《HAL's Hearing Report》


No.0298 - 2006/5/9

京都府宇治市 T H 様より

GW Hearing Report
「合奏の響きが絶妙なハーモニーとなって空気を見事に共鳴させてくれます!!」


<川又より>
今回のヒアリングレポートのご紹介に付いてはちょっと気合が入っています(^^ゞ
それはH.A.L.'s Circle ReviewのNo.1292のWhat's UPでご紹介した次のメール
から始まったものでした。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

店長 川又利明様

こんばんは。ご無沙汰いたしております。京都のT.Hと申します。

川又店長には、以前クレルのプレヤーとプリメイン、PADのケーブルなど小さいも
のですが何度かお世話になりました。そもそもの始まりは、Sonusfaber のエレク
タアマトール2に合うシステムを紹介していただいたのがきっかけでした。
お陰さまで、アマトールのほうは大変快調です。

ところで、H.A.L.'s Circle Reviewのほうは毎回愛読させていただいていますが、
以前から一度お店に行きたいと思っていました。やはり実際に音を聞かせてほしい
ものです。

けれども、仕事が忙しく、どう考えてもまず当分は無理だと思っていましたが、
もちろん仕事の忙しさは変わらないのですが、家内の一言で状況が一転しました。

先日、「おとうさん、東京の川又店長のお店に行ってみたいんでしょう?一緒に
行ったげるよ!」一瞬耳を疑いました!!

が、これはもう仕事どころではないと判断。もし川又店長のお店での試聴予約が
可能なら、仕事の予定を全部キャンセルしようと思いました。
さっそく、仕事のほうは全部段取りをつけました。

その結果、私がお店にうかがえるのは、3日の午後から4日の夕方までです。
(きっとたくさんの人が行きたいと思っている時期ですよね。)

試聴させていただきたいのは、ふたつあります。

ひとつは、川又店長がいつもリファレンス的に使っておられるMOSQUITO NEO
の威力です。店長の毎回のコメントを読んだり、読者のレポートを読んだりすれば
するほど、このスピーカーは一体どんな音がするんだろうと興味が湧きます。
以前からぜひ聴きたいと思っていました。

もう一つは、Stradivari Homage です。アマトールを使っていて、今が一番いい
感じなのですが、その頂点にあるStradivari Homage の音は気になります。
Stradivari Homage ではどう進化しているのかぜひ聴いてみたいと思います。
Sonusfaberの音が好きなので、どこまで磨きぬかれたのか興味があります。

お店にいける日が、3日と4日だけなので、申し訳ないのですが、ぜひゆっくり
聞かせてください。以上の内容ことは、つい今しがた、H.A.L.'s appointmentでも
送りました。重複しますが、店長にうれしい気持ちを伝えたくて、ついこのメール
でも送らせていただきました。お忙しい時に、手を取らせました。
私たちが来店させていただける日と時間をお知らせ下さい。

<そして前日には…>

おはようございます。
京都のT Hです。
明日は予定通り、3時頃にお店に寄せてもらいます。

聴いてみたいCDだけでも随分あって、何のどこを聴くのかのチェックに今日は仕事
を早く切り上げて帰宅しました。明日、よろしくお願いします。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

<川又より>

当日は最初のご予約のお客様が30分前までじっくりと試聴されていらっしゃいまし
たが、「これから京都からのお客様がいらっしゃるようだから、この辺で退散しま
すよ」というお気遣いを頂き、私はそれからの空き時間に急いで昼食を終わらせて
ご来店をお待ちしていたものでした。

ちょうど三時にT H 様ご夫妻がお見えになり、お出迎えして私が驚いてしまったの
は、何と奥様は和服をお召しになっているではないですか!!
はあ〜、さすが京都のご婦人は違うな〜と関心してしまいました(^^ゞ

