発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
H.A.L.担当 川又利明




2006年9月6日
No.445 「H.A.L.に新しいリファレンスACケーブル登場!! ESOTERIC 7N-PC9100の素晴らしさ!!」
Vol.1「第一印象はほんの序章だった!!」

私が認めH.A.L.のリファレンスとして使用してきた歴代の電源ケーブルは…

・PAD  AC DOMINUS 1.5m 税別定価\376,000.

・ESOTERIC 8N-PC8100  1.5m 税別定価\300,000.

・TRANSPARENT PLMM 2.0 m  税別\216,000.

実は、このESOTERIC 7N-PC9100を初めて手にしたのは8/30のこと。
そこでの第一印象は極めて良好だったが、バーンインを行なってから試聴開始と
いう配慮から約60時間の通電を行い下記のシステムで検証を開始した。


          ◆ “7N-PC9100”inspection system Vol.1 ◆

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidium only
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Word-sync用 税別\240,000.)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.) +
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/

TRANSPARENT PLMM(税別\216,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER

        vs

ESOTERIC 7N-PC9100(税別\350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
■2006.9/6国内報道開始 9/10国内発売予定

      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m  Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 RCA 1.0m (税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓  
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
      ↓  
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
      ↓  
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓
MOSQUITO NEO (税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html

                  -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして、本日のうちに無理をしてもACケーブルに求める要素を端的に試聴できる
選曲で先ずは速報をお知らせしたい。その選曲とはこれ!!

http://www.stockfish-records.de/stckff/sf_stockfisch_e.html
この中からSara K. 3.トラックめの 「Turned My Upside Down」

上記システムのように現在では7N-PC9100のサンプル本数が少ないので、私の経験
上最も効果を引き出せるポイントとしてトランスポートに使用。

また、TRANSPARENT PI8やPIMMなどをここではフルに採用しているが、それとの
コンビネーションは一昨日に確認しているが、本日のところはケーブルのみの
単体比較としてテストしている。続報ではPI8やPIMMとの併用でのパフオーマンス
も当然レポートの予定。

いつもであれば、演奏の各パートにおける分析を詳細に述べるものだが、今回は
次の三要素に焦点を絞り込んだインプレッションとする。もともとこの曲はギター
とベースにヴォーカルというシンプルな編成であり好都合である。

1.ギターの質感
 この曲は冒頭の左右チャンネルから弾き出される二本のアコースティックギター
 の余韻感でシステムとケーブルの情報量がつぶさにわかってしまう。その情報量
 とはスタジオワークで付加されたリヴァーヴのエコー感として拡散する領域の
 広さと余韻感としての滞空時間の観察で十分に分析できる。


2.ベースの質感
 イントロの左右ギターに続いてセンターに登場するのがエレキベース。
 このベースの重量感がバイブレーションとしてどのくらい体感できるか。そして、
 ベースの音像はくっきりと輪郭を示し膨らむことなく固体感を提示してくれるか
 をいつものチェック項目として観察している。


3.ヴォーカルに関して
 Sara K.というシンガーは録音によって表情が大変豊かな歌手であり、他の曲で
 は口許のサイズやスタジオワークでお化粧されての様々な録音バリエーションが
 ある。しかし、この曲ではヴォーカルに対するリヴァーヴは浅めになっており、
 ハスキーボイスとして印象付けられる。であるがゆえにヴォーカルの輪郭はどち
 らかと言えばふっくらさせずにタイトに音像を描き、周辺にエコー感をばら撒く
 ような録音ではない。左右ギターの中央下にベース、そのセンターの上に彼女の
 ヴォーカルというひし形の定位感がくっきりと感じられ、ダイヤモンドの頂点に
 位置を占めるヴォーカルの音像は限りなく凝縮している。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

最低限のバーンインを済ませてからの試聴では一昨日の記憶を上回る能力が直ち
に感じられ自信を深めた。しかし、限定400本という今後の供給に対して、私は
ハルズサークルの皆様にいち早く、そしてなるべく多くの7N-PC9100が提供出来る
ように早速プロモーションを開始した。

