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発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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2026年1月29日 No.1849 H.A.L.'s One point impression & Hidden Story-MARTEN Coltrane Quintet Statement Edition- Vol.1 - |
■H.A.L.'s One point impression & Hidden Story-MARTEN Coltrane Quintet Statement Edition■
- Vol.1 -
2025年夏、下記企画による試聴は私にとって大いなる新発見と感動をもたらした。
H.A.L.'s SESSIONS 2025 - CH Precision & MARTEN Flagship System
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1811.html
CH Precisionのエレクトロニクスによるパフォーマンスが大きな要因である事は
否めないのだが、それをじっくりと分析評価するには多くの時間を要すると思われ、
後日の機会を待ちたいと考えるのですが、当フロアーの音響的環境において長らく
私のリファレンスとしてきたHIRO Acousticに比肩するスピーカーが表れたという
事が今回の最大の収穫であったと考えています。
MARTEN Coltrane Quintet Statement Edition(Piano Walnut finish)税別¥38,750,000.
https://zephyrn.com/marten-coltrane-quintet-speakers/
1998年にスウェーデンに設立されたMARTENの存在は当時から知っていましたが、
日本に輸入されるまでには結構な時間がかかっていたものでした。
現在の輸入元であるゼファンが設立されたのは2002年、ハルズサークルに初めて
MARTENというブランドが登場してきたのは2017年の事でした。
ダイナミックオーディオの他のフロアーでは当時からMARTENのスピーカーを展示して
いたのですが、2014年にHIRO Acousticが登場してから現在に至るまで当フロアーで
MARTENを取り上げてこなかったと言うのは残念な事だったかもしれません。
しかし、逆に言えばHIRO Acousticという存在があったればこそ、私が初めて聴いた
MARTENの音を冷静かつ正確に分析評価出来たのかもしれないと思います。
そして何よりMARTENというブランドで初めて聴いたスピーカーがColtrane Quintet SEで
あったからこそ、このブランドの開発力と技術力を高く評価出来たのかもしれません。
このColtrane Quintet SEが輸入されたのは昨年7月のこと。あるイベントで展示して
鳴らしてからは倉庫保管が続きバーンインも不十分であると輸入元担当者が言って
いましたが、8月上旬から当フロアーに展示して鳴らし込みを続け、次第に納得できる
音質になってきたものの、その第一印象は決して良いものではなかったのです。
H.A.L.'s SESSIONS 2025 - CH Precision & MARTEN Flagship System
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1811.html
(注:この記事中での製品価格は当時のものであり現在は価格改定されています)
最初の試聴システムに関しては上記にて公開していましたが、この段階では
CH PrecisionのD10やC10 Conductor full monoは入荷しておらず、後日のマラソン
試聴会にて私も初めて聴くことになったものであり、当初はC10 mono/Ethernet
Audio Streaming Boardにてストリーミング再生によって初めてColtrane Quintet
SEを聴き始めたものでした。
恒例の課題曲を数曲聴いただけで、先ずは量的に低域が出過ぎるという疑問点が噴出した。
同時に低域の質感についても切れが悪く、低音楽器の音像は捉えようがなく不鮮明。
低音打楽器は楽音の発祥から消滅までの過程において付帯音がまとわりつく印象。
CH Precision M10 Stereo Power Amplifier/2set(モノバイアンプ)税別¥43,600,000.
https://zephyrn.com/m10-stereo-power-amplifier/
この強力なパワーアンプをもってしても制御しきれていないという低域に愕然とする。
何故かと言えば同じCH PrecisionのコンポーネントでHIRO Acousticを鳴らした際には、
その駆動力と情報量の素晴らしさに感動し高く評価していたという思いがあるから。
私は過去にも同様な経験をしたことがあり、どんなに高価なスピーカーであっても、
納得できないものは評価せずノーコメントとして返品してしまったという事があった。
もちろんメーカー名は公表しないが、これ以上聴く価値がないと思ってしまうと、
どんなに美辞麗句を並べた解説資料を見せられても聴きたくなくなってしまうと
いうのが私の性格なのだから仕方ない。私は自分に嘘はつけない!
あ〜、MARTENもそうなのか!?と思いつつも、せめてアンプを換えてみようと思い当たり、
配線を変更しようとスピーカーの裏側に回ってみて発見したのがこのスイッチ!?
MARTEN Coltrane Quintet SEの入力端子の画像。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20251223153023.jpg
バイワイヤー接続の下側でウーファーの入力端子の下にあるノブは何だろうか!?
