《H.A.L.'s Monitor Report-Vitus Audio》


No.0431 - 2008/6/18

徳島県徳島市在住 T・S 様より 待望の試聴レポート頂きました。

先ずは4年前の投稿をご紹介します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0150.html

そして、NEOが到着してからのメールです。

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おかげさまで、無事到着しました。お世話になりました。
2ケ月アンプに電源を入れていなかったこともあり、ただでさえ力不足のため
想像以上に低域の貧弱さが耳につきますが、B&W S800に繋いだときほど音楽に
なってないことはありません。

やはり、このスピーカーはつながりがよく、奥域のある表現をしてくれます。
これからが楽しみと新たな苦悩の始まりですが、5ケ年計画(^^;くらいで
アンプも考えることにします。まずは、到着のご報告まで。

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川又より
そして、あれから四年が経ちました。五年目にはちょっと早いですが、TS 様
の感性をくすぐるアンプをやっとご紹介できるようになったものです。

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今回の投稿に先立って、T・S 様から次のようなメールを頂戴しました。

「先日お邪魔しました徳島のT・Sです。その節はお世話になりました。

 NEOオーナーで、唯一、NEOを鳴らしきれていない者として申し訳なく思って
 おります。「オーディオで何に一番お金をつぎこむか?」と尋ねられたら、
 迷わず「アンプ」と他人には答える自分ですが(^^;無理して買ったNEO
 ですので、なかなか後が続きません。密かにTELOS400の中古あたりをターゲ
 ットに考えていましたが、今回、お邪魔して、Vitus Audioをじっくり聞く
 ことができました。

 さて、CDプレーヤーの分解能の優秀さも相まって、このアンプの力量をわ
 かりやすく感じることができました。試聴には、いつも意地悪な粗探しをし
 てしまいますが、店頭でも申しましたようにS/Nの良さに感心致しました。
 NEOをはじめ、近年のスピーカーは力強さ(駆動力)が必要ですが、安い
 アンプ群は、粗さが目立ちます。日本と違って、多少の歪みは軽視されると
 ころもありますが、、、。

 また一方、旧ゴールドムンドのような冷めた味でもなく、NEO同様ニュート
 ラルで、JAZZとクラシックの両方に可能性が感じられました。
 また、35sの重量はありがたいです。長年使用しているマッキントッシュは
 49.9sあります。コンデンサの液漏れで修理に出した時には苦労しました。

 思ったことが適切な言葉にでてまいりませんが、私には十分な力量を持った
 製品ですので、Vitus Audioを第一候補として考えることとしました。

 先日、お邪魔した際、自宅試聴のお話のお誘いをいただき、困っていました
 (^^)10日も聴いてしまうと返せなくなるのは自明のこと。
 されど、せっかくの機会ですから、申込むことにいたします。

 なお、ACケーブルにも興味があります。このアンプにベスト・マッチで
 あるなら、高価でもセットで求めたいと思っており、アンプと共にACケー
 ブルを試してみたいと願うものです。

 以上、先般お邪魔しました御礼とハルズモニター応募まで。」

 そして…

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  ■ 大変お待たせしました。モニターレポート本編をどうぞ!! ■

「H.A.L.'s Monitor-Vitus Audio!!」に応募しましたところ、第一号で送られ
てきました。責任重大です。

そもそも、私は5555店頭にてNEO+Vitus AudioSS- 010を長時間試聴させてい
ただいて、時期はともかくも購入を決意してしまっている者ですから。。。

自宅で聴いても欲しい気持ちが募るだけで、却って困ったことになります。。。

ともあれ、お借りしました手前、お世話になりましたせめてもの御礼はインプ
レッションでお応えするしかありません。

ハルズサークルの皆さんが、是非とも聴いてみたくなるようなお話はできませ
んが、私なりの感想を記します。

さて、店頭でNEOを初めて聴いたときに「これだ!」と長年のスピーカー探し
に終わりを告げたのが数年前のこと。

それまでの間、JAZZ喫茶全盛時に憧れていたJBL Olympusを入手して以降、
ウッドホーンを買い、ユニットを全部替え、4wayに変更、ネットワークに多額
の出費を重ね、管球アンプにも手を出したものの、どうしても不満が残る状態
で、次のスピーカーを探しに、東京に行くたびに5555に立ち寄って新しい製品
を聴かせていただいていました。

しかし、JAZZらしさ(生々しさ)と、クラシックの両方に満足のいくものに
出会えません。

「B&W800シリーズにするしかないのかなぁ」と諦めていたところです。

B&Wユーザーの皆さんには失礼ですが、私には「良くも悪くも優れたモニター」
という印象で、何か落ち着かない。

また、優れたミッド・レンジが勝ち過ぎるあまり、ウーハーを完璧に駆動する
能力がアンプに要求されて、たちまち、現使用のアンプでは音楽にならないと
判っていたものですから。。。

 NEO試聴のインプレッションは恥ずかしながら、このメルマガに紹介されてし
まいました(><)が、極めて自然。

CDでは面白くないJAZZのシンバルの音も、芯があり、バスドラの音もしっか
り出ている。B&Wでは、ある意味、もっと魅力的に表現してくれます。

ところが、NEOは必要以上の表現をしない!!

