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H.A.L.担当 川又利明

No.1172 2014年11月21日
 「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.3」


     《更に進化し続けているスピーカーMODEL-CCSの最新状況とは!?》
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1168.html この続編です!!

さて、次の写真をご覧下さい。これもカタログなどにはない画像です。
これはMODEL-CCSのウーファーエンクロージャーのトップパネルです。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141112-ccs.06.jpg

次にこちらはミッドレンジドライバーのハウジングの上面です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141112-ccs.08.jpg

両方ともにステンレスのキー(森さんはそう呼んでいました)が取り付けられて
います。この突起物がミッドレンジとトゥイーターのハウジングの底部に掘ら
れた同形状の穴にはまり込む形になり、前後にはスライドするが左右にはぶれ
ないようにガイドの役目を果たしているわけです。

「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.1」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1166.html

私は上記の記事で次のように述べていました。

「どんなに剛性が高く質量があっても振動します。毛足の短いフエルトを
 ハウジングの下に貼り付けたらいかがですか…」と。

そんなアイデアを提供したら廣中さんは早速やって下さったのです。ご自身も
変化の大きさに驚いたということで、今現在ここにあるMODEL-CCSは簡単な事
ですがミッドレンジとトゥイーターのハウジングを機械的にアイソレーション
されたものなのです。そして、その効果は予想以上のものでした!!

このようにフエルトを貼るだけで音質が豹変したという事実を森さんも承知し
ていたのですが、上下の面はフエルトでアイソレーション出来たとして、この
ステンレスのキーはミッドレンジとトゥイーターのハウジングの金属部に接触
してはいないだろうか、という疑いを森さんは持ち始めていたようなのです。

そこで森さんは既にステンレス以外の非金属性のパーツを発注してあり、この
キーの存在が音質的に影響があるかどうかに関心を持たれていたというのです。

考えてみれば、完全にキーと上に乗せるハウジングが並行であればコンマ数ミリ
の隙間が出来るかもしれませんが、いったん重ねてしまうと確認のしようが
ありません。わずかに角度がずれても最低二か所の対角線でキーと接触して
しまっているというのは事実でしょう。そこで私は提案しました。では…

ウーファーエンクロージャーのキーを取り外してしまいました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141112-ccs.09.jpg

同じくミッドレンジ・ハウジングのキーも取り外してみました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141112-ccs.07.jpg

廣中さんは我が子のように親しんでいるMODEL-CCSですから、特段このキーが
なくとも適正位置にぴったりと乗せて頂き、再度の試聴となりました。

やはり最初はオーケストラで定番のマーラーを聴きました。すると…

「おいおい! この変化は何なのよ〜。たったあれだけの接点でしょ!!」

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、上記のエピソードで注目されたキーの存在でしたが、取り外すことで
大きな変化があったわけです。そして、キーがない状態での音質変化が大変
素晴らしいものだったので、もうこれでいいじゃないか! という心境にもなって
いたのですが、職人 森さんはこだわりの人。こんなものを作ったというのです!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key01.jpg

素材が何かは秘密ということなのですが、更に凄いのはこれをわざわざ新幹線
に乗って私のところに持ってくるという廣中さんの情熱!!頭が下がります。

この新素材によるキーは写真のように柔らかく柔軟性があるのですが、これを
職人は削り出して作ったというのです。いったいこんな柔らかい物をどうやって
精密な寸法に仕上げるために削るのかという技は廣中さんも教えてもらえない
ということでした。

さて、これを実際にウーファーエンクロージャーに取り付けるとこうなります
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key02.jpg

同じくミッドレンジ・ハウジングにも新しいキーを取り付けてみます。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key03.jpg

この状態を裏側から見るとミッドレンジ・ハウジングの溝にぴったり一致。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key09.jpg

トゥイーター・ハウジングに対しても素晴らしい職人技でジャストフィット!
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key08.jpg

さあ、この状態で試聴です。前回はキーを取り外したことで素晴らしく進化しました。
機械的な接触がない状態の音質になればいいわけですから、今回はキーを取り
外した状態と比較して変化がなければ成功ということです。

■Marian Cantata Arias:Anne Sofie von Otter / Musica Antiqua Koln
http://www.arkivmusic.com/classical/album.jsp?album_id=5512
Donna che in ciel, HWV 233 by George Frideric Handel 

この12トラックに収録されている「ARIRA CON CORO」という曲は古楽器の
清々しい弦楽器の導入部からオッターの透き通るような歌声が大変美しい曲。

前回も微妙な変化をつぶさに観察することが出来た、この曲で試聴します。
果たしてキーレスの音質を維持できるのか、多少は逆行して悪化するのか!?
私は前回の音質維持が出来ればまずまずかな〜と思いリモコンでスタート!!
ところが…!?

「おいおい、何だよ! この変化は! キー無しよりもいいじゃないか!!」

つい先ほどキー無しで聴き記憶していた古楽器ヴァイオリンの質感が更に輝き
を増すように透明感を高め、その余韻感が豊潤さを高めて響き渡るのに絶句です!!

そして、Anne Sofie von Otterの歌声が始まると、キー無しの時でさえ不純物
が含まれていたのではと疑ってしまうほどの透き通るような純粋さと潤いある
余韻感が何とも素晴らしいではありませんか!! これは全くの想定外でした!!

悪くならなければ成功だと思っていたのに、キー無しよりも高品位な質感に
変貌したという驚きに廣中さんも私の後ろで歓声を上げた程なのです!!