私が定休日の日に輸入元担当者がセットアップしてくれた状態で、そのまま聴き始めた
ものであり、このノブの存在など一言の説明もないままに試聴していたのでした。
上記画像のようにきれいなクロームメッキ仕上げで小さい文字は読みにくいのですが、
多分ウーファーのレベル調整だろうと思い何気なく回してみたら4クリック動くようだ。
後日になり撮影した画像を拡大すると確かに「BASS LEVEL」と書かれているが、
輸入元がデフォルトのポジションとしていたのが一番時計回りの最大値。
ダメ元の心境で4クリックで反時計回りの一番左の最小値にノブを回して同じ曲を聴くと…!?
「なんだこりゃぁ〜!まったく別物の低域じゃないか!」
前述していた低域に対する疑問点はあっけなく取り消し!逆に物凄い可能性を感じる低域に!
私はすぐさま輸入元担当者に電話して英文のままでいいからオーナーズマニュアルを
送ってほしいと依頼し、それを見ると次のような何ともあっけない説明がされているだけ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
Bass-adjustment
On the back of each Coltrane Quintet SE loudspeaker, you will find a dial that will
allow you to adjust the bass by 1 dB in four steps.
Rotating the knob clockwise increases the sensitivity, anc rotating it anti-clockwise
decreases the sensitivity.
直訳するとこんな感じ…
低音調整
Coltrane Quintet SEスピーカーの背面には、低音を1dBずつ4段階で調整できるダイヤルがあります。
ノブを時計回りに回すと感度が上がり、反時計回りに回すと感度が下がります。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
なになに…、たったこれだけ? おかしい! たった1dBの変化ではないぞ!
私は以前からアクティブウーファーにおけるチューニングを何度も経験した来たが、
この低域の変化は単純にウーファーのアッテネーターとしての変わり様ではない!
Coltrane Quintet SEのボトムを覗き込み手探りすると、後方に向けてシェープしている
底部に大きなバスレフポートの開口部があることが分かる。
Coltrane Quintet SEのウーファーの受け持ち帯域は170Hz以下だという事は公開されて
いるのだが、他のメーカーの3ウェイスピーカーでも大体バスレフポートの共振周波数は
20-50Hz付近の周波数に設定しているものが多い。
このバスレフボートの共振周波数はウーファーユニットのf0とインピーダンス特性、
キャビネット容積、ポート内部の空気の質量(体積1立方メートルあたり約1.2kg)などを
公式に算入して計算されるのですが、Coltrane Quintet SEの底面をのぞき、手で触れて
みたところ大口径のポートであることが分かる。
このサイズ感であれば共振周波数は25-30Hz程度に設定されているのではと推測し
問い合わせると、何と20Hzであると即答が返ってきた。
ここで肝心なことはウーファーのクロスオーバー周波数が170Hzという大変低い
周波数に設定されているという事であり、3ウェイスピーカー搭載のウーファーと
比べると半分以下の低い周波数です。
これは電気的な帯域分割の設計の話しだが、他のメーカーでは二個のウーファーの
バックキャビティーを独立させて異なる容積として機械的に動作帯域をずらしたり、
ポートチューニングを変えたりして、例えば3.5ウェイということで電気的帯域分割に
加えて機械的構造的なチューニングで、ダブルウーファーの各々に少しずらした帯域
での動作をさせるという事例もある。
もしや二個あるウーファーのバックキャビティーは独立していて、その内のウーファー
ひとつに対して何らかの操作をしているのかと考え、カットモデルの画像かイラストで
内部構造が分かる資料はないかと輸入元を通じて問い合わせるとこんな回答があった。
「Coltrane Quintetの低域調整のアッテネーターは厳密には1クリック0.8dBずつ
減衰し、これらは、60Hz-100Hzに影響を与えているようです。
設計者のLeif Olofssonは出張中だったため、ホテルにてCQの内部スケッチを
書いてくれました。ご参考になれば幸いです。」
現地メーカーMARTEN設計者の機敏な対応に感謝しつつ届いたスケッチは下記。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260104180606.jpg
なるほど、私が手探りしたバスレフポートのサイズ感とはこういう感じだった。
二個のウーファーのバックキャビティーはひとつで共有されていることが分かる。
という事は問題のノブによるチューニングは二個のウーファー両方に作用している
ということになるが、それでも私は納得できない!
