発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2008年11月5日
No.623 「Documentary of Audio Sinfonia 2008'」
今回のマラソン試聴会が終わって一週間が経ちました。いつもなら、すらすら
と自分の感想を含めたドキュメンタリーを書けるのですが、今回はちょっと
思惑が違っています。なぜか!?

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/index.html

このブリーフニュースと日々の配信で極めて詳細な予告編を公開し、それを
極力忠実に実演しようとしたものだけにレポートにすべき題材が既に出尽して
しまっているということ。

http://www.avcat.jp/event/2008/DMS/index.html

そして、親しい会員の方からも上記のように詳細な画像によるご紹介を頂き
私が述べるべきものは何だろうか? と考えてしまったからです。(-_-;)

そうこう考えること数日、であれば上述の公開済み情報に書かれていないこと
を私なりの印象として述べていくしかないかな〜、ということで思いを新たに
したものでした。その点をお汲みとり頂き、裏話という見方でご覧頂ければと
思います。言わばDVDのおまけにある“未公開特典映像”のようなものです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■その.1「響感 (Kyokan)というテーマに関して」

今年のマラソン試聴会は会場の選択ということからすべてがスタートしたよう
に思います。

過去に31回も行ってきたマラソン試聴会は毎回会場の選択に苦労するものです。
生の楽器を演奏するコンサートホールでは残響時間が長すぎたり収容人数が
多すぎたり。そして、ステージを取り巻く環境と設備は我々のような実に多数
のオーディオ機器をハンドリングするにはふさわしくないものです。

1998年ですから、10年前に赤坂TBSホールで行った時のことを思い出します。
当時のTBSホールは私が中学生だったころ、AMラジオの深夜放送が流行してい
た時代であり、その公開放送・公開録音を行うためのラジオ用のホールだった
ものです。そのため一般的なコンサートホールよりも、むしろ録音スタジオを
模したように残響時間は短く、オーディオシステムを鳴らすには適していたと
言えるでしょう。

また、都内に多数ある貸しホール・貸し会議室、あるいはホテルの宴会場など
も含めて、収容人数や音響特性を考えるとなかなか理想的なところはないもの
で、毎回会場探しには苦労してしまうものです。

2001年以降はFM東京ホール、朝日新聞東京本社・浜離宮朝日ホールなどを利用
させて頂き、それからは記憶に新しい秋葉原ダイビルでの開催がありました。

そして、今回の会場となった、梅窓院 祖師堂を幸運なことに利用できること
になりました。http://www.baisouin.or.jp/

http://www.baisouin.or.jp/jireki/jireki.htm 

ここに紹介されているように、浄土宗梅窓院は寛永20年(1643)徳川家康公以
来の家臣、老中青山大蔵少輔幸成公が逝去の時、青山公の下屋敷内に13,247坪
の地を画して側室を大檀越として建立されました。現在の梅窓院は三千余坪

そして、平成16年11月20日に落慶式を執り行い現在の新本堂棟が完成したと
ありますが、その施設の一部 祖師堂 も同時に建設されたものでしょう。

由緒ある寺院にしてモダンなデザインの 祖師堂 はご来場の皆様からも立地
や環境、雰囲気など大変ご好評を頂いたものでした。

なぜ幸運なことか、と言いますと 祖師堂 は商業目的のホールではないので
一般的には開放されておらず、誰かれもが利用できるという施設ではないとい
う事情があったからです。

その祖師堂が利用できるということが決定したのが今年4月のことでした。
三年間やってきた地元開催を脱却して秋葉原以外のところで開催できれば…
ということ。そして、今までに前例のない環境と施設という観点からは正に
うってつけの会場が得られたわけです。

そして、初めて私が現地を下見したのは4月中旬のことでした。

http://www.dynamicaudio.jp/file/081103/hyosatu.jpg

青山通りの一角に、それも路地をちょっと入ったところにこんな施設があるな
どとは、この私も初めて知る驚きでした。ホールのステージを初めて見ました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/081103/302.jpg

