発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2006年9月4日
No.444 「小編『音の細道』特別寄稿 *第54弾*」
H.A.L.'s Short Essay
「詳細分析試聴!! FM ACOUSTICSの魅力と個性を検証する!!」

Vol.1「H.A.L.流の検証で判明した個性とは!?FM ACOUSTICSの真価を今捉えた!!」

H.A.L.が現在のDyna 5555 7Fに拠点を移して早五年目。その間にもGOLDMUNDはたく
さん展示しているのに、なぜ今までFM ACOUSTICSがH.A.L.になかったのか!?
何を隠そうFM ACOUSTICSが初めて日本に輸入され始めた頃、当時最速で大きな販売
実績を出していたのは私でした。(^^ゞ それが何時の間に…^_^;

来店客のシンプルな質問に私なりの過去のエピソードと経験から、とオブラートに
包んだ受け答えを同じ年数重ねてきたものだった。そして、その間には同じスイス
製のGOLDMUNDではご存知のような体験に基づく評価とセールスの実績が多数あった
ことは既報の通り。

そこで、今年2006年8月25日、過ぎたことは割り切って、当店がオープンしてから
一度もH.A.L.で演奏したことのないFM ACOUSTICSのトップモデルを聴いてみようと
アクシス担当者と話し合いがもたれたものだった。そしてセットアップされたのは
これ!!http://dyna5555.cocolog-nifty.com/photos/secret/fm_266mk2115.html

今回導入したのは FM266MK2 (\6,500,000.)とFM115(\8,600,000.)のペアで、
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
セットしているのはドイツ製の超高級ラック、COPULARE TONBASENBAUのBRONZEで
現在の価格は税別210万円というもの。しっくりと馴染んだセッティングで満足。
http://www.cs-field.co.jp/copulare/copulare.htm


      ◆ FM ACOUSTICS inspection system Vol.1 ◆

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidium only
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Word-sync用 税別\240,000.)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.) +
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m  Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
TRANSPARENT  OPUS MM Balanced INTERCONNECT CABLE 2.0m *税別 240万円
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#OPUS MM
      ↓  
FM ACOUSTICS FM266MK2 (税別 \6,500,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      ↓  
JORMA PRIME Interconnects XLR 1.0m(税別\930,000.)
http://www.cs-field.co.jp/jormadesign/primeprice.htm
      ↓   
FM ACOUSTICS FM115 (税別 \8,600,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      ↓  
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓
MOSQUITO NEO (税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html


             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このセッティングを行い一晩のバーンインを行なって翌日早速の試聴開始。しかし、
そこで最初に聴いた音質にはいきなり失望。私が評価しているすべての項目で失格。
聴き続けるのも情けないほどのふがいなさに何らかの問題があるだろうとチェック
を進めていく。考えられるのはこれしかないな〜、と思いつつ電源の取り方を変更。

パワーアンプのFM115二台をTRANSPARENT PI8から取っていたものを別系統から、
そしてプリアンプFM266MK2を逆にPI8にと接続変更。同社のアンプは電源ケーブル
が本体から直接引き出されているので他社のACケーブルは使えない。

「さあ、どうだ。これでダメだったらやっぱり…、ということか!?」

その日は昼食を取る前に結論を出したかったので急いでセッティングを変更した。
すると!! 何と、これほど違うものか!! と激変!!

解像度、レンジ感、音場感、すべての項目で先ほどまでの音が嘘のように変わって
しまったではないか!! なんだ!そういうことか〜、と電源状況に敏感であるという
FM ACOUSTICSの性格を思い知ることになったが、ここからが驚きの体験となった!!

セッティングの妙というか電源の変更を行なった直後に観察された大きな変化が
私に安心感をもたらし、かつこれでなくては!!という価格相応の音質が出始めた
のだが、総論肯定・各論否定という部分的に納得がいかないところがまだあった。
更にもう一日バーンインを行なってみようと本格的な試聴は三日目に先送りした。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

まず小手調べということで、私のテストCDとして定番のマーラー交響曲第一番
「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団の第二楽章を聴き始めた。

「おー!! これはいい!! 素晴らしい!!」

昨日の各論否定の要素がなくなっている!! 弦楽器がほぐれていて柔軟性を含ませ、
金管楽器のストレスが消えている。そして、この曲を数え切れないほどNEOで聴い
てきた私が感じている、この質感とバランス感覚はいったいどうしたことか!?
NEOが見せた初めての表情に戸惑いと驚きを感じ、私の好奇心のシフトレバーが
セカンドから一気にトップギアに叩き込まれるきっかけとなった!!