クラシックも同様で、以前、NEOがStradivari Homageと並べられて5555店頭を
飾っていた時にも店頭に試聴に参りましたが、Stradivari Homageは、とても
魅力的で豊潤な弦の表現をします。(既にNEOを入手後でしたが)NEOは試聴時に
は「少し響きが寂しい」と感じていました。

元来、旧JBLというクラシカルな「箱鳴りもバッフル面の音色もコミコミでの
個性」をいわば「楽しんで味わって」聴いておりましたから「この素材は、音
を殺してしまわないの?」と懐疑的に試聴に行ったものです。

スピーカーにはそれぞれキャラクターがあります。個性的であればあるほど、
一定のジャンルにはより魅力的ではありますが、JAZZとクラシックの両方を
満足させるものとはならない。。。
かといって、単に中庸では「音楽の面白さ」に欠ける。。。

 前置きが長くなりました。

Vitus Audioを語るには、まずNEOを私なりに選択したことからお話ししない
ことには、この後が続きません。

オーディオの世界は、個性の世界。一様には参りません。

今回のVitus Audioも、ある意味、強い個性がありません。
際立った個性がなく、NEOでの印象の繰り返しになりますが、「自然」という
言葉がまず出てきます。

25Wだ。A級だ。価格が安い。ということは、この際考えずに、多くの方に
聴いてもらいたいと思いますが、NEOの自然な表現に、味付けせず、そのまま
過不足なく駆動させているという思いをいたします。

恥ずかしながら、マッキントッシュのMC500(+電源にトランスを介在さ
せ低域を強化)という非力なアンプを長期間使用していますが、NEOは、B&Wと
違い、非力なアンプでも、一応は「音楽」になってくれます。

特定の帯域が落ち込んで耳障りな音になるということがないからです。しかし、
5555の店頭を訪れる度に、しっかり鳴らしてあげたいと思っていました。

Vitus Audioの店頭での試聴も、メルマガに紹介されてしまい(><)ました
が、S/Nが飛び抜けていい!

A級??寸詰まり感もない。
何よりも、音楽が活き活きとしてる。
それでいて粗さがない。
CDを色々試すまでもなく、数秒で理解してしまいました。

 自宅試聴について。。。

店頭ではNEOがHALCROで鳴らされているところしか聴いたことがありませんで
した。今年3月に5555まで試聴に行った際には、どこかでHALCROと比較してし
まっていた自分がいたようです。

それ故、Vitus Audioに向き合っていない部分がありました。
一方、自宅では、価格的にも上位ですし、悪いはずがなく、却って参考になら
ないのでは?とも感じていました。。。。

何よりも、借りてしまうと、別れが辛いのは目に見えていますから。。。

 送られてきた箱は、今回のモニター用に発注された、再三、出し入れし、
発送が容易な専用の段ボールケースでした。軽いといっても35Kg。

二人で箱から出しました。ラックに出し入れするには、キズを付ける心配も
あり、不利な条件であることを折り込み済みで、床に直置きのセッティング。

今回、専用ANDROMEDA電源ケーブルもお借りしました。
確か、当初は電源ケーブルなしのモニター企画だったようで、川又さんに無理
にお願いしたように記憶しています。

高価なケーブルですが、Vitus Audioの「音決め」したケーブルなら、合わせ
て試聴したいと思いました。

まずは、普段使用しているCardasのGolden Referenceにアンプをつないでみ
ました。MC500と比べて良くなったことは言うまでもありません。

しかし、あわよくばケーブルはそのまま使って、アンプだけ買えば出費が少な
くて済むという考えは、消えてしまいました。

Cardasでは、アンプのバーンインが進みません。バーンインって通電して鳴ら
してやればいいんじゃないの?