このように奥行きが結構深いステージであり、音響特性を考えるとこのままで
は問題ありということで、QRD DIGIWAVEを36枚も使用したパーテーションを
設置することはすぐに頭に浮かびました。

何もないホールを歩き回り、自分の足音や声が大変よく響くホールであること
が瞬時に理解され、ステージにはパーテーション以外にも厚みのあるタイル
カーペットを敷き詰めることで反射音と床鳴りを防止するようにしました。

しかし、何もないホールで響く残響を多少心配しつつも、これを逆手にとって
美しく響かせるオーディオシステムの演奏を目指そうと思いついたものです。

「初日に私が演奏する「オーディオ交響曲」の主題は「響感 (Kyokan)」です。

 響きを感じて欲しいという願いから命名しました。実際にイベントなどを
 行う多目的ホールはオーディオシステムを再生する環境としては、音響的に
 は残響時間が長くライブに空間がどうしても多いものです。

 今回のホールも同様でありホール独自の残響があります。
 それを逆手にとって録音に含まれる余韻感を梅窓院 祖師堂というホールの
 残響に上手く融合させるという狙いです。そこで初日の一曲目のタイトルを
 「響感 (Kyokan)」としました。
 どうぞ、響きを感じて頂きたいと願っての命名です!!」

つまり、スタジオ録音で解像度バッチリのポップスなど、音像の個々を鮮明に
捉えているような曲よりは録音している空間そのものに響きがあるものを選び、
あたかも聴衆の目前で演奏しているようなシミュレーションを狙ったものです。

音を分解していく聴き方ではなく、演奏空間と会場の空気感を融合させていく
ということを目指していこうと思いました。これは以前のマラソン試聴会では
なかった発想と言えます。

実行委員会を招集し数回にわたるミーティング、実行委員を連れて会場の下見、
関係各社との調整、そして自分のプログラムを固めていく過程で詳細な予告編
の配信と公開と、本当に実施までには色々な苦労がありました。

これらすべて、皆様に感動して頂きたいということが目的だったものです。


■その.2「10月25日の思い出」

今回のマラソン試聴会での私の持ち時間は25日135分、実演時間は机上の計算
では124分、26日は105分の持ち時間で演奏が99分と緻密な計画を練ったもので
した。自分で描いたシナリオをなるべく忠実にたどっていくだけと思っていた
のが間違いでした。^_^; さあ、本番突入です!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/614.html

先ず、第一楽章。スピーカーはGERMAN PHYSIKS Carbon MK4に固定しておいて、
System Selection .1と2の両方のシステムでワックスマン:カルメン幻想曲を
違うシステム構成で演奏しました。

このスピーカーはDDDというユニークな発音形式で優れた音質をもっていますが、
今回のような大きな空間で求められるような音量を鳴らし切れるかどうかと
いうことが最大の懸念でした。もちろん、事前の実験などはできませんので。

音量に神経を使いながら渡辺玲子と神尾真由子の録音を事前通知なしで演奏し、
どちらの演奏かを聴き終わった後に会場の皆さんにお尋ねするという趣向です。

答えは最初が神尾真由子で二回目が渡辺玲子の演奏でした。正解は半々くらい
だったと思います。さて、欲張った私は予告編にはなかったユニークな録音を
同様な比較で演奏することにしました。この曲です。

http://www.amazon.co.jp/Double-Rainbow-Music-Antonio-Carlos/dp/B0000046YR

Joe Henderson/Double Rainbow(POCJ-1270)より 12. MODINHA です。

テナーサックスの図太くも繊細な響き、若き日のクリスチャン・マクプライド
のウッドベースとのデュオによる録音ですが、このステージに二人がいたなら
というシミュレーションをGERMAN PHYSIKS Carbon MK4の特性に託しました。
お楽しみ頂けましたでしょうか?

