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H.A.L.担当 川又利明


No.230 小編『音の細道』特別寄稿 *第十五弾* 「RELAXA3PLUSに見る・聴く“柔よく剛を制す”の境地!!」
H.A.L.'s short Essay

1.セッティングのこだわり

2003年2月4日、このレビューでも速報したRELAXA3PLUSがサンプルとして
一台だけだが手元に届いた。先日このフロアーのレイアウトを変更した
ばかりであり、かつRELAXA2PLUSがあるうちに比較しなければ…、という
気持ちがあったのだが、これを一人でやるのはちょっと大変(^^ゞ

若手の上遠野が明日休みなので、今日中にということで急遽セッティング
を変更して準備に取り掛かる。まず、レビューのNo.0567でお褒めの言葉
を頂戴したように、ここのリファレンス・システムに大きな変更があった。


                   Timelord Chronos(AC DOMINUS)
                ↓
              Word sync only→dcs BNC Digital Cable
                ↓
                      dcs 992/2(AC DOMINUS)
                ↓
              Word sync only→dcs BNC Digital Cable
                ↓
☆Esoteric P-0s(AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P)
                ↓*VUK-P0 Version
                ☆ Digital DOMINUS PLASMA-SHIELDING
                ↓*88.2KHz伝送
                ☆ dcs Elgar plus 1394(AC DOMINUS)
                ↓
             ☆ Balance DOMINUS(1.0m) PLASMA-SHIELDING
                ↓ 
          ☆ Connoisseur 3.0 (Metal Version) (AC DOMINUS)
                ↓
             ☆ Balance DOMINUS(7.0m) PLASMA-SHIELDING
                ↓
                  Audio Physic Strada(AC DOMINUS)
                ↓
               ☆ DOMINUS Bi-Wire Speaker Cable(5.0m)
                ↓
                  B&W Signature 800(With BRASS SHELL)
                ↓
                    murata ES-103B & PAD ALTEUS

              ☆印に PLASMA-SHIELDING DOMINUSを使用

わけあってConnoisseur 3.0が再登場したのだが、久々に聴くこの
プリアンプの存在感がまず素晴らしいので一言追記させて頂いた。
へたをすれば、これを主役に長いインプレッションが書けてしまう
くらいに素晴らしいものであり、ぜひ皆様にも一聴をお勧めしたい。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、上記のシステムのどこにRELAXA3PLUSを使用したものか…?
まず、追加のサスペンション・シリンダーがないので荷重は基本
的には25キロ程度であるということ、既にElgar plusにはRELAXA
2PLUSを使用していたこと、そしてConnoisseur 3.0には設計者が
音質の配慮としてのスパイクフットを採用している…、などの理
由からElgar plusをRELAXAの“2”“3”の各々に乗せ換えて比較
試聴することにした。

しかし、ここでまた問題が…。今までElgar plusはzoethecusの
z.3/Rの中段に入れていたのだが、今回のRELAXA3PLUSのガラス
プレートは斜めにしないと入らないのである。いったんz.3/Rの
内部に入れてしまえばスチール製のベースは各シリンダーの接地
ポイントでz.slabの面積にちょうど入るし、z.3/Rの支柱部分に
も接触しないので問題はないのだが、頻繁な入れ替えは困難だと
判断し、z.3/RのトップにElgar plusを移動することからセッテ
ィングの変更を行った。

ここで、RELAXA3PLUSの概要を述べておこう。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/225.html
ガラス・シェルフの寸法はW540×D440 厚みは8mm、システム全体
の最外形寸法はW540×D440×H98〜108mm、重量8Kgというのがカタ
ログ表記であるが、高さ調整をすると最大で108mmになるのだが、
何もせずに押し下げると最も低いところでガラス・シェルフの上面
では83mmまで下がることがわかった。z.3/Rなどは上下の棚板間は
20センチなので、搭載するコンポーネントの高さが中段では制限
されてしまうのは弱点かもしれない。

さあ、後は“2”と“3”に乗せ換えていくだけだ!!


2.ぐっと来る選曲

まずは、これをご覧下さい。

http://www.jvcmusic.co.jp/cincotti/

Peter Cincotti 誰それ!? という方も多いと思いますが、webの紹介
記事をまずご一読頂ければと思います。使用した曲は、このアルバム
トラック4「Sway」であるが、あれ〜、どこかで聴いたことあるな〜、
と思ったら原曲はメキシコの名曲「キエン・セラ」であり、ラテン
がブームとなった昭和の昔に思い出される方も多いと思われる。

この曲はピアノのイントロから、リムショットとタムの気持ちよい
アタックから入り、重量感のあるベースが参加してきてトリオの演奏
になるのだが、何とすべて“センター定位”というレコーディング
なのである。昔はやったジャック・ルーシエの「プレイ・バッハ」を
つい思い出してしまうが、ベースは右、ピアノは左寄り、ドラムは
真ん中…、という図式ではない。ピーターのピアノが鍵盤に演奏者
が向かっているように、右手は右方向に左手も同様にとスピーカーの
両翼に広がるのだが、ベースとドラム、そしてピーターのヴォーカル
もセンターに位置するのである。

