発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


2010年12月20日
No.782 「Nobu’s Popular Selectionに寄せて!!」
 
傅さんとのお付き合いは何年になりましょうか? 秋葉原のとんかつ屋さんで
偶然に隣同士の席でお目にかかったり、ラジオ収録のお仕事で紹介して頂いたり、
そして、私の随筆の第41話と第53話でも傅さんのコメントを引用させて頂いた
事がありました。「ハイエンド」という言葉の定義について実に素晴らしい
表現をされていました。再度ご紹介しましょう。
 
「ハイエンドオーディオ機器は確かに高価である。しかし、金ムクのパネル
 だから、ダイヤがボリュームに埋め込まれているから高価なのではない。
 そんなのはまやかしだ。
 
 ハイエンドオーディオの設計者は自分に忠実でうそがつけなくて、妥協する
 ということをあまり知らず、了見の狭いせいもあって没頭し、ただし一種の
 鋭い感は働いているが、その結果生まれてきたために高価になってしまうの
 である。」
 
「しかし、そうやって誕生した製品は、わかるユーザーを大変納得させる。
 ハイエンドオーディオの存在価値はそこにある。ユーザーは音楽とオーディオ
 に情熱を注ぐ人である。 
 
 そういうあなたと同じ思いをしている人たちの作った作品は、あなたの五感
 から更に第六感まで刺激するに違いない。それをハイエンドオーディオと呼ぶ。」
 
けだし名言であると思います。私はずっと忘れることがありません。
そして、傅さん(すみません親しみを込めて“さん付け”で書かせて頂きます)
の文章は親しみやすくユニークな比喩も楽しいし私は好きです。
 
そうそう、傅さんの人柄とお仕事の一旦を垣間見る面白いwebサイトがありました。
あの葉加瀬太郎との対談ですが、ご参考までにどうぞ。
 
http://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/lounge/back/030726/index.html

 
前号でも述べましたが、そんな傅さんが監修されたディスクが発売されたと
いうが、私はマラソン試聴会の前後で奔走しており知ったのはつい最近のこと。
 
http://www.stereosound.co.jp/hivi/detail/newsheadline_5223.html
 
注文してから届くまでもどかしく、逆に手元に来たら聴く時間がとれないと
いうジレンマを克服して今日やっと聴くことが出来ました。
 
Stereo Sound Reference Record 「Nobu's Popular Selection」
選曲・構成 傅 信幸
品番:SSRR5(TDGD90016)
仕様:SACD/CDハイブリッド(音匠レーベルコート)
http://www.stereosound.co.jp/cd/backnumber/ss/ssrr5/
 
しかも、このシステム構成で!!
 
■“The Sonus faber”+ soulution 745 & 721 & 700 !!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/772.html
 
先ず何を楽しんだか? 傅さんの解説でした(笑)
特に「選曲ノート」が面白く勉強になりましたね〜。
 
さて、この試聴室が飽和するような音圧で“The Sonus faber”を鳴らす!!
いや〜、こんな仕事やっているからこそ出来る贅沢というものでしょうか(^^ゞ
 
1.狼星(シリウス)/ザ・アラン・パーソンズ・プロジェクト ★
2.アイ・イン・ザ・スカイ/ザ・アラン・パーソンズ・プロジェクト ★
 
解説書の冒頭「選曲・構成について」を読みながら、この曲を同時にスタート
させました。プリアンプsoulution 721のボリュームは“68”この音量は結構
大きなものですが、その理由も後になって分かりました。
 
重厚なシンセサイザーから始まってナイーブなヴォーカルが始まるが、傅さん
の文章にも同じく目が離せなくなってきた。
 
「私がポップスを試聴盤に使うのは自分の身近にある音楽だから。素敵な音楽
 をいい音で聴きたい。中略〜ここ30年くらいのオーディオの自分史が作れた
 ような気がする」
 
はい、私も仕事では試聴盤は実に多様な選曲をしていますが、素直に楽しめる
音楽…、やっぱりポップスかもしれません。だって、40年以上前にラジオから
流れてくる音楽、特にFENでかかる曲に憧れていたのですから(笑)
 
「AOR」と表現されるジャンルを今でこそラジオや音楽業界でも当たり前の
ように使っていますが、70年代の私達には馴染みがなかったように思われます。
 
Audio-Oriented Rock(主に1970年-1980年代に音を重視する作品)とも言われ、
アルバム全体としての完成度を重視するのがAlbum-Oriented Rock(主に1980
年-1990年代らしい)むしろ私が知っていたのはAdult Contemporary(AC)で
あり90年代以降のこと。
 
この30年来のアーチストたちが深夜のBS放送でライブをやっているのを見かけ
ることがあるが、昔とは体系も変わり顔にはシワも増えたが人気は衰えないよ
うで客席の顔を見ると同年代の客層が多かったりしました。そこで次の曲が…
 
 
3.ジョジョ/ボズ・スキャッグス ★
 
耳にタコのイントロが“The Sonus faber”の304キロのボディーから叩き出さ
れてきた時には思わず顔を上げてしまいました!!この音なんなの!?
 
ここにも同年代で同じ選曲のCDが多数あるので、早速同じ曲のCDと比較する。
おや!? SACDなのに録音レベルが高い!!ということに気がつく。そして、同じ
ボリュームでも低域の量感も違うしヴォーカルの質感も違うし、コーラスが
展開する空間サイズも違う!!これはいい!!
そして、傅さんの「選曲ノート」がいい!!
 
