発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2006年10月2日
No.447 「連続小編随筆『音の細道』特別寄稿 *第56弾*」
  ■ H.A.L.のEverest登頂記 ■

Vol.1「はるかなる頂への第一歩。ここが基本!!ベースキャンプの設営とは!? 」

H.A.L.を立ち上げて14年という年月の中で、なぜJBLが私の試聴室になかったのか?
今はもうそんな話しはいいでしょう。しかし、私とて気まぐれあれこれと新製品を
選んでいるわけではなく、そこに私が想定しているハードルがクリアーできるか
どうか、ということが私の信念にもつながってくるもの。つまり、中途半端な判断
では世界中の設計者たちの情熱を正確に日本の皆様にお伝えすることは出来ないと
いうこだわりであり、必然的に私が評価する基準も厳しいものになってくる。

そして、私が聴いてみよう…という動機を起こすことが、その前の関門というもの。
2006年9月29日のこと、その私のフィールドにJBL Project Everest DD66000が登場
したのです!!

http://dyna5555.cocolog-nifty.com/photos/secret/come_on_everest.html

高価でありハイエンドというレッテルを貼るにふさわしいこだわりが音にあるか
どうか!? 私は風評や製品の価格には一切惑わされることはない。自分の耳と感性
だけが評価の対象であると自信を持って言える。

しかし、逆に言えば製品そのものの価値観をどれだけ正確に探り出せるのか、とい
うことがノウハウとして私に求められるということだろう。同じDyna5555の中に
何とDD66000が二セット展示されることとなったが、私のチェックは厳しい!!


    ◆ JBL Project Everest DD66000 inspection system Vol.1 ◆

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidiumオンリー
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
                    and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
                    and
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL RCA 1.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
                    and
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
LUXMAN C-1000f(税別\2,000,000.)
http://www.luxman.co.jp/presspro/c1000f.html
                    and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓   
LUXMAN B-1000f ×2 (税別\3,600,000.)
http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/
                    and
TRANSPARENT PLMM+PIMM(税別\606,000.) ×2
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓  
TRANSPARENT  Reference MM  Speaker Cable 2.4m (税別 \2,480,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#REFERENCE

        vs

JORMA PRIME Loudspeaker cable 3-meter Biwire/pair (税別 \3,350,000.)
http://www.cs-field.co.jp/jormadesign/jormadesignmain.htm
     ↓  
JBL Project Everest DD66000(税別 \6,000,000.)
http://www.jbl60th.jp/

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

正確には昨日入荷していたものの、私が定休日だったためにエンハンサーCD-ROMを
ひとまず徹夜でリピートさせていたものですが、今日は決算明けで今期の予算編成
やらイベントの準備やらで多忙を極めており、やっとセッティングに取り掛かった
のは夕方になってから。再度これをご覧下さい。

http://dyna5555.cocolog-nifty.com/photos/secret/come_on_everest.html

Everestのスーパートゥイーターの左右の間隔を他のスピーカー同様に3メートルと
して、私の耳からは4メートルというトライアングルを構成する。次にEverestの
角度は本体外側のラインより内側のコーナーは25センチ奥へと傾けての配置とする。

スパイクフットは先端が丸いものと鋭角のものとが二種類付属しているが、私は
とがったスパイクを使用した。音質が決まってくるまではフロントグリルは外す。

Everestはフロントにコントロールパネルがあるが、ここには一台に二基搭載され
ている38センチ・ウーファー 1501AL の各々の高域側ロールオフを設定するジャン
パーの切り替えがある。
http://www.jbl60th.jp/このサイトの中の「Sytem Design」から「Terminals and
System controls」を参照されたい。

