《H.A.L.'s “エフコン”Hearing Report》


No.0428 - 2008/3/19

東京都大田区 N.N 様より

“Friday concert”Vol.30はこんな企画でした。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/579.html

そして、今回も参加者の皆様に記念撮影をお願いしました<m(__)m>

http://www.dynamicaudio.jp/file/080314/guest.jpg

あいにくの雨模様となった当日でしたが、大変うれしいことに満席状態での
開催となりました。ありがとうございました。<m(__)m>

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Vol.136「Friday concert の翌日、改めて拙宅の音を聴いてみました!!」

川又様

昨日はFriday concertを開催いただき、どうもありがとうございました。

実は私、この試聴室に入るのは3回目です。
ただ前2回はいずれも15分程度。本格的に聴くのは今回が初めてです。

現在最高のCD/SACDシステムはどのようなの音を奏でるのか、今それらを手に
することは叶わないけれど、せめてひとつの指標としたい、今回のFriday concert
は、そんな衝動から応募させていただきました。

部屋に入るとSPが横一列に配置され、イベント前半で使用するNEOは手前側、
後半で使用されるアバロンは奥側にセットされ、既にNEOでアップが始まって
おりました。

B&Wと共にNEOの音が好きな私は迷わずNEO側に着席。
期待と緊張を胸に「そのとき」を待ちました。

最初はP-01&D-01の新旧比較でしたが、いきなりのブラインドテストです。
高まる緊張感・・・。


the subject .1「ESOTERIC P-01&D-01のbefore-afterを体感する!!」

■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html

1台目は音に硬さが感じられ音場がやや平面的。
2台目は音場がSP後方にも展開し、力みが取れたように感じます。

そこで2台目を新型と判断して、これに挙手。正解でした。

■Yo-Yo Ma Plays Ennio Morricone/1.  Gabriel's Oboe
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/YOYOMA/index.html

やや散漫ながらも、ちあきなおみと同等の地点まで音場が展開する1台目。
曲頭はレンジが狭く、後半、音の粒立ちが見えるようになったものの曲の最後
まで1台目の音場域までは達しなかった2台目、ということで、こちらは1曲目
の音場感の記憶を頼りに1台目に挙手。残念ながら答えは逆でした。


the subject .2「同系列メカVRDS-NEO搭載システム二社を比較する!!」

■DIANA KRALL 「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004)
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html

■The Best of Cantabile 1.チャイコフスキー「くるみ割り人形」こんぺい糖のおどり
http://www.universal-music.co.jp/classics/release/m_topics/umcl200702/uccd3681.html

次は同じCDメカ(VRDS-NEO)を搭載したESOTERICとdcsのシステムとしての
正面対決。

真面目で筋肉質、細かい音を明瞭に几帳面に拾い上げるESOTERIC。
肩の力を抜いて、気持ち大らかに、しかし広く深く歌いあげるdcs。

好みの問題なのでしょうが、私は自然体のdcsに魅力を感じました。


「SACDとCDはどのくらい違うの!?」
■村治佳織 Transformations 19.「ラストワルツ」
http://www.universal-music.co.jp/classics/kaori_muraji/discography.html

第2ラウンドはCDとSACDの比較試聴。
CDとSACDの違いは今更書くまでもありませんが、やはり器としてのSACDの
ポテンシャルの高さはESOTERICもdcsも見事に描き出します。中でもdcsのSACD
は倍音の音数が増えたように自然で心地良い再生音が印象的でした。


the subject .3「同社でのアップサンプリング・テクニックを比較する!!」

■IZZY 「Libera me」 1. バイレロ (Trad.)  UCCL-1008
http://www.universal-music.co.jp/classics/non_cla/izzy/izzy.html

今度はCDシステムが変わってBrumesterのセパレートと一体型です。
ディスクはIZZY。

最初はセパレートですが、誇張感が皆無でゆとりを感じる再生音。
エコー成分が程よく素直に気持ち良く聞えます。

これで充分かも・・・そんな思いを覆したのは最新の一体型でした。
無音の状態から音が沸きあがってきます。
その深く自然な音色には思わず釘付けにされる魅力がありました。


■MICHAEL BUBLE/1.「Fever」WPCR-11777
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html

ここで、イベントも後半に突入し、SPシステムもアバロンにスイッチします。
着座位置はアバロンの左チャンネルの外側です。

ディスクはMICHAEL BUBLE。このときの印象は、センター付近の定位に力点を
配したジェントルなセパレート、若さで押す一体型といった感じでしょうか。


the subject .4「ここからが面白い!!ここでGOLDMUNDがからむ!!」

■MUSE 1.フィリッパ・ジョルダーノ/ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/muse/muse.html