Vol.2「無意識のドーピング!?FM ACOUSTICSの魅力とはこれだ!!」

定番のマーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団の第二楽章を
聴き進むうちに、私は過去の記憶と照合を行い何かが違うという感触が次第に
実感としてFM ACOUSTICSによるNEOの変化を確認することになった。

ボストン交響楽団のコントラバスの質感が重量感を増し、同時にその余韻感が
ホールに広がる領域を拡大している。雄大と言ってしまえば一言で済んでしまい
そうなものだが、それは管楽器の低音階の演奏にも通じオーケストラ全体にどっし
りとした好ましい重厚感を醸し出している。いい!!演奏の厚みがぐっと私を捉える。

更に、木管・金管を問わず管楽器奏者の肺活量が倍化したようにゆとりと力強さを
得て鳴り響き、NEOが得意とする音場感のフィールドをこれまでになく拡大してい
るのが好ましい。これらを総合すると、同じフロントエンドとスピーカーであるは
ずなのに演奏全体に満ち溢れるエネルギー感の増量というイメージが最も的確な
表現ではないかと私思わず膝を打った。しかし、これだけでは終わらなかった…。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

オーケストラにおけるバランスの変化はスタジオ録音で固有の楽音が鮮明に収録
されている曲で直ちに確認しなければ、とAvalon Acoustics“Isis”の検証で記憶
に新しい“Basia”を聴くことにした。

http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Basia/
http://www.basiaweb.com/

「 The Best Remixes 」Epic (Japan) ESCA-5164

http://members.tripod.com/~Basiafan/moreimages.html#remixes1

このディスクの一曲目、CRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX)がスタートさせた
瞬間に私は思わず叫んでいた!!

「嘘だろう!!おい、これは違いすぎるよ!!」

この曲の“Isis”の記憶との比較でスピーカーの違いということではなく、NEOが
こんな低域を叩き出すのか!?という驚きだった。特殊な方法でアルミとカーボン
ファイバーのボディーにマウントされたNEOの低域がどれほどハイスピードな低域
を叩き出すのか、ということは語り尽くしてきたし聴く人すべての実感でもある。
しかし、今ここで聴いているNEOの低域は過去のものと全くの別物という質感だ!!

まず、キックドラムのインパクトが前例のないほどハイスピードであり、その打音
としての継続時間は過去最高記録で圧縮されている。その重量感はウーファーの
振動板にマスウエイトを貼り付けたのではと錯覚するほど重々しい!!
こんなNEOの低域は聴いたことがない!!

そして、このリミックスで冒頭から40秒間に及ぶ打ち込みの鋭い切れ味、その高音
に肉厚なイメージが重なっているのでダイナミックなパーカッションが繰り返され、
その後に入ってきたエレキベースの質感を聴くともう私はノックダウンされていた。

このFM115は8オームで250W、重量はたったの22Kgだという。ここに居並ぶ他社の
パワーアンプの1/3の重量であり定格出力もそれほど大きなものではない。
しかし!! この高速反応の低域でのドライブ感はなんと言うことか!!

NEOのウーファーはエンクロージャー後方から特殊なガスシリンダーで30Kgの圧力
を受けてフロントバッフルに押し付けられている。一切ビスを使用しないドライ
バーの固定方法としては極めてユニークであるが、ネジ締めトルクの変化に一切
影響を受けないNEOの低域はエンクロージャーの個性的で合理的なデザインとあい
まって膨らまないハイスピードな低域を叩き出す。

要はスピーカー側できっちりとコントロールされている土台に、FM ACOUSTICSの
信じられないような低域のグリップ感とエネルギー感が追加され、NEOの育ての
親である私が全く知らなかった表情を見せ始めたのだ!!

Audio labの「THE DIALOGUE」から1. WITH BASS
http://www.octavia.co.jp/shouhin/audio_lab.htm

「Muse」からフィリッパ・ジョルダーノ 1.ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

 Fourplayの「The Best Of fourplay」(WPCR1214) 5.「Chant」
http://www.wbjazz.com/catalogRelease.cfm?relNum=192

などなど、次々に低域をチェックすべくディスクを交換していくと益々その変貌の
大きさが見えてくるではないか。これほどの固体感をもって展開するドラム、これ
程の重量感を持って響くベース、そして、「THE DIALOGUE」では中域にちりばめ
られたパーカッションの瞬発力が耳元で手を叩かれたような瞬間的な気圧変化を
鼓膜が捉えたような錯覚をもたらすほどに高速反応を示す!!これは前例がない!!