これによってメーカー推奨では二基の1501ALのうち一台のローパスフィルターの
クロスオーバー周波数を150Hz以下に設定することが可能となっており、それを
左右の外側に位置する1501ALとするということらしい。つまり、ミッドレンジまで
つながる1501ALを内側に配置せよということらしい。この切り替えは上記のサイト
の写真ではわかりにくいので、新たに撮影してきたのが次の写真。

http://dyna5555.cocolog-nifty.com/photos/secret/everest_control_panel.html

これは左側にセットしたEverestのコントロールパネルを拡大したものです。
三つに分けられた左上「System Orientation」と表示されたジャンパーをLeftに
取り付けると右側の1501ALが内側となりミッドレンジまでつながることになる。
右チャンネルでは逆だ。これには異論なく納得。

せっかちな私は、そこまで設定して後は入荷したままの状態として、最近テストに
よく使用している“Basia”のCRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX)を我慢できずに
かけてみることに。これは当店の3Fに展示されているEverestでも最初に聴いたも
のだったので、比較する意味もあったが…。

「あれ、意外だ!!」

と最初に感じたことは、ウーファーは4基あるのに低域の音像が大変小ぶりに再現
され、ドラムやベースの輪郭表現と音像の面積も大変コンパクトとまとまっている
という第一印象。これはいい!!

また、逆に派手な打ち込みのパーカッションはギラギラしすぎて頂けない。
“Basia”のヴォーカルは意外にクールに展開し、これも悪くない。
さて、ここでどこから着手すべきか次第に見えてきた。先ずは低域だろう。

このフロアーはフロアーの底を支えるスラブにコンクリートを流し込み、がちがち
に補強しているが、それがどのスピーカーにも低音の根っこを与えている。
そして、Everestのフロントバッフルにあるコントロールパネルのもうひとつの
隠し味をチェックしてみることにする。

http://dyna5555.cocolog-nifty.com/photos/secret/everest_control_panel.html

この写真の右側に「LF Level」とあるのだが、これはレベルということで音量感や
出力音圧をネットワークで電気的にコントロールするというよりは、1501ALのダン
ピングをコントロールするジャンパーなのである。上側のHighにするとダンピング
がゆるくなり低音の量感が増し、逆にLowにするとダンピング量が引き締まり低域
の質感をきりりとテンションの高いものにする。それを二基の1501AL別々に設定
出来るというのだからありがたい。

物好きな私は四基の1501ALをすべてHighにした場合とLowにした場合の音質とを
比較することから始めた。そういうときに使いたいのがこの曲。「THE DIALOGUE」
(1) WITH BASS http://www.phileweb.com/shop/super-audio-cd/3/354.htmlです。

冒頭の猪俣猛のキックドラムの重量感、テンションのあり方、音像の大きさ、それ
らをすべて比較すると、そうか〜、なるほど〜、という違いが一目瞭然!!

すべてをLowにすると、物凄いハイスピードなドラムが展開するが、これは…!?
全部をHighにすると、悪くはないがちょっとな〜。

私が今回のEverestのデザインで大変高く評価しているのがエンクロージャーの
形状と容積ということを追記しておきたい。湾曲したカーブを多用し内部定在波の
発生を防ぎ、最小容積とポートチューニングによってシステムのfoを下げるという
配慮が、内部で位相が遅れる低域信号の放射を抑制しているからだ。
つまり、キャビネットデザインにも従来のJBLとは違った魅力を持たせているとい
うことを念頭に入れて、この「LF Level」レベルのチューニングをいかに行なうか
ということだが、私は各々のケースを試聴して写真のように設定した。

つまりも左チャンネルでは内側の1501ALをHighとして、ミッドレンジにつながる
ウーファーだけに音量感の連続性を高能率なドライバーである476Beに対して意識
して、外側のサブウーファーの帯域とも言うべき150Hz以下に関してはきっちりと
ダンピングを行なって制動感を高め引きずらない重さとテンションを求めたのだ。

当然、右チャンネルはシンメトリーな調整を行い、内側をHigh外側をLowとした。
さあ、これで再度「THE DIALOGUE」でチェック!!

