発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


2005年5月17日
No.346 小編『音の細道』特別寄稿 *第45弾* 
      「感動のデジタル伝送!! 期待以上のパフォーマンスを聴かせるbehold の魅力!!」

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/343.html
ここで予告していた新進気鋭の新ブランドbeholdを初めて耳にした瞬間から私を
虜にしてしまった音。予想以上の感動が私に興奮と使命感を与えた!! 

「この音を少しでも早く、多くの皆様にお聴かせしたい!!」という使命感だ。



               1.behold プロフィール     

                           
behold は1985年以来、ドイツのエアランゲンを本拠地として6GHzに及ぶ最も複雑
な高周波ネットワーク・アナライザーを製造してきたバルマン・エレクトロニカを
母体とするハイエンド・デジタル・オーディオ・システムのブランドである。

測定器テクノロジーの王道と言われる高周波ネットワーク・アナライザーの分野で
得た膨大なノウハウに基づいて768kHzアップ・サンプリング・テクノロジーを開発
し、かってない精度のデジタル・オーディオ再生を実現した。

behold は、オーディオ帯域はもちろん、通信帯域からDSPテクノロジーに至るまで
最新の測定技術を装備し、開発におけるすべての段階でこれをフルに活用している。
また、beholdのソフトウェア・エンジニアはアッセンブラーを用いたDSPの高速
プログラムに習熟し、これにより768kHzアップ・サンプリング時の非常に容量の
大きなオーディオ・データのデジタル処理も可能とした。

behold製品はすべて、ユニークなユーザー・インターフェースを備え、非常に簡単
な操作で高度なシステムの音を楽しむことができる。
また、モジュールによるアップ・グレードも可能で、システムのソフト・ウェアも
無料でインターネット上からダウン・ロードできる。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

beholdは、文化的遺産である音楽はコストを無視しても最良の方法で保存され、再
現されるべきであるという信念のもとに設立された。また、最新テクノロジーと設
計思想によって実現したbehold製品は、家庭における音楽再生のクオリティを著し
く改善するものと確信している。

音楽を本物のように再生することに常にこだわり続け、その根底となる理念は精密
な測定器のように製造されたbehold製品は、アナログ・レコード、CD、SACD、DVDな
どのメディアに保存されたデータをデリケートなニュアンスに至るまで生々しく
引き出すことができなければならない。

behold製品の開発においては、パーツやシャーシー構造に関して現時点で入手可能
なもっとも進んだテクノロジーを採用して、その頂点を極めました。

beholdのエンジニアたちは、創造的な設計によって音楽のための測定器とも呼べる
精巧なオーディオ機器を創り出すことを目標に、緊密な協力関係の下に日夜、努力
を重ねています。このためには、もっとも進んだ電子回路技術、工業技術および機
械エンジニアリングが最新のCADデザイン・ツールとともに駆使されています。

behold製品の設計・製造はすべてドイツ国内で行われており、behold製品は想像を
はるかに超えるほどの高い品質を誇っている。



    2.APU768 モジュール方式デジタル・オーディオプロセッサーの概要  

http://www.behold-highend.de/page.php?en331000

behold のAPU768はモジュール方式を採用した全く新しいコンセプトのデジタル・
オーディオ・プロセッサーだ。プラグイン・モジュールにより必要な機能が自由に
選択でき、モジュールの追加によってアップ・グレードも簡単にできる。

高速パラレル・バスを採用したAPU768には、最大で14のモジュールが装着可能。
このパラレル・バスには、完全に独立したデジタル・コントロール信号と前代未聞
の786kHzアップ・サンプリング/24ビットの高速オーディオ信号が伝送される。

これにより別の部屋で異なるソースを再生するということまでも可能となり、シス
テムの操作はすべてフロント・パネルの大型ディスプレー上で行うことができる。

Ericsson社、IBM社、Intel社、Nokia社、東芝の5社が中心となって提唱している
携帯情報機器向けの無線通信技術であるBluetoothをリモコンに採用しており、
双方向無線通信機能を備えたPDAを採用し、通常の赤外線リモコンでは得られない
快適な操作性を実現している。

APU768は、BPA768パワーアンプなどのbehold製品とのデジタル接続が理想的だが、
オプションのデジタル/アナログ入出力モジュールをマウントすることにより、
他ブランド製品との組み合わせにおいても十分にその威力を発揮する。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

