第五十話「Made in Japanの逆襲」


4.「踊りの情景に見られる遠近法」

さあ、もう少し「くるみ割り人形」を聴き進めることにしよう。
4トラック目の「ギャロップと両親の踊り」次の「踊りの情景-ドロッセルマイヤーの贈り物」6トラック目の「情景-グロスファターの踊り」と軽快なリズムと弾むような木管楽器の旋律、それに絡むヴァイオリンの激しいアルコの切り替えし、先ほどまでのピチカートから一転してアルコによるコントラバスの重厚な響き、そしてタンバリンの連打が気持ちよく空間を突き抜けていく。

「いやはや、奥行き方向に向かっての楽音のレイヤーがこんなにも見晴らせるとは。」

幾重にも重なって織り成すオーケストラの躍動感が押し寄せてくるようだ。
そして、この演奏を聴きながら、患者に繰り返した問診を思い出す医者のように、先ほど言いかけた
ユーザーからの質問に対する返答を頭の中で呼び起こしていた。
「川又さん、うちのシステムではどうも平面的な音なんですよ。そして低域に力感もないし、高域はちょっと鋭くて演奏が単調に聞こえて一本調子…、こんな感覚わかります??」
そして、その原因を探るべく私はお客様のシステム構成を一つずつ聞きだしていくと・・・。
CDプレーヤーからアッテネーターを使ってパワーアンプ直結。あるいはD/Aコンバーターのデジタルボリュームを使ってパワーアンプに直結。 こんな"症例"がいつも共通することなので"治療"の方法も心得ているものなのである。
単純だが実際にアッテネーターを使用するかD/Aコンバーターからパワーアンプに直結するか、 そのどちらかと私が推奨するプリアンプを使って同じパワーアンプを鳴らして比較してもらうのである。
面白いことに、同じパワーアンプとスピーカーを使いながらも、プリアンプを使って演奏を開始した途端にお客様の顔が明るくなり笑顔を浮かべるのが常である。
さて、ここで澤田氏に顔を向けると・・・。
川又:
 「私は長年の経験からプリアンプの仕事は音量調整だけではないと思っていますが、このSC-7S1は
 私がプリアンプに求めていることを理想的に実現してくれていると思います。
 さて、作る側の立場から見てプリアンプに要求したポイントとは何でしょうか?」
澤田:
 「デジタルソース主体におけるプリアンプの役割は、もはや一般的な概念の増幅器ではありません。
 なぜならD/Aコンバーターの出力レベルは、低いものでも2V、プロ機では8Vに及ぶものもあります。
 それに対してパワーアンプの入力は、ほとんどが1V〜2Vで定格出力となります。
 つまり現代のプリアンプは、電圧的には減衰器として使われているのです。
 それではパッシブ・アッテネーターで用が足りるのか?
 パッシブ・アッテネーターは、ボリューム機能のみの極めてシンプルな構成です。
 しかし入力インピーダンスをあまり低くすることはできないため(10kΩが限度)、接続ケーブルを長くし
 たり、レコーディング出力を使用したり、複数の入力機器を接続したりすると、性能を維持できません。
  それでは現代のプリアンプに必用なものはなにか。電圧増幅のみでなく電流増幅を行って、
 充分インピーダンスを下げ、いかなる状況(負荷の状態=接続ケーブルの状況、ボリュームの位置で変化)
 でもS/Nを確保しつつパワーアンプをしっかりドライブすることです。」
川又:
 「なるほど…、わかりやすいように言い換えると最後のパワーアンプをしっかりドライブするというこの
 一言につきるわけですね。事実アッテネーターにはそのような仕事は出来ませんものね。
 ただ単に電圧をコントロールするだけでバッファの役目は果たしていないし、D/Aコンバーターの出力についても同じことが言えます。つまり音量調整が出来るだけ…、ですね。」
川又:
 「それでは、ちょっと各論に踏み込んでいきましょうか。
 主題は、“いかにしてパワーアンプをドライブするのか”というこのポイントに関して『SC-7S1』
 構成を教えてください。」
澤田:
 「わかりました。どの辺からお話しましょうか?」
川又:
 「そうですね、今までの論点となってきたポイントで、先ずクロストーク(チャンネル・セパレーション)に
 関係してくるところでしょうか。どちらかというとプリアンプの前段というか入力部から教えてください。」


写真 9:
8連リニアボリューム・コントロールAssy.
