第五十話「Made in Japanの逆襲」


5.「くるみ割り人形の戦いにおける瞬発力の分析」

 たった二幕で構成される「くるみ割り人形」だが、一幕の終盤に次第に近づいてくるのがこのディスクでは6トラックあたりからだろうか。 「クララとくるみ割り人形」では冒頭の静かな深夜の情景描写から次第にシンフォニックな雄大な演奏に移っていく。
今まで木管楽器が印象的であったが、俄然金管楽器群の咆哮が右チャンネルの奥から響いてくる。
チューバだと思うのだが、バリバリという感じの勢いのいい演奏が心地よく感じられるのが不思議だ。
そして、同時にティンパニなどのパーカッションもS800の高速反応するウーファーから叩き出され、高波が押し寄せるような音圧が爽快に空間を駆け回っていく。
次の「くるみ割り人形とねずみの王様の戦い」では、左後方からピストルの音が何とも高速で立ち上がり、その響きにフェストシュピールハウスの室内が、 あたかも照明弾で照らされたようにエコーの反射でホールの空間の大きさを数瞬のあいだ目の当たりにしたような錯覚におちいる。
これらのあらゆる音階における多数の楽器群の重厚であり緻密な再現性は、果たしてプリアンプの貢献だけで実現するものであろうか? いや、それはありえない。パワーアンプの存在感が次第にその威力を私に伝えてきたことを遅ればせながら実感させられる演奏が始まったのだ。
川又:
「私もこれまでに数多くのパワーアンプを聴いてきましたが、今ここで繰り広げられた演奏は正直に言って一台65万円という既成概念を完全に突き崩すものでした。 プリアンプ同様に、そこには開発テーマがあったと思いますが、その辺はどうですか?」
澤田:
「パワーアンプの役割は、いかに入力信号のとおりにスピーカーをドライブするかということに尽きます。
かつて理想のアンプを指す" Straight Wire with Gain "という言葉がありましたが、ドライブする相手が8Ωの純抵抗であれば難なく達成できます。 しかしスピーカーはご承知のように純抵抗ではなく、周波数によって複雑なインピーダンスカーブをもちます。 単にインピーダンスの絶対値(高い=アンプの負担が軽い、低い=アンプの負担が重い)だけではなく、 リアクタンス分(主にボイスコイルのインダクタンス分やクロスオーバー・ネットワークのコイル、コンデンサーによる)が電流の位相を変化させ、 アンプのドライブ力を空振りの状態にします。さらにスピーカーは発電機でもありますから、動作に応じてアンプに逆起電力を返しています。
例えばアポジー・アコースティックの純リボンタイプスピーカーのように、インピーダンスは極めて低いが純抵抗に近く、能率が低い=発電効率が低い=逆起電力が少ないタイプでは、 これに対応するアンプの設計(電源電圧を押さえたハイカレントアンプ)はさして困難ではありません。 また、マーチンローガン等のコンデンサースピーカーのように、高域に向かってインピーダンスが下がっていくタイプに対しても対処は可能です。
問題はインピーダンスがそんなに低いわけではないが能率が十分あり、周波数帯域が広く、耐入力の大きな現代Hi-Fiスピーカーで、 その代表例としてB&W Signature 800 があげられます。駆動力の大きな巨大な磁気回路は、そのまま逆起電力の大きさにつながります。 極めて損失の少ないコンデンサーは、アンプにとって過酷なリアクタンス負荷となります。このような一筋縄ではいかない相手をいかに思うように動かすか。
Signature 800を制することができれば他のスピーカーも制する。それが今回の開発テーマでした。」
川又:
「なるほど、でもメーカーとしてもディステリビューターとしてもB&Wとは良好な関係を実際の商品開発で構築できたということですね。
私の取引先には御社同様に輸入元でありながら国産コンポーネントを作っている会社がありますが、 輸入製品と自社製品をコラボレーションして日本のユーザーに提案できる会社は本当に少ないものです。」
澤田:
「B&Wのテクニカル担当でもある私は、B&Wスピーカーのフィロソフィー、テクノロジー、そして彼らの評価環境などを熟知しています。
昨年 Signature 800の1st.サンプルが届き、それを評価分析した時は驚きました。最先端のテクノロジーを用いたすばらしいスピーカーであるとともに、 他のオーディオ機器に対してかつてない厳しさを併せ持っていたからです。