それから閉店までの五時間はあっという間に過ぎてしまいましたが、最後に記念
撮影をさせて頂きましたので、最初にご紹介しておきます。



いいですね〜、ご夫婦そろって音楽がお好きであり、T H 様から奥様に次はこれを
かけようか…、と仲睦まじく演奏を楽しんでいかれました。

そして、T H 様のご用意なさってきた試聴のための選曲リストと感想を記入する
メモスペースを表形式にして持参されていました。そのために前日はお持ちになる
多数のCDのあの曲この曲と選曲に精を出されたのでしょう。まるで遠足の前日の
子供のような心境だったに違いありません。そうそう、T H 様は長らく教職にある
方であり、几帳面に試聴リストを作成してこられるという用意周到な性格もうなづ
けるところでした。私は、びっしり書かれた選曲リストと感想を書き込む用紙と、
それをはさむペーパークリップまで持参されてきたということで、思わず「試聴の
通信簿をつけるみたいですね〜(笑)」と言ってしまいました。(^^ゞ

これほど入念に支度され一泊二日でご来店頂けるとは本当にありがたい限りです。
さて、そのT H 様は五時間の試聴でどのような印象を持たれたのでしょうか!?



               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

京都府宇治市  T H 様より

ダイナミックオーディオ  5555 7F
Hi-End Audio Laboratory  
店長  川又利明 様

こんばんは。

早速、写真をありがとうございました。

お礼が遅れましたが、一昨日は大変お世話になりました。
とても楽しくしかも贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
考えてみると5時間もお店にいたのです!!
しかし、あっという間でした!!

家内には、途中で抜けてくれて良いよと言っておいたのですが、すっかり音に魅了
されたようでした。やっぱり本当に良いものは良いですね。
一つ一つの製品が魅力的です。
間近で見てその存在感や個性をひしひしと感じました。

途中で電話してきた娘は、お店が9時までやっていると勘違いしていたらしく、
買い物の後でお店に行くつもりだったようです。お店を出て、娘とも合流して、
駅前で食事をしました。

お店で聞かせていただいたスピーカーについていろいろ話していると興味深そうに
聴いてくれていました。以下の拙文はそんな気分で書かせてもらいました。
オーディオについては全く素人ですから自分の感覚だけで書かせてもらいました。
間違いや勘違いなどあるかと思いますが、ご容赦下さい。


Sonusfaber の製品を使っていることもあって、今回の最大の関心は、Stradivari
Homageの音を聴くことでした。

今回の川又さんの試聴室はまるでスタジオのようで、機械を鳴らすというよりは、
機械で演奏をするという雰囲気です。私は早速ピアノ曲を聴くことにしました。

サンソン・フランソワのショパン夜想曲。非常に感動的に鳴り響きました。
一つ一つの打鍵や余韻のニュアンスがよく聴き取れます。
フランソワの演奏への気迫と意志がよく伝わってきます。

ショパンに向き合うフランソワの真摯な緊張感が、演奏される音楽全体を包んでい
ます。このピアノの演奏はとても納得できるものでした。Stradivari Homageは、
繊細なニュアンスと緊張感を魅力的に伝えてくれました

しかし、意外だったのは、弦楽器でした。
ピアノでここまで表現するなら弦楽器ははるかに得意だろうと思って、大きな期待
をもちました。

ヨーヨーマの“シンプリーバロック”は音色や雰囲気はだしているものの、演奏の
印象は平板でした。クレメールのバッハは演奏の強さは伝わるものの、ニュアンス
が聴こえてきません。

しかし、Stradivari Homageはオーケストラになると生き返りました。バーンスタ
インが指揮するショスタコビッチの5番は堂々たる演奏でした。
それなら、どうして小編成の弦楽演奏がピタッと来ないのか・・・。不思議だ!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

<川又より>
それはスピーカーのセッティングされていた環境と音量のせいだと思います。
Stradivari Homageをメインステージに移して音量も大きくしてやるとイメージは
がらりと変わります。こちらのセッティングの都合でご期待に応えられず申し訳
ございませんでした。<m(__)m>