とのご反論はあろうかと思いますが、ANDROMEDAに換えてからの変化は、ケー
ブル単体のバーンインだけでなく、アンプにも影響があるのでは?と感じてし
まったため、こういったことを申し上げる次第です。

ハルズサークルの方には、Cardasなどのこの価格帯のケーブルは、比較の対象
にもあたらないのでしょうが、私は、少ない収入で、長年、ケーブルを試して
きた者として、Cardasは情報量を損なわずにバランスのとれたいい製品だと
感じています。

Golden Referenceの前には、下位のGolden Crossを使用していました。
Golden Referenceの弦の細やかな表現に魅入らされた一人です。

一方、Golden Crossにあった力強さが相対的に損なわれる感がMC500に
はありました。知人の多くもGolden Referenceを使用していますが、しっか
りしたアンプでは、そのような印象も薄れるように思えていましたが、今回、
どうしても重心が降りてきません。

 3日目にANDROMEDAに換えてみました。なんだ?ナローな感じ。。

第一印象は良くありません。
Golden Referenceのような繊細な表現もありません。

ところが、2〜3時間すると、みるみるうちに、まず重心が降りてきて、
レンジも拡がってきました。

しかし、これからがこのケーブルの厄介なところ。
ケーブル交換3日目(計6日目)には、ハイ上がりのギスギスした音になり、
とても聴く気になれなくなってしまいました。

不思議なことに、最悪の状況を呈した翌日からは、ようやく本領を発揮しだし
ました。当初、10日でお返ししようと考えていたところ、これから本格的
試聴となるため、ひとまず川又さんに2週間お借りする中間報告をしまして、
3月に5555に持参したCDから聴き比べを開始。

店頭との最大の差は、CDプレーヤーが我が家はWadiaということです。
また、スピーカー・ケーブルも同じTRANSPARENT社ながら、価格が一桁安い
REFERENCEの古い型なので、その分を割り引いての比較試聴となります。
 
 Diana Krall の 「Stepping Out」
 Oscar Peterson の 「Night Train(SHM-CD盤)」
  Shelly Manne の「234」
  Georg Solti の「マーラー 交響曲第3番(初回盤CD)」
  その他、Rock系も聴いてみました。

これら、10年以上聞き慣れたCDで試聴すると、ドラムのアタック感に不足、
遜色無し。

マーラーでは、なじみのオーディオ店でのB&Wでは、超低域のプルプル感が
出て、音的に面白いと思う反面、耳障りだと感じていた震動が、NEO+Vitus
Audioでは目立たない。

低域にピークがなく、コントラバスがJAZZにしろオーケストラにしろ、軽く
心地よく伸びる。

そして吹き上がる管楽器。店頭ではHALCROに比べて不足感をどこか感じていた
ものが、純粋に利点が見て取れる。

電源ケーブルも、繊細な表現から、力強く、過大には太くならず、もはや、
Cardasには戻せない。

また、SHM-CDシリーズはRock系はさほど効果がないかなぁと感じていましたが、
Vitus Audioで聴いて初めて通常盤との差をRockでも味わうことができました。

しかしながら、弦四やヴァイオリンを聴き出したところで、困ったことになり
ました。

我が家は四角に近い10畳の部屋。QRDのDiffractalを2枚、Abffusorを
2枚。Skylineを3枚。コーナーにはASC のTUBE TRAP(吸音材)を駆使して、
何とか定在波を誤魔化してきました。

MC500では気にならなかったものがVitus Audioでは目立ってしまいます。
オーケストラのような大編成でなく、室内楽、器楽の方がより鮮明に目立ちます。

Ivo ポゴレリチ の「ハイドンのピアノ・ソナタ」
Hilary Hahn の新譜「シェーンベルク&シベリウスのウ゛ァイオリン協奏曲」
そして最も好きな Arturo Benedetti Michelangeli の一連のピアノ録音

好きな音楽は、粗が目立ちます。きらびやかなタッチ。。。
これらに定在波が乗っかって邪魔をします。

更なる対策が必要になってきました。
要するに、出るべき帯域の音が出たということと解釈しました。
低域にも伸び高域にも伸びる。。。
中域も、今まで出てこなかった音が見えてきます。

以上、取り急ぎ、インプレッションをまとめてみました。
ハルズサークルの皆さんの参考となるようなレポートにはなりませんでしたが、
それは次の試聴の方にお願いしたいと思います。

とにかく35sというのは、扱い易いです。「少し聴いてみたいな」と興味の
ある方は、是非とも「H.A.L.'s Monitor-Vitus Audio!!」を申し込まれて、
ご自身の感性で聴いて欲しいと願います。

50sを超えるアンプですと、本当に億劫です。

それから、「A級は熱い」とお思いの方が多いと想像します。
川又さんも「熱いですよ」と店頭ではおっしゃっていました。
私は、「そんなに熱くないけどなぁ」と思っていました。