しかし、この後にバーンインが進むにつれて新たな発見と感動が次々に表れてきた。
次の段階では約100時間のバーンインを経過したところで電源ケーブルを1本だけ
差し替えるというシンプルな実験で次のような新たな分析が出来てきた。



Vol.2「執念の試聴!!歴代のH.A.L.リファレンスACケーブルと比較!!」

毎度の事ながら電源ケーブルの検証は簡単なようでチェックポイントが多数あり、
また時間と手間ひまもかかる。そして、何を基準として新しい電源ケーブルを評価
するのか、というこだわりもある。そこで、今回は私が過去に使用してきた歴代の
ACケーブルと比較検討することで新参の7N-PC9100の能力と魅力を引き出して
みることから始めることにした。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

これら歴代のケーブルは現在でも当フロアーで24時間通電状態で使用しているもの
があり、厳密な価値観を7N-PC9100に与えるためにも私は自分の過去の評価と向き
合うことにした。7N-PC9100もバーンインは100時間を超え、これらと対等に比較す
るにふさわしいコンディションが出来上がってきたと言える。

そして、このテストでは先ずは壁コンセントから単純に電源を取るというシンプル
なセッティングとしてPI8やPIMMといった“PEIP”デバイスを一切使用せず、ケー
ブルだけの素性を引き出すことに配慮した。その比較のための使用箇所は、長年の
経験から電源ケーブルによる音質変化が顕著に表れるトランスポートのみに差し替
えてのテストを行なうことにした。


    ◆ ESOTERIC 7N-PC9100 Comparison verification system Vol.1 ◆

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidium only
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Word-sync用 税別\240,000.)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.) + ここにテスト用ACケーブルを使用
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/

    with

・PAD  AC DOMINUS 1.5m 税別定価\376,000.
        vs
・ESOTERIC 8N-PC8100  1.5m 税別定価\300,000.
        vs
・TRANSPARENT PLMM 2.0 m  税別\216,000.
        vs
・ESOTERIC 7N-PC9100(税別\350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
■2006.9/6国内報道開始 9/10国内発売予定
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m  Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM×2+PI8(税別\822,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 RCA 1.0m (税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓  
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓  
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
TRANSPARENT PLMM×2+PIMM(税別\822,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓  
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓
MOSQUITO NEO (税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、選曲だが…。先ずはこの曲を使用することにした。

KARI BRAMNES/Norwegian Mood より 1. A Lover in Berlin

KIRKELIG KULTURVERKSTED /  FXCD-221
http://heidi.no/temp_kb/eng/d_mood.shtml

この曲の冒頭からチェックポイントが多数あり、先ずはスピーカーのセンターに
イントロから登場するGjermund Silsethのウッドベースの質感。同時に左右の
スピーカーの内側の中空に展開する切れのいい Finn Slettenのパーカッション。
更にBengt Egil HanssenのピアノにBorge Petersen-Overleirのギターがどのよう
に展開するか。そして、このレーベルkkvの特徴である素晴らしく優秀な音質で
収録されたKari Bremnesのヴォーカルの質感。

シンプルな編成のバンドで展開される空間表現と楽音の立ち上がりの反応の速さ、
そして音像のサイズとエコー感の引き方などを短時間でチェックできるものだ。

進行としては年代順に次のような順番で再生しインプレッションを述べていく。
PAD  AC DOMINUS→ESOTERIC 8N-PC8100→TRANSPARENT PLMM→ESOTERIC 7N-PC9100

しかし、当然のことながら皆私がその時代に応じて最高レベルとして評価したもの
ばかりなのでランキングを付けようとは考えていない。

そして、一巡目、更に二巡目…、これは難しい^_^; 結局私は同じ曲を五回連続で
聴き比べることになってしまった!!それだけ各々のケーブルのレベルが高いもので
あり単純な減点法で採点出来るようなものではなかった。さて、これをどのように
表現すべきか?