APU768の特徴をポイントごとに整理してみると次のようになる。

・通常のデジタル・オーディオ信号サンプリング周波数の16倍に相当する768kHz
 アップ・サンプリング周波数を採用。24ビット分解能DACの使用と相まって限り
 なくアナログに近い再生音を実現。

・自由にシステム構築ができるモジュール方式を採用。目的に合ったデジタル/
 アナログ入出力モジュールを選択することによって必要な機能のみを備えた
 最高峰デジタル・プリアンプが完成。

・モジュール間の接続にはコントロール信号とオーディオ信号を完全に独立して
 伝送できる高速パラレル・バスを採用。これにより、768kHz/24ビットの大容量
 オーディオ信号が最大4チャンネルまで高速伝送可能。

・最高の音質を備えた2chステレオ再生に加えて、オプションのモジュールを追加 
  することにより、5.1chから7.1chまでの再生にも対応。

・フロント・パネルの大型ディスプレーに表示されるプルダウン・メニューにより、
 システムの集中コントロールを実現。また、Bluetooth双方向無線通信機能を
 備えたリモコンにより、どのような位置からでも快適に本体と同じ操作が可能。

・USB1.1インターフェースの装備により、コンピュータを用いた高音質録音が可能。
 また、インターネットから無料でダウン・ロードできるソフト・ウェアによる
 内蔵プログラムのアップ・デートもUSB接続によって可能。

・電源部を別筐体に分離して信号処理部への干渉を追放。

・SMAタイプの高品質デジタル接続ケーブル(50Ω)を採用。

・専用ソフトウェア myAPU により、各モジュールの詳細設定およびソフト・ウェ
 アのアップ・デートが可能。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

APU768標準装備モジュール

* ODI768 デジタル入力モジュール
http://www.behold-highend.de/page.php?en331110
RCA同軸デジタル入力端子とToslinkオプティカル入力端子をそれぞれ4系統、装備
したデジタル入力モジュール。32kHzから192kHzまでの入力サンプリング周波数に
対応し、内部処理は768kHzアップ・サンプリング周波数で行なわれる。

* DAC192 プリアウト・モジュール
http://www.behold-highend.de/page.php?en331160
XLRバランス出力とRCAアンバランス出力を装備し、ボリュームなどのコントロール
機能も内蔵しているためパワーアンプにダイレクトに接続可能。
内部のD/A変換処理はSACDと同じ192kHzサンプリング周波数で行われる。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次のオプション・モジュールの追加により、APU768の機能がさらに拡張できる。

* ADC192 アナログ入力モジュール
http://www.behold-highend.de/page.php?en331120
8chのアナログ入力端子により、4系統ステレオ入力またはSACDマルチ・チャンネル
などの7.1chまでの入力に対応。内部のA/D変換処理は192kHz/24ビットで行われ、
さらにDSPにより768kHzにアップ・サンプリングされる。

* DIO768 デジタル入出力モジュール
http://www.behold-highend.de/page.php?en331130
XLRバランス、RCA同軸、Toslinkオプティカルの入出力端子により32kHzから108kHz
までの入力サンプリング周波数に対応。内部処理は768kHzアップ・サンプリング
周波数で行い、出力のサンプリング周波数は44.1kHz、48kHz、96kHzから選択可能。

* SDO768 シリアル・データ出力モジュール
http://www.behold-highend.de/page.php?en331150
beholdのBPA768パワーアンプまたはDAC768モノラルDAコンバーター用の出力モジ
ュール。768kHz/24ビットのデジタル・データと独立したコントロール・データの
伝送により、ステレオ/モノラル動作の切り換えやボリューム操作が可能。

* SDI768 フォノ・デジタル入力モジュール(MCA768/MCK768とセット)
http://www.behold-highend.de/page.php?en331140
MCカートリッジ用ADコンバーターMCA768とそのクロック/電源供給ユニットMCK768
からのデジタル信号を接続するモジュール。これによりアナログ・レコードの高音
質再生が可能。

* CDP768 専用CDトランスポート入力モジュール 
http://www.behold-highend.de/page.php?en331170
beholdのCDトランスポートを接続し768kHz/24ビット信号処理、CDトランスポート
の操作コントロール、電源供給までを可能とするモジュール。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

APU768 デジタル・オーディオ・プロセッサー 主な仕様

オーディオ・バス・サンプリング周波数------------------------768kHz

オーディオ・バス数----------------------2(プライマリー/セカンダリー各1)

オーディオ・バス・ビット数------------------------24ビットx2 (1バス)

オーディオ・バス動作周波数------------------------49.152MHz (1024x48kHz)