単純に4クリックのアッテネーターであれば、170Hz以下の再生レベルが減衰する
だけという事になるのですが、どうも私の耳では他の変化要素もあるのではないかと
疑ってしまい、ここから輸入元を通じてのQ&Aが続くことになる。
先ず私からはMARTEN Coltrane Quintet SEを実際に聴いた経験から、次のような
質問を現地メーカーに問い合わせるように輸入元に投げてみたのです。
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ウーファーのレベル調整に関して「感度」が0.8dBずつ変わるというのですが、
それにしては私からすれば大きな変化なのです。
アッテネーションだけでなく、このノブのクリックによってウーファーのスロープ特性、
周波数特性なども変化させているのかも知りたいのでお教え下さい。
バスレフポートの共振周波数の数オクターブ上で発生する二次共振によって周波数
特性が変化するように、MARTENは4クリックのアッテネーターを含む共振回路を
構成しているのではないかという推測です。
これが現地メーカーからの「60Hz-100Hzに影響を与えている」というコメントに
つながるという事なので、単純な減衰だけではないと思ったからです。
もちろん、MARTENから「そんな複雑なことはやっていない」と言われれば、
私の取り越し苦労ということで一笑に付されてもかまいませんが、結論として
Coltrane Quintet SEの低域をチューニングした後の音質が素晴らしいという
評価をしているということをMARTENに伝えて問い合わせて欲しいのです。
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今まで多数の海外メーカーに対して輸入元を通じて様々な質問をしてきた経験が
ありますが、輸入元ゼファンとの信頼関係のなせる業なのかレスポンスが素晴らしい!
早速ゼファン担当者から次のような回答がきた。
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「まず、Leif Oloffsonより、Mr.Kawamataの知識が非常に豊富であり、そのような方に
Coltrane Quintet SEをお届けできるのはとても光栄ですとお伝えください、
とのことでした。
下記の返答内容をご確認ください。おおよそ川又店長の推論通りだと思いますが、
スイッチは両方のウーファーに作用しているようです。
■4ポジションつまみの回路構成とスイッチ
Coltrane Quintetは直列RCL回路をドライバーに対して並列に接続する方式で設計
されていて、レベルの切り替えは抵抗値を段階的に変化させることで実現しています。
■周波数特性への影響
上記でも述べましたが、直列RCLは最大設定を除き両方のウーファーに並列に
接続されているとのことです。最大設定はオープンサーキット状態。
Q値は60Hz〜120Hzの帯域に影響を与えるよう調整されており、特に80Hz〜90Hz付近を
中心とした共振点に作用します。また、Q値は主にインピーダンスカーブの同調
周波数以上の二次共振をターゲットにしており、そのピークを制御することで
システム全体の応答を整えているとのことです。」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
なるほど、やはりそうだったのか! ウーファーの調整によって全帯域の音質が変化
していたが、私の推測が的中したことを嬉しく思いました。
最大設定はオープンサーキット状態だということは、4クリックの一番右側の
ポジションでは二次共振を発生させる共振回路がパスされる、スルーされると
いう事で、低域特性の調整機能がキャンセルされるということか。
そこで数回に分けて複数項目の質問をしていきましたが、その都度の説明だと複雑に
なってしまうので、私の質問を次のように取りまとめて述べておくことにしました。
「Coltrane Quintet SEのシステム全体とインピーダンス特性とウーファーだけの
インピーダンス特性のグラフを頂けないか要請してみて下さい。
企業秘密であれば諦めますし、頂けるのであれば私が今後執筆したい
記事にて公開して良いかも問い合わせしてみて下さい。
4クリックのノブによる低域の周波数特性をグラフ化したものを作成して送って頂け
ないか要請して下さい。周波数ゲージは厳密なものでなくて良いので、彼らがどの
ようなカーブを狙って設計したのかという意図がわかるようなイメージで結構です。
次に、このような低域調整機能は同社の他のスピーカーにも採用しているのか?
あるいはColtrane Quintet SEだけなのか?
