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2005年11月24日
No.384 「One point impression⇒大型フロアー型スピーカーはこうでなくちゃ!!」
One point impression⇒大型フロアー型スピーカーはこうでなくちゃ!!」

堂々たる姿の両雄がここにセッティングされた。
http://www.dynamicaudio.jp/file/051122/big2_speakers.jpg

両方共にスピーカーの中心軸となるトゥイーターの距離は約3.2メートル、私が
チューニングしたシートでのトゥイーターと耳の距離は約4.6メートル。このトラ
イアングルが共通となるセッティングが完了した。

ここで最も時間を費やしたのがAvantgarde  META PRIMOである。サブウーファーの
調整はクリックひとつの変化で微妙に変化し、かける曲のニュアンスと求める要素
によって何回も何回も繰り返し上記のトライアングルを歩き回り裏面のコントロー
ルパネルのスイッチを切り替える。

私は下記の随筆で述べているようにBASSHORNのチューニングではスタジオ録音の
低域がきっちりと輪郭を現すようにということを尊重してきたが、それはこの随筆
の写真31で見られるBASSHORNのコントロールパネルとMETA PRIMOでは肝心なところ
が違うということから始まった。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto51-03.html

そして、この随筆の中の図4でTRIO+BASSHORNの帯域分割を私がお手製の図示で解説
しているのだが、そもそもBASSHORNは60Hzから220Hzまでと自身の再生帯域が当初
から決まっているのである。

しかし、META PRIMOではこれに更に便利な? いや、言い換えれば調整がやっかいな
スイッチが設けられている。それはサブウーファーの動作帯域を三点のスイッチと
連続可変のノブによってユーザーが自分で設定できるという機能なのだ。

先ず、META PRIMOのサブウーファーのコントロールパネルにはレンジ切替スイッチ
がある。これは次のような設定を行う。

LOW  : 60Hz〜150Hz
MID  : 120Hz〜200Hz
HIGH : 170Hz〜250Hz

そして、更にこれに連動する形で FREQENCY ノブがあり、これはボリュームタイプ
で自由に小さなクリックで回転し1〜11までのステップがある。
仮にレンジスイッチでLOWを選択し、このノブを最小の1にするとサブウーファーの
クロスオーバー周波数は60Hzとなり、それ以下の帯域を再生する。また、最大の11
にすると150Hz以下を再生するということになるものだ。

これが調整の自由度を高く出来るものだが、同時に使い手の感性によって再生音の
質感を大きく変動させる要素ともなる。

私はBASSHORNを扱ってみて次のように述べていた。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次に"FREQUENCY"と"VOLUME"だが、言葉で言い換えれば"FREQUENCY"は楽音の質感に
関係するもの、"VOLUME"は文字通り低域の量感に関係するものとしてイメージして頂
きたい。

では、手始めに"FREQUENCY"は任意のポジションでかまわないので、"VOLUME"を
最大にしてアンプのボリュームを少しずつ上げていき、通常聴くレベルまで徐々に
上げていく。

当然これでは出すぎるわけで、派手にブンブンと低域が部屋中に響き渡るはずだ。
そこで、今度はそれを次第に絞り込んでいく。

この調整をするときにはオーケストラでバスが十分に演奏されているパートを使っ
て頂くのがポイントである。

このように絞り込んでいくということは、ミニマムから少しずつ上げていくという
操作で、低音不足というストレスを感じていると誰でもより多くの低音を出そうと
する意識が働くものだ。

しかし、最初から出すぎているという不自然さを認識した上で絞り込んでいけば、
一度経験した過剰な低域は節度をもって抑えていくという本能的な調整の方が不満
を残さないからである。

空腹のときに料理を注文して食べきれないという状況よりも、満腹にしてからスー
パーマーケットで夕食の買い出しに行った方が余計なものを買わないですむ…、
という例えは庶民的だが言い当てているところがあるものだ。

そして、中・高域の楽器群と比較して、この辺だろう…という"VOLUME"に設定して
から、今度は"FREQUENCY"を思い切って最小から最大まで変化させてみる。

