
《The highest sound of GOLDMUND
H.A.L.'s Hearing Report》
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No.0327 - 2007/2/15 東京都武蔵野市 N O 様より
Vol.5「春の祭典は、広大な未知の宇宙だった!!」
川又さま
試聴の機会をいただき有難うございました。
商品のラインアップ、セッテイングの精度、個人での試聴という、世界でも稀な
大変に貴重な経験でした。
感想は既に皆さまのレポートにあるものとかなり近い印象でした。
8枚程のCDを持参して、最初はボーカルものから聴きはじめました。
音像空間がタテにもヨコにも広くて、ゆったりとした印象です。
ディスクの3枚目を聴いていた途中で、ソファに深く腰かけ少し斜めになっていた
頭を少し動かすと位置が中央になった時にセンターボーカルがぐっとせり出し全体
の輪郭がクッキリしてきました。
スペース全体の広さで気づかなかったのですが、タテもヨコもピンポイントの
セッティングだったんですね。
誇張、過度の音圧、不自然な音色といったアンバランスさが微塵も無く、多彩な
音触で音楽そのものを描き出しています。
住まいが武蔵野市なので、吉祥寺MEGのアヴァンギャルドが放出するストレートで
圧倒的な音圧に浸ることに喜びを感じることもありますが、それに比べてこの自然
な説得力はまた異次元のものです。
今回特に感動したのは、
アストル・ピアソラ [ブエノスアイレス午前零時] ギドン・クレーメル
ストラヴィンスキー [春の祭典] ヴァレリー・ゲルギエフ
の2枚でした。
ピアソラはヴァイオリン・ピアノ・クラブサン・バンドネオン等の奏でる音触が
極めて鮮明で、タンゴ・クラシック・ジャズといった概念を超越した、火花の飛び
散るセッションでした。
ピアソラの心の宇宙を感じ、こんなに多彩な音触が展開されているディスクとは
何年も気付きませんでした。
そして圧巻は、春の祭典。
大きなスクリーンに展開される鮮明な映像を見ているようです。
弱音で展開される旋律の少ない部分に、こんなに豊かで様々な音触があるとは、
まさに未知の宇宙! ホルストの惑星以上の無限の宇宙!
こんなに自然な音でありながら、こんなに深遠な音触を聴かされるとは、ある意味
不幸なことでこれから大変だなあとも感じてしまいました。
しかし、それからしばらく時間がたって、ちょっと待てよと思いなおしました。
日ごろ耳に飛び込んでくる音楽では、無条件に聴きやすいメロディを追いかける
聴きかたになっていると思われ、音楽と対峙するときにもその聴きかたの影響を
少なからず受けている。
そういった聴きかた方では、他の部分に埋め込まれた多くのものに気付きにくく
なってしまっているのではないだろうか?
自分の聴き方そのものを、旋律ではない音触にも細心の注意をはらうようにする
ことによって、楽しみ方が各段に増えてゆくのではないだろうか?そう気付かせて
くれたのであれば、今回の試聴は不幸なことなんかではなく、大変ラッキーなこと、
きっとそうだ!!
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川又より
N O 様ありがとうございました。確かにおっしゃるとおりですね。今回のシステム
は各論としてこの音が、あの音質が、という観点よりも音楽に対する哲学的な感想
というか発想が多かったようであり、私たちのスタンスを見直す良い機会であった
と思います。さりげなく自然な音。でも、それこそが偉大な演奏なのでしょうね。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/ev_gm.html
さあ、次回の日曜日までとなりました。どうぞご来店下さいませ。
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