ほとんどのオーディオメーカーは例えばスピーカーを開発する時に、その時点で評価の高い、 あるいは組み合わされると思われるアンプやデジタルプレーヤー、そして市販されている音楽ソースの中からリファレンスを選んで使用します。
B&Wの場合は、他の機器のポテンシャルに合わせようなどとは全く考えず、臆することなくスピーカーのあるべき姿を追求します。
発売時点ではあまりに突出した存在であっても、必ずや認められ他の機器が追いついてくることを確信しているかのようです。 これは彼らが音楽制作の現場と密着していることも大きいと思います。」
川又:
「そうですね、B&Wが世界各国のスタジオモニターに採用され、音楽制作の現場で実績を付けながらコンシュマーに対して信頼性を高めてきた過程を知っているだけにわかります。 でも、そういう意味ではSignature 800という課題の大きさも実感されますね。」
澤田:
「さて、私が Signature 800 の1st.サンプルを測定評価したあと、B&Wとしてはどういうアンプを想定しているのか、 またこのスピーカーをドライブするのにどのようなファクターが必用なのかを問い合わせました。回答は、「アンプの最大出力は必要とするラウドネス(音量)による。 しかし、ラウドネスに関係なくこのスピーカーをきちんと制動するには、パワーアンプが100A(アンペア)以上の瞬時電流供給能力を有することが望ましい。」ということでした。
ちなみにマランツのステレオパワーアンプSM-5/Ver.2(\520,000)はBTL接続でモノラル動作にした時(パワースペック400W/8Ω、700W/4Ω:参考) の最大瞬時供給電流のピーク値は50Aです。
B&Wの常設のアンプシステムは、低域側マークレビンソンNo.33と中高域側クレル350の各モノラルアンプによるバイアンプドライブです。 これらのアンプの電源は年中入れっぱなしです。
1kWを超える耐入力のスピーカーを評価するためですから、必用なドライブ力だと思います。加えて、もっとスピードが欲しいとは言っていました。 ボイシング(音質検討)そのものは、アビーロードをはじめとするスタジオで主に行っているようです。ということで目標は決まりました。
理想はマークレビンソンNo.33の平押しのパワーと、ゴールドムンドのスピードを併せ持つアンプです。 マランツの新パワーアンプのボディサイズは決まっていました。電源や放熱器のサイズから安全規格に適合できるのは最大容量1kVA程度です。 これをフルに使いたいのでモノラル構成としました。
もちろん最大瞬時供給電流は100Aがターゲットです。」
川又:
「いや、ターゲットを決めるのは簡単ですが、それって大変なことじゃないですか!?
私はこれまでにも錚々たるハイエンドスピーカーの設計者たちから話しを聞き、彼らの作品を手元で鳴らしこんできました。 その中で定説となりつつある考えが"ミッドレンジとトゥイーターは電圧駆動できる。しかしウーファーはれっきとした電流駆動の領域である"という理論でした。
スピーカーの設計者がドライブアンプに求めるものは、もはやカタログに古くから記載されている出力の数字だけではないということですね。
さて、それでは全段バランス構成のモノパワーアンプSM-9S1の各部についてお話し下さい。
パワーアンプは電圧増幅部の前段と電力増幅部の出力段に大きく二分されるわけですが・・・」
澤田:
「ゲイン23dBのボルテージアンプ(電圧増幅部)と、ゲイン6dBのパワーバッファーアンプ(電力増幅部)を分離独立させた2ブロック構成です。 これは逆起電力による影響が感度の高い初段に及ばないように、アンプループを分けたからです。
パワーバッファーアンプをゲイン0dBにすれば理想的ですが、それではプリメインアンプにパワーバッファーアンプを加えたようになりスマートではありません。 従って上記のゲイン配分としました。これもマランツでは初めての試みです。 Nautilus 801が登場したときからこのアイデアは持っていましたが、やっと実現することができました。」
川又:
「なるほど、大口径のN801という教訓によってパワーアンプのブロック構成に明確な"仕事量"の違いを設定したということは賢明なことですね。
他社では出力段のウェイトがどうしても大きくなっているようですから。 でも、先ほど事例に上がっていたB&Wが使用しているNo.33は高精度なジェネレーターを内蔵した独自の電源部をボルテージアンプに搭載していて、 大型の割には緻密な電圧増幅をしていますよ。そして・・・?」