今回、自宅で8時間続けて聴いていても特段熱いとは思いません。
とても触れられない、もっと熱いアンプがあります。熱くないことは重要で、
その分、故障が少なく寿命が長いはずです。

代表的なアンプ・メーカーと違い、故障やメンテがどうなるのだろうと心配し
ますが、造りがしっかりして、極端に熱くないアンプは安心感があります。

それから、筐体の大きなパワー・アンプは、本領を発揮するのに4時間くらい
かかります。

川又さんに質問したら、変な質問をする人だなぁと訝しげに思われた感があり
ましたが「気にしたことはないがVitus Audioも4時間くらいだと思います」
とお答えいただいたのですが、結構、早く到達します。

私にはそのように感じました。仕事から帰って聴き始めて4時間もかかってし
まうのは困ります。

防音を施していますが、深夜に大音量は、正直、落ち着きません。
短時間で能力が発揮されることは大事です。

ただ、Standby状態にするたびに、A級設定が解除されてしまうこと。
Standby状態にするスイッチが、メニュー位置から辿り着くのに毎回迷ってし
まう煩わしさがありました。

また、改めて「私はWadiaの音が好きなんだなぁ」と再認識しました。
一方、ハルズサークルのメンバーでもあります知人にもVitus Audioのアンプ
を聴いてもらいましたが、今まで以上にNEOの実力に感心した様子でした。

X-03SEユーザーなので、仮にSCD-010を合わせてお借りして聴かせてあげてい
れば、彼にはVitus Audio社のCDプレーヤーの良さも理解してもらえたかも
知れません。

ESOTERICの澄んだ表現を気に入っている方にはお薦めします。
オーディオは趣味の世界です。

人それぞれ。十人十色。やはり、ご自身で確認していただくしかありません。

遠方の方には、この「H.A.L.'s Monitor」の企画はチャンスです。
私のように「まだ購入は先ですよ」とつれない者にも川又さんはプレッシャー
(^^)を与えずに、貸していただけます。

金融商品や不動産投資のように、後々、やたら売買勧誘の電話がかかってくる
心配もありません(^^)

また、メルマガ会員の方で、まだ5555の店頭に出向かれていない方にも、
是非、秋葉原に行ったら立ち寄ることをお薦めします。

日本一の高級オーディオ店だから、敷居が高く逡巡している方も多いと思いま
すが、見すぼらしい服装でアポなしでも、気軽に立ち入れるところです。

他店では、何か商談しないと出て来られないような雰囲気があります(^^;
JBLのS9800が登場した際、5555に最初に聴きに行き「つながりのないスピー
カー」との印象があり、比較に他店も廻ったことがあります。

評論家がベタ誉めの割りには、面白くない。。。
他店では熱心に(煩わしいくらい)力説してくれましたが、気安く立ち寄ると
ころではありません。

冷やかし客に冷たいところがあります。
その点、5555は有り難い店です。

もちろん、他のお客さんが予約している時には、聴きたい装置を自由に聴くこ
とはできませんが、後ろで一緒に聴けますし、もちろん予約すれば、好きなだ
け聴くことができます。

店員の方も、強いて質問しない限りは放っておいてもらえます。
私もオーディオ歴、30年以上。
地元には、なじみのオーディオ店があり、時には重いアンプを自宅まで試聴に
運んでもらったりと、できることなら、そこで買ってあげたい気持ちはやま
やまです。しかし、

「MOSQUITO NEOは5555でしか聴けません。買えません。」

もっと多くの方にNEOとVitus Audioを知ってもらいたいと願うものです。

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川又より

T・S 様ありがとうございました。何事もじっくりと取り組まれてきたT・S 様
がNEOをVitus Audioで実際に鳴らして頂いたということで、そのご意見ご感想
をありがたく拝見いたしました。

私は最後の一節に大変感謝をしています。「知ってもらいたい」という一言。
それだけで十分ではないでしょうか。私は押し売りのようなことは致しません。

皆様の感性が自然に自分が求めていたものに反応して下さるということが大切
なことであり、試聴ということを大切にしている営業方針の目的であもあります。

明日からも皆様に知って頂くために、私は喜んでお相手をさせて頂きます。
日本でのセールス方針に共通項のあるNEOとVitus Audioと音質にも同様な
世界観があるようです。皆様のご来店とハルズモニターのご応募をお待ち
しております。ありがとうございました。

こんなモニター企画のご利用も先ずハルズサークルのご登録から!!


HAL's Monitor Report