順調に進めばという期待感もありましたが、このパートで急にCDプレーヤーが
静電気でハングアップしてしまい音が出ない!!というトラブルがあり、一挙に
大汗をかいてしまい焦ってしまいました。まあ、よくあることなのですが…

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/615.html

さあ、第二楽章です。ここで使用する曲は二曲だけです。しかし、ここでは
二つのスピーカーを比較していくという趣向から始まりました。

REVEL AUDIO ULTIMA SALON 2(税別\3,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/product/revel/ultima2.html

             vs

consensus audio  magma (税別\3,900,000.)
http://www.consensusaudio.com/
http://www.luxman.co.jp/eventinfo/tias2008.html

ノルウェーのKirkelig Kulturverksted http://www.kkv.no/ その中の一枚 
SKRUK という混声合唱団の曲から、悩みに悩んだ末にこの一曲8.HAN ER OPPSTANDEN

http://www.kkv.musikkonline.no/shop/displayAlbum.asp?id=27619

人間の声だけという録音ですが、この選曲が二機種のスピーカーの個性を大変
よく聴かせてくれたと皆様からコメントを頂きました。ESOTERICのプレーヤー
システムのアンプを固定して、このようにスピーカーの比較からスタートです。

REVEL AUDIO→consensus audio→consensus audio→REVEL AUDIOと4回繰り返し
演奏していきました。この辺から天野の活躍が始まったわけですね〜(^^ゞ

さて、次はスピーカーをREVEL AUDIOのままにして、プレーヤーの比較です。
ただし、ちょっと興味深い比較でした。

Wynton Marsalis and His bigband/SONY SACD DEMONSTRATION DISC

SACDレイヤーを当然ESOTERICのフラッグシップが再生し、CDレイヤーを同価格
帯Burmester  069が再生します。なになに、当然SACDの方がいいに決まって
いるではないかって? さ〜て、どうでしょうね〜。だって私は意地悪なことに
二枚のディスクを用意して同時に再生してブラインドで皆様に聴いて頂こうと
思っていますので!!(^^ゞ

と、予告編で述べていますが、これもやりました!!
聴き終わった後に皆様に私は尋ねました!?

「皆さんはどちらの再生音がSACDだったと思いますか?」という問いかけです。
そうしたら、結果はなんとなんと思いがけないことに圧倒的に…だったのです。

この答えは来場者の皆様の胸にしまっておいてください。オーディオって
面白いでしょう!! (^^ゞ

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http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/616.html

さあ、スピーカーはREVEL AUDIOでシステム構成もそのままに第三楽章へと
突入です。のっけから前例のないパワーアンプ比較からスタートしました!!

Marklevinson No.532と No.53という同一メーカーでコンセプトの違うパワー
アンプのみを比較したわけです。しかし、これは禁断の実験だったようです。

「川又さん、あんなに違うとは思っていなかったよ!!予算どうしようか〜」

という悩みとも愚痴とも受け取れるコメントをお得意様より頂戴してしまいました。
そうなんです、事実は小説よりも奇なり(笑)いや、価格通りかな〜^_^;

さて、ここからは演奏を楽しんで頂こうということから予告編通りの選曲です。
Willow Weep For Me (1932)を時代を経たアーチスト色々で聴いて頂きました。

SARAH VAUGHAN → consensus audio

Julie London → REVEL AUDIO

CHANTICLEER → consensus audio

DIANA KRALL → REVEL AUDIO

このように歌手と録音内容に私がスピーカーとシステムを合わせて演奏しました。
この組み合わせにも音質的な根拠があってのものです。お楽しみ頂けましたか?

