発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
2012年1月20日
 No.891 「巨体The Sonus faberを救った小さなBlack Ravioliの威力とは!!」
 
私はここ数日悩んでいました(-_-;)

このH.A.L.にあるシステムは何時でもベストな音で鳴らしたい。
しかし、私の集中力をどのスピーカーとシステムにフォーカスさせるかという
事に関しては時系列に照らして絶えず視点を変えているものだ。

大抵は新しい展示品を導入した際に初期のチューニングを行い、納得できた
ところで一旦はいじるのをやめて安定した演奏状態を続ける。

そして、最も肝心な事はこの試聴室での音質に関して、私は我が身のように
コンディションの変化を感じ取ることが出来るという感性の在りようだ。

そして、その悩みは開店以来いじっていなかった↓この環境変化がもたらした。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/890.html

実際にはこの改装を行ったのは1月13日のこと。このDigi-waveとDiffractalの
対向面での入れ替えには、実は近い将来に導入する大型スピーカーのセッティング
に備えるという目的があり、大型パワーアンプをセットする前にやっておこう
ということで開店11年目にして初めて大胆なレイアウト変更を行ったもの。

この環境変化で当然最も音質変化があるだろうと思われたThe Sonus faberの
再生音が悩みの種となった。システム構成は下記の通り。

■Speaker system:The Sonus faber  (税別 1ペア \20,000,000.)
http://www.noahcorporation.com/sonusfaber/SONUSFABER.html

■Power amp:soulution Mono amplifier 700 (税別 1ペア \12,000,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/700.html

■Pre amp:soulution Line amplifier 721 (税別 \3,250,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/720.html

■CD-Player:soulution  745 (税別  \6,000,000.)
http://www.noahcorporation.com/soulution/740.html

■Tandem Reference RL02 に上記をセットしている。
http://www.tandem-audio.com/#/home
http://www.dynamicaudio.jp/file/111122/11.22.02.jpg

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

改装後の翌日から上記のシステムを聴いたところ、どこか以前とは違う違和感
があり、思い悩んでしまったのです。

オーケストラの弦楽器の質感が毛羽立っているし滑らかさがない。
管楽器の音像がにじんでいるしトライアングルの音は「チーン」ではなく
「チリーン」という感じで余分なものが含まれている。

ヴォーカルは輝きをなくし口許のフォーカスもピントがずれているようで不鮮明。
伴奏の楽器も音像があいまいで低域のリズム楽器の輪郭が見えない。
なんでこんなになってしまったんだろうか…。

全体的に中高域の質感が暗くなり、浮ついた低域が音量を上げると暴れまわる。
おかしい…。何かが狂ってしまった。もちろん、それは私しか感じられない事
であり、第三者に聞いても分からない次元の話です。

しかし、自分の体調のように微細な変化がわかってしまうのだから仕方ない。

The Sonus faberの後方に10台のDigi-waveをセットしたことで吸音効果が行き
過ぎなのだろうか? でも、Digi-waveがそんな単純な悪さをするはずはないが、
音響的改装の失敗ではないかと思い始めたのでした。

改装翌日の音に疑問を持ち、先ずはバーンインし直しということで徹夜で
エンハンサーCDをリピートさせましたが、結果は同様で曇った高域と不鮮明な
低域がこぼれ出すだけでした。

The Sonus faberのリアスピーカーも角度を調整し直したりレベルを変えたり
しましたが、状況は変わりません。おかしい…、どうしてだろう…。

原因不明の病に冒されたかのような思いが三日間も続きました。私が知りえる
チューニング方法で中高域と低域の両方を同時に解決出来る手段が見つからない。

苦労して置き換えたDigi-waveとDiffractalを再度元に戻さないとだめなのだろうか!?
労力は惜しまないが、果たしてQRDが原因なのだろうか? 

再生音の質感とバランスがこれほど変わってしまった原因は何だろうか?
中高域に輝きを蘇らせ、低域の鮮明な躍動感を取り戻すにはどうしたらいいのか?

四日目になって、ふと思い当ったことがありました。最近は他のスピーカーと
システムのチューニングや試聴が多く、考えてみたらThe Sonus faberの正面
からじっくりと聴いてみるという時間がなかったのではないか…。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/885.html

今までの経験でThe Sonus faberシステムのチューニングは完了させていたと
認識していたので、ここの↑リファレンス・ラックを入れ替えてからというもの
The Sonus faberの再生音をじっくりと聴くということをしていなかった。

つまりは音響空間的な変化もあったが、機械的な設置環境の変化も同時進行で
発生していたのだが、それらを個別にチェックしているゆとりがなかったと
いう可能性もあるということなのだろうか。

Digi-waveが10台という大きな面積で音響的な環境が変わってしまった事が
原因だとしたら、もう一度元に戻すしか方法はないのだろうか…、と半分
諦めていました。

