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H.A.L.担当 川又利明
    
2020年10月13日 No.1625
 H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero with SPL & XLR & BNC

「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1160.html

これは思い返せば6年前の10月のことでした。正に劇的な出会いであったと思います!

「実はY'Acoustic Systemのスピーカーは13年前に存在していたのです!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1321.html

Reference Zeroとはこれです!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20201012133949.jpg

その二年後に持ち込まれた吉崎さんオリジナルスピーカーであるが、実は上記の
ように2003年の時点で存在していたわけですが、その段階ではあくまでも吉崎さん
個人用という位置付けであり門外不出だったものでした。

「Y'Acoustic Systemの音はH.A.L.に登場してから進化しています!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1315.html

それを2016年に当フロアーに持ち込むことで、私も初めてReference Zeroを聴き、
同時にHIRO Acousticを聴いてきた経験からアドバイスし当フロアーで出来るだけの
チューニングを行い、以前は自宅でしか鳴らしていなかったReference Zeroという
自作スピーカーの真価というものをH.A.L.レベルで検証したのでした。

「H.A.L.に叩きつけられた挑戦状!!究極を目指したY'Acoustic Systemとは!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1491.html

それからの二年間、廣中さんがHIRO Acousticを作り上げたという事実に感化され、
吉崎さんの研究開発は本格化し遂に上記のように2018年9月にTa.Qu.To-Zeroが登場しました。
その後の歴史は下記の特設サイトにて紹介しています。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/index.html

そして近年では各種Ta.Qu.To-Cableの開発が進み、現在も新たな開発が続いています。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/spl.html

現時点で最新のものは下記のようにBNCケーブルでした。

H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-BNC
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1624.html

さて、既にお気付きの事と思いますが、各種Ta.Qu.To-Cableの開発に当たり私が
使用してきたリファレンススピーカーはHIRO Acousticでした。

その理由は“音楽を裸にするスピーカー”と評した音質的特徴がケーブルの微妙な
音質傾向を聴き取るために大変有効な音質であったという一言に尽きます。

Y'Acoustic Systemブランドでのケーブル開発を行うのであれば、同じ設計者である
Ta.Qu.To-Zeroというスピーカーを使うべきではなかったのか!?

当然の発想と疑問とも思いますが、開発意図を明確に音として確認するためには
やはり“音楽を裸にするスピーカー”が私にとっては必要だったのです。

しかし、吉崎さんがTa.Qu.To-Zeroに求めた音質的特徴というものとは一致する
ものであり決してブレはありません。

そして、私は各種Ta.Qu.To-Cableを使ってTa.Qu.To-Zeroを鳴らすことで、また
新たなスピーカーの価値観を発見したのです。

それは…、“音楽をドレスアップするスピーカー”Ta.Qu.To-Zeroということです!

リファレンスシステムのESOTERIC Grandioso P1X+D1Xの伝送はHDMIケーブルにて
行っているので、Ta.Qu.To-BNCを投入することでほぼTa.Qu.To-Cableの支配下に
なったと言えると思います!

下記のようにここで初めてスピーカーをTa.Qu.To-Zeroとして試聴を行いました。

■H.A.L.'s Sound Recipe / Y'Acoustic System Ta.Qu.To-BNC inspection system Vol.3
https://www.dynamicaudio.jp/s/20201012113318.pdf

先ずは最近お得意様の東京都大田区K.T 様に教えて頂いたもので、私の大好きな
ECMレコードの下記アルバムから試聴していきました。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0724.html

■Dominic Miller / Absinthe (CD)よりタイトル曲1.Absinthe
https://dominicmiller.com/product/absinthe-cd/
https://www.youtube.com/watch?v=sY6aQy0MJ7k

Bandoneon / Santiago Arias
Bass / Nicolas Fiszman
Design / Sascha Kleis
Drums / Manu Katche
Guitar / Dominic Miller
Keyboards [Keyboard] / Mike Lindup
Producer [Produced By] / Manfred Eicher

ECMレコードは1969年にミュンヘンにマンフレート・アイヒャー(Manfred Eicher)に
よって設立されたレーベルですが、私が以前から繰り返し述べてきた限りなく凝縮
された鮮明な音像、限りなく広大無辺に広がる音場感という視点で聴いてみるに
大変ふさわしい作品を多数発表してきたことは周知のとおりです。