オーディオ・バス・データ・レート------------------------24.576MBd

PCインターフェース------------------------USB1.1

USB1.1オーディオ・サンプリング周波数・・・48kHz、96kHz、192kHz  2x16bit stereo

モジュール・スロット数------------------------14 (最大)

ディスプレー------------------------240x120ピクセル、ブルー/ホワイト液晶

リモコン------------------------ブルートゥース無線による双方向通信

外形寸法(W×H×D)------------------------484×132×320mm (本体)
                                     184×52×110mm (電源部)

重量------------------------13kg(本体)  1.3kg (電源部)

本体予価(税別)------------------------\2,650,000
(ODI768 デジタル入力モジュール、DAC192 プリアウト・モジュール標準装備)


                        オプション・モジュール

ADC192(アナログ入力モジュール)\470,000予価(税別)      

DAC192 (プリアウト・モジュール) \380,000

ODI768(デジタル入力モジュール) \320,000

DIO768 (デジタル入出力モジュール) \300,000

SDO768(シリアル・データ出力モジュール) \380,000

 MCA768/MCK768/SDI768(フォノ・モジュール・セット) \1,000,000



          3.BPA768 DAC内蔵パワーアンプの概要
         
BPA768は、APU768デジタル・オーディオ・プロセッサーからの768kHz/24ビットの
オーディオ・データをそのままの分解能でD/A変換し、2ペアの完全にバランスした
アナログ出力段から成るブリッジ構成アンプで増幅するステレオ/モノラル・
パワーアンプである。

D/Aコンバーターを内蔵することによりアンプ出力直前までのデジタル伝送が可能
となり、アナログ伝送による音質劣化を最小限とした。さらに、デジタル信号演算
によりアナログ出力段への入力信号に応じた最適な電圧と電流を供給する高効率増
幅回路、パワーコンディショナーの機能を兼ね備えたスイッチング電源の採用によ
りコンパクト・サイズながら600W(4Ω)x2の大出力を実現した。

また、APU768からのコントロール信号により音量調整やステレオ/モノラルの切り
換えができ、複数台のBPA768を使用したマルチ・チャンネル・システムの構築も
可能です。BPA768は、高度なデジタル・テクノロジーと最新のアナログ・テクノ
ロジーが融合した全く新しいコンセプトのパワーアンプだ。

・16個の24ビットDAコンバーターを使用して、768kHz/24ビット信号処理を実現。
 コンバーター出力は出力増幅段と直結しているため、従来の方式のように接続
 ケーブルやバッファーアンプによる音質劣化はない。

・デジタル信号を演算することによりアナログ出力段への入力信号レベルに応じた
 最適な電圧と電流を出力段に供給する高効率増幅回路を採用。高音質を維持した
 ままで、発熱の少ない大出力アンプを実現した。

・出力段にトランス・インピーダンス電流/電圧変換回路を採用。また、アナログ
 増幅段の信号系からカップリング・コンデンサーをすべて排除したピュアDCアン
 プ構成完全対称ブリッジ・アンプとすることで理想的な出力段を実現しました。
 	
・スイッチング電源の採用により十分な電源容量を確保するとともに600Wx2(4Ω)
 の大出力アンプでありながら比較的コンパクトなサイズと重量を実現した。

・パワー・コンディショナーの機能を電源部に搭載。これにより、電源部には常に
 安定したクリーンな電源電圧が供給されステレオ使用時にもチャンネル間の干渉
 がない。

・APU768デジタル・オーディオ・プロセッサーによりステレオ/モノラルの切換え
 がリアル・タイムで可能。ステレオ、モノラル・アンプとしての使用に加えて、
 複数台のBPA768を用いたバイ・アンプ駆動やマルチ・アンプ再生も簡単な接続で
 実現できる。

・強靭な極厚アルミ材パネル、放熱効果の優れた大型ヒート・シンク、音質と安全
 を考慮したWBT製バインディング・ポストなど理想的なシャーシー構造。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

BPA768 DAC内蔵パワーアンプ 主な仕様

実行出力------------------------600W×2 (4オーム) 840W×2 (2オーム)

全高調波歪(THD+N)-------------------------100dB以下 (DC-20kHz)

S/N比-------------------------97dB以下 (ウェイトなし)

ダンピング・ファクター------------------------700 (20kHz)

周波数特性------------------------  +/-0.025dB (DC-20kHz)

サンプリング周波数------------------------768kHz/24ビット(モノラル)
                     384kHz/24ビットx2(ステレオ)