さて、そこで思いついたのがBlack Ravioliです。しかし、こんな小さな
Black Ravioliが果たしてDigi-waveとDiffractalが構成する大きな音響空間の
変化に対して効果があるのだろうか!? と半信半疑で作業を開始しました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

手持ちのBlack Ravioliは個数に限界があるので、先ずはフロントエンドから
始めました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/120117/2012.01.17.03.jpg
これはsoulution  745の側面です。このアルミのボトムプレートの厚みは8mm
という強靭なものであり、左右にBF-2を配置しました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/120117/2012.01.17.02.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/120117/2012.01.17.01.jpg
前後には今までの経験からBF-3が抜群の効果をもたらしたこともあり、
このように前後に二個使用します。このように4点支持にてセットしました。

Line amplifier 721も同様な個数と配置です。しかし、soulution  745の
電源部もあり、こちらは手持ちがないので後方はBF-3が1個、前部にはBF-2を
二個ということで3点支持としています。

セッティングしながらも私としては半信半疑でした。これまで三日間もかけて
解決できなかった音響空間の変化による不満が本当に解消出来るのか?

出来ればデジタル・イコライザーを使用して伝送周波数特性を変化させるなど
強硬手段を用いないと音楽のバランス感覚は戻らないのではと…。

ところが…!!

■Michael Buble Crazy Love(Hollywood Edition) 1.Cry Me A River
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/WPCR000013987.html

このイントロが始まった瞬間に圧倒的な解放感が私を襲いました!!
高域が暗くなっていたとは余韻感がなくなっていたと同意義なのです。

以前から親しんでいたThe Sonus faberのパフォーマンスが戻ってきました!!
いや、以前に聴いたこともない鮮明なサウンドがほとばしり始めたのですから
これはもう興奮と感動のダブルパンチです!!

当然オーケストラも聴きました。女性ヴォーカルも聴きました。
フロントエンドの機器に使っただけなのにこれほど大きな変化があろうとは!!

そして、この手応えに驚き感動してしまった私はパワーアンプでもBF-3を使用
したくなり、直ちに輸入元に発注してしまいました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/120118/2012.01.18.01.jpg
フロントエンドはBF-2とBF-3を二個ずつ使いましたが、重量96キロのパワー
アンプでは迷わずBF-3を4個でセッティングすることにしました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/120118/2012.01.18.02.jpg
soulution 700も厚み8mmというアルミのベースですが、BF-3を前後左右の
均等位置に仕込んでいます。

http://www.dynamicaudio.jp/file/120118/2012.01.18.03.jpg
soulution 700に標準装備のフットがご覧のように浮いているのがお分かりでしょうか。
Black Ravioliはボトムプレートに密着させることでコンポーネント全体の
振動制御をしているのですが、それは相手が何十キロでも変わりません。
見た目には重厚な構造でもミクロのバイブレーションが音質をゆがめていると
いうことが実感できるものです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

実は、今日届いたBF-3をパワーアンプにセットする前に昨日セットしたフロント
エンドのBlack Ravioliが一晩でバーンインが進行しているのを実感しました。

昨日よりもリズム楽器のアタックが鮮烈になり、楽音の出だしのインパクトが
見事に各ユニットの発する音波の時間軸を合わせていて驚いてしまいました。

という事は、パワーアンプにセットしたBF-3も今日よりは明日、いや明後日の
方が熟成してくるという期待感がありますが、せっかちな私は冬場でしか出来
ない贅沢、空調と換気扇を止めて聴き込んでしまったのです!!そうしたら…

「ホントかよ!!」

と、思わず内心でつぶやいてしまいました。Digi-waveが吸音し過ぎという
推測を直ちに撤回しました!! 

Black Ravioliをセットしてからというもの、同じシステム構成とは思えない
程に芳醇な余韻感を発するようになり、インパクトの瞬間が鮮明になったと
いう音波の発生と消滅の時間軸が大変延長されているではありませんか!!

オーケストラでは弦楽器群の中に虹色の色彩変化が表れ、今まで混濁していた
一人ずつの弦楽器の音質が克明にセパレーションを持ち始めたのです。

その結果として弦楽器群が浮かぶ中空に様々な色合いが点在し流れていく様が
描写されるようになり、これは一年以上親しんできたThe Sonus faberとsoulution
システムで聴けなかった音質だということが実感されました!!

いや〜、実に素晴らしい!!

問題解決という次元を飛び越して更に飛躍したパフォーマンスに感動しました!!
これで随筆の続きが書ける気力が湧いてきたというものです!!

音響的改装は私にとって良い教材となりました。ルームアコースティックの
チューニングという大きな空間の変化をきっかけにして、Black Ravioliが
メカニカルなチューニングの必要性を私に教えてくれたのです!!

これから時間が経つにつれてBlack Ravioliのバーンインが進行し、更に
今日の感動を上回ることでしょう。これはぜひ皆様にお聴かせたいものです!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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