オーケストラではしなやかな弦楽器を聴かせていたのに、録音内容によってこれ
ほど劇的な変化をするとは誰が予想しただろうか。とにかくダイナミックでエネル
ギー感に溢れる、こんなNEOを私は初めて体験した。さあ、スタジオ録音での楽音
個々の鮮明さはわかった。では、ホール録音の旨味とスタジオ録音の良いところを
両方捉えている録音ではどうだろうか!? そこで、これも定番とディスクをかける。

http://www.kkv.no/ kirkelig Kulturverksted
(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)・Thirty Years’Fidelityより

7. Som en storm/Ole Paus/Oslo Kammerkor/Det begynner a bli et liv...(1998)
10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003)
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

NEOの音場感は聴く人を魅了する。特にヴォーカルとコーラスでは使い古された
「スピーカーが消える」という言葉を否が応でも私に突きつけてくるパフォーマ
ンスがある。そして、この分析には音源であるスピーカーユニットの点としての
位置関係と声楽としての各パートの位置関係をどのように聴き手に認識させるか
というポイントがある。

特に私が数え切れないほど聴き込んできた曲であるがゆえに、今までのNEOの変貌
に関連する新しい発見があった。いや、これも最初の印象を確認するために何度か
繰り返して聴くうちに過去の記憶との比較で微妙な差異が次第に浮かび上がって
来たのである。

今までは低域の楽音の圧倒的なダイナミックさと迫力に注意が傾いていたのか、
この曲を聴き始めてはたと気が付いたのはコーラスが展開する空間の前後感、
言い換えればコーラスの立ち位置がこれまでと違うということだった。

今までのアンプで演奏してきたNEOでは空間表現の美しさをスピーカー後方に、
更にはNEOのトゥイーターの位置関係よりも高い空間にエコー感を拡散し、その
中空に定位するか遠近法の消滅点として余韻感が消えていく空間の広さに心奪わ
れたものだった。

しかし、FM ACOUSTICSで聴き始めた7. Som en storm冒頭のコーラスは今までより
もずっと近い。ほぼNEOの頭上という表現で問題ないと思われる距離感にコーラス
が展開する。更にセンターに浮かぶOle PausのVoiceもぐっと手前にせり出して
来たようにNEOに一歩手前に定位する。この違いを確認するのは相当の熟練を要す
るものと自負しているが、聴き進むうちに各パートの楽音がすべて前進位置で聞こ
えてくるのを何も違和感なく受け入れていたということか。

パーカッションやギターのように切れ味が求められる楽音には前述のような妙味が
加わっており申し分ない。しかし、よくよく聴いていくとそれらのパートもバント
シフトをしく内野手のように打者からみた距離感はぐっと迫っているようだ。

10 Mitt hjerte alltid vankerの冒頭のRim Bannaのソロヴォーカルでも、注意
して聴くと左右NEOのトゥイーターよりも高く遠いところにあった彼女の口許の
位置関係は4メートルほどまで接近してきているようだ。しかし、オーケストラの
再生音でも好ましい質感として評価している弦楽器の演奏のように、彼女の発する
声の周囲には十分なエコー感が漂い潤いと空間の大きさをイメージさせるという
この曲で絶対に必要不可欠な情報提示は何の問題もなくFM ACOUSTICSは軽々とこな
している。空間表現の能力をきちんと有していながらにして私に迫ってくる演奏者
の位置関係は素直に迫力として受け取って間違いないだろう。

演奏者の背後にある空間の大きさをそのままに演奏者に接近させる、こんな一味
違った展開を私はNEOを通じてのFM ACOUSTICSの魅力として実感するのだった。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ホール録音のオーケストラでは弦楽器のしなやかな表現を難なくこなし、バスの充
実感でホールを満たし、管楽器の奏者にもスポットライトを当てたFM ACOUSTICS!!

スタジオ録音では打楽器とリズム楽器にほとばしるほどのエネルギー感を発揮して、
ダイナミックさと迫力をもたらすFM ACOUSTICS!!