そしていよいよゴールドムンドが絡みます。
ディスクはフィリッパジョルダーノ。
私の所有しているディスクが初めて登場しました。

まずは、Brumesterのセパレートから。

まだアバロンが解れていないようで高域にやや鋭さが残っていますが音場も
広く楽しめる音がします。

次はゴールドムンドのリファレンス。
等身大に引き締まり、実在感が感じられます。

そしてESOTERICではさらに引き締まり、よりセンター寄りに定位します。
ただ個人的にはもう少し色気があっても良いように思えました。

最後にdcsですが、ゴールドムンドにかなり近い印象を持ちました。
しかしESOTERICのような筋肉質な面も若干持ち合わせているようです。


the subject .5「ここからが面白い!!ここでGOLDMUNDがからむ!!-Part.2」

■仲野 真世 Piano Trio SCABIOUS 2.INNER BELLS(BRPN-7001)
http://www.briphonic.com/

ファイナルパートは、ゴールドムンドのDACに各社のトランスポートを組み合
わせます。

最初はESOTERIC。
個人的にはこの組み合わせ、良い意味でかなり気になりました。

ESOTERICの美点とGOLDMUNDの美点が高次元で融合しています。
SPのセンターポジションからは大きく外れた着座位置ですが、それでも、もう
少し聴いていたいと感じられる再生音でした。

次はゴールドムンドのリファレンス。
煌びやかで重厚。ピアノも力強く感じます。

そしてBrumester。
明らかな違いは高域のバランス。
高域が伸びているのでしょう、ヒスノイズが気になるくらいです。

トリはdcs。
さすがに同じCDメカを搭載しているトランスポートらしく、ESOTERICと良く
似た表現です。アタックもしっかりしており、素直に聴くことができました。

番外編として、わざわざ取り寄せて頂いたガラスCDも試聴させて頂きました。
通常のポリカーボネート盤とは、まるで次元が違います。

音の粒立ち、解像度、躍動感、音場の広さ。
極めて高価なディスクですが、一聴の価値は充分にあります。

最新の超優秀録音がガラスCDになったら・・・「鬼に金棒」かも知れません。

このたびは、貴重な体験の場をご提供いただき、心より感謝しております。

先のレポートに書いていなかった雑感を補足します。

SPシステムのNEOについてです。
今回、改めてそのポテンシャルの高さを確認できました。

基本的に変化に敏感に反応するタイプで、時間をかけてアイドルしていても
ディスクを取替えて他のジャンルの曲を再生すると、直後は本領を発揮できず
に時間の経過とともに徐々に音の深みが増してくるのです。

私の数少ない経験では、これはリニアに反応するシステムを追い込んで完成度
が高まった時に、より顕著に現れる現象なのですが、さすがに日本を代表する
試聴室だけあってシステムの追い込みが見事に成されています。

今回のイベントでも本格的な試聴前のディスク交換後は、しばらく曲を再生
され、コンディションに配慮されていることが良くわかりました。

そして何よりプレイヤーの個性を活かす選曲とオーディオ魂を擽るツボを押さ
えた比較試聴、たいへん興味深く楽しみました。

Friday concert の翌日、改めて拙宅の音を聴いてみました。

比較すること自体が無謀なのはわかっていましたが、一番の違いはスケール感
と余裕、ゆとり、といったファクターです。

例えれば60インチのハイビジョンプラズマと29インチのブラウン管モニターの
違いなのかもしれません。

まだまだ精進が必要なようです。
貴重な機会をいただけたことに改めて感謝いたします。

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川又より

N.N 様ありがとうございました。NEOの魅力をご理解頂けて何よりでした。
プレーヤーが主役のイベントでしたが、それらを聴くのも結果的にはスピーカー
の能力次第で判定が決まるというもの、いや、下手をすればスピーカーや他の
コンポーネントさえもセッティングの良しあしで評価が下がってしまうという
誤解をも招きかねません。

一流のシェフが作る料理と同じくトータルコーディネートであり、結果的な
音質・味がわかっていなければ私たちのセールスは成り立ちません。

そんな意味では、この私でも日々精進の気持ちが大切だと思っています。
今度はお一人でじっくりと聴きに来て頂ければ何よりだと思います。
よろしくお願い致します。ありがとうございました。<m(__)m>


HAL's Hearing Report