そして、最後のDIANA KRALLの曲でESOTERICシステムのプレーヤーから期待の
新製品Marklevinson No.512に切り替えて最後の比較をしました。

この変化については私は大変納得できるものであり、Marklevinsonも血統を
意識する場面があるな〜と思いつつ、情報量という点ではESOTERICの素晴らし
さを再確認したものです。

頻繁な配線切り替えでは各社の皆様に本当にお世話になりました。
この場を借りてお礼申し上げます。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/617.html

さて、第四楽章にいよいよ突入ですが、ここまでの音だしをしてきて、私は
あることに気が付いていました。というよりも、私の前に三名が実演を終えて
いたのですが、各々の担当者が出している音に関して意外な特徴を感じていた
というものです。

初めてこのホールに入ったとき、前日のリハーサルでの音質。どれをとっても
残響時間の長さが気になっていたのですが、320席を並べた椅子にほぼ満席と
なるほどお客様が増えてからの音質が実にちょうど良くなってきたということ
なのです!!

「人体は畳二畳分の吸音材に相当する」ということは知ってはいても、このよ
うに響きが程良く調整されてくるとは思ってもいなかったのです!!

そう、これこそ「響感」というものでしょう!! いいんです、とても!!

さて、最終楽章で何をやるのか? それは予告編に詳細に述べていますが、
VIVID Audio G1 GIYAを最初はsoulution のシステムで鳴らしました。
二回目のカルメン幻想曲はGOLDMUND のシステムで演奏しました。

各々再生システムが違うのですから、音質的な特徴からヴェンゲーロフか
庄司紗矢香かの演奏を当てて頂くのではなく、両者の演奏の特徴だけを頼りに
皆様に当てて頂こうという趣向なのですから、より音楽ファン向けの趣向と
いうことかと思います。演奏が終わってから私は来場者に問いかけました。

「最初の演奏が庄司紗矢香だと思った方は!?」
「では二回目の演奏が庄司紗矢香だと思った方は!?」

これは面白かったです。(^^ゞ 正解は…、後者でした!!

正解は七割くらいだったでしょうか? あの方のレポートにもありましたが、
録音年代の違いみたいなもので聴き分けされた方もいらしたようですが、
私の予想を上回る正解率でした。皆様お見事です!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0451.html

私の出題の意味を読んでいらしたということでしょうか(^^ゞ

さあ、そして初日の最後の一曲となりました。この時点でも大幅に時間が超過
しているので、演奏の折々にシステム紹介ができなかったという反省点もあり
ましたが、いよいよラストの一曲。そして…あの事件が起こったのでした。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は今回の一連の予告編で次のようなコメントを述べていました。

「この曲が終わったとき、ステージに残る余韻に対して自然に拍手が湧き
 おこったら素晴らしいことですね。
 皆さまの表情を見ながら楽しみにしています!!」

はい、まさにこれを目指しています。数あるオーディオ業界のイベントの中で
集まったお客様から自然に拍手がわいてきたらどんなに素晴らしいことでしょう。

私はそれに挑戦したいと思っています。当日は当然ハルズサークル会員以外の
お客様も多数いらっしゃいますが、ぜひハルズサークルの皆様は私の目論見に
拍手で応援をして頂ければと願っています!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

実は、私のプログラムスタートが遅れてしまい、かつ予定していた選曲を
ノーカットで演奏しているうちに時間が足りなくなってしまい、内心では大変
慌ててしまい焦っていました。ですから、自分でこのように呼びかけていた
ことも記憶から飛んでしまっていたというのが本音だったものです。

ところが!! 私の最終曲がすーっと終わったら、なんと!!

そうです!! 本当に皆様から盛大な拍手を頂いてしまったのです!!
いや〜、うれしかったですね〜。こんなイベントは他にはないでしょうし、
閉会のご挨拶をした後の拍手は毎年頂いていますが、前振りなしの拍手です。
心にしみました〜、本当にありがとうございました。<m(__)m>


■その.3「10月26日の思い出」

前日の教訓を生かして今日は時間通りに収めなければ、とこの日も控室に天野
を呼んで接続の切り替えとタイミングを指示して綿密に打ち合わせたつもり
だったのですが…(-_-;)