澤田:
 「そうですね。まず入力部から・・・。シグナルパス
 (信号経路)の近接、交錯し易い入力部及び入力
 セレクター部では容量性結合が問題となり、
 それは回路インピーダンスに反比例します。
 入力バッファーでまずインピーダンスを充分下げ、
 その後入力セレクター部へ送ります。
 バランス入力に対しては初段でインピーダンス
 変換、アンバランス入力については
 初段でインピーダンス変換とともに
 次段でバランス変換します。これによって
 回路インピーダンスを下げクロストークの劣化
 を防ぎます。」
川又:
 「なるほど。入力回路からインプットセレクターへというところでは主にインピーダンスの管理が重要
 ということですね。SC-7S1はフルバランス伝送と聞いていますが、そうするとチャンネルセパレー
 ションについては当然ボリュームコントロールの回路もかかわってきますね。」
澤田:
 「はい、その通りです。高精度、低歪み、高S/N、高安定度で、リンク動作、トリム調整可能な
 ボリュームを目指しました。アナログボリュームでは、上記の性能を得ることは極めて困難です。
 また従来の電子ボリュームでは、音質的に満足できるものがありませんでした。一部の高級アンプに
 使われているDACボリュームは、ラダー型DAC内部の重み付け抵抗を利用するものですが、回路
 インピーダンスを充分低くすることができません。私たちは新しく英Wolfson Micro Electronics社
 の高性能、高精度ステレオデジタルボリュームコントロール・モジュールを採用しました。
 SC-7S1ではフルバランス構成とするために、このステレオモジュールを+-用にチャンネル毎に
 1個用い、クロストークに対してさらに有利にしています。このモジュールの特長はアンプと
 組み合わせてゲインボリューム(可変ゲインアンプ)を構成するもので、デジタルコントロールで
 入力抵抗とNF抵抗の二つの高精度抵抗のみを切り替え、組み合わせるアンプはメーカーが任意に
 設計することができます。つまりクオリティーは組み合わせるアンプ次第ということです。
 音量は-100dB〜0dBまで0.5dBステップでリニアにコントロールできます。
 マランツでは、このアンプのために開発したHDAM-SAアンプモジュールを使用する電流帰還型アンプ
 を組み合わせ、最高性能を狙いました。」
川又:
 「そうですか、やはりそこまでやっていましたか。
 このボリュームコントロールの後が次の論点である"パワーアンプをドライブする"という核心に入って
 いくわけですね。さて、そこで気になるポイントが電流増幅を応用してインピーダンスを低下させる
 というところです。この辺の具体的なところを教えて下さい。」
澤田:
 「わかりました。これは電流帰還型アンプを構成しているということです。
 ハイスピード、ローノイズで安定度の高い電流帰還型アンプ回路を採用しました。
 電流帰還型回路は、もともと取り扱い周波数の高い映像アンプに用いられてきたものです。
 これをオーディオアンプに用いると、ハイスピードで情報量の極めて多い優れたアンプが実現でき
 ます。しかし、電流帰還(通常は電圧帰還)ということは、帰還インピーダンスが大変低いということ
 で、そのままではアンプ入力とサミング(合成)することができません。従って優れたバッファーアンプ
 が必須です。また上記ボリュームモジュールと組み合わせてゲインアンプを構成するためには、
 V-I(電圧−電流)変換回路が必用です。さらに充分低いインピーダンスでパワーアンプを駆動する
 ためには、出力バッファーも加える必用があります。これら3つのステージのユニットアンプに、
 新に開発したHDAM-SAを使用しました。フルバランス(+側と-側)のステレオ構成ですから
 3個x4回路、つまりSC-7S1ではトータルで12個のHDAM-SAを使用しています。」


写真 10:
HDAM-SA・モジュール
川又:
