発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2008年9月18日
No.613 「H.A.L.'s One point impression!!-未公開ブランド衝撃の初体験!!」
Vol.1「H.A.L.'s One point impression!!-未公開ブランド衝撃の初体験!!」

お陰さまでというか、日頃のハイエンドオーディオに対する追求姿勢を認めて
頂き、各社から新規導入する新ブランドの製品を音質評価して欲しいという
要望が寄せられるのは常日頃のこと。

http://www.iasj.info/

今回も現時点ではブランド名を明かすことはできないが、ヨーロッパ某国の
新進気鋭のスピーカーメーカーが2008年10月3日〜5日に開催される東京イン
ターナショナルオーディオショーにおいて国内某社より発表される予定だ。

それに先立って、ここで試聴して欲しいという要望から、滞在期間四日間だけ
というスケジュールながら一足先に聴かせて頂く栄誉にあずかった。そして、
その音質は十分に私の感性を刺激するだけの品位であり、ハルズサークルの
皆様にも速報としてお知らせしなくてはという思いになってきたものです。

ここではブランド名は述べられませんが仮に“C社”の製品名“Speaker M”と
して簡単ですが私のインプレッションをお伝えしたいと思います。


◇“Speaker M”by Speaker manufacturer“initial C”-inspection system ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0rb/
     and
H.A.L.'s original-JORMA DIGITAL/SMB Internal Wire (税込み\88,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/544.html
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100(税別\1,250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
     and
H.A.L.'s original“Z-board” (税込み\57,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)(税別\240,000.)→and ESOTERIC D-01
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100×1(税別\1,250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2 Dual AES/EBU(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7nda6300/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01+VUK-D01(税別\2,500,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100×2(税別\1,600,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.5m×2 (税別\820,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7nda6300/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
LUXMAN C-1000f(税別\2,000,000.)
http://www.luxman.co.jp/presspro/c1000f.html
     and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-A2500 MEXCEL XLR 7.0m(税別\2,280,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7na2500/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
LUXMAN B-1000f ×2 (税別\3,600,000.)
http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/
          and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

Stealth Dream Speaker Cable 3.5m (税別\2,258,000.)
http://www.stealthaudiocables.com/products/Dream/dream_sp.htm
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/446.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
“Speaker M”by Speaker manufacturer“initial C”
http://www.dynamicaudio.jp/file/080913/293.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/080913/298.jpg
………………………………………………………………………………

ちょうどG1 GIYAが不在中ということもあり、その入念に設定したポジション
に“initial C”をセットアップし、短期間と言えどもベストを尽くそうとい
うことで除機のシステムを構成しました。

大きな木箱の梱包材を運びこみ、その姿を現しましたが残念ながら全体像を
公開できませんので、↓このようにブランド名のエンブレムが見えない角度で
撮影したものです。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080913/293.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/080913/298.jpg

微調整を行うために最初にかけたのがご存じのこれ。

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章/小澤征爾/ボストン交響楽団

先ず最初は“B-board”にスパイクを直接突き刺すようにして聴き始めました。
ユニット構成からして以前にも聞き覚えのある音質と思いながらも、私には
まだしっくりこないところがあり、他にチューニングの手段はないものかと
輸入元の担当者に尋ねると、なんとなんと…このメーカーは本国では別売とし
ている↓このようなスパイクベースの受け皿をオプションとして用意している
というではないか。ズームアップして撮影してみました。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080913/302.jpg

メーカーではCRT-Spike Setと称していますが、ステンレスから削り出した
重厚なスパイクと受け皿をセットにしたもの。ただし、このオプションは価格
を付けると日本では20万円以上になってしまうという高価な物。その中に硬度
の違う木材を3種類使用して上記のような3種類のスパイクベースを同梱してい
るということだった。木材の硬さとしては左側が最も柔らかく右側が最も硬く
真ん中が中間という説明だった。

仮に左から鉛筆に例えて“B”として、真ん中“HB”右を“H”としましょう。

まあ、私も様々なスパイクベースを試したことはあるが、メーカー設計者その
本人が3種類の選択肢をユーザーに提供しているということで、この信頼厚い
“B-board”の上で3種類を聴き比べてみることにした。選曲はオーケストラに
絞り、私は楽音の質感と空間表現の両方を短時間で聴き分け、“B-board”に
直刺しと3種類のペースとで4種類を聴き比べることにした。