使用D/Aコンバーター------------------------AD1853 x 8

入力端子------------------------SMA50Ω標準RFコネクター

出力端子---------------------WBT製バインディング・ポスト(絶縁カバー付)

消費電力---------------------155W(アイドリング時)、1,900W(最大出力時)

外形寸法(W×H×D)------------------------484×300×416mm

重量------------------------45kg

本体予価(税別)------------------------\4,700,000

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

以上は輸入元から頂いた資料をコピーしたもので述べているので、いつもの語り口
とは違うものだが、概要としてご理解頂ければ幸いである。



        4.“美味”としか表現のしようがない“taste”

beholdのwebサイトを見て、そのデザインのユニークさが印象に残ったのだが、
どうも画面上では製品の質感が伝わってこない。しかし実物を見て納得した。

ボディーのスクエアなメタルワークとは対照的にAPU768のフロントパネルの丸い
大型ノブやパワーアンプのイルミネーションの質感をどうしても伝えたかったので
ここで実物を撮影したものがこれだ。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/behold.html

APU768の右側の大きなダイヤルは長押しするとスタンバイからのオンオフ、大変
滑らかに回転してボリュームコントロールとなり、ポンと短く押すことでミュート
となる。左側のノブは入力セレクターとなっており、少ないスイッチで多機能を
実現している。

パワーアンプのBPA768-484-Sはwebで見ただけではさっぱり実在感がないのだが、
このように印象的なイルミネーションが存在感を漂わせ、スタンバイからの起動も
APU768からコントロールされるということでシンプルな構成となっている。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

beholdが搬入された当日、とりあえず一曲聴いてみようということで、最近は新製
品での試聴では必ずこの一曲、マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン
交響楽団で第二楽章をかけた。組み上げたシステムは下記のようにスピーカーは
NEOを使ったものだ。このときの第一印象が私の使命感を奮い立たせたのである。


-*-*-*-*- “behold”検証のためのリファレンスシステム -*-*-*-*-

Burmester 948 Power-Conditioner
http://www.noahcorporation.com/burmester/p_c948.html
以降の各コンポーネントに電源供給
      ↓
Burmester 969 CD Transport 
http://www.noahcorporation.com/burmester/cd969.html
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 RCA 
      ↓
behold  APU768
http://www.behold-highend.de/page.php?en331000
      ↓
behold  BPA768-484-S
http://www.behold-highend.de/page.php?en332100
      ↓      
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
      ↓  
MOSQUITO NEO   

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はこれまでの一年間でNEOに対してどれほどのアンプ、コンポーネント、そして
ケーブルなどを組み合わせてきたことか。逆に言えば近代のスピーカーの中で私が
理想とするパフォーマンスとハイエンドというこだわりの中でのひとつの頂点とも
言える中立性とスピード感を持っているのがNEOであり、NEOをリファレンスにする
ことで各種コンポーネントの検証をしてきたものだった。

そのNEOでこのようなオーケストラを聴くことができるとはまったく予想していた
なかったのである。

冒頭の弦楽器群のアルコが始まった瞬間にその質感の美しさに“耳”を奪われてし
まった。ヴァイオリンはもとよりビオラ、チェロ、コントラバスというすべての
楽音が見事に分離して個々の存在感を聴き手に認知させることはもちろんなのだが、
それらがボストンシンフォニーホールの空間にいったん放たれて空気中で溶け合い、
その融合した結果のハーモニーというか幾種類もの絵の具がパレットの中で完全に
溶け合って原色を思い出せないくらいに新しい色彩感が“耳”の網膜に染み付いて
しまうのである。

弦楽器全体の質感はキレがあるマイルドさという表現を何とかイメージしたが、
滑らかな肌合いが心地よく響き、それは群れとして合奏する弦楽器の個々の分離を
解像度として維持しており、それらが指揮者の感性に敏感に反応しているのである。
風向きが変わるたびに草原の草木の無数の緑が風にたなびく方向をいっせいに変え
ていくように、感性による演奏の完全同期というか、調和した一体感がNEOの演奏
に新境地を与えたようだ。これほどまでに刺激成分が除去されて微風に揺れるシル
クのベールのように、弦楽器のアルコが波打つようにうねるように展開する様を目
撃したのは始めてである。

