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2006年8月2日
No.441 「小編『音の細道』特別寄稿 *第53弾* 」
Vol.2「Love letter to“Isis”Vol.2 !!」

色艶を感じさせるセクシーなスピーカーとして強烈な印象で私を魅了した“Isis”
で次に何を聴こうか!? いや、この“Isis”だったらすべての音楽を魅力的に聴か
せてくれることはもう間違いない!!あとは時間の問題で今後の試聴が展開していく
ことでしょう。“Basia”のヴォーカルでセクシーな音を堪能してからというもの
今度は日本女性のヴォーカルで試してみたくなった。と、くればこの一曲でしょう。

私の長年の経験でもバイブル的な存在として多用してきた大貫妙子の22枚目のアル
バム"attraction"から5トラック目ご存知の「四季」がどうしても聴きたくなった。
http://www.toshiba-emi.co.jp/onuki/disco/index_j.htm


この曲のイントロは小倉博和のギターと高水健司のウッドベースで始まる。しかし、
このイントロからして過去の記憶とは一致しない!! “Isis”のボディーサイズに
して予測できないことが目の前で起こっている。それは音像の定位感です!!

アコースティックギターは左右のK-1のセンターとL/chの正に中間に浮かび、ウッ
ドベースはセンターとR/chの中間に定位する。簡単なようで中々このイントロでの
定位感がこのように中空に浮かぶというのは難しい。

“Isis”のダイヤモンド・トゥイーターのセンターは彼女の足元から145センチの
高さにあり、同じくセラミック・ダイヤフラムのミッドレンジのセンターは125セ
ンチという高みにある。正に“Isis”はその額に輝くダイヤモンドを埋め込んでい
るという図式だが、不思議にこの高さにユニットがあっても定位感の高低差はなく、
ヴォーカルの口許はミッドレンジのすぐ下あたり、彼女のちょうど首周りを一周
するような黒い境目当たりに定位するのがチャーミングだ!!

下手なシステムで聴くとギターとベースとも左右のスピーカーの軸上に貼り付いた
ようにまとわりつき、中々空中で音像を結ばないのだが“Isis”の身長152センチ
は日本女性のそれに同じくらいだろうか、このサイズにしても見事に空間に音像を
しっかりと定位させるのだから素晴らしい!!

さあ、“Isis”のボディーから、いや正確に言えば彼女のミッド・ハイレンジの
ドライバーだけからの音源によって見事な余韻感と音場感の広大さを示している
“Isis”のジャスト・センターからは、藤井珠緒がすーっと掲げたトライアングル
を絶妙の力加減で叩く。

この音色と質感を耳にして更に驚いた!!決して誇張感がなく金属質な響きではない。
トライアングルの打音の質感が実に素晴らしいということは他のスピーカーでも
同様なチェックポイントにしているが、このようにスタジオで収録されエンジニア
の感性でリヴァーヴをかけられたトライアングルの響きが、かくも長時間に渡り
減衰する時間軸を右方向に延長させるという再現性の素晴らしさが今までの記録を
更新してしまったようだ。ダイヤモンド・トゥイーターの魅力とはこれか!!

さあ、ここでいよいよ大貫妙子が登場するが、その歌詞に進行に伴って“Isis”で
新たな発見と驚きが続いたのです!!後述の◆マークのある行が歌詞ということです。


◆つないだ手に夏の匂い
◆海へと続く道

トライアングルの打音の直後いよいよ大貫妙子のヴォーカルが入ってきた。
このヴォーカルのポジションは中空に定位するギターとベースのまさにど真ん中。
私の持論である音像の面積は極小に、そして輪郭をきっちりとフォーカスも鮮明に、
そして楽音の周辺に出来上がった空き地というかスペースにふんだんにエコー感を
拡散していく。この理想像がこんなに簡単に出現したのだから私は狂喜した!!

◆光る波と ひとひらの雲
◆遠い蝉時雨

伴奏者の存在感を決して邪魔することなくヴォーカルが展開するが、そこで更に
驚きの未体験現象が私の耳に襲いかかる。それはヴォーカルのエコー感の広がり
方と消え方だろうか。

“Isis”のセンターの中空であたかもパッと傘を開いたイメージを思いついた。
傘の柄の細さがヴォーカルの口許の絞り込んだ音像であり、左右の“Isis”の両翼
にまで広がった傘を真横から見たように、色鮮やかな余韻感がピンと張り詰めた傘
のカーブのイメージで中心から左右へと広がっていく。山なりになった傘の中心は
厚く、左右に広がるにつれて薄くエコー感が滞空するイメージが鮮明であり、その
広大さは何と素晴らしいことか!!

http://www.axiss.co.jp/lwlineupDL.html

なるほど〜、このlumenwhiteのdiamond lightと同じミッドレンジとトゥイーター
と簡単には言えないようだ。外見は似ていてもトゥイーターまでもネオジウム・
マグネットを使用しているという特別仕様と“Isis”は本当に微細な余韻感まで
再現してくれる。これがニール・パテルの言うところのノイズフロアーの低さと
言うことだろうか!!とにかく余韻感の美しさと持続時間の長さには前例のない
素晴らしいものがある!!