楽音個々の大変微妙な相違点はその都度感じていたが、これから私が述べることは
極力客観的に分析し、その傾向の違いをかなり大きくデフォルメして語っていると
いうことでご理解頂きたい。また、各々のケーブルと楽音の傾向をリーグ戦の総当
りの勝敗表のような形式で表現しようとも思ったが、白か黒かマルかバツかという
見切った言い方では誤解が生じる。ほぼ同一レベルというものが表現できないので、
あくまでも感想としての主観的で比喩を交えた文章として述べることにした。


(1)ウッドベースのイメージとは!?

この曲の冒頭から直ちに始まるベースはイントロの部分でソロとして意識された
録音手法になっており、音量感も大き目で前後感もやや手前に押し出し、輪郭の
再現性もくっきりしている。しかし、ヴォーカルが入ってくると伴奏者としての
バランスを配慮してか、前後感も後方に一歩退き、またレベルも抑え目に調整され、
オフになった分だけ輪郭の出し方もちょっぴりソフトフォーカスに変化していく。

このような録音サイドのスタジオワークによって一個の楽音が曲の中間に変質して
いくということはよくあることだが、今回はイントロでの質感とヴォーカルと共存
しての両方に注視しながらチェックしていった。しかし、同じ曲を20回も繰り返し
て試聴するのだから物好きと言われても仕方ないだろう(笑)

まず、ベースというか低域の再現性に関しては四種類のケーブルは二本ずつ共通項
の質感を持っていることがわかってきた。PADとTRANSPARENTには類似するところが
ある。ベースの輪郭表現についてはアニメのような実線でくっきりと輪郭や色と色
の境目を描くのではなく、むしろ点線でやんわりと楽音の周囲を取り囲むような
表現をしている。これは楽音内部というか音のコアというか芯の部分に色があった
としたら、その内部の色彩が点線の隙間を抜け出すように周辺に染み出してくると
いうイメージだろうか。

例えるならば低域楽器の内部では音波の浸透圧が高いので、点線という継ぎ目から
微量な色合いが周囲の空気に対してもれ出ていくような、中間色のオーラを周囲に
まとった低音と言えるだろうか。そのグラデーションが濃厚な領域から淡白な領域
へとなだらかに拡散していく低音という感触がある。

さて、それに対して二本のESOTERICはウッドベースの輪郭にはくっきりと境界線と
して認知できる実線が描かれているようであり、楽音内部の色彩感が周囲に溶け
込んでいかないように包み込むような音波の保護膜があるようだ。
これは大変低域の楽音のシルエットを鮮明にするものであり、また固体感として
ベースのような弦楽器でもドラムのような打楽器の低音部でも、そのエネルギーが
無闇に散らばっていかないような包囲網を形成している。

これはスタジオ録音の様々な楽曲で確認しやすいものであり、ホール録音では解釈
によって好みが出るところだろう。簡単に言えば、周辺に溶け込むように微妙な
拡散を意図的にさせるものはオーケストラをはじめとするホール録音の臨場感に
つながるものとして歓迎されるかもしれない。低音楽器の発するホールエコーが
雰囲気として好ましく思える録音には良いと思うが、このような厳密な比較で
スタジオ録音のポップスでのリズム楽器では逆な選択もありえるということだ。

そして、この輪郭表現においてよりくっきりとしたエッジを描くのは8N-PC8100
よりも7N-PC9100であった。これは一対一の比較でも確認したものである。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次にベースや低音楽器の質感と言うか輪郭の中身についての分析だが、これも説明
しやすいように二本ずつに同類の傾向があると述べておきたい。
TRANSPARENTと8N-PC8100に関しては低音楽器の躍動感というかバイブレーションと
いうか、演奏者のエネルギー感として感じられる音量の微妙なスイング感が多少
抑えられた表現になっているようだ。演奏テクニックの抑揚というかノリというか、
ベースの発する音が時間経過に伴って脈動するような演出が少なく、どちらかと
言うと均一にコントロールされているような印象だ。もちろん、これも小さなこと
を相当拡大して述べているものなので誤解なきようお願いしたい。