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/619.html

二日目に私が演奏する「オーディオ交響曲」その主題は「Tutti!!」総奏です。
この意味は繰り返し予告編でも述べてきましたが、実は選曲を進めていくうち
にクラシックものの選曲が多かったかな〜という思いが強くなり、このディスク
からの選曲数をちょっと減らして個性的なものを取り入れていこうという気持ち
が強くなってきました。

この第一楽章ではKharmaとStradivari Palladioというスピーカー両雄の個性
と特徴を理解して頂くことから始めようと思っていました。

しかし、前日のように欲張ってはいけないと思いつつ、途中でフェードアウト
することは避けたいということから、一つのスピーカーで一曲をかけるという
ことで、同じ曲でのスピーカー比較という試みを止めることにしました。

従いまして、予告編で紹介した選曲は次のような組み合わせで演奏しました。

PLAYS FATS WALLER → Kharma Grand Ceramique Midi 1.0

カルミニョーラ/モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 → Stradivari Palladio

同じ曲でのスピーカー比較の方が面白いか? でも、私は演奏を途中でやめたく
なかったので、私が意図した選曲を最後まで聴いて頂くということを優先しました。
いかがだったでしょうか? しかし、このプレーヤー比較はやりました!!

Vitus Audio  SCD-010 (税別\2,180,000.)
             vs
Marklevinson No.512 (税別\2,100,000.)

近似する価格帯ですが、Vitus AudioはCD専用プレーヤーです。しかし、私は
敢えてMarklevinsonではSACDのレイヤーで再生します。理屈から言えば何と
言っても物理特性・ディスクフォーマットのスペックでは圧倒的にSACDが有利
であるはずですが…? どうなることでしょうか!!

演奏が終わってから私は次のように皆様に問いかけましたね。

「どちらの方がSACDの音だと思いましたか!?」

これまた意外なほどに大差で勝敗がつきました。えっ!? どっちが多かったか?
ですか…? それはこの場では述べないことにしておきましょう^_^;

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/620.html

さて、このESOTERICは面白かったー!! なぜか!?

今回の他社製品のプライスレンジとは大きく異なるアンプだったからです。
そして、たった50Wというパワーで狙った音量はどうなるか、冷や冷やしなが
らも意外にこなしてしまったということは体験された方々はお分かりでしょう。

ちなみに、この楽章での選曲はすべてSACDでした。

サー・クリフォード・カーゾン/モーツァルト・ピアノ協奏曲第20番ニ短調
K 466の第三楽章とThe Dave Brubeck QuartetはStradivari Palladioを使用
して演奏しました。

ESOTERIC A-03はBTL接続ではなく、二台のA-03の片チャンネルだけを使用し
てのモノラルアンプとして駆動しています。そして、次にA-03をバイアンプと
して接続変更しKharma Grand Ceramique Midi 1.0を鳴らしました。

ガーシュウィン:ピアノ協奏曲&ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
TUTTI! 11.Jacques Ibert: Escales-anime (Valencia)Eiji Oue/Minnesota Orchestra

この二曲を演奏しました。その前に私は来場者の皆様に「ガーシュウィンの
ピアノ協奏曲を聴いたことがある方はいらっしゃいますか?」と尋ねると、
広い会場で三名様だけが手を挙げたのが印象に残っています。

この曲ですが、マラソン試聴会が終わってから自宅でテレビを見ていたら偶然
にもかかったんです。えっ、そんな番組なんかあるのか〜、というものですが、
BS放送でフィギアスケートのアメリカズ・チャンピオンだったかの放送で、
アメリカの男性選手の演技の時に流れていたんですね〜、ピンときました。

スピーカー以外は電源からケーブルまですべてESOTERICというラインアップで
トップクラスのスピーカー二機種を演奏しました。SonusfaberにしてもKharma
にしても、設計者たちが日本で、それもオールESOTERICで鳴らされたというこ
とを耳にしたらどう思うでしょうね〜。お楽しみ頂けましたでしょうか。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、前日と同じように面白いブラインドテストを第三楽章でやりました。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/621.html