 「さて、ここでオリジナルの専門用語が出てきましたね。
 HDAM-SAとは何でしょうか?」
澤田:
 「ご説明が遅くなってしまいましたね。DIGITAL Audioの普及に
 伴って、マランツが1992年に開発したディスクリートアンプ
 モジュールを、高速電圧アンプモジュール
 HDAM(Hyper Dynamic Amp.Module)と命名しました。
 デジタルオーディオ環境では、アナログ時代にはなかった
 クロックをはじめとする、高い周波数のデジタルノイズに
 強くなければなりません。それにはアンプユニットをできるだけ
 小さくして、ノイズのアンテナとなる回路面積を減らすことが有効です。
 オーディオ用高性能OPアンプはこの点有利で、内外のハイエンドアンプにも多数使われています。
 しかし既成のOPアンプICでは設計の自由度が制約されます。そこでディスクリート構成によるアンプ
 ユニットをモジュール化して、小さくまとめたものを考えました。これがHDAMです。
 弊社の通信機技術で培った表面実装や多層基板に対する技術が活されています。
 このような考え方は、古くは1970年代にマーク・レビンソン(ジョン・カールによるJCモジュール)が採用
 していましたが、デジタルオーディオ時代になって活きることになったのです。
 同様のものは、ゴールドムンドなどにもみられます。」
川又:
 「あ〜、あれですか!!私にわかりやすい例えをして頂いて恐縮です。確かにマークレビンソンのLNP-2L
 やML-1L、そしてML-6ALなどの時代はモジュールを多用していましたね。そして、ゴールドムンドでも
 A1からA2、A20、そして近年のJOBへとサーキットモジュールの進化がそのまま製品の世代代わりに
 反映されてきたものでした。そうですか、マランツも同様なことをやっておられたんですか!?
 いや、これは失礼致しました(笑)」
澤田:
 「いえいえ、そのような技術の裏づけを皆さんに克明に紹介してこなかった私たちにも問題があった
 のでしょう。さて、マランツのHDAMにはチップパーツを用いたもの、ノーマルパーツのもの、2層基板、
 4層基板、鉄カバー、銅カバー、金メッキカバー、オフセット調整を持ったものなど、現在いろいろな
 バリエーションがあります。しかし基本的な回路構成と性能は同じで、ミドルゲイン、ローノイズ、
 ハイスピードのフォールデッド・カスコード構成1段アンプです。オーディオ用OPアンプが一般的に
 2段構成で、オープンループゲイン100dB以上、スルーレート5〜20V/μsecなのに対して、HDAMでは
 オープンループゲイン70dB、スルーレート80V/μsecくらいです。これはHDAMが、オーディオ回路の
 どの部分にも(仕上がりゲイン40dBのフォノイコライザーから、ゲイン0dBの出力バッファーまで)使用
 できるように設計されているからです。」
川又:
 「なるほど、モジュール化の流れはわかりました。
 さて、それを今回のSC-7S1では新しいHDAM-SAの開発ということになったのですか?」
澤田:
 「はい、そうなんです。近年マランツでは、より高性能のオーディオ回路を目的として電流帰還回路を
 多用してきました。前に述べたようにすばらしい性能の回路ですが、電流帰還ゆえの入力バッファー
 が必要です。そこで今回、電流帰還回路専用に電圧ゲイン0dBのHDAM-SAを開発したのです。
 ダイヤモンドカスコード・コンプリメンタリーバッファー回路のHDAM-SAは、非常に高速でスルーレート
 の正確な測定ができません。
 (オーディオ用信号発生器の測定信号のスルーレート約200V/μsecより高速のため)このHDAM-SAは
 ゲイン0dBで使用できる出力バッファーに用いても大変効果的です。」
川又:


写真 11:
電源部パーツ
 「なるほど、ネルソン・パスが設計するPASSなどはディス
 クリート構成で高価なキャパシターなどがずらっと並んで
 壮観なものですが、中には金ぴかのケースにモジュール
