《H.A.L.'s “エフコン”Hearing Report》


No.0474 - 2009/2/19

埼玉県上尾市 T T 様より

“Friday concert”Vol.34はこんな企画でした。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/637.html

そして、今回も参加者の皆様に記念撮影をお願いしました<m(__)m>

http://www.dynamicaudio.jp/file/090213/guest.jpg

皆様のご感想はいかがでしたでしょうか? 早速ご紹介致しましょう!!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Vol.161「川又さんの選曲にすっかり幻惑されてしまいました〜」

前回の投稿をご紹介します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0468.html

過去の投稿の“ほんの一部”をご紹介致します!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0460.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0451.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0446.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0434.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0427.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0423.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0401.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0403.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0390.html


今回は同じMarklevinsonのパワーアンプNo.53VS No.532という事で、マラソン
試聴会以来の再会でした。マラソン試聴会では現代録音と昔の録音という別の
CDでの比較試聴だったのですが、今回は同一条件での試聴。

しかも、ブラインドテストと言わば川又さんからの参加者に対しての挑戦状(笑)です。

半分川又さんの胸を借りるつもりで、こっちも「やってやろうじゃないか!」
という意気込みで望みました。
しかも18時開場に来てセンターポジションに陣取りました。

心配な点はどうやら比較試聴ではリファレンスのNEOでは無いという事。
フロントエンドが急遽エソテリックに変更になったのが自分としては有利か?

一曲目は神山純一【水の音楽】 (VICG-5297 VICTOR)  2.Misty Pastoral
を聴きます。
始めは参加者の席はそのままに聴きました。
水の水面に落ちる「ぽちょん」という音をサンプリングしたもの。

例によって無機質な音で参加者の先入観を排除した選曲で各スピーカーの自己
紹介といったところ。

この時使用したパワーアンプは知らせないで(後にMarklevinson No.532とメールで公開)
スピーカーはREVEL AUDIO ULTIMA SALON 2、Kharma / Ceramique 3.2.2 、
Raidho Acoustic C-3と順次つなぎ替えて音の傾向をつかみます。

三者三様の音でプリのボリュームがそのままなのでスピーカーの能率の違いが
表れます。一番ニュートラルなのは聴き慣れたSALON 2、Kharmaは豊かな低音で、
出すぎの感もある。初めて聴くRaidhoは繊細でいて落ち着いた深い音、いくぶん
SALONに比べ華やかさが足りないか。でもまとまった感触でした。

いよいよここからがブラインドテスト、どちらがNo.53か当てるのでは無く、
どちらが聴いていて気持ちがいいか判断し選ぶというもの。
メモにインプレッションを箇条書きしたのでそのまま転写します。

2曲目はQuincy Jones 「From Q, With Love」1.Setembro (Brazilian Wedding Song)

アンプA:量感たっぷり。勢いで迫ってくる感じ。おそらくNo.53。
アンプB:音が優しい。耳あたりがいい。こちらの方が気持ちいい。

とすればNo.532。こちらに投票。

アンプA.(4)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53
アンプB.(5)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532

注)アンプの後の数字は気持ち良く感じた方に投票した人数。
参加者は9名でした)見事に参加者の意見が分かれました。

3曲目はイタリアのピアノトリオ。
2007年録音のRenato Sellani Trio「My Foolish Heart」(VHCD-1001)1.Besame Mucho

アンプA:一つ一つの音がほどよくバランスされている。ただエコーが短いか?
逆に言えば情報量が足りない気がする。こちらがNo.532と推測。

アンプB:エコー感に差が出る。こちらの方が長い。セパレーションも良く、
ベースも深く沈む。こちらがNo.53。こちらに投票。

アンプA.(1)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532
アンプB.(8)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53

4曲目は聴き慣れたSting「NOTHING LIKE THE SUN」3.ENGLISHMAN IN NEW YORK。

アンプA:勢いはあるが、全体的にゴチャとしていて飽和状態。とすればNo.532。
アンプB:セパレーションがいい。鮮度もある。するとこちらがNo.53。
こちらに投票。

アンプA.(1)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532
アンプB.(8)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53

ここからスピーカーはKharma / Ceramique 3.2.2 (税別\3,200,000.)に替える。
席も横に平行移動。

川又さんよりNo.53の方を良く聴かせる事もできるが、あえて今回はNo.53と
No.532のどちらか一方に偏る聴かせ方はせず、どちらにも転ぶような選曲も
したとのコメント。

5曲目は苦手なモーツアルトのピアノコンチェルトをSACDで。オーケストラ
TUTTI! An Orchestral Sampler "The Absolute Sound Super Disc List"
6 Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No. 21/Andante,
Eugene Istomin, piano, Gerard Schwarz/Seattle Symphony;

アンプA:オケもピアノも遠い気がする。いわば弱い。バランスはいい。
No.532と予想。

アンプB:滑らかでゆとりがある。メリハリもある。
ピアノのタッチのニュアンスもいい。音にも厚みがある。
No.53と予想。こちらに投票。

アンプA.(4)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53
アンプB.(5)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532

とここで初めてアンプを間違える。
ここから私のアンプ当ての歯車が狂ってくる。

6曲目は山下達郎のア・カペラで「ON THE STREET CORNER 3」2.STAND BY ME

アンプA:何の不満も無い。まとまっている。
力強いが全体的にこじんまりしている。No.532か?