そして、PADと7N-PC9100に関しては手綱を緩めた馬が自分の本能に基づいて思う
存分に筋肉を躍動させて全力疾走するときのような演奏の開放感というか躍動感が
随所に感じられた。特にPADでは他の三本とは毛色の違うベースを引き立て、演奏
を楽しませてくれるという演出効果があるようだった。これは長年使ってきた私で
も他社比較して初めて発見した特徴でもあり、電源ケーブルの個性と影響力の大き
さを今のように高度な比較が出来るライバルの登場によって再認識することが出来
たのだろうと思っている。手間ひまかけた実験だったが良い勉強になった。

そして、このような躍動感と重量感ある低音楽器の中身が、上述のように大変鮮明
でくっきりしたシルエットの衣装をまとっているのが7N-PC9100だとしたらどうだ
ろうか!! 最初の一巡では言葉に出来なかった印象をやっと五回繰り返しているう
ちに私の頭の中でイメージとして固まってきたものだ。いやはや大変だった。


(2)ヴォーカルの表情はいかに!!

五回も聴き続けるとレコーディングからマスタリングまでの過程でどのような演出
がなされているかが良く見えてくるものだと我ながら呆れ感心してしまった。
Kari Bremnesのヴォーカルもイントロでバックの演奏と出会うときにはリヴァーヴ
は浅くエコー感としては押さえ気味に録音されているが、後半ではスピーカーの
左右方向へ広がっていくお化粧が施されているのが面白く発見された。

しかし、時間経過に左右されない要素として歌手の口許のサイズ、これも言い換え
れば前述のように輪郭表現の個性という説明ができるものだ。ウッドベースでの
輪郭が実線と点線という違いがあり、各々に対する印象を述べているが、ちょうど
良いことにそっくり同じ例えでヴォーカルの違いも説明できるのである。

先ず、くっきり実線で輪郭が描かれているのは8N-PC8100と7N-PC9100であった。
これは私もヴォーカルの再現性で今まで何度も語ってきたことなので自分が追求し
ているハイエンドオーディオのあるべき方向性だと考えていることだ。

それは、音像のサイズは限りなく縮小しジャストフォーカスでにじみもなく、また
ヴォーカルの口許のサイズが凝縮されて歌手の周辺に空間が出来るということ。
逆説的に言えば、輪郭が不鮮明でフォーカスが甘い口許の表現では周囲の無音部分
との差別化が出来ずに大きな口が歌っているということになってしまう。その大口
が引き締まってくれれば、当然左右スピーカーの中間に空き地が出来るだろうと
いうことだ。

そして、その空き地に対して余韻感という水を撒いてあげることが出来れば演奏に
潤いが与えられ、同時に遠近感や空間表現も大きく拡大していく。しかし、システ
ムの能力が低いと微小信号のエコー感を最後まで忠実に再生できないので響きとい
う音楽にとって美味しい水を撒くことが出来ない。そうすると、単に細い音やせた
音として乾燥した弦楽器や声質になってしまい、聞き手にストレスを与えることに
なってしまう。

これが日頃から私が求めている方向性であり、この指針に関しては解釈の相違と
言うものはなく、ヴォーカルの音像に関しては縮小する傾向をケーブルでも
コンポーネントやスピーカーにおける判定でも同様にして追求しているものだ。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここで誤解のないように追記しておくことがある。それはPADとTRANSPARENT
はダメなのか!? という素朴な疑問だ。そして、それは全く問題ない範囲のことで
あり、前述のように相当デフォルメして述べているということと、相対的に傾向を
語ろうとしているための無理がここにあるということだ。