写真 13:
ボルテージアンプ

澤田:
「内容はフルバランス構成ゲイン23dBの電流帰還型アンプです。初段にはアンプ専用に開発した、DCオフセット調整のできるデュアルFET入力のアジャスタブルHDAMを使用。 次段と出力バッファーには、前述の高速電流アンプモジュールHDAM-SAを使用しています。
パワーバッファーアンプを高速、高安定度で強力にバランスドライブします。 フルバランス構成ではありますが、アンバランス入力でも不利益はありません。」
川又:
「なるほど、ここでもプリアンプ同様にモジュール化された回路によってハイスピードを実現しているということですね。
さて、カタログ上ではパワーバッファーアンプという表現をしていますが、 従来パワーステージ(電力増幅段)と言っていたものから違う表現をし始めたということは何かノウハウがありそうですね。」


写真 14:
パワーバッファーアンプ

澤田:
「パワーバッファーアンプとはフルバランス構成ゲイン6dBの電流帰還型パワーアンプです。
初段は高速のHDAM-SAで、出力段は電流増幅率の高い3段ダーリントン接続、ファイナルステージはPc=200Wの大型高速パワートランジスターのトリプルプッシュプルで、 これを+側−側それぞれに備えたバランスアンプ構成です。(パワートランジスターは合計12個)
スピーカードライブ電流のリターンがアースを流れない完全バランス型です。 アースは色々な電源のリターンが流れるいわば下水のようなものです。ここにスピーカードライブ電流のリターンを流すと共通インピーダンスを形成して音を汚す原因となります。」
川又:
「そうですね、バランス伝送のメリットをコモンモードからの外部干渉から逃れるという見方もされますが、 おっしゃるようにスピーカーが強敵になればなるほどリターンされる電流のドレインをうまく処理したいですね。いや、さすがに考えられていますね〜!!」
川又:
「さて、国によって安全基準の考え方が違うので海外製品はヒートシンクのデザインがパワーアンプのスタイルを象徴するように見受けられますが、 国産の場合にはヒートシンクを露出できないという規制もあったような・・・。」
澤田:
「そうですね。露出させてはいけないわけではありませんが、その場合やけどしないように低く温度設定する必要があります。 このアンプのために専用に起型した大型重量級( 7kg、容積5.7litter)のアルミ押し出しヒートシンクを使用し、シャーシ前方に配置しました。
押し出し材はダイキャスト材よりアルミの純度が高いため、放熱効率が良く、また響きがきれいです。
 モノラルアンプの場合、パワーブロックを左右に配置するよりも一つにまとめた方が、給電ループが小さく有利です。大電流に対応するため基板のパターンには箔厚70μのものを用い、 十分なパターン巾を確保しました。また給電部には、ネジ止め式の端子を用いて信頼性を向上させています。」


写真 15:
大型ケミコン

川又:
「なるほど、ヒートシンクはバイアス電流の流し方によって放熱の際の温度上昇に敏感に反応しますから、それも設計の特徴として感じられるものですね。
例えばクレルやマークレビンソン、パス・ラボのように十分にヒートアップしないと本領発揮しないものが多いですが、 このSM-9S1はつけっぱなしにしても温度上昇が本当に少ないですね。でも、先ほどのターゲットとされた最大瞬時供給電流100Aというと相当強力な電源部を必要とするでしょうね。 それが65万円というコストで実現されたのは驚きとしか言いようがありません。パワーアンプの花形としても電源部の秘密を知りたいところですが・・・。」
澤田:
「やっとそこに注目してくれましたか!!(笑)
電源トランスには、極めて大型のスーパーリングコア・トロイダルトランスを採用しました。 このトランスはあえて円筒形のケースに入れず裸で使用しました。これは同じ容積で圧倒的にレギュレーションの良い大きな容量のものが使えることと、 近接した導体(金属ケース)には誘起された渦電流が流れ、必ずしも音質的に有利とはいえないからです。 ブロックケミコンには、特別に箔倍率の低い高音質ケミコンを使用、純銅バンド、アルミブロックベースでしっかり固定しました。


