発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


2005年5月24日
No.348 「新企画⇒H.A.L.'s documentary」
      Vol.1「DDDドライバーの包み込むような音場に魅かれて〜」
<< さいたま市 S様の場合 >>
*プロフィールは下記ハルズファンの投稿にてご覧下さい。

No.132  埼玉県さいたま市在住 H・S様 2003/2/10
    《ESOTERIC 論文コンクール応募作品 Vol.15》
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0132.pdf
*こちらの内容をご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。



〔1〕発端 2004/12/26 (日)

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S様
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ダイナミックオーディオ5555
 川又店長さま

さいたま市のSと申します。平素は大変お世話になっております。

いつもメールマガジンをお送りいただきありがとうございます。
毎回の配信を楽しみにしておりまして、数日配信がありませんと何か物足りない
気持ちで眠ることになります。毎回の執筆は大変と存じますが、ぜひ続けて頂け
ますよう一ファンとしてお願いいたします。さて。

dCS Purcell+Delius、P-0s、昨年のJRDG Model201と川又さまには大変お世話にな
りました。今回はスピーカーのお見積もりをお願いしたくメールを差し上げました。

年末でご多忙の折り大変恐縮ではございますが、メールでのご返信にて結構で
ございますのでよろしくお願いいたします。

ジャーマンフィジックス  Trobadour 40
    標準価格(税込み)525,000×2
アコースティックラボ Stella Novus ピアノブラック
    標準価格(税込み)840,000×2

DDDドライバーの包み込むような音場に魅かれてしまいました。
残念ながらSanduhrは大きさくて部屋に納めるのは無理とあきらめました。
Stella Novusは500Hzまで再生できてアンプ内蔵なので、手持ちのデジタル
パラメトリックイコライザで適切なカーブで補正してやれば、Trobadourと
うまくつないでやれそうな気がして、先日タイムロードの関根さまと
お話してまいりました。来年はこの組み合わせに挑戦したいと思っております。

また借金地獄にはまりそうですが、よろしくお願いします!


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川又
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S様ありがたいお言葉にお礼申し上げます。
これからも努力を惜しまず、がんばっていきたいと思います。
以下の件承知いたしました。

このようなプライスでいかがでしょうか?
具体的、かつ情熱的な取り組みありがとうございます。

今回の見積りですと、税込み合計は\2,***0,000.となりますが、近日中のご契約
と言うことであれば・・・あと10万円がんばって対応させて頂きますので、
ご検討のほどよろしくお願い致します。
ご返事をお待ちしております。


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S様
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ダイナミックオーディオ5555
  川又店長さま

 早速のお見積もりありがとうございました。
 1月にローンの手続き含めて再度ご相談させていただきたいと考えております。
 その節は何卒よろしくお願い申し上げます!!



〔2〕悩み 2005/04/09 (土)

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川又
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S様
いつもお世話になります。
昨日タイムロードの関根さんが来られて、S様はその後どうでしょうか、と気
にされていました(^^ゞ

私でお役に立てることがありましたら何なりとお申し付け下さい。
ご検討の程よろしくお願い致します。

先ずはご挨拶まで。


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S様
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平素は大変お世話になっております。
仕事の都合でメールをいただきながらご連絡が遅くなってしまいました。
失礼いたしました。

現在の状況ですが、Trobadourをメインに据えることは変わっていないのですが、
ウーハー部分をSTELLA NOVUSでいいのかどうかちょっと疑問が出て参りまして、
もう少し高域側まで伸びている通常のスピーカーとチャンデバでマルチアンプに
したほうがいいかな、などと考え出してしまい機種選定ができておりません。

ほとんどの帯域をTrobadourに任せるのであまり高級なスピーカーでなくともいい
かとも思いますが、低域が膨らんでしまうようでは困りますし....。
ある意味で楽しい悩みではありますが.....。