アンプB:セパレーションがいい。アンプAに比べすっきりしている。音が厚い。
こちらがNo.53と予想。こちらに投票。

アンプA.(1)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532
アンプB.(8)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53

これも圧倒的な支持率でした。

ここからスピーカーはRaidho Acoustic C-3(税別\3,400,000.)に替える。
そして席を平行移動。

7曲目は女性ボーカルAli Project「月光嗜好症-ストリングスアルバム」9.共月亭で逢いましょう

アンプA:繊細なボーカルがバックのストリングスに埋もれない。
アンプB:ボーカルの音像がポッカリ浮かび、エコーもいい。
ストリングスの質感もいい。迷うがNo.53と予想。
ではアンプAがNo.532か?こちらに投票。

アンプA.(1)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53
アンプB.(8)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532

またアンプを間違える。
今回も微妙な差であると言い訳する。

川又さんからボソっと「思うツボですね」とのコメント。
ほくそえんでいるんだろうなぁ〜。
今までの傾向でストリングスを滑らかに聴かせてくれるのはNo.532の方か?

8曲目はSACDでYo-Yo Ma Plays Ennio Morricone/1.  Gabriel's Oboe

アンプA:潤いが感じられず、エコー感も少ない。ヨーヨー・マが飛び出して
いる感じ。No.532と予想。

アンプB:滑らかにバックのストリングスと調和もとれている。No.53と予想。
こちらに投票。

アンプA.(3)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53
アンプB.(6)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532

またアンプを間違える。
今度は完敗。
やはりストリングスでは迷う。

9曲目はアンドレ・プレヴィン/ガーシュウィン・ソングブック6.I've Got Rhythm

アンプA:ピアノの余韻が短く、ベースに音溜まりができる。No.532と予想。
アンプB:ピアノが力強い。ベースも芯がある。No.53と予想。こちらに投票。

アンプA.(2)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.532
アンプB.(7)名→使用パワーアンプ:Marklevinson No.53

これは明らかな差がでました。
No.53がより好みのピアノを聴かせてくれます。

最後はパワーアンプをNo.53のままHIROMI 『Beyond Standard』9.I've Got Rhythm

上原ひろみのデビュー当時のステージでの元気ではっちゃけた演奏が印象的で
あるが、今回のスタンダードアルバムは落ち着いている。
技巧的ではないがハイスピードな演奏を楽しむ。
使用パワーアンプ:Marklevinson No.53

今回は気持ちよく聴けたアンプはどちらかという他に、どちらがNo.53か
おのおのの胸の中で当てるという、裏の楽しみ方がありました。

アンプの区別の判断に私の注目した点は、音の勢い、セパレーション、情報量
といったものでしたが見事に後半では間違えました。

そのようなレベルでは無くもっと高い次元での違いを川又さんはつかんでいる
のでしょう。そして、そのさじ加減を今回自由に操ってエフコンを盛り上げた
のが川又シェフである。

プロフェッショナル〜仕事の流儀〜ではないけれど、川又さんの流儀の片鱗を
垣間見た気がしました。

曲の録音状態と内容、そしてNo.53を先に聴かせるか後にするかという、参加
者の心理まで計算された川又さんの選曲にすっかり幻惑されてしまいました。

値段が安いから、ワンボディのステレオ入出力だから音が劣るというものでは
無く、まして廉価なNo.532を踏み台にしてNo.53を語る(川又さんのコメント
より)というのは川又さんの流儀に反する事であり、名前は知られなくてもい
いものはどんどん取り入れ紹介するというのがH.A.L.Tの一貫したポリシーで
すよね。モスキートNEOがそのいい例です。

結果として値段の差はともあれNo.532もNo.53も素晴らしいアンプというのが
分かりました。こういう機会で本物の音を知らないと、私も一部のオーディオ
ファイルと同じように頭ごなしにNo.532を否定していた事でしょう。

No.532の魅力を改めて再認識いたしました。
MONOだから有利、STEREOだから不利という図式は成り立ちません。

それを踏まえた上でNo.53の奥深さが分かりました。
No.53の実力を語るには私の経験が足りません。

マラソン試聴会に演奏されたNo.53とNo.532の比較を聴いただけで両者の違い
を分かったつもりになっている人がいるとしたら、それは大きな間違いである。

まさに「知ってるつもり」「井の中の蛙」である。その痛い目にあっている
人は私のみならず、今回エフコンに参加した人が身を持って体感したことでしょう。

天野さんつなぎ替えお疲れ様でした。
滞りの無い、流れるようなエフコンの進行は天野さんのスピーディーな仕事が
あるからです。これからもよろしくお願いします。

川又さん、体調の悪い中エフコンお疲れ様でした。
そしてありがとうございます。

今回のエフコンで自分の思い上がりと未熟さが分かりました。
まだまだ私には勉強が必要です。
これからもH.A.L.Tで勉強させて下さい。
これからもよろしくお願い致します。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

T T 様ありがとうございました。私の述べたかったことを適切にまとめて頂き、
かつ試聴中の心理描写もなるほどな〜と私と逆の読みで聴かれていたわけですね。

勉強不足だなんてとんでもないです。T T 様ほどここでの試聴時間が長いとい
う会員は滅多にいないでしょう。その体験を通じてご自身のリファレンス的
感性を長年にわたり育成されてきたわけです。ずばっと核心をついたご意見を
頂き、私の方こそ参考にさせて頂いております。

次のエフコンは何をやるのか!? 色々と考えをめぐらせています。
どうぞご期待下さい。

そして、こんなイベントに参加したい方は先ずハルズサークルのご入会から!!


HAL's Hearing Report