そうです、ハードウエアによる違いを聴くのではなく、アーチストの個性を
聴き分け出来るかどうかという挑戦でした。

予告編で述べているようにSystem Selection .1と2で各々違うディスクをかけ
て演奏者を当ててもらおうという趣向です。オーディオマニアの発想としては
あのメーカーはこうだ、このブランドの音はああだ、という観点では当てる
ことはできません。

ヴィクトリア・ムローヴァと庄司 紗矢香の演奏そのものの特徴を言い当てる
という趣向ですから、張り切ったクラシックファンは少なくないと思います。
正解は…

System Selection .1→庄司 紗矢香

System Selection .2→ヴィクトリア・ムローヴァ

でした!! しかし、私も驚きましたが、このセッションでの正解率は70%以上は
あったと思います。皆様、さすがでした!!

そうそう、こんなブラインドテストもしました。

上記の演奏で庄司 紗矢香のCD:UCCG-1370「Prelude - SAYAKA」のディスクを
使用します。しかし、もともとオリジナルはCD:UCCG-70094がデビューアルバ
ムなのですが、同じ録音であるはずなのですがマスタリングが違うのか、音質
的には前者Preludeの方が良いものがありました。

UCCG-1370「Prelude」は\2,800.でUCCG-70094は\1,800.ということで、同じ
演奏家の録音でもお値段が違います。そして、音質も違います。このような
デリケートな違いを聴き分け出来るESOTERICを使用して、皆様に聴き比べて
もらおうというお楽しみです。こんなことやるのは私だけでしょうね〜(^^ゞ

この比較試聴は面白かったですね〜、正解率は50%くらいだったと思います。

しかし、こんなことやってるから時間が足りなくなってしまうのでしょうね〜。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

泣いても笑っても、これが最終楽章となってしまいました。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/622.html

ここでもVIVID Audio G1 GIYAをsoulution とGOLDMUND で鳴らします。

最初にsoulutionで次の二曲を演奏しました。

TUTTI! (2)Chadwick:Intermezzo e Humoreske from Suite symphonique
/Jose Serebrier/Czech State Philharmonic

GRP ALL-STAR BIG BAND(2)BLUE TRAIN

この二曲の音量感はお楽しみ頂けたのではないかと思います。

ちなみに、300名近くのお客様が入られる前と後では音量感は大きく変化して
しまうので、私は一曲ごとにステージから客席に降りて行き、離れた位置から
適切な音量かどうかをいつもチェックしていました。

イベントの音量調整とは難しいもので、前の席でちょうどいいくらいだと後ろ
の方では物足りず、後方の席でちょうどいいくらいだと前の席では大き過ぎる
という現象が常にあります。また、ディスクごとに録音レベルが違うのでプリ
アンプのボリュームはそのままということはできません。

オーケストラよりはビッグバンドの方がスケール感としては近いものがあり、
会場のステージに演奏者がいたらというシミュレーションを試みました。
お楽しみ頂けましたでしょうか。

さて、ここから先はGOLDMUNDにシステム構成を切り替えました。
そして、次の選曲については予告編で力を入れて説明していました。 

RICHARD BURMER / ACROSS THE VIEW  東芝EMI   CP32-5735

これをかける前に、私は思わず会場の皆様に質問してしまいました。

「このACROSS THE VIEWという曲を知っている方はいらっしゃいますか?」

すると!! おー!! 何と一名様だけが手を上げられました。(^^ゞ

それだけレアな選曲であったということでもあり、またクラシックジャンル
から離れた選曲として意外性もあり、楽しんで頂ければと願ってのことです。

予告編でも述べていますが、この曲のライナーノーツの一節…

この後いくつもの時を超えようとも、例え無慮数十、数百万の曲を重ねよう
とも、とまれいつまでも語り継がれるのは初めに「ACROSS THE VIEW」ありき、
という言葉なのですから。

このコメントいいですよね〜。私たちが一生涯に聴く音楽は一体何万曲なので
しょうか? その思いを胸にオーディオシステムに向かう皆様は同志ですよね!!