そんな次第で先日はJOBのお問い合わせを差し上げました。
(アンプを決めればいやでもスピーカーを決められるかなと思いまして)
4318あたりでとりあえずスタートするか....このクラスは一般的に川又さまの守備
範囲から外れているかと思いますが、おすすめのスピーカーがあればご教授いただ
ければ幸いに存じます。


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川又
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S様
いつもお世話になります。
お忙しいところご配慮頂きありがとうございました。

はい、状況はわかりました。
Trobadourは私の試聴室にあるスピーカーたちと合わせるような性格ではないので、
ここでは試したことはありませんでした。

では、私の方でちょっと推奨できるスピーカーを探してみましょう。
JBL 4318 のようなタイプでは私が過去に聴いたGERMAN PHYSIKSの音質的な傾向と
は違いすぎる感があり低域の質感はタイトで膨張しないものを推薦したいものです。

私がイメージしている音質を私が実際にここでコーディネイトしてトライしてみま
しょう。それで推選できる自信のあるものが見つかりましたらお知らせ致します。
私は何事にも自分で納得しないことにはお薦めはできませんから・・・。

タイムロード 関根さん 西さん
Trobadourのサンプルを私に貸して頂けるスケジュールを連絡下さい。
それに合わせて低域に使うスピーカーを独自に用意してみます。
よろしくお願い致します。


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S様
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関係各位さま

この度はわたくし一人のために皆さまからそれぞれのお立場でご厚意をいただき
お礼の言葉もございません。

ビジネスであることはもちろんですが、利益の追求を越えたところでの人の関わ
りとか、より良い音で音楽を聴きたいと志を同じくしている人の気持ちを感じる
ことができました。そのうえでビジネスが成立すれば、まさに商いの基本であり
理想のありかただとおもいます。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

取り急ぎメールいたしました。ありがとうございました。



〔3〕提案 2005/04/18 (月)

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川又
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S様 いつもお世話になります。

Trobadourを核としてシステム提案で私も色々と検討し、かつ結果的には私がここ
で演奏して推奨できる音質であることを納得してからS様に試聴して頂くというこ
とで下記のプランをアイデアとしてご提案いたします。

Trobadourとコーディネイトすべきスピーカーとして、私はサブウーファーとして
のジャンルではなく、そのもの自体で音楽性を考慮して開発されたものを使用すべ
きという考え方をしております。

サブウーファーは低域の量感と音圧を確保するために作られたものですが、音楽
再生については低音楽器そのものを再生するというよりは、それらの楽器よりも
低い周波数を再生する目的のものであり、Trobadourが追求しているシームレスな
音楽再生という目的には便宜的付けたしの低音というイメージを拭い去ることが
出来ないものです。

さて、このTrobadourですが・・・
http://www.timelord.co.jp/consumer-audio/apgpproducts.html

私が注目した点としては・・・

・サイズが直径26.4センチであるということ

・カットオフ周波数が240-320Hzの範囲で設定できること

・能率が84.5dBということ

・無指向性であること

これを考慮して、大口径のウーファーを依然として旧来の古い設計によるボックス
形状のデザインで作られたスピーカーで、かつバスレフポートによる低域の音像の
肥大化などを避けたいという狙いがあります。

そこで、私が目をつけたのが・・・・
http://www.ak-associates.co.jp/Model%209.html

AERIAL ACCOUSTICS MODEL 9 です。

・最初に価格的に1ペア180万円前後ということでご予算の上限に入ること

・サイズは幅28センチということでTrobadourを乗せた場合にも適当であること。
 ただしトップが傾斜しているので、Trobadourを乗せてからスペーサーなど
 の工夫でセッティングはつめる必要ありと考えている(アイデアはいくつかあり
 ます)