今回の試聴はコンポーネントやケーブルなどを交互に比較試聴するものではなく、
上記のように以前からHIRO Acousticで検証してきた音質傾向をスピーカーを変えて
聴き直し評価しようというもの。というよりも私にして曲を楽しみたいということ。

さて、今回も十分にバーンインを行い自分にリラックスするように言い聞かせ、
センターポジションに着席してリモコンでスタートさせる。すると…

Grandioso P1Xのカウンターが001、002、003と進むが全くの無音。
そして4秒後、Dominic Millerのギターがセンターに登場すると…!?

「えっ、Ta.Qu.To-Zeroって、こんなにフォーカスを絞り込む音だっけ!?」

いやいや、驚きました!

アコースティックギターの一音ずつが空間にくっきりと浮かび、いや!
浮かぶというよりは、あるべき定位のそこにしっかりと根を下ろしたような
極めて鮮明な音像という存在感に驚いてしまったというもの。これ凄いです!

ギターの一音だけでそこまで言えるのかというと、こればかりは体験者でないと
語れないところだと思いますが、Volt VM752/75mmソフトドームミッドレンジと
いう独自のユニット選択がギターの音色と質感に他社にないふくよかさと柔軟性、
同時に高解像度のデティールをもたらしていることに気付いたのです。

そのギターの弦一本ずつの爪弾きが響きの階層をきちんと持っており、ECMの特徴
とも言えるサウンドステージをaccutonの30mmダイヤモンドトゥイーターが実に
克明な余韻感として再現する有様を見て静かな曲なのに興奮を覚える醍醐味!

最初は左から次は右からとシンバルの細かな響きが交互に展開され、センターの
左寄りの空間に短いフレーズのバンドネオンが息づきを始める。ゾクッとする!

このバンドネオンの音像の捉え方は見事に空間で独立し、くっきり鮮明でありながら
リードの細かいバイブレーションが空気を振動させる感触をしっかりと表現する!

控えめなベースがセンターに登場するが、今まで各種Ta.Qu.To-Cableで検証してきた
低音楽器のダイエット効果が歴然と現れており、AudioTechnologyの30cmカーボン
サンドイッチコーン・ウーファーの素晴らしく制動された低域の質感が素晴らしい!

そのベースのリズムと見事な同期を見せてキックドラムがセンターでダンディーな
低音を叩き出し、ゆったりとしたリズムで叩かれるタムの打音が空間に飛び散る
余韻を広範囲に拡散していく情景描写が素晴らしい! これはいいですね〜!

そのタムの質感と音色に関してはHIRO Acousticのハイテンションな打音とは違い、
前述のミッドレンジドライバーの質感の特徴として述べた厚みというか濃密さと
いうか、ヘッドをヒットした瞬間に起こる小規模な衝撃波のようなエネルギー感を
響きの冒頭にしっかりと位置づけ一種の迫力として私にどうだ! と迫ってくる。

バンドネオンの旋律が巧妙な運指によってハイスピードで展開し始め、ギターと
掛け合いで演奏がヒートアップする過程において、各楽音の音像サイズをずっと
注視していた私に安堵感が湧いてくる。

そう、Ta.Qu.To-Zeroというスピーカーが表現する音像と音場感の関係において、
その独自性は新たなバランス感覚を作り出しているようで、今までケーブルの
開発で求めてきた方向性に過剰な…というチューニングはなかったのだと。

“音楽をドレスアップするスピーカー”しかし、そのドレスのクォリティーと
グレードは体形を隠すためのものではなく、シルエットと残響という背景に対して
Ta.Qu.To-Zeroは最高のスタイリストであったということでしょう!


