VOL.95 TAD TAD-D1000MK2 試聴レポート 

   


今回はTADの新しいCD/SACD PLAYER TAD-D1000MK2の魅力に迫ってまいります。

このTAD-D1000MK2はオーディオ界で一番有名なステレオサウンド誌において、
GRAND PRIX2015の受賞製品となっております。

さて新製品と語ってはおりますが、2013年に発売されたTAD-D1000をブラッシュアッ
プしたモデルになり、実際旧製品からのヴァージョンアップも可能になっておりま
す。

旧製品のレポートはこちらをご覧ください。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/tad_d1000_report.html

さてまずは旧製品の違いをご連絡いたします。

1)ヴォリューム機能搭載

 

2013年にCD/SACD PLAYERとして、TAD-D1000、D/AコンバーターとしてTAD-DA1000を
発売しましたが、DA1000の方にはヴォリューム機能があり、プレーヤーのD100には
装備しておりませんでした。

今回装備した理由として、同社のパワーアンプ TAD-M2500MK2とダイレクトに接続し
たいという気持ちがあったようです。
もちろんプリアンプの重要性は重々解った上での判断ではあったと思いますが、プ
リを除いたシンプルなシステム提案をしたいという希望もTAD社の方ではあったと聞
いております。
このシステムとしてプリアンプを考えた場合はやはりTAD-C2000になりますが、定価
で\1,900,000となってしまいます。
ヴォリューム機能を持たせない場合はプリアンプも、パワーアンプも同時に購入し
なくてはいけないということを考えるとこのヴォリューム機能を持ったというのは
非常に重要なファクターになるかもしれません。

このヴォリューム機能ですがもちろんOFFにして使用することができます。
フロントパネル左側のヴォリュームのプラスボタンを押し続けると固定になります。

ヴォリュームに関しましては、表示がL1〜L78という表示になり、細かいヴォリュー
ム調整が可能となります。

2)電源部、回路の見直し

音に関しては、ここが非常に重要な部分となっております。
電源部を徹底的に見直し、高出力大型トロイダル電源トランスのさらなる低イン
ピーダンス化を図っております。この部分に関しては、あまり多くを語っておりま
せんが、かなり力を入れたのが解ります。

また回路の見直しも図っているとのことです。


3)脚の見直し

   


最近足回りの見直しを考えているメーカーも多いようですが、今回TADも新しい脚を
搭載しております。
しっかりとした脚部ですが、実際床に設置している部分の面積は非常は小さく、
その部分はスパイク受けの役割となっております。この脚はスパイクとスパイク受け
を一体構造にした脚になっております。
またスパイク受け部分は可動式で床が凸凹でも影響を受けにくい構造となっておりま
す。
デジタル機器は本当に足回りで変わってきますが、なかなか素晴らしい脚に感じま
す。

4)カラーバリエーションの追加




以前はシルバーモデルのみでしたが、今回ブラックモデルも追加となりました。

その他の写真


 
       天板                      操作ボタン


       背面パネル


       リモコン

TAD-D1000MK2 仕様

■アナログ出力:XLR1系統(2番HOT)、RCA1系統

■デジタル入力:XLR1系統
   同軸入力端子/RCA2系統
   光入力端子/角型1系統
   USB入力端子/標準B型1系統

■入力サンプリング周波数

   XLR・同軸:44.1kHz〜192kHz
   光    :44.1kHz〜96kHz
   USB   :44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96 kHz、176.4kHz、192kHz、
        352.8kHz、384kHz、DSD2.8MHz、DSD5.6MHz
        ※USB入力はWindows 8/Windows 7/Windows Vista/Mac OS 10.6以
        降に対応・352.8kHz、384kHz、DSD5.6MMzはMac OS 10.6以降のみ
        対応

■デジタル音声出力:バランス出力端子/XLR1系統
          同軸出力端子/RCA1系統


■消費電力   :43W


■最大外形寸法 :440 mm(W)×150 mm(H)×406mm(D)

■質量     :18.5 kg
      
			
試聴レポート

実際最初に試聴したのは数か月前デモ品でしたが、その時から今回のmk2の音は非常
に評価しておりました。その違いは大きくいうと

「個性の中にある絶対クオリティ」

どうしても初代との比較としてしまうのですが、まずは全体的な情報量と厚み、そ
して解放感。
TADのコンセプトである「足さず引かず」の精神に基づいたいるところは変わってお
りませんが、聞きたいソフトを選んで楽しめるようになったと言えば良いのでしょ
うか。聞いてて気持ちが良いというサウンドに仕上がっております。
こういうところで他社製品の話をするのはあまり好きではないですが、各メーカー、
しっかりコンセプトを持っており、そのサウンドが好きなお客様に選ばれるのです
が、ある意味個性が弱い商品は解ってもらえない場合も非常に多いです。

もちろん旧モデルをお選びになっているお客様はその個性を感じ取っていただき、
購入いただいておりますが、今回はその個性の中にTADが表現したいサウンドがより
一層に引き立った感じがします。

まずは音の出方が以前にもましてスムースに聞こえます。これにより全体的な解放
感も出て、肩の力を抜いて試聴ができます。
そして、情報量。音の細部まで表現力が上がり、音の消え際など自然に感じます。
低域に関しての音の厚みは定評がありましたが、もっと音が沈み込んで良いピラミ
ッドバランスが取れております。

これは素晴らしいファインチューニングだと思います。

さてmk2になっても同じ印象を持つのですが、このプレーヤーはDAC部分が非常に良
く、特にUSB入力が気に入っております。
ハイレゾのデモンストレーションの時に良く使用するのですが、CDとハイレゾの違
いを大きく出してくれます。これはCDトランスポートのクオリティの問題なのかは
さておき、USB DACとしてもTADのエネルギー感と厚みを感じます。
CDとSACDとハイレゾ(PCM)ということで同じ曲で試聴することも良くありますが、
SACD、ハイレゾ、CDという順番になるケースが多いです。ということでSACDの再生
能力もしっかりあるということで、ディスクとしてもしっかりとしたプレーヤーで
あるということが理解ができます。

今回ブラックモデルも出ておりますので、組み合わせの幅が広がっております。

是非今一度プレーヤー選びの候補にしていただければと思います。

また今お持ちのお客様は是非ヴァージョンアップをお勧めしたいですね。


2015年12月22日 H.A.L.3 島