・コラムデザインということで低域の拡散性、指向性も広く取れるのでTrobadour
 の無指向性とマッチングが図れる

・バイワイヤー対応であり、ウーファーのクロスオーバー周波数350Hzという設定
 もちょうど良いつなぎとなること

・18センチという小口径ウーファーを4個使用し、当然応答性も良いのでTrobadour
 というベンディング・ウェーブ理論のユニットの特徴と一致すること

・能率は89dBとなっているが、これは1KHzでの能率であり、低域はそれよりも一般
 的には低くなるのでマッチングへの期待感もある

以上の想定から私はMODEL 9 とTrobadour 40でのコーディネイトを実験してみたい
と思います。

各社ご担当者へ、ご協力をよろしくお願い致します。


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S様
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川又さま

ご連絡ありがとうございます。
昨晩遅く帰宅しましてメールを拝見いたしましたところ、高級機でご提案いただい
てちょっと戸惑っておりました。(小心者です)

クロスオーバー周波数をみますと確かにつながりとしてはよさそうですね。
MODEL9のジャンパーケーブルを外してウーハー部にだけ信号を入力してあげれば、
ひょっとしてアンプを追加せずともパラレルで鳴らすことができるでしょうか。
お試しいただかないとこればかりはわからないですね〜。

結果が出るのを楽しみにお待ちします。とはいえ先立つものも必要ですね〜。

デバイダーとパワーアンプを別途準備することも頭に入れてあります。この場合は
スピーカーに割く予算が減ってしまいますけれども....。

いずれにいたしましても、本件は川又さまにお預けいたしますので、よろしくお願
いいたします。



〔4〕確信 2005/05/18 (水)

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川又
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S様

いつもお世話になります。

予定通りTrobadour 40とAERIAL ACCOUSTICS  MODEL 9を本日セッティングし、私が
半日かけて詳細なセッティングを行いましたのでご報告いたします。


1.AERIAL  MODEL 9の初期設定

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/tro40.html
上記リンクの写真でお分かりかと思いますが、AERIAL MODEL 9は底部のスパイク
を均等な長さで床に設置した場合にはスピーカーのトップは後方にいくにつれて
高くなり傾斜したデザインとなっています。

これを前後のスパイクの高さ調整を行い、写真のようにほぼ水平に近くなるところ
まで後方へ傾斜させてTrobadour 40を乗せても違和感のないレベルまで調整する
ことが出来ました。

また、昨日KRELL LAT-1000のレポートでも述べているようにスピーカーの仰角に
おけるセッティングでは有効な変化をもたらすものであり、後ほど述べる音質調整
に関してのプラス要素としてMODEL 9の床に対する角度を調整いたしました。


2.Trobadour 40の位置

次にパワーアンプの出力からTrobadour 40のネットワークボックスと MODEL 9に
対して二系統のスピーカーケーブルにて並列に接続し、とにかく音がでるように
して聴き始めました。このときの MODEL 9のバイワイヤーの入力端子はジャンパー
をはずしてウーファーのみの動作という状態です。

今回のプランニングではパワーアンプは一台としており、パラレルで接続するだけ
で簡単にセッティング出来ることもポイントとなっています。

まだラフな状態ですが、これで聴きながらMODEL 9のトップパネルの前後で最も
後ろにTrobadour 40をセットする場合と、MODEL 9のフロントバッフルの際まで
ぎりぎりに手前に出した場合と位置関係による違いをテストしました。

このMODEL 9のフロントバッフルの手前まで引き出しての再生音がヴォーカルでは
良かったのですが、色々な曲を試してみて写真のように中間位置からわずかに後ろ
寄りという位置を選びました。

また、これはお好みで選択できる要素なので私もそれほど固執しているわけでは
ありません。

しかし・・・この状態でも期待以上のマッチングが最初から見られました。


2.Trobadour 40のネットワークボックスの調整

次はTrobadour 40のネットワークボックスの調整です。
まず低域側のカットオフ周波数の選択ですが、これは320Hz -24dB/octから240Hz
-24dB/octまでの四段階をジャンパーの付け替えで選択できます。