“B-board”直刺しが当然機械的には最も剛性が高く、金属のスパイク先端と
MMW素材がかっちりとかみ合っているということになり、それに対して次の
ような比較をしていった。

最初はスパイク直刺しと最も対象的と思われる“B”から始めました。

「う〜ん、確かに変化は大きい。弦楽器の質感はいきなり柔軟性を帯びて心地
 よい方向に変わり、管楽器も同様に微妙なソフトフォーカスとなる。これは
 これで悪くないし、このメーカーが使用しているセラミック・ダイヤフラム
 の質感を滑らかに聴かせる効果はあるだろう。後の2種類が問題だ。」

硬さの違うウッドだけの違いとして大きな変化があるということはスピーカー
そのものが敏感でありデリケートだということ。
であれば、次はいきなり“H”に変えてみよう。ということで天野と輸入元の
担当者が再度スピーカーを傾けてスパイクベースを交換する。すると…!?

「おー!! これは素晴らしい!! 弦楽器の質感は研ぎ澄まされて鮮明になり、
 同時に各パートの焦点がくっきりと再現され、管楽器においても同様に楽音
 のコアとなる最も濃厚なポイントにフォーカスがきっちりと合ってきた。

 そして、それによって変化したのは猛烈な音場感の拡大であり、音像と引き
 締めとエコー感の拡散領域の広大さが一回り大きくなっている。
 なんとなんと…、こんなにおおばけするとは思わなかった!!」

“B-board”直刺しで密度感が最も高かったのだが、弦楽器の潤いは多少減退
していたのだろう。そのフォーカスの見事さを残して楽音のテイストに含みを
持たせるようにして余韻感が驚くほど増大している。これを一度聴いてしまう
と“B”には絶対戻れないだろう。晴天から曇天へと変わってしまうからだ。

では中間の“HB”はどうだろう。3回目の作業を指示して私はリモコンを手に
セッティングが終わるのももどかしく再スタートさせると…!?

「あっ!! いいや、やっぱり“H”に戻して下さい!!」

と、何とも即決の判断を下していた。“B-board”とスパイクの間にはさむ
五百円玉程のペースだけでこんなに変化してしまうとは予想外だった。そして、
それはこのスピーカー“initial C”がいかに完成度が高く、また敏感であり
使い手の感性とシステムコンディションを音質に反映する優れモノかという
裏付けであろうと感心してしまった。これは只者ではない!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/418.html

そして、ある意図からコーディネートした↑このESOTERICとLUXMANの実力を
再評価させられることになったものです。これはいいペアリングです!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はここで使用する試聴盤をまとめて注文することが多いのですが、同時に
入荷何枚ものディスクをすべて一日で聴きつくすということはなかなかできず、
しばらくは1,000枚収納できるラックに入れたままになっているものもある。

一か月ほど前に、その中からこんなディスクがあったのかと最近になって良く
聴くようになったのがこれ。

http://www.universal-music.co.jp/classics/shoji/discography.html

特にFranz Waxmanによる《カルメン幻想曲》が大のお気に入り。これはWaxman
が、かのJascha Heifetzのために編曲したものであり、ヴァイオリンのソロ
パートはHeifetz自身のスコアーによるものだという。

http://www.jaschaheifetz.com/

今までもセミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団による「カルメン」の組曲
は私の欠かせない課題曲ですが、この要素を巧妙に組み合わせて10分程度に
まとめられたCarmen Fantasyは聴きどころ満載で試聴には打って付けのもの。

「第一幕前奏曲」冒頭部から始まり「ハバネラ」「カード占いの歌」「アラゴ
ネーズ」「セギディーリャ」を核にしながら様々な旋律が登場し「ジプシーの
歌」の速弾きで華やかに締めくくられる10分間はあっという間という楽しさ。

今夜は閉店後までお得意様との話しに盛り上がり、やっと一人きりになって
から試聴室の空調を止めて《カルメン幻想曲》をいざ聴こうということに!!

冒頭のフォルテが立ち上がった時に既に“Speaker M”の魅力が振り撒かれていた!!

