発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明
2015年7月7日 No.1237
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの最終音質とは!!
2015年3月11日 No.1199
「特報!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedとはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1199.html

上記のImprovedモデルの発表から下記の価格決定まで約三カ月間、何ゆえに
この時間がかかったのか!?

それは私の責任としても、また音質に対するこだわりからも、きちんと説明
しなければならないと考えていました。

2015年6月13日 No.1225
「HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの価格決定!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1225.html

そもそもは上記のNo.1199にて解説したMODEL-CCX Improvedという超弩級の
クロスオーバーネットワークが開発できたことで進化出来たものでした。
http://www.hiro-ac.jp/networkimpr11.html

しかし、これだけで商品として完成された一定の音質が保証出来るのでしょうか。

2014年11月25日 No.1175 
「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.4」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1175.html

いいえ、私は上記No.1175での経験から、MODEL-CCSスピーカー本体とクロス
オーバーネットワークとをつなぐケーブルがいかに重要であるかを確認し、
ユーザーの任意による選択でこのケーブルを選択し使用したとしたら、私が
認知してきたHIRO Acousticの素晴らしさは全くと言って良い程発揮されない
という事実を何回も繰り返した実験の上で確認していたものでした。

つまり、MODEL-CCX Improvedとしての最高レベルのパフォーマンスを保証し、
HIRO Acousticのアイデンティティーを音質として表現するためには、最後の
決定項目としてスピーカー本体とクロスオーバーネットワークとの接続用ケーブル
に関して、納得のいく検証の上でメーカーとして基準とすべきクォリティーの
ものを提供出来なければいけないという音質的なハードルを残していたのです。

さて、上記のNo.1175で詳細を述べていますが、そもそも最初にHIRO Acoustic
の音質を高く評価したケーブルはナノテック・システムズSP#777でした。
http://www.nanotec-systems.jp/pdf/SP%23777GREAT_with%20tarminal.pdf

http://www.dynamicaudio.jp/file/20141005-MODEL-CCS_05.jpg
このように接続しており、その断面図が下記となっています。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141122-SP777.pdf

そこに登場したのが下記の断面構造による新種のスピーカーケーブルでした。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20141122-308.pdf

これを見て直ぐに気が付かれるのが新素材PC-Triple Cでしょう。
PC-Triple Cとはこういう素材です →  http://goo.gl/0VO9w8

関連リンクとして下記も参考にして下さい。
http://www.phileweb.com/interview/article/201401/23/217.html

今回MODEL-CCS仕様として特注されたケーブルは上記断面図のように1本の導体
単位としてφ0.26mm×105本のPC-Triple Cケーブルを3本束ねて1本のケーブル
としています。

ウーファー用では断面図のそのまま1本、φ0.26mm×105本のPC-Triple Cケーブル
3本ずつをプラスとマイナスに使用し、片チャンネル合計6本としました。

ミッドレンジでは同じ3本の芯線のうち1本をオープンとして使用せず、105本の
PC-Triple Cケーブル2本ずつをプラスとマイナスに使用します。従って、見た
目はウーファー用と同じくプラス・マイナスに各々1本を接続します。

そして、トゥイーター用としては上記断面図の外形1本のみを使用し、内部3本の
うちの2本をプラスとマイナスに使用します。残りの1本はオープンとして使用
しないので、見かけは1本のケーブルからリードワイヤー2本が端子に接続され
ているという外観になります。

以上の構成により、左右チャンネルでPC-Triple Cケーブルが合計24本使用され、
φ0.26mm×2520本のPC-Triple Cケーブルを同時使用するという事になります。

この状態でクロスオーバーネットワークMODEL-CCX Improvedの試聴と開発まで
進行して行きましたが、実はこの短いが重要なケーブルの選択では未解決な
部分が二つありました。

それは、先ず各帯域に使用するケーブルとして上記のような1本のケーブルの
中に3本の芯線があるケーブルを一単位として、どのように各々の帯域にふさわしい
本数を選択して行くかということ。