写真 16:
電源部の主要パーツ
ノイズ対策として、全ての整流器にショットキーバリア・ダイオードを採用、またファイナルステージ以外(プリドライバー以前)のアンプ部に対する電源には、 SC-7S1と同じチョークインプット方式を採用しています。ファイナルステージ用給電ライン、アースライン、スピーカー出力ラインには、 新規で起番した導体断面積2.0mm2のOFC内部配線材を使用。ケミコン端子部には弊社のPAT.である純銅ノイズレスアースプレートを使用しています。」
川又:
「なるほど・・・感心してばかりですね。(笑)
さて、私は以前に中道仁朗氏が設計されたMRCのアンプを大変高く評価しました。 メカトロニクスをアンプ作りに応用したということが印象に残っていますが、その単純な事例として入力はアンプの頭頂部から取り入れ、 出力はボディーの下の方から取り出すという単純ですが、シグナルパスを短縮しながらアンプの筐体の剛性を高めるという手法に大変興味を持ったものです。 SM-9S1の35.8キロという重量はハイエンドアンプの中ではライト級と言えるくらいに軽量ですが・・・」
澤田:
「フロント/サイド/トップカバーに充分な厚さのアルミ材を使用、ボトムシャーシには3.2mm鋼板をダブルで用い筐体を支えます。 リアパネルのスピーカーターミナルマウント部には4m厚のアルミサブパネルを重ねて充分な強度を確保しました。 内部シャーシには高周波ノイズに有効な銅メッキを施しました。セットを支える脚は銅ブロックの削り出しです。
私は川又さんの分析と他社の設計方針に異論を唱えるつもりはありません。ただ十分な強度と剛性を求めたということが結論です。 そして、大切なことは、筐体設計はあくまで内部の電気的な要素に支えられて検討されるべきであろうと思います。例えば電源部について続きのお話しがあるのですが、 全ての電源の元である一次回路にも工夫を凝らしました。
電源はACケーブルからインレットソケットを経由してフロントパネル中央のパワースイッチをとおり、 再びリアパネル付近に戻ってヒューズをとおり、電源トランスにいたります。この内部配線ラインは往復で約1mにもなります。
ところで一般的に大型のパワーアンプや内部抵抗の低いトロイダルトランスを使用したプリメインアンプでは、 電源スイッチオン時のラッシュ電流によってヒューズや整流器が傷むのを防ぐために、ソフトスタート回路を備えています。 これは電源スイッチオン時には抵抗をとおって緩やかに電流が流れ込み、一定時間が経過するとリレーでこの抵抗をバイパスする回路です。 電源インピーダンスの極めて低いMA-9S1でも当然この回路を備えています。そこでせっかく電源一次ラインをリレーでコントロールするのですから、 ソフトスタート後インレットの入り口からヒューズをとおって最短距離で電源トランスに入るような回路としました。
この結果、パワースイッチを往復する約1mの内部配線がバイパスできたことになります。」
川又:
「そうだったんですか!?それはカタログには書いてなかったですね。(笑) でも、わかってきましたよ。
消費者心理に訴える重さや外見の重厚さよりも、合理化によって詰めていけばより良いものが出来るということですね。
さて、私はN801やS800を使って相当シビアなテストも行ってきました。その中ではパワーハンドリングの上限を超えてしまうときもあり、 パワーアンプがダウンしてしまったことも度々ありました。
さて、アンプ自身とスピーカーをプロテクトするという配慮はどうなっていますか? これはシグナルパスからの検出によって動作する部分ですから音質的には影響が大きいはずですが・・・」
澤田:
「今回のテーマである瞬時電流供給能力を飛躍的に向上させるために、超えなければならなかったハードルの一つです。
