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H.A.L.担当 川又利明
    
2018年11月6日 No.1500
 H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.3

突然ですが、あるドラマーを紹介したい。その名はDave Tull。
https://davidtull.com/

なぜかというとTa.Qu.To-Zeroの試聴にあたり、その魅力と能力を語る上で、
そして実に多数の音楽を仕事がら聴いてきた私が大好きなドラムの音であること。
そのドラムはヤマハを使用している。
http://www.yamaha.com/artists/davetull.html

Dave Tullのプロモーションビデオを見ると実に多彩な共演経験を持っていることが
分かるが、ここにも登場してくるCheryl Bentyneのアルバムが今回の試聴曲なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=jrvpRldrcDg

シェリル・ベンティーン(Cheryl Bentyne)「THE COLE PORTER SONGBOOK」
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICJ-567/

これは2009年リリースのCDですが、現在でも彼女の活躍は続いています。
https://www.cherylbentyne.net/

2018年10月27日 No.1498
H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1498.html

上記同様のソースコンポーネントを変更した下記試聴システムにて聴き始めました。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'s_Sound_Recipe-Y'AcousticSystem-Vol3.pdf

ちなみに下記のマラソン試聴会でも使用した選曲ということになります。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1494.html

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここで私が好きなドラムの音ということに少し触れておきたいと思います。
もちろん、音楽の趣味性は十人十色で皆様の好みもありますので、私の独断と偏見、
そしてオーディオ的分析にふさわしいという観点でのものなので誤解なきようにお願いします。

ご存知のようにスタジオ録音のほとんどはドラム専用ブースがあり、音量の大きい
ドラムは他の楽器と別室にて録音されることが多いものでしょう。

そして、多い場合には10本以上のマイクを使い、ドラムの各パートひとつずつの
音を鮮明に忠実に録ろうとするマルチマイク録音こそが一般的なものです。

次に音楽の性格に合わせてドラムの各パートの楽音にイコライジングするという
ことも一般的であり、同時にミキシングコンソールのパンポットで左右チャンネルの
中間に各種タム、シンバル、ハイハットなどの各パートの定位をつけて細かく位置
関係を空間に作っていくという作業もあるわけです。

ドラムセットの中でヘッドを叩くものや金物の打楽器などが左右にきちんと並んで
定位しているのを当たり前に聴いていますが、マイクの数だけ各パートの打音が
鮮明になることは良いことなのですが、演奏空間をイメージさせる音場感は逆に
乏しくなってしまいます。つまりアコースティックイメージの減少ということです。

どちらかというとロックやポップスの録音に多く見られ、近年ではサンプリング
音源による打ち込みという人工的なドラムの音も大変多くなっています。

私は、どちらかというと…、そのような空間に高忠実度写真を貼り付けたような、
二次元的というか平面的というか奥行き感・遠近感がないというか、無機質で
人工的なドラムの音はあまり好きではないのです。

私は、どちらかというと…、打音の立ち上がりの瞬間から消滅までの響きと余韻感が
録音に含まれているもの、アコースティックなドラム、遠近感があり超低域までも
そのままに含まれているドラムの音が好きなのです。

その辺のライブ感というか演奏空間をイメージさせるドラムの音に関して以前に
熱弁をふるった記事が下記です。寄り道しても良いという方はご覧頂ければと思います。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1427.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1429.html

そんなドラムの音に憧れている私は、このDave Tullの演奏と録音にいたく感動しました。
そして、それはTa.Qu.To-Zerの魅力を語るのに最高にマッチした演奏と言えると思います。

先ずは、そんなドラムへの思いと素晴らしい歌唱力のヴォーカルというデュエットに
よるシンプルな選曲から始めましょう。

「THE COLE PORTER SONGBOOK」の11.Bigin The Biginです。伴奏はドラムだけです!

イントロはなくいきなりのキックドラム、同時にヴォーカルも最初から登場する。
先ずは、そのキックドラムの打音に完全密閉型というTa.Qu.To-Zeroの特徴が直ちに
聴き取れる素晴らしさ!

H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.1
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1493.html

■Ta.Qu.To-Zeroは完全密閉型エンクロージャーであり低音に関してノイズは皆無です!