そして、重量が45キロのパワーアンプBPA768であるのだが、演奏の開始直後から感
じる低域の芳醇な響きと重量感、ずっしりとコントラバスや大太鼓の量感を軽々と
再現するドライブ力には他社の75キロ級の重量級パワーアンプの風格と同様なもの
が感じられる。しかも、このときの電源ケーブルは付属品の黒いチープなものであ
り、私のこだわりと常識の範囲を超えたそれ自体のパフォーマンスの高さが感じら
れた。このパワーアンプはさりげなくオーケストラに重厚感を与えている。

それがグランカッサやティンパニーの打音の重々しさを裏付けながら、しかし!!
打音の輪郭を大変鮮明に描くので解像度と前後感を正確に表現する。つまり、低音
の打楽器が打ち鳴らされたときに、演奏者がステージの手前まで移動してくるよう
な音像の肥大化が皆無なのである。打楽器の輪郭を崩すことなく引き締まった打音
に重々しさが乗せられ、オーケストレーションの位置関係を正確に再現している。

次に金管楽器の透き通るような響き、木管楽器が好ましく孤立した音像をピンポイ
ントで提示するパート、トライアングルの打音に強調感がなく余韻をたなびかせる
様子など、私がオーケストラの演奏でチェックポイントにしている項目に次々に白
旗が上がっていく。すべて合格なのである、いや、合格点という基準を塗り替える
再生音なのである!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

第一印象のあまりの素晴らしさに感動した私は、二日間のバーンインをPADのウル
トラ・システムエンハンサーのリピートで行い、再度マーラーを聴き直した。
当然だがいっそう解像度を高めオーケストラの各パートにも潤いが感じられるよう
に熟成し、パワーアンプまでデジタル伝送するという先進的なシステムでありなが
らオーディオシステムとしてのバーンインはデジタルの世界でも必要なものだと
実感されたものだった。

これはと思って取り出した一枚。1989年ベルリンのイエス・キリスト協会で録音さ
れた小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラによるブラームス交響曲第四番・
ハンガリー舞曲第五番・第六番(90年当時PHILIPS 426 391-2)は魅力あるスピー
カーが見つかったときによく聴いていたディスクなのだが、これを久しぶりに聴い
てみた。

前述のボストン交響楽団で述べたことはまったくそのままに、カラヤンが好んで
録音に使用したというイエス・キリスト教会で世界的ソリストを召集して結成され
たサイトウ・キネン・オーケストラの演奏で、これほど楽員一人一人の存在感を
明確に感じとれた演奏は初めてだった。弦楽器群は教会という豊かな響きの環境に
おいてもしっかりとしたパートの分離を見せ、個々が独立した合奏であるにも関わ
らず楽音が協会という空間で調和し融合するという響きのテクスチャーがこれまで
の記憶にないくらい鮮明に織り込まれている。

ハイテクを駆使したbeholdが、今となっては古い録音に属するこのディスクにこれ
ほどの情報量があったということを知らせてくれたのは驚きであった。印象的な
ブラームス第四番の第一楽章と第三楽章では弦楽器の演奏は幾重にも層を織り成す
色彩がオーロラのようにはためき、その中で木管楽器の響きは協会の天井まで余韻
を伸びやかに拡散し、打楽器の打音にも教会の響きが加わって演奏空間のアンビエ
ンスを見事にNEOという表現者を通じて私の目の前に展開する。これは快感だ!!

beholdによって教えられたことがある。

今まで余韻感の認識というのは単独の楽音のエコー感が再生装置を通じて空間に拡
散し溶け込んでいくものという見方をしていたのだが、オーケストラという大編成
においては特に弦楽器群の全体が奏でる楽音が演奏したいる空間で空気中に広がる
過程において融合し、その集団として調和したハーモニーとして様々な色彩感を含
みながら余韻感を構成しているという事実だ。これまで楽音を分解することで響き
の要素を見定めようとしてきた私に新しい観点をbeholdが教えてくれたのである。
そして、それは音楽がより一層楽しく豊かに聴くことができるという情緒的な成長
としてオーケストラの感動を他社のアンプとは別格の価値観として与えてくれたの
である。ぜひぜひbeholdで皆様にもオーケストラを聴いていただきたい!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

同じ教会という録音環境で空間の大きさを取り込み、それをスタジオワークで個別
の楽音を追加し絶妙のアンサンブルとして磨き上げた録音として次はこれを聴くこ
とにした。

http://www.kkv.no/ kirkelig Kulturverksted
(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)・Thirty Years’Fidelity より

7. Som en storm/Ole Paus/Oslo Kammerkor/Det begynner a bli et liv...(1998)

冒頭のコーラスは実に美しい!!特に女性合唱の歌声は空気と同じ浸透圧で教会の
空間に染み渡るような展開を見せ、オーケストラの演奏で感じたbeholdの美意識が
ここでも顕著に見受けられる。これは素晴らしい!!