これも試聴を何度も繰り返しながら私は240Hz -24dB/octを選択しました。

これはTrobadour 40の低域側の再生帯域を最も延長し伸びやかに鳴らす方向での
選択と言うことになります。

そして、次にはTrobadour 40の高域特性の選択もジャンパーによってフラットから
+2、+4、+6dBと四段階の選択が出来ます。

これも時間をかけてすべてのポジションで試聴し、私は+6dBを選択しました。

これはS様にも試聴して頂ければわかることなのですが、MODEL 9搭載の18センチ
という小口径ウーファー4個の出力エネルギーが想像以上に豊かであり、また私が
日頃聞いている他のスピーカーでのバランスを考慮しての調整と言うものです。

フラットでは明らかに高域の情報量が物足りないものがあり、+6dBで余韻感が大変
豊かになりました。


3.AERIAL   MODEL 9の駆動方法

私は今回フルレンジでAERIAL MODEL 9も聴き、ウーファーのみにしてTrobadour 40
と組み合わせ、更にTrobadour 40単体での再生音もチェックし、個々の状態ですべ
て確認しました。

AERIAL MODEL 9のウーファーのみ使用してTrobadour 40を上記のようなネット
ワークの調整を行ったうえで、ほぼ納得できる音質に仕上がりました。

この段階でS様に試聴して頂ける自信がもてたものです。

しかし、私のこだわりからすると、MODEL 9のウーファーのみの駆動ではディスク
の録音内容の種類によっては低音の上下の位置関係が中高音を受け持つTrobadour
40のポジションから少し距離感が出てしまう場面がありました。

ここでTrobadour 40を別の台に乗せてMODEL 9の手前に置くことも出来ますが、
せっかくの360度の指向性を考えるとすぐ後ろに反射物となるスピーカーを置きた
くないという気持ちもございます。

やはりTrobadour 40の開放感ある音場感の魅力を生かすためにも、その全周囲に
反射物を接近させたくないという気持ちがあり、写真のようにトップに乗せるしか
ないと思いました。

それから、AERIAL MODEL 9のウーファーのみ使用した場合には、そのウーファーの
受け持ち帯域の上の方とTrobadour 40のつながりをもっと高いレベルで実現できな
いかと考えました。

これは言い換えれば、ウーファー単体が出す低音楽器の高い周波数へ向けての連続
性を確保したいというものです。

そこで試しに MODEL 9の入力端子をジャンパーでショートしてフルレンジとして
鳴らし、それに上記の調整をしたTrobadour 40を組み合わせたところ、何と、これ
が一番自然で素晴らしい演奏が聴けるようになりました!!


MODEL 9のミッドレンジとトゥイーターが動作し始めたことで、そのウーファーの
質感が当然のことながら完成され、これには文句のつけようがないほどでした。

それにTrobadour 40の素晴らしい、そしてS様が惚れ込んだ360度への指向性と
音場感が加わってもまったく違和感がないのです。

確かに動作しているはずのMODEL 9のトゥイーターの存在感は丁寧に隠されていて
そこに高域の音源があるなどということは微塵も見せない調和がありました。

《後日のS様が来店されての試聴本番では、MODEL 9のトゥイーターにティッシュ
 ペーパーをセロテープで貼り付けてマスクする方法でバランスを取りました》

と言うよりも、中高域の定位感が明確になり、それに音場感が加わるという私も
初体験の演奏をしばし聴き入ってしまったものです。

これだったらS様に喜んでいただけるでしょう。

と言うよりも、当初S様がおっしゃっていたサブウーファーとしてのアコース
ティックラボStella Novus を組み合わせていたら失敗していた可能性を強く感じ
たものです。

当然Stella Novus には上記のような中高域の再生は出来ないわけであり、私も
自分でやってみてTrobadour 40の低域方向への自然なつなぎ方を考えた時には
MODEL 9のような調整方法が出来ないわけですから。