更にColtrane Quintet SEのシステム全体とインピーダンス特性とウーファー
だけのインピーダンス特性のグラフを頂けないか要請してみて下さい。
企業秘密であれば諦めますし、頂けるのであれば私が今後執筆したい
記事にて公開して良いかも問い合わせしてみて下さい。」
これに関しても輸入元より早速の回答があった。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「先ず、この低域調整機能はすべてのMINGUSおよびColtraneモデルに採用されています。
また、既にディスコンになった複数のモデルでも同様の設計を用いていました。
次にLeif Oloffsonより、低域調整ノブの設計について、「秘密というわけではない
がウェブサイト上ではすべての詳細を公開しない方針にしているだけですので、
Mr.Kawamataがお客様向けに仕組みをご説明いただくことに問題はございません。」
とのことでした。
特性グラフに関しては、計測資料を準備中ですので明日お送りできる予定とのことです。」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
MARTENからも複数回の回答がありましたが、これらも理解しやすいようにポイントのみ
取りまとめて説明していく事にします。
先ずは低域調整機能として電気的にクロスオーバーネットワークがどのような仕事をして
いるのか、という事に着目して紹介したいのがColtrane Quintet SEのウーファーのみの
インピーダンス特性です。下記をご覧下さい。
Coltrane Quintet SE/Bass Driver/Impedance
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260107164427.jpg
ウーファーユニットのf0に当たる12Hzあたりで約40Ωという上昇が見られるが、注目すべきは
34Hzあたりで43Ωというピークがあること。
ウーファーと並列に接続されたRCL回路はノッチフィルターとして機能させたいという
狙いが表れているものであり、バスレフポートの20Hzという共振周波数に対して電気的な
共振周波数を設定することで低域特性をコントロールしようとする匠の技が見られる。
ここで設計者のコメントを再度引用してみます。
「Q値は60Hz〜120Hzの帯域に影響を与えるよう調整されており、特に80Hz〜90Hz付近を
中心とした共振点に作用します。また、Q値は主にインピーダンスカーブの同調
周波数以上の二次共振をターゲットにしており、そのピークを制御することで
システム全体の応答を整えているとのことです。」
レスポンスカープのピークを示すQ値の表現で、インピーダンスのピークからオクターブ上の
周波数に対して音響的な共振周波数を設ける事が音質的にどう関わって来るのか、私が実際に
試聴しての音楽的な要素から後述したいと考えています。これは絶妙の技だったのです!
これを見ていたのならゼファンとしてもMARTENに問い合わせしていたら良かったのにと、
ゼファン担当者に言うと「残念ながら弊社としても初めて見たものであります」と即答あり。
ということはステレオサウンドや他のオーディオ雑誌とネットメディアでのMARTENスピーカーの
解説には、この低域再生に関する技術に関しては何も紹介されていなかったということか?
もとよりゼファンからMARTENに対して質問していなければ日本のメディアでは何も紹介されて
いなかったという事か。するとゼファン担当者から…
「世界初だと思います。そもそもこの視点をお持ちになった方は川又店長だけです。
世界のオーディオ誌にもなかったと思います。
日本の評論家にはこのような視点を持つ方はおりません。」
Coltrane Quintet SE/System/Impedance
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260107164450.jpg
ウーファーのインピーダンスは周波数の上昇と共にクロスオーバー周波数から急激に高く
なっているのは承知の上で、今度はシステム全体のインピーダンス特性を見るとこうなる。
クロスオーバー周波数は170/1000/6000Hzと二つのバンドパスフィルターを持ちながら、
各々のスロープ特性は6dB/octというファーストオーダーのフィルター設計により、
4ウェイの各ユニットの連携は極めて滑らかなインピーダンス特性となっている事に注目。
前述の4クリックのノブにまつわる電気的な仕掛けが、実際の音響出力に対してどんな
作用をしていくのか、そこを質問したら次なるデータが送られてきたのです。
Coltrane Quintet SE/Bass/Diagram
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260107172616.jpg
このグラフの横軸は周波数ですが縦軸の単位は記されていませんが、音圧レスポンスの
変化というイメージで考えて頂ければ良いと思います。
それにしても、スピーカーの開発設計の過程で多項目の測定をするのは通常の事ですが、
私の質問に対してわざわざ音響測定をしてくれたというのですから恐縮してしまいます。
このグラフの各線は次の特性です。
(赤)RCL回路を通らないノッチフィルターなしで4クリックの右回転での最大値
(黄)バスレフポート出力を至近距離で測定したもの
(白)は上記の(赤)と(黄)を合わせた場合の一定距離でのレスポンス
ただし、という注意として完全な無響室での測定ではないらしいので(私の質問のために
わざわざそこまではやっていないと推測)測定した部屋の影響が大きく反映されている
可能性があるということ。同時に計測者が計算した推測値も含まれるということでした。