次にスピーカーケーブルの完成度では端末処理の仕方、プラグとの接続方法に
よって音質が大変大きく変化してしまうという経験から、廣中さんは自分自身で
納得のいく端末加工法を開発し実験した上で採用したいというこだわりがあったのです。

これらのこだわりを検証するには試作ケーブルが必要であり、また試作では
どのような種類のケーブルを作成すべきかという検討項目が私の役目であると
考え、この三カ月ほどで各種の試聴を行ってきたものでした。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20141122-308.pdf

色々と試した結果、MODEL-CCS Improvedの音質を特定するに当たり、上記の
三芯構造のケーブルを使い、その三芯の組み合わせを各帯域にふさわしいように
選択するための試聴を行い、2015/04/04 (土) に私から廣中さんに送った
レポートを下記に紹介します。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

HIRO Acoustic Laboratory
廣中義樹 様
いつもお世話になります。
お預かりしているスピーカーケーブルの試聴をやっと本日行いました。

二時間程あれこれと実験して新発見もありましたが、大変デリケートな違いであり
選曲を増やしたり繰り返して試聴を続けていますと、しまいには記憶が混同し
印象が曖昧になってしまうほど回数を重ね試聴しましたが、ほどほどにという
事で結論をまとめて下記にご報告致します。

先ず実験したケーブルの種類が多いので下記のように整理してみました。
カッコ内のWはウーファー、Mはミッドレンジ、Tはトゥイーターの意味です。
そして、カッコひとつはスピーカーケーブル1本を意味します。

片チャンネルに使用するプラス・マイナスということで本数をご理解下さい。
カッコ二つはプラス・マイナスで1本ずつ独立ということになります。

カッコ内の数字は1本のケーブルの芯線3本のうちに何本を使用しているかという意味です。
同じカッコ内に二種類あるのは文字通り1本の中の芯線3本のうちに何本をどこ
に使用しているかという意味です。

つまり、以前より標準的に使用していたものをAタイプとすれば次のようになります。
これは片チャンネルのみという意味です。

A: (W3)(W3) (M2)(M2) (T1+T1)

実験用に作って頂いたものは次の二種類ということになります。
(M1+M1)と(M2+T1)です。

この中でM2というものをトゥイーターにも使用してT2という表記にもしていま
すが意味はお分かりになると思います。

これらを組み合わせた例をB、C、D、Eとしてみましょう。

B: (W3)(W3)  (M2+T1)  (M2+T1)

C: (W3)(W3)  (M1+M1)  (T1+T1)

D: (W3)(W3)  (M1)(M1)  (T1)(T1)

E: (W3)(W3)  (M2)(M2)  (T2)(T2)

選曲はオーケストラ中心として私のリファレンスとしている小澤征爾/ボストン交響楽団
によるマーラー交響曲第一番「巨人」の87年録音の第二楽章を使用しました。

理由は弦楽五部のつながりと連続性を重視したい事。スタジオ録音では各種の
楽器の量的変化は好みの問題もあり、特徴的なある楽器の量感の変化の観察
だけではスピーカーとしての中立公平なバランスを重視しての判定は難しいと
考えたからです。

そして、最後の確認でギター伴奏だけの女性ヴォーカルを聴き、それまでの傾向を
確認しています。このヴォーカルでの確認は私の予測的中で間違いありませんでした。

聴き慣れたA:を十分に聴いて記憶し、もっともシンプルで合理的に思えコスト
も抑えられるB:つまりミッドレンジとトゥイーターのプラス・マイナスの各々
を1本のケーブルで構成したものから開始しました。

これは切り替えた瞬間から違いが現れましたが念のために1時間ほど鳴らし
込んでから本格的に試聴しました。

このB:での第一印象は時間をかけても変わりませんでした。
オーケストラの弦楽器は良く言えば明るくなりますが、悪く言えば軽くなって
しまいます。弦楽五部のうちで第一第二ヴァイオリンが華々しくなりますが
浮ついた感じがあります。比較の第一歩としては明確な変化がありMODEL-CCS
の敏感さに改めて驚きました。