教会という環境で録音された声楽とスタジオ録音のパートを巧妙に組み合わせて
魅惑的な世界を醸し出す「Thirty Years’Fidelity」では、楽音との距離感が他の
アンプよりも聴き手に接近するが、これは言い換えれば上述の二つのケースに
効果的に働きかけたFM ACOUSTICSの解釈と魅力として私は肯定的に考えている。

そして、圧倒的なインパクトの瞬間を力強く叩き出し、かつ私がハイエンドオーデ
ィオに求めるチェックポイントのすべてに上質のしなやかさをスピーカーにもたら
しているということは、他社に出来なかったオーディオ的ドーピングを巧妙に、
そして肯定的な美意識の元にFM ACOUSTICSが実現したということだろうか!!

皆様のスピーカーにFM ACOUSTICSをつなぐと、聴き手が潜在的に望んでいる美味さ
をオーディオ的ステロイドとして皆様のスピーカーに注入してくれることだろう。
この誘惑には副作用は伴わないので、どうぞご安心下さい。(^^ゞ

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、私はFM ACOUSTICSの真実を今になって恐ろしいほどに体験してしまったわけ
だが、これは現在の私だからこそ自信を持ってジャッジできたのではないかと考え
ている。それはFM ACOUSTICSとのブランクの数年間に実に多くの素晴らしいアンプ
の数々を聴き込んできたという体験から、過去のそれらとは一線を画する同社の
個性とパフォーマンスが記憶との照合によって的確に実感することが出来たという
ものだ。しかし、実はまだ私のFM ACOUSTICSの検証は終わっていなかった!!

今まで聴いてきたものが、たまたまFM266MK2とFM115というトップモデルだから
こそ、というのではブランドへの再評価ではなく固体への評価となってしまう。
これではFM ACOUSTICSを本当に理解したことにはならない。そこで…(^^ゞ

何と、FM411MK2  FM711 という二台の現役主力選手も本日導入した!!
http://www.axiss.co.jp/ffm.html

これによって、偶発的にトップモデルが私に与えたパフォーマンスの一例がたま
たま私を痺れさせたのか、あるいは同社の実力と個性として私はFM ACOUSTICSと
いうメーカーのアイデンティティーを感じたのかを納得できるまで検証することに
した。我ながらの物好きさ加減に半ば呆れてしまうが、明日は同社のステレオアン
プ二台を使って、どのようなインプレッションを受けるのか、どうぞご期待下さい。



Vol.3「物好きな比較か意義深いテストか!?FM ACOUSTICSの三兄弟を聴く!!」

昨日、FM411MK2とFM711の二台を搬入してから直ちに通電をはじめ、昨夜はとりあ
えずFM266MK2とFM711でバーンインCDをかけてFM411MK2は通電状態としていた。

しかし、同じスイス製でもGOLDMUNDなどのヘビー級アンプを扱いなれていて、かつ
他のメーカーのパワーアンプでもここで使用しているものは皆60キロ以上あるのが
当たり前という中でFM ACOUSTICSは何とも軽量であることか…。

FM411MK2ではFM115と同じ22Kg、FM711でも25Kgというのだから、こんな重さのアン
プからあのような低域が叩き出されるということ自体が本当に不思議である。

今日はいよいよFM115の弟分二機種を比較してやろうと昼食前にFM266MK2とFM711の
組み合わせで、そんな低域のインパクトが印象に残っている“Basia”から聴くこ
とにした。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

実は、昨日はちょっとだけFM711で同じ曲をセッティング直後に聴いたのだが、
その時にはやっぱりモノラルアンプのFM115が飛びぬけて別格なんだな〜、という
印象があったのだが、バーンインをしていない初日の音は当てにならないものだ。
それがどうなっているのか興味津々で弟分のFM711で聴き始めた。すると…

「おいおい!! これは只者じゃないぞ!! 」

FM115とFM711は8オームでの定格出力は同じで、負荷インピーダンスが低下してく
ると若干FM115の方が有利になるという程度で、ほとんどパワーは同じ。ゲインと
入力感度がわずかに違うが、それは私が求めるボリュームではあまり問題にならな
い。これまで何度となくFM115で聴いてきた一曲目CRUSING FOR BRUSINGのイントロ
で強烈なキックドラムの連打が出てきた瞬間に私は思わずうなっていた!!