早い!! 低域の立ち上がりが大変な高速であり、それはキャビネット内部に
起こりえるはずの内部定在波とエネルギーの蓄積によって位相が遅れた低域の
輻射音を一切含まず、極めて鮮明な低音楽器の質感と輪郭を聴かせる。

大口径ウーファーが響かせる量感たっぷりの低域とは大変異なる質感であり、
コントラバスの発したエコー感がすっきりと不純物を一切含まない清純さで
室内に広がり消えていく。この低域はウーファーユニットの選択だけではなく、
エンクロージャー・デザインにも大きくかかわるところであり、ユニット背面
に放射されるバックプレッシャーをどのように消去させるのかというNautilus
のアイデアに共通する構造を私は見抜いていた。

低域の高速反応はミッドレンジとの連携を見事に高めており、同じセラミック
ドライバーのミッドレンジと合わせてチューバなどの低音管楽器のリアルさに
は鳥肌が立つほどのもの。一瞬にして吹き上げられたバス・プラスの切れ味と
すっきりと後味のいいエコー感の消滅には次の奏者に空間を明け渡す律儀さが
感じられるようで思わず聴き入ってしまう。

私は以前にテレビで庄司紗矢香のドキュメンタリーを見たことがあるが、幼さ
の残る表情で次のように語っていたことを思い出した。

「私はテクニシャンと呼ばれることがいやなんです。テクニックがあるという
 ことだけで私の演奏を評価さてしまうと、それで終わってしまいそう。
 私が目指しているのはテクニックだけではないんです…」

というような主旨であったろうか。楽器ひとつを持って単身でヨーロッパ各地
の大小様々な音楽祭を回り、世界中の一流アーチストとも親しく話しをする
彼女の生き方がしっかり記憶に残っていました。

パガニーニ国際コンクールで優勝するほどの腕前はこのCDでも存分に発揮され、
左手のピッチカートやフラジオレットなどの高度な演奏法を軽くこなしてしま
う庄司紗矢香をマスコミはそのように表現するのだろうが、オーディオという
視覚情報なしで聴いていると流れる演奏についていくのが精いっぱいという
ものだろう。

1715年につくられたStradivari Joachim(ヨアヒム)に魔法のような生命力を
与える彼女の演奏を私は専門家のように分析することはできないが、音楽の
楽しさと極力録音的な演出を嫌った音質には感動と興奮を催すものがある。

メータ指揮イスラエル・フィルのバックはきちんと彼女の定位する空間を空け、
ソロパートの音像をくっきりと空中の一点に音像を結ぶ“Speaker M”は十分
に位相軸と時間軸を追求して設計されているのだろう。

私は事前にフロント二本のスパイクにスペーサーをはさみ、“Speaker M”に
わずかな仰角を付けることで音場感の変化を試してみたが、以前に経験した
他社のスピーカーほど変化がなかった。というよりも、この実験では標準の
直立状態の方が好ましい音質だった。

“Speaker M”と酷似するユニット構成による某社のスピーカーはあらかじめ
後方に傾斜する仰角をつけるように前後のスパイクの長さを変えていたものだ
が、なんと“Speaker M”の設計者はその辺をお見通しと見える。

“Speaker M”は見事にソリストとバックのオーケストラの距離感と分離感を
提示しており、設計思想の高さと設計パラメーターの項目数がより多いという
実績をも音質に表している。

ヴァイオリンの質感は潤いと同時に弓と弦の摩擦感が空気を震わせる微振動
までを聴かせてくれるので、3way構成すべてのユニットがセラミックダイヤ
フラムであるという安心感を楽音の連続性と余韻感の正確な描写という点で
聴かせてくれる。いや〜実にこれは素晴らしい!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は日頃使用する課題曲を当然すべて聴いたが、その一曲ごとに印象を述べる
には時間が足りなくなってきた。明日には輸入元が引き上げてしまうからだ。

しかし、私がスピーカーを評価する川又流メソッドからすると、すべての音楽
ジャンルの再生に関して当フロアーの品位として皆様に推薦できるパフォーマ
ンスを有していることを最後に報告したい。

“Speaker M”とは何か? 二週間後に開催される東京インターナショナルオー
ディオショーの会場で探し回って頂ければとお楽しみを残しておきましょう。

この“Speaker M”只者ではありません。再度ここに登場するかどうか、続報
にご期待下さい。

それでは今夜はこの辺で(^^ゞ


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
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