あっ、すみません〜脱線しました(笑)

次のJULIA FORDHAMのHAPPY EVER AFTERのヴォーカルはいかがでしたか?
この会場のステージのサイズというか、皆様の目の前にある横幅14メートルの
ステージの上の空間に何が浮かび何が見えたか!? それを狙いました!!

さあ、いよいよラストの一曲になりました。あの名曲、AMAZING GRACEです!!

この曲は本当に多くのアーチストが演奏しているものですが、ご来場の皆様が
これまでに一度も聴いたことがないAMAZING GRACEを用意致しました!!

冒頭の歌詞はこうですね。

Amazing grace! how sweet the sound

何と麗しい響き、あるいは音ということでしょうか!?
how sweet the soundとは、このマラソン試聴会にぴったりの曲ではないですか!!

と、予告編でも述べていましたが、いかがでしたでしょうか?

総勢40名に及ぶコーラスの音場感と臨場感。まさにこのステージに40人の男女
が寄り添って歌っていてもおかしくないスケールと一致だと思います。

こういう実演は他のオーディオのイベントでは絶対にやっていない趣向でしょう。

私は今回の開会の挨拶では要旨として次のようなコメントを述べていました。

「インターナショナルオーディオショーやハイエンドショーなど業界各団体の
 イベントは多数ありますが、多くの来場者に多くの商品を見せるということ
 では意味があると思います。しかし、それで感動できるでしょうか!?

  私たちのマラソン試聴会では来場者の数と展示商品の数がすべてではなく、
 感動して頂けるイベントを目指したいと思っています。

 この続きを、どうぞダイナミックオーディオの各支店にてゆっくりと聴いて
 頂くためのスタートとして、マラソン試聴会をお楽しみ頂ければと思います。
 
 どうぞ感動をお持ち帰り頂ければと願っております。」

こんなセリフだったでしょうか…(^^ゞ

そして、AMAZING GRACEの最後の歌声がステージの上に、その中空にすーっと
消えていったその時でした!!

オーディオのイベントで拍手が自然発生したという記念すべき瞬間に感動しました!!

今回、マラソン試聴会に登場した実に多数の製品がありました。
輸入元とメーカー各社の関係者の皆様には多大なるご協力を頂き本当に感謝
しております。

そして、世界各地から集まってきた製品を作った設計者、メーカーのトップの
人々にも次のようにお伝え頂ければと願っております。

「マラソン試聴会というステージで、あなたが作った作品を聴いた日本の
 オーディオファイルたちは、生演奏のアーチストに送るのと同じ拍手を
 惜しみなく送ってくれた。

 生演奏と同じようにオーディオシステムの演奏が人々を感動させたという
 イベントが東京で行われました」…と!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は皆様の拍手に本当に感動し勇気付けられました。ありがとうございました。

オーディオシステムは何のために存在するのか!?
もちろん工業製品であり商品なのですから、ずっと昔から商売の元ではあります。

しかし、その使い手の人々は音楽に感動したいからこそ、その道具にこだわり
情熱を注ぎ込むものです。この原則を良い意味で私は再認識しました。

今回のマラソン試聴会に参加された皆様、本当にありがとうございました。
皆様のご感想を心からお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

そして、残念ながらご来場が果たせなかった皆様。
今回ご紹介した実演メニューの色々をご覧頂き「マラソン試聴会アンコール」
として、このフロアーで聴きたいものをぜひご意見としてお寄せ下さい。

ここでのイベントでも、やはり感動をお持ち帰り頂きたいと願っております!!

こんなイベントもハルズサークル会員限定で行われますので、この際に
どうぞご入会下さい。よろしくお願い致します。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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