ここに、これからの試聴のポイントが隠されているのである。
ドラムのハイハット・シンバルなどは左右のスピーカーのトゥイー
ターという明確な音源地点から放射されるのではなく、センター
より若干右寄りの空間に刻まれる。当然リムショットもユニットの
ない空間に突然現れる。この中間定位が聴きどころとなるものだ。

そして、ベースも音像の大きさが心配されるだろうが、センターに
くっきりと描かれて輪郭は鮮明であり、ヴォーカルもオンマイクぎみ
のレコーディングが弾き語りというピーターの魅力をピアノと一元化
して展開してくれるものだ。

さすがに敏腕プロデューサーであるフィル・ラモーンの感性が鋭く
19歳のピーターを引き立たせているレコーディングである。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そして、試聴は“2”に乗せている従来の状態からスタートする。
Connoisseur 3.0の固めのクリックを持つボリュームを回す。

「うん、いいじゃないか!! 」

イントロで展開するピアノは十分に広がりながら、適度な間隔で
キーがきちんと分離し、リムショットもスポットライトにほんの
一瞬だけスイッチオンしたように、瞬く間のスピードでヒットする。

続くタムの一発もきりりと引き締まり申し分ない幕開きにベースが
くっきりとセンターに浮かび、ピーターのヴォーカルがくどくなら
ない程度のエコー感で始まった!!

「 When marimba rhythums start to play  Dance with me,
                                           make me sway 」

さて、“3”に乗せ換えよう。
上遠野にElgar plusを持ち上げさせて、私はせっせと“2”と“3”
を入れ替える。これを何十回も繰り返すのだ。

“3”は“2”のように対角線にガイドピンがないので、載せるのに
気を付けて位置あわせをしなくても大丈夫。さて、再度スタートだ。

イントロのピアノ…
「あれ!? さっきよりピーターの指の運びが速くなったんじゃない??」

リムショット… カツッ!!
「おお!! 切れてる!! 早い!! そしてシャープだ!!
 センター定位ということで、これは左右スピーカーのほぼ中央に
 出現する音なのだが、左右のスピーカーが完璧に足並みを揃えて
 きっちりと位相を同じくしないと、こんな時間軸を圧縮したような
 スピード感は得られないだろう。何も音源がないはずの空間に
 これだけの切れ味を追加したリムショットが聴けるなんて!!」

タムの一発…
「いい!! テンションが高くなって引き締まってるよ!!」

ベースの参入…
「散らばっていたエネルギーをかき集めたみたいに重く濃厚になってる!!」

ピーターのヴォーカル…
「うん!! 完全に浮いてる。周辺に拡散していた声のシルエットと
 いうか口元の投影面積が小さく引き締まっている。
 でも、その方がエコーとのセパレーションがよく感じられる!!」

フローティングしているものは、往々にして解像度よりも柔軟性を
重視するように、つまり“浮遊感”みたいな印象を際立たせるもの
だが、今回の“2”から“3”への進化は逆ではないか。

個々の楽音がすべてにわたり輪郭を鮮明にしていくので、かえって
空間の中に演奏者の存在にスポットライトを当てたように色彩感を
向上させているのである。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

それでは、とここでアタックの反応を確認すべく、たった20秒間で
それが解る曲で実験してみることにする。Fourplayの「The Best Of
fourplay」(WPCR1214) の5トラックめの「chant」で繰り広げられる
Harvey Masonの強烈なフロアータムの連打をかけてみることにした。

またもや“2”と“3”の入れ替えである。

“2”での20秒間を三回ほど聴いて、その質感をきっちり記憶して
“3”に乗せ換えた…。

「お〜!! やっぱりそうだよ!!」

“2”と“3”への変化は磁気フローティングによるアイソレーション
効果が漂うような雰囲気の演出、空間表現の拡大という次元にとどま
らず低域の楽音を凝縮する方向で作用しているではないか!!

“2”は押し下げてから離すと「フワフワ〜」と数回の上下動を繰り
返してしまうのだが、“3”ではダンピングされているので、ほんの
少しの上下動で落ち着いてしまう。サスペンション・シリンダーの
底部には6ミリほどの空気穴が開いているのだが、これが自然なダン
パーの役目を果たしており音質的にも好ましい変化がある。


3.懸念されたガラス・シェルフ

私は、オーディオラックのデザイン、美観としてはガラスの棚板が
確かに好ましいと思いつつも、音質的には推奨していない。

どんなコンポーネントでも、その厚みに関わらずガラスに乗せただけ
で不自然な緊張感と光沢感がまとわり付いてしまうからだ。だから、
正直なところ“2”の硬質アクリルから“3”の強化ガラスへの変更に
多少ならずとも音質的に危惧するところがあったのである。

そこで、これまでのようなアタックの瞬発力とエッジの切り立った
印象の楽音だけではなく、弦楽器の質感でもチェックしなければと
聴きなれた曲で再度“2”と“3”を比較することにした。

チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》op.71 全曲
サンクトペテルブルク・キーロフ管弦楽団、合唱団
指揮: ワレリー・ゲルギエフ CD PHCP-11132

http://www.universal-music.co.jp/classics/gergiev/discography.htm

1トラック目の序曲をまず“2”を聴く。

「うん、これまで認証してきたバランスと質感だね」

これを確認してから“3”に乗せ換えたところ…。

「えっ…、ホントですか!??  これ…」

さあ、えらいことだ!! “2”の音質を長らく基準としてきたのに、
何とそれよりも解像度が上がっているにもかかわらず、刺激成分が
ないすがすがしさがあるのである。

変な例えだかビジュアル的に解りやすいイメージとして、今までは占い
師の手の中でに一塊に握られた筮竹(竹ひごのような細い棒)だとすれば、
それを慣れた手つきでバラバラとほぐしていくと、実は数十本あったこ
とが示されるように私の目の前で弦楽器群がほぐれていくのである。

そして、大切なことだが各々が細くなるだけでシャープに感じられると
言うことではなく、質感も潤いを失わないので聴きやすくなるではないか。

“3”ではサスペンション・シリンダーの上下にゴムのOリングを取り付
けてあるのだが、これが絶妙にガラスの固有共振を抑えているようだ。

「いいです、これ!! 何も問題どころか、ガラスを上手に使っている」

クラシック音楽を愛好する皆様にも安心してお勧めできます!!


4.空間表現への貢献

さて、仕上げとしては一週間前にさんざん聴き込んだこの曲だ。

http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/uccv1036.html

最近お気に入りのDIANA KRALL「LIVE IN PARIS」で唯一のスタジオ録音
である12トラックめの「Just the Way You Are」である。

またもや“2”と“3”の入れ替え、最初に聴きなれた“2”を聴いてから
“3”に乗せ換えたら…。この曲のポイントはよくわかっているので…。


ダイアナが弾くイントロのピアノ…
「あれ、ピアノの弦が少し硬質になったけど、フォーカスがズバリ合って
 きているから、こちらの方が支持される音だな〜!!」

続くダイアナのヴォーカル…
「あれ、こんなにエコーが多かったっけ!? これはマジに驚き。
 先ほどのPeter Cincottiとは違って、ダイアナの声には大変巧妙な
 エコーがお化粧されているのが本当によくわかってしまう。でも…
 これも録音されている情報の一つということで驚きだ」

そして、ルイス・ナッシュのドラム…
「えっ、切れてる。インパクトの後にな〜んにも残さずに!!」

ルイス・キンテーロのウィンド・チャイム…
「先ほどのくるみ割り人形のトライアングルもそうだったけど、
 高音域のパーカッションにおいては明らかに大差がある。こんなに輝く
 なんて、さっきは何だったの!!」

クリスチャン・マクブライドのベース…
「この人がこんなソフトなベース…、と思っていたら、いやいや…
 やはり彼のピッチカートには凄いエネルギーがあるよ!!」

アンソニー・ウィルソンのギター…
「ピックのアクションが手に取るように解ってしまうのは凄い!!」

ロブ・マウンジーのキーボード…
「ちょっと、こんなに余韻があってふっくらしてたっけ!? ここで
 広がるエコーのあり方が違うよ」

マイケル・ブレッカーのテナーサックス…
「リードのバイブレーションと、その音像がスリムになったことが
 直ちに解ってしまう。でも、気持ちよい引き締まり方だ」

いや〜、驚きました。この曲で現れた変化は実に“総合的”でした。

ちょっと、前作のインプレッションを引用させていただくと…。

RELAXA3PLUSはスピーカーのある空間に“富士山”を見せてくれる。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/228.html

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

以前RELAXA2PLUSを試聴した時の印象はバックナンバーNo.0343でも
述べているのだが、ある楽音が発したエコー成分が更にこれほど残さ
れていたのかという驚きがあり、それが空間表現のスケールアップに
貢献していたものだった。

しかし、“付帯音”がつきまとってしまう、という事では決してない
ことを最後に申し上げたい。私の経験では、“付帯音”というのは
録音されているエコー感が空中に拡散していく過程で、最初の音色
から質感が変わってしまう場合を示すものである。

しかし、RELAXA3PLUSではあらゆる楽音の余韻感が空中に滞在して
いる間に、その質感を何ら変えることはなく、ただフェードアウト
していく時間軸が延命されるだけなのである。

それも、スピーカーという音源から周辺のあらゆる方向に向けて、
そこにある空気にさざなみを起こすように自然に減衰していくので
ある。この正確さに裏打ちされた心地良さをどう表現したら良いの
だろうか…。

最後に、RELAXA3PLUSはこの試聴を境にすっかり定着してしまい、
以来ここにあるElgar plusの“玉座”として必要不可欠な存在と
なってしまった。それが結論である。もう離せません!! (^^ゞ

磁気フローティングによるサスペンション、つまり柔軟性が楽音の
各部分においてフォーカス感を向上させ、解像度を高め、そして
低域の質感を引き締める。

     これこそ“柔よく剛を制す”なのである!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.co.jp
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