私は上記においてこのように言い切っていますが、その本領発揮たるドラムが正に
この曲のシンプルな伴奏で表現されており、キックドラムの音を言葉にすると…
「ドン!」「ドス!」「バス!」「バン!」と例えるのが一般的かもしれませんが、
Ta.Qu.To-Zeroでは「ドッ!」「バッ!」という感じになります。

スピーカーのエンクロージャーの方式による一切の脚色なく、ドラムヘッドを
ビーター (Beater)が叩いたインパクトの瞬間、立ち上がった重低音の質感は
何の変調も受けず、きっちりとブレーキがかかった制動力に溢れる打音なのです!

一定のリズムで叩かれるキックドラムは一打一音ごとに微妙にテンションと音色が
変化していることが分かり、スピーディーに展開するDave Tullの両手がタムを
細かく連打する演奏者の実態感というかリアルさが空間に満ち溢れる快感が堪らない!

しかも、この曲でのドラムはヴォーカルの背後に控えるという遠近感もあり、
高い瞬発力から発せられた打音のひとつずつが空間に消滅していくまでの時間軸が
リバーブをかけていないはずなのに適度な滞空時間で余韻を残す自然さが心地いい!

はて、キックドラムの素晴らしい低音に耳を奪われていると、Dave Tullはこっちにも
聴きどころがあるぞとばかり、軽妙なリズムでハイハットや金物を鳴らすが、
高い音階の打音の数々にも個々の音場感があることをしっかりと示していく。

そして、それはヴォーカルの質感とも共通する魅力があることが分かってくる。
上記インプレッションのVol.1では次のもう一つのキーワードを述べていました。

■Ta.Qu.To-Zeroはボディーでの反射を回避して中高域に関する外的ノイズがないのです!

Volt VM752というソフトドームミッドレンジと正反対のダイヤフラムを持つ
accuton BD30-6-458 / 30mmダイヤモンドトゥイーターという他社スピーカーでは
見られない組み合わせながら、その中高域のリアルさと自然さが本当に素晴らしい!

そんなスピーカーユニットを機械的に保持する役目をエンクロージャーが担っている
わけですが、そのデザインによって上記の外的ノイズがないということが、この曲の
ヴォーカルにおける音場感の素晴らしさに直結しているわけです!!

30mm径のトゥイーターがあるバッフル面というか、ヘッド部は頭頂部で高さ約30センチ
奥行きで約40センチですが、30mmダイヤモンドトゥイーターの中心部から水平に
バッフルの幅を測ると90mm、ミッドレンジも同様に中心部から左右を測ると
幅190mm程度という最小面積しかないという絞り込み!

私はB&W Nautilusや800シリーズ、またVivid Audioのエンクロージャーデザインの
根拠というものを下記のように述べていましたが、それと同様にスピーカー自身の
反射音がないということが球面波の再生に大変大きく貢献しているものです。
http://www.dynamicaudio.jp/file/060806/oto-no-hosomichi_no55.pdf

とにかく透き通るようなCheryl Bentyneの歌声が空間を満たし、その滑らかな歌声は
オーケストラでの弦楽器の素晴らしい質感と共通項の美しさが感じられるのだから
ヴォーカル好きな人にとって過去に経験のない声というものが体験できるものです!

H.A.L.'s One point impression!! - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1498.html

それから、上記ではTa.Qu.To-Zeroのパワーリニアリティーの素晴らしさを実験する
ために0.0dBというフルボリュームまで上げての試聴を行いましたが、この曲では
-14dBというボリューム設定としていました。一般的な家庭では大音量の部類でしょう。

さて、左右Ta.Qu.To-Zeroのトゥイーター間隔は3.1メートル、私の定位置から
トゥイーターまで約4メートルというトライアングルでのセッティングですが、
私はヴォーカルとドラムだけというシンプルな曲で、広大な音場感の素晴らしさに
惚れ惚れしてしまったわけですが、ここで-36dBまで音量を絞りました。すると…

いや〜、実に見事な相似形をTa.Qu.To-Zeroは見せてくれました。例えて言えば
水に沈んだピラミッドのようなものです。水位によってピラミッドの頂上だけが
見えているわけですが、水位を下げていくとまったく同じ四角錐が姿を現し、
楽音の質感は全て完璧に同じということです。

そして、パワーリニアリティーが素晴らしいということは、水位を更に下げて
このピラミッドの形が露わになり底辺が広がっていくわけですが、録音に含まれる
音場感はこの底辺の拡大と同じように広がっていくということで、音量の大小に
おける情報量の大小は耳の感度のみによって変わるということであり、スピーカーが
発している情報量は一定であるということです。

これは地味な項目ですが素晴らしいことなのです!!