8N-PC8100と7N-PC9100はヴォーカルの輪郭をきっちりと実線で表したということに
対して、PADとTRANSPARENTは“一点鎖線”のように実線と点線のちょうど中間くら
いというイメージでご理解頂きたい。このように極めて微量に周辺に楽音の中身を
一種の余韻感として適量の放出をしていくさじ加減は聴き手にとっては美味しい
隠し味となるもので、私もこの程度の演出効果は肯定的に評価しているものだ。

さて、冒頭からしばらくのKari Bremnesのヴォーカルは上述のようにエコー感も
少なめで、幕開きの緊張感があるのかくっきりとした音像で歌い始める。この時点
で電源ケーブル四種類の個性を発見してやろうという努力をしたが、それは一回や
二回ではさすがの私でも中々ジャッジ出来なかった。五回目あたりからようやく
各々のケーブルの傾向を分類し整理し、また言葉での表現が出来るようになった。

ポイントはこの曲の後半でKari Bremnesがハミングでつづる間奏があり、その間は
バックバンドの腕の見せ所となっているのだが、再び彼女のヴォーカルが入って
くるとリヴァーヴが深くなってスピーカーの左右にエコー感が飛散していくように
演出が変わっていることに気が付く。大きな違いが出るのはこのような場面なのだ。

8N-PC8100と7N-PC9100がくっきりとして口許を再現していると述べたが、その口許
とエコー感の拡散領域の面積比が大きければ大きいほど好ましいと私は判定してい
る。なるべく客観的に述べようとしているのだが、これはブラインドテストを一般
の人に受けてもらうと仮定し、どこに注意して何をポイントに聞き分けてほしいと
私が解説した上で比較すれば、10人中7-8人くらいは8N-PC8100よりも7N-PC9100の
方が“おちょぼ口”であると手を上げるであろう事を断言する!!


(3)パーカッションの切れ味は!?

この曲では終始Finn Slettenのパーカッションがヴォーカルの背後で切れ味のいい
リズムを刻んでおり、しかも複数の打楽器を持ち替えての演奏で打音のバリエーシ
ョンが色々と楽しめる。そして、ここにも私はチェックポイントを置いていたのだ
が、これは大変難しいジャッジとなった。客観的に述べるつもりだが、結局は主観
による選択になるという分野であり、上記のヴォーカルのように私の目指す方向性
として一本化できないものだろう。

これらパーカッションは音像としてはどれも極めて小さいものであり、低音の打楽
器は使用されていない。従って、ここでは点として瞬間的にきらめくものであり
音像の輪郭という表現が適用できない。ではどうするか!?

私はここでは打音の瞬間の極めて短い時間軸の中で、その打音のエネルギー感に
遅れがあるかどうか、そして打音の後にエコー感はどうか、などをチェックした。

この打音のタイミングに対して音圧感がどうか、遅れがあるかどうかというのは
次のような印象からイメージして頂きたい。本当に瞬間的な打音に対して発する
べき音圧の追随性が高いと肉厚感のないキレのいい打音となるのが通常である。
しかし、高い周波数の打音に透明度を低くするような厚みが加わっているような
場合にはシグナルパスのどこかに信号の伝達を減速させるような要素があるのかも
しれない。そして、それは電源ケーブルによってコンポーネントのコンディション
が変化することで打音の質感にも個性が見え隠れしてくるのである。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここでは今までと違って四種類の電源ケーブルを二つに分類することには
ちょっと無理があると思われた。最低三つに分けないと誤解が生ずるだろう。

まずは8N-PC8100と7N-PC9100の両方をパーカッションの耳で聴く上で最も高速反応
とイメージできる音質であったと言える。音源としての点のサイズも最も小さく
引き絞られており、打撃の瞬間からエコー感として拡散していく減衰の過程が極め
てリニアに消滅し減衰していくのである。