「お〜、センターの音像が適度なボリューム感を持ちながら引き締まりGood!!」

そして、更に私はHFレベルコントロールをマイナス0.5dBと絞ってバーンインが
未熟なEverestにはしたない高域を出さないようにチューニングする。

これで、再度“Basia”を聴く!!

「お〜、かなりまとまってきたぞ!! しかし…」

そう、チューニングとは一箇所を詰めていくと他のところが見えてくるもの(^^ゞ

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

冒頭の打ち込みのぎらつくような質感はまだあるぞ。これを何とかしなければ…!!

と、今度着目したのがスピーカーケーブルとの接続。入荷した当初は付属ジャン
パーケーブルが上記の「Terminals and System controls」の写真のように接続さ
れており、これにタスキがけの要領でシングルワイヤーのTRANSPARENT Reference
MMを接続していた。このようなバイワイヤリングのスピーカーに対しては下記のよ
うな体験を色々としてきたが…

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto55.html

バイワイヤーのスピーカーに対してシングルワイヤーのスピーカーケーブルで対処
しなければならないときにはどうしてもジャンパーケーブルのかけ方と接続端子の
選択で音質差が出るものだ。

そこでタスキがけを止めて高価なTRANSPARENT Reference MMをHF側の上の二つの
端子に接続しなおして聴き直すと!?

「ビンゴ!! これだけ違いが出れば何をかいわんや!! 」

上記のような低域の追求の仕方で確保した質感は、まあ〜そのままに、という程度
ながら中高域の質感は何とも大きく変化した。これは付属品のジャンパーケーブル
はさすがにEverestにはふさわしくないということ。
そして、Reference MM(240万円)の能力に対して誤解するところだったろう。
さすがに素晴らしいケーブルである!!

さて、そこから先はどうするのか!?

きっちりバイワイヤーでつなげばいいのだ!! ということで、上記の随筆55話で
驚くべきパフォーマンスを発揮したJORMA PRIMEのバイワイヤーケーブルで直結
させればベストだろう!!

この日、何度目か忘れてしまったが、再度スピーカーケーブルを思い切って交換
する。今度は335万円のケーブルだ。JBLの試聴室でも、もちろんこんな高価な
ケーブルで試聴はしていないだろう!! すると…

「あっ!! これはいい!!」

やっぱりそうです。Everestは名前の雄大さとは違って大変ナイーブであり敏感
だったのです。JORMA PRIMEで直結してからの質感はチューニングを開始してから
ベストな音質であり、私の第一印象からかなり進歩した状態へとEverestをいざな
ってくれたようだ。

時間の関係で、テストに使用した多数の曲のインプレッションを細かく述べること
はできないが、先ずはH.A.L.レベルでProject Everest DD66000を皆様に試聴して
頂ける最低限の品位は設定できたようだ。

これから頂上を極めようとするEverestに対して登山の基地となるベースキャンプ
を何とか今夜は設営することが出来たようだ。先ずは、一安心、更に本日のレベル
でもProject Everest DD66000を展示しているショップの中で比較して頂いても
自信の持てる第一歩を踏み出したと断言できるだろう。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ESOTERICのフロントエンド、LUXのアンプ、そして多数の電源関連製品、それらが
ベースキャンプの下地として本当に素晴らしく機能しあっています。これはいい!!

それらの活躍に対して敏感にスピーカーケーブルに反応するEverestは征服するの
にふさわしい頂上の高みがあるということが実感されました!!

さあ、これからが勝負です!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/hlu.html


ここに紹介しているコンポーネントたちが、今後どのようにEverestへの登攀で
活躍し、またEverestの未知なる可能性を引き出していくことか!!

ちょっぴり興奮して初日のチューニングを終え、今夜もバーンインを徹夜で行い
皆様のご来店をお待ちしましょう!!

では、今夜はこの辺で…<m(__)m>


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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