ただ、私がColtrane Quintet SEの低域の素晴らしさを説明するには十分なイメージです。
(黄)でバスレフポートの至近距離でポートの共振周波数20Hzによる音圧上昇が確認され、
(赤)によるウーファーの裸特性と合成されたレスポンスが(白)ということで、バスレフ
効果が理論値通りに発揮されているというスタンダードな特性グラフです。
クロスオーバーネットワークの電気的特性というのは音響空間に影響されずにデータ化
出来るものですが、マイクを使っての音響特性となると設備と労力、時間もかかるので
安直にメーカーに求めることは出来ませんが、MARTENは実に紳士的かつ迅速に私にも
分かるようなデータをわざわざ測定して送ってくれたのですから感謝です。次のグラフは…
4クリックのノブによる二次共振周波数付近の音響出力特性
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260107174905.jpg
なるほど「Q値は60Hz〜120Hzの帯域に影響を与えるよう調整」と言っていたわけですから、
実直にその帯域だけの測定結果として4段階のレスポンスが見られます。
ただ、このグラフで4クリックの位置関係と線の色に関して言及がなかったのですが、
問い合わせると次のような回答がありました。
「グラフの白は最も高い設定ですので調整ノブを一番右に回した状態、
赤は最も低い状態ですので調整ノブを一番左に回した状態です。」
上記のグラフでの色分けとは無関係の特性であり、二次共振周波数付近のレスポンス
だけを示しているということでご理解下さい。
音楽信号ではなく正弦波という測定用信号による静特性という事で理解すれば、
取りあえず特定周波数で4段階のレスポンスの変化があるという事は分かりました。
でも、これだけでは上手く説明できないな〜と思っていたら…輸入元より追伸あり。
「Leifはバスレフポートレスポンスを含めた測定を4つのポジションで追加で計測
してくれるということですので、来週初めまでお待ちください。」
ありゃ〜、設計者Leif Oloffsonさん自ら私が求めている事を察してくれたのか、
ゼファン担当者から届いたメッセージを見て恐縮してしまいました。感謝です!
そして、設計者Leifより下記の4ポイントで近接音場で測定した測定図が送られてきました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20260107175100.jpg
このグラフでは補足説明が必要。上記のBass/Diagramで示されている(黄)の線は
こちらでは同じ山形ですが(白)となっており、同じくBass/Diagramでの(赤)による
ウーファーだけの特性は4色に分岐している上昇カーブとなっています。
Bass/Diagramで示されている(白)は、こちらの山形(白)と4色の上昇カーブの
合成された特性ということで一番上に伸びあがっていく(白)のカーブとなっています。
そして、この(白)の合成された特性とはスピーカーより離れた場所でのレスポンスを
計算し推定したものということになります。
Bass/Diagramのグラフで(赤)によって示されたウーファーの音圧が減衰していく過程にも
4クリックの調整によるレスポンスの変化が20Hz以下と、二次共振周波数付近のレスポンスに
表れているという両方の特徴に着目しておいて頂ければ私の後述につながっていきます。
輸入元担当者より設計者Leifの下記コメントが追記されていました。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
ひとつのグラフに多数のカーブを計算/推定してプロットするのはやや難しいため、
あくまでご参考までに、ということでした。
なお、最も大きな効果は90-100Hz付近に現れており、「白」「黄」「緑」「赤」の
ラインがそれぞれ異なるレベルを示しているのが見て取れると思います。
また、低域の4クリック調整が100Hz以上に影響を与えていることに関して、
「その理由は、多くの楽器や人間の声が140Hz以下にサブハーモニクス成分を持っており、
それが知覚される音色バランスに影響を与えるためです。今回の調整機能は、この音色
バランスを部屋ごとに適正化する上で非常に有用であると感じました。」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
なるほど、ここで重要な事は設計者は「サブハーモニクス」を理解し意識している
ということです。これも私の後述につながっていきます。
ここまで設計者とのQ&Aの経緯を述べてから念のために現メーカーのサイトも確認しました。
https://www.marten.se/products/coltrane/coltrane-quintet/
バスレフポートの共振周波数以外にも並列回路によって二次共振を設定し、
チューニングしているというテクノロジーは書かれていない。
私が試聴した上で立てた仮説に関して設計者に質問したら、ただのバスレフではないという
技術的裏付けがとれたということ、それに関して私が聴感上で感じた分析結果をどのように
文章化して表現するのか、ここからは私の責任によって解説していかなければならない。
前述の設計者のコメントを再度見直すことで、責任の重さを感じつつ意欲が湧いてきた!
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「秘密という訳ではないがウェブサイト上では全ての詳細を公開しない方針にしている
だけですので、Mr.Kawamataがお客様向けに仕組みをご説明頂く事に問題はございません」
Vol.2 へつづく
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