次にC:ですが、廣中さんの予測ではミッドレンジもトゥイーターと同じ芯線
1本使いの方が良いのではという期待感のある方法です。しかし、これは前回
B:での第一印象を更に強くした傾向で弦楽器の軽さが感じられてしまい好まし
くありませんでした。

そこで私はD:つまり(M1)(M1)ということでミッドレンジのプラス・マイナスの
各々を1本のケーブルで受け持つ方式に切り替えてみました。

芯線は1本ずつということで廣中さんの推測を肯定しつつ、トゥイーターと
比べてプラス・マイナス独立での方式です。

これは私ならではのこだわりかもしれませんが、上記二例との差は僅少であり、
ミッドレンジの下側がどうもウーファーとのつながりが薄れてしまい、舞い上
がってしまった印象で同様です。

そこで確認のために再度A: (W3)(W3) (M2)(M2) (T1+T1)に戻しますと、その
原因が分かってきました。

ミッドレンジの下側でウーファーとクロスする領域の重要性です。
(M2)(M2)という使い方が本当に効いているということでしょう。

弦楽器の質感が特に第一第二ヴァイオリンの充実感、濃密さが戻ってきました。
ここが最大のポイントだと思います。ミッドレンジの質感を軽く見てはいけな
いという事です。というよりも私としてはミッドレンジも(M3)(M3)にして試す
必要性があると考えたくらいです。

手持ちのケーブルでは(M3)(M3)の実験は出来ませんが、その代わりE: つまり 
(T2)(T2)を試してみることにしました。(M2)(M2)の充実感をそのままに、その
傾向をトゥイーターにも反映してみようと思ったわけです。

この(M2)(M2)の重要性をそのままとして(T2)(T2)のトゥイーターもプラス・
マイナス独立での方式です。これは (T1+T1)と甲乙つけがたいのですが、
気になったのは機械的制動が効きすぎるのか、トゥイーターの領域が良く言え
ば落ち着く感じ、悪く言えば若干暗くなってしまいます。

華やかさもあって音場感も広がる傾向としては (T1+T1)のままで良いのでは
という感じです。

しかし、このトゥイーターの両方式は大変微妙なものでしたが、コストをかける
上での進化というものではなく同レベルという印象なので費用対効果としては
採用せずとも問題なしと思いました。

従いまして、私の判断としてはA: (W3)(W3) (M2)(M2) (T1+T1)が最も好ましい
方式であり、ただしミッドレンジでの(M3)(M3)の実験に非常に興味があると
いう宿題となりました。

しかし、A: での(M2)(M2)の重要性が確認できたことが最大の収穫であったと思います。
つまりウーファーとトゥイーターは現状で良しという事で、このままでも良い
とは思いますが、手数をおかけすることになりますが(M3)(M3)の実験で化ける
かもしれません。

私も大変良い勉強になりました。
原則としてA:を最有力候補として自信をもって推奨できるようになりました。
この先にどうするか、廣中さんのご検討にお任せしたいと思います。

文章化すると簡単なようですが、今日は結構な時間をかけての実験した報告でした。
何卒よろしくお願い致します。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このような地道な実験を繰り返し、先ずはウーファーの(W3)(W3)という使い方
は間違いないものと確認し、トゥイーターに関しては(T1+T1)ということで、
1本のケーブル中で2本の芯線だけを使用するということで納得が出来ました。

そして、課題としていたミッドレンジ(M2)(M2)か(M3)(M3)の比較のために再度
試作ケーブルを作って頂き後日の実験を待つ事になったのです。そして…

一ヶ月ほど経ってからでしょうか、課題としていた(M2)(M2)か(M3)(M3)のため
試作したケーブルをお持ち頂き、同じ課題曲で比較した時の印象を今でも鮮明
に記憶しているものです。

先ずは以前から聴いていた(M2)(M2)で音質を記憶し、(M3)(M3)に切り替えて
マーラー交響曲第一番の第二楽章を鳴らし始めた瞬間で結論が出ました。
その間わずか20秒くらいだったと思います。私の背後で試聴していた廣中さん
を振り返り、思わず笑顔がこぼれてしまっているのを自覚した私から一言…。

「廣中さん、もうこの時点で結論が出てしまってますよ!!」

ミッドレンジにはウーファーと同じく芯線はフルに3本を使う事で、弦楽器の
連続性が見違えるほど良くなり、ミッドレンジが発する低域方向の情報量の
重要さが大きくクローズアップされたのでした。まだMODEL-CCS Improvedには
伸びしろがあったのかと思わず感動した変化です!!