そう、昨日の音はいったい何だったのか!! この冒頭のキックドラムの音像は昨日
の半分程度の面積にまで凝縮しており、アタックの立ち上がりの鋭さとテンション
の張り詰め方は正にFM115と瓜二つ、さすがの私でもこの時点では低域の反応だけ
を見てどちらの音かを言い当てるのは難しいほどだ。

そんな見事なFM711の第一印象から曲が進行していくが、楽器の数が増えて左右の
展開も華々しくなりヴォーカルが入ってくる時になると、わずかだか兄貴分の貫禄
を思い出すところが要所に感じられてくる。打ち込みの高音楽器の鋭さは同様なの
だが、兄貴分の方がその質感は聴きやすかったような、そしてスタジオワークの
巧みさでヴォーカルのエコー感の広がりが激しいリズム楽器の連打を超越するよう
にNEOの周辺に拡散していったものだが、その辺の微妙な空間表現のあり方はどう
してもモノラルアンプの方に分があるのかもしれない。

しかし、それもこの段階では昨日の記憶と現在の音という時間的なずれがあるので
私のレベルでも本当に微妙なところだ。これは言い換えればFM711が1ボディーの
ステレオアンプにして能力が想像以上ということだろう。過去には同じメーカーの
ステレオとモノラルアンプの同クラスのものを比較することもよくやったが、いず
れもモノラルアンプがチッェク項目のすべてに秀でていることが確認されるだけで、
逆転されることはなかった。しかし、FM711のこの鳴りっぷりは何としたことか!!

しばらく聴いていると、もしかしたらヴォーカルの音像はこちらの方が小粒なので
はという思いがわいてきて、空間への広がりではモノラルアンプが、センターでの
ヴォーカルという定位感の凝縮の濃厚さにはステレオアンプにも魅力がありそうだ
と考え始めた。いや、これは実感としては迷うところだろう!!

低域の再現性は互角という予想外のスタートに始まり、音場感か音像かという選択
で見つめていくと両者ともに微妙な個性を見せてくれる。ただし、これはここでの
環境とセッティングという条件の元に私が微細なところにまで注目し掘り下げて
無理やり何かしらの差別化をしなければという意識のものに言えるものだという
ことを追記しておきたい。もっと気軽に両者をブラインドで比較したら多分10人中
6-7人くらいはわからないかもしれない。それほどFM711は素晴らしいということだ。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあそれでは、いよいよ三兄弟の末っ子FM411MK2を鳴らしてみよう!!いきなり同じ
“Basia”という選曲では8オームで160WのFM411MK2では厳しいかも…、という予感
がしながらもパワーアンプのみを差し替える作業を進める。

そう言えば、FM ACOUSTICSが輸入開始されたころは同社のスピーカーケーブルまで
セットで販売しなくてはならず、その専用ケーブルがこれまた高価であったことを
思い出した。同社はもともとアメリカのスタジオ用アンプで評価を得て民生機を
作るようになったものだが、そのこだわりが当初は家庭用としてのアンプにも同様
に当てはめられ私も躊躇していたものだった。それをアクシスがアダプターとして
クロームメッキの高級な大型バナナプラグを製作し、他社のスピーカーケーブルを
使用できるようにしたものだった。まあ、GOLDMUNDのようにケーブルまで自社開発
していくという意気込みはわかるのだが、FM ACOUSTICSのフォースラインと称して
いたスピーカーケーブルにはあまり魅力と技術力を感じることはなかった。いや、
厳密に言えばスタジオでの使用には向いていたのかも知れないが、ハイファイを
追求する家庭用としてはどうだったか!?そんなアダプターを使っての配線を済ませ
プリアンプのボリュームは全く同じレベルにしておいて、さあFM411MK2の登場だ!!

「おっ!! なかなかやるじゃないかー!! 」

というのが第一印象。それは兄貴分の持っているテイストをしっかりと受け継いで
いるということが楽音の質感とバランスから直ちに感じられることだった。

しかし、曲が進むにつれて兄貴分との格差が否応なく顔を覗かせてくる。キック
ドラムの音像としての捕らえ方はOKだ。引き締まった輪郭表現とスピード感と
いうかアタックの早さとテンションもまずまず。しかし、重量感が足りない^_^;

小気味よく叩き出されるドラムには上級機と同様な要素が音像のサイズとしては
同様に、その周辺のシルエットの描き方もくっきりと対抗しているが、その中身と
して沈み込んでいくような重さと肉厚感が足りない!! これは贅沢な要求かもしれ
ないし、同じであったら価格差は無意味になってしまうだろうが、敏感に反応する
ここのシステムでは年の功は隠せないということだろうか。

だが、ヴォーカルが入ってきてチェロが彩りを添え、打ち込みの切れ味鋭いバック
の演奏が一段落してアコースティックな演奏が“Basia”の声質を包み込み始める
と違った側面が見えてきた。そう、ヴォーカルの聞かせ方には上級機とは違った
味わいというか、柔軟性を含みながら解像度を落とさないという小粋な計らいが
私にほっと一息つかせる。

しかし、そう言えば、FM411MK2は通電時間はFM711と同じだが、バーンインCDでは
鳴らしていない。そのハンディギャップがどこかにあるのではという疑いが私の
脳裏をよぎった。厳密な意味では、まだ対等ではないのでは!?