◆山は燃えて草は枯れて
◆瞳は秋の色

このフレーズの直後にひそやかなピアノが登場する。センターのヴォーカルのやや
右後方に定位するように控えめな音量でゆったりとした演奏だが、その質感はくっ
きりとしているくせに他の伴奏者との混濁が一切ない。このセパレーションが凄い。
ニール・パテルはスピーカーエンクロージャーの共振を低くすることが命題だと
述べているが、混変調のない澄み渡るような分離感はスピーカーシステムの“Q”
つまり共振峰をどれだけ低下させるかというチャレンジを裏付けるものだ!!

◆風が立てば 心寒く
◆陽だまりの冬

この最後の"冬"の発声の直後に篠原ストリングスの弦楽器がチェロから入ってくる。
チェロが二人、ビオラ一人、そして篠崎正嗣ご本人を含め三人のヴァイオリンが
“Isis”の周囲の空間を見事に埋め尽くしていく。この展開は誰をも魅了する!!

しかし、一切他のパートとは混じり合うことなく、ギターのアルペジオはくっきり
と存在感を示し、ベースの豊かさは決してブーミーにはならず、ヴォーカルの背後
にポジションを取っている6人の篠原ストリングスが弧を描くように“Isis”の後
方に展開し、流れるようなアルコの繰り返しが空白を埋め尽くすようにヴォーカル
の背後に浸透していく。この弦楽器の質感たるや何と美しいことか!!

◆求め続け待ちぼうけの
◆あなたのいない季節
◆うけとめては とけて儚い
◆春のぼたん雪

“Isis”は決して小型スピーカーではないのだが、作り出す音場感の素晴らしさに
は敬服の念を思わせる美しさがある。頭頂部が鋭くカットされた“Isis”のデザイ
ンはダイヤモンド・トゥイーターの発する45KHzに及ぶ超高域の短い波長の音波も
自らのボディーと顔面に乱反射させることなく、更に吸音材を詰め込んだ独自の
グリルネットによってバッフル面での反射も軽減させ、フォーカス感の素晴らしさ
をこの巨体にしてモノにしている。これは凄い!!

◆水に落ちた 赤い花よ

このフレーズはまたまた編曲者の腕の見せ所だろうか。「ミ・ズ・ニ・オ・チ・
タ・ア・カ・イ・ハ・ナ・ヨ」このように日本語の読みの一文字ずつに伴奏者が
個々の音階で一音ずつ出し合い、ヴォーカルとのシンクロを演出する。そして、
大貫妙子の口から発せられる区切られた各音節のひとつずつの完了と同時にすべて
にきれいなエコー感が付随して伴奏者の余韻感に溶け込んでいくのが堪らない!!

この場面では更に区切られて発音されているはずのヴォーカルと個々のパートが
各々のエコー感を寄り添うように響かせながらも交じり合うことなく、“Isis”が
作り出した清浄な空気の中を漂うようにして拡散し消滅するまでを克明に聴かせる。
思わず背筋がぞくっとするような描写力の素晴らしさに私はただただ引きずられて
行くばかりだ!!

◆想いと流れてゆこうか

あっという間にここまでで1分54秒が経過するが、このフレーズの後は何とストリ
ングスだけの間奏になるという粋な展開。篠原ストリングスの弦楽器がたった六人
だけということを忘れさせてくれるような充実感が“Isis”によって発揮され、
ちょうど2分20秒まで流れるような弦楽器だけが空間を埋め尽くす。

その空間が“Isis”の右方と左右両翼へ溢れんばかりの余韻感を行き渡らせていく
情景は聴く人を引き込まずにはいないだろう。しかも、ここで注目されるのが穏や
かなタッチのチェロのアルコのはずなのに、その低音部のゆとりというか余韻感が
右側から発して左側の“Isis”にまで到達するという低域の余韻感の保存性がまた
素晴らしいことに目を剥いてしまった!!