これでケーブルの本数と導体の使い分けに関しては答えが出ました。
G: (W3)(W3)  (M3)(M3)  (T2)(T2) という構成がベストです!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このMODEL-CCX Improved用専用ケーブルは国産スピーカーを標榜するHIRO Acousticに
おいて、その音質を極力海外メーカーに依存することなく、将来的に安定供給
されることと独自技術によって他社にないケーブル導体を採用するという指標
がありますが、この導体はナノテック・システムズ社より供給を受けることと
なりました。
http://www.nanotec-systems.jp/jtop.html

■MODEL-CCX Improved用専用ケーブルの特徴

1.プラスとマイナスをセパレートしたインディペンデント構造
2.導体に今話題のPC-Triple C を使用
3.一本のケーブル0.26ミリ×105本×3の導体を内包
4.末端加工にHIROオリジナルの技術を使用(別途解説)
5.ケーブル全体を高品質メッシュで被覆

上記のこだわりを実現して完成したMODEL-CCX Improved専用ケーブルがこれです!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150627-ccs_cable04.jpg

さて、廣中さんのもう一つのこだわりが端末処理です。この加工に関しては
HIRO Acoustic独自の技術であり、他社に出来ない加工法にて専用ケーブルと
して大変手間暇のかかる端末処理を実現しました!!先ずは下記をご覧下さい。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20150628-kouzou12.jpg

この画像の各工程に関して廣中さんからのコメントです。

■HIRO Acoustic独自の末端加工技術

ナノテックシステムズ製のこのケーブルはPC-Triple Cと呼ばれる素材を基本
に金と銀コロイドを通常の1.5倍塗布した最先端ケーブルです。

ただ、内部の細い導体が105×3本もあるため、全ての導体に均一に音楽信号
を流すには特別な加工が必要と考えました。

*資料画像A-B
0.26×105本×3本の銅細線をまとめ上げるために、まず内包されている3本の
ケーブルを均等に分け合計6分割します。

*資料画像C-D
3本の(青、茶、緑)のケーブルから均等に選り分けた細線の中央部分に
バナナ端子もしくはYラグを取り付けます。

*資料画像E-F
残りの線全てとバナナ端子(Yラグ)を包み込むようにOFC(無酸素銅)製リング
で覆い、最大16トン/平方センチの圧力でプレスします。高い圧力で圧縮する
ことによって銅細線一体化、全ての線に均一に音楽信号が流れるようになります。

以上の説明から仕上がったケーブルの構造は下記のようになります。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20150628-mosikizu1.jpg

さて、上記の説明で最大16トン/平方センチの圧力でプレスするとありますが、
結論として端末処理には極力ハンダを使用しないということがこだわりなのです。

その高圧プレスを行うとどうなるかという事なのですが、上記の構造図でOFC
スリーブを切断した画像がこれなのです!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/20150627-dannmen2.jpg
この断面写真にはベリリウム銅のバナナプラグは含まれていません。また外皮
に当たる熱収縮チューブなどをかぶせる前なので、断面を磨き上げて大変きれ
いな状態になっているものです。

このようにPC-Triple C導体の細線とOFCスリーブは溶け合うようにして見事に
完全に融合する事で他のスピーカーケーブルにはない緻密な伝送能力を備える
という完成度の高さを実現したのです!!