パワーアンプの比較試聴にどこまでの厳密さを求めるのか!? そのスタンスはあく
までも中立公平な方法を妥協してはならない。と、試しにFM411MK2に対してバーン
インCDを一度だけ回してから聴いてみると…!??

「おー!! これは何と言うことか!!」

通電しただけではパワーアンプの真実は引き出せない、知ってはいても時間がかか
ることだけに手を抜ければと思っていた私は、この自分の耳でわからない範囲での
手抜きを認めてしまおうかと思っていたが、たった一回のバーンインでこんなに
違うのであれば、やはり妥協は出来ない。これはまずい!!

ちょうど明日は定休日だ。今夜と明晩で納得出来るところまでバーンインしてから
再度試聴しないと判断を誤ってしまう。パワーアンプ二台に同じ条件のバーンイン
を施してから再度の検証ということで、今日は試聴を中断した。

こんなことばかりやっているから時間が足りないのだろう(笑)



Vol.4「遂に見極めました!?FM ACOUSTICSの三兄弟の個性と魅力のあり方!!」

FM411MK2とFM711の厳密な比較のためには同一条件でバーンインを行なわなければ
真実はわからない!!このためにほぼ70時間に渡りシステムエンハンサーを同時に
リピートさせて三日目、遂に私は納得できる両者の違いを発見することが出来た!!

締めくくりとして使用したシステムを再度おさらいのためにご紹介しておきたい。


       ◆ FM ACOUSTICS inspection system Vol.2 ◆

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidium only
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Word-sync用 税別\240,000.)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.) +
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m  Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
TRANSPARENT PLMM+PI8+PIMM(税別\996,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
      ↓
TRANSPARENT  OPUS MM Balanced INTERCONNECT CABLE 2.0m *税別 240万円
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#OPUS MM
      ↓  
FM ACOUSTICS FM266MK2 (税別 \6,500,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      ↓  
JORMA PRIME Interconnects XLR 1.0m(税別\930,000.)
http://www.cs-field.co.jp/jormadesign/primeprice.htm
      ↓   
FM ACOUSTICS FM115 (税別 \8,600,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      vs
FM ACOUSTICS FM711 (税別 \6,550,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      vs
FM ACOUSTICS FM411MK2(税別 \4,700,000.) 
http://www.axiss.co.jp/ffm.html
      ↓  
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓
MOSQUITO NEO (税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html


納得できればそれでいい。しかし、納得出来なければとことんやる!! そんな私の
こだわりは営業マンとしては不合理な時間の使い方をしているのかも知れない…と、
ちょっと冷めた目で自分を振り返って失笑してしまった私である。

同一メーカーのサイズ違いで価格違いでデザインは同じ、というアンプをこれほど
執拗に比較試聴して何になるのか?

いや、その違いを明確に解き明かして自分の記憶にファイリングしておくことが
お客様のためになるという自信と身勝手な好奇心の半々だろうか。しかし、今日は
その課題に確かな手応えと回答を見い出して今の心境はすっきりしている。(^^ゞ

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

完全に同一条件でバーンインをやり直したということには当然理由があった。毎回
試聴に使用している“Basia”などは勢いで聴けてしまうのだが、一昨日その次に
聴いたFM411MK2でのオーケストラの質感に私は大きな不満を感じてしまったからだ。

さあ、それではいよいよ準備OKということで、先ずはFM ACOUSTICSの個性を最初に
印象付けててれた“Basia”CRUSING FOR BRUSINGを確認のためにFM411MK2で聴き始
めた。

「おっ!! これはこれは〜、一昨日と違うじゃない!!」

ドラムマシンで合成されたと思われる各パートの打音の立ち上がり、切れ味は歴然
と同社の個性を示し、一昨日は重量感が微妙に兄貴分と異なると分析したが、今日
のコンディションでは更に差が縮まったようだ。NEOのセンターの中空にくっきり
と輪郭を認めて叩き出されるキックドラムの質感は何の迷いもなく明らかに一昨日
よりも質感を向上させている。これはいい!!