さあ、次は5.Night And Day〜Find Me A Primitive Manを聴きましょう!

このイントロで聴けるDave Tullのドラムがカッコイイ!!

うねるリズムで重々しいドラムが叩かれるのですが、Find Me A Primitive Manの
旋律の時にだけドラムが登場し、Night And Dayのメロディーではピアノ伴奏に変わる。

中間にNight And Dayを置いて前後にFind Me A Primitive Manが歌われる巧妙な
アレンジでCheryl Bentyneのプロフェッショナルなヴォーカルが楽しめる一曲。

ウッドベースとピアノが伴奏に加わっていますが、このペースの引き締まった
音像の捉え方が実に素晴らしく、これは他の曲でも研究しなければと頭にメモする。

そして、有名なNight And Dayの優雅な旋律をCheryl Bentyneが歌っている背景に
展開するピアノの距離感というか、前述のドラムの好みに通じるような印象があり、
充分な解像度がありながらもリスナーの眼前に突き付けるようなピアノではない。

それに共通項があるのだが、ヴォーカルのマウスサイズがさっきと違うということに気が付く。

11.Bigin The Biginでは音量によってピラミッドの底辺と例えた音場感の広さに
変化があると述べました。それは言い換えればヴォーカルの口のサイズも音量に
よって変化するが質感は変わらないという意味なのですが、それは伴奏楽器が
ドラムだけなのでステレオ空間には空き地がまだあるから可能だったことなのです。

伴奏楽器が増えた分、ヴォーカルの音像サイズも縮小化されていて、他の楽器と
オーバーラップしないようエンジニアが調整したということが分かってしまいます。

これ、言い換えればTa.Qu.To-Zeroは恐ろしいほど分析力のあるモニタースピーカーと
いうことも言えるわけです。

三次元的音空間を作り出すTa.Qu.To-Zeroの魅力がありありと感じられた一曲でした!

さて次はマラソン試聴会で曲名を明かさずに意外なイントロということのみ説明して
スタートさせて一曲です。このイントロがメチャクチャカッコイイのです!

11.Bigin The Bigin同様にDave Tullの私の大好きなドラムだけの伴奏でバッハの
ピアノのためのパルティータ第二番のシンフォニアをCheryl Bentyneが見事な
スキャットで歌い始め、この40秒間のイントロでも楽しみつつ分析もしていきます!

ここでもやはりヴォーカルのマウスサイズに気が付きます。11.Bigin The Biginとは
明らかにヴォーカルの音像サイズが絞り込まれコンパクトになっているのです。

しかし、このイントロだけでも1トラックとして歌い続けて欲しい程の見事なヴォーカル。
それがドライブして熱を持ち始めるとこの曲の聴き慣れたメロディーが始まります。
9.You'd Be So Nice To Come Home To です!!

40秒のイントロが終わってお馴染みの歌が始まるとウッドベースが加わってきます。
いや〜、このベースのタイトな音像は物凄いです。これは研究課題として後日また!

1分15秒からギターとピアノが加わり更にスイングしていくCheryl Bentyneの
アップテンポなヴォーカルに思わず私は膝から下を左右にスイングしてしまいました!

既にオーケストラで多数の楽音に対してTa.Qu.To-Zeroが3ウエイのスピーカー
ユニットのユニークに選択が、どれほど滑らかで美しい弦楽器を聴かせるかと
いうことについては確認済みでしたが、今回のヴォーカルにおける同項目の観察点で
更に自然な帯域バランスとシームレスな質感をまざまざと見せつけられました!

今回は新しい選曲で私にしては分析的な聴き方をするには過去の比較対象となる
試聴体験が少なく、それよりも演奏の素晴らしさに思わず聴き惚れてしまうという
展開になってしまいましたが、この次は音のテンプレートがしっかり定着している
私の定番試聴曲でTa.Qu.To-Zeroを鳴らしていこうと思っています。

まだまだ聴きたい曲があるという音楽に対する食欲をもたらしてくれるTa.Qu.To-Zeroと
いうスピーカーは、もうその存在だけで音楽の世界観を変えてくれそうな気がします。

これからも楽しみでなりません。
そして、ここでは誰でもTa.Qu.To-Zeroを聴くことが出来るのです!!

川又利明
担当:川又利明
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kawamata@dynamicaudio.co.jp

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