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次はMOSQUITO NEOです。NEOも今回の訪問の大きな目的でした。

NEOの魅力は、最初にマーラーの巨人を聴いた時に納得しました。

オーケストラの複雑な音の重なりや組み立てを、NEOは実にていねいに再現してい
ました。結果として、音が実にゆったりと聴こえ、一つ一つの楽器のたたずまいが
明瞭に聴き取れます。

音が立体的に構成され、ハーモニーや余韻など音の粒が空間を満たしてくれます。
まさに音楽に浸っているという感覚で、とてもいい気分でした。

マーラーの後は、先程挫折したヨーヨーマの“シンプリーバロック”をNEOでもう
一度挑戦。ところが、MOSQUITO NEOで聴く“シンプリーバロック”は全く印象が違
いました。

演奏が生きていました!!

音に切れ味が感じられ、音と音とが立体的な存在として見えてきます。
音楽がリアルに再現されているのです。

これならと思って、バレンボエムの“わが懐かしのブエノスアイレス”を聴いてみ
ました。音にバネがあります。やはりご機嫌です。(ここで川又店長提供のラクン
パルシータの演奏。すさまじくエネルギッシュな切れ味でした。さすが!)

ところで、私は今回、2つの気になる演奏を持ち込みました。
それはワルターとカラスでした。

ブルーノワルターの未完成(58年)は、私の愛聴盤で、LP時代にはよく聴いて
いたものでした。しかし、CDになって、聴いてみたものの、音の薄さにがっかり
したものでした。何の感動もありませんでした。

以来、ほとんど聴かなくなっていました。

NEOならどう演奏してくれるのか、楽しみにしていました。・・・・・・。

結果は、素晴らしいものでした!!

「未完成」が生き生きと流れてきました。

古い感動がよみがえり、うれしくなりました。この録音のLPでの再生状態は、
熟知しています。それと比較して音はかなりリフレッシュされている感じがする
ものの、決して音楽を壊すものではなく、あらゆる点で感動的な再生でした。

一方のカラスですが、よく聴くのですが、なかなか声の魅力が見えてきません。

余裕のあるシステムで再生するとどうなるのだろうと以前から興味がありました。
今回はMOSQUITO NEOとVIVOD AUDIO K-1(これとクレルも特別に準備していただい
たものでした)で聴きました。

両方ともカラスの魅力を存分に引き出してくれていましたが、その引き出し方の
違いに私は驚きました。

両者は表現の方向において全く違うのです。
(曲目は歌劇「アンナボレーナ」のフィナーレ部分です)

VIVOD AUDIO K-1で聴くカラスは、スリムで、ステージの中央にたたずみよく響く
高音で歌い上げる美しいヒロインでした。

カラスの声のくせはもちろんそのままですが、それでも中高音が美しく伸びやかで、
魅力的な個性として見事に表現されていました。

これならカラスが絶対的な人気を誇った理由もわかります。
VIVOD AUDIO K-1の面白さはステージ空間の広がりがよくでていたことです。
これはNEOの場合にはあまり感じられなかったことです。

MOSQUITO NEOのカラスは、もっと身近で人間的です。
ステージの中央ではなく、私の側で歌っています。
しかも、声が熱いのです。
熱く歌い上げてくれる恋人のようなカラスでした。

いずれも魅力的でした。しかし、その個性の違いに驚きました。

VIVOD AUDIO K-1のパールホワイトで驚いたことがもう一つありました。

ヨーヨーマの“シンプリーバロック”を聴き比べている時でした。
VIVOD AUDIO K-1では最初に「神よ憐れみたまえ」を演奏しました。

これが驚きです!

合奏の響きが絶妙なハーモニーとなって空気を見事に共鳴させてくれます。
聴き手にとっては感動です。すごい!!