打撃の瞬間から瞬きよりも短い時間で音圧としての出力のタイミングが遅れた場合
には打音に厚みというか肉付き感というか、叩く楽器のサイズが大きくなったよう
な錯覚を催すことがある。ハイハットやシンバルであれば金属の円盤の厚みが増し
たように、クラベスや拍子木のように木材の打楽器であれば湿気を含んでしまった
ような、ラテン楽器のギロのようなスティックで引っ掻くようなものであればステ
ィックが太くなったような、これらの例えでイメージして頂ければ何よりである。

8N-PC8100と7N-PC9100は他の二本と違って、金物は限りなく薄く、木の楽器は
見事に乾燥し、ギロのスティックは十分に硬質で適切な太さという感じだ!!

打撃の瞬間には厚みとして重なるものはなくすっきりしていて、その打音は湿気を
含んでいないので、そのまま空気と同じ比重なのかす〜っと中空にエコー感として
滞空時間を延ばしている。これも五回繰り返すうちに納得できる相違点として探し
出したものであり、衛星写真から地上の様子を分析するアナリストのように探す
ポイントをコツとして習得していないとわからないものだろう。とにかくいい!!

その次に分類したのがTRANSPARENTなのだが、どこが違うのかといえばパーカッシ
ョンの音像のサイズはアイソレーションの効用があってか同程度に凝縮されていて
何も不満はなく、エコー感の消え方もノイズフィルターの効果なのか見事にリニア
な消失過程を見せてくれる。

ただ、これも拡大解釈しての私の分析なのだが、8N-PC8100と7N-PC9100と比較する
と音像としてのドット、点の色というか重みというか、良い意味でエネルギー感を
感じてしまうのだ。

書道で例えれば、たっぷり墨を含んだ筆で漢数字の“一”を書くために半紙に筆を
降ろし、力を加えずにそのまま横方向にすーっとはらって行き、墨がなくなってい
くのに従って線が次第に細くなって消えていくのが先に述べた8N-PC8100と
7N-PC9100であろう。半紙に筆を下ろした瞬間が打音の始まりという意味で
イメージして頂ければ、こんな例えでエコー感のあり方も推測して頂けると思う。

さて、TRANSPARENTの場合には筆が半紙に接した瞬間にわずかに力が入り、タッチ
したところで一瞬線が太くなるのである。そのまま横に払っていくと最初の一点
では太くなったものが同様に細く消えていくまで線が延びていくのだが、この線と
例えたエコー感の長さは前者ふたつの同レベルと言えるので問題はない。しかし、
この最初の線の太さが筆使いとして好ましいものであり、肯定的に感じながらも
8N-PC8100と7N-PC9100との差別化をしたものだった。どうぞ誤解なきように!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

筆使いという例えを使ったので残るPADの個性が説明しやすくなった。なぜこれも
ひとつ独立して評価しなければならなかったか。これは起こった現象を音質から
言葉にするのではなく、逆に書道の例えからイメージして頂きたい。

PADでは筆に染み込ませた墨が硯の研ぎ方が足りなかったのか、ほんの微妙な水分
の含ませ方が多かったのか、筆を降ろしたポイントに黒々と塗りつぶされるはずの
墨の周辺にグレーというか水分が薄めてしまった痕跡を残してしまうようなのだ。
これは打音の瞬間から消滅までに例えた真横に筆を進ませていく過程で墨がなくな
って線が細くなっていくという例えに、その過程のどこでも同様に薄くなった黒の
名残りが付いて回るようなのだ。ただ私はこの現象も音楽を楽しんでいくというこ
とに対して、良い演出効果として雰囲気や臨場感として肯定的に考えているものだ。

メリハリということでは8N-PC8100と7N-PC9100が印象に残るのだが、このPADが
対極にあるとして中間にTRANSPARENTを置きたかったという心境をご理解頂きたい。