最初の写真で私がグニャリと曲げている新素材のキーが極めて正確なサイズで
仕上げられており、最低二か所でミッドレンジとトゥイーターのハウジングの
溝にわずかに接触しており、それがアルミから削り出した強靭な金属の塊に
対してダンピング効果を発揮したということだと私は推測しました。

これはステンレスのキーではあり得ない副産物と言えるでしょう。それを私は
何とか証明出来ないかと思い、MODEL-CCSのここに注目したわけです。

トゥイーター・ハウジングの右側にこんな穴があります。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key04.jpg

ミッドレンジ・ハウジングにも同様な穴があります。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key05.jpg

この穴は何のためにあるのか、廣中さんに質問すると私も知らなかった事が!
2.5mmの六角レンチをこのように両者に差し込んでビスを捉えます。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key13.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key14.jpg

さあ、このビスを時計方向に回していくとミッドレンジ・ハウジングの裏側
ではこのように変化が起こります。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key06.jpghttp://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key07.jpg

そうです、ステンレス製キーを装備していた頃の設計では、積み重ねた上下の
ハウジングを固定する方法として、このようなビスによる圧着法を仕込んで
いたのです。それでは、試しに新素材キーに対しても、このネジを締めていく
ということで片方から応力をかけて接触面積を増やすことが出来るのでは!?

いや、もしかするとミッドレンジとトゥイーター両方のハウジングの約10Kgと
いう重量に抑え込まれて、小さなビスは新素材キーにめり込むだけかもしれな
いと思いながら、私は愛用の工具を使って慎重にビスを締めて行きました。

手先の感触を頼りに、あまり強く締めすぎないように、柔らかいものに当たった
かな〜というところで手応えを感じる程度にしておき試聴することに…。

「えっ!!何なんだ、この変わりようは!!全く今までと違うじゃないか!!」

簡単に言えば再生音そのものが暗くなってしまいました。ステージの照明を
すーと絞ったように演奏全体が暗くなり、解像度も高域の伸びやかさも音像の
明確さも全ての項目で文字通りのトーンダウンです。これには驚きました!!

新素材キーがハウジングに圧着されたのか接触面積が増えたのか、はたまた
閉め込んだビスがキーにもぐりこんでしまったのか、見えないので解りませんが
とにかく音質的には全然魅力のない音に急変してしまいました。ダメです。

そして、更に驚くべきことが起こりました。課題曲の最後まで聴くまでもない
逆行とも言える音質変化を確認し、やはり先程の状態に戻さなくてはという
ことで、ビスを緩めてキーとの接触を解除したのです。そして再度聴きます。

「あれ! ダメだね。暗いままで明るさが元に戻っていないよ!」

上記のハウジングの裏側の写真でも見られるように、職人技で精密に削られた
キーは溝との間には殆んど隙間がない状態だったのです。それを横方法の力を
加えて少しずらしただけなのにビスを緩めても先程の音質に戻りません。

そこで私がやったのことは…。原始的ですが二つのハウジングを両手で挟み
左右に動かしてみてキーとの接触具合を初期化してみました。そうすると…、
面白いですね〜、これで先程の元通りの素晴らしい音質に見事に戻りました!!

念のために二つのハウジングをいったん取り外して再度組み立て、音質を確認し
安心したところで、次なる関心事が私の頭に浮かびました。

この穴の中に入っている小さなビスを緩めてしまったのだから、もしかしたら
共振しているかもしれない…。そこで思い切ってビスを取り出してしまおうと
思い付きました。

トゥイーター・ハウジングのビスとはこんなものでした。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key10.jpg

ミッドレンジ・ハウジングにはこんな長いビスが仕込まれていました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key11.jpg

両者のビスを取り出してみるとこんな感じです。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141120-ccs.key12.jpg

これらのビスの先端が新素材キーに押し当てられただけで激変したのですから、
余分なものとして取り除いてしまえば更に良くなる可能性があるのでは…。
何度目になるか分からないくらいに繰り返した課題曲を再度かけてみると。

「あっ、これは微妙だ…。でも良くなってる!!微妙だが、でも安心出来ると
 いう事で精神安定上良い感触の音質ということで、これで行きましょう!」

という結論に達しました。MODEL-CCSとはここまで敏感でありデリケートな
スピーカーだという事で感動しました。そして、大変勉強になりました。

今までと違う更に純度の高い音質が得られたという大きな収穫がありました。
素晴らしいです!!

HIRO Acoustic LaboratoryとH.A.L.、つまりHi-End Audio Laboratoryの
共通項は正にこのような音質追求姿勢にあるわけです。それを象徴する一言!!

「現在のMODEL-CCSは壮大な試作なんです…」

いいですね〜、それこそLaboratoryではありませんか!!
HIROとH.A.L.の共同開発によってMODEL-CCSには益々磨きがかかりました!!

そして、更にその先の実験課題をこの日に仕込みました。この成果を出すには
少し時間がかかりますが続報にご期待下さい。そして、聴きにいらして下さい!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「第38回マラソン試聴会の企画内容が次第に見えてきました!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1167.html

毎年のマラソン試聴会では私がオオトリ、アンカーを務めるのですが、最も
大型で高価なシステムで、あのステージにふさわしい音量で演奏してきました。

ところが、今回のラストは幅24センチ、奥行き45センチ、高さは117センチと
いうコンパクトなスピーカーを皆様にお聴かせしようと思っています!!

ぜひぜひご来場下さい。皆様に新しい音、未体験の音を味わって頂きましょう!!

■マラソン試聴会でお聴かせする音は新しい実験課題で検証した状態のものと
 なりますので、この先の変化にもぜひご期待下さい!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.co.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!


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