この共鳴感の気持ちよさは抜群で言葉では表しにくいものです。
音楽を聴くよろこびを実感させてくれます。
空気の共鳴感を通して空間の広がりを描いているのでしょうか。

次に、このCDの1曲目「カンタータ:神の愛をたたえよ」を聴きます。
当然、私の期待は高まりました。演奏が始まりました。
しかし、意外に盛り上がらなかったんです。不思議なものですね。

とはいえ、VIVOD AUDIO K-1が表現した、中高音の美しさとツボに入ったときの
空気の共鳴のさせ方の絶妙さは素晴らしく、忘れられない魅力でした。

最後に、川又さんに巨大なウィルソンのスピーカーを聴かせてもらいました。

1曲目は、「ラフマニノフのピアノ協奏曲」。2曲目は、「シングシングシング」。
ここまでくると、もう言葉がないです。文句なしに楽しいです。

エネルギー感のあるサウンドが全身をしっかりつつんでくれます。
音楽はこうでなくっちゃ!

川又店長には長時間にわたってお付合いいただき本当にありがとうございました。

CDというのはここまでの音が出るんだなということを、何度も何度も実感させら
れました。音楽を聴く楽しさや喜びをあらためて教えられました。
楽しく貴重な時間でした。これからも宜しくお願い致します。

今回は本当にお世話になりました。

娘や家内にとっても、良い旅行になりました。感謝しています。

とりわけ、試聴させて頂いている間何度も言っていたように、まるでコンサートを
聴いているよな気分で過ごさせて頂きました。あれこれの個性の違いはあっても、
磨きに磨かれたシステムの演奏する音楽は、いずれも最高に魅力的でした。

5時間という時間は私と家内にはあっという間のことでした。
(メモをとるどころではありませんでした!)

あらためて、我が家のシステムももっと大切にしてやろうと思いました。
もっと魅力的な音になるように、工夫を重ねていきたいものです。

なかなか時間が取れませんが、またうかがえる時があればお店に寄らせてください。

今後とも宜しくお願い致します。

とり急ぎ、お礼と試聴の感想の報告まで。 
では、失礼します。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

T H 様ありがとうございました。試聴が終わった時の表情を再度ご紹介致します。



ご来店下さるということに大きな期待をして頂き、また日頃親しんでいるディスク
も多数お持ち頂き、熱心に試聴して頂き本当にありがとうございました。

お客様のご予約の料理を下ごしらえして、箸をつける直前にベストな味と温度に
なるように仕上げを入念にやっておく。それが私の信条でもあります。来られる
人と待ち受ける人の両者がそこで演奏される音質に対して情熱をもち、味わって
頂く方がちゃんと味をわかって下さったということは音質を調理する私にとって
も大変うれしいことでした。

そのような美味しさがあればこそ「試聴の通信簿」を書き込んでいるゆとりがない
ほどに、あるいは音楽は採点するものではなく味わい楽しむものだということで
ご満足頂けたようでした。

T H 様ご夫妻のお姿と頂戴したご感想がインターネットに世界にずっと保存されて
いくということは、私が差し上げることの出来る無形の記念碑になってくれればと
願っております。

T H 様のご子息とお二人のお嬢様にも土産話として今回のレポートをお知らせ頂く
ことが出来るでしょうし、現在も学業にいそしんでおられるお子様たちにやがて
お孫さんが誕生されるような時代になっても、お二人の仲睦まじいお姿がこのよう
にネットの世界で振り返って頂き話しが弾めば何よりでございます。

本当にありがとうございました。<m(__)m>

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

全国のハルズサークルの皆様も、じっくりと試聴されたい場合にはどうぞ予約の上
でご来店頂けますようお願い申し上げます。しっかり準備してお待ちしております。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/appoint.html

皆様のご来店を心からお待ちしております。

そして、ハルズサークルのご入会はこちらから!!


HAL's Hearing Report