VOL.85 TAD D1000 試聴レポート
画像はTAD TAD-D1000 CD/SACD PLAYER
TAD-D1000 (CD/SACD PLAYER) 定価\1,500,000(税別)
TAD-DA1000(D/Aコンバーター)定価\1,200,000(税別)
今回は9月に発売されたTAD TAD-D1000をご紹介します。
以前スピーカーのTAD-E1の際にTADというブランドに関しては、ご紹介させていただ
きましたのでこちらは割愛させていただきますが、TADの歴史は下記のサイトを
ご覧ください。
TAD HISTORY
さて9月にTAD社高級SACD/CD PLAYER D600の廉価モデルD1000、そしてTAD社として
は初の単体D/AコンバーターののDA1000を10月に発売しました。
(発表は同じタイミングだったと思います)
TAD-D600はその実力もあり、高い評価を得ておりましたが、価格的に\2,500,000と
いうことでなかなかハードルの高いモデルであったとは思います。またこちらのD60
0はどちらかというと同社プリアンプC600、パワーアンプM600との関連性が強く、
プリアンプC2000、ステレオパワーM2500、M4300と価格的な面でも合わせられるプ
レーヤーを出したかったというのが一つにはあります。
実際日本ではまだまだCDプレーヤーの需要が高く、ESOTERIC社も予想を超える出荷
台数となっておりますが、反面海外はネットワークオーディオやパソコンをトラン
スポートといったデータ再生の動きが活発です。今回日本向けのD1000、海外向けの
DA1000といっても過言ではないかもしれません。
それでは、プレーヤーのTAD-D1000の魅力に迫ってまいります。
1.クロックへのこだわり
TADはD600開発の時からクロックへ強いこだわりを持っております。
その証拠に外部クロックの為の入力は装備しておりません。
超高C/N1マスタークロックUPCGというクロックを装備し、徹底したS/N管理を行って
おります。
2.徹底した電源
高出力トロイダル型電源トランスを使用し、更にデジタル、アナログとそれぞれに
電源を装備しております。それぞれ干渉しないような徹底ぶりです。
3.次世代への対応
USB入力に関しては、自社開発のアシンクロナスUSB伝送エンジンを搭載。384kHz・3
2bitまでのPCM音楽データと、5.6MHzまでのDSD音楽データを再生可能です
(Macintoshの場合。Windows PCは192kHzサンプリングPCMデータと2.8MHzのDSDフ
ォーマット音楽データとなります。)
4.こだわりを持った端子配置
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シンメトリーに配置されている機器も増えている中で、こういった配置に疑問を持
たれるかもしれませんが、この配置こそTADの制作過程で中で理想のようです。
5.豊富なデジタル端子
USB、XLR、COAXIAL2系統、OPTICALの計5系統のデジタル入力とXLR,COAXIALの計2系
統のデジタル出力を装備。
6.シンプルな設計
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音を変えるようなモードは全くなく、これが出したい音であるということで余計な
機能は一切ついておりません。
7.リモコン
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<試聴レポート>
H.A.L.3の試聴室でフラッグシップモデルのD600は何度も試聴しておりますので、そ
の延長線上という先入観をもって試聴しましたが、D600とはちょっと違う印象を持
ちました。
価格が違うから当たり前という部分ではなく、D600は情報量の中に解放感や音楽性
もあったかと思いますが、もっと個性を潜めて、音楽性というところは意図的につ
けずにリアリティ追及というところでチューニングされているように感じました。
これはTADがTADであるべき姿として敬意を表すべき点であると思います。
「足さず引かず」これはTADの取締役社長の平野氏が良く語られる言葉であります。
それが忠実に生かされております。
まず女性VOCALでは、潤いや艶で攻めるというよりも、しっかりとした音像定位にこ
だわり、スタジオ的な生々しさを感じます。他社のプレーヤーと比較するとVOCALの
音像は若干前かなという印象です。女性VOCALはシステムによっては若く感じたり、
逆の場合もありますが、このD1000はそういうところがなく、ライブ会場の前の席で
聞いているような印象を持ちます。質実剛健という言葉が似合いますね。
ジャズですが、古い録音から新しい録音までしっかりと引き出してくれます。その
中でもベースラインの解像度とエネルギー感、そしてシンバルの小気味よさが良さ
を感じます。ただ高域と低域が目立つ分中域が若干薄く感じてしまいます。
オーケストラですが、響きをあえてつけていない分ホール感というのはさほど感じ
ませんが、各楽器の位置関係は如実に表現され、前後感は抜群です。
後ろの席で全体を聞くというよりも、比較的前の席で、がっちり聞きたいお客様向
けにかもしれません。
ロックなどはエレキギターのエフェクターの表現が素晴らしく、8ビート、16ビート
などドラムもしっかり安定した演奏に聞こえてきます。低域がしっかりしている分
重心がしっかりし、音楽に厚みがあります。ライブというよりもスタジオ録音の方
が向いている感じも受けます。
全体的な印象としては非常に誠実で真面目なサウンドに感じますが、それがソフト
に入っている情報に色づけしないというところだと思います。
個人的にロックやジャズは非常に好印象ですね。
さてこのTAD-D1000の魅力の一つとしてDSDまで対応したUSB入力になります。
オリオスペック社製のRitomoを使用し、foober2000で試聴しました。
先ほどとは印象が変わり、DAC部分のクオリティの高さを感じました。
ハイレゾ音源やDSDであれば、プレーヤーよりも個人的に好みです。
情報量はプレーヤーの方が多いのですが、USB入力の方がバランスが良く感じてしま
います。特に中域の出方は抜群に良く感じます。
同時期に発表したDACのDA1000。こちらはどちらかというとCD離れが進んでいる海外
をターゲットに考えていると思いますが、私はこのD1000はDAC部分のポテンシャル
が高く、そこにトランスポートが加わったモデルという印象をもってしまいました。
ここ最近プレーヤーにUSB入力が付いているものが増えてきておりますが、どれぐら
いのお客様がこのUSBを使用しているのか解らないですが、このD1000は是非USBも使
っていただきたいですね。
他にもデジタル入力がありますので、テレビの音声出力をPCMに固定にしてつなげて
みるのも良いと思います。
最後に基本的にはXLRでの出力の方が重心がしっかり出ており、音のクオリティは高
いようです。ただRCAの方が透明感は高く、清楚なイメージになると思います。
接続に関してはつなげるアンプにも左右されますので、ご相談いただければと思
います。
4F H.A.L.3ではESOTERIC K-01(\1,400,000)、そしてLUXMAN D-08(\950,000)の
展示も行っております。それぞれに魅力を感じます。
是非試聴していただきお好みのプレーヤーをお選びいただければと思います。
2013年12月16日 H.A.L.3 島
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