そして、最も墨が濃いと感じられたのは7N-PC9100だった!! 念のために(^^ゞ


(4)まとめとして

この7N-PC9100を最初にお知らせしたときに過去のリファレンスケーブルを超えて
いた!! と今になって思えば扇情的な表現をしてしまったものだと多少の後悔も
あり、過去にお勧めして多数の愛用者がある歴代のリファレンスACケーブルとの
対比でこれまでの3モデルのケーブルの価値観を下げるようなことがあってはいけ
ないと強く意識していたし、また現在でもそれらに対する評価はかわ変わることな
く推薦に値する音質であるということに変わりはない。

逆に言えば、それだけ過去に優秀な電源ケーブルを体験して来た私は将来登場する
であろう新製品に対しては評価のハードルを以前よりも高くしなければいけないと
いう思いがあった。そのために色々なアイソレーター効果のある電源関係の商品を
加えていく前に、上記3モデルとのケーブルだけの単純な比較からスタートしなけ
ればいけないという思いがあり、それが三者に対する敬意の表れになるだろうと
考えたものだ。個性はあれど品質としては大変優れたものであるということを再度
私はPAD、ESOTERIC、TRANSPARENTの名誉のために明記しておくことにする。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、今回の時間と手間ひまをかけた実験的な試聴によって改めて私は7N-PC9100
の素晴らしさを確認することが出来た。しかし、現在も販売を続けているPLMMの
1.5倍の価格であるということ、そしてPLMMの販売価格は7N-PC9100の半額であると
いうことでコストパフォーマンスという言葉を久しぶりに使うことにした。

そうです!! PLMMのポジションというものは大変貴重であり、またPI8やPIMMという
アイソレーターと共用すれば単体の7N-PC9100を上回るパフォーマンスが確実に
あり得るという確信があります。

これらを前提にして今回ウッドベースに代表される低音楽器の再現性、ヴォーカル
を中心にしてチェックしたものが他の主旋律を奏でる楽音にも共通する性格がある
ということ。最後に瞬間的な発音の打楽器に関しての分析が当然ピアノやギターの
質感にも通じるものとしてまとめることが出来ると思います。

たかが電源ケーブルですが、それどその重要性は皆様もよくご存知のはずです。
前号では時間の制約から結論を急いだ記事となってしまいましたが、今この段階で
は私の評価と分析には大きな自信が出来ました。



Vol.3「バーンインの進行に伴って見えてきたESOTERIC 7N-PC9100の潜在能力!!」

開発者のコメントによれば7N-PC9100には最低80-100時間のバーンインが必要だと
いうことだったが、その第一段階は前回のレポートでも述べていた。過去に採用
したH.A.L.のリファレンスACケーブルとの比較を厳密に行なうために選曲を絞り
込み慎重に細部をチェックしたものだったが、現在では200時間程度になった通電
時間を経て新たな展開が始まっていた!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

システム構成は四日前と全く同じで、同じ曲KARI BRAMNES/1. A Lover in Berlin
を今日になってからのコンディションで聴き直してみたのだが!?

「えっ、ちょっと待ってよ!! これじゃ前回の評価はなんだったの?」

冒頭からのGjermund Silsethのウッドベースは私に見せる表面積が更に小ぶりに
なっていて引き締まっている。そして、その音像にはどうやら風船のように中身に
空洞があり、そこにあたかもポンプで空気を吹き込んだように楽音そのものが盛り
上がり絵画から彫刻への変化といったら言いのだろうか立体感が誕生している。

パーカッションは更に切れ味を増しているのが感じられるが、これは楽音の厚みが
更に薄く軽くなったように反応速度が倍化しているようでエコー感が増長されてい
るのがわかる。エコー感の最終部分とは微弱信号の再現性によって維持されている
楽音のわずかな名残りであるはずが、ダイナミックレンジが下方に向かって拡大さ
れたことを示している。

不思議なことにノイズフロアーが低下しているのか、パーカッションの打音の立ち
上がりの発祥時間に何もマスクするものがなくなったせいか、空間に広がっていく
有様が色彩感の濃淡として私には観察できる。これは前回はなかったことだ!!