そして、Ole PausのVoiceがNEOのセンターに現れるのだが、ここではっとする発見
があった。そう言えば彼の両側で弾かれるギターの質感にも共通項があるようだ。
もしかしたら、という思いから次の曲でもそこに注意をはらってみることにした。

10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003) 
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

女性ヴォーカリストRIM BANNAがソロで歌い上げる導入部ではエコー感の広がりが
NEOの周辺を包み込む表現はこれまでにも実感している。そして、ソロからコーラ
スへと曲が進行していくにつれて私の観察がひとつの形としてイメージができつつ
あった。この二曲は教会での録音にスタジオ録音のパートをミックスして作られた
ものなのだが、私が気がついたポイントをチェックするのに更にこの一曲もかけて
見ることにした。

「Muse」からフィリッパ・ジョルダーノ 1.ハバネラをかけることにした。
http://www.universal-music.co.jp/classics/healing_menu.html

フィリッパの多重録音によるバックコーラスのイントロからゆったり響くドラムが
NEOのセンターに浮かび、オーケストラの編成によるフォルテまで聞き進むうちに
私がチェックしてきたポイントが確信に近づいてきた。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はここ最近はNEOを鳴らすのにChord  CPA 4000E+SPM 14000というスタジオモニ
ターに多用されるメーカーのアンプを標準としてきた。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/329.html

ここでも述べているように、録音に含まれる情報量を微細な余韻感という空間情報
の提示とした場合に、このChordは本当に素晴らしい再現性を持っていることがわ
かったものだが、音像の描き方としては楽音の輪郭をことのほかくっきりはっきり
と見せる傾向があった。当然モニタースピーカーを鳴らすという目的からも望まれ
た音質傾向であり「ノンキャラクター」と表現されるアンプとしての性格も表れて
いるものだろう。

このChordによるNEOの質感を長らく標準としてきた私には、反作用としてbeholdの
描くディティールの在り方がたまらなく魅力的に感じられたものである。

NEOのセンターにぽっかりと浮かぶVoiceにしてもヴォーカルにしても、その周辺と
の境目というかエッジの立ち方が絶妙にソフトフォーカスになっており、輪郭の
中身と言える楽音の質感に微妙なテイストを持たせているようなのだ。

ホームシアターの世界でも選択するスクリーンの性質によって得られる画質に大き
な違いがあることは周知の通りであろう。高輝度ビーズを使用したスクリーンでは
反射効率も高く、画像の中での輝き、光の表現にまぶしいほどの光量が得られる。
色彩感も実に鮮やかでメリハリもくっきりし、コントラストも強調されるので投影
される画像の輪郭表現も実に鮮明になる。解像度を優先する画質であり、原色の再
現性が優れているものだ。私がイメージしているChordの特徴とは、まさにこのよ
うなスクリーンでの画質ではなかったろうか。

それに対してスチュアートで有名になったマット調のスクリーンはどうだろうか。
微細な光点の集合体というビーズスクリーンに比べて反射効率は低いものの、人間
の肌の質感や中間色の再現性に優れ、ホットスポットもできないので均一な光量で
の再現性が見る目に優しい。それ自身で光沢感を持たないこの質感がまさにbehold
が見せてくれた楽音のイメージにぴったりなのである。

言い換えれば、スプーン一杯の原色の絵の具に一滴の白絵の具を混ぜたような感じ
だろうか。ごく微量な白を混入させることで俗に言うパステルカラーの雰囲気が
備わり、赤と黒、白と黒のような原色が隣り合う場合の境目に定規で引いたよう
な鮮明な境界線を描くことなく、極めて微量な白が色と色との“つなぎ”の役目を
果たしてエッジの強調感を緩和するのである。

当然この白絵の具という私の例えは十分にコントロールされた自然な色彩感という
前提のものであり、楽音に濁りや歪み感というものが入り込むような幼稚なもので
はない。ESOTERICやdcsのコンポーネントが行っているアップサンプリングの違い
を体験された皆様であればお分かり頂けるのではないだろうか。肉眼でみるNTSCの
一般的なテレビ放送の画質では表現できる色の総数が少なく、それゆえにメリハリ
感を強調されるものだが、ハイビジョンではしっとりと滑らかな輪郭表現で目に優
しい画質に見えるものと同じである。44KHzから88KHzへ、更に176KHzへとアップし
ていくと、グラデーションの階調が拡大して楽音の発生から余韻感が消失するまで
に実に多くの過程があることに気がつくのと同じではなかろうか。