それでは、実際にバナナプラグ挿入後に同様な高圧プレスを行うとどうなるかと
いうことで参考写真を撮影しました。それが下記の画像です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150704-01.jpg

PC-Triple C導体の細線とOFCスリーブ、それにベリリウム銅のバナナプラグは
上記同様にほぼ融合され見分けがつかないくらいになっていますが、この時の
サンプルはケーブルとしての外観仕上げを行い、被覆も施してあるので断面を
磨くということが出来ない状態の画像です。前記の画像の断面とは印象が異なり
ますが、高圧プレスの結果としてバナナプラグがPC-Triple C導体と完全に
一体化されているという状況には変わりありませんので補足説明致しました。

さて、このように実装する前は上記で判断した下記の構成による試作ケーブル
にて鳴らしていたわけですが、PC-Triple C導体の使い方としては同一の物で
違うのは前記の端末加工の仕方という事になります。

G: (W3)(W3)  (M3)(M3)  (T2)(T2)

スピーカーケーブルの導体の本数と各帯域での使用本数などは同一であり、
高圧プレスによる独自の端末処理が音質的にどう貢献するのか、これが最終的
な音質としてMODEL-CCS Improvedのパフォーマンスをどのように引き上げるのか、
私はこの10カ月間取り組んできた数々の試聴実験の総仕上げに挑む事になりました。

6月中旬の某日、廣中さんはMODEL-CCS Improvedの最終的な音質決定に立ち会う
べく、完成したMODEL-CCX Improved専用ケーブルをわざわざハンドキャリー
されて来店されたのです。

ケーブルを交換する前に私は代表的な課題曲を再度聴き直し、記憶が新鮮な
うちに、このように完成度を高めたケーブルをMODEL-CCS Improvedに実装しました。

■上記にてトゥイーター(T1+T1)とミッドレンジ(M3)(M3)の結線状態です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150627-ccs_cable01.jpg

■ウーファー(W3)(W3)ということでプラス・マイナスは独立しています。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150627-ccs_cable02.jpg

■クロスオーバーネットワークMODEL-CCX Improvedでの結線状態です。
http://www.dynamicaudio.jp/file/20150627-ccs_cable03.jpg

先ずは今までのこだわりからオーケストラです。恒例のマーラー交響曲第一番
「巨人」の87年録音の第二楽章をスタートさせると…!?

「おー!!いいじゃないですか!!透明感が素晴らしい、そして楽音の粒立ちが
 明らかに一回り向上している!!遂にここまで来ましたか!!」

聴き始めの第一印象で演奏空間全体に光が差し込んだように明るさと情報量が
増していることが感じられたが、さすがにこの段階で廣中さんに笑顔を見せる
のはまだ早いだろうと聴き続けることに。

弦楽器はほぐれながら演奏者の数だけ微細な色調変化を漂わせ、それらが舞い
あがる余韻感の中で調和し融合しながら響きの空間を広大に拡散して行く美しさ!!

弦楽五部の各々のパートがくっきりと定位しつつ、和音を構成する響きが整然
と音色のレイヤーを中空に再現し、ハーモニーの美しさを隣り合う楽音の残響
が微妙に融合して展開する壮大なステージをこともなげに再現して行く!!

そして、弦楽器の美しさに心奪われていると管楽器の質感に変化があることに
気が付き始める。こんなピンポイントな音像だったろうか…。

更にトライアングルの打音では凝縮された高音のホットスポットが眼前の空間
に出現した!!同じ導体のケーブルなのに、この素晴らしいフォーカスの絞り込み
はどうして起こるのだろうか? その確認のために私は直ちに選曲を変えた。

■THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL) 
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

このCDを購入されて自分のシステムで聴いて頂いている会員がどれほどいるの
だろうかと一瞬考えてしまうが、言葉で述べるポイントを出来れば同じ曲を
皆様にも聴いて頂くことで感動を共有して頂ければと願うものです。

「なんと!この低域は透き通るようだ!切れ味鋭い低音しかも重量感が凄い!」

この曲の冒頭から重低音が響き渡るが、低弦の鋭いアルコがリヴァーヴを伴い
ズシリと体に感じる低音が大きな空間を作り出す。この摩擦感とも言うべき
低音のうなりに様々な黒とグレーの諧調があることをしっかりと打ち出す!!