ということで、長くなりましたが私の選択から生まれたユニークなシステムが
S様の期待にお答えできそうだという確信を得ましたので早速ご報告いたしました。

今週末のご来店が可能であれば、ぜひお知らせ下さい。

また、ついでといっては何ですが、日本初公開になるTrobadour 90も金曜日には
入荷しますので、一緒にご覧頂ける予定です。

ぜひご返事をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


関係各社の皆様

今回は色々とご協力頂きありがとうございました。
新しいビジネスチャンスが見つかりましたので、これからのプロモーションの
一環として上記システムを提案していきたいと思います。
よろしくお願い致します。


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S様
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川又さま

勝手申し上げて本当にすみません。
それでは明日21日(土)15時30分から16時くらいにお邪魔させていただきたいと
思います。もし他の方と重なるようでしたらお知らせいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。



〔5〕感動 2005/05/21 (土)

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S様
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1st Impression

久しぶりに7FのKAWAMATA ROOMに訪問しました。

いつもは1Fでアクセサリーを「見るだけ」の悪い客になってました、
すみません m(vv)m

今日も川又さんににこやかに迎えていただきました。

スリムなMODEL 9のうえに、ちょこんとTrobadour 40が載っています。
横幅はほぼぴったりで、まさにそこにTrobadourを置くためにMODEL 9が作られてい
るようです。

MODEL 9は121センチ高あり、そのうえに40センチ高のTrobadourを載せたため、
全体の高さは160cmを越えます。

ちょっとTrobadourの位置が高すぎるのではないかという気がしましたが、この
ユニットは水平方向360度・垂直方向120度に音を放射するのですから、あえて耳の
高さにこだわる必要はないわけで、既製のトゥイーターの概念から脱しきれていな
い自分を叱責しました。

ジャーマン・フィジックスのUnicornというDDDドライバーとバックロードホーン
のシステムをご存知と思いますが、TrobadourとMODEl 9の組み合わせはよく似てい
ます。Unicornの恰幅のよい体型に比べて、TrobadourとMODEl 9の組み合わせは、
しなやかな若さを感じます。

Unicornでは構造上DDDドライバーがフロントバッフル寄りに取り付けられていまし
たが、TrobadourはMODEL 9の奥行き46センチに対して中心からやや後ろ側に載せら
れています。

第1曲目

川又チューンの組み合わせでの第1曲目はウイリアム・ロイド=ウェッバーの弦楽
セレナーデです。タイムロードさんの試聴室で、最終モデル前のSanduhrシステム
で聴かせてもらったことがありましたが、あの時も良かったのですが、川又チュー
ンはさらに凄いです。

川又チューンはMODEL 9をフルレンジで使っていましたので、川又さん自らMODEL 9
のジャンパーを外してくださり、Trobadour(240Hz -24dB/oct)+MODEL 9のウーフ
ァー部(350Hzから下)のみで音を出してみると....。

やっぱり中域から上がやや物足りない感じになってしまいます。

参考までにTrobadourを切り離し、MODEL 9を単体でフルレンジ駆動した音も聞かせ
ていただきました。定価185万円(ペア)のスピーカーシステムですよ、悪いはず
がありません。

容赦ないくらいにシャープな音像を描くタイプではなく、やさしく優雅な音場を
ほどほどのフォーカスで描くタイプとみました。
(数分の試聴なので別な一面も潜んでいるかもしれませんが)

これはTrobadourの360度に音を出すという特徴にマッチしそうです。

MODEL 9をフルレンジ駆動に戻し、Trobadourのカットオフ周波数はそのままで高域
特性を+6dBからフラットにしてみると....。

MODEL 9単体の音に近くなりました。
Trobadourの良さが薄くなってしまうんですね。

やっぱり+6dBがよさそうです。

続いて川又チューンの秘義をかいま見ました!