 を入れて高級感を演出しているようなこともあるでしょうね。
 マランツのモジュールはケースにもこだわりがあるんです
 か?」
澤田:
 「はい、これまでのHDAMにはシールド効果を狙って
 金属製カバーを使用してきました。しかし、アンプ回路に
 近接して金属(導体)が存在すると音質的に影響がある
 ことは経験的に知られています。
 (トップカバーを外すと空間表現が豊かになるなど。
 そういえば新しいゴールドムンドはアクリルカバーになって
 いましたね。)今回のセパレートアンプでは、ほぼ完全に
 ノイズフリーな環境を作ることができたため、電気的には存在しないのと等しいクリアー・スモークの
 ポリカーボネートカバーを採用しました。これはデザイン上の理由ではありません。音の伸びやかさ、
 空間再現性の向上を狙ったものです。」
川又:
 「そうですか、モジュールのケース自体にも音質的なこだわりがあるとは思ってもいませんでした。
 今更ながらに頭が下がります(笑)。さて、外観でアンプの能力を誇示するものに電源部の大きさや
 豪勢さがありますが、今までの開発目標に対してマランツが搭載した電源部にはどのようなこだわり
 があるんですか?」


写真 12:
チョークインプット・トランス
澤田:
 「いや、実は次にそれを話そうと思っていたところなんですよ(笑)。
 SC-7S1では、電源トランスにスーパーリング・トロイダル
 トランスを、整流回路にはすべてローノイズのショットキー
 バリア・ダイオードを、また平滑回路にはチョークインプット
 方式を採用しました。外観が"りんご状"のスーパーリング・
 トロイダルトランスは、コア断面が楕円形なので巻線の
 密着性が良く、リーケージフラックスの少ない・・・
 (ノイズ源となりにくい)優秀な電源トランスです。
 ショットキーバリア・ダイオードは、応答速度が極めて早く
 ノイズの少ない理想的なダイオードですが、耐圧が低いのが
 難点でした。近年オーディオ機器にも使用できる耐圧のもの
 が開発され、オーディオ機器の音質向上に大きく寄与して
 います。
 SC-7S1では全ての整流ダイオードにこれを採用しました。
 チョークインプット方式平滑回路は、通常のコンデンサーインプット方式に比べ、電源のリップル(脈流)
 成分がほぼ正弦波で、音質的に有害な高調波成分を含みません。また、チョークのインダクタンス分
 が、電源一次(電源コンセント)からのノイズ流入を制限します。このようにスペックのみでなく聴感的
 にもS/Nを追求した電源構成を、コストをかえりみずに採用しました。」
川又:
 「コストをかえりみずにですか・・・!? 道理で仕入れが高いわけですね(爆笑)でも付属の電源ケーブル
 にはそんなにコストかけてませんね〜(大笑)」
澤田:
 「・・・いや〜、それについては実は、付属の電源ケーブルは電気用品安全法に適合したものしか
 付属することができません。これは弊社が同法の認可工場だからです。いちおうOFCを使用して
 いますが、動作確認のための便宜的なグレードとお考えになって、高性能の電源ケーブルに取り替え
 られることをお勧めします。」
川又:
 「はい、申し訳ないのですが私は付属品の電源ケーブルは使いません。
 ご覧のようにすべてDOMINUSを使っているので・・・」
澤田:
 「もちろん、川又さんのお見立てで当社の製品が素晴らしく演奏されているのですから私としても
 大歓迎の処遇ですよ。弊社の電源インレットには2ピンタイプを採用しています。アース付きの3ピン
 タイプを採用しない理由はこういうことなんです。アースピンを付けた場合、パワータップのアースバー
 を介してそこから電源をとっている全ての機器のアースが結合されます。つまり信号系以外にもう一つ
 のアースラインができるわけで、これはとりもなおさずアースループを形成し、ハム、バズなどノイズ
 トラブルの原因になります。コンセントのアースが確実にとられていれば3ピンタイプは理想的なのです