「東京からサンフランシスコに向かうJALの機内でボズ・スキャッグスと隣り
 合わせでオーディオの話しをした。東京で買った“光悦”のカートリッジを
 どう使ったらいいのか…」
 
確かに自慢話としては最高ですね!! そして、海外のアーチストたちが東京に
来て“光悦”のカートリッジをどこで買っていくのか? 実は、これは当時の
ダイナミックオーディオ六本木店でよく販売していたものでした。
 
チックコリアとかキースジャレットなどなど私も忘れてしまいましたが、当時
の六本木店の店長から色々な話を聞いたのを思い出します。
 
しかし、こんな「JOJO」を聴いたのは初めて!!ポップスだって音質は大事です!!
 
 
4.ロザーナ/TOTO
 
これもイントロから違いました!!私が出している音量はスポーツカーで100キロ
以上出していて、最低限のブレーキングで如何にコーナーを突破できるかと
いうスリル、冷や冷やしながらもこの音量のままでTOTOをかけてしまって
いいのだろうか…、という不安と快感の両方に震える心境に似ています(^^ゞ
 
傅さんの「選曲ノート」で、この曲のイントロでオーディオシステムの音質を
判定してしまう筋金入りのマニアとは誰か? 私は察していますが…(笑)
 
そして、10年前に発売された同じTOTOのシングルレイヤーSACDを引っぱり出し
てきて比較する。う〜ん、やっぱり録音レベルが大きいみたいだな〜、でも
音量を同じにするとほぼ同じかな〜、いや分解能は良くなってるみたいだが…。
 
などと考えていたら「いや〜、こんだけいいんだから細かい事はいいか〜(笑)」
という心境になり、アルバムの最後に入っている「アフリカ」を豪快な音量の
“The Sonus faber”で聴くという役得でがんがん鳴らしてしまいました。
ヴァイオリンをモチーフにしていた歴史があるSonusfaberだからポップスなど
ミスマッチでは!?
 
いやいや〜、そんなことは心配無用!!逆にポップスに向いているなどと言われ
るメーカーのスピーカーたちをはるかに凌ぐ鳴りっぷりの良さ!!
 
Nautilusは私も知り尽くしているつもりですが、傅さんにもお聞かせしたいと
思ってしまう“The Sonus faber”の素晴らしさです!!
 
 
5.レッツ・グルーヴ/アース、ウインド&ファイアー ★
 
傅さんの「選曲ノート」では「この曲は危なかった…」と評しているのが当時
流行ったアース・ウインド&ファイアーのアルバムのこと。
 
私も、この曲は実に多くのスピーカーとシステムで聴いてきました。そして、
聴くたびに違うのです!!イントロのドラムなんかコロコロ変わってしまう(笑)
 
本当の音、原音再生…、そんなこと言ったってスタジオで曲を演奏し録音して
いる人々だった、そんなこと考えていないですよ〜!!ノリで演奏し、聴き易い
品位を求め商品として面白い演出とお化粧をしているだけ。
 
「500Wのメーターが振り切れてスピーカーが焦げたら焦げたでも、それでも
 オーディオフェアじゃないかと、我々は肩を揺らしてステップを踏んで
 楽しんでいたっけ!!」
 
はい、30年前のオーディオフェアは熱かったことでしょう!!
 
私はこの曲を29年前にはLPで初めて聴いたものでした。しかし、同じ曲を今は
“The Sonus faber”で聴いている。30年前にはそんなこと想像も出来ません
でした。私にも同様にオーディオ史があるのですが、体感する音質の上昇曲線
はH.A.L.をスタートした18年前から急上昇しているのは間違いない。
 
イントロのドラムの音、いですね〜SACDは。そして、“The Sonus faber”の
低域は最高!!あっけらかんと私は今日聴いたこの曲と音質を自分リファレンス
にしてしまいました!!
 
 
下記の選曲が収録されていますが、続きは皆様ご自身で楽しんで頂ければと思いま
す。
 
6.5:06AM ストレンジャーの瞳/ロジャー・ウォーターズ ★
7.スターダスト/ウィリー・ネルソン
8.宵のひととき/アン・バートン ★
9.ウォーク・アウェイ/カーラ・ボノフ ★
10.ダーティ・リトル・シークレット/サラ・マクラクラン ★
11.アクロス・ザ・ユニバース/ジェイク・シマブクロ&シンディ・ローパー ★
12.ジッターブギー/マイケル・ヘッジス ★
13.月の庭/松本俊明
14.『ミッション・メドレー』〜ガブリエルのオーボエ/ヨーヨー・マ
15.『ミッション・メドレー』〜ザ・フォールズ/ヨーヨー・マ
 
★は初SACD化の曲
 
           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-
 
今日は久しぶりに本当に楽しみました。傅さん、ありがとうございました。
 
13.月の庭/松本俊明での「選曲ノート」の最後の一行、いかしてます!!
 
「また恋をしたくなってくる」
 
いいですね〜、まだ同じ年代? でくくれる私たちにとって青春時代の熱い思い
は音楽と女性の両方に向けられていたということを思い出させてくれる一言でした。
 
皆さん、聴いて良し読んで楽しいNobu’s Popular Selectionはぜひ皆様の
コレクションに加えて下さい。
 
そして、傅さん!! ぜひVol.2も作って下さい。ステレオサウンドのあの方にも
私からリクエストしておきますので!!(^^ゞ


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
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