MODEL 9の2.5センチチタンドーム型トゥイーターを、物理的な方法で若干抑え気味
にしてみると.....。
《MODEL 9のトゥイーターにティッシュペーパーをセロテープで貼り付けてマスク
 する方法で高域の音圧をちょっぴり減衰させバランスを取りました。川又より》

最初にややまぶしい傾向を感じた高域が実に滑らかになったではありませんか。

真夏の直射日光のギラつきが消えて、秋の澄んだ日ざしのようです。
これはいいです!
 
第2曲目以降

ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲は、ピアノがとても自然に聞こえま
した。シセル・シルシェブー、フリッパ・ジョルダーノの女性ボーカルは、子音が
きつすぎることなく、音量を上げてもやかましいと感じませんでした。

たまたまポール・サイモンのアルバム「独り言」(紙ジャケでない旧盤)が置いて
あったので、拝借しました。70年代の録音のCDですが、Trobadour +MODEL 9のシス
テムではとても新鮮な印象で楽しめました。CDも奥が深いなーと再認識しました。

コンポーネント組み合わせの楽しみ

完成品を買ってきて据え付ければ良い音が出るというほど、オーディオの世界は
甘くないことを諸兄は十二分にご存知じで、それをどうやって理想の音に近づけ
るか、日夜大変な努力をされていると思います。

Trobadourのようなユニットと他のスピーカーシステムを希望の音に近づけるため
には、単体システムのチューニングと比べて数倍の手間ひまがかかるのは間違いあ
りません。
でもいったん始めてしまったら、それがまた楽しくて抜け出せなくなりそうです。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

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川又
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S様 この度のご来店本当にありがとうございました。
そして、私も悩みに悩み、そしてトライしたまったく新しいTrobadour 40とAERIAL
 ACCOUSTICS MODEL 9のペアリングが想像以上に上手くいってくれたこととS様が
感動して下さったことが何よりもうれしく思われます。

その証拠には本日頂戴したS様のメールには…。

「私事ですが、フィリッパ・ジョルダーノのモリコーネの曲を聴いていたら、
 肝臓癌で先日亡くなった同僚のご尊父のことを思い不覚にも涙がでてしまい
 ました。」

という一節があり、オーディオと音楽が私たちの情緒感にいかに大きな影響と感動
を提供してくれるかという思いに私も胸が熱くなりました。
一滴の涙でもS様に感動を与えることが出来たということは最大の賛辞としてうれ
しく思われたものでした。重ねてお礼申し上げます。

そして、その続きが…。

「一方で、Model9は部屋に収まるかなとか、資金繰りはどうしようかなとか思って
 いる自分も居て、帰宅後さっそくメジャーを取り出して寸法を測ったりして人間
 ってつくづく身勝手だなとも思った次第です。」

いえいえ、とんでもないです。(笑)
思えば昨年末に頂戴したメールからまったく別のプランへの展開もあったりしなが
ら、ここまでたどり着けたことは今になって思えばとても自然な流れであり、そし
てS様が受け入れのためにあれこれと思案して下さるのも極めて自然な成り行きだ
と思います。

それは、惚れ込んだTrobadourは単体では機能せず、それにふさわしいパートナー
が感動という体験に基づいて発見できたわけであり、既製品ではありえない満足感
が得られたという事実に他なりません。

今回はS様と同じレベルで私もこの仕事を通じての満足感を感じさせて頂きました。
本当にありがとうございました。 これからのS様の人生に乾杯!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

◇これは皆様から寄せられたシステム構築に関するご相談において、お客様と
 私とのやり取りからまったく新しい“音”の可能性が実現するまでの記録です。

◇他の会員の皆様にも十分に参考になるエピソードなので、お客様の了解を頂き
 公開させて頂きました。

◇読んでためになる実録のドキュメントを新企画として皆様にも楽しんで頂ければ
 と思います。

ハルズサークルでは会員の皆様の喜びと満足をご提供したいと願っています。
とても、気さくなメールマガジンですから、どうぞ気軽にご入会下さい。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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