もう、"VOLUME"という絶対量が決められているので、過剰に出すぎてサブウーフ
ァーを壊すということもないので、これはのびのびと思い切って試して頂きたい。

さて、ここで使用するディスクを換えて頂くのだが、この調整にはアコースティッ
クで極力シンプルな録音のウッドベースのソロパートを使用されることを推奨する。
 先ほど"FREQUENCY"は楽音の質感に関係すると述べている意味がここでわかって頂
けると思う。

"FREQUENCY"を徐々に上げていくと、最初は低音の量が増えてくるように思えるの
だが、実は人間の耳に最も感じやすい低域の周波数150Hzから400Hz程度の帯域に
サブウーファーの出力が表れてくるからなのである。

BASSHORNの場合には最高が220Hzとなっているが、このポジションではオクターブ
上の440Hzでは図4でも示しているようにマイナス12dBの減衰量があり、 後述する
がBASSHORNにかかるホーンロードもあるせいか、中高域のヴォーカルはまったくと
言って良いほど再生されない。

一般的なウーファーと本質的に違うので、むしろルームアコースティックを観察し
ながら明確な超低域の調整が単独で行えるものだ。

この"FREQUENCY"を上げすぎるとウッドベースが膨張して色彩感も薄くなり、制動
が利かずにピッチカートで弾かれた後も不要な残響が付きまとうようになってくる。
 瞬間的な打音を発するドラムでも同じことが言える。

これは前述のようにサブウーファーの再生帯域が低域ホーンの再生音と重複してく
ることによる違和感であり、BASSHORNではホーンの大きな開口面積全体からそのま
まドーンッと低域が出てくるようになる。

ウッドベースやドラムには倍音成分がたくさん含まれているので、単独の楽器とし
て観察することが容易であり選曲を換えて頂く目的もここにある。

これはどのサブウーファーでも同様だが、 "FREQUENCY"も上げていくという方向で
はなく、低域楽器の輪郭が鮮明になるように絞り込んでいくという方向で調整して
頂きたい。

量ではなく質感の調整と申し上げたが、このように最初は出すぎているように感じ
たベースが"FREQUENCY"を下げていくと膨らんでいた音像が次第に小さくまとまっ
ていき、 音像としてはこれ以上小さくならないと思えるポイントがあるのだ。

そして、そのポイントはディスクを換えて他の曲でも試しながら探って欲しい。

音像のスケールが変わらずに、低音楽器が今度は量的に不足感が出るほど絞りすぎ
てしまったら逆に少し戻すと言うことになる。ここで複数の曲を使用して欲しいと
いうのは、 プレーヤーによっても録音によってもベースの録音のスタイルには本
当に多くのバリエーションがあるからである。

ただ、ポイントは"VOLUME"の調整で使用したオーケストラのように多数の楽器での
演奏を用いないことである。

私はここでのBASSHORNの調整に関しては、ティアックでの初体験を思い出しながら、
ことさら低音楽器の輪郭が巨大なBASSHORNの前にくっきりと描かれるようにチュー
ニングした。前述の"SUB SONIC"は簡単に言えばローカット・フィルターであり、
この"FREQUENCY"はハイカット・フィルターであるので、アクティブ・サブウーフ
ァーは バンドパスフィルターを持ったパワーアンプで駆動されているということ
だ。当然ルームアコースティックによって大きく影響を受ける低域再生だが、 こ
の原理を思い浮かべれば、他社のアクティブ・ウーファーでも調整の参考になれば
何よりである。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このように前回のポイントは量的に大きな状態から絞り込んでいくことで低域の
質感をチェックしていくという方針だったのだが、気が付いてみるとMETA PRIMO
ではまったく反対の調整方法を行っていたのである。

それは上記のレンジはLOWとしてFREQENCYノブを1という最小値から聴き始めたとい
うことである。

BASSHORNのゴージャスな低域の鳴りっぷりから比較してもMETA PRIMOのサブウーフ
ァーは最初からストイックな鳴り方で、量的に絞り込んだ低域がハイスピードに
展開されるという第一印象があった。スタジオ録音の低域を音量を上げていく分
には爽快なのだが、オーケストラでのバランスはどう見ても低域の豊かさが不足
するという印象が強い。

