《HAL's Monitor Report》


No.0281 - 2005/12/17

山口県熊毛郡 S.I 様より

Vol.29「「余韻」の長さが極端に違うのです!!」

川又さま、この度は"Pケーブル"2本の試聴機会を与えて頂きありがとうございま
した。表現力が乏しく且つ稚拙な文言の羅列になるとは思いますが、以下にレポー
トさせて頂きます。

先ず、数年前に視聴室なる小屋を新築するに当たり、既存の電柱から新設の空中線
を通して、母屋の生活電源とは別系統で電力を供給できるようにしました。

もちろん小屋でのエアコンや電灯用の電気は必要となりますので、オーディオやAV
専用の電源と言う訳ではありません。

その当時に行ったオーディオグレードの壁コンセントへの交換とACケーブルの導入
(川又さんのところでAC-DOMINUSをお世話いただきました)以後は、特に電源周り
に興味を持たず、現在に至っています。

この度は、所有するACケーブルとお勧めの"Pケーブル"との違いに興味があり、
その点を中心に試聴させていただきました。

実は、8N-PC8100発売の折りにも若干食指が動いたのですが、どうも限定品という
物に個人的に良い経験がなく、悩んでいるうちになんとなくやり過ごしてしまいま
した。

AC-DOMINUSは、導入以来、液補充のメインテナンスの時以外は通電状態で、デジタ
ル系の機器に使用しています。

我が家の「音」はこのケーブルによって支配されていると言っても過言ではないく
らい、重要な位置を占めるに至っています。

浮気性のため機器の入れ替えは結構頻繁に行うのですが、ACケーブルの変更は考え
ていませんでした。

ケーブル選択の全ての基準は「余韻」です。

エコー感とは少し違うのですが、空気の伝わり方が自然で派手さのない音が、私の
好みの音となっています。低域にもちゃんと余韻があり、骨太でもスレンダーな音
を表現できるケーブルとして愛用しています。

さて、"Pケーブル"ですが、届いたケーブルを見て「なるほど」と感心しました。
デザイン・丁寧な作り・きっちりした重さ・コンセントへの食込み等、高級ケーブ
ルの要素はすべて満たした「良いもんだな」と素直に思わせるケーブルです。

次に音色です。目的が現用ケーブルとの比較ですから、先ずはAC-DOMINUSが繋がっ
ているトランスポートとDACから試してみることにしました。

試聴に使用したCDは、クラシック中心に次の通りです。
とりわけアイザック・スターンの演奏するバイオリン協奏曲は、1958年録音の古い
ものです。ただ、随分長い間私のリファレンスになっていますので、音の変化はど
のCDよりも敏感に感じることができます。

(1)アイザック・スターン/オマンディ/フィラデルフィア管弦楽団
   チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
(2)アンネゾフィー・ムター/アンドレ・プレヴィン/ウィーン・フィル
   チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 SACD
(3)フランツ・ウェルザーメスト/カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク
  シューベルト/死と乙女
(4)竹松舞/月の光

"Pケーブル"を繋いだ直後の第一印象は「ん?」という一言でしょう。
音は確かに変りました。

しかしながら、電源ケーブルは交換すると面白い位にコロコロと音が変化する経験
から、この変化は「あまりに少ない」「変ったんだろうね」と自分に言い聞かせる
程なのです。

もっと劇的な変化を期待していましたので、ちょっと肩透かしの印象です。固有の
癖が少ないケーブルが持つ良い方向での結果だとは思いますが、これはあくまで第
一印象、もちろん駄耳の影響もありますから、お楽しみは後日としたいと思います。

2日程、所要で小屋へ行くことができませんでした。その間"Pケーブル"は通電し
たままです。夕刻帰宅して、妻君の待つ母屋を通り越して、そそくさと小屋へ、前
回と同じ音源でフルボリュームの音出しに期待いっぱいです。

そして結果は「うーん!」だったのです。ここでも期待していた程の変化なし、
素晴らしく良い音なのですが、なんとなく今までと同じような印象で、ケーブルが
変わったという何かしらのインパクトがありません。

それでは、デジタル系ではなくアナログ系で試してみないと・・と考え、トランス
ポートとDACのケーブルを元のDOMINUSに戻し、プリアンプのみ"Pケーブル"を繋ぐ
こととしました。

残念ですがパワーアンプはコネクター形状の違いから試すことができません。
繋ぎ変えての第一音、これには参りました。

「余韻」が洗練されると言いますか「フワッ」とした感覚が増したような印象を持
ちました。プリアンプのACケーブルも結構グレードの高いものを使用していたつも
りですが、この音の変化はすごいものがあります。

実は、友人所有のDOMINUSを借用して、トランスポートとDACそして、プリアンプも
全て同一ケーブルで試したことがあるのですが、その時には、既設ケーブルの勝ち
で、新たなDOMINUS導入には至りませんでした。

ならば、もう一つの選択が気になってきます。

トランスポートとDACを"Pケーブル"にして、プリアンプをDOMINUSにした場合です。
思った通りこちらの変化は更に上をいきます。

「余韻」の長さが極端に違うのです!!

透き通る音色の中で、微かに聞こえるビブラートの倍音、どうやら"Pケーブル"と
DOMINUSの相性はかなり良いようで、プリアンプの既設ACケーブルが邪魔をしてい
たようです。

試聴のつもりが、そのまま全曲聞き入ってしまい、もう一本"Pケーブル"がこの場
にあったら、どのような変化があったのだろうかと「わくわく」する程、好印象な
方向への変化をみせてくれました。

その後は、この状態でジャンルを問わず、聞き尽くしたはずのCDで新しい発見を
しています。

いつも聞いている音こそが「いい音だ」と勝手に思い込んでしまう駄耳の持ち主の
割には、ちょっと好印象だと「いい音だ」なんて、すぐ購入の方向で惚れ込んでし
まう悪い癖が出てしまいそうです。

最後に、このような貴重な経験をさせて頂いたことにお礼を申し上げレポートとさ
せて頂きます。ありがとうございました。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

S.I 様ありがとうございました。そして、何と“Pケーブル”二本という早速の
ご注文も頂戴し、重ねてお礼申し上げます。本年最後になる来週の入荷分でお届け
できると思いますので、どうぞ良いお正月をお迎え下さいませ。


HAL's Monitor Report