都江戸川区 Y K 様より

H.A.L.'s “PEIP”Monitor Report!!

“PEIP Club”より続々レポート到着
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/363.html



Vol.2「再現される音楽の透明性というのが第一の強烈なインパクトでした。」

モニター製品 “Pケーブル”


 Pケーブルをほぼ一週間自宅で試聴させていただいた印象を以下にご報告いた
します。同好の方々の参考になれば幸いです。

 時間の順序が逆になりますが、まずは、返却のための取り外しにかかる前にふと
思いついて、エラ・フィッツジェラルドの「ガーシュイン・ソングブックVol.3」
(ヴァーヴ、モノラル盤)をかけたときの驚きから。

奥に広がるネルソン・リドルのバンドの豪華な響きからエラの瑞々しい声がふっと
前に出てきて、両者が前後にきれいに分離します。

元来優秀な演奏・録音ですけれど、この古いモノラル盤の声とバックが、独特の
前後感のバランスで再生されました。

 さて、フォノイコライザーで従来使ってきたものをPケーブルと交換し、1日半
程通電してから、レコードを聴き始めました。

きわめて強い印象を受けたものを紹介します。

アナログ回帰で、このところレコード再生機器を整備し直し、さらに電源周りを
再検討しようと考えた矢先に、今回の川又様のキャンペーンを知り、一も二もなく
応募したしだいです。

 パトリシア・バーバーの「フランス・ライヴ」(2枚組LP)が最初。

針が降りると、演奏前の聴衆のざわめきと紹介のアナウンスで会場の様子がまるで
見えるようです。演奏が始まったとたんぐんと下がるベースの音程の正確さと明瞭
さが数段増したのにびっくり。

彼女の独特の声もリアルですし、とりわけフランス語の語尾の子音がはっきりとし
かも丁寧に発音されていて、それがホールの空間にすっととけ込んで消えてゆく。

これまで注意してこんな聴き方をしませんでしたが、電源ケーブル交換によって歌
い手が非常に心を込めて、ていねいに歌詞を歌っていることに気づかされ、改めて
感動しました。

とにかく再現される音楽の透明性というのが第一の強烈なインパクトでした。

 次に「メリー・ウィドウ」(DECCAハイライト盤)は、シュトルツ指揮のステレ
オ初期録音です。歌い手たちの後方で演じられるパーティーのざわめきが舞台いっ
ぱいに広がります。

ここでもこの電源ケーブルの効果は絶大でした。

独唱者たちの舞台の前面での動きが明瞭なのは当然として、歌いながらどんな表情
をしているかが目に見えるようです。身体の実際の動きだけでなく、歌い口をじつ
に豊かに再現するのです。

もちろんオーケストラは手前少し下方位置しています。この時代の演奏と録音の
すごさに感動します。

「椿姫」のドミンゴとコトルバシュの二重唱に陶然となり、ストコフスキーの「ハ
ンガリー狂詩曲」では録音会場が見渡せるような気分になったり、さらにルクレー
ルの作品のバロックアンサンブルでは、各演奏者たちのコラボレーションがその
まま眼前に再現されるようだったり・・。

要するに、電源ケーブル交換によって、レコードに封じ込められていた演奏の表現
ばかりでなく、雰囲気、情緒、オーディオ語でいえば空気感が、ものの見事に再現
されるようになってきました。

使用中のイコライザーがこういう再現を重視したコニサーですので、その力を十分
に発揮させるためには、Pケーブルはベストマッチだと感じ入ったしだいです。

聴き取ってもらいたがっている音楽のニュアンスが、まだまだこんなにあったのだ。
 

ところで、アナログとスピーカー以外の機器はワンブランドシステムなので、同じ
会社のケーブルだけしか使ってきませんでした。かつて少し比較をしたことがあり
ますけれど、かならずしもよい結果ではなかったので、以来さわってきませんでし
た。今回、せっかくの機会なのでこちらも交換してみたところ、ほとんど絶句、で
した。アナログの変化は予想どおりだったけれど、こちらは自分では予想もしなか
ったような変貌ぶりが、音に出たのです。

 とくに驚いたのはトランスポートでした。アナログの場合とまったく同じ傾向、
同じ次元の変化があったわけですが、そもそもCD再生は二の次というのがこのと
ころの思いでしたから、電源ケーブル一本でここまで変わるというのは、やはりき
ちんとしてやらないと機器たちだけでなくソフトもかわいそうだという気になりま
した。

優秀なオペラのCDなど聴くとたまりませんし、多彩なパーカッションの加わった
ラテン系の音楽も、その色彩の再現が、従来はずいぶん淡彩だったと感じられるほ
ど(さほど不満を感じてはこなかったのだけれども、目覚めてしまった、というの
が正直なところ)です。

 ただし、アナログ、CDに共通したことですが、ものによっては、再現される音
楽がまるでミニチュア人形の陳列棚のようになってしまったり、あまりにも精緻に
描かれる輪郭が生硬に感じられ、音楽としての躍動感、柔軟さがうまく再現されな
いようなケースもあったことを付け加えておきます。

50年代のジャズのいわゆる熱気や迫力なども、古いタイプの再現を求めるとすこ
し方向を異にすることになるかもしれません。超ワイドレンジで空気感重視のこの
ケーブルのような傾向、思想を持つ機器に共通する性格かもしれません。

 しかしこの点については、おそらくインターコネクト・ケーブルやセッティング
など電源以降の段階を見直すことによって解決できるのではないかという見通しを
持っております。

あるいは時間の経過によっても変わるのではないかとも思います。試聴の順番が後
になるほど、この印象は変わるのかもしれません。どうぞ教えていただきたいもので
す。

 封じ込められているはずの音楽を最大限解放してやること、その出発点は、まず
はフロントエンド機器の電源環境というべきかもしれません。このことを今回の試
聴で改めて痛感しました。

 もうひとつ、ケーブルの硬さと重さについてです。このPケーブル、かなり硬く
て重いので、接続と取り回しには工夫が必要です。電源接続部分の近辺に余裕のあ
る場合は気にしなくていいのでしょうけれど、一般的には上手に接続を手当てしな
いと、重さと曲げの圧力で機器のコネクタを傷める可能性があります。

しかもそもそもこの工夫次第でこのケーブルの音が変わるようです。

拙宅では、助っ人がいないとパワーアンプを動かせないので、ここではこのケーブ
ルを試すことができませんでした、まことに残念。

 まとまりのない報告になってしまいました。

今回の体験だけからPケーブルをひとことで言い表せば、フロントエンド機器の電
源の必要条件のひとつ、ということになるでしょう。ただ、いま触れましたように、
このケーブルにつないでこれで終わり、ということには、どうもなりそうもありま
せん。ここが怖い、PDとかPIが待っているようですし。

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Y K 様素晴らしいレポートありがとうございました。
そして、最後の一言…!? そうです!! これで終わりではないのです!!

“Pケーブル”“PI”“PD”の三者が揃ったときのパフオーマンスを私は知ってい
ますので、これらが入荷してきたときのことが楽しみでなりません。


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