APU768の内部で実に16倍というアップサンプリングの処理を経て、今までのCDでは
認識できなかった高精細な音場感をbeholdは生成しているのである。これは凄い!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

しかし、hpのBluetooth/PDAを使用したリモコンの使用感は抜群だ。双方向性なの
でAPU768のフロントパネルでの操作はそっくりリモコン画面に反映され、反応の
敏感さとフィーリングは大変キメ細かく快適である。何よりもAPU768に向けて見晴
らし状態で使用しなくてもリンクするので赤外線のリモコンとは操作感はまったく
違う。同社のCDプレーヤーも近日中に輸入される予定であり、当然そのコントロー
ルもこのリモコンの液晶タッチパネル画面で出来るようになる。マイナス70dBまで
フェードイン・アウトが出来るなど、ヒューマンライクな感触はbeholdのデザイン
の優しさを物語る一面でもあるかのように大変好ましい印象を残した。

さて、これまでは楽音の輪郭表現と音場感についてbeholdが見せてくれた前例のな
い魅力を述べてきたが、ではスタジオ録音での解像度とアタックの鮮烈さという
もうひとつの視点ではどのように分析できるだろうか。今までの経験では滑らかで
しなやかな表現に魅力を感じるものは往々にして打撃音のインパクトの瞬間が甘口
になってしまう傾向があり、多少がさつであっても打楽器の鮮烈さは情報量の少な
いシステムの方が上記のテレビの例えのようにメリハリがあったものだったが…。

そこで、このディスクをかけてみた。Audio labの「THE DIALOGUE」から(1) WITH 
BASSをかけてみる。すると…?
http://www.octavia.co.jp/shouhin/audio_lab.htm

猪俣 猛の最初の数秒間のドラムを聴いただけで私の予想は大きく裏切られている
ことがわかった。上記のPDAのリモコンのボリュームはマイナス80からプラス10dB
までコントロール出来るのだが、これまでの試聴音量としては-30から-15dB程度で
あった。このテスト曲でのボリュームは何と一気にプラス6dBというボリュームま
でアップしてスタートした。

ふくよかなドラムとなって聴こえてくるのでは、という安易な推測をbeholdは笑い
飛ばすかのようにきりりとキックドラムは引き締まり、しかもこれまでに聴こえて
いなかったキックドラムが発するコンプレッションされたインパクトの瞬間の空気
感がNEOを通じて私の体の表面に感じられるほどなのだ。これには驚いた。

NEOのインピーダンスは通常は6オームとしているが、150Hzでは4オームまで落ち込
む。この4オームで600W/chという出力を発生させるBPA768-484-Sではお安い御用と
言わんばかりにNEOのウーファーをきっちりとグリップしているようだ。私はこの
試聴室と使用するスピーカーのタイプから、この曲を使っての瞬間的な最大音圧を
引き出すのにパワーアンプに600Wから800Wを要求していたことを体感として記憶し
ている。

そして、それはパワーの数値だけではなく、ロングストロークのウーファーをどれ
だけ正確にコントロールしているかという指標にもなっていたものだ。もちろん、
ここにある世界最高クラスのパワーアンプたちではいずれも問題なくこなしてきた
課題なのだが、これまでの木目細やかな再現性とは裏腹にこれほど鮮烈で強力な低
域をきっちりと制動して聴かせてくれるとは思ってもいなかった。
これは予想外の興奮である。

他の数曲でもテストしてみたが、打楽器やピアノでのテンションは素晴らしいもの
であり、しかもそれらの余韻感が今までになく感じられることから打音に対しても
潤いが感じられ響きが豊かに再現される。つまり、これまでオーケストラや教会で
の録音で感じられた残響成分という微小な信号は打楽器においてもちゃんと録音さ
れており、それを今まで見逃していたのではという恥ずかしいほどの驚きだった。



           5.新世代デジタル・オーディオの台頭

1982年に登場したCDプレーヤーは発売当初からRCA端子によるデジタル出力が装備
されたものが多かった。メーカーに問い合わせても当時は「特に今は使い道はあり
ません」と言われていたものだが、CDプレーヤーの低価格化とともに普及が進み
三年ほどたってからだろうか。最初は日立のオーディオブランド Lo-D から自社
規格で接続するセパレート型プレーヤーが発売になり話題を集めたものだった。