◆さくらさくら★ 淡い夢よ★
◆散りゆく時を★知るの★
◆胸に残る★ 姿やさしい★ 愛した人よ★   ★   ★

さあ、いよいよサビの演奏に入っていくが、弦楽器だけのバックから再度ギター、
ベース、ピアノが参加してくる。そして、私も数々のテストでチェックポイントに
している楽音がここで登場してくる。本来は譜面にて示されるのだが、ここでは
歌詞の中に★印を付けてみた。

このタイミングで藤井珠緒がハンドベル"鈴"を鳴らすのだが、このハンドベルの定
位感と質感の両方がスピーカーによって大変異なって聴こえるのである。最も私が
驚かせられたのがハンドベルとの距離感の再現性だった。巨体に似合わない表現と
言うと“Isis”に失礼からも知れないが、彼女の頭頂部にある左右トゥイーターを
直線で結び、その真ん中から直角に後方へ線を延ばしたとしたら、そのT字型の
横線が3メートルに対して縦線は2メートルくらいだろうか。その縦線の先に距離は
あっても目に鮮やかなハンドベルが出現するのだから私の口許は緩みっぱなしだ!!

ハンドベルはグリップから木で出来ている棒状の本体にいわゆる鈴を10個から20個
くらい取り付けている単純な楽器だが、複数の鈴も一塊になって聴こえてしまうと
いう印象が残ってしまう経験もあった。そして、“Isis”ではハンドベルの質感に
更に驚かされる!!

そう、過去に聴いてきたハンドベルのイメージとは違い、一個の鈴の中にある球が
何回も鈴の内部を打つように響き、ハンドベルの音色にこれほど多彩な色彩感が
あったのかと驚かされる。更に、ベルの個数がこれほど多く感じられ、そのエコー
感がふんわりと漂っている。これには参った、初めて聴かされる質感と解像度に
私は何度目かの舌を巻かされる自分をあっけにとられて認めるばかりだった。

◆さようならと▲ さようならと▲
◆あなたは▲手をふる▲
◆鈴の音が▲唄いながら▲ 空を駆けてく▲  ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲

同様に▲印を付けたところで右チャンネル後方から藤井珠緒が今度はクラベスを
叩く。このクラベスの再現性もスピーカーによってかなりの違いがある。

驚きの連続は最後まで続く。このクラベスの打音では他社のスピーカーになかった
柔軟性というか、ふくよかな木の楽器という質感を何とダイヤモンドとセラミック
のドライバーが私の耳に心地よく響かせるという前代未聞の表現力が虚勢を張らな
い強烈な印象となって私の耳を通じて快感を大脳に直通させてくれた。凄い!!

虚空で発した15回を数えるクラベスの余韻感は、その発生ポイントから彗星のよう
な尾を引きながら右後方へと飛び去っていく。まったく音源がない中空における
ドラマチックな音波の発生と消滅は、“Isis”そのものが純粋にドライバーだけか
らの音波の放射を行なっているという究極の目標を実現したものだと私は感動して
しまった!!なぜか!?

上記のハンドベルで例えたT字型の縦線を直角から右に45度傾けて、その先端に
クラベスが火打石を叩き合わせるような一種の発光現象のように打音を立ち上げる。
しかし、瞬発力は超高速でありながらも鋭さは微塵もなく、逆に余韻感に滑らかさ
をコーティングするように光沢感あるエコー感が耳に残像を残しながら消えていく。

大貫妙子の「四季」はこうしてヴォーカルが終わりを告げ、クラベスとストリング
スだけのゆったりした"情緒的な余韻"に見送られて4分12秒のドラマに幕が引かれ
た。ごく普通の市販的なディスクでありながら、実に多様性のある検証と発見をさ
せてくれる課題曲は“Isis”システムで私に多数の初体験をさせてくれた。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ダイヤモンド・トゥイーターにセラミックドーム・ミッドレンジ、ノーメックス・
ケブラーコーンのウーファー と全く異質のドライバーを搭載する3ウェイの大型
スピーカーに、私はAvalon Acousticsのベストという認証を与えました!!

ところが、設計者であるニール・パテルはベストであるかどうかはユーザーが決め
ることと明言してはばからない。聞くところによると“Isis”の開発期間は4年と
も言える長さであり、ラストの18ヶ月は彼自身に相当きつい開発を行なってきた。

「IsisがAVALONのゴールに達したかどうかは第三者が評価をすべきでニール自身が
 述べることではない。しかし、ニールが完璧だと思うもの、そのための基準はす
 べて彼が持っている可能性を出し切ったと信じた時に完成したと感じるものだ」

ニール・パテルという人はエンジニアのくせにインタビューでは技術的なことは
あまり語らない。以前に会った時もそうだった。優秀で情熱的なエンジニアに時間
を与えることで何が起こるのか? 意図的な奇跡が起こったと私は最後に言いたい。

http://www.avalonacoustics.com/press04.html

聞けば、9年前に私がニール・パテルに会ったことを彼はまだ覚えていると言う。
次回、彼に会った時には“Isis”を前にして私はこう言うことだろう!!

「Congratulations!!」

“Isis”へのラブレターはまだまだ続きます!!

でも、私の語りよりも実際に聴いて頂ければ、ラブレターは不要になるでしょう。

ご来店をお待ちしています!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.co.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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