重低音の発生から残響の消滅までをMODEL-CCS Improvedは周囲の空間を自在に
使いこなすことで、聴き手に遠大なスケール感を感じさせるスタジオ録音の
妙技はプロデューサーの手腕だろうか。ズン! と空気を震わせるような低音を
50Hzまでほぼフラットに再生する22センチ・ウーファーの威力を再認識する!!
http://www.hiro-ac.jp/technical.html

凄まじい高速で反応するウーファーにふさわしいケーブル、これだったのか!
先ずはダイナミックな低域の変化を感じ取り、このケーブルなくしてはMODEL-CCS
の低音という原型を維持出来ないだろうと今までの研究成果に納得する。

そして、透明感と切れ味が増したのは低域だけでないことが多彩な伴奏楽器の
質感とセンターに浮かぶヴォーカルの素晴らしさでも確認できた。

ファルセットのヴォーカルは発声の瞬間だけ輪郭を表し、一瞬後には巧妙な
リヴァーヴによって左右と奥行き方向に盛大な残響を広げていく。しかし、
その響き自体が今までの透過性を上回り、パーカッションやピアノという伴奏
楽器が出現する位置関係でオーバーラップしても一切の混濁がないという見事
な分離感を提示する。

後半ではストリングスが背後で追加され、波打つような低域の繰り返しの中で
連続音と瞬発音の多数が散りばめられていく。それら全ての音像に私は瞬間的に
カーソルを当てがって輪郭を確認するのだが、無音の空間に高速で出現し消えて
行く多数の楽音はくっきりと背景から浮き上がり分離するという分解能の極み。

クロスオーバーネットワークとスピーカー本体をつなぐ1メートル少々の短い
ケーブルがこれ程の支配力を発揮し、スピーカーユニットを制御する事で音楽
の再現性に新たな可能性をもたらしたという実感を感じる。これでやっと…

「廣中さん、これで完成ですね! でも、このケーブルで基準を作っておかなければ
 MODEL-CCS Improvedの真の音を世に問う事は出来なかったでしょう」

スピーカーケーブルの重要な要素として導体の材質選択、絶縁法、内部構造と
いう各項目に端末処理の重要さという一項目を追加し、それを確認出来る存在
として既にMODEL-CCSの開発が完了していたことが双方に理想的な結果をもた
らしたものだと確信しました。

最後に、この端末処理で採用された高圧プレスによる接合技術はクロスオーバー
ネットワークMODEL-CCX Improvedの内部配線にも使用されています。

その数、片チャンネルで大よそ70か所の接続部分のうち43か所が圧着です。
Yラグを使うところははスリーブではなく端子自体を圧着しているのです。

「HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの納期は約五カ月!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1213.html

今時のオーディオ製品で発注してから納期がこれ程かかる製品は稀です。
ここまでの厳密なこだわりを持って生産するのですから、専用ケーブルでも
妥協なき設計と音質確認が求められたものです。

このような時間と手間暇をかけ、当フロアーにて度重なる試聴を行い、遂に
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの音質決定となりました。

もちろん、MODEL-CCSスピーカー本体のみを入手して外部のチャンネルディバイダー
を使用すればマルチアンプ駆動も可能ですが、メーカーとしてユーザーに販売
すべき音質が標準化されなければ意味がありません。

そのために三カ月以上の時間がかかってしまましたが、それは私にとっても
大変有意義な経験でもあり、廣中さんのこだわりの勝利として現在の音質を
胸を張って世界中にアピール出来るようになりました!!

そして、実はHIRO Acousticとしてもう一つの挑戦がこの後に控えています。
これだけの検証を行って完成させてきた専用ケーブルですが、さすがに高価な
MODEL-CCS Improvedは手に入らないという皆様に対して、単売可能なスピーカー
ケーブルとして発売できないだろうか…、という思いがあるのです!!

しかし、そのためには更なる試作と実地検証が必要です。目下のところ製品化
が可能かどうかの調査と近い将来の試作品の検討を行っていますので、実現したら
ハルズサークルにて紹介したいと思います。どうぞご期待下さい!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!


戻る