そこで私はスタジオ録音への対応性はMETA PRIMOは最初から相当なレベルで低域の
輪郭を鮮明にする素質があると判断し、調整のポイントをオーケストラに置いた。

弦楽器のバスを聴きながら、徐々にクロスオーバーを上げていったのだ。

レンジLOWでFREQENCYノブを1から11まで聴きながら上げていく、次はレンジMIDで
同様に1から11まで上げていく。この過程でBASSHORNの時に感じた低音楽器のふく
らみがなぜか発生しない。それどころか、オーケストラにおけるコントラバスの
ピッチカートのようなホールに拡散していく低周波の余韻感が少しずつ見えてくる。

最終的にはレンジHIGHでFREQENCYノブは3というところがベストと私は判断した!!
このポジションでのクロスオーバー周波数は推定で200Hzといったところだろうか。

それはオーケストラの弦楽器群が低音階を奏でるときに、コントラバスやチェロ
などの楽音に厚みとゆとりを持たせ、空間をたゆたうような余韻感が次第に美しく
発揮されるようになってきたからだ。

サブウーファーのもうひとつの調整ノブとしてはボリュームがある。これは単純に
内蔵するパワーアンプのゲインを調整するものだが、これだけでは解決しない要素
が色々あることがわかってきた。これも1から11までのステップがあるが、上記の
設定を行って私は7というポジションを選択した。

さあ、オーケストラによってチューニングしたサブウーファーで、以前のBASSHORN
では出すぎてしまった低域がどうなるのか? 半信半疑でスタジオ録音の定番ディス
クを恐る恐るかけたみた…、すると!?

「おー!! これでも引き締まっているぞ!! そして、重量感たっぷりじゃないか!!」

なんとなんと、同じAvantgardeでもBASSHORNとまったく異なる性格がMETA PRIMOの
低域にはあったようだ。納得するまで数時間、これで私は自信を持って皆様を次回
の“エフコン”にご招待できるというものだ。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、ここで皆様に明後日の“エフコン”で私がかける曲をお知らせします。

昨年デビューしていたというのに今までまったく注目していなかったのだが、彼の
デビューアルバムの一曲目「Fever」を初めて聴いて一目惚れしてしまったものだ。

アルバムタイトルそのままで「MICHAEL BUBLE」をこれから当分皆様にお聞かせす
ることになるでしょう!! もう、何と言ってもカッコイイ!! (^^ゞ
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html


META PRIMOで聴くMICHAEL BUBLEのヴォーカルは正に目前に迫る迫力があり、
ホーン型スピーカーの面目躍如たるリアルさが素晴らしいです!!バックバンドの
ホーンセクションの切れ味は鋭く、かつ曲によってストリングスのしらべは流麗に
きらめき、まさに劇場の大スクリーンで歌手のアップを見ているようです。
これは凄い!!

どうも今回は苦労話でMETA PRIMOの紹介が長くなってしまったが、この同じ曲を
すぐさまGrande Utopia Beで聴いたときの印象は強烈でした!!

それはAvantgardeがあまりにも前衛的、もしくは革新的なのかもしれないが、実は
私たちが今まで体験したことのない領域のものであったということが反作用として
Grande Utopia Beの完成度の高さを如実に見せてくれるのです!!

同価格でありセッティングに必要な床面積もほぼ同じという強力なライバル比較は
スピーカーの個性がこれほどまでに幅広いものかと教えてくれるでしょう。そして
それを知っておくということが皆様の今後のオーディオライフにとって貴重な判断
材料になる生きた情報というものになるのです。

次回の“エフコン”は両者のシステムで同じ曲をかけるというシンプルな流れで
セッティング変更が少ないので楽な進行です。(^^ゞ

しかし、今回の比較試聴で体験できる世界は絶対に他ではありえないものです。
貴重な体験の目撃者として全国からのご来場をお待ちしております<m(__)m>


そして、11/25の“エフコン”のために今夜出発して上京されるという青森県の
会員からありがたいメールも頂戴しました。一日ここに滞在して全フロアーで
スピーカーを試聴し、将来のパートナーを探しに来られるというものです。
本当にありがたいものです。
全国の会員皆様もぜひぜひ本物を聴きに来て下さいませ<m(__)m>

そのためにも、先ずハルズサークルにご入会下さい。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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