それから二年ほど経ってからだったか、CDの開発メーカーであるソニーから今まで
使っていなかったデジタル出力を使用するタイプのセパレート型CDプレーヤーが
登場したものだった。それらはCDプレーヤーの出力段にボリュームを付けて出力を
コントロールできるようにしてパワーアンプに直結することも流行り始めたものだ。
そしてトランスポートとしてのメカニズムや電源の完成度、D/Aコンバーターとし
てのより高精度な変換技術が音質に与える影響が単品製品として証明されるように
なってきた。

しかし、このような流れの中で最も象徴的なことはボリューム調整はCDプレーヤー
がオーディオ信号をアナログに変換してから行わなければならないということだ。
つまり、ボリューム調整とは電圧の制御ということであり、プリアンプと重要な
役目としてその設計方針に大きく関わってきたものである。

ここでD/Aコンバーターからスピーカー端子までがアナログで構成されるという時
代が20年以上続いてきたということになる。言い換えればデジタル・オーディオと
言ってもシステムの80%近くはアナログのままだったということだ。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

聴けば聴くほどに新しい魅力が発見できるbeholdだが、DACの手前でボリューム
コントロールするということが、従来のデジタルとアナログ領域の比率を逆転させ
ることになった。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/340.html

私がここで紹介しているGOLDMUNDのシステム構成はごく近年の開発になるものだが、
日本に紹介されていなかっただけでbeholdは既にこれらのデジタル・オーディオの
領域をスピーカーケーブルの手前まで拡大することに成功していたのである。
しかもボリュームコントロールにおける精度は768kHzというアップサンプリングの
高次元でというものだ。

私は今回beholdを初めて耳にする機会に恵まれて、デジタル・オーディオの将来性
というものに大きな期待と可能性を感じる事が出来た。それはフロントエンドでの
記録された信号のピックアップだけがデジタルで行われるということだけでは真の
デジタル・オーディオと称するには至らないという実感だった。もちろんアナログ
で動作するコンポーネントの価値観になんら疑いの目を持つものではないが、ここ
まで完成度を高めた再現性を見せ付けられ、これから先にはどのようなオーディオ
の世界観があるのかと期待に胸膨らむものだ。

今までのデジタルコンポーネントでの着眼点は、トランスポートにおいてはいかに
して正確なピックアップを行うかということ。D/Aコンバーターではアナログ信号
にどれだけ近づけるかというD/A変換理論の競い合いというところにあったようだ。

だが、それらは各分野でのプロフェッショナリズムを育成してきたということでは
技術革新に大いに貢献したものだったろう。しかし、それはオーディオシステム
の中では各論であり、総論としてシステムを提供できるメーカーは限られていた。

そして、GOLDMUNDに続きbeholdが登場するに至っては、オーディオシステム全体の
中でデジタル領域が拡大することに大変大きな可能性が秘められていることが証明
されてきたということになるだろう。

つまり「総論が各論を凌駕する時代の到来」ということだ!!

beholdとは「凝視する・見つめる・注目する」などの意味がある言葉だという。

彼らの作品は言葉ではなく音で私の視線を釘付けにしてしまったようだ。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「Behold the man!」(見よ、この人を)をラテン語では『Ecce Homo』エッケホモ
と言う。レーニ・グィード(イタリア1575-1642)の絵画で《イバラの冠をいただ
いたキリストの肖像画》(ルーブル美術館収蔵)や、ダブリン国立美術館の三階に
はイタリア・ベネチア出身の巨匠ティツィアーノ(Tiziano Vecellio1485-1576)
の同名の作品もあるという。

エッケホモとは、ユダヤにおけるローマ総督ポンテウス・ピラトが審問所の前に
集まった群衆に向かって発した言葉で「この人を見よ」の意。紫のローブをまとい、
茨の冠をかぶったイエス・キリストが連れ出されると群衆は「Crucify Him」(十
字架にかけよ、十字架にかけよ)と口々に叫んだという。この主題はルネッサンス
期にヨーロッパの絵画の中にとりいれられるようになった。キリストの表情は芸術
家の腕のみせどころで、受難による苦しみと彼を糾弾する人々への憐れみを表して
いるという。

私はクリスチャンではないので、このような宗教的な情報は聞きかじりに過ぎず
深い根拠や確証があるわけではないのだが…、オーディオ界における救世主として

「Behold the music!!」

と語ったら、どこかに通じることが出来るだろうか!?

ぜひ、その答えはここで見つけて頂きたい!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
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