そして、Kari Bremnesのヴォーカルが入ってくると、センター定位のウッドベース
と同様な音像の立体感が彼女の声が浮き上がらされる。テーマパークのアトラクシ
ョンで色付きメガネをかけて見る3D映画のように、私に向かってヴォーカルがせり
出してくるリアルさに私は硬直して耳を傾けざるを得なかった!!

60、100、200時間とバーンインの過程を通じて熟成された7N-PC9100の潜在能力と
はこれほどのものだったのか!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今まではシンプルな編成の曲で、個々の楽音が空間の中でどのような振る舞いを
して音像と音場感を形成するのかに注視してきたが、ここまで来れば大編成の
オーケストラを聴きたくなるものだ。そこで定番の小澤征爾とボストン交響楽団に
よるマーラーの交響曲第一番「巨人」の第二楽章を聴くことにしてディスクを交換
して私も姿勢を正してトラック2のボタンを指先で押した。

「これはなんだ!!こんなボストンシンフォニーを聴いたことはないぞ!!」

オーケストラと言えばホールエコーの充実感をどうしても奥行き方向の展開で感じ
たいものだが、今まで聴いてきたステージ感とは次元の違う品位を最初から堂々と
私に見せ付けてきた。

上述の中に音像という風船に空気を入れてという比喩があったが、ここで私が体験
したことは音像ではなく音場感そのものを膨らませたというイメージなのだ。

左右のスピーカーを上から俯瞰したアングルでリスナーがスピーカーに向き合って
いるトライアングルが見えるとする。その二台のスピーカーが形成する音場感は
リスナーから見て奥行き方向へとオーケストラの配置が弧を描くように展開して
いる配置が私の印象だった。ところが、今日になってみるとたった1本の7N-PC9100
が熟成したことにより、奥行き方向だけに描いていた弧は手前側にも発生し、上か
ら見ると楕円形を描く音場感のイメージに拡大しているのである。それが音場感を
風船に例えて空気を入れて膨らませたという例えを何とかビジュアル的に表現した
いという思いだった。

弦楽器群は面として音像の在り方を感じるとは私は何度も述べてきた例えだが、
この時の弦楽器は左右のNEOを結んだスクリーン状の空間からではなく、オーケス
トラの情景をビデオプロジェクターでスクリーンに投影するという例えからすると
スクリーンに投射された音像の一つ一つがふっくらとした起伏によって眼前にせり
出してくるというイメージだろうか。

しかし、上述のベースやヴォーカルのように音像そのものが一定の大きさを持って
いて、同様にオーケストラの弦楽器群も平面から立体感へという変化を想像して
欲しいものだが、ここで特筆すべきはパーカッションやオーケストラの管楽器や
打楽器という点に近い音像の距離感はぐっとステージ奥に展開するという遠近感の
充実が同時に行なわれているということだ。これがスピーカーを上から見たときの
音場感が楕円形に膨らむというポイントなのである。

当然、このように距離感を培うものは楽音のエコー感の再現性とも関わってくる
ものであり、遠くに聞こえる楽音の正確な残響というものを7N-PC9100が支えて
いるという意味も含めてのことだ。

リスナーに向かって距離感を縮めるように迫ってくるもの、逆に楽音の性格から
遠近感を大きくするように定位ポイントを引き離して距離感を広げるものという
全体的な音場感の拡大がバーンインされた7N-PC9100によって表れてきたものだ。

しかも、たった1本だけで…だ!!

私はこれから試聴できる7N-PC9100の本数を増やし、更にTRANSPARENTのPIMMやPI8
というアイソレーターとのコンビネーションによって今以上の世界が見えてくる
ことに挑戦してみるつもりだ。さあ、忙しくなってくるぞ!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このESOTERIC 7N-PC9100の登場を受けて、私はハルズサークルを中心にして数々の
新企画を実施していくことにしました。ぜひハルズサークルにご入会下さい!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.co.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

戻る