さあ、これからヴォーカルが入ってくるまでの2分間はこのリミックスの聴かせど
ころということで、切れのいいリズム楽器が展開する。もう、この時点でFM411MK2
だけを聴いていてもFM ACOUSTICSの個性の分析として最初に聴いたFM115で感じた
ことをそっくり相似形で提示してくれるので、今回の検証の目的は既に十分に達成
されたという安心感が湧き起こってきた。

「そうか〜、最初にFM115で感じたことはFM ACOUSTICSのどのパワーアンプでも
 共通の傾向として認識して間違いなさそうだ!!」

さあ、この課題曲で再度FM711を聴いてみよう!! と、パワーアンプだけを切り替え
再度席に戻って…

「う〜む…、間違いない!!」

やはり低域の重量感は兄貴分の方がある。これは断言できるのだが、この違いを
“重量感”という表現で片付けていいものかどうか? これにはまだ試聴が足りない。
実は、この時の分析が後になって効いて来る事に成る。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、FM711のままで一昨日ひっかかったマーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/
ボストン交響楽団の第二楽章を聴いてみよう。

「そうそう、これこれ!! FM115の再現性にほぼイコール、いやブラインドテストで
 両者を聞き分けるのは10人中一人くらいかもしれないぞ!!」

それほどの僅差であり、FM711の魅力が光る演奏だった。これを確認して前回私が
疑問を感じたFM411MK2でのオーケストラというチェックポイントを探るために再度
パワーアンプを切り替えてFM411MK2に。さあ、どうなるか!?

「あー!! 一昨日と全然違う!! これは合格だ!!」

弦楽器の質感に潤いがあり管楽器の鳴りっぷりにも余韻感がしっかりと定着し、
ホール録音というディティールを私が求めるレベルできっちりと再現している。
そう、これでなくてはいけない!! やはり、通電だけとバーンインCDを使っての
アンプ内部のコンディション作りには大きな違いがある。これをやらずして正確な
評価は出来なかったし、またそれをやって良かったという実感がわいてきた!!

だが…、待てよ〜!? FM411MK2で聴く弦楽器は確かにきれいに広がるのだが、楽音
の濃厚さとしては、これでいいものか? 打楽器も同様にホールエコーのあり方を
低域での余韻感として拡散させる方向性が感じられるが、これでいいのか?

楽音の質感に柔軟性がある…、という見方では確かに兄貴分よりはそうかもしれな
いが、やや音像が大きくなるのはなぜか? また、その音像の色合いが微妙に淡白に
感じられるのをそのまま受け流していいものか? オーケストラのような大編成、
そして振り返れば“Basia”のようにリズム楽器の激しさと迫力の演奏というもの
だけでは見えてこない何かがありそうだ。さて、どうするか!?

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ここで次なる選曲で私の求めるものをあぶりだしていこう、と次の二曲を連続して
二台のパワーアンプで比較することにした。最初はお馴染みの大貫妙子の「四季」。

先ほどの流れから最初はFM411MK2で、次にFM711でじっくりと演奏の流れを私の耳
でトレースしながら比較のためのチェックポイントを記憶していく。

「ふむふむ、なるほど…!!」

見えてきた答えに半分の自信が持ててきたが、その次はこれだ!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/433.html

ここでご紹介している“FAKiE”の前作のアルバム「Timeless」の6トラック目、
「月光」という曲を比較してみる。
この曲はヴォーカルの録音が大変素直な質感で伴奏もギターだけ、しかし、録音
サイドでは意識していなかったろう色々なチェックポイントがあるので重宝する。
ヴォーカルのKeicoが「月の光に…」と歌いだしてから冒頭の一分程度を執拗に
繰り返して両方のアンプで比較する。この曲は後半になると意図的にヴォーカルの
リヴァーヴを深くしてしまいカラオケのようなエコー感が付いてしまうので、その
部分まではチェックには使わない。もちろん曲としては最後まで楽しめるものだが。

「やっぱりそうかー!! これでつかめてきたぞ!!」

言葉に変換できる音質的な相違を確認しようと駄目押しの一曲をこれにした。

http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/
諏訪内晶子/詩 曲(ポエム)より3トラック目の3. ラロ:ギター 作品28 である。

諏訪内のストラディバリの質感と背後のオーケストラとの対比、右後方で一定の
リズムで叩かれるタンバリンの質感に注視する。

「うん!! 間違いない!!」

FM411MK2とFM711の違いがこれだけの時間をかけて浮き彫りになり、そして納得!!