弊社では信頼性確保のため、定格出力時に出力をショートしても壊れてはならないという規定があります。大出力アンプでこの規定をクリアするのは大変です。 アンプは異常な電流が流れた時や出力にDCが検出された時、瞬時にスピーカー保護リレーが働くように設計されています。 しかしハイエンドオーディオが要求する瞬時大電流と異常電流の区別は限りなくつけにくいのが実態です。そこでほとんどのパワーアンプには出力電流制限回路が取り付けられています。 この回路は一定電流以上に出力電流が流れないようにバイアスを押え込むものですが、スパッとリニアに動作するわけではなく、あるところからリミッターがかかるような動作となります。
MA-9S1ではぎりぎりまでストレスのない吹き上がりを求めて(車みたいですね)この電流制限回路を外しました。 その代わり出力電流検出を全てのパワートランジスターに設け(通常はアンプブロックとしての検出です)、確実な保護を計りました。 いわばリミッターがなくなったので瞬時供給電流は飛躍的に増大しましたが、従来のような自動復帰式保護回路にするとスピーカー保護リレーが焼き付く恐れが出てきましたので、 保護回路が働いたら一旦電源を切って再投入する方式に変更しました。
その間、異常電流の原因となりそうなものをチェックしていただくためです。」
川又:
「わかりました、もしダウンしたら無理に叩き起こさないように私も気を付けます(笑)
さて、それではパワーアンプではほとんど問題にはならないのですが、機能面では何か配慮はありますか?」
澤田:
「はい、そうですね。
外見からもわかることですが、0、-3、-6、-9、-12、-∞ の6ステップアッテネーターを装備。 THX規格のパワーアンプと感度を合わせたい時などに便利です。また、対数圧縮した直読式のパワーメーターを装備しました。 このパワーアンプは全くストレスのない音なので、いくらでも音量を上げてしまいがちです。パワーメーターはスピーカーやアンプ自身のレッドゾーンの目安になります。 このパワーメーターのブルーの照明もノイズに配慮したLEDのスタティック点灯です。ホームシアターシステムなどの使用で照明が明るすぎる場合はオフすることもできます。」
川又:
「20数年前にはメーターのないパワーアンプは売れない・・・、と言うような国産メーカーのジンクスがあったのを思い出しました。(笑) 今とはオーディオの考え方も随分と変わってきましたね。 いい意味で“本物志向”が根付いてきたと思います。カッコよくても音質が評価されなければ、私は勧める気持ちもありませんからね。
 さて、それでは、最初にうかがったパワーアンプとしてのターゲットはどのようなレベルで達成されたのですか?」
澤田:
「実測でアンプ単体の瞬時供給電流のピーク値は、目標を大きく超えて150Aに達しました。
定格出力は300W/8Ω、600W/4Ωですが、これはかなり余裕を持った数字です。
弊社セパレートアンプSM-5/Ver.2のBTL接続(モノラルモード)での定格出力は400W/8Ωですが瞬時供給電流のピーク値は50Aですから、その3倍に相当します。 パワースペックは近くても、スピーカードライブ能力は全く違ってきます。尚、付属の電源ケーブルは前述のように一応OFCを使用していますが、 動作確認のための便宜的なグレードとお考えになって導体断面積5.0mm2以上の高性能の電源ケーブルに取り替えられることをお勧めします。」
表示値8Ω負荷時4Ω負荷時
0dB300W600W
-10dB30W60W
-20dB3W6W
-30dB0.3W0.6W
-40dB0.03W0.06W

川又:
「なんと、150Aですか!! いや驚きました。そして、数あるメーカーの中でも付属の電源ケーブルに関して、ここまであっさりと交換されることを推奨する担当者も珍しいものです。 しかし、その道のプロは自分の得意分野に関しては絶対の自信を持つと同時に、同じ業界であっても違う分野のプロフェッショナルに率直に敬意を示されているものとして 私は好意的に解釈しています。
そうなんですよ、ケーブルの世界にもスペシャリストはいますからね。(笑)
最後に、先ほどの説明でパワーメーターがありましたが、 これもカタログに載っていない話題としてメーター表示と出力“電力”の関係を教えていただけませんか?」
澤田:
「いいですよ、でもこれは言葉でというよりは、こうしましょうか。(笑)」