■葉加瀬太郎/Etupirka〜Best Acoustic〜より
1. エトピリカ 2. シシリアンセレナーデ 3. 情熱大陸
https://taro-hakase.com/
https://hats.jp/discography/hucd10166/

スタジオ録音による弦楽のみのオーケストラをバックにしたお馴染みの曲。
日頃試聴ではあまり使わないCDが記事にしないだけで沢山あるうちのひとつ。

ヴァイオリンというとクラシック音楽での録音は試聴でも多用するのですが、
このアルバムは…、というより葉加瀬太郎の曲でヴァイオリンの質感について
商品としての音質的演出がどうしても気になる私は厳密な試聴には使ってこなかった。

さらに言うと、HIRO Acousticという録音まで裸にしてしまうスピーカーだと余計に
ヴァイオリンという楽器の質感が鮮明になってしまうため、ホール録音における
音場感という環境的整合性に対してスタジオ録音の場合には違和感を感じてしまう
ことにも起因しているかもしれない。でも、好きな曲であることには間違いない。

そんな前置きを言いながら実は上記システム構成でのTa.Qu.To-Zeroで最も聴きた
かった曲という本音を率直に述べておきたい。

テレビ番組「情熱大陸」のエンディングでかかるエトピリカのイメージとは全く
違う弦楽伴奏だけによる導入部からして、このCDのアコースティックが好きなのです。
https://www.youtube.com/watch?v=oFUeDjcChTw&list=LLbav6J9GCG0Fh4BBqSZcg2A&index=466

管弦楽団としてのフルオーケストラがステージに居並び録音した音楽とは違い、
スタジオ録音では楽器の配置そのものを左右チャンネル間でメリハリをつけて
定位させている。

つまり、センターの葉加瀬太郎を挟んで左側にヴァイオリン、右側にチェロと
コントラバス、時にセンターにコントラバスもありという位置関係です。

主題の旋律をアレンジした弦楽伴奏が始まり、聴き慣れたメロディーが…

「いや〜、分解能は素晴らしいのに、この暖かさと滑らかさは何なの!?」

当然のことながら葉加瀬太郎のソロバートにおける音像にも視線を向けているが、
ご本人の体形よりスマート(失礼!)なシルエットで艶やかな音色で出現した葉加瀬
太郎のヴァイオリンが何とも素晴らしいのです!

楽器はヴァイオリンであってもポップスというジャンルを明言している葉加瀬太郎ですが、
その人の才能と情熱はテレビやラジオでも事あるごとに見てきましたが、エンターテイナーと
して画面に登場する分には気にしていなかったヴァイオリンの質感ですが、本格的な
オーディオシステムで聴くと印象は変わってしまうものでした。ところが…

当フロアーのような高度なこだわりの再生装置が聴くと、私だけかもしれませんが
クラシック音楽でのヴァイオリンと比べて独特の誇張感を含んで聴こえてしまうと
いう印象があったのです。

しかし、このTa.Qu.To-Zero & Cableというシステムを聴くと、オーディオ的評価で
使用する専門用語の各項目でのマークシートには全て合格のチェックを入れた上で、
ヴァイオリンのソロバートに専用マイクを当てた録音であったとしても、その質感に
温度感と微量な情緒感という聴く人の解釈と好みを肯定する評価が出来るのです!

前曲のようにギターのように爪弾く奏法、打楽器のテンションの在り方など比して
弦楽器のみのアコースティックな録音であるが、スタジオ録音という限界的空間
サイズを思わせる音ではないということが素晴らしいのです! 聴けば解かります!

マッチョで筋肉質な演奏者か細身でしなやかな身のこなしの演奏者なのか、
その体格をズバリそのままに再現するのがHIRO Acousticであり、録音における音の
演出としてまとった衣服が何であれ透視するかの如くに本質を暴き出すことを
“音楽を裸にするスピーカー”として表現してきました。

Ta.Qu.To-Zero & Cableというコンビネーションで私が感じ取った美意識とは、
演奏者の体形よりもシルエットの美しさを優先した音像表現であり質感の表現と
いう確認が出来ました。それが“音楽をドレスアップするスピーカー”なのです。

もちろん、音楽に着せるドレスが貧相なものであってはなりません!
デザインも縫製も生地も三拍子そろった素晴らしいドレスであることを私が保証します!

眼ではなく耳で感じる美しさ! 世界で唯一の音、Ta.Qu.To-Zero & Cableをここで!

試聴はご予約の上でよろしくお願い致します。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/appoint.html

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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