私が最後に女性ヴォーカル二曲と、オーケストラを背景にしてソロで演奏される
ヴァイオリンの質感をチェックしたことで確信が得られた!!

FM411MK2とFM711の両者を十分にバーンインして相応のシステムと環境で厳密に
比較していくと次のようなことがわかってきた。

音場感と空間表現の再現性はほぼ互角、というか違いを見つけるのは私の指導で
特定の楽音の質感に注目するようにトレーニングしてからだったらわかる程度。
言い換えれば、エコー感と空間情報を提示する基点となる音像の鮮明さは互角。

ここで上述の“重量感”という言葉で比較してよいかどうか、という自分の発言に
対する適性を再度見直すことにした。それは“Basia”のような派手なスタジオ
録音だけを聴いていたのでは見つからないことであり、最後のヴォーカル二曲と
ヴァイオリンのソロをチェックしてみて断言出来るようになったポイントがある。

FM711はFM411MK2よりも音像の中身の色彩感が濃いのだ!!

例えば、ワープロソフトなどでも「網がけ」という文章の装飾法があるが、この
「網がけ」の濃さの段階をパーセントで示され、それを選択して実行するとどう
なるかは皆様もご存知だろう。

文字の周囲に細かいドットがどのくらい含まれるかで真っ白と真っ黒の中間の濃度
で変化を付けるものだ。視覚的に言うとこのようなものだが、FM411MK2を50%と
したらFM711は80%くらいの濃密感と言えるだろう。

同じ指定領域に対して「網がけ」の処理を施すということで音像のサイズは変化
せずに、色の濃さだけが違っているということだ。それを重量感として片付けて
しまうと低音楽器に対しては説明が付くが、ヴォーカルやソロのヴァイオリンで
は表現方法に困ってしまう。つまりはFM711とFM411MK2との比較では再生周波数の
高低に関係なく、音像の色彩感の濃淡に違いがあるということだ!!

もうひとつのわかりやすい例えとして、セルロイドでもビニールでもいいがサン
グラスのような色がついた半透明でうっすらとスモークがかかったような下敷きか
シートが三枚あったとしよう。そのシートの面積が楽音の音像と例えたい。

シート一枚では向こう側が透けて見える程度。しかし、同じものを二枚重ねると
途端に間違いなくその色が周囲から切り離されて違う色合いが空間にあるという
ことが認識できる。これがFM411MK2で感じた音像の濃密感としてイメージして頂け
ればと思う。

さあ、ここでモノラルアンプのFM115とほぼ互角としながら節約効果の大きな弟分
であるFM711は、同じシートを更にもう一枚重ねた時の色の濃さを音像の中にもた
らすということだ。一歩手前までは二枚のシートで周囲との差別化は明らかであり
音像の存在感十分に聴き手に認識される。全く問題ないし、上級機の表現力を正確
に引き継いでいるので音像の輪郭表現は素晴らしく明晰なのである。つまり、これ
だけを聴いていれば不満は起こらずにFM ACOUSTICSのテイストを十分に楽しめる!!

これは間違いないので断定できる。さて、FM ACOUSTICSは価格とランクにおいては
楽音のディティールを司る能力は見事な相似形で表現されるのでプロ用としてスタ
ジオモニターを駆動するという目的に大いに貢献した。これがコンシュマーモデル
においても同様に格差なく再現されることを大きなメリットとして、ハイエンド
スピーカーの駆動に対しては音像の色彩感における濃淡の違いを表現していると
いう結論に至った!!

この相違点については同じ性格を有するものだが、ユーザーの選択肢として好みの
音楽ジャンルに応じての判断が出来るものだろう。結論はFM411MK2とFM711両者と
もに私が今回の試聴で高く評価したFM115と共通のベクトルが間違いなくあるとい
うこと。そのベクトルの方向性に対して価格の段階において輪郭再現性という能力
は同一レベルであり、音像の内部に対する濃密さの個性があるということだ。

これを手がかりにFM ACOUSTICSの製品に対して皆様の関心を高めていただければ
何よりである。そして、FM ACOUSTICSはこの時点で数年ぶりに私が設定したH.A.L.
のハードルを越えているという確認の元にレギュラーとして試聴ラインアップに
一軍登録されたことを最後に報告しておきたい!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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