 が、一般の家庭や集合住宅ではほとんど期待できません。弊社も初期のセットでは3ピンタイプを採用
 していましたが、ノイズトラブルがあまりに多いので2ピンタイプに変更しました。海外製やガレージ
 メーカーのものには3ピンタイプを使用しているものがありますが、実際にはアースピンの配線をして
 いないものも多くみられます。これは上記の私どもと同じ理由によるものと思われます。但し弊社は、
 先にもご説明したとおり電気用品安全法に基づく認可工場ですから、3ピンタイプを採用した場合
 アースピンの配線を必ず行なうことを義務づけられており、したがって2ピンタイプを採用することにした
 のです。市販の電源ケーブルはほとんど3ピンタイプです。これを2ピンタイプのインレットをもつセットに
 使用したらどうなるのか?全く問題ありません。そのうえ接続されないアースワイヤーはノイズドレイン
 としても働きますから全くムダではないのです。安心してご使用下さい。」
川又:
 「ご親切な解説ありがとうございます。ユーザー皆さんに伝えたいことですね。
 さて、そのようなこだわりをもう少し細かいところで探していくと何かありますか?」
澤田:
 「もちろん、まだまだありますよ。例えば録音出力・・・」
川又:
 「えっ、ちょっと待ってくださいよ!!RECOUTが音質に関係あるんですか?」
澤田:
 「付帯的な回路と思われがちですがこれに充分な配慮がないと、録音機器を接続したとき予想外の
 音質劣化を招きます。
 レコーディング出力には専用出力バッファーを設け、録音機器の影響を遮断しました。」
川又:
 「へ〜、そうなんですか!!気がつかないだけで本当は悪さをしていたんですね。
 と、いうことは多機能になればなるほどチェックポイントが増えてくるわけですね。機能的なことを
 言えば、今まだになかったリンク機構がありますが・・・」
澤田:
 「バイアンプ、コンプリート・バイアンプ、マルチチャンネルなど複数台同時使用を考慮した連動機能
 を考えました。リモートコントロールバスにはセット間のグランドループを避けるため、特別に専用の
 フローティング・コントロールバスを開発しました。双方向通信で複数(最大6台)のコントロールアンプ
 をシンクロ・コントロール可能です。また、各チャンネルでのトリムレベル(+/-6dB,0.5dBステップ)を
 リモコンで設定が可能なため、マルチチャンネルシステムでは大変便利です。
 このトリムコントロールは回路的にボリュームがもう一個増えるわけではなく、演算のみで行われる
 ため音質劣化がありません。さらにコンプリート・バイアンプで使用するための、バイアンプ・スイッチ
 (モノモード)を装備しています。」
川又:
 「なるほど安心しました。それらの機能を表示するためのディスプレーもありますが・・・」
澤田:
 「セット中央に丸いディスプレイウィンドウを持ち、青い照明の中、赤い7セグのカウンターで、
 フルゲイン(+12dB)からの減衰量を表示します。このディスプレーは全てノイズの発生が最小の、
 LEDのスタティック点燈で行っています。これも聴感上のS/N改善策のひとつです。」
川又:
 「考えてますね〜、すきがないですね。ボディーについてはどうですか?」
澤田:
 「フロント/サイド/トップカバーに充分な厚さのアルミ材を使用、ボトムシャーシには3.2mm厚鋼板を
 用い筐て体を支えます。内部シャーシには高周波ノイズに有効な銅メッキを施しました。トップカバー
 センターのスリットは放熱のためでなく音質上の理由です。セットを支える脚は銅ブロックの削り出し
 です。」
川又:
 「えっ、トップパネルのスリットは放熱が目的ではなかったんですか?
 まあ、私が常にリファレンスとして使っているP-0sのトップグラスも同様に機能やデザインではなく、
 音質で選択して採用したという話しを聞いています。それは素直に認めるところですね。
 さて、曲を進めていいですか?」